以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転炉1の模式的な断面図である。図2は、転炉1の傾斜部8の周囲を拡大して示す断面図である。図3は、傾斜部8の炉口部9の周辺を拡大して示す断面図である。なお、各図において、断面より奥側の部分については、煉瓦同士の境界線等の図示を一部省略している。
図1~図3を参照して、転炉1は、例えば、高炉から取り出された溶銑を精錬(例えば脱炭)するために用いられる。なお、転炉1は、電気エネルギーによって鉄スクラップを溶解させる電気炉として用いられてもよい。本実施形態では、特に説明なき場合、転炉1が起立姿勢(精錬時の姿勢)にあるときを基準に説明する。
転炉1は、鉄皮2と、鉄皮2に設置された耐火構造3と、を有している。
鉄皮2は、中空の容器状に形成された金属部材である。鉄皮2の上端部は開口している。また、鉄皮2は、下方に進むに従い直径が大きくなるテーパ状部分、および、略円筒状部分を有している。鉄皮2の下端部は、中空部分を塞ぐように延びている。鉄皮2の内側面の略全域に、耐火構造3が設けられている。
耐火構造3は、溶銑を受けるために設けられており、鉄皮2に隣接配置された複数のパーマ煉瓦4と、パーマ煉瓦4に対して転炉1の内側に配置された複数のウェア煉瓦5と、を有している。
パーマ煉瓦4は、例えば、MgO煉瓦であり、ブロック状に形成されている。多数のパーマ煉瓦4が、鉄皮2の内側面2eに、転炉1の周方向C1および上下方向A1に沿って配列されている。
ウェア煉瓦5は、溶銑に直接曝される煉瓦であり、例えば、MgO-C煉瓦であり、台形のブロック状に形成されている。ウェア煉瓦5を構成するMgO-C煉瓦は、鱗状黒鉛を含んでいる。ウェア煉瓦5は、Cを例えば8~30質量%含んでいる。本実施形態では、Cを含む煉瓦において、Cの含有率が、熱伝導率に大きな影響を及ぼす。多数のウェア煉瓦5が、パーマ煉瓦4の内側面4aに配置されている。ウェア煉瓦5は、パーマ煉瓦4と同様に、周方向C1および上下方向A1に沿って配列されている。ウェア煉瓦5は、MgOに、SiCが添加された構成であってもよいし、MgO-CまたはMgO-SiCに、酸化防止剤として金属Al、金属Si、Al-Mg合金、B4C等が添加された構成であってもよい。
上記の構成を有する転炉1は、炉底部6と、炉底部6の上方に配置された直胴部7と、直胴部7から当該直胴部7の上方へ延び直胴部7から遠ざかるに従い直径が小さくなるテーパ状に形成された傾斜部8と、含んでいる。傾斜部8は、鉄皮2の上端部に位置する炉口部9を有している。
炉底部6は、炉底鉄皮2aと、耐火構造3のうち炉底部6に設置された部分としての炉底煉瓦部11と、を有している。
炉底鉄皮2aは、鉄皮2の一部分であり、溶銑貯留空間14の底を塞ぐように配置されている。炉底鉄皮2a上に、炉底煉瓦部11が設置されている。
炉底煉瓦部11は、炉底部6に配置されたパーマ煉瓦4およびウェア煉瓦5によって構成された二層煉瓦構造を有している。炉底部6において、パーマ煉瓦4は、1層構造であってもよいし、2~4層の複数層構造であってもよい。上記の構成を有する炉底部6の上方に、上下に延びる筒状の直胴部7が配置されている。
直胴部7は、直胴鉄皮2bと、耐火構造3のうち直胴部7に配置された部分としての直胴煉瓦部15と、を有している。
直胴鉄皮2bは、鉄皮2の一部分であり、略円筒状に形成されており、炉底鉄皮2aから上方に延びている。直胴鉄皮2bの内側面2eに、直胴煉瓦部15が設置されている。
直胴煉瓦部15は、直胴部7に配置されたパーマ煉瓦4と、このパーマ煉瓦4の内側面4a側に配置されパーマ煉瓦4熱伝導率よりも高い熱伝導率を有するウェア煉瓦5と、によって構成されている。すなわち、直胴煉瓦部15は、二層煉瓦構造を有している。直胴煉瓦部15においては、パーマ煉瓦4が縦向きに設置されており、ウェア煉瓦5は、横向き(水平向き)に配置されている。上記の構成を有する直胴部7の上方に、テーパ状に形成された傾斜部8が配置されている。
本実施形態では、傾斜部8は、転炉1の上部および上端部を構成している。本実施形態では、傾斜部8の上部に炉口部9が設けられており、炉口部9は、傾斜部8の一部を構成している。なお、傾斜部8の上方に、傾斜部8とは別に炉口部9が形成されていてもよい。傾斜部8は、直胴部7から延びる略円錐台形状に形成されており、直胴部7から上方に遠ざかるに従い直径(外径および内径)が小さくなるテーパ状をなしている。
傾斜部8は、鉄皮2の一部分である傾斜鉄皮2cおよび台座鉄皮2dと、冷却部18と、炉口リング19と、傾斜煉瓦部20と、を有している。
傾斜鉄皮2cは、直胴鉄皮2bから上方に延びており、上方に進むに従い外径および内径が小さくなる形状に形成されている。本実施形態では、傾斜鉄皮2cは、略円錐台形状に形成されている。傾斜鉄皮2cの上端部に、台座鉄皮2dが設けられている。
台座鉄皮2dは、炉口リング19が固定される台座部として設けられている。台座鉄皮2dは、例えば水平に配置された円環状の平板状部分である。台座鉄皮2dは、傾斜鉄皮2cから転炉1の径方向外方に延びている。傾斜鉄皮2cの外側面に、冷却部18が設置されている。
冷却部18は、溶銑への精錬処理時に発生するCOガスの二次燃焼による熱気等に曝される傾斜部8を冷却するために設けられている。冷却部18は、上下方向A1における傾斜部8の中間部に配置されている。冷却部18は、流体を冷媒として用いる構成である。この冷媒として、水等の液体、または、水蒸気、空気等の気体を例示できる。冷却部18は、傾斜鉄皮2cの外側面に設置された冷却管21を有している。
冷却管21は、複数設けられており、本実施形態では、3本設けられている。冷却管21は、上下に離隔して配置されている。各冷却管21は、周方向C1の全域に亘って配置されている。なお、冷却管21は、傾斜鉄皮2cの内部に配置されていてもよいし、傾斜鉄皮2cの内側面2eに設置されていてもよい。
各冷却管21は、図示しない供給管および戻り管を介してチラー等の熱交換器に接続されている。各冷却管21の内径は、傾斜部8を冷却する度合いに応じて設定されている。各冷却管21内には、例えば、加圧された冷媒が通過する。各冷却管21を前述した冷媒が通過することで、この冷媒が傾斜部8の熱を吸収し、その結果、所定の冷却領域22が冷却される。
冷却領域22とは、傾斜部8のうち冷却部18によって冷却される領域をいい、冷却部18内に冷媒が流れていない場合と比べて例えば1℃以上温度が低くなる領域をいう。本実施形態では、転炉1の中心軸線を通る鉛直断面(以下、単に鉛直断面という。)における冷却領域22を、一点鎖線で模式的に示している。冷却領域22は、上下方向A1において、傾斜部8の後述する二層煉瓦部24より上方の領域である。また、転炉1の径方向R1(水平方向)において、冷却領域22は、冷却部18からウェア煉瓦5の内側面5aまでの間の少なくとも一部の領域である。冷却領域22は、例えば、炉口リング19の後述する内側面37、および、傾斜側第3不定形耐火物33が配置される領域の少なくとも一部を含んでいることが好ましい。
傾斜鉄皮2cの内側面2eに、傾斜煉瓦部20が設置されている。
本実施形態では、傾斜煉瓦部20は、二層煉瓦部24と、二層煉瓦部24の上方に配置された一層煉瓦部25と、を有している。
二層煉瓦部24は、傾斜部8のうち冷却領域22を外れた箇所に配置されている。本実施形態では、二層煉瓦部24は、傾斜部8のうち冷却領域22の下方に配置されている。すなわち、二層煉瓦部24(パーマ煉瓦4と、このパーマ煉瓦4の内面側に配置されたウェア煉瓦5とによって構成された二層煉瓦構造)が、傾斜部8のうち冷却領域22以外の少なくとも一部において設けられている。二層煉瓦部24においては、平板状のパーマ煉瓦4が斜め縦向きに設置されており、平板状のウェア煉瓦5が横向きに配置されている。
二層煉瓦部24において、パーマ煉瓦4の外側面4bは、傾斜鉄皮2cの内側面2eに受けられており、このパーマ煉瓦4の内側面4aは、ウェア煉瓦5の外側面5bを受けている。そして、二層煉瓦部24において、ウェア煉瓦5の内側面5aが、転炉1内の溶銑貯留空間14に臨んでいる。複数のウェア煉瓦5の内側面5aは、全体として上方に進むに従い転炉1の内側に進む傾斜状に形成されている。
二層煉瓦部24のウェア煉瓦5の内側面5aと、傾斜鉄皮2cの内側面2eとの間の領域の隙間には、傾斜側第1不定形耐火物31が充填されている。傾斜側第1不定形耐火物31として、マグネシア質、アルミナ-スピネル質不定形耐火物、高アルミナ質不定形耐火物、および、アルミナ-マグネシア質不定形耐火物の少なくとも一つを含む材質を例示することができる。なお、上下方向A1において、傾斜部8の全域が冷却領域22である場合、二層煉瓦部24、および、傾斜側第1不定形耐火物31は、設けられなくてもよい。
二層煉瓦部24は、直胴煉瓦部15、および、炉底煉瓦部11と同様に、断熱性を要求される部分である。二層煉瓦部24によって高断熱性を確保することで、溶銑から鉄皮2への伝熱量が過大となることを防止している。傾斜部8の二層煉瓦部24の上方に、一層煉瓦部25が配置されている。
一層煉瓦部25は、傾斜部8の冷却領域22に配置されている。なお、一層煉瓦部25は、冷却領域22の少なくとも一部に配置されていればよい。このような構成により、傾斜煉瓦部20の少なくとも一部が、冷却領域22に配置される。一層煉瓦部25は、冷却部18からの冷気を積極的に取り込むことにより、転炉1内の溶銑からの熱に起因する一層煉瓦部25の熱膨張による損傷を抑制している。
一層煉瓦部25は、ウェア煉瓦5によって形成された一層煉瓦構造を有しており、熱伝導率の低いパーマ煉瓦4は含まれていない。一層煉瓦部25においては、ウェア煉瓦5は、平板状に形成され、横向きの状態で積み上げられている。
一層煉瓦部25は、傾斜鉄皮2cで囲まれた空間に配置された、ウェア煉瓦5からなる鉄皮側ウェア煉瓦28と、炉口リング19で囲まれた空間に配置された、ウェア煉瓦5からなる炉口側ウェア煉瓦29と、を有している。
鉄皮側ウェア煉瓦28は、上下方向A1に複数層に積み上げられている。鉄皮側ウェア煉瓦28の内側面5aは、全体として上方に進むに従い転炉1の内側に進む傾斜状に形成されている。
炉口側ウェア煉瓦29は、上下方向A1に一層または複数層(本実施形態では、一層)に配置されている。炉口側ウェア煉瓦29の内側面5aは、上下方向A1に沿って延びている。
最上段の煉瓦としての炉口側ウェア煉瓦29は、炉口リング19の後述する第1押さえ部51および第2押さえ部52と向かい合う煉瓦側対向面30を有している。煉瓦側対向面30は、押さえ部51,52によって下向きの荷重を与えられる部分である。鉛直断面において、煉瓦側対向面30は、上向きに凸となる山形形状に形成されている。
煉瓦側対向面30は、第1傾斜面30aと、この第1傾斜面30aに対して径方向外方に配置された第2傾斜面30bと、を有している。
第1傾斜面30aは、鉛直断面において、直線状に延び、径方向R1の内方に進むに従い下方に進んでいる。第1傾斜面30aは、傾斜側第3不定形耐火物33と接触しており、この傾斜側第3不定形耐火物33を介して押さえ部51,52からの荷重を受ける。第2傾斜面30bは、第2押さえ部52の一部と直接接触する部分である。この第2傾斜面30bは、鉛直断面において直線状に延び、径方向R1の内方に進むに従い上方に進んでいる。鉛直断面において、第2傾斜面30bの長さは、第1傾斜面30aの長さよりも短い。
傾斜部8の一層煉瓦部25には、傾斜側第2不定形耐火物32が充填されている。この傾斜側第2不定形耐火物32は、一層煉瓦部25のウェア煉瓦5の内側面5aと、傾斜鉄皮2cの内側面2eおよび炉口リング19内側面37との間の領域における隙間に充填されている。傾斜側第2不定形耐火物32は、CおよびSiCの少なくとも一方を含んでいる。SiCは、耐酸化性に優れている。
傾斜側第2不定形耐火物32の熱伝導率は、傾斜側第1不定形耐火物31の熱伝導率よりも高く、また、パーマ煉瓦4の熱伝導率よりも高い。傾斜側第2不定形耐火物32として、本実施形態では、MgO-C粉末を固めた構成を例示することができる。MgOの熱伝導率よりも高い熱伝導率のCを含有する傾斜側第2不定形耐火物32において、Cの含有率は、MgOの含有率よりも多いことが好ましい。傾斜側第2不定形耐火物32の組成の一例として、傾斜側第2不定形耐火物32を構成する各材質の合計の重量%を100重量%としたときに、Cの含有率が40重量%以上、且つ、MgOの含有率が30重量%以上である構成を例示できる。
なお、傾斜側第2不定形耐火物32におけるCの下限として、20質量%を例示できる。この下限値を下回ると、傾斜側第2不定形耐火物32の熱伝導率を十分に確保し難い。また、傾斜側第2不定形耐火物32におけるCの上限として、60質量%を例示できる。この上限値を上回ると、傾斜側第2不定形耐火物32の耐衝撃性および耐食性を十分に確保し難い。傾斜側第2不定形耐火物32の熱伝導率は、例えば、パーマ煉瓦4の熱伝導率の2倍~3倍である。パーマ煉瓦4の熱伝導率は、例えば2~3w/m・kである。
なお、傾斜側第2不定形耐火物32等におけるC含有率の計測方法として、重量減少法、非分散型赤外線分析法等を例示できる。
傾斜側第2不定形耐火物32の組成の一例として、Cの含有率が52重量%、MgOの含有率が38重量%、CおよびMgO以外の含有率が10重量%である場合を例示できる。
前述したように、本実施形態では、傾斜部8の上部が、炉口部9を形成している。炉口部9は、炉口リング19と、炉口側ウェア煉瓦29と、傾斜側第3不定形耐火物33と、を含んでいる。
炉口リング19は、例えば、円弧状の鋳造部材を複数組み合わせることで、全体として円環状に形成されている。なお、炉口リング19は、単一の鋳造部材によって形成されていてもよいし、鉄皮2と一体成形されていてもよい。炉口リング19は、鉛直断面において、台座鉄皮2dから転炉1の径方向内方に進むに従い、炉口側ウェア煉瓦29から離隔するように上方に延び、その後、炉口側ウェア煉瓦29に向かうように延びる鉤状に形成されている。
炉口リング19は、台座鉄皮2dに固定される被固定面35と、転炉1の外側を向く外側面36と、転炉1の下側を向く内側面37と、炉口リング19の先端に形成された先端面38と、外側面36の一部、内側面37の一部および先端面38を含む鉤状部39と、鉤状部39に形成されたアンカー40,41と、を有している。
被固定面35は、炉口リング19の外周部下面に配置されており、台座鉄皮2dに溶接等によって固定されている。被固定面35の外周端部から先端面38にかけて、外側面36が延びている。
外側面36は、炉口リング19の外周部に配置されて台座鉄皮2dの上方に位置する外側傾斜面36aと、この外側傾斜面36aから転炉1の径方向内方に向けて進む外側平坦面36bと、を有している。
外側傾斜面36aは、転炉1の径方向内方に進むに従い上側に進む傾斜状に形成されている。外側傾斜面36aの内周端部は、炉口側ウェア煉瓦29の上方に位置しており、外側平坦面36bに連続している。外側平坦面36bは、上方から炉口側ウェア煉瓦29を覆うようにして配置されており、外側平坦面36bから径方向R1の内方に延びている。外側平坦面36bの内周端部から、下方へ延びる先端面38が形成されている。
先端面38は、炉口側ウェア煉瓦29の内周端部と上下に並ぶように配置されており、上下方向A1に延びている。先端面38と被固定面35との間に、炉口リング19の内側面37が配置されている。
炉口リング19の内側面37には、対向部42が形成されている。対向部42は、本実施形態では、炉口リング19のうち傾斜煉瓦部20における最上段の煉瓦である炉口側ウェア煉瓦29と対向する部分をいう。本実施形態では、内側面37の全体が対向部42を形成している。
対向部42は、炉口リング19の内周部側に配置された第1押さえ部51と、第1押さえ部51に対してこの炉口リング19の径方向外方に配置された第2押さえ部52と、を有している。
第1押さえ部51および第2押さえ部52は、傾斜側第3不定形耐火物33を介して、または、直接、炉口側ウェア煉瓦29を下方に押さえている。この構成により、炉口リング19と鉄皮2は、協働して、傾斜煉瓦部20、直胴煉瓦部15、および、炉底煉瓦部11を上下方向A1に強固に挟んでおり、これらの煉瓦部11,15,20が鉄皮2から脱落することを防止している。
第1押さえ部51は、「炉口リングのうち傾斜煉瓦部と対向する対向部の内周部に形成され傾斜煉瓦部を押さえる押さえ部」の一例である。
第1押さえ部51は、第1部分51aと、この第1部分51aに対して炉口リング19の外周部側に配置された第2部分51bと、を有している。
本実施形態では、第1部分51aと、傾斜煉瓦部20における炉口側ウェア煉瓦29と、の距離D1が、第2部分51bと、炉口側ウェア煉瓦29と、の距離D2よりも短く設定されている(D1<D2)。このような構成を実現するために、第1部分51aは、炉口部9の開口部に進むに従い傾斜煉瓦部20の炉口側ウェア煉瓦29に近づく形状のテーパ面51cを有している。
本実施形態では、テーパ面51cは、第1部分51aのうち、面取り部53を除く部分に配置されている。テーパ面51cは、鉛直断面において、直線状に延び、径方向R1の内方に進むに従い下方に進んでいる。テーパ面51cは、炉口側ウェア煉瓦29と上下方向A1に向かい合っている。本実施形態では、テーパ面51cの内周側端部は、下向きに凸となる湾曲状の面取り部53を介して先端面38に連続している。
テーパ面51cと炉口側ウェア煉瓦29との間の距離は、径方向R1の内方に進むに従い連続的に小さくなっている。このテーパ面51cの外周端部に、第2部分51bが連続している。
第2部分51bは、本実施形態では、鉛直断面において上向きに凸となる湾曲状に形成されている。第2部分51bは、炉口側ウェア煉瓦29の上面としての煉瓦側対向面30と上下方向A1に向かい合っている。径方向R1において、第2部分51bの長さは、第1部分51aの長さの数分の一程度である。第2部分51bは、炉口リング19の外側面36における外側平坦面36bの下方に位置している。第2部分51bの外周端部に、第2押さえ部52が連続している。
第2押さえ部52は、鉛直断面において直線状に延びており、第1押さえ部51から径方向R1の外方に進むに従い下方に進むように延びている。第2押さえ部52の外周端部は、上下方向A1に延びて被固定面35に連続する鉛直面54に連続している。鉛直断面において、第2押さえ部52の長さは、第1押さえ部51の長さより長くてもよいし、短くてもよい。
第2押さえ部52は、径方向R1において、外側平坦面36bから外側傾斜面36aにかけて延びている。第2押さえ部52の外周側部分は、炉口側ウェア煉瓦29の煉瓦側対向面30における第2傾斜面30bに直接接触している。また、第2押さえ部52の内周側部分は、傾斜側第3不定形耐火物33に接触しており、この傾斜側第3不定形耐火物33を介して、煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aを下方に押さえている。
炉口側ウェア煉瓦29の第1傾斜面30a、炉口リング19の第2押さえ部52、および、第1押さえ部51によって画成された円環状の炉口リング内空間55に、傾斜側第3不定形耐火物33が隙間無く充填されている。傾斜側第3不定形耐火物33として、アルミナ-スピネル質不定形耐火物、高アルミナ質不定形耐火物、アルミナ-マグネシア質不定形耐火物、マグネシア質耐火物を例示できる。傾斜側第3不定形耐火物33の熱伝導率は、傾斜側第2不定形耐火物32よりも低く、また、ウェア煉瓦5の熱伝導率よりも低い。
炉口リング内空間55への傾斜側第3不定形耐火物33の充填作業は、例えば、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を、開口部56(炉口リング19の先端面38と炉口側ウェア煉瓦29の煉瓦側対向面30との間に形成される開口部)から炉口リング内空間55へ流し込むことで行われる。
本実施形態では、仮想面H1に対してテーパ面51cがなす傾斜角度aは、5度≦a≦20度であることが好ましい。傾斜角度aが5度未満であると、開口部56が広くなり過ぎる。その結果、傾斜側第3不定形耐火物33に衝撃が作用したときに、傾斜側第3不定形耐火物33が脱落し易くなる。換言すれば、テーパ面51cが形成されることによる、鉛直断面でのくさび効果が小さくなり、傾斜側第3不定形耐火物33が開口部56から脱落し易くなる。一方、傾斜角度aが20度を超えると、炉口リング19の第2部分51bの周囲において、鉤状部39の根元部のくびれの度合いが大きく成り過ぎる。その結果、炉口リング19の第2部分51bにおける応力集中の度合いが高くなってしまう。また、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を炉口リング内空間55に充填する際に、第2部分51bの周囲にエアー溜りが生じやすくなる。このようなエアー溜りは、傾斜側第3不定形耐火物33におけるボイド発生の原因となり、傾斜側第3不定形耐火物33と炉口リング19との結合力低下の原因となる。傾斜角度aの上限は、好ましくは、15度である。傾斜角度aは、例えば、12度である。
本実施形態では、仮想面H1に対して煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aがなす傾斜角度bは、傾斜角度a未満であることが好ましい(a>b)。傾斜角度a>傾斜角度bであることにより、炉口リング内空間55は、テーパ面51cが形成されている領域において、径方向R1の内方に進むに従い、上下方向A1の長さが短くされている。これにより、炉口リング19のテーパ面51cと、煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aとが、くさび効果を発揮することができる。その結果、炉口リング内空間55からの傾斜側第3不定形耐火物33の脱落を、より確実に抑制できる。
本実施形態では、仮想面H1に対して煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aがなす傾斜角度bは、0度≦b≦20度であることが好ましい。傾斜角度bがマイナスの値(第1傾斜面30aが、径方向内方に進むに従い上方に進む面となる)の場合、開口部56が狭くなり過ぎてしまう。その結果、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を開口部56から炉口リング内空間55への充填する作業の効率が低下してしまう。一方、傾斜角度bが20度を超えると、開口部56が広くなり過ぎ、傾斜側第3不定形耐火物33が脱落し易くなる。傾斜角度bの上限は、好ましくは15度である。傾斜角度bは、例えば、ゼロ度である。
上記の構成により、炉口リング19の内周部に、鉤状部39が設けられている。鉤状部39は、径方向R1の内方に進むに従い炉口側ウェア煉瓦29に近づく形状に形成されている。この鉤状部39は、外側平坦面36bの内周側の一部と、先端面38と、第1部分51aと、を含む部分であり、第2部分51bに対して鉤状に突出している。
本実施形態では、傾斜側第3不定形耐火物33が炉口リング内空間55から脱落することを規制する効果を高めるために、アンカー40,41が設けられている。アンカー40,41は、第1押さえ部51に設けられており、第1部分51aおよび第2部分51bの少なくとも一方から炉口側ウェア煉瓦29(傾斜煉瓦部20)に向けて突出している。
アンカー40,41は、炉口リング19と一体成形されていてもよいし、炉口リング19のテーパ面51cに溶接等によって固定されていてもよい。アンカー40,41は、本実施形態では、第1押さえ部51のテーパ面51cに設けられている。各アンカー40,41は、上下方向A1に延びるピン状に形成されている。アンカー40,41の形状として、円柱形状、および、角柱形状等を例示できる。アンカー40,41は、径方向R1に並ぶように配置されている。径方向R1におけるアンカー40,41の位置は、特に限定されない。アンカー40,41は、それぞれ、転炉1の周方向C1に等間隔に複数(例えば、9度ピッチで40本)設けられていることが好ましい。アンカー40,41が円柱形である場合、アンカー40,41の直径φ=約40mm、高さH=約60mmである。
本実施形態では、アンカー40,41のそれぞれの下面は、仮想面H1と平行な面である。なお、アンカー40,41のそれぞれの下面は、先鋭形状に形成されていてもよいし、上向きに窪んだ部分を含んでいてもよい。アンカー40,41は、傾斜側第3不定形耐火物33に没入(埋設)されている。これにより、各アンカー40,41の外表面は、全面に亘って傾斜側第3不定形耐火物33と密着してこの傾斜側第3不定形耐火物33と結合されている。なお、アンカー40,41と同様の形状のアンカーが、第2押さえ部52に設けられていてもよい。
以上説明したように、本実施形態によると、傾斜部8における傾斜煉瓦部20の少なくとも一部(傾斜煉瓦部20の鉄皮側ウェア煉瓦28および炉口側ウェア煉瓦29)は、冷却領域22に配置されたウェア煉瓦5によって構成されている。この構成によれば、冷却部18からの冷気は、熱伝導率の低いパーマ煉瓦4を介することなく、一層煉瓦部25に与えられてこの一層煉瓦部25を冷却する。よって、一層煉瓦部25は、転炉1内の高温環境に曝されたときでも、過度に高温にならずに済み、当該一層煉瓦部25の熱膨張量を少なくできる。これにより、一層煉瓦部25を含む傾斜煉瓦部20に過大な応力が発生して当該傾斜煉瓦部20にスポーリング(割れ)が生じることを抑制できる。よって、炉口部9付近の煉瓦である傾斜煉瓦部20について、高温下での損耗を抑制できる。傾斜煉瓦部20の損耗を抑制できる結果、傾斜煉瓦部20が溶銑貯留空間14内に脱落することを抑制できる。
また、本実施形態によると、傾斜煉瓦部20は、パーマ煉瓦4と、パーマ煉瓦4の内面側に配置されたウェア煉瓦5と、によって構成された二層煉瓦部24を、傾斜部8のうち冷却領域22以外の少なくとも一部において有している。この構成によると、冷却部18からの冷却効果を得られない一方で、溶銑から鉄皮2への伝わる熱を少なくする断熱効果が重視される箇所において、この断熱効果をより確実に発揮できる。
また、本実施形態によると、傾斜部8において傾斜鉄皮2cとウェア煉瓦5との隙間に充填された傾斜側第2不定形耐火物32の熱伝導率は、パーマ煉瓦4の熱伝導率よりも高い。この構成によると、冷却部18からの冷気を、傾斜側第2不定形耐火物32を介して一層煉瓦部25へ効率よく伝達できる。特に、耐火構造3は定期的に更新されるけれども鉄皮2は長年に亘って使用され続けている場合、鉄皮2は、熱による変形を生じ、鉄皮2と一層煉瓦部25との間の隙間が大きくなる。この隙間に、熱伝導率の大きな傾斜側第2不定形耐火物32を充填することで、冷却部18からの冷気を効率よく一層煉瓦部25へ伝達することができる。
また、本実施形態によると、上記傾斜側第2不定形耐火物32は、炭素および炭化ケイ素の少なくとも一方を含んでいる。この構成によると、傾斜側第2不定形耐火物32における高い熱伝導率を、低コストで実現できる。
また、本実施形態によると、傾斜側第2不定形耐火物32の熱伝導率は、傾斜側第1不定形耐火物31の熱伝導率よりも高い。この構成によると、冷却部18からの冷気を、傾斜側第2不定形耐火物32を介して一層煉瓦部25へ効率よく伝達できる。また、冷却領域24の外部に配置された二層煉瓦部24において、ウェア煉瓦5と傾斜鉄皮2cとの間の断熱性をより高くできる。
また、本実施形態によると、炉口リング19の第1押さえ部51に関して、第1部分51aと炉口側ウェア煉瓦29との距離D1が、第2部分51bと炉口側ウェア煉瓦29との距離D2よりも短い。この構成によれば、炉口リング19の第1押さえ部51の第1部分51aは、傾斜煉瓦部20を鉄皮2から脱落させる力が傾斜煉瓦部20に作用したときに、この力を受けることができる。例えば、炉口部9に固まった地金に強力な衝撃を与えて地金を炉口部9から剥がすメンテナンス時に、傾斜煉瓦部20に上記の衝撃が作用しても、この衝撃によって傾斜煉瓦部20が脱落することをより確実に抑制できる。このように、炉口部9付近の傾斜煉瓦部20について、物理的衝撃に起因する脱落を抑制することができる。
また、本実施形態によると、第1押さえ部51の第1部分51aは、径方向R1の内方に進むに従い傾斜煉瓦部20に近づく形状のテーパ面51cを有している。この構成によれば、炉口側ウェア煉瓦29から第1押さえ部51に作用する荷重を、傾斜側第3不定形耐火物33を介して、面積の広いテーパ面51cで安定した姿勢で受けることができる。
また、本実施形態によると、炉口部9に平行な仮想面H1に対してテーパ面51cがなす傾斜角度aが、5度≦a≦20度に設定されている。この構成によると、傾斜角度aを5度以上とすることにより、鉛直断面でのくさび効果を大きくできる。これにより、傾斜側第3不定形耐火物33は、開口部56から脱落し難くなる。また、傾斜角度aを20度以下とすることにより、炉口リング19の鉤状部39の根元部における応力集中の度合いが高くなり過ぎないようにできる。また、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を炉口リング内空間55に充填する際に、テーパ面51cの周囲にエアー溜りを生じ難くできる。
また、本実施形態によると、仮想面H1に対する煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aの傾斜角度bは、テーパ面51cの傾斜角度a未満(a>b)である。この構成によれば、鉤状部39の下方において、炉口リング内空間55の高さが、径方向内方に進むに従い狭くなる。その結果、地金除去作業において、傾斜側第3不定形耐火物33が衝撃を受けても、傾斜側第3不定形耐火物33は、テーパ面51cおよび第1傾斜面30aのくさび効果によって、開口部56から脱落することをより確実に抑制される。
また、本実施形態によると、煉瓦側対向面30の第1傾斜面30aの傾斜角度bが、0度≦b≦20度に設定されている。傾斜角度b≧ゼロ度とすることにより、開口部56を広くでき、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を開口部56から炉口リング内空間55へ充填する作業の効率を高くできる。また、傾斜角度b≦20度とすることにより、開口部56が広くなり過ぎて傾斜側第3不定形耐火物33が脱落し易くなることを抑制できる。
また、本実施形態によると、第1押さえ部51の第1部分51aは、第1押さえ部51の第2部分51bに対して鉤状に突出する鉤状部39に形成されている。この構成によれば、第1押さえ部51が傾斜側第3不定形耐火物33を介して傾斜煉瓦部20を保持する効果を、より高くできる。
また、本実施形態によると、炉口リング19にアンカー40,41が設けられている。これにより、傾斜側第3不定形耐火物33は、アンカー40,41によってより確実に炉口リング内空間55に保持される。その結果、傾斜側第3不定形耐火物33および傾斜煉瓦部20の脱落をより確実に抑制できる。また、複雑な形状の炉口リング内空間55へ、液状の傾斜側第3不定形耐火物33を充填することで、炉口リング内空間55を乾燥して固まった傾斜側第3不定形耐火物33で満たすことができる。このため、傾斜側第3不定形耐火物33の施工作業を容易に行うことができる。また、傾斜側第3不定形耐火物33は、外力を受けたときに、ある程度収縮することができる。これにより、傾斜煉瓦部20が熱膨張したときに、傾斜側第3不定形耐火物33が収縮することで、傾斜煉瓦部20に過度な応力が発生することを抑制できる。よって、傾斜煉瓦部20にスポーリングが発生することを抑制できる。
また、本実施形態によると、前述したように、傾斜部8における傾斜煉瓦部20の少なくとも一部(一層煉瓦部25の少なくとも一部)は、冷却領域22に配置されたウェア煉瓦5によって構成されている。さらに、炉口リング19の第1押さえ部51に関して、第1部分51aと傾斜煉瓦部20との距離D1は、第2部分51bと傾斜煉瓦部20との距離D2よりも短い。この構成によれば、転炉1による精錬時には、冷却部18によって傾斜煉瓦部20を冷却することで傾斜煉瓦部20のスポーリングを抑制でき、且つ、地金除去作業時には、衝撃を受けた場合でも傾斜煉瓦部20および傾斜側第3不定形耐火物33の脱落を抑制できる。このように、転炉1の操業時における熱膨張に起因する傾斜煉瓦部20の脱落をより確実に抑制でき、且つ、転炉1の地金除去作業時における傾斜煉瓦部20の脱落をより確実に抑制できるという、本実施形態に特有の相乗効果を発揮できる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。なお、以下では、上述の実施形態と異なる構成について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成については図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
(1)上述の実施形態では、炉口リング19の第1押さえ部51にテーパ面51cが形成される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。図4は、変形例の主要部を示す断面図である。図4を参照して、本変形例では、炉口リング19には、鉤状部39に代えて鉤状部39Aが設けられている。鉤状部39Aは、周方向C1の全域に亘って形成されており、鉛直断面において矩形状に形成されている。第1押さえ部51Aは、仮想面H1と平行に延びている。第1押さえ部51Aの第1部分51aAは、鉤状部39Aの下面に形成されている。第1押さえ部51Aの第2部分51bAは、炉口リング19の対向部42Aのうち、鉤状部39Aが形成される平坦なベース部分に形成されている。なお、第1部分51aAは、径方向R1の内方に進むに従い第2傾斜面30b側に進むように傾斜していてもよい。
この変形例においても、第1押さえ部51Aの第1部分51aAによって開口部56が狭くされている。これにより、傾斜側第3不定形耐火物33および傾斜煉瓦部20が脱落することをより確実に抑制できる。
炉口リング19に鉤状部39(第1押さえ部51)を設けた場合の効果を検証するために、実施形態の転炉1を実施例として準備した。また、転炉1の第1押さえ部51について、第1部分51aを第2部分51bから延び仮想面H1と平行な面とするとともに、傾斜煉瓦部の全てをパーマ煉瓦とウェア煉瓦の二層煉瓦構造にした転炉を、比較例として準備した。比較例の炉口リングは、図4に示す変形例において、鉤状部39Aを廃止し、第2押さえ部52Aを炉口リング19の先端面38まで延ばした構成に相当する。
実施例の構成は、以下の通りである。
(転炉の寸法)
転炉1の全高:11500mm
直胴部7の直径:7990mm
炉口部9における溶銑を受け入れる上端面の開口部の直径:3900mm
(ウェア煉瓦の組成および傾斜側不定形耐火物の化学組成)
MgO-C煉瓦であるウェア煉瓦5の組成は、以下の通りである。
MgO:78質量%
C:15質量%
傾斜側第2不定形耐火物32(C含有不定形耐火物)の組成は、以下の通りである。
MgO:38質量%
C:52質量%
(炉口リングのテーパ面の傾斜角度、および、最上段の炉口側ウェア煉瓦の第1傾斜面の傾斜角度)
炉口リング19のテーパ面51cの傾斜角度a:12度
炉口側ウェア煉瓦29の第1傾斜面30aの傾斜角度b:0度
(アンカーの数および寸法)
アンカー40,41は、周方向C1に9度ピッチでそれぞれ40個設けられている。各アンカー40,41の直径φ=40mmである。
(傾斜煉瓦部の損耗速度について)
実施例および比較例について、傾斜煉瓦部20が損耗する速度を測定した。結果を図5(A)に示す。図5(A)は、傾斜煉瓦部20の損耗速度指数を示す棒グラフである。図5(A)に示すように、比較例における傾斜煉瓦部の損耗速度を100としたとき、実施例の傾斜部8の損耗速度は、64に過ぎない。
(最上段の炉口側ウェア煉瓦が脱落する確率について)
実施例および比較例について、転炉1を操業したときに、炉口側ウェア煉瓦29が脱落する確率を測定した。実施例については、ウェア煉瓦5を21回新品に交換するまでの間(21サイクルの間)、転炉1を操業したときに、炉口側ウェア煉瓦29が脱落した回数を、確率として算出した。具体的には、((炉口側ウェア煉瓦29の脱落が発生したサイクル数)/21サイクル)を百分率で表示した。また、比較例については、ウェア煉瓦を95回新品に交換するまでの間(95サイクルの間)、転炉を操業したときに、炉口側ウェア煉瓦が脱落した回数を、確率として算出した。具体的には、((炉口側ウェア煉瓦の脱落が発生したサイクル数)/95サイクル)を百分率で表示した。結果を図5(B)に示す。図5(B)は、最上段の炉口側ウェア煉瓦29が溶銑貯留空間14に向けて脱落する確率を示す棒グラフである。図5(B)に示すように、比較例においては、最上段の炉口側ウェア煉瓦が脱落する確率(95サイクル中、炉口側ウェア煉瓦の脱落が発生したサイクルの割合)は、55%と高い値となった。一方、実施例では、炉口側ウェア煉瓦29の脱落は一切発生しなかった(21サイクル中、炉口側ウェア煉瓦29の脱落が発生したサイクルは無し)。
(傾斜煉瓦部が脱落する確率について)
実施例および比較例について、最上段の炉口側ウェア煉瓦29が脱落する確率を測定したときと同じ条件で、傾斜煉瓦部20の少なくとも一部が脱落する確率を測定した。結果を図5(C)に示す。図5(C)は、傾斜煉瓦部20が溶銑貯留空間14に向けて脱落する確率を示す棒グラフである。図5(C)に示すように、比較例においては、傾斜煉瓦部が脱落する確率は、65%と高い値となった。一方、実施例では、傾斜煉瓦部20の脱落は一切発生しなかった。
以上の次第で、実施例は、傾斜煉瓦部20の損耗速度が遅く、炉口側ウェア煉瓦29を含む傾斜煉瓦部20が極めて脱落し難いことが、実証された。