JP7185213B2 - エルゴチオネイン合成微生物、及びエルゴチオネインの製造方法 - Google Patents
エルゴチオネイン合成微生物、及びエルゴチオネインの製造方法 Download PDFInfo
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[1] システイン生産株である微生物に、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する酵素をコードする原核生物由来のエルゴチオネイン合成遺伝子を遺伝子導入された微生物を培養する工程を含む、エルゴチオネインの製造方法。
[2] 前記エルゴチオネイン合成遺伝子がコードする酵素が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する一方で、γ-グルタミルシステインとヘルシニンとからヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドへの反応を触媒しない、項目1に記載の製造方法。
[3] 前記微生物に、ヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子が導入されていない、項目1又は2に記載の製造方法。
[4] 前記エルゴチオネイン合成遺伝子が、Methylobacterium属細菌由来のegtB様遺伝子である、項目1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
[5] 前記システイン生産株である微生物が、変異型cysE、変異型serA、変異型cysB、及びydeD遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を有する大腸菌である、項目1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
[6] システイン生産株が、さらにmetJ遺伝子を欠損されている、項目1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
[7] 前記微生物を培養する培地が、ヒスチジン添加培地である、項目1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
[8] システイン生産株である微生物において、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドを触媒する酵素をコードする原核生物由来のエルゴチオネイン合成遺伝子を導入されたエルゴチオネイン生産能を有する微生物。
[9] 前記エルゴチオネイン合成遺伝子がコードする酵素が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する一方で、γ-グルタミルシステインとヘルシニンとからヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドへの反応を触媒しない、項目8に記載の微生物。
[10] 前記微生物に、ヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子が導入されていない、項目8又は9に記載の微生物。
[11] 前記エルゴチオネイン合成遺伝子が、Methylobacterium属細菌由来のegtB様遺伝子である、項目8~10のいずれか一項に記載の微生物。
[12] 前記システイン生産株である微生物が、変異型cysE、変異型serA、変異型cysB、及びydeD遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を有する大腸菌である、項目11に記載の微生物。
[13] システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドを触媒する酵素をコードするエルゴチオネイン合成遺伝子を導入されたエルゴチオネイン生産能を有する大腸菌。
[14] 前記エルゴチオネイン合成遺伝がMethylogacterium属細菌由来のegtB様遺伝子である、項目13に記載の大腸菌。
[15] さらに、egtD又はegtE遺伝子が導入された、項目13又は14に記載の大腸菌。
[16] 変異型serA遺伝子、ydeD遺伝子、及び変異型cysE遺伝子が導入された、項目13~15のいずれか一項に記載の大腸菌。
[17」 さらにmetJ遺伝子が欠損された、項目13~16のいずれか一項に記載の大腸菌。
M. pseudosasicolaのegtBのアミノ酸配列をクエリーとして、KEGGデータベースで、代表的な生物種ゲノムにおいて、BlastPサーチ(代表的な生物種)を行い、相同性遺伝子配列群を取得した。これらの配列群をClustalXでマルチプルアラインメントを実施し、系統樹を作成(Dendroscope)した(図1)。各遺伝子名は、KEGG gene ID (始めの三文字が生物種(KEGG organisms参照)を表す)。本発明にかかるMethylobacterium属が有するegtB様遺伝子は、エルゴチオネイン生合成経路を有することが既知であるMycobacterium smegmatisのegtB遺伝子及び新規のエルゴチオネイン生合成経路を有することが見いだされたMicrocystis aeruginosaのegtB遺伝子とは、系統樹解析において全く異なる群に属することが分かった。したがって、本発明のシステインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する酵素をコードするエルゴチオネイン合成遺伝子とは、系統樹上でシアノバクテリアであるMicrocystis aeruginosaが属する系統とは異なる系統であり、かつ既知のエルゴチオネイン生合成経路を有するMycobacterium smegmatisが属する系統とも、異なる系統である。
NBRC(NITE Biological Resource Center)から分譲されたMethylobacterium pseudosasicola(NBRC番号:105203)、Methylobacterium brachiatum(NBRC番号:103629)、Methylobacterium radiotolerans(NBRC番号:15690)、Methylobacterium phyllostachyos(NBRC番号:105206)、及びMethylobacterium mesophilicum(NBRC番号:15688)からegtB様遺伝子をそれぞれ増幅し、J.Agric. Food Chem、2018、66, 1191-1196で用いられたpQE-1aにクローニングし、egtB様タンパク質発現プラスミド(pQE88egtB)を調製した。調製したpQE88egtBのプラスミドマップを図2Aに示す。pQE88egtBのプラスミドに導入されたMethylobacterium pseudosasicola、Methylobacterium brachiatum、及びMethylobacterium radiotolerans由来のegtB様遺伝子の配列情報、並びにMethylobacterium phyllostachyos、及びMethylobacterium mesophilicum由来のegtB様遺伝子の配列情報をそれぞれ図2B及びC示す。
J.Agric. Food Chem、2018、66, 1191-1196で用いられたpCF1s-MsDに、同文献で使用したMycobacterium smegmatis(JCM6386)のegtE遺伝子を導入し、pCtac-MS-egtD-hisMS-egtEプラスミドを調製した。調製したpCtac-MS-egtD-hisMS-egtEのプラスミドマップを図3Aに示す。pCtac-MS-egtD-hisMS-egtEのプラスミドに導入されたegtD及びegtEの配列を、図3Bに示す。
pDESプラスミドは、pACYC184プラスミド(株ニッポンジーン)に、410番目のアミノ酸(トレオニン)が終始コドンに変換されるように変異したserA遺伝子、ydeD遺伝子、及び167番目のアミノ酸(トレオニン)がアラニンに変換されるように変異したcysE遺伝子が、OmpAプロモーターの制御下に挿入された構造を有する。変異型serA遺伝子及び変異型cysEにより、フィードバック阻害が軽減され、ydeD遺伝子によりシステインの細胞外への排出が促進される。したがって、pDESプラスミドを大腸菌に導入することにより、システイン高生産株を得ることができる。調製したpDESのプラスミドマップを図4Aに示す。pDESに導入されている、serA遺伝子及びydeD遺伝子の配列情報、並びにcysE遺伝子の配列情報を図4B及びCに示す。
pQEegtBプラスミドとしては、Methylobacterium pseudosasicola、Methylobacterium brachiatum、Methylobacterium radiotolerans、Methylobacterium phyllostachyos、及びMethylobacterium mesophilicumに由来するegtB様遺伝子がそれぞれ導入されたプラスミドを用い、さらにpCtac-MS-egtD-hisMS-egtEプラスミド、及びpDESプラスミドをそれぞれΔmetJ大腸菌に導入し、エルゴチオネイン産生株を製造した。ΔmetJ大腸菌は、野生株BW25113株において、ファーストクロスオーバー法を用いてmetJ遺伝子欠損させることで作成した。さらに対照として、MS-egtABCDE-pDESプラスミド及びpDESプラスミドを導入したエルゴチオネイン産生対照株を製造した。
3%グルコースを添加したSM1培地(CaCO3添加:下記表参照)中で、エルゴチオネイン産生株を24時間培養し、前培養液を得た。前培養液をOD562=0.1となるように、同SM1培地に添加し、30℃、200rpmで本培養を開始した。6時間の培養後、0.1mMのIPTGを誘導物質として添加し、また基質として10mMチオ硫酸ナトリウム、5mMヒスチジン、6mMメチオニンを添加し、さらに培養を行った。培養後、96時間、120時間、144時間、168時間及び192時間で、培養物を取得し、培養物中に含まれるエルゴチオネインの測定を下記の通り行った。
培養物中のエルゴチオネインの量を、受託分析(Anatech社)に供し測定した。Methylobacterium pseudosasicola、Methylobacterium brachiatum、Methylobacterium radiotolerans、Methylobacterium phyllostachyos、及びMethylobacterium mesophilicumに由来するegtBが導入されたエルゴチオネイン産生株と、Mycobacterium smegmatis由来のegtABCDEが導入されたエルゴチオネイン産生対照株との産生量を比較した図を図5に示した。対照株では、144時間以降の培養にて増殖がみられなかった。そこで、対照株については144時間でのエルゴチオネインの産生量と、エルゴチオネイン産生株の192時間での産生量を比較した。
Methylobacterium pseudosasicola、Methylobacterium brachiatum、Methylobacterium radiotolerans、Methylobacterium phyllostachyos、及びMethylobacterium mesophilicumに由来するegtBが導入されたエルゴチオネイン産生株と、ネガティブコントロールとして大量発現遺伝子を導入されていない大腸菌株の培養物について遠心により、細胞を収集した。収集した細胞に対してソニケーション処理を行い、細胞破砕上清を得た。下記の表に記載の触媒反応測定液を細胞破砕上清(1mg(protein)/ml)に混合し、30℃で2時間インキュベートした。反応基質種として、システイン又はγ-グルタミルシステインとを含む反応液の生成物種をLC-ESI-MSで解析した。結果を図6に示す。
Claims (17)
- システイン生産株である原核生物に、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する酵素をコードするMethylobacterium属細菌由来のegtB様遺伝子、前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列に対し少なくとも90%の同一性を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列に対し、少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなる変異遺伝子を遺伝子導入された原核生物を培養する工程を含み、前記変異遺伝子がコードする変異タンパク質が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する、エルゴチオネインの製造方法。
- 前記エルゴチオネイン合成遺伝子がコードする酵素が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する一方で、γ-グルタミルシステインとヘルシニンとからヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドへの反応を触媒しない、請求項1に記載の製造方法。
- 前記原核生物に、ヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子が導入されていない、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列が、配列番号2、4、6、8、及び10からなる群から選ばれるか、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列が、配列番号1、3、5、7、及び9からなる群から選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記システイン生産株である原核生物が、変異型cysE、変異型serA、変異型cysBからなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を有する大腸菌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- システイン生産株が、さらにmetJ遺伝子を欠損されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記原核生物を培養する培地が、ヒスチジン添加培地である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
- システイン生産株である原核生物において、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する酵素をコードするMethylobacterium属細菌由来のegtB様遺伝子、前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列に対し少なくとも90%の同一性を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列に対し、少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなる変異遺伝子を導入されたエルゴチオネイン生産能を有し、ここで、前記変異遺伝子がコードする変異タンパク質が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する、原核生物。
- 前記エルゴチオネイン合成遺伝子がコードする酵素が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する一方で、γ-グルタミルシステインとヘルシニンとからヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドへの反応を触媒しない、請求項8に記載の原核生物。
- 前記原核生物に、ヘルシニル-γ-グルタミル-システインスルホキシドから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子が導入されていない、請求項8又は9に記載の原核生物。
- 前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列が、配列番号2、4、6、8、及び10からなる群から選ばれるか、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列が、配列番号1、3、5、7、及び9からなる群から選ばれる、請求項8~10のいずれか一項に記載の原核生物。
- 前記システイン生産株である原核生物が、変異型cysE、変異型serA、変異型cysB、及びydeD遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1の遺伝子を有する大腸菌である、請求項8~11のいずれか一項に記載の原核生物。
- システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する酵素をコードするMethylobacterium属細菌由来のegtB様遺伝子、前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列に対し少なくとも90%の同一性を有する変異タンパク質をコードする変異遺伝子、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列に対し、少なくとも90%の同一性を有する塩基配列からなる変異遺伝子を導入されたエルゴチオネイン生産能を有し、ここで、前記変異遺伝子がコードする変異タンパク質が、システインとヘルシニンとから、ヘルシニルシステインスルホキシドへの反応を触媒する、大腸菌。
- 前記egtB様遺伝子がコードするアミノ酸配列が、配列番号2、4、6、8、及び10からなる群から選ばれるか、又は前記egtB様遺伝子の塩基配列が、配列番号1、3、5、7、及び9からなる群から選ばれる、請求項13に記載の大腸菌。
- さらに、egtD又はegtE遺伝子が導入された、請求項13又は14に記載の大腸菌。
- 変異型serA遺伝子、ydeD遺伝子、及び変異型cysE遺伝子が導入された、請求項13~15のいずれか一項に記載の大腸菌。
- さらにmetJ遺伝子が欠損された、請求項13~16のいずれか一項に記載の大腸菌。
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