JP7208839B2 - 穀物種子由来の接着剤およびブリケット - Google Patents
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Description
本実施形態の穀物種子由来の接着剤は、焙煎処理された外皮付き穀物種子の粉砕物を含み、60~90質量%の水分を有する。焙煎処理された外皮付き穀物種子は、粉砕前の湿潤状態で1.35~4.00Nの圧壊強度を有する。以下、詳細に説明する。
外皮付き穀物種子は、デンプン質を多く含む穀物の種子であり、外皮と、外皮によって覆われた胚乳、胚芽等の要素を含む。原料となる穀物種子が外皮を含むことにより、穀物種子が吸収する水分の量を調整することができる。また、穀物種子が外皮を含むことにより、湿潤状態において、一定の圧壊強度を実現することができる。
本実施形態では、粉砕前に外皮付き穀物種子を焙煎処理することによって、穀物種子の細胞内組織を凝集させてスポンジ状にする。細胞内組織がスポンジ状となっている外皮付き穀物種子は、多くの水分を吸収し、圧縮した際に容易に変形する。
外皮付き穀物種子は、湿潤状態で粉砕することが好ましい。本実施形態において、外皮付き穀物種子は、飲料成分を抽出するための原料であることが好ましい。この外皮付き穀物種子から、例えば水、熱水等を用いて飲料成分が抽出される。飲料成分が抽出された後に残滓として残っている焙煎された外皮付き穀物種子は、湿潤状態であるため、そのまま、粉砕工程に移すことができる。
湿潤状態である外皮付き穀物種子は、粉砕されて粉砕物となる。外皮付き穀物種子を粉砕するための手法は、例えば、ピンミル、コロイドミル、摩砕機、リファイナーやミキサー等の攪拌粉砕機を用いて行なう方法を挙げることができるがこれに限定されない。
本実施形態の接着剤は、水分を60~90質量%含んでいる。穀物種子由来の接着剤に含まれる水分は、粉砕前の湿潤状態の外皮付き穀物種子が含有している水分と外皮付き穀物種子の粉砕物を製造する工程において新たに加えられた水との合計である。
本実施形態に係る穀物種子由来の接着剤は、上記第1実施形態と比べると、外皮付き穀物種子として大麦の種子を採択した点で異なる。その他の構成および工程は、第1実施形態と同様であるためその詳しい説明を省略する。
本実施形態は、大麦の種子由来の接着剤である。焙煎穀物飲料である麦茶は、大麦の種子を原料とする止渇性飲料の代表例である。焙煎穀物飲料である麦茶は、夏場を中心に、止渇を目的に飲用されている。
焙煎された大麦の種子は、飲料成分が抽出される過程で、湿潤状態となる。焙煎された大麦の種子の飲料成分を抽出する手法としては、例えば、浸漬抽出、ドリップ抽出、シャワーリング等による手法を挙げることができるが、これに限定されない。抽出する温度は、例えば、60~100℃であるが、飲料成分を抽出することができる温度であれば、特に限定されない。
第1又は第2の実施形態の接着剤を用いて、粉末を固めてなるブリケットも本発明に含まれる。粉末は、石炭や木炭等の粉末や金属粉末などを含む。第1又は第2実施形態の接着剤は、穀物種子由来であり、適度な接着力を有するので、石炭や木炭等の燃料粉末を固化するための結着剤として最適である。なお、ブリケットには、石炭や木炭等の燃料粉末を固化して燃料化する目的、金属粉末を固化して自身に含まれる炭素分が還元剤化する目的以外にも、粉状だと難しいリサイクル・運搬などを目的としたものもある。残滓等の廃棄物を接着剤に活用する場合は、純度や取扱いの基準が緩やかな燃料として用いるブリケットが適しているが、これに限定されない。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせた組成物も、本発明の範疇に含まれる。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではない。以下の実施例1~10および比較例1~3の穀物種子由来の接着剤を製造し、引張り強度試験を行った。
(大麦の残滓の製造)
焙煎処理した六条大麦(品種:レガシー)の飲料成分を90℃の熱水を用いて抽出した。焙煎処理した六条大麦と熱水の割合は、焙煎処理した六条大麦15gに対して90℃の熱水1000mlとした。焙煎処理した六条大麦を90℃の温水に30分間浸漬し、六条大麦の飲料成分を抽出した。飲料成分が抽出された後の六条大麦を湿潤状態の六条大麦(麦残滓)とした。
湿潤状態の六条大麦の種子(麦残滓)に20gの水147gを加えて、麦残滓と加えられた水の合計の質量に対する水分量が88質量%となるように調製し、大麦の種子由来の接着剤の原料とした。接着剤の原料をジューサーミキサー(National製、MJ-W90)に投入して3分間湿式粉砕した。
図1Aは、大麦の種子由来の接着剤を用いて、被接着体を接着する前の状態を示した写真である。図1Aに示されるように、被接着体として紙(パルプ)を採択し、実施例1~5で製造された大麦の種子由来の接着剤を一定量塗布した。
実施例1~5において、製造された大麦の種子由来の接着剤の引張り強度(紙の場合)を測定した結果を表1に示す。なお、表1には、参考例として市販の不易糊(とうもろこし)の引張り強度も示した。
図2Aは、大麦の種子由来の接着剤を用いて、被接着体を接着する前の状態を示した写真である。図2Aに示されるように、被接着体として木材を採択し、実施例1~5で製造された大麦の種子由来の接着剤を一定量塗布した。図2Bは、大麦の種子由来の接着剤を用いて、木材を接着した後の状態を示した写真である。図2Bに示されるように、大麦の種子由来の接着剤が塗布された部分に別の木材を重ねた後、圧力をかけて静置して2本の木材を接着した。2本の木材が接着したことを確認した後、2本の木材を引張ることにより引張り強度を測定した。製造された大麦の種子由来の接着剤の引張り強度(木材の場合)を測定結果した結果を表1に示す。なお、表1には、参考例として市販の不易糊(とうもろこし)の引張り強度も示した。
実施例6~10は、六条大麦の焙煎処理条件として、焙煎条件2~6を採用することにより、粉砕L*値を変化させて、大麦の種子由来の接着剤を製造した。焙煎条件2~6は、具体的に以下の通りである。
焙煎条件2:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温160℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*値は、58.6であった。
焙煎条件3:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温193.6℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*値は、47.3であった。
焙煎条件4:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温204.8℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*値は、38.7であった。
焙煎条件5:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温225.2℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*は、36.3であった。
焙煎条件6:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温234.4℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*は、22.9であった。
比較例1~2は、六条大麦の焙煎処理条件として、焙煎条件7~8を採用することにより、粉砕L*値を変化させて、大麦の種子由来の接着剤を製造した。比較例3は、大麦の種子由来の接着剤から大麦の粒子を全て除去して大麦の種子由来の接着剤を製造した。また、実施例1と同様にして、比較例1~3の大麦の種子由来の接着剤の引張強度を評価した。評価結果を表1に示す。なお、焙煎条件7~8は、具体的に以下の通りである。
焙煎条件7:未焙煎の大麦を用いた。未焙煎の六条大麦の粉砕L*値は、70.6であった。
焙煎条件8:焙煎条件1と同様に大麦を焙煎し、品温242.7℃で取り出した。得られた六条大麦の粉砕L*値は、17.1であった。
実施例1で得られた大麦の種子由来の接着剤から大麦の粒子を全て除去したものを比較例2の大麦の種子由来の接着剤とした。
(ブリケットの結着剤としての利用)
大麦の種子由来の接着剤は、燃料粉末を固めることができるので、ブリケットの結着剤として用いることもできる。ブリケットの結着剤を以下のように製造した。焙煎された大麦の種子に含まれる飲料成分を抽出した後に排出された湿潤状態の焙煎された大麦(含水の麦残滓:水分率70%)を準備した。湿潤状態の焙煎された大麦の種子に、さらに水を加えて、家庭用ミキサーを用いて10分間粉砕してブリケットの結着剤の原料を得た。なお、焙煎された大麦の種子は、実施例9の焙煎条件5で得られた六条大麦(粉砕L*値 36.3)を用いた。
製造されたタブレット型のブリケットの評価を行なった。タブレット型のブリケットの圧壊強度を測定した。圧壊強度は、六条大麦の測定と同様にタブレット型のブリケットの上から荷重を加えて破壊までの荷重の最大値(単位:N)を試験例1~5として5回測定した。なお、タブレット型のブリケットを10mm角の立方体に切り出し、デジタルフォースゲージのA型アタッチメントをサンプルの上面に押し当てるようにして圧壊強度を測定した。測定結果を表3に示す。
実施例12~14では、ブリケットの結着剤に含まれる水分量を変化させた以外は、実施例11と同様にして、接着剤としてのブリケットの結着剤を製造した。ブリケットの結着剤に含まれる水分量は、実施例12(60%)、実施例13(75%)、実施例14(90%)となるように調整した。各実施例で製造されたブリケットの結着剤を用いて、タブレット型のブリケットを製造し、その圧壊強度を各試験例1~5として5回測定し、試験例1~5の平均値を算出した。
比較例4~5では、ブリケットの結着剤に含まれる水分量を変化させた以外は、実施例11と同様にして、接着剤としてのブリケットの結着剤を製造した。ブリケットの結着剤に含まれる水分量は、比較例4(98%)、比較例5(50%)とした。各比較例で製造されたブリケットの結着剤を用いて、タブレット型のブリケットを製造し、その圧壊強度を各試験例1~5として5回測定し、試験例1~5の平均値を算出した。表4に、実施例11~14、比較例4~5のタブレット型のブリケットが有する圧壊強度の平均値とブリケットの結着剤に含まれる水分との関係を示した。
Claims (7)
- 外皮付き穀物種子をL * 値20~60で焙煎後に粉砕した粉砕物を含む接着剤であって、水分を60~90質量%含む穀物種子由来の接着剤。
- 前記粉砕物は、湿潤状態でJIS Z8841-1993に準じた圧壊強度試験によって測定された圧壊強度が1.35~4.00Nである前記外皮付き穀物種子を粉砕して形成される請求項1に記載の接着剤。
- 前記粉砕物は、JIS Z8801-1:2006に規定する目開き850μmの篩いを通過する粒径を有する請求項1または2に記載の接着剤。
- 前記穀物種子は、大麦の種子を50質量%以上含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接着剤。
- 前記粉砕物は、大麦の種子を焙煎して麦茶を抽出した後の残滓を粉砕したものである請求項1に記載の接着剤。
- 前記粉砕物は、前記大麦の種子を焙煎して熱水処理をすることにより麦茶を抽出した後の残滓を粉砕したものである請求項5に記載の接着剤。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接着剤で燃料粉末を固めてなるブリケット。
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