以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
まず、本明細書で用いられる置換基について説明する。ハロゲン原子(ハロゲン基)としては、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)、及びヨウ素原子(ヨード基)が挙げられる。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、各々、特記なき限り、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上10以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基及び3-エチルブチル基、直鎖状及び分枝鎖状のヘプチル基、直鎖状及び分枝鎖状のオクチル基、直鎖状及び分枝鎖状のノニル基、並びに直鎖状及び分枝鎖状のデシル基が挙げられる。炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、各々、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、該当する炭素原子数を有する基である。
炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、特記なき限り、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、1-メチルブトキシ基、2-メチルブトキシ基、3-メチルブトキシ基、1-エチルプロポキシ基、2-エチルプロポキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、n-ヘキシルオキシ基、1-メチルペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、3,3-ジメチルブトキシ基、1,1,2-トリメチルプロポキシ基、1,2,2-トリメチルプロポキシ基、1-エチルブトキシ基、2-エチルブトキシ基、3-エチルブトキシ基、直鎖状及び分枝鎖状のヘプチルオキシ基、並びに直鎖状及び分枝鎖状のオクチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、各々、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、該当する炭素原子数を有する基である。
アリール基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、及び炭素原子数6以上10以下のアリール基は、各々、特記なき限り、非置換である。アリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。炭素原子数6以上10以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、及びナフチル基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基は、特記なき限り、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、インダセニルオキシ基、ビフェニレニルオキシ基、アセナフチレニルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、及びフルオレニルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、特記なき限り、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、1つ以上3つ以下の二重結合を有する。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、及びヘキサトリニル基が挙げられる。
複素環基、及び炭素原子数3以上14以下の複素環基は、各々、特記なき限り、非置換である。複素環基は、例えば、炭素原子数3以上14以下の複素環基である。炭素原子数3以上14以下の複素環基としては、例えば、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、1H-インダゾリル基、イソインドリル基、クロメニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基、プテリジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、4H-キノリジニル基、ナフチリジニル基、ベンゾフラニル基、1,3-ベンゾジオキソリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナジニル基、及びフェナントロリニル基が挙げられる。
アラルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、各々、特記なき限り、非置換である。アラルキル基は、例えば、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基で置換された炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。炭素原子数7以上12以下のアラルキル基は、例えば、フェニル基で置換された炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。
炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基、及び炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基は、各々、特記なき限り、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基は、例えば、炭素原子数6以上14以下のアリール基で置換された炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基である。炭素原子数7以上10以下のアラルキル基は、例えば、フェニル基で置換された炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基である。以上、本明細書で用いられる置換基について説明した。
<電子写真感光体>
本実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1~図3を参照して、本実施形態の感光体1の構造について説明する。図1~図3は、各々、感光体1の部分断面図を示す。
図1に示すように、感光体1は、例えば、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層である。感光体1は、単層の感光層3を備える単層型電子写真感光体である。
図2に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に設けられる。図1に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、図2に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して備えられてもよい。
図3に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3と、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、感光層3上に設けられる。図1及び図2に示すように、感光層3が、感光体1の最表面層として備えられてもよい。或いは、図3に示すように、保護層5が、感光体1の最表面層として備えられてもよい。
感光層3は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料とを含有する。
感光層3の厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。以上、図1~図3を参照して、感光体1の構造について説明した。以下、感光体について、更に説明する。
(バインダー樹脂)
感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂を含有する。ポリアリレート樹脂は、少なくとも1種の一般式(1)で表される繰り返し単位と、少なくとも1種の一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む。以下、少なくとも1種の一般式(1)で表される繰り返し単位と、少なくとも1種の一般式(2)で表される繰り返し単位とを含むポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(PA)と記載することがある。また、一般式(1)及び(2)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(1)及び(2)と記載することがある。
一般式(1)中、aは、1又は2を表す。一般式(2)中、Xは、化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、又は(X5)で表される二価の基を表す。
ポリアリレート樹脂(PA)は所定の化学構造を有する。このようなポリアリレート樹脂(PA)を感光層が含有することで、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。また、ポリアリレート樹脂(PA)が所定の化学構造を有するため、感光層の密度を高めることができる。このため、帯電電位を低下させる物質(例えば、ガス)が感光層内に侵入し難くなり、感光体の帯電安定性が向上する。本明細書において、感光体の帯電安定性とは、感光体を備える画像形成装置を用いて、繰り返し画像を印刷した場合であっても、感光体の帯電電位が低下し難い特性をいう。
一般式(1)中、aは、2を表すことが好ましい。一般式(2)中、Xは、化学式(X1)、(X3)、(X4)、又は(X5)で表される二価の基を表すことが好ましい。
繰り返し単位(1)の好適な例としては、化学式(1-1)、及び(1-2)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下、化学式(1-1)、及び(1-2)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(1-1)、及び(1-2)と記載することがある。
繰り返し単位(2)の好適な例としては、化学式(2-X1)、(2-X2)、(2-X3)、(2-X4)、及び(2-X5)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下、化学式(2-X1)、(2-X2)、(2-X3)、(2-X4)、及び(2-X5)で表される繰り返し単位を、各々、繰り返し単位(2-X1)、(2-X2)、(2-X3)、(2-X4)、及び(2-X5)と記載することがある。繰り返し単位(2)のより好適な例としては、繰り返し単位(2-X1)、(2-X3)、(2-X4)、及び(2-X5)が挙げられる。
ポリアリレート樹脂(PA)の一例は、繰り返し単位(1-2)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(V)と記載する)である。ポリアリレート樹脂(V)としては、繰り返し単位として、繰り返し単位(1-2)、及び(2-X3)のみを含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(V’)と記載する)が好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)の別の例は、繰り返し単位(1-2)、及び(2-X5)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(IX)と記載する)である。ポリアリレート樹脂(IX)としては、繰り返し単位として、繰り返し単位(1-2)、及び(2-X5)のみを含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(IX’)と記載する)が好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-2)、(2-X1)、及び(2-X4)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(I)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-2)、(2-X1)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(II)と記載する)である。ポリアリレート樹脂(II)としては、繰り返し単位として、繰り返し単位(1-2)、(2-X1)、及び(2-X3)のみを含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(II’)と記載する)が好ましい。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-2)、(2-X4)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(III)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-2)、(2-X5)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(VIII)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-2)、(2-X5)、及び(2-X1)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(VI)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-1)、(2-X1)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(X)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の更に別の例は、繰り返し単位(1-1)、(1-2)、(2-X1)、及び(2-X3)を含むポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(XII)と記載する)である。
ポリアリレート樹脂(PA)の好適な例としては、化学式(R1)~(R12)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれをポリアリレート樹脂(R1)~(R12)と記載することがある)が挙げられる。なお、化学式(R1)~(R12)中、各繰り返し単位の右下に付された数字は、ポリアリレート樹脂に含まれる繰り返し単位の総数に対する、各繰り返し単位の数の百分率(%)を示す。ポリアリレート樹脂に含まれる繰り返し単位の総数は、ビスフェノール由来繰り返し単位の数と、ジカルボン酸由来繰り返し単位の数との合計である。
ポリアリレート樹脂(PA)は、1種又は2種の繰り返し単位(1)を含む。ポリアリレート樹脂(PA)が2種の繰り返し単位(1)を含む場合、一方の繰り返し単位(1)と他方の繰り返し単位(1)との総数に対する、一方の繰り返し単位(1)の数の比率は、10%以上90%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましく、40%以上60%以下であることが更に好ましく、55%以上60%以下であることが特に好ましい。2種の繰り返し単位(1)が繰り返し単位(1-1)及び(1-2)である場合、一方の繰り返し単位(1)は繰り返し単位(1-2)であり、他方の繰り返し単位(1)は繰り返し単位(1-1)である。
ポリアリレート樹脂(PA)は、1種以上5種以下の繰り返し単位(2)を含む。ポリアリレート樹脂(PA)は、少なくとも2種(例えば、2種以上5種以下)の繰り返し単位(2)を含むことが好ましく、2種の繰り返し単位(2)を含むことがより好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)が2種の繰り返し単位(2)を含む場合、一方の繰り返し単位(2)と他方の繰り返し単位(2)との総数に対する、一方の繰り返し単位(2)の数の比率は、10%以上90%以下であることが好ましく、30%以上80%以下であることがより好ましく、50%以上80%以下であることが更に好ましく、50%以上70%以下であることが特に好ましい。2種の繰り返し単位(2)が繰り返し単位(2-X3)及び(2-X4)である場合、一方の繰り返し単位(2)は繰り返し単位(2-X3)であり、他方の繰り返し単位(2)は繰り返し単位(2-X4)である。2種の繰り返し単位(2)が繰り返し単位(2-X1)及び(2-X3)である場合、一方の繰り返し単位(2)は繰り返し単位(2-X3)であり、他方の繰り返し単位(2)は繰り返し単位(2-X1)である。
上記一方の繰り返し単位(1)の数の比率、及び上記一方の繰り返し単位(2)の数の比率は、プロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA)の1H-NMRスペクトルを測定し、得られた1H-NMRスペクトルにおける各繰り返し単位に特徴的なピークの比率を算出することにより、得ることができる。
ポリアリレート樹脂(PA)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(1)及び(2)のみを含んでいてもよく、これら以外の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。感光層は、バインダー樹脂として、1種のポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよく、2種以上のポリアリレート樹脂(PA)を含有してもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)において、ビスフェノール由来繰り返し単位と、ジカルボン酸由来繰り返し単位とは、隣接して互いに結合している。ビスフェノール由来繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位(1)である。また、ジカルボン酸由来繰り返し単位は、例えば、繰り返し単位(2)である。ポリアリレート樹脂(PA)は、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体であってもよい。
ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましく、40,000以上であることが一層好ましく、50,000以上であることが特に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量が10,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させることができる。一方、ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。ポリアリレート樹脂(PA)の粘度平均分子量が80,000以下であると、ポリアリレート樹脂(PA)が感光層形成用の溶剤に溶解し易くなる。
ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法は、特に限定されない。ポリアリレート樹脂(PA)の製造方法として、例えば、ビスフェノール由来繰り返し単位を構成するためのビスフェノールと、ジカルボン酸由来繰り返し単位を構成するためのジカルボン酸とを、縮重合させる方法が挙げられる。縮重合させるためには、公知の合成方法(例えば、溶液重合、溶融重合又は界面重合)を採用することができる。
ビスフェノール繰り返し単位を構成するためのビスフェノールとしては、例えば、一般式(BP-1)で表される化合物が挙げられる。ジカルボン酸繰り返し単位を構成するためのジカルボン酸としては、一般式(DC-2)で表される化合物が挙げられる。一般式(BP-1)中のaは、一般式(1)中のaと同義である。一般式(DC-2)中のXは、一般式(2)中のXと同義である。
ビスフェノールとジカルボン酸との縮重合において、塩基及び触媒の一方又は両方を添加してもよい。塩基の例としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。触媒の例としては、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、及びトリメチルアミンが挙げられる。
感光層は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA)のみを含有してもよい。また、感光層は、ポリアリレート樹脂(PA)に加えて、ポリアリレート樹脂(PA)以外のバインダー樹脂(以下、その他のバインダー樹脂と記載する)を更に含有してもよい。その他のバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(より具体的には、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂)、熱硬化性樹脂(より具体的には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びこれら以外の架橋性熱硬化性樹脂)、及び光硬化性樹脂(より具体的には、エポキシ-アクリル酸系樹脂、及びウレタン-アクリル酸系共重合体)が挙げられる。
(n型顔料)
n型顔料は、主たる電荷キャリアが電子である顔料である。なお、p型顔料は、主たる電荷キャリアが正孔である顔料である。感光層がn型顔料を含有することで、感光層内における電荷発生剤の分散性が向上し、均一な感光層を形成できる。このため、感光体の帯電安定性を向上できる。感光層がn型顔料とポリアリレート樹脂(PA)とを含有することで、感光体の帯電安定性の向上が顕著となる。n型顔料としては、例えば、アゾ顔料、及びペリレン顔料が挙げられる。
以下、n型顔料の一例であるアゾ顔料について説明する。アゾ顔料は、アゾ基(-N=N-)を有する。アゾ顔料としては、例えば、モノアゾ顔料、及びポリアゾ顔料(例えば、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、及びテトラキスアゾ顔料)が挙げられる。アゾ顔料は、互変異性体であってもよい。また、アゾ顔料は、アゾ基に加えて、塩素原子(クロロ基)を有していてもよい。
アゾ顔料としては、例えば、公知のアゾ顔料が挙げられる。アゾ顔料の好適な例としては、ピグメントイエロー(14、17、49、65、73、83、93、94、95、128、166、及び77)、ピグメントオレンジ(1、2、13、34、及び36)、及びピグメントレッド(30、32、61、及び144)が挙げられる。
アゾ顔料のより好適な例としては、化学式(A1)で表されるアゾ顔料(ピグメントイエロー128)、化学式(A2)で表されるアゾ顔料(ピグメントイエロー93)、化学式(A3)で表されるアゾ顔料(ピグメントオレンジ13)、及び化学式(A4)で表されるアゾ顔料(ピグメントイエロー83)が挙げられる。以下、化学式(A1)、(A2)、(A3)、及び(A4)で表されるアゾ顔料を、各々、アゾ顔料(A1)、(A2)、(A3)、及び(A4)と記載することがある。
次に、n型顔料の一例であるペリレン顔料について説明する。ペリレン顔料は、一般式(P-I)で表されるペリレン骨格を有する。一般式(P-I)中、Q40及びQ41は、各々独立に、2価の有機基を表す。
ペリレン顔料の第1の具体例としては、一般式(P-II)で表されるペリレン顔料が挙げられる。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。Z1及びZ2は、各々独立に、酸素原子、又は窒素原子を表す。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わす1価の有機基としては、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、置換されてもよいアラルキル基、置換されてもよいアリール基、及び置換されてもよい複素環基が挙げられる。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わす脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はこれらを組み合わせた構造の何れであってもよい。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であり、飽和であることが好ましい。一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わす脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基がより好ましい。炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が更に好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わすアルコキシ基としては、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が更に好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わすアラルキル基としては、炭素原子数7以上12以下のアラルキル基が好ましく、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、又はβ-ナフチルメチル基がより好ましく、ベンジル基、又はフェネチル基が更に好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わすアリール基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、炭素原子数6以上10以下のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わす複素環基としては、炭素原子数3以上14以下の複素環基が好ましく、ヘテロ原子として窒素原子を有する炭素原子数3以上14以下の複素環基がより好ましく、ピリジル基が更に好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43が表わすアラルキル基、アリール基、及び複素環基は、置換基により置換されていてもよい。このような置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、フェニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、又はフェニルアゾ基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基(例えば、メチル基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子)、又はフェニルアゾ基がより好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数3以上14以下の複素環基:炭素原子数7以上12以下のアラルキル基:炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子、又はフェニルアゾ基により置換されていてもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基;或いは、水素原子を表すことが好ましい。一般式(P-II)中、Q42及びQ43は、メチル基、エチル基、ピリジル基、ベンジル基、フェニルエチル基、エトキシ基、メトキシ基、フェニル基、ジメチルフェニル基(より好ましくは、3,5-ジメチルフェニル基)、クロロフェニル基(より好ましくは、4-クロロフェニル基)、フェニルアゾフェニル基(より好ましくは、4-フェニルアゾフェニル基)、又は水素原子を表すことがより好ましい。Q42及びQ43は、互いに同一であることが好ましい。
一般式(P-II)中、Q42及びQ43は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基により置換されていてもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。一般式(P-II)中、Q42及びQ43は、メチル基、フェニル基、ジメチルフェニル基(より好ましくは、3,5-ジメチルフェニル基)を表すことがより好ましい。Q42及びQ43は、互いに同一であることが好ましい。Q42及びQ43は、互いに同一であることが好ましい。
ペリレン顔料の第2の具体例としては、一般式(P-III)で表される化合物が挙げられる。
一般式(P-III)中、Q44~Q47は、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。Q44とQ45とは、互いに結合して環を形成してもよい。Q46とQ47とは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(P-III)中のQ44~Q47が表わす1価の有機基は、一般式(P-II)中のQ42及びQ43が表わす1価の有機基と同義である。
Q44とQ45とが互いに結合して形成される環、及びQ46とQ47とが互いに結合して形成される環としては、例えば、芳香族炭化水素環、芳香族複素環、脂環式炭化水素環、及び脂環式複素環が挙げられる。Q44とQ45とが互いに結合して形成される環、及びQ46とQ47とが互いに結合して形成される環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又はテトラヒドロナフタレン環が好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。Q44とQ45とが互いに結合して形成されるベンゼン環及びナフタレン環は、各々、Q44とQ45とが結合しているイミダゾール環と、縮合している。Q46とQ47とが互いに結合して形成されるベンゼン環及びナフタレン環は、各々、Q46とQ47とが結合しているイミダゾール環と、縮合している。
Q44とQ45とが互いに結合して形成される環、及びQ46とQ47とが互いに結合して形成される環は、各々、置換基により置換されていてもよい。このような置換基としては、ハロゲン原子が好ましく、塩素原子又はフッ素原子がより好ましい。
一般式(P-III)中、Q44とQ45とは、互いに結合して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素環を形成していることが好ましい。Q46とQ47とは、互いに結合して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素環を形成していることが好ましい。
一般式(P-III)中、Q44とQ45とは、互いに結合して、ベンゼン環、クロロベンゼン環、フルオロベンゼン環、又はナフタレン環を形成していることが好ましい。Q46とQ47とは、互いに結合して、ベンゼン環、クロロベンゼン環、フルオロベンゼン環、又はナフタレン環を形成していることが好ましい。
ペリレン顔料のより好適な例としては、下記化学式(P1)~(P17)で表されるペリレン顔料(以下、それぞれを、ペリレン顔料(P1)~(P17)と記載することがある)が挙げられる。なお、化学式(P5)中のピリジル基、及び化学式(P12)中のフルオロ基の置換位置は特に限定されない。
ペリレン顔料(P1)~(P3)、(P5)、(P6)、(P9)、(P10)、(P11)、及び(P14)~(P17)は、一般式(P-II)で表されるペリレン顔料の好適な例である。ペリレン顔料(P4)、(P7)、(P8)、及び(P12)は、一般式(P-III)で表されるペリレン顔料の好適な例である。ペリレン顔料(P13)は、一般式(P-II)及び(P-III)で表されるペリレン顔料以外のペリレン顔料の好適な例である。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、ペリレン顔料としては、ペリレン顔料(P1)、(P2)、又は(P3)が好ましい。
なお、n型顔料は、ペリレン顔料、及びアゾ顔料以外のn型顔料(以下、その他のn型顔料と記載することがある)であってもよい。その他のn型顔料としては、例えば、多環キノン系顔料、スクアリリウム系顔料、ピランスロン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクドリン系顔料、ピラゾロン系顔料、及びベンズイミダゾロン系顔料が挙げられる。
感光層は、1種のn型顔料のみを含有してもよく、2種以上のn型顔料を含有してもよい。感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるために、n型顔料の含有量は、1.00質量部の電荷発生剤に対して、0.00質量部より大きいことが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.50質量部以上であることが更に好ましい。感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるために、n型顔料の含有量は、1.00質量部の電荷発生剤に対して、3.00質量部以下であることが好ましく、2.70質量部以下であることがより好ましく、2.00質量部以下であることが更に好ましく、1.00質量部以下であることが特に好ましい。感光層が2種以上のn型顔料を含有する場合、この含有量は、2種以上のn型顔料の合計含有量を意味する。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、1重項消光剤、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、電子アクセプター化合物、及びレベリング剤が挙げられる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン-テルル、セレン-ヒ素、硫化カドミウム、及びアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、及びキナクリドン系顔料が挙げられる。感光層は、電荷発生剤の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン、及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CGM-1)で表される。チタニルフタロシアニンは、化学式(CGM-2)で表される。
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、及びY型結晶(以下、それぞれをα型、β型、及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。このような電荷発生剤は、700nm以上の波長領域で高い量子収率を有するだけでなく、n型顔料との相互作用によって感光層内に好適に分散する。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有していない。
CuKα特性X線回折スペクトルは、例えば、次の方法によって測定できる。まず、試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
電荷発生剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
(電子輸送剤)
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8-トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。感光層は、1種の電子輸送剤のみを含有してもよく、2種以上の電子輸送剤を含有してもよい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、電子輸送剤の好適な例としては、下記一般式(10)、(11)、(12)、(13)、及び(14)で表される化合物(以下、それぞれを、電子輸送剤(10)、(11)、(12)、(13)、及び(14)と記載することがある)が挙げられる。
一般式(10)中、Q1、Q2、Q3、及びQ4は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は炭素原子数7以上20以下のアラルキル基を表す。
一般式(10)中、Q1、Q2、Q3、及びQ4は、各々独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。Q1、及びQ4は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、Q2、及びQ3は、水素原子を表すことがより好ましい。Q1、Q2、Q3、及びQ4が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、1,1-ジメチルプロピル基がより好ましい。
一般式(11)中、Q5は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。Q6は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、又は炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表す。Q7は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。vは、0以上4以下の整数を表す。
一般式(11)中、Q5は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。Q6は、炭素原子数7以上20以下のアラルキルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数7以上10以下のアラルキルオキシ基を表すことがより好ましく、ベンジルオキシ基を表すことが更に好ましい。vは、0を表すことが好ましい。
一般式(12)中、Q8、及びQ9は、各々独立に、少なくとも1つの炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(12)中、Q8及びQ9は、各々独立に、2つ以上5つ以下(例えば、2つ)の炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換された炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、2つ以上5つ以下(例えば、2つ)の炭素原子数1以上3以下のアルキル基で置換されたフェニル基を表すことがより好ましく、エチルメチルフェニル基を表すことが更に好ましく、2-エチル-6-メチルフェニル基を表すことが特に好ましい。
一般式(13)中、Q10、Q11、Q12、及びQ13は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は炭素原子数3以上14以下の複素環基を表す。
一般式(13)中、Q10、Q11、Q12、及びQ13は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はtert-ブチル基を表すことが更に好ましい。
一般式(14)中、Q14、Q15、及びQ16は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(14)中、Q14、及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことがより好ましく、tert-ブチル基を表すことが更に好ましい。Q16は、ハロゲン原子で置換された炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、ハロゲン原子で置換されたフェニルを表すことがより好ましく、クロロフェニル基を表すことが更に好ましく、4-クロロフェニル基を表すことが特に好ましい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、電子輸送剤のより好適な例としては、化学式(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)、及び(ET5)で表される化合物(以下、それぞれを、電子輸送剤(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)、及び(ET5)と記載することがある)が挙げられる。
なお、電子輸送剤(ET1)は、電子輸送剤(10)の好適な例である。電子輸送剤(ET2)は、電子輸送剤(11)の好適な例である。電子輸送剤(ET3)は、電子輸送剤(12)の好適な例である。電子輸送剤(ET4)は、電子輸送剤(13)の好適な例である。電子輸送剤(ET5)は、電子輸送剤(14)の好適な例である。
電子輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上150質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5-ジ(4-メチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、スチリル化合物(例えば、9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1-フェニル-3-(p-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、及びトリアゾール系化合物が挙げられる。感光層は、1種の正孔輸送剤のみを含有してもよく、2種以上の正孔輸送剤を含有してもよい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、正孔輸送剤の好適な例としては、下記一般式(20)、(21)、(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、及び(27)で表される化合物(以下、それぞれを、正孔輸送剤(20)、(21)、(22)、(23)、(24)、(25)、(26)、及び(27)と記載することがある)が挙げられる。
一般式(20)中、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又はフェニル基を表す。R17及びR18は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又はフェニル基を表す。b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。b5及びb6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。d及びeは、各々独立に、0又は1を表す。
一般式(20)中、b1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR11は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR12は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR13は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。b4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR14は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。b5が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR15は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。b6が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR16は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(20)中、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はエチル基を表すことが更に好ましい。R17及びR18は、水素原子を表すことが好ましい。b1、b2、b3、及びb4は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。b5及びb6は、0を表すことが好ましい。既に述べたように、d及びeは、各々独立に、0又は1を表す。
一般式(21)中、R20は、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。R21、R22、及びR23は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。f1、f2、及びf3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。f4は、0又は1を表す。
一般式(21)中、f1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR21は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。f2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR22は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。f3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR23は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(21)中、R20は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。R21、R22、及びR23は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。f1、f2、及びf3は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。既に述べたように、f4は、0又は1を表す。
一般式(22)中、R31、R32、R33、R34、及びR35は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。g1、g2、g3、g4、及びg5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
一般式(22)中、g1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR31は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。g2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR32は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。g3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR33は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。g4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR34は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。g5が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR35は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(22)中、R31、R32、R33、R34、及びR35は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。g1、g2、g3、g4、及びg5は、1を表すことが好ましい。
一般式(23)中、R41、R42、R43、R44、R45、及びR46は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。h1、h2、h4、及びh5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。h3及びh6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(23)中、h1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR41は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。h2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR42は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。h4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR44は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。h5が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR45は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。h3が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR43は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。h6が2以上4以下の整数を表すとき、複数のR46は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(23)中、R41、R42、R43、R44、R45、及びR46は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はエチル基を表すことが更に好ましい。h1、h2、h4、及びh5は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。h3及びh6は、0を表すことが好ましい。
一般式(24)中、R61、R62、及びR63は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R64、R65、及びR66は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。
一般式(24)中、R61、R62、及びR63は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが更に好ましい。R64、R65、及びR66は、水素原子を表すことが好ましい。
一般式(25)中、R71、R72、R73、及びR74は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。j1、j2、j3、及びj4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。j5は、0又は1を表す。
一般式(25)中、j1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR71は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。j2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR72は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。j3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR73は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。j4が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR74は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(25)中、R71、R72、R73、及びR74は、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。j1、j2、j3、及びj4は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。既に述べたように、j5は、0又は1を表す。
一般式(26)中、R81、R82、及びR83は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。R84及びR85は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。k1、k2、及びk3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。k4及びk5は、各々独立に、1又は2を表す。
一般式(26)中、k1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR81は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。k2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR82は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。k3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR83は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(26)中、R81、R82、及びR83は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基、エチル基、又はn-ブチル基を表すことが更に好ましい。R84及びR85は、水素原子を表すことが好ましい。k1、k2、及びk3は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。既に述べたように、k4及びk5は、各々独立に、1又は2を表す。
一般式(27)中、R91、R92、及びR93は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R94は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又は水素原子を表す。v1、v2、及びv3は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
一般式(27)中、v1が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR91は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。v2が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR92は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。v3が2以上5以下の整数を表すとき、複数のR93は互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
一般式(27)中、R94は、水素原子を表すことが好ましい。v1、v2、及びv3は、0を表すことが好ましい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、正孔輸送剤のより好適な例としては、化学式(HT1)、(HT2)、(HT3)、(HT4)、(HT5)、(HT6)、(HT7)、(HT8)、(HT9)、(HT10)、(HT11)、(HT12)、(HT13)、及び(HT14)で表される化合物(以下、それぞれを、正孔輸送剤(HT1)、(HT2)、(HT3)、(HT4)、(HT5)、(HT6)、(HT7)、(HT8)、(HT9)、(HT10)、(HT11)、(HT12)、(HT13)、及び(HT14)と記載することがある)が挙げられる。
なお、正孔輸送剤(HT1)及び(HT2)は、各々、正孔輸送剤(20)の好適な例である。正孔輸送剤(HT3)及び(HT4)は、各々、正孔輸送剤(21)の好適な例である。正孔輸送剤(HT5)は、正孔輸送剤(22)の好適な例である。正孔輸送剤(HT6)及び(HT7)は、各々、正孔輸送剤(23)の好適な例である。正孔輸送剤(HT8)は、正孔輸送剤(24)の好適な例である。正孔輸送剤(HT9)、(HT10)、及び(HT11)は、各々、正孔輸送剤(25)の好適な例である。正孔輸送剤(HT12)及び(HT13)は、各々、正孔輸送剤(26)の好適な例である。正孔輸送剤(HT14)は、正孔輸送剤(27)の好適な例である。
正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、65質量部以上であることが更に好ましい。正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、300質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましく、75質量部以下であることが更に好ましい。
(材料の組み合わせ)
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、n型顔料及びバインダー樹脂の組み合わせが、表1に示す組み合わせNo.D1~D33の各々であることが好ましい。同じ理由から、n型顔料及びバインダー樹脂の組み合わせが、表1に示す組み合わせNo.D1~D33の各々であり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、正孔輸送剤、n型顔料、及びバインダー樹脂の組み合わせが、表2に示す組み合わせNo.E1~E59の各々であることが好ましい。同じ理由から、正孔輸送剤、n型顔料、及びバインダー樹脂の組み合わせが、表2に示す組み合わせNo.E1~E59の各々であり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。
感光体の耐摩耗性及び帯電安定性を向上させるためには、正孔輸送剤、電子輸送剤、n型顔料、及びバインダー樹脂の組み合わせが、表3及び表4に示す組み合わせNo.F1~F67の各々であることが好ましい。同じ理由から、正孔輸送剤、電子輸送剤、n型顔料、及びバインダー樹脂の組み合わせが、表3に示す組み合わせNo.F1~F67の各々であり、電荷発生剤がY型チタニルフタロシアニンであることが好ましい。
なお、表1~表4中、「No.」は「組み合わせNo.」を示し、「n型」は「n型顔料」を示し、「HTM」は「正孔輸送剤」を示し、「ETM」は「電子輸送剤」を示し、「樹脂」はバインダー樹脂であるポリアリレート樹脂を示す。
(導電性基体)
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
(中間層)
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑制できる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄、及び銅)の粒子、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、及び酸化亜鉛)の粒子、及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂の例は、既に述べたバインダー樹脂の例と同じである。中間層及び感光層を良好に形成するためには、中間層用樹脂は、感光層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
(感光体の製造方法)
次に、感光体の製造方法の一例を説明する。感光体の製造方法は、感光層形成工程を含む。感光層形成工程では、感光層を形成するための塗布液(以下、感光層用塗布液と記載することがある)を調製する。感光層用塗布液を導電性基体上に塗布する。次いで、塗布した感光層用塗布液に含有される溶剤の少なくとも一部を除去して感光層を形成する。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料と、溶剤とを含有する。感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、n型顔料とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、感光層用塗布液に含有される各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n-ヘキサン、オクタン、及びシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、及びクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、及びジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル、及び酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光層用塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
感光層用塗布液を塗布する方法は、感光層用塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、及びバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液に含有される溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理の温度は、例えば、40℃以上150℃以下である。熱処理の時間は、例えば、3分以上120分以下である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に含んでいてもよい。中間層を形成する工程は、公知の方法を適宜選択することができる。
<画像形成装置>
次に、本実施形態の感光体1を備える、画像形成装置について説明する。以下、図4を参照しながら、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明する。図4は、画像形成装置の一例を示す断面図である。
図4に示す画像形成装置110は、画像形成ユニット40a、40b、40c、及び40dと、転写ベルト50と、定着装置52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c、及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、像担持体100と、帯電装置42と、露光装置44と、現像装置46と、転写装置48と、クリーニング装置54とを備える。像担持体100は、本実施形態の感光体1である。
既に述べたように、本実施形態の感光体1は、耐摩耗性及び帯電安定性に優れる。従って、像担持体100として感光体1を備えることで、画像形成装置110は、耐久性に優れ、記録媒体Pに良好な画像を形成することができる。
画像形成ユニット40の中央位置に、像担持体100が設けられる。像担持体100は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体100の周囲には、像担持体100の回転方向の上流側から記載された順に、帯電装置42と、露光装置44と、現像装置46と、転写装置48と、クリーニング装置54とが設けられる。
画像形成ユニット40a~40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
帯電装置42は、像担持体100の表面(例えば、周面)を、正極性に帯電させる。帯電装置42は、例えば、スコロトロン帯電器である。
露光装置44は、帯電された像担持体100の表面に光を照射する。即ち、露光装置44は、帯電された像担持体100の表面を露光する。これにより、像担持体100の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置110に入力された画像データに基づいて形成される。
現像装置46は、像担持体100の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。現像装置46は、像担持体100の表面と接触している。即ち、画像形成装置110は、接触現像方式を採用している。現像装置46は、例えば、現像ローラーである。現像剤が一成分現像剤である場合、現像装置46は、像担持体100に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。現像剤が二成分現像剤である場合、現像装置46は、像担持体100に形成された静電潜像に、二成分現像剤に含有されるトナーとキャリアとのうち、トナーを供給する。このようにして、像担持体100は、トナー像を担持する。
像担持体100の表面の所定領域が、露光位置PAを通過してから、現像位置PBに到達するまでの時間(以下、露光-現像時間と記載することがある)は、100ミリ秒以下である。露光位置PAは、露光装置44から照射された光が、像担持体100の表面に入射する位置である。現像位置PBは、像担持体100の表面が、現像装置46と当接する位置、又は現像装置46に最も接近する位置である。所定領域は、例えば、像担持体100の表面における一点である。
転写ベルト50は、像担持体100と転写装置48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写装置48は、現像装置46によって現像されたトナー像を、像担持体100の表面から、被転写体である記録媒体Pへ転写する。詳しくは、転写装置48がトナー像を像担持体100の表面から記録媒体Pへ転写するとき、像担持体100の表面と記録媒体Pとは、接触している。即ち、画像形成装置110は、直接転写方式を採用している。転写装置48は、例えば、転写ローラーである。
クリーニング装置54は、像担持体100の表面に付着しているトナーを回収する。クリーニング装置54は、ハウジング541、及びクリーニングローラー542を備える。なお、クリーニング装置54は、クリーニングブレードを備えていない。クリーニングローラー542は、ハウジング541内に配置される。クリーニングローラー542は、像担持体100の表面に当接するように、配置される。クリーニングローラー542は、像担持体100の表面を研磨して、像担持体100の表面に付着しているトナーをハウジング541内に回収する。
転写装置48によってトナー像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト50によって、定着装置52へ搬送される。定着装置52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。転写装置48によって転写された未定着のトナー像が、定着装置52によって、加熱及び/又は加圧される。トナー像が加熱及び/又は加圧されることにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、画像形成装置の一例について説明したが、画像形成装置は、上記画像形成装置110に限定されない。上記画像形成装置110はカラー画像形成装置であったが、画像形成装置はモノクロ画像形成装置であってもよい。この場合、画像形成装置は、例えば画像形成ユニットを1つだけ備えていればよい。また、上記画像形成装置110はタンデム方式を採用していたが、画像形成装置は例えばロータリー方式を採用してもよい。帯電装置42としてスコロトロン帯電器を例に挙げて説明したが、帯電装置はスコロトロン帯電器以外の帯電装置(例えば、帯電ローラー、帯電ブラシ、又はコロトロン帯電器)であってもよい。上記画像形成装置110は接触現像方式を採用していたが、画像形成装置は非接触現像方式を採用してもよい。上記画像形成装置110は直接転写方式を採用していたが、画像形成装置は中間転写方式を採用してもよい。画像形成装置が中間転写方式を採用する場合、被転写体は中間転写ベルトに相当する。上記クリーニング装置54はクリーニングローラー542を備えクリーニングブレードを備えていなかったが、クリーニングローラー542とクリーニングブレードとを備えるクリーニング装置であってもよい。なお、上記画像形成ユニット40は除電装置を備えていなかったが、画像形成ユニットは除電装置を更に備えていてもよい。
<プロセスカートリッジ>
図4を引き続き参照して、本実施形態の感光体1を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a~40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、像担持体100を備える。像担持体100は、本実施形態の感光体1である。既に述べたように、本実施形態の感光体1は、耐摩耗性及び帯電安定性に優れる。従って、像担持体100として感光体1を備えることで、プロセスカートリッジは、耐久性に優れ、記録媒体Pに良好な画像を形成できる。
プロセスカートリッジには、像担持体100に加えて、帯電装置42、露光装置44、現像装置46、転写装置48、及びクリーニング装置54のうちの少なくとも1つが更に備えられてもよい。即ち、プロセスカートリッジには、像担持体100に加えて、帯電装置42、露光装置44、現像装置46、転写装置48、及びクリーニング装置54からなる群から選択される少なくとも1つが更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電装置(不図示)が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置110に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体100の感度特性等が劣化した場合に、像担持体100を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図4を参照して、本実施形態の感光体1を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光層を形成するための材料>
まず、感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、及びn型顔料を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、実施形態で述べたY型チタニルフタロシアニンを準備した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた電子輸送剤(ET1)~(ET5)を準備した。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた正孔輸送剤(HT1)~(HT14)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(R1)~(R12)を準備した。ポリアリレート樹脂(R1)~(R12)の粘度平均分子量は、何れも、60000であった。
また、比較例で使用するバインダー樹脂として、化学式(R13)、(R14)、及び(R15)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれを、ポリカーボネート樹脂(R13)、(R14)、及び(R15)と記載する)を準備した。ポリカーボネート樹脂(R13)、(R14)、及び(R15)の粘度平均分子量は、何れも、60000であった。なお、ポリカーボネート樹脂(R13)は、先行技術文献に記載されているビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂に相当する。
また、比較例で使用するバインダー樹脂として、化学式(R16)及び(R17)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、それぞれを、ポリアリレート樹脂(R16)及び(R17)と記載する)を準備した。ポリアリレート樹脂(R16)及び(R17)の粘度平均分子量は、何れも、50000であった。
なお、上記化学式(R13)~(R17)中、各繰り返し単位の右下に付された数字は、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂に含まれる繰り返し単位の総数に対する、各繰り返し単位の数の百分率(%)を示す。
(n型顔料)
n型顔料として、実施形態で述べたアゾ顔料(A1)~(A4)、及びペリレン顔料(P1)~(P3)を準備した。
<感光体の製造>
上記<感光層を形成するための材料>に記載の電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、及びn型顔料を用いて、感光体(A-1)~(A-37)及び(B-1)~(B-6)を製造した。
(感光体(A-1)の製造)
電荷発生剤であるY型チタニルフタロシアニン3.00質量部、正孔輸送剤(HT1)70.00質量部、電子輸送剤(ET1)35.00質量部、バインダー樹脂であるポリアリレート樹脂(R1)100.00質量部、n型顔料であるアゾ顔料(A1)2.00質量部、及び溶剤であるテトラヒドロフラン800.00質量部を、ボールミルを用いて50時間混合し、感光層用塗布液を得た。ディップコート法により、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体)上に、感光層用塗布液を塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で60分間熱風乾燥させた。このようにして、導電性基体上に感光層(膜厚28μm)を形成し、感光体(A-1)を得た。感光体(A-1)において、導電性基体上に直接、単層の感光層が備えられていた。
(感光体(A-2)~(A-35)及び(B-2)~(B-6)の製造)
表5及び表6に示す種類の正孔輸送剤、電子輸送剤、n型顔料、及びバインダー樹脂を使用したこと以外は、感光体(A-1)の製造と同じ方法で、感光体(A-2)~(A-35)及び(B-2)~(B-6)の各々を製造した。
(感光体(A-36)~(A-37)の製造)
アゾ顔料(A1)の添加量を2.00質量部から表6に示す添加量に変更したこと以外は、感光体(A-1)の製造と同じ方法で、感光体(A-36)~(A-37)の各々を製造した。
(感光体(B-1)の製造)
n型顔料を添加しなかったこと以外は、感光体(A-1)の製造と同じ方法で、感光体(B-1)を製造した。
<評価>
評価対象である感光体(A-1)~(A-37)及び(B-1)~(B-6)の各々に対して、次に示す評価を行った。
[感光層の耐摩耗性の評価]
上記<感光体の製造>で調製した感光層用塗布液を、アルミパイプに巻きつけたポリプロピレンシートに塗布した。塗布した感光層用塗布液を120℃で60分間乾燥させて、感光層(膜厚28μm)が形成されたポリプロピレンシートを作製した。続けて、ポリプロピレンシートから、感光層を剥離した。剥離した感光層をカード状部材(テーバー社製「S-36」)に貼り付けた。感光層を貼り付けたカード状部材の質量MAを測定した。次いで、ロータリーアブレージョンテスタ(株式会社東洋精機製作所)の回転台に、カード状部材を取り付けた。そして、カード状部材上の感光層に荷重500gfの摩耗輪(テーバー社製「CS-10」)を乗せた状態で、回転速度60rpmで500回、回転台を回転させた。このようにして、回転台上の感光層を摩耗させた。摩耗後、感光層を貼り付けたカード状部材の質量MBを再び測定した。そして、摩耗前後の感光層の質量変化である摩耗減量(=MA-MB)を求めた。摩耗減量から、下記基準に基づき、感光体の耐摩耗性を評価した。耐摩耗性の評価結果を、表5及び表6に示す。耐摩耗性の評価がCである感光体を、耐摩耗性が不良であると評価した。
(耐摩耗性の評価基準)
評価A:摩耗減量が、5mg未満である。
評価B:摩耗減量が、5mg以上8mg未満である。
評価C:摩耗減量が、8mg以上である。
[感光体の帯電安定性の評価]
感光体の帯電安定性の評価環境は、温度10℃及び相対湿度15%RHの環境であった。帯電安定性の評価には、評価機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS-C5250DN」の改造機)を使用した。評価機は、スコロトロン帯電器及びクリーニングローラーを備え、クリーニングブレードを備えていなかった。スコロトロン帯電器の帯電極性は正極性であった。露光-現像時間が70ミリ秒になるように、感光体の回転速度を設定した。
まず、評価機を用いて、3枚の記録媒体(A4サイズ用紙)に、画像A(全面白紙画像)を印刷した。各用紙に印刷する際に、現像位置において、感光体の表面電位を測定した。なお、白紙画像を印刷する際には露光が行われないため、測定された表面電位は、帯電電位に相当する。1枚の用紙の印刷につき1回、合計3回、表面電位を測定した。測定された3回の表面電位の平均値を、印字試験前の帯電電位V01(単位:+V)とした。
次いで、印字試験を行った。印字試験は、評価機を用いて、10,000枚の記録媒体(A4サイズ用紙)に、15秒間隔で、画像B(印字率5%の印字パターン画像)を印刷する試験であった。印字試験の直後に、3枚の記録媒体(A4サイズ用紙)に、画像A(全面白紙画像)を印刷した。各用紙に印刷する際に、現像位置において、感光体の表面電位を測定した。1枚の用紙の印刷につき1回、合計3回、表面電位を測定した。測定された3回の表面電位の平均値を、印字試験後の帯電電位V02(単位:+V)とした。
印字試験前の帯電電位V01から印字試験後の帯電電位V02を引いた値(V01-V02)を、帯電電位低下量ΔV0(単位:V)とした。帯電電位低下量ΔV0から、下記基準に基づき、感光体の帯電安定性を評価した。帯電安定性の評価結果を、表5及び表6に示す。帯電安定性の評価がCである感光体を、帯電安定性が不良であると評価した。
(帯電安定性の評価基準)
評価A:帯電電位低下量ΔV0が、0V以上60V未満である。
評価B:帯電電位低下量ΔV0が、60V以上110V未満である。
評価C:帯電電位低下量ΔV0が、110V以上である。
表5及び表6中、各用語の意味は次のとおりである。「n型」は、n型顔料を示す。「HTM」は、正孔輸送剤を示す。「ETM」は、電子輸送剤を示す。「樹脂」は、バインダー樹脂を示す。「n型」欄の「量」は、3.00質量部の電荷発生剤に対する、n型顔料の添加量を示す。「部」は、質量部を示す。「なし」は、該当する成分が含有されないことを示す。
表5及び表6に示すように、感光体(A-1)~(A-37)の感光層は、各々、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(R1)~(R12)のうちの1種を含有していた。ポリアリレート樹脂(R1)~(R12)は、各々、少なくとも1種の繰り返し単位(1)と少なくとも1種の繰り返し単位(2)とを含むポリアリレート樹脂(PA)に包含されるポリアリレート樹脂であった。感光体(A-1)~(A-37)の感光層は、各々、n型顔料(より具体的には、アゾ顔料(A1)~(A4)及びペリレン顔料(P1)~(P3)のうちの1種)を含有していた。感光体(A-1)~(A-37)の耐摩耗性の評価はA又はBであり、これらの感光体の耐摩耗性は良好であった。また、感光体(A-1)~(A-37)の帯電安定性の評価はA又はBであり、これらの感光体の帯電安定性は良好であった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、耐摩耗性及び帯電安定性に優れることが示された。本発明に係る感光体は耐摩耗性及び帯電安定性に優れるため、本発明に係る感光体を備えるプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、耐久性に優れ、良好な画像を形成することができる。