[第1実施形態]
以下、図1~図6(C)及び図9を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印LHは、車両の前方向、上方向、車両左側をそれぞれ示している。また、以下の説明で特記なく前後、左右、上下の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車幅方向の左右、車両上下方向の上下を示す。
図1に示すように、本実施形態の車両前部構造は、車両前部の両サイドに配置された左右一対のフロントサイドメンバ10を備えている。フロントサイドメンバ10は、長手方向を車両前後方向に向けた車体骨格部材であり、車両の車幅方向中心線に対して左右対称に設けられている。
フロントサイドメンバ10の前端部は、変形部12とされている。変形部12は、本体部14(フロントサイドメンバ10のうち変形部12以外の部分)よりも車両前後方向の荷重に対する圧縮強度が低い。変形部12としては、例えばアルミ製や繊維強化プラスチック製のクラッシュボックスが例示される。
また、車両前部構造は、金属製(本実施形態では鋼板製)のバンパRF20を備えている。バンパRF20は、車幅方向に沿って延在する車体骨格部材であり、左右一対のフロントサイドメンバ10の前端同士を連結している。具体的には、左右一対のフロントサイドメンバ10の変形部12の前端が、バンパRF20の後面に結合されている。なお、車幅方向に直線的に一様に延在するバンパRF20を模式的に図示しているが、バンパRF20は、車幅方向から見た断面積が車幅方向中央部で最も大きく、車幅方向外側に向かうにつれて小さくなるように構成されている。また、バンパRF20は、車幅方向両側部が車両後方側へ斜めに曲がった形状、すなわち全体として車両前方側へ凸の弓形形状とされていてもよい。バンパRF20のより詳細な構成については後述する。
また、車両前部構造は、左右一対のフロントサイドメンバ10の間且つバンパRF20の車両後方に配置されたパワーユニット30を備えている。パワーユニット30は、「左側装置」としてのトランスアクスル30Lと、「右側装置」としてのエンジン30Rと、が互いに連結されることで構成されている。パワーユニット30は、左右一対のフロントサイドメンバ10の本体部14に左右のエンジンマウント32を介して支持されている。また、図示は省略するが、パワーユニット30は、トランスアクスル30Lの部分において車両下方からも支持されている。また、エンジン30Rの幅寸法はトランスアクスル30Lの幅寸法よりも大きく、連結部分34は、車幅方向中央に対して左側にずれて位置している。
また、車両前部構造は、ダッシュ部40を備えている。ダッシュ部40は、パワーユニット30が配置された空間(エンジンコンパートメント)と図示しない車室とを隔てる部分である。つまり、ダッシュ部40は車室の前端を構成している。ダッシュ部40は、ダッシュパネル42や図示しないダッシュクロスを含んで構成されている。ダッシュパネル42には、左右一対のフロントサイドメンバ10の後端が結合されている。なお、フロントサイドメンバ10の車両後方側に図示しないキックアップ部が設けられ、このキックアップ部の上部にダッシュパネル42が配設される構成としてもよい。
ダッシュパネル42の前方にはギアボックス44が設けられ、ギアボックス44は、ダッシュパネル42に対して車両前方側へ突出するように配置されている。このため、本実施形態では、仮にパワーユニット30が車両後方へ移動した場合(例えば平行移動した場合)、ギアボックス44がパワーユニット30を支持する構造となっている。つまり、本実施形態ではギアボックス44が本発明の「後方支持部」に相当する。ギアボックス44は、車幅方向中央に対して左側にずれた位置であってトランスアクスル30Lの後方の位置に配置されている。
次に、図5(A)~図6(C)を参照して、バンパRF20の詳細な構成について説明する。
図5(A)に示されるように、バンパRF20は、車幅方向中央に設けられた中央部46と、中央部46の車幅方向左側に設けられた「第一低強度部」としての左側部48と、中央部46の車幅方向右側に設けられた「第二低強度部」としての右側部50と、を含んで構成されている。
図6(A)~図6(C)には、図5(A)に示されるバンパRF20を車幅方向左側から見た左側部48、中央部46、及び右側部50の縦断面図がそれぞれ示されている。
バンパRF20の中央部46は、図6(B)に示されるように、車両後方側に位置する後側部材52と、車両前方側に位置する前側部材54とを含んで構成されている。
中央部46の後側部材52は、車両前方側に開放された断面略U字状の後側本体部52Aを備えている。また、後側本体部52Aの上端部から車両上方側へ後側上フランジ52Bが延出されており、後側本体部52Aの下端部から車両下方側へ後側下フランジ52Cが延出されている。このため、後側部材52は、車両前方側に開放された断面略ハット状に形成されている。
中央部46の前側部材54は、車両前後方向を板厚方向とする平板状に形成されており、車両上下方向中央部分に位置して後側部材52の開口を閉塞する前側本体部54Aを備えている。また、前側本体部54Aの上端部から車両上方側へ前側上フランジ54Bが延出されており、この前側上フランジ54Bが後側部材52の後側上フランジ52Bと重ね合わされた状態でスポット溶接などによって接合されている。さらに、前側本体部54Aの下端部から車両下方側へ前側下フランジ54Cが延出されており、この前側下フランジ54Cが後側部材52の後側下フランジ52Cと重ね合わされた状態でスポット溶接などによって接合されている。これにより、本実施形態のバンパRF20の中央部46は、閉断面構造(中空構造)となっている。
バンパRF20の左側部48は、図6(A)に示されるように、車両後方側に位置する断面略ハット状の後側部材56と、車両前方側に位置する平板状の前側部材58とを含んで構成されている。後側部材56は、車両前方側に開放された断面略U字状の後側本体部56Aと、後側本体部56Aの上端部から車両上方側に延出された後側上フランジ56Bと、後側本体部56Aの下端部から車両下方側に延出された後側下フランジ56Cとを備えている。前側部材58は、後側部材56の開口を閉塞する前側本体部58Aと、前側本体部58Aの上端部から車両上方側へ延出された前側上フランジ58Bと、前側本体部58Aの下端部から車両下方側へ延出された前側下フランジ58Cとを備えている。後側上フランジ56Bと前側上フランジ58Bとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合され、後側下フランジ56Cと前側下フランジ58Cとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合されている。これにより、左側部48は、閉断面構造(中空構造)となっている。
ここで、左側部48における後側部材56の後側本体部56Aの車両前後方向の寸法は、中央部46(図6(B)参照)における後側部材52の後側本体部52Aの車両前後方向の寸法よりも小さく設定されている。これにより、左側部48の断面積は、中央部46の断面積よりも小さくなっている。
バンパRF20の右側部50は、図6(C)に示されるように、上述の左側部48(図6(A)参照)と同様の構成とされている(後述する通り、材料強度は左側部48と異なる)。すなわち、断面略ハット状の後側部材60と、平板状の前側部材62とにより閉断面構造とされている。後側部材60は、後側本体部60Aと、後側上フランジ60Bと、後側下フランジ60Cとを備え、前側部材62は、前側本体部62Aと、前側上フランジ62Bと、前側下フランジ62Cとを備えている。ここで、右側部50における後側部材60の後側本体部60Aの車両前後方向の寸法は、中央部46(図6(B)参照)における後側部材52の後側本体部52Aの車両前後方向の寸法よりも小さく設定されている。これにより、左側部48と同様に、右側部50の断面積は、中央部46の断面積よりも小さくなっている。
また、バンパRF20は、上述の通り、車幅方向から見た断面積が車幅方向中央部で最も大きく、車幅方向外側に向かうにつれて小さくなるように構成されている。具体的には、後側本体部52A、56A、60Aの車両前後方向の寸法が、車幅方向中央部で最も大きく、車幅方向外側に向かうにつれて小さくなるように構成されている。なお、図1~図5(A)では、後側部材52、56、60及び前側部材54、58、62の図示は省略されている。
図5(A)に戻ると、中央部46と、左側部48と、右側部50とは、それぞれ異なる強度を有する金属材料(本実施形態では鋼板)により構成されている。具体的には、バンパRF20のうち中央部46が最も高い強度を有する材料で形成されている。また、左側部48は、バンパRF20のうち最も低い強度を有する材料で形成されている。さらに、右側部50は、中央部46の強度よりも低く、かつ左側部48の強度よりも高い強度を有する材料で形成されている。
上述の通りそれぞれ異なる材料強度を有する中央部46と、左側部48と、右側部50とが、溶接等により接合されてバンパRF20を構成している。これにより、中央部46、左側部48、及び右側部50の前側部材54、58、62(図6(A)~図6(C)参照)がバンパRF20の前側を構成している。同様に、中央部46、左側部48、及び右側部50の後側部材52、56、60(図6(A)~図6(C)参照)がバンパRF20の後側を構成している。バンパRF20の各部を構成する材料の一例として、中央部46は超ハイテン材(超高張力鋼板)、右側部50はハイテン材(高張力鋼板)、左側部48は普通鋼板で形成されていてもよい。
このように、バンパRF20を構成する各部の材料強度が、中央部46、右側部50、左側部48の順に低くなるように設定されていることにより、曲げ耐力も、中央部46、右側部50、左側部48の順に低くなっている。バンパRF20の各部の曲げ耐力について、以下に詳しく述べる。
図5(B)は、バンパRF20の車幅方向の位置に対する曲げ耐力特性を示す線図である。図5(B)に示されるように、バンパRF20の曲げ耐力は車幅方向中央で最も高く、車幅方向外側に向かうにつれて低くなっている。これは、上述の通り車幅方向から見た断面積が車幅方向外側に向かうにつれて小さくなっているためである。
また、中央部46においては車幅方向中央から外側に向かうにつれて連続的に曲げ耐力が減少しているが、中央部46と左側部48との境界部分では、連続的な減少ではなく、急激に曲げ耐力が低下している。これは、左側部48の材料強度が中央部46の材料強度よりも低いことに起因している。
さらに、中央部46と右側部50との境界部分においても急激に曲げ耐力が低下している。これは、右側部50の材料強度が中央部46の材料強度よりも低いことに起因している。そして、中央部46と左側部48との境界部分の曲げ耐力は、中央部46と右側部50との境界部分の曲げ耐力よりも低くなっている。すなわち、両者の間には、耐力差(矢印Dで示される)が設定されている。これは、左側部48の材料強度が右側部50の材料強度よりも低いことに起因している。
以上のような構造とすることで、バンパRF20のうち中央部46と左側部48との境界部分が最も折れやすく、センターポール衝突時に最初に折れる第一折れ起点部64(図1~図5(A)参照)を構成している。また、中央部46と右側部50との境界部分が、第一折れ起点部64の次に折れる第二折れ起点部66(図1~図5(A)参照)を構成している。
別の説明をすると、バンパRF20は、中央部46を挟んで2つの折れ起点部(第一折れ起点部64及び第二折れ起点部66)を有している。そして、第一折れ起点部64の曲げ耐力が第二折れ起点部66の曲げ耐力に対して耐力差Dだけ低く設定されている。これにより、バンパRF20のうち第一折れ起点部64がセンターポール衝突時に最初に折れるようにコントロールされており、第二折れ起点部66が第一折れ起点部64の次に折れるようにコントロールされている。
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について、図9(A)及び図9(B)に示す比較例と対比しつつ説明する。
比較例に係る車両前部構造では、バンパRF100は、単一の材料により構成され、車幅方向に亘って材料強度が同一であると共に、車幅方向から見た断面積が車幅方向外側に向かうにつれて小さくなっている(図9(B)では車幅方向に一様に延在するバンパRF100が模式的に図示されている)。このため、図9(A)に示されるように、曲げ耐力特性図の形状が連続的でなだらかな山型とされ、曲げ耐力が急激に低下された部分を有しない。したがって、センターポール衝突時には、車両中央部よりも曲げ耐力が低下された部分(曲げ耐力特性図の山の中腹に相当する位置)が折れ起点となる可能性がある。
図9(B)に示されるように、ポールPへの衝突時に、仮に折れ起点部100Aにおいて折れた場合、エンジン30Rはギアボックス44に支持されないため、ギアボックス44に支持される場合と比べてエンジン30Rとトランスアクスル30Lとの連結部分34に発生する剪断入力が大きくなる。すると、エンジン30Rとトランスアクスル30Lとの連結が解除され(換言するとパワーユニット割れが発生し)、折れ起点部100Aからの衝突荷重を受けるエンジン30Rのみが車室側へ移動することで、ダッシュ部40に対して局所的に荷重が伝達され、ダッシュ部40の変形量が増大してしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態では、図1~図4に示されるように、左右一対のフロントサイドメンバ10が車両前部を車両前後方向に沿って延在している。また、バンパRF20が車幅方向に沿って延在し、左右一対のフロントサイドメンバ10の前端同士を連結している。また、左右一対のフロントサイドメンバ10の間且つバンパRF20の車両後方には、パワーユニット30が配置されている。
パワーユニット30は、右側部分を構成するエンジン30Rと、左側部分を構成するトランスアクスル30Lと、が互いに連結されることで構成されている。そして、ギアボックス44が、ダッシュ部40とパワーユニット30との間のエリアに設けられているため、仮にパワーユニット30が車両後方へ移動(例えば平行移動)したときは、パワーユニット30のトランスアクスル30Lがギアボックス44に最初に支持される。
バンパRF20には、図1~図5(A)に示されるように、車幅方向中央部に設けられ所定強度の材料で形成された中央部46と、中央部46の強度よりも低い強度の材料で形成された左側部48と、中央部46の強度よりも低く、かつ左側部48の強度よりも高い強度の材料で形成された右側部50と、が設けられている。ここで、左側部48は、車幅方向中央に対してギアボックス44に支持されるトランスアクスル30Lと同じ側に設けられている。また、右側部50は、車幅方向中央に対してギアボックス44に支持されるトランスアクスル30Lと反対側に設けられている。
これにより、本実施形態の車両前部構造では、図2及び図3に示すように、センターポール衝突時に中央部46と左側部48との境界部分が最初に折れる第一折れ起点部64とされ、エンジン30Rとトランスアクスル30Lのうちギアボックス44に支持される側の装置に衝突荷重を伝達するように第一折れ起点部64の位置が設定されている。このため、本実施形態の車両前部構造では、センターポール衝突時、以下に説明する変形モードを実現しやすい。
すなわち、センターポール衝突時、図2に示すように、バンパRF20は、ポールが当接した車幅方向中央位置では折れず、材料強度が最も高く、曲げ耐力が最も高く設定されている中央部46と、材料強度が最も低く、曲げ耐力が最も低く設定されている左側部48との境界部分を構成する第一折れ起点部64で折れる。次に、図3に示すように、バンパRF20の第一折れ起点部64が、パワーユニット30のトランスアクスル30Lに衝突荷重(矢印Fで示される)を伝達する。衝突荷重によりパワーユニット30が車両後方へ移動すると、ギアボックス44にパワーユニット30(トランスアクスル30L)が支持される。ここで、ギアボックス44に支持される装置と第一折れ起点部64が衝突荷重を伝達する装置とが同一の装置(トランスアクスル30L)であるため、エンジン30Rとトランスアクスル30Lとの連結部分34に発生する剪断入力が増大しない。その結果、パワーユニット割れが抑制される。
さらに、パワーユニット割れが抑制されることで、第一折れ起点部64においてパワーユニット30からバンパRF20への反力(図3の矢印Fで示す力に対する反力)が増大する。このため、図3に示すように、バンパRF20に2点目の折れが発生しやすくなる。ここで、2点目の折れは、中央部46と、中央部46よりも材料強度が低く(曲げ耐力が低く)、左側部48よりも材料強度が高い(曲げ耐力が高い)右側部50との境界部分を構成する第二折れ起点部66で発生する。第二折れ起点部66の折れが発生すると、図4に示すように、バンパRF20における第一折れ起点部64及び第二折れ起点部66の間の範囲でパワーユニット30を車両後方へ押すこととなり(面押しすることとなり)、衝突荷重を車幅方向に分散できる。その結果、ダッシュ部40に対する局所的な入力を抑制でき、以って車室の変形を抑制することができる。
このように、本実施形態では、バンパRF20の質量及び構成部品を増やすことなく、バンパRF20の折れ位置と折れる順序とをコントロールすることで車室の変形量を低減することができる。
また、図面では簡略化されているが、パワーユニット30の後面は凹凸のある形状とされている。本実施形態では、この凹凸のある形状とされた後面のうち、最も車両前後方向後端の部分とギアボックス44とが車両前後方向に対向している。つまり、パワーユニット30における車両前後方向後端部がダッシュ部40に最初に支持されることとなる。このため、センターポール衝突発生後、早期にパワーユニット30を後方から支持することができる。
なお、簡略化のため説明を省いたが、バンパRF20とパワーユニット30との間には、通常、図示しないクーリングユニットなどが配置されている。そのため、センターポール衝突が発生し、バンパRF20の第一折れ起点部64が折れてパワーユニット30側に変位すると、クーリングユニットなどを介して衝突荷重がバンパRF20からパワーユニット30に伝達する。
[第2実施形態]
次に、図7(A)~図8(C)を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構造については、同じ符号を付し適宜説明を省略する。
図7(A)に示されるように、本実施形態に係る車両前部構造のバンパRF70は、車幅方向中央に設けられた中央部72と、中央部72の車幅方向左側に設けられた「第一低耐力部」としての左側部74と、中央部72の車幅方向右側に設けられた「第二低耐力部」右側部76と、を含んで構成されている。中央部72と、左側部74と、右側部76とは、同一の金属材料(本実施形態では鋼板)で構成されている。なお、車幅方向に直線的に一様に延在するバンパRF70を模式的に図示しているが、バンパRF70は、車幅方向両側部が車両後方側へ斜めに曲がった形状、すなわち全体として車両前方側へ凸の弓形形状とされていてもよい。
図8(A)~図8(C)には、図7(A)に示されるバンパRF70を車幅方向左側から見た左側部74、中央部72、及び右側部76の縦断面図がそれぞれ示されている。
バンパRF70の中央部72は、図8(B)に示されるように、車両後方側に位置する断面略ハット状の後側部材78と、車両前方側に位置する平板状の前側部材80とを含んで構成されている。具体的には、後側部材78は、車両前方側に開放された断面略U字状の後側本体部78Aと、後側本体部78Aの上端部から車両上方側に延出された後側上フランジ78Bと、後側本体部78Aの下端部から車両下方側に延出された後側下フランジ78Cとを備えている。前側部材80は、後側部材78の開口を閉塞する前側本体部80Aと、前側本体部80Aの上端部から車両上方側へ延出された前側上フランジ80Bと、前側本体部80Aの下端部から車両下方側へ延出された前側下フランジ80Cとを備えている。後側上フランジ78Bと前側上フランジ80Bとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合され、後側下フランジ78Cと前側下フランジ80Cとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合されている。これにより、中央部72は、閉断面構造(中空構造)となっている。
バンパRF70の左側部74は、図8(A)に示されるように、車両後方側に位置する断面略ハット状の後側部材82と、車両前方側に位置する平板状の前側部材84とを含んで構成されている。後側部材82は、車両前方側に開放された断面略U字状の後側本体部82Aと、後側本体部82Aの上端部から車両上方側に延出された後側上フランジ82Bと、後側本体部82Aの下端部から車両下方側に延出された後側下フランジ82Cとを備えている。前側部材84は、後側部材82の開口を閉塞する前側本体部84Aと、前側本体部84Aの上端部から車両上方側へ延出された前側上フランジ84Bと、前側本体部84Aの下端部から車両下方側へ延出された前側下フランジ84Cとを備えている。後側上フランジ82Bと前側上フランジ84Bとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合され、後側下フランジ82Cと前側下フランジ84Cとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合されている。これにより、左側部74は、閉断面構造(中空構造)となっている。
ここで、左側部74における後側部材82の後側本体部82Aの車両前後方向の寸法は、中央部72(図8(B)参照)における後側部材78の後側本体部78Aの車両前後方向の寸法よりも小さく設定されている。これにより、左側部74の断面積は、中央部72の断面積よりも小さくなっている。
バンパRF70の右側部76は、図8(C)に示されるように、車両後方側に位置する断面略ハット状の後側部材86と、車両前方側に位置する平板状の前側部材88とを含んで構成されている。後側部材86は、車両前方側に開放された断面略U字状の後側本体部86Aと、後側本体部86Aの上端部から車両上方側に延出された後側上フランジ86Bと、後側本体部86Aの下端部から車両下方側に延出された後側下フランジ86Cとを備えている。前側部材88は、後側部材86の開口を閉塞する前側本体部88Aと、前側本体部88Aの上端部から車両上方側へ延出された前側上フランジ88Bと、前側本体部88Aの下端部から車両下方側へ延出された前側下フランジ88Cとを備えている。後側上フランジ86Bと前側上フランジ88Bとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合され、後側下フランジ86Cと前側下フランジ88Cとが重ね合わされた状態で溶接などによって接合されている。これにより、右側部76は、閉断面構造(中空構造)となっている。
ここで、右側部76における後側部材86の後側本体部86Aの車両前後方向の寸法は、中央部72(図8(B)参照)における後側部材78の後側本体部78Aの車両前後方向の寸法よりも小さく設定されている。これにより、右側部76の断面積は、中央部72の断面積よりも小さくなっている。
また、バンパRF70は、上述の通り、車幅方向から見た断面積が車幅方向中央部で最も大きく、車幅方向外側に向かうにつれて小さくなるように構成されている。具体的には、後側本体部78A、82A、86Aの車両前後方向の寸法が、車幅方向中央部で最も大きく、車幅方向外側に向かうにつれて小さくなるように構成されている。なお、上述の図7(A)では、後側部材78、82、86及び前側部材80、84、88の図示は省略されている。
また、バンパRF70各部の板厚は、中央部72の板厚t1(図8(B)参照)、右側部76の板厚t2(図8(C)参照)、左側部74の板厚t3(図8(A)参照)の順に小さくなるように設定されている。これにより、バンパRF70各部の曲げ耐力も中央部72、右側部76、左側部74の順に小さくなるように設定されている。
上述のように板厚t1、t2、t3が異なる中央部72、左側部74、及び右側部76の車幅方向端部が溶接などにより接合されてバンパRF70を構成している。これにより、中央部72、左側部74、及び右側部76の前側部材80、84、88がバンパRF70の前側を構成している。同様に、中央部72、左側部74、及び右側部76の後側部材78、82、86がバンパRF70の後側を構成している。
なお、本実施形態では、中央部72の後側部材78と前側部材80とで、板厚が同一(t1)となっているが、本発明はこれに限られない。中央部72の後側部材78と前側部材80とで板厚が異なっていてもよい。同様に、左側部74の後側部材82と前側部材84とで板厚が異なっていてもよいし、右側部76の後側部材86と前側部材88とで板厚が異なっていてもよい。バンパRF70各部の曲げ耐力が中央部72、右側部76、左側部74の順に小さくなるように板厚が設定されていればよい。
図7(B)は、バンパRF20の車幅方向の位置に対する曲げ耐力特性を示す線図である。図7(B)に示されるように、バンパRF20の曲げ耐力は車幅方向中央で最も高く、車幅方向外側に向かうにつれて低くなっている。これは、上述の通り車幅方向から見た断面積が車幅方向外側に向かうにつれて小さくなっているためである。
また、中央部72においては車幅方向中央から外側に向かうにつれて連続的に曲げ耐力が減少しているが、中央部72と左側部74との境界部分では、連続的な減少ではなく、急激に曲げ耐力が低下している。これは、左側部74の板厚t3が中央部72の板厚t1よりも小さいことに起因している。
さらに、中央部72と右側部76との境界部分においても急激に曲げ耐力が低下している。これは、右側部76の板厚t2が中央部72の板厚t1よりも小さいことに起因している。そして、中央部72と左側部74との境界部分の曲げ耐力は、中央部72と右側部76との境界部分の曲げ耐力よりも低くなっている。すなわち、両者の間には、耐力差(矢印Eで示される)が設定されている。これは、左側部74の板厚t3が右側部76の板厚t2よりも小さいことに起因している。
以上のような構造とすることで、バンパRF20のうち中央部72と左側部74との境界部分が最も折れやすく、センターポール衝突時に最初に折れる第一折れ起点部90(図7(A)参照)を構成している。また、中央部72と右側部76との境界部分が、第一折れ起点部90の次に折れる第二折れ起点部92(図7(A)参照)を構成している。
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、図7(A)及び図8(A)~図8(C)に示されるように、バンパRF70には、所定板厚t1を有する中央部72と、中央部72の板厚t1よりも小さい板厚t3を有する左側部74と、中央部72の板厚t1よりも小さく、かつ左側部74の板厚t1よりも大きい板厚t2を有する右側部76と、が設けられている。ここで、左側部74は、車幅方向中央に対してギアボックス44(図1~図4参照)に支持されるトランスアクスル30Lと同じ側に設けられている。また、右側部76は、車幅方向中央に対してギアボックス44に支持されるトランスアクスル30Lと反対側に設けられている。
これにより、センターポール衝突時、バンパRF70は、ポールが当接した車幅方向中央位置では折れず、最も大きい板厚t1を有し、曲げ耐力が最も高く設定されている中央部72と、最も小さい板厚t3を有し、曲げ耐力が最も低く設定されている左側部74との境界部分を構成する第一折れ起点部90で折れる。次に、バンパRF70の第一折れ起点部90が、第1実施形態における第一折れ起点部64(図3参照)と同様に、パワーユニット30のトランスアクスル30Lに衝突荷重を伝達する。衝突荷重によりパワーユニット30が車両後方へ移動すると、ギアボックス44にパワーユニット30(トランスアクスル30L)が支持される。ここで、ギアボックス44に支持される装置と第一折れ起点部90が衝突荷重を伝達する装置とが同一の装置(トランスアクスル30L)であるため、エンジン30Rとトランスアクスル30Lとの連結部分34に発生する剪断入力が増大しない。その結果、パワーユニット割れが抑制される。
さらに、パワーユニット割れが抑制されることで、第一折れ起点部90においてパワーユニット30からバンパRF70への反力が増大する。このため、バンパRF70に2点目の折れが発生しやすくなる。ここで、2点目の折れは、中央部72と、中央部72よりも板厚t2が小さく(曲げ耐力が低く)、左側部74よりも板厚t2が大きい(曲げ耐力が高い)右側部76との境界部分を構成する第二折れ起点部92で発生する。第二折れ起点部92の折れが発生すると、バンパRF70における第一折れ起点部90及び第二折れ起点部92の間の範囲でパワーユニット30を車両後方へ押すこととなり(面押しすることとなり)、衝突荷重を車幅方向に分散できる。その結果、ダッシュ部40に対する局所的な入力を抑制でき、以って車室の変形を抑制することができる。
このように、本実施形態では、バンパRF70の質量及び構成部品を増やすことなく、バンパRF70の折れ位置と折れる順序とをコントロールすることで車室の変形量を低減することができる。
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、ギアボックス44が、ダッシュ部40の一般部であるダッシュパネル42に対して車両前方へ突出し、「後方支持部」として機能する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、パワーユニット30の一部が後方へ突出しており、この一部が、ダッシュ部40における例えばダッシュパネル42に最初に支持される態様(この場合、ダッシュパネル42の一部が「後方支持部」に相当する。)であってもよい。この場合であっても(ダッシュ部の一部が後方支持部であっても)、後方支持部は、ダッシュ部とパワーユニットとの間のエリアに設けられているといえる。
また、上記実施形態では、「後方支持部」としてのギアボックス44が、車幅方向中央に対して車幅方向左側にずれた位置に配置された例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ギアボックス44は、車幅方向中央に対して車幅方向右側にずれた位置に配置されてもよい。この場合、上記実施形態のパワーユニット30の構成を前提に考えると、ギアボックス44はエンジン30R(右側装置)を支持することとなる。この場合、バンパRF20、70のうち曲げ耐力が最も低い左側部48、74は、中央部46、72に対して車幅方向右側に配置される。また、曲げ耐力が次に低い右側部50、76は、中央部46、72に対して車幅方向左側に配置される。したがって、センターポール衝突時に最初に折れる第一折れ起点部64、90が右側、二番目に折れる第二折れ起点部66、92が左側に配置されることとなる。
また、後方支持部は車幅方向中央に位置していてもよい。この場合、上記実施形態のパワーユニット30の構成を前提に考えると、後方支持部はエンジン30R(右側装置)を支持することとなる。そのため、バンパRF20、70の構成は、センターポール衝突時に最初に折れる第一折れ起点部64、90を右側に、二番目に折れる第二折れ起点部66、92を左側に有することとなる。
また、本発明の「後方支持部」はギアボックス44に限定されない。例えば、マスターシリンダーであってもよいし、左右一対のロッカ(車体下部における車幅方向両端部を車両前後方向に延びる骨格部材)の前端部同士を連結する骨格部材であるダッシュクロスであってもよい。また、後方支持部は、パワーユニットに対して反力を生じさせることができる部分(部材)である。したがって、配管やブラケットなどのような、パワーユニットを介して衝突荷重を受けた場合に容易に変形してしまう部分(部材)は、後方支持部には相当しない。
また、上記実施形態では、第一折れ起点部64、90が、車幅方向中央に対して第二折れ起点部66、92と対称の位置に設けられている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。第二折れ起点部66、92は、車幅方向中央に対して第一折れ起点部64、90と反対側の位置に設けられていればよい。
また、上記実施形態では、第一折れ起点部64、90が、「後方支持部」(ギアボックス44)よりも車両幅方向外側の位置に設定されている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。第一折れ起点部64、90が、後方支持部よりも車両幅方向内側の位置に設定されていてもよい。