以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1~図8を参照して説明する。
<ゲート駆動装置の概略構成>
図1に示すように、本実施形態のゲート駆動装置1Aは、一対の直流電源線2、3の間に接続されたハーフブリッジ回路4の上アームを構成する半導体スイッチング素子5Aを駆動する。また、本実施形態のゲート駆動装置1Bは、ハーフブリッジ回路4の下アームを構成する半導体スイッチング素子5Bを駆動する。この場合、ゲート駆動装置1A、1Bは同様の構成であり、半導体スイッチング素子5A、5Bは同様の構成である。そのため、本明細書では、ゲート駆動装置1A、1Bおよび半導体スイッチング素子5A、5Bのそれぞれについて区別する必要がない場合には、末尾のアルファベットを省略して総称することとする。
ハーフブリッジ回路4は、モータMを駆動するインバータに含まれるものである。ハーフブリッジ回路4には、例えば電池などの図示しない直流電源から直流電源線2、3を介して電源電圧Vaが供給されている。半導体スイッチング素子5は、パワー素子であり、この場合、Nチャネル型のMOSFETと、そのMOSFETのドレイン・ソース間にソース側をアノードとして接続された、つまりMOSFETに対して逆並列に接続された還流用のダイオードと、を含む構成となっている。なお、この場合、MOSFETとは別の素子として還流用のダイオードが設けられているが、MOSFETのボディダイオードを還流用のダイオードとして利用してもよい。
上側素子5Aのドレインは、高電位側の直流電源線2に接続されている。上側素子5Aのソースは、下側素子5Bのドレインに接続されている。下側素子5Bのソースは、低電位側の直流電源線3に接続されている。上側素子5Aおよび下側素子5Bの相互接続ノードであるノードN1は、負荷に相当するモータMに接続されている。これにより、ハーフブリッジ回路4の出力電流である負荷電流ILがモータMに供給される。コントローラ6は、インバータを構成するハーフブリッジ回路4の動作を制御することによりモータMの駆動を制御する。なお、コントローラ6は、ハーフブリッジ回路4の動作を制御する制御装置の一例である。
コントローラ6には、図示しない電流検出部から出力される負荷電流ILの検出値を表す検出信号Scが与えられている。コントローラ6は、検出信号Scに基づいて負荷電流ILが所望の目標電流に一致するように、ゲート駆動装置1Aの動作を指令する指令信号Saおよびゲート駆動装置1Bの動作を指令する指令信号Sbを生成して出力する。ゲート駆動装置1Aは、コントローラ6から与えられる指令信号Saに基づいて上側素子5Aの駆動をPWM制御する。また、ゲート駆動装置1Bは、コントローラ6から与えられる指令信号Sbに基づいて下側素子5Bの駆動をPWM制御する。
この場合、上側素子5Aおよび下側素子5Bは、相補的にオンオフされる。したがって、上側素子5Aがオンされる期間には下側素子5Bはオフされており、また、下側素子5Bがオンされる期間には上側素子5Aはオフされている。上記構成では、負荷電流ILがノードN1からモータMへと流れる期間、上側素子5Aがドレインからソースに向けて順方向に電流を流すように駆動されるとともに、下側素子5Bがソースからドレインに向けて逆方向に電流を流すように駆動される。また、上記構成では、負荷電流ILがモータMからノードN1へと流れる期間、下側素子5Bがドレインからソースに向けて順方向に電流を流すように駆動されるとともに、上側素子5Aがソースからドレインに向けて逆方向に電流を流すように駆動される。
図2に示すように、負荷電流ILは、正弦波状の交流となる。このような負荷電流ILの供給を実現するため、下側素子5Bのドレイン電流Id、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびゲート・ソース間電圧Vgsは、図2に示すような波形となる。なお、上側素子5Aのドレイン電流Id、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびゲート・ソース間電圧Vgsについての図示は省略されているが、下側素子5Bにおける各波形に対して逆相になる点を除いて同様の波形となる。
この場合、ドレイン・ソース間電圧Vdsは、半導体スイッチング素子5の主端子の電圧であり、素子電圧に相当する。また、この場合、ドレイン電流Idは、半導体スイッチング素子5に流れる電流であり、素子電流に相当する。なお、本明細書では、ドレイン電流Id、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびゲート・ソース間電圧Vgsのことを、それぞれ単に電流Id、電圧Vdsおよび電圧Vgsと称することがある。
半導体スイッチング素子5のターンオフ時の各部の波形は、図3に示すような波形となる。なお、図3では、下側素子5Bに対応した各部の波形を例示しているが、上側素子5Aについても同様の波形となる。下側素子5Bがオフのときのオフ電圧Vds_offは、電源電圧Vaに概ね等しい電圧となる。この場合、ターンオフ時における電圧Vdsのピーク値Vds_pであるピーク電圧とオフ電圧Vds_offとの差であるΔVdsが、下側素子5Bに重畳するサージ電圧に相当する。この場合、電圧Vdsの変動の傾きは、素子電圧の変化率に相当する。なお、本明細書では、電圧Vdsの変動の傾きのことをdV/dtと称することがあるとともに、電流Idの変動の傾きのことをdI/dtと称することがある。
<ゲート駆動装置が有する各機能>
続いて、ゲート駆動装置1が有する各機能について図4を参照して説明する。図4などでは、ゲート駆動装置1が有する各機能を機能ブロックの形で表している。なお、各機能の具体的な実現方法については後述する。また、以下の説明では、2つの半導体スイッチング素子5のうち、自装置の駆動対象となるものを自アームの半導体スイッチング素子5と称するとともに、自装置とは別のゲート駆動装置1の駆動対象となるものを対向アームの半導体スイッチング素子5と称することとする。
電圧検出部11は、自アームの半導体スイッチング素子5、つまり当該ゲート駆動装置1の駆動対象となる半導体スイッチング素子5のスイッチング時、具体的にはターンオフ時における電圧Vdsのピーク値Vds_pを検出する。最大値取得部12は、所定の検出期間中に電圧検出部11により検出される複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得して出力する。上記検出期間は、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む期間である。本実施形態では、上記した検出期間は、負荷電流ILの1周期に対応する期間となっている。最大値取得部12は、検出期間のうち負荷電流ILの1周期の一部の期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得し、検出期間中の任意の時点において最大値Vds_p_maxを出力するようになっている。
電流方向検出部13は、自アームの半導体スイッチング素子5に流れる電流Idの方向を直接的に検出する。この場合、負荷電流ILの1周期のうち、電流Idが順方向に流れる期間は自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電となる期間に相当し、電流Idが逆方向に流れる期間は自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が逆方向通電となる期間に相当する。
最大値取得部12は、電流方向検出部13による検出の結果に基づいて、負荷電流ILの1周期のうち電流Idが順方向に流れる期間、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電となる期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得する。そして、最大値取得部12は、電流Idが順方向に流れる状態から逆方向に流れる状態へ切り替わるタイミング、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電から逆方向通電へ切り替わるタイミングにて最大値Vds_p_maxを出力する。
演算部14は、最大値取得部12から出力された最大値Vds_p_maxと電圧Vdsのピーク値Vds_pの目標値との偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のゲート抵抗の値、具体的にはターンオフ時のゲート抵抗の値を演算する。電圧Vdsのピーク値Vds_pの目標値は、半導体スイッチング素子5の仕様に応じて定められるものであり、具体的には次のような値となる。すなわち、目標値は、半導体スイッチング素子5の耐圧より所定のマージン分だけ低い値であり、その値の電圧が主端子に印加されても半導体スイッチング素子5が故障する可能性はないものの、その値を上記マージン以上に超える電圧が主端子に印加されると半導体スイッチング素子5が故障する可能性があるような値に設定される。
駆動部15は、自アームの半導体スイッチング素子5のゲートを駆動する。この場合、駆動部15は、演算部14による演算結果に基づいて自アームの半導体スイッチング素子5のターンオフ時のゲート抵抗値Rg_offを変更するようになっている。この場合、演算部14は、最大値取得部12から最大値Vds_p_maxが出力されるタイミングでだけ演算を行う離散時間動作を実行する構成となっている。また、この場合、駆動部15は、演算部14による演算結果が与えられると、最大値取得部12が次の最大値Vds_p_maxを取得するための動作を開始するまでにゲート抵抗値Rg_offの変更を完了するようになっている。
<ゲート駆動装置の具体的構成>
上記したような各機能を有するゲート駆動装置1の具体的な構成としては、例えば図5に示すような構成例を採用することができる。なお、図5では、下側素子5Bを駆動するゲート駆動装置1Bを例にしてゲート駆動装置1の具体的な構成を示しているが、上側素子5Aを駆動するゲート駆動装置1Aについても同様の構成を採用することができる。この場合、半導体スイッチング素子5Bのソースと直流電源線3との間には、電流Idを検出するためのシャント抵抗Rsが直列に挿入されている。
図5に示すゲート駆動装置1Bでは、キャパシタC1、C2およびピークホールド回路16により電圧検出部11が構成され、コンパレータ17およびサンプリングホールド回路18により電流方向検出部13が構成され、メモリ19、減算器20および制御器21により演算部14が構成されている。キャパシタC1の一方の端子は、ノードN1に接続され、その他方の端子はキャパシタC2を介して直流電源線3に接続されている。つまり、キャパシタC1、C2は、下側素子5Bのドレイン・ソース間に直列接続されている。
上記構成によれば、キャパシタC1、C2の直列回路は、下側素子5Bの電圧Vdsを分圧する容量分圧回路として機能する。このような容量分圧回路の出力電圧、つまり電圧VdsをキャパシタC1、C2の容量比で分圧した電圧は、ピークホールド回路16に与えられる。なお、電圧Vdsを分圧するための構成としては容量分圧回路に限らず、他の構成を採用することもできる。また、電圧Vdsを分圧することなく、そのままピークホールド回路16に入力する構成とすることもできる。ピークホールド回路16は、キャパシタC1、C2の相互接続ノードから出力される電圧Vdsに対応した分圧電圧を入力し、そのピーク値を保持する回路となっている。
ピークホールド回路16により保持されるピーク値は、電圧Vdsのピーク値Vds_pに対応する値となる。そこで、以下では、ピークホールド回路16により保持されるピーク値のことをピーク値Vds_pと称することとする。ピークホールド回路16は、下側素子5Bの主端子に印加されるサージのピーク電圧を取得するために設けられている。ピークホールド回路16は、下側素子5Bがスイッチングされる毎に、具体的には下側素子5Bのターンオフ毎に、ピーク値Vds_pを取得し、随時更新した値を出力する。ピークホールド回路16は、ピーク値Vds_pの検出値を表す検出電圧Vbを出力する。この場合、ピークホールド回路16から出力される検出電圧Vbは、最大値取得部12に与えられる。
コンパレータ17の非反転入力端子は、下側素子5Bとシャント抵抗Rsとの相互接続ノードであるノードN2に接続されている。これにより、コンパレータ17の非反転入力端子には、下側素子5Bに流れる電流Idをシャント抵抗Rsにより電圧変換することで得られる電圧Vseが入力されている。コンパレータ17の反転入力端子は、回路の基準電位である0Vが与えられる直流電源線3に接続されている。これにより、コンパレータ17は、電流Idに対応した電圧Vseと0Vとを比較し、その比較結果を表す2値の信号Sdを出力する。
上記構成によれば、コンパレータ17から出力される信号Sdのレベルに基づいて、電流Idがドレインからソースに向けて流れているか、つまり順方向に流れているか、あるいは、電流Idがソースからドレインに向けて流れているか、つまり逆方向に流れているか、を判別することができる。具体的には、信号Sdがハイレベルである場合には、電流Idが順方向に流れており下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると判別される。
また、信号Sdがロウレベルである場合には、電流Idが逆方向に流れており下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であると判別される。なお、コンパレータ17による判定のしきい値は、0Vに限らずともよく、電流Idの方向を判別可能な範囲であれば適宜変更可能である。また、コンパレータ17は、検出と復帰でヒステリシスを持たせた構成とすることもできる。
サンプリングホールド回路18は、コンパレータ17から出力される信号Sdを入力し、その入力した信号を保持した2値の信号SWを出力する。上記構成では、対向アームの半導体スイッチング素子5である上側素子5Aがオンされる期間である対向アーム通電中、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bに流れる電流Idが必ずゼロになるため、コンパレータ17から出力される信号Sdのレベルが電流Idの流れる方向に対応したレベルとはならない可能性がある。
そこで、サンプリングホールド回路18は、下側素子5Bがオンされる期間である自アーム通電中における信号Sdをサンプリングし、対向アーム通電中は、そのサンプリング結果をホールドすることで補完するようになっている。このような構成によれば、サンプリングホールド回路18から出力される信号SWのレベルに基づいて、電流Idの方向を確実に判別すること、ひいては、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるか逆方向通電であるかを確実に判別することができる。信号SWは、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるとき、つまり電流Idが順方向に流れる期間にはハイレベルとなり、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であるとき、つまり電流Idが逆方向に流れる期間にはロウレベルとなる。
このような信号SWは、最大値取得部12に与えられる。最大値取得部12は、信号SWがハイレベルである期間、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるとき、ターンオフ毎に入力される検出電圧Vbが表すピーク値Vds_pの検出値の中から最大値を選択する、つまり最大値を探索する。そして、最大値取得部12は、信号SWがハイレベルからロウレベルに転じるタイミング、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電から逆方向通電に切り替わるタイミングで、その時点において選択されている最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcを演算部14へと出力する。
つまり、上記構成では、演算部14には、負荷電流ILの1周期のうち、下側素子5Bに対する通電が順方向通電である期間中に得られる複数のピーク値Vds_pのうち最も大きい値である最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。言い換えると、上記構成では、演算部14には、負荷電流ILの1周期中において最も大きいターンオフサージが発生しているときのピーク値Vds_pに相当する最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。最大値取得部12は、検出電圧Vcの出力後、保持した最大値Vds_p_maxを初期化し、次に信号SWがロウレベルからハイレベルに転じるタイミング、つまり次に下側素子5Bに対する通電が順方向通電となるタイミングから、最大値の探索を再度開始する。
メモリ19には、前述した目標値、つまり半導体スイッチング素子5の仕様に応じて定められるピーク値Vds_pの目標値が保存されている。メモリ19は、保存された目標値を表す目標電圧Vdを出力する。なお、このようなメモリ19に代えて、ゲート駆動装置1Bの外部から演算部14に対して目標電圧Vdを入力する構成とすることもできる。減算器20の+入力には目標電圧Vdが与えられ、その-入力には検出電圧Vcが与えられる。減算器20は、目標電圧Vdから検出電圧Vcを減算することにより、最大値Vds_p_maxと目標値との差に相当する偏差ΔVを求め、その偏差ΔVを制御器21へと出力する。
制御器21は、ディジタルPID制御器であり、偏差ΔVに対するPID演算を実行し、偏差ΔVが小さくなるような、より具体的には偏差ΔVが0になるようなゲート抵抗の値を表す指令信号Seを生成する。指令信号Seは、駆動部15へと出力される。なお、制御器21としては、PI演算を行うもの、P演算を行うもの、他のフィードバック制御器など、さまざま形式の制御器を採用することができる。本実施形態では、制御器21は、最大値取得部12から検出電圧Vcが出力されるタイミング、言い換えると検出電圧Vcが入力されるタイミングに同期して動作する。すなわち、制御器21は、検出電圧Vcが入力されるタイミングでだけ演算を行う離散時間動作を実行する構成となっている。
駆動部15は、下側素子5Bのゲートを定電圧駆動する構成となっており、バッファ22、Pチャネル型MOFETであるトランジスタQ1、Nチャネル型MOSFETであるトランジスタQ2および抵抗R1、R2を備えている。バッファ22は、指令信号Sbを入力し、その入力信号に応じた信号を出力する。バッファ22の出力端子は、トランジスタQ1、Q2の各ゲートに接続されている。トランジスタQ1のソースは電源電圧Veが供給される直流電源線23に接続されている。電源電圧Veは、直流電源線3の電位を基準とした電圧であり、下側素子5Bのゲートしきい値電圧よりも十分に高い電圧となっている。
トランジスタQ1のドレインは、抵抗R1を介してノードN3に接続されている。ノードN3は、下側素子5Bのゲートに接続される。抵抗R1は、直流電源線23から下側素子5Bのゲートへと至る経路の配線抵抗などとともに下側素子5Bのターンオン時におけるゲート抵抗として機能する。抵抗R1は、一定の抵抗値を有する構成となっている。トランジスタQ2のソースは、直流電源線3に接続されている。トランジスタQ2のドレインは、抵抗R2を介してノードN3に接続されている。
抵抗R2は、直流電源線3から下側素子5Bのゲートへと至る経路の配線抵抗などとともに下側素子5Bのターンオフ時におけるゲート抵抗として機能する。抵抗R2は、演算部14から与えられる指令信号Seに基づいて、その抵抗値を変更することができる構成となっている。つまり、上記構成では、指令信号Seに基づいて、下側素子5Bのターンオフ時におけるゲート抵抗値Rg_offが変更される。なお、抵抗R2の抵抗値の変更は、可変抵抗を用いる手法、抵抗ラダーの切り替えを用いる手法、トランジスタQ2のオン抵抗を操作する手法など、様々な手法を採用することができる。
次に、上記構成による各制御のタイミングについて、図6を参照して説明する。なお、ここでは、ゲート駆動装置1B側を主体とした制御を例に説明を行うが、ゲート駆動装置1A側を主体とした制御も同様の内容となる。図6には、電圧Vgsの立ち下がりタイミングに一致するように縦方向に延びる破線が示されているが、これら破線同士の間隔が半導体スイッチング素子5の駆動周期に相当する。この場合、期間Taは、負荷電流ILの1周期の前半の位相である期間、つまり電流位相が0度~180度になる期間に対応しており、期間Tbは、負荷電流ILの1周期の後半の位相である期間、つまり電流位相が180度~360度になる期間に対応している。
この場合、電流Idが正の値であるとき、つまり電流Idが順方向に流れる期間Taは、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bに対する通電が順方向通電となる期間である。そのため、期間Taでは、ターンオフサージが発生する。一方、電流Idが負の値であるとき、つまり電流Idが逆方向に流れる期間Tbは、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電となる期間である。そのため、期間Tbでは、リカバリサージが発生する。
リカバリサージは、半導体スイッチング素子5に対して逆並列接続された還流用のダイオードの逆回復特性に起因して生じるものである。このようなリカバリサージは、ターンオフサージと同様、電流の変化率と寄生のインダクタンスとの積で定まる。ただし、この場合の電流は、還流用のダイオードにおけるリカバリ電流に相当する。リカバリサージは、ターンオフサージとは異なり、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bのターンオフ時のゲート抵抗値Rg_offとは相関がなく、対向アームの半導体スイッチング素子5である上側素子5Aのターンオン時のゲート抵抗値に応じて操作することができる。
上述したようにターンオフサージが発生する期間Taでは、信号SWがハイレベルとなることからピーク値Vds_pの検出値の中から最大値Vds_p_maxの探索が行われる。これにより、期間Ta中、最大値Vds_p_maxは、随時更新されてゆくことになる。そして、期間Taからリカバリサージが発生する期間Tbへと切り替わるタイミングで、その時点において選択されている最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが演算部14に与えられる。
そのため、期間Tbの開始時点から演算部14による演算が開始される。これにより、演算部14は、検出電圧Vcおよび目標電圧Vdの偏差ΔVがゼロになるようなゲート抵抗値Rg_offを表す指令信号Seを生成して駆動部15へと出力する。そして、駆動部15は、指令信号Seに基づいてゲート抵抗値Rg_offを切り替える。本実施形態では、駆動部15は、演算部14による演算が開始された期間Tbの開始時点である所定の駆動周期のターンオフ開始時点から次の駆動周期のターンオフの開始時点までの間に、ゲート抵抗値Rg_offの変更を完了するようになっている。
ただし、駆動部15は、期間Tbの開始時点からその期間Tbの終了時点、つまり次の期間Taの開始時点までの間のうち任意のタイミングでゲート抵抗値Rg_offの変更を完了することができればよい。これにより、次の期間Taでは、駆動部15は、ターンオフ時におけるゲート抵抗値Rg_offが変更された状態でもって下側素子5Bのゲートを駆動することになる。
また、期間Tbの開始時点において、最大値Vds_p_maxが初期化される。期間Tbでは、信号SWがロウレベルとなることから最大値Vds_maxの探索は行われない。そのため、期間Tb中、最大値Vds_p_maxは、初期化された値であるゼロに維持される。そして、次の期間Taの開始時点において信号SWがハイレベルに転じることから、最大値Vds_p_maxの探索が再開され、上述したような制御が繰り返される。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
電圧検出部11は、自アームの半導体スイッチング素子5のスイッチング時における電圧Vdsのピーク値Vds_pを検出する。スイッチング時における電圧Vdsのピーク値Vds_pは、半導体スイッチング素子5の主端子に印加されるサージの大きさに対応した値となる。そのため、この場合、電圧検出部11は、自アームの半導体スイッチング素子5の主端子に印加されるサージの大きさを検出していると言える。
最大値取得部12は、電圧検出部11により半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む所定の検出期間中に検出される複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得して出力する。つまり、この場合、最大値取得部12は、検出期間中におけるサージの最大値を取得して出力していると言える。演算部14は、最大値取得部12から出力された最大値Vds_p_maxと半導体スイッチング素子5の仕様に応じて定められるピーク値Vds_pの目標値との偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のゲート抵抗の値を演算する。つまり、この場合、演算部14は、サージの最大値が目標値に一致するようにゲート抵抗の値を演算していると言える。駆動部15は、演算部14による演算結果に基づいて半導体スイッチング素子5のゲート抵抗値Rg_offを変更し、半導体スイッチング素子5のゲートを駆動する。
このような構成によれば、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む検出期間中におけるサージの最大値の検出結果に基づいてゲート抵抗値の演算および変更を行う制御が行われることになる。上記した検出期間中におけるサージの最大値の検出結果は、従来技術によるサージの検出結果、つまり半導体スイッチング素子5のスイッチング毎に取得されるサージの検出結果に対し、スイッチング毎の電流Idの変動の影響を大きく受けることがないため、大きく変動することはない。したがって、上記構成によれば、ゲート抵抗値の制御、言い換えるとサージ制御についての目標値追従性が向上することになり、その結果、サージを適切に制御することができる。
この場合、検出期間は、負荷電流ILの1周期に対応する期間であり、最大値取得部12は、検出期間のうち負荷電流ILの1周期の一部の期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得し、検出期間中の任意の時点において最大値Vds_p_maxを出力するようになっている。具体的には、最大値取得部12は、負荷電流ILの1周期のうち電流Idが順方向に流れる期間である電流位相が0度から180度の範囲となる期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得する。そして、最大値取得部12は、電流Idが順方向に流れる状態から逆方向に流れる状態へ切り替わるタイミング、つまり電流位相が180度となるタイミングにて最大値Vds_p_maxを出力する。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。すなわち、図7に示すように、一般的には、インバータの負荷が安定して動作している場合には負荷電流ILの1周期毎の電流Idのピーク値自体は大きく変動することはない。なお、インバータには、負荷を増減させる場合にも電流Idのピーク値の急激な変動を抑制するための機構が設けられることが一般的である。そのため、負荷電流ILの1周期毎の電流Idのピーク値自体は、大きく変動しないものであると考えることができる。なお、図7および以下の説明では、図6における期間Taおよび期間Tbのそれぞれに対応する期間を同様の符号を付して表すこととする。また、図7において、期間Taの開始時点から期間Tbの終了時点までの期間TLが、負荷電流ILの1周期に相当する。
そして、図7に示すように、電圧Vdsのピーク値Vds_p、つまりターンオフサージは、負荷電流ILの1周期の一部の期間、具体的には電流位相が0度から180度の範囲となる期間Taにおいて電流Idが最も大きくなるときに最大の値となる。そのため、このような電流Idがピークになるタイミングのピーク値Vds_pを半導体スイッチング素子5の素子耐圧以下に抑えることができれば、全ての領域において半導体スイッチング素子5の主端子に印加されるサージが素子耐圧を超えることが無くなると考えられる。
本実施形態では、前述したように、負荷電流ILの1周期毎に、その電流位相が0度から180度の範囲となる期間Taにおける最大値Vds_p_maxが取得されるとともに、電流位相が180度から360度の範囲となる期間Tbにおいて最大値Vds_p_maxに基づくゲート抵抗値Rg_offの演算および変更が行われる、といったフィードバック制御が実行される。
そのため、本実施形態では、ゲート抵抗値Rg_offの制御周期、ひいてはサージの制御周期が負荷電流ILの周期である期間TLと同等の期間となるため、半導体スイッチング素子5のスイッチング毎の電流Idの変動の影響を受けることがない。つまり、本実施形態によれば、ゲート抵抗値Rg_offの制御周期毎に電流Idのピーク値自体が大きく変動しないことになるため、サージ制御についての目標値追従性が一層向上することになり、その結果、ターンオフサージをより適切に制御することができる。
このような制御を実現するためには、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電となる期間であるターンオフサージ発生期間であるのか、あるいは、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が逆方向通電となる期間であるリカバリサージ発生期間であるのか、を判別する必要がある。本実施形態では、自アームの半導体スイッチング素子5に流れる電流Idの方向を検出する電流方向検出部13を設け、それにより検出される電流Idの方向に基づいて上記期間の判別を行うようになっている。
電流方向検出部13は、電流Idに対応する電圧Vseと0Vとを比較するコンパレータ17を備えている。このような構成によれば、自アームの半導体スイッチング素子5がオンされる期間である自アーム通電中、コンパレータ17から出力される信号Sdのレベルが電流Idの流れる方向に対応したレベルとなることから、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるか逆方向通電であるかを精度良く判別することができる。ただし、この場合、対向アームの半導体スイッチング素子5がオンされる期間である対向アーム通電中、自アームの半導体スイッチング素子5に流れる電流Idが必ずゼロになるため、信号Sdのレベルが電流Idの流れる方向に対応したレベルとはならない可能性がある。
そこで、電流方向検出部13は、自アーム通電中における信号Sdをサンプリングし、対向アーム通電中は、そのサンプリング結果をホールドすることで補完するサンプリングホールド回路18を備え、そのサンプリングホールド回路18から出力される信号SWのレベルに基づいて上記通電を判別するようになっている。このような構成によれば、電流Idの方向を確実に判別すること、ひいては、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるか逆方向通電であるかを確実に判別することができる。
この場合、演算部14は、最大値取得部12から最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが出力されるタイミングでだけ演算を行う離散時間動作を実行する構成となっている。また、この場合、駆動部15は、演算部14による演算結果が与えられると、最大値取得部12が次の最大値を取得するための動作を開始するまでにゲート抵抗値Rg_offの変更を完了するようになっている。このようにすれば、負荷電流ILの所定の1周期中における最大値Vds_p_maxに基づいてゲート抵抗値Rg_offが演算されると、負荷電流ILの次の1周期が開始される時点では、その演算結果がゲート抵抗値Rg_offに実際に反映されていることになる。このような制御によれば、ゲート抵抗値Rg_offの最適化をより確実に実現すること、つまり上述した効果をより確実に得ることができる。
<電流Idの検出に関する変形例>
図5に示した具体的構成例では、電流方向検出部13は、自アームの半導体スイッチング素子5の電流Idを半導体スイッチング素子5と直流電源線3との間に直列に介在するシャント抵抗Rsの端子電圧に基づいて直接的に検出するような構成となっていたが、電流方向検出部13は、例えば図8に示す変形例のように、自アームの半導体スイッチング素子5の電流Idを間接的に検出するような構成とすることもできる。
図8に示す変形例では、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bとして、メインセル24およびセンスセル25を有する素子を採用している。なお、図8では、還流用のダイオードの図示は省略されている。メインセル24およびセンスセル25は、同一の半導体チップ上に形成されており、センスセル25のサイズは、メインセル24のサイズに対し、数百~数千分の一となっている。
メインセル24のドレインはノードN1に接続され、そのソースは直流電源線3に接続されている。センスセル25は、メインセル24に流れる電流Idを検出するためのものであり、メインセル24に流れる電流Idに応じた電流が所定の分流比で流れる。なお、この分流比は、メインセル24およびセンスセル25のサイズ比などにより定まる。センスセル25のドレインはノードN1に接続され、そのソースはシャント抵抗Rs1を介して直流電源線3に接続されている。
この場合、コンパレータ17は、センスセル25に流れる電流をシャント抵抗Rs1により電圧変換することで得られる電圧Vse1と0Vとを比較し、その比較結果を表す2値の信号Sd1を出力する。このような信号Sd1は、図5に示す構成における信号Sdと同様、自アーム通電中における電流Idの方向に対応したレベルとなる。したがって、このような変形例によっても、電流方向検出部13は、電流Idの方向を確実に判別すること、ひいては、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるか逆方向通電であるかを精度良く判別することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図9~図13を参照して説明する。
<ゲート駆動装置が有する各機能>
本実施形態では、ゲート駆動装置が有する各機能の一部が第1実施形態とは異なっている。すなわち、図9に示すように、本実施形態のゲート駆動装置31は、第1実施形態のゲート駆動装置1に対し、最大値取得部12に代えて最大値取得部32を備えた点、電流方向検出部13に代えて期間検出部33を備えた点および演算部14に代えて演算部34を備えた点が異なっている。
最大値取得部32は、半導体スイッチング素子5のターンオフの開始タイミングから所定の判定時間が経過した時点以前に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得するようになっている。この場合、最大値取得部32は、期間検出部33により検出される取得期間に最大値Vds_p_maxを取得する。演算部34は、演算部14と同様、最大値取得部32から出力された最大値Vds_p_maxと電圧Vdsのピーク値Vds_pの目標値との偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のターンオフ時のゲート抵抗の値を演算する。
<ゲート駆動装置の具体的構成>
上記したような各機能を有するゲート駆動装置31の具体的な構成としては、例えば図10に示すような構成例を採用することができる。なお、図10では、下側素子5Bを駆動するための構成を例示しているが、上側素子5Aを駆動するための構成についても同様の構成を採用することができる。図10に示すゲート駆動装置31では、コンパレータ35、タイマ回路36および判別部37により期間検出部33が構成され、目標値出力部38、減算器20および制御器21により演算部34が構成されている。
この場合、電圧検出部11から出力される検出電圧Vbは、最大値取得部32および期間検出部33に与えられる。期間検出部33は、上記した取得期間として、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bに対する通電が順方向通電となる期間を検出する。そのため、期間検出部33は、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるのか、あるいは、逆方向通電であるのかを判別する機能を有する。このような機能を実現するための具体的な構成は、次のようなものとなっている。
すなわち、コンパレータ35の非反転入力端子は、ノードN3、つまり下側素子5Bのゲートに接続されている。コンパレータ35の反転入力端子には、予め定められたしきい値電圧Vthが入力されている。しきい値電圧Vthは、直流電源線3の電位を基準とした電圧であり、例えば半導体スイッチング素子5のゲートしきい値電圧と同程度の電圧値となっている。これにより、コンパレータ35は、下側素子5Bの電圧Vgsと電圧Vthとを比較し、その比較結果を表す2値の信号Sfを出力する。
上記構成によれば、コンパレータ35から出力される信号Sfのレベルに基づいて、下側素子5Bのオンオフを判定することができる。具体的には、信号Sfがハイレベルであるときには下側素子5Bがオン、つまりゲートオンであり、信号Sfがロウレベルであるときには下側素子5Bがオフ、つまりゲートオフである、と判定することができる。このようにゲートオンまたはゲートオフに対応したレベルとなる信号Sfに基づけば、下側素子5Bのターンオフの開始タイミングを把握することができる。なお、このような構成に代えて、指令信号Sbなどの他の信号に基づいて下側素子5Bのターンオフの開始タイミングを把握するような構成とすることもできる。
タイマ回路36には、コンパレータ35から出力される信号Sfが入力されている。タイマ回路36は、信号Sfがハイレベルからロウレベルに転じるタイミング、つまり下側素子5Bのターンオフの開始タイミングから、上記した判定時間に対応する一定時間だけハイレベルとなる2値の信号Sgを出力する。判別部37には、検出電圧Vbおよび信号Sgが入力されている。詳細は後述するが、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電である期間に生じるサージであるターンオフサージは、ゲートオフの直後に発生する。これに対し、自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が逆方向通電である期間に生じるサージであるリカバリサージは、ゲートオフの直後に発生しない。
そこで、判別部37は、信号Sgがハイレベルである期間、つまり下側素子5Bのターンオフの開始タイミングから判定時間が経過した時点以前の期間に入力された検出電圧Vbが所定の判定電圧を超える場合、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると判別する。また、判別部37は、上記期間に入力された検出電圧Vbが判定電圧以下である場合、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であると判別する。なお、判定電圧は、サージの有無を判別することができる程度の任意の電圧値に設定することができる。判別部37は、このような判別結果を表す2値の信号Shを出力する。
信号Shは、第1実施形態の信号SWと同様、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると判別される場合にはハイレベルになるとともに、逆方向通電であると判別される場合にはロウレベルとなる。この場合、信号Shがハイレベルとなる期間が上記した取得期間を表すことになる。このような信号Shは、最大値取得部32に与えられる。最大値取得部32は、信号Shに基づいて、第1実施形態の最大値取得部12と同様、最大値Vds_p_maxの探索などを行う。これにより、上記構成では、演算部34には、第1実施形態と同様、負荷電流ILの1周期中において最も大きいターンオフサージが発生しているときのピーク値Vds_pに相当する最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。
演算部34において、目標値出力部38には、下側素子5Bの電流Idを検出する電流検出部39による検出値に対応する検出信号Siが入力されている。電流検出部39は、図5に示したシャント抵抗Rsを用いた構成、図8に示したセンスセル25およびシャント抵抗Rs1を用いた構成など、様々な構成を採用することができる。目標値出力部38は、メモリなどの記憶装置を備えており、そのメモリには、目標値と半導体スイッチング素子5に流れる電流Idとの関係に基づいて作成されたマップデータが記憶されている。目標値と電流Idとの関係は、例えば図11に示すような関係となる。このようなマップデータは、予めシミュレーション、実験などを行い、それらの結果に基づいて事前に生成しておくことができる。
目標値出力部38は、検出信号Siに基づいて電流Idの電流値を取得するとともに上記マップデータを参照し、電流Idの電流値に対応した目標値をマップデータから取得し、その取得した目標値に対応した目標電圧Vfを出力する。減算器20の+入力には目標電圧Vfが与えられ、その-入力には検出電圧Vcが与えられる。減算器20は、目標電圧Vfから検出電圧Vcを減算することにより、最大値Vds_p_maxと目標値との差に相当する偏差ΔVを求め、その偏差ΔVを制御器21へと出力する。制御器21は、第1実施形態と同様の構成であり、偏差ΔVに対するPID演算を実行し、偏差ΔVが小さくなるようなゲート抵抗の値を表す指令信号Sjを生成する。指令信号Sjは、駆動部15へと出力される。この場合、駆動部15では、指令信号Sjに基づいて、下側素子5Bのターンオフ時におけるゲート抵抗値Rg_offが変更される。
次に、上記構成による各制御のタイミングについて、図12および図13を参照して説明する。なお、ここでは、下側素子5Bを駆動するためのゲート駆動装置31側を主体とした制御を例に説明を行うが、上側素子5Aを駆動するためのゲート駆動装置側を主体とした制御も同様の内容となる。図12および図13において、指令信号Sa、Sbは、ハイレベルがオンを指令するとともにロウレベルがオフを指令する2値の信号として表されている。
まず、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるときの各制御のタイミングについて図12を参照して説明する。この場合、時刻t1において指令信号Sbがロウレベルからハイレベルに転じると、電圧Vgsが上昇を開始する。この場合、電圧Vgsの上昇に伴い、電流Idが上昇するとともに電圧Vdsが低下する。そして、時刻t2において電圧Vgsがしきい値電圧Vthに達すると、信号Sfがロウレベルからハイレベルに転じる。
その後、時刻t3において指令信号Sbがハイレベルからロウレベルに転じると、電圧Vgsが低下を開始する。そして、時刻t4において電圧Vgsがしきい値電圧Vthに達すると、信号Sfがハイレベルからロウレベルに転じる。図示は省略されているが、時刻t4から判定時間が経過するまでの間、信号Sgがハイレベルとなる。この場合、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であることから、下側素子5Bのターンオフ開始タイミングである時刻t3の直後にサージが発生し、電圧Vdsがオフ電圧Vds_offを超えて急峻に上昇する。
このようなことから、判別部37には、0Vより高い検出電圧Vbが入力されることになる。判別部37は、時刻t4から所定時間が経過した時刻t5において検出電圧Vbをサンプリングする。この場合、判別部37は、サンプリングすることで得られる検出電圧Vbの値が判定電圧を超えるため、ハイレベルの信号Shを出力する。これにより、最大値取得部32において最大値Vds_p_maxの探索が行われる。時刻t5から所定時間が経過した時刻t6においてピークホールド回路16の出力がリセットされる。
続いて、自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であるときの各制御のタイミングについて図13を参照して説明する。この場合も、時刻t1において指令信号Sbがロウレベルからハイレベルに転じると、電圧Vgsが上昇を開始する。ただし、この場合、下側素子5Bは還流動作を行うことになるため、電流Idおよび電圧Vdsは大きく変化することはなく、電圧Vdsは0Vに維持される。そして、時刻t2において電圧Vgsがしきい値電圧Vthに達すると、信号Sfがロウレベルからハイレベルに転じる。
その後、時刻t3において指令信号Sbがハイレベルからロウレベルに転じると、電圧Vgsが低下を開始する。そして、時刻t4において電圧Vgsがしきい値電圧Vthに達すると、信号Sfがハイレベルからロウレベルに転じる。図示は省略されているが、時刻t4から判定時間が経過するまでの間、信号Sgがハイレベルとなる。この場合、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であることから、下側素子5Bのターンオフ開始タイミングである時刻t3の直後にサージは発生せず、電圧Vdsは0Vに維持される。
このようなことから、判別部37には、0Vの検出電圧Vbが入力されることになる。判別部37は、時刻t4から所定時間が経過した時刻t5において検出電圧Vbをサンプリングする。この場合、判別部37は、サンプリングすることで得られる検出電圧Vbの値が判定電圧以下であるため、ロウレベルの信号Shを出力する。これにより、最大値取得部32において最大値Vds_p_maxの探索が行われない。この場合も、時刻t5から所定時間が経過した時刻t6においてピークホールド回路16の出力がリセットされる。なお、この場合、指令信号Saがロウレベルからハイレベルに転じる時刻t7、つまり対向アームの半導体スイッチング素子5である上側素子5Aのターンオン開始タイミングである時刻t7の直後にリカバリサージが発生し、電圧Vdsがオフ電圧Vds_offを超えて急峻に上昇することになる。
以上説明した本実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様に、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む検出期間、具体的には負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間における最大値Vds_p_maxの検出結果に基づいてゲート抵抗値の演算および変更を行う制御が行われることになるため、第1実施形態と同様の効果、つまり、ターンオフサージを適切に制御することができるという効果が得られる。
負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるとき、サージは、その半導体スイッチング素子5のゲートオフ直後に発生する。そこで、期間検出部33は、下側素子5Bのターンオフの開始タイミングから判定時間が経過した時点以前の期間に入力された検出電圧Vbが所定の判定電圧を超える場合に下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると判別し、その判別結果を表す信号Shを最大値取得部32へと出力する。
最大値取得部32は、このような信号Shに基づいて、下側素子5Bに対する通電が順方向通電となる期間中に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中から最大値Vds_p_maxを探索する。このようにすれば、負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるときに発生するターンオフサージの最大値に相当する最大値Vds_p_maxを確実に取得することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図14および図15を参照して説明する。
<ゲート駆動装置が有する各機能>
本実施形態では、ゲート駆動装置が有する各機能の一部が第1実施形態とは異なっている。すなわち、図14に示すように、本実施形態のゲート駆動装置41は、第1実施形態のゲート駆動装置1に対し、最大値取得部12に代えて最大値取得部42を備えた点および電流方向検出部13に代えて素子電圧検出部43を備えた点が異なっている。
自アームの半導体スイッチング素子5である下側素子5Bがオンされるオン期間中の電圧Vdsが正の電圧値である場合、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると考えられる。また、下側素子5Bがオンされるオン期間中の電圧Vdsが負の電圧値である場合、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であると考えられる。このような点を考慮し、素子電圧検出部43は、自アームの半導体スイッチング素子5がオンされるオン期間中の素子電圧、つまり電圧Vdsを検出する。
そして、最大値取得部42は、素子電圧検出部43による検出の結果に基づいて、電圧Vdsの検出値が正の値である期間、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると考えられる期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得する。また、最大値取得部42は、電圧Vdsの検出値が正の値から負の値へ切り替わるタイミング、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電から逆方向通電へ切り替わると考えられるタイミングにて最大値Vds_p_maxを出力する。
<ゲート駆動装置の具体的構成>
上記したような各機能を有するゲート駆動装置41の具体的な構成としては、例えば図15に示すような構成例を採用することができる。なお、図15では、下側素子5Bを駆動するための構成を例示しているが、上側素子5Aを駆動するための構成についても同様の構成を採用することができる。図15に示すゲート駆動装置41では、ゲート判定部44、コンパレータ45およびサンプリングホールド回路46により素子電圧検出部43が構成されている。
ゲート判定部44は、下側素子5Bの電圧Vgsに基づいて下側素子5Bのゲートオンオフを判定するものであり、例えば図10に示したコンパレータ35などから構成することができる。ゲート判定部44は、下側素子5Bのゲートオンオフの判定結果を表す2値の信号Skを出力する。信号Skは、図10に示したコンパレータ35から出力される信号Sfと同様、下側素子5Bがオンであるときにハイレベルとなり、下側素子5Bがオフであるときにロウレベルとなる。
コンパレータ45の非反転入力端子は、キャパシタC1、C2の相互接続ノードに接続されており、その反転入力端子は、直流電源線3に接続されている。つまり、コンパレータ45の非反転入力端子には下側素子5Bのドレイン電圧に対応する電圧が入力され、その反転入力端子には下側素子5Bのソース電圧に対応する電圧が入力されている。このような構成によれば、コンパレータ45から出力される2値の信号Slは、下側素子5Bの電圧Vdsが正の値であるとき、つまり「Vds>0」のとき、ハイレベルとなり、電圧Vdsが負の値であるとき、つまり「Vds<0」のとき、ロウレベルとなる。
コンパレータ45から出力される信号Slは、サンプリングホールド回路46に入力されている。サンプリングホールド回路46には、ゲート判定部44から出力される信号Skが入力されている。サンプリングホールド回路46は、信号Skに基づいて下側素子5Bのオンオフを把握することができる。サンプリングホールド回路46は、下側素子5Bがオンである期間の任意のタイミング、具体的にはゲートオンになってから一定時間が経過したタイミングで信号Slをサンプリングする。
このようなタイミングで信号Slをサンプリングする理由は、次の通りである。すなわち、下側素子5Bのターンオン直後は電圧Vdsが安定しない可能性がある。そこで、このような不安定な電圧Vdsに基づく誤判定を防止するために、サンプリングホールド回路46は、上述したように、ゲートオンになってから一定時間が経過したタイミングで信号Slをサンプリングするようになっている。サンプリングホールド回路46は、信号Slをサンプルホールドすることで得られる2値の信号Smを出力する。
信号Smは、第1実施形態の信号SWと同様、下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると判別される場合にはハイレベルになるとともに、逆方向通電であると判別される場合にはロウレベルとなる。このような信号Smは、最大値取得部42に与えられる。最大値取得部42は、信号Smに基づいて、第1実施形態の最大値取得部12と同様、最大値Vds_p_maxの探索などを行う。これにより、上記構成では、演算部14には、第1実施形態と同様、負荷電流ILの1周期中において最も大きいターンオフサージが発生しているときのピーク値Vds_pに相当する最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。
以上説明した本実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様に、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む検出期間、具体的には負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間における最大値Vds_p_maxの検出結果に基づいてゲート抵抗値の演算および変更を行う制御が行われることになるため、第1実施形態と同様の効果、つまり、ターンオフサージを適切に制御することができるという効果が得られる。
負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるとき、その半導体スイッチング素子5のオン期間中の電圧Vdsは正の電圧値となる。そこで、最大値取得部42は、半導体スイッチング素子5のオン期間中の電圧Vdsを検出する素子電圧検出部43による検出の結果に基づいて、電圧Vdsの検出値が正の値である期間、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電であると考えられる期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中から最大値Vds_p_maxを探索する。このようにすれば、負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間、つまり自アームの半導体スイッチング素子5に対する通電が順方向通電であるときに発生するターンオフサージの最大値に相当する最大値Vds_p_maxを確実に取得することができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について図15を参照して説明する。
図1に示したように、コントローラ6には、負荷電流ILの検出値を表す検出信号Scが与えられている。そのため、コントローラ6は、検出信号Scに基づいて負荷電流ILの電流位相を把握することができる。そこで、図15に示す本実施形態のコントローラ6は、検出信号Scに基づいて、負荷電流ILの位相を表す電流位相情報に対応する信号Snを生成する。
信号Snは、第1実施形態における信号SWと同様、負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となるとき、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるときにハイレベルとなり、負荷電流ILの電流位相が180度から360度の範囲となるとき、つまり下側素子5Bに対する通電が逆方向通電であるときにロウレベルとなる。コントローラ6は、生成した信号Snをゲート駆動装置51に送信する。
なお、図15では、下側素子5Bを駆動するための構成を例示しているが、上側素子5Aを駆動するための構成についても同様の構成を採用することができる。図15に示すゲート駆動装置51は、第1実施形態のゲート駆動装置1Bに対し、最大値取得部12に代えて最大値取得部52を備えた点および電流方向検出部13が省かれた点が異なっている。最大値取得部52は、信号Snに基づいて負荷電流ILの電流位相情報を取得し、その電流位相情報に基づいて、負荷電流ILの位相が負荷電流ILの1周期の前半の位相である期間、つまり電流位相が0度から180度の範囲となる期間に電圧検出部11により検出された複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_p_maxを取得する。
以上説明した本実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様に、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む検出期間、具体的には負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間における最大値Vds_p_maxの検出結果に基づいてゲート抵抗値の演算および変更を行う制御が行われることになるため、第1実施形態と同様の効果、つまり、ターンオフサージを適切に制御することができるという効果が得られる。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について図17を参照して説明する。
本実施形態では、ゲート駆動装置の具体的な構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、図17に示すように、本実施形態のゲート駆動装置61は、図5に示した第1実施形態のゲート駆動装置1Bに対し、最大値取得部12に代えて最大値取得部62を備えた点が異なっている。なお、図17では、下側素子5Bを駆動するための構成を例示しているが、上側素子5Aを駆動するための構成についても同様の構成を採用することができる。
この場合、検出期間は、負荷電流ILの複数周期に対応する期間となっている。最大値取得部62は、このような負荷電流ILの複数周期に対応する期間である検出期間中に電圧検出部11により検出される複数のピーク値Vds_pの中の最大値Vds_pを取得するようになっている。このような機能を実現するための具体的な構成は、次のようなものとなっている。すなわち、最大値取得部62は、カウンタ63を備えている。電流方向検出部13から出力される信号SWは、下側素子5Bに対する通電が順方向通電である期間、つまり負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間にハイレベルになるとともに、下側素子5Bに対する通電が逆方向通電である期間、つまり負荷電流ILの電流位相が180度から360度の範囲となる期間にロウレベルとなる2値の信号である。つまり、信号SWの周期は、負荷電流ILの周期と同等となっている。
そこで、カウンタ63は、このような信号SWをカウントし、その周期、つまり負荷電流ILの周期がN周期となる毎に所定の形態のタイミング信号を出力する。なお、Nは2以上の任意の整数とすることができる。最大値取得部62は、第1実施形態の最大値取得部12と同様、信号SWがハイレベルである期間、つまり下側素子5Bに対する通電が順方向通電であるとき、ターンオフ毎に入力される検出電圧Vbが表すピーク値Vds_pの検出値の中から最大値を探索する。
この場合、最大値取得部62は、カウンタ63から出力されるタイミング信号に基づいて負荷電流ILの周期がN周期になったことを把握することができる。最大値取得部62は、負荷電流ILの周期がN周期であるとともに信号SWがハイレベルからロウレベルに転じるタイミング、つまり負荷電流ILの周期がN周期であるときに下側素子5Bに対する通電が順方向通電から逆方向通電に切り替わるタイミングで、その時点において選択されている最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcを演算部14へと出力する。
つまり、上記構成では、演算部14には、負荷電流ILのN周期のうち、下側素子5Bに対する通電が順方向通電である期間中に得られる複数のピーク値Vds_pのうち最も大きい値である最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。言い換えると、上記構成では、演算部14には、負荷電流ILのN周期中において最も大きいターンオフサージが発生しているときのピーク値Vds_pに相当する最大値Vds_p_maxを表す検出電圧Vcが入力される。最大値取得部62は、検出電圧Vcの出力後、保持した最大値Vds_p_maxを初期化し、次に信号SWがロウレベルからハイレベルに転じるタイミング、つまり次に下側素子5Bに対する通電が順方向通電となるタイミングから、最大値の探索を再度開始する。
以上説明した本実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様に、半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む検出期間、具体的には負荷電流ILの電流位相が0度から180度の範囲となる期間における最大値Vds_p_maxの検出結果に基づいてゲート抵抗値の演算および変更を行う制御が行われることになるため、第1実施形態と同様の効果、つまり、ターンオフサージを適切に制御することができるという効果が得られる。
さらに、本実施形態では、負荷電流ILの複数周期毎に、その電流位相が0度から180度の範囲となる期間Taにおける最大値Vds_p_maxが取得されるとともに、電流位相が180度から360度の範囲となる期間Tbにおいて最大値Vds_p_maxに基づくゲート抵抗値Rg_offの演算および変更が行われる、といったフィードバック制御が実行される。そのため、本実施形態では、ゲート抵抗値Rg_offの制御周期、ひいてはサージの制御周期が負荷電流ILの複数周期と同等の期間となり、サージ制御についての目標値追従性をさらに向上させることができる。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について図18を参照して説明する。
本実施形態では、ゲート駆動装置が有する各機能の一部が第1実施形態とは異なっている。すなわち、図18に示すように、ゲート駆動装置71は、ゲート駆動装置1に対し、演算部14に代えて演算部74を備えた点が異なっている。
一般に、半導体スイッチング素子5の素子耐圧、つまりサージ耐量は、その半導体スイッチング素子5の周囲の温度に依存する。具体的には、周囲の温度が高くなるほど素子耐圧は高くなり、周囲の温度が低くなるほど素子耐圧は低くなる。また、所定のゲート抵抗値で半導体スイッチング素子5が駆動されている場合、負荷電流ILが変動すると、その変動に応じてサージ電圧も変動する。具体的には、ゲート抵抗値が一定であれば、負荷電流ILが増加するとサージ電圧のピークが上昇し、負荷電流ILが減少するとサージ電圧のピークが低下する。なお、半導体スイッチング素子5に流れる電流Idについても、負荷電流ILと同様のことが言える。
さらに、所定のゲート抵抗値で半導体スイッチング素子5が駆動されている場合、電源電圧Vaが変動すると、その変動に応じてサージ電圧も変動する。具体的には、ゲート抵抗値が一定であれば、電源電圧Vaが増加するとサージ電圧のピークが上昇し、電源電圧Vaが減少するとサージ電圧のピークが低下する。なお、半導体スイッチング素子5のオフ電圧Vds_offについても、電源電圧Vaと同様のことが言える。
ゲート抵抗値が最適化された状態において、上述した周囲の温度、負荷電流IL、電源電圧Vaなどの変化に伴いサージ電圧が上昇すると、素子耐圧を超える電圧が半導体スイッチング素子5の主端子に印加される可能性が生じる。また、ゲート抵抗値が最適化された状態において、上述した周囲の温度、負荷電流IL、電源電圧Vaなどの変化に伴いサージ電圧が低下すると、ゲート抵抗値を必要以上に高く設定していることになり、その分だけスイッチング損失が増加することになる。
このような点を考慮し、演算部74は、周囲の温度、負荷電流ILおよび電源電圧Vaのうち少なくとも1つを変動用パラメータとして取得し、取得した変動用パラメータと電圧検出部11による検出値との関係に基づいてピーク値Vds_pの目標値を変化させるようになっている。このようにすれば、周囲の温度、負荷電流ILおよび電源電圧Vaが変動した場合でも、それらの変動、つまり外乱をも考慮したうえでゲート抵抗値を最適化することができる。したがって、本実施形態によれば、周囲の温度、負荷電流および電源電圧Vaなどの変動にかかわらず、ターンオフサージを適切に制御することができる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
上記各実施形態において、演算部14などは最大値と目標値の偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のゲート抵抗の値を演算し、駆動部15は上記演算結果に基づいて半導体スイッチング素子5のゲート抵抗値を変更する構成になっていたが、これに代えて、次のような構成とすることもできる。すなわち、演算部14などは、最大値と目標値の偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のゲート電流の値を演算し、駆動部15は、上記演算結果に基づいて半導体スイッチング素子5のゲート電流値を変更する構成とすることもできる。このような構成に変更した場合でも、上記した各実施形態と同様の効果が得られる。
また、駆動部15は、半導体スイッチング素子5のゲート抵抗値を連続的に切り替える構成となっていたが、半導体スイッチング素子5のゲート抵抗値またはゲート電流値を段階的に切り替える構成とすることもできる。
上記各実施形態におけるゲート駆動装置は、Nチャネル型のMOSFETに限らず、Pチャネル型のMOSFET、IGBTなど、各種の半導体スイッチング素子を駆動対象とすることができる。
上記各実施形態では、ゲート駆動装置1などによる制御対象はサージ電圧であったが、これに代えて、その制御対象をdV/dtとすることもできる。この場合、各構成を次のように変更する必要がある。すなわち、この場合、電圧検出部11は、半導体スイッチング素子5のスイッチング時における電圧Vdsの変化率であるdV/dtを検出する。また、この場合、最大値取得部12などは、電圧検出部11により半導体スイッチング素子5が複数回スイッチングする期間を含む所定の検出期間中に検出される複数のdV/dtの中の最大値を取得して出力する。
また、この場合、演算部14などは、最大値取得部12などから出力された最大値と半導体スイッチング素子の仕様に応じて定められる変化率の目標値との偏差が小さくなるように半導体スイッチング素子5のゲート抵抗またはゲート電流の値を演算する。また、この場合、駆動部15は、演算部14などによる演算結果に基づいて半導体スイッチング素子5のゲート抵抗値またはゲート電流値を変更し、半導体スイッチング素子5のゲートを駆動する。このようにすれば、制御対象がdV/dtとなり、そのdV/dtを適切に制御することができるという効果が得られる。
周囲の温度、負荷電流ILおよび電源電圧Vaの変動は、サージ電圧と同様に、dV/dtにも影響を及ぼす。また、一般に、半導体スイッチング素子5のdV/dtについての許容値は、周囲の気圧に依存する。具体的には、周囲の気圧が高くなるほど許容値が高くてもよくなる。ゲート抵抗値が最適化された状態において、上述した周囲の温度、周囲の気圧、負荷電流IL、電源電圧Vaなどの変化に伴いdV/dtが上昇すると、dV/dtが許容値を超える可能性が生じる。また、ゲート抵抗値が最適化された状態において、上述した周囲の温度、負荷電流IL、電源電圧Vaなどの変化に伴いdV/dtが低下すると、ゲート抵抗値を必要以上に高く設定していることになり、その分だけスイッチング損失が増加することになる。
そこで、制御対象をdV/dtとするように変更した場合、演算部は、周囲の温度、周囲の気圧、負荷電流ILおよび電源電圧Vaのうち少なくとも1つを変動用パラメータとして取得し、取得した変動用パラメータと電圧検出部による検出値との関係に基づいてdV/dtの目標値を変化させるとよい。このようにすれば、周囲の温度、周囲の気圧、負荷電流ILおよび電源電圧Vaが変動した場合でも、それらの変動、つまり外乱をも考慮したうえでゲート抵抗値などを最適化することができる。このようにすれば、周囲の温度、周囲の気圧、負荷電流および電源電圧Vaなどの変動にかかわらず、dV/dtを適切に制御することができる。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。