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JP7215672B2 - ゴムマスターバッチおよびその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ゴムマスターバッチおよびその製造方法に関する。
タイヤなどを構成するゴム組成物は、弾性率、硬度などの機械的特性が優れたものが求められている。そして、この機械的特性を向上させるために、カーボンブラックやシリカなどの充填剤を配合する技術が知られている。
さらに、酸化セルロースナノファイバーと呼ばれる酸化による変性および解繊を経て得られる微細繊維をゴム組成物中に分散して含有させることによって、十分な補強性を持ったゴム組成物を提供する技術も知られている(特許文献1)。
特開2017-095611号公報
しかしながら、酸化セルロースナノファイバーは凝集して集束しやすいため、ゴムマスターバッチなどの製造においてナノレベルまで解繊した状態を保つためには、水に膨潤した状態(水分散液の状態)で使用しなければならない。そのため、ゴム原料に酸化セルロースナノファイバー水分散液を混合分散した後、オーブン乾燥などを行ってゴムマスターバッチを製造する際に乾燥に時間がかり、熱劣化しやすく、また、水分を除去する乾燥工程中に酸化セルロースナノファイバーが凝集、集束して結晶化してしまい、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散したゴムマスターバッチを得ることができないという課題がある。
そこで本発明は、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散した、力学特性が高い酸化セルロースナノファイバー含有ゴムマスターバッチおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部含むゴムマスターバッチであって、24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR測定により、30℃においてsolid echo法で測定される緩和時間T2成分を3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが50~100μsであるゴムマスターバッチが、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散し、力学特性が高いことを見出し、また、このゴムマスターバッチは固形分濃度(乾燥ゴム分)が60質量%以下である原料分散液を、周波数250~1200Hzおよび温度40~140℃の条件下において、パルス乾燥機によりパルス乾燥させる工程を含む方法により製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の(1)~(4)である。
(1)ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部、好ましくは1~30質量部含むゴムマスターバッチであって、24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR測定により、30℃においてsolid echo法で測定される緩和時間T2成分を3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが50~100μsである、ゴムマスターバッチ。
(2)緩和時間T2成分を、ワイブル係数として緩和時間の長い方から1~1.6、1.2~2、1.5~2を用いて3種類に分離する、(1)に記載のゴムマスターバッチ。
(3)前記ジエン系ゴムがスチレン-ブタジエン共重合体ゴムである、(1)または(2)に記載のゴムマスターバッチ。
(4)ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部、好ましくは1~30質量部含み、固形分濃度(乾燥ゴム分)が60質量%以下である原料分散液を、周波数250~1200Hzおよび温度40~140℃の条件下において、パルス乾燥機によりパルス乾燥させる工程を含む、ゴムマスターバッチの製造方法。
本発明によれば 、熱劣化が少なく、且つ酸化セルロースナノファイバーが均質に分散した、力学特性が高いゴムマスターバッチを提供することができ、このゴムマスターバッチを使用してタイヤ用ゴム組成物を製造することで、破断伸びと低伸長時のモジュラスとのバランスが優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)をゴム原料とし、オーブン乾燥により作製した酸化セルロースナノファイバー(CNF)配合ゴムマスターバッチ(右側)およびパルス乾燥により作製したCNF配合ゴムマスターバッチ(左側)の断面を、偏光顕微鏡により観察した写真である(図面代用写真)。
本発明について説明する。
本発明は、ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部含むゴムマスターバッチであって、24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR測定により、30℃においてsolid echo法で測定される緩和時間T2成分を3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが50~100μsであるゴムマスターバッチ、およびその製造方法である。
本発明に係るゴムマスターバッチにゴム原料として使用するジエン系ゴムは、ポリマー主鎖に二重結合を有するゴムであり、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)などが示される。そして、このようなジエン系ゴムのゴムラテックスおよび/または液状ゴムを単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を使用するのが特に好ましい。ジエン系ゴムの重量平均分子量は、50,000~3,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000であることがより好ましい。なお、本発明において、「重量平均分子量」とは、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定したものを意味する。
そして、本発明に係るゴムマスターバッチは、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを含有するが、ここで、本発明において「酸化セルロースナノファイバー」とは、水酸基の一部がカルボキシ基に酸化されたセルロースからなる平均繊維径が1~1000nmの極細繊維を意味する。
酸化セルロースナノファイバーの原料となるセルロースは、木材由来または非木材(バクテリア、藻類、綿など)由来のいずれでもよく、特段限定されない。酸化セルロースナノファイバーの作製方法としては、例えば、原料となるセルロースに水を加え、ミキサー等により処理して、水中にセルロースを分散させたスラリーを調製し、これに化学的な酸化処理を施し、セルロースを変性して解繊しやすくしてから分散機などによって機械的なせん断力をかけて解繊する方法が例示される。このように解繊することにより、低いエネルギーでより細かく均質に酸化セルロースナノファイバーを解繊できる。化学的な酸化処理としては、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(以下、「TEMPO」という)、4-アセトアミド-TEMPO、4-カルボキシ-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、リン酸エステル、過ヨウ素酸などの酸化処理剤による処理を挙げることができる。また、高圧式や超音波式などの装置によってセルロースの機械的解繊を行ってから化学的酸化処理を行ってもよい。
そして、本発明では、ジエン系ゴムとの親和性を高め、且つゴムマスターバッチ製造の乾燥工程における凝集や結晶化を抑制するために、極性基(変性基)としてカルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを使用する必要がある。この酸化セルロースナノファイバーが含有するカルボキシ基の好適な含有量は、好ましくは0.6~2.5mmol/g、より好ましくは0.8~2.2mmol/g、更に好ましくは1.0~2.0mmol/gである。なお、このカルボキシ基含有量は、前述した酸化処理剤の添加量および/または酸化処理時間により調節することができる。
また、酸化セルロースナノファイバーのカルボキシ基含有量は、以下の方法により測定することができる。
まず、乾燥質量を精秤したセルロース試料から0.5~1質量%スラリーを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式を用いてカルボキシ基含有量を決定する。
カルボキシ基含有量(mmol/g)=V(ml)×0.05/セルロース試料の乾燥質量(g)
なお、酸化セルロースナノファイバーは、前述した酸化処理により化学的に変性するのに加えて、ジエン系ゴムとの親和性をより高めるために、解繊工程のあとにセルラーゼ処理、カルボキシメチル化、エステル化、カチオン性高分子による処理などを施すこともできる。
そして、この酸化セルロースナノファイバーの平均繊維径は1~1000nmであり、好ましくは1~200nmである。また酸化セルロースナノファイバーの平均アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)は好ましくは10~1000、より好ましくは50~500である。平均繊維径および/または平均アスペクト比が上記範囲未満であると、酸化セルロースナノファイバーの分散性が低下する可能性がある。また平均繊維径および/または平均アスペクト比が上記範囲を超えると酸化セルロースナノファイバーの補強性能が低下する可能性がある。
ここで、本発明において酸化セルロースナノファイバーの「平均繊維径」および「平均繊維長さ」とは、固形分率で0.05~0.1質量%の酸化セルロースナノファイバー水分散液を調製し、TEM観察またはSEM観察により、構成する繊維の大きさに応じて適宜倍率を設定して電子顕微鏡画像を得て、この画像中の少なくとも50本以上において測定した繊維径および繊維長さの平均値を意味する。そして、このようにして得られた平均繊維長さおよび平均繊維径から、平均アスペクト比を算出する。
そして、本発明においては、ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部、好ましくは3~45質量部、より好ましくは5~40質量部、更に好ましくは5~30質量部配合し、パルス乾燥機によりパルス乾燥してゴムマスターバッチを得る。この酸化セルロースナノファイバーの配合量が1質量部未満であると、得られるゴムマスターバッチの力学特性を十分に高めることができない可能性がある。また、この酸化セルロースナノファイバーの配合量が50質量部を超えると、ゴムマスターバッチの生産コストが高くなる可能性があり、ゴムマスターバッチ中に酸化セルロースナノファイバーを均質に分散できない可能性もある。
ここで、本発明に係るゴムマスターバッチの製造方法を説明すると、まず、ジエン系ゴムのゴムラテックスおよび/または液状ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を0.5~3.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを1~50質量部含むように分散させて、固形分(乾燥ゴム分)濃度が60質量%以下である酸化セルロースナノファイバーを含有するスラリー状態の原料分散液を取得する。この分散方法は、特に限定されず、機械的方法などで行えばよい。また、使用する酸化セルロースナノファイバー水分散液の濃度は、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%であるとよい。酸化セルロースナノファイバー水分散液の濃度をこのような範囲内にすることにより、水分散液中において解繊された酸化セルロースナノファイバーをより均質に分散させることができる。
さらに、得られた原料分散液を、パルス衝撃波を発生させるパルス燃焼器を熱風源とするパルス乾燥機(例えば特開平7-71875号公報に記載されたパルス乾燥機など)を用いて、パルス燃焼による衝撃波の雰囲気下に噴射して乾燥し、ゴムマスターバッチを製造する。本発明では、このようなパルス乾燥機を用いて、固形分濃度60質量%以下の原料分散液を、周波数250~1200Hz、好ましくは300~1000Hzで、温度40~140℃、好ましくは40~100℃の条件下で乾燥することで、生産性および熱効率が良好であり、熱劣化が抑制され且つ酸化セルロースナノファイバーが均質に分散した酸化セルロースナノファイバー配合ゴムマスターバッチを簡易に取得することができる。
なお、本発明の製造方法に従って乾燥される原料分散液の固形分(乾燥ゴム分)濃度は60質量%以下であるが、10~50質量%であるのが好ましく、20~50質量%であるのがより好ましい。この固形分濃度が60質量%を超えると、原料分散液の粘度が高くなると同時に安定性が低下するため、パルス乾燥機に投入する際に不具合が生じる可能性がある。また、この固形分濃度が低すぎる場合は、乾燥自体には問題はないが、単位時間に乾燥できる原料分散液の量が減り、生産性が劣るので実用上問題が生じることがある。
このようにして得られたゴムマスターバッチは、短時間で乾燥されたものであるため熱劣化が少なく、且つこの乾燥工程において酸化セルロースナノファイバーの凝集や結晶化が起こりにくいため、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散した、力学特性が高いゴムマスターバッチであることが特徴である。
そして、本発明のゴムマスターバッチは、24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR測定により、30℃において、solid echo法で測定される緩和時間T2成分を3種類(3つの成分)に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが50~100μsである。この緩和時間T2(水素原子核のスピン-スピン緩和時間)は、短いほど分子運動性が低いことを意味し、分子運動性が低いとは、ゴム分子と酸化セルロースナノファイバーなどの他の成分との相互作用が強いことを意味する。つまり、前記緩和時間である本発明のゴムマスターバッチは、酸化セルロースナノファイバーなどが均質に分散し、補強性などがより高まっているといえる。
ゴムマスターバッチをパルスNMR測定する方法、その測定条件、および中間成分の緩和時間T2mを求める方法は以下のようにすることができる。
24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去したゴムマスターバッチの試験サンプルを直径9mmのNMR管に注入し、パルスNMR装置JNM-MU25(日本電子社製)を用いて、solid echo法にて30℃下のスピン-スピン緩和時間(T2)を求める。T2を測定する際の条件は、ゴム量が0.3g以上あれば積算回数は1000~10000の間が好ましく、積算回数が1000以下の場合は測定精度が低くなる可能性がある。そして、得られた信号の減衰曲線をワイブル係数(W)を用いて下記数1に示す数式(1)でカーブフィティングすることで3成分に分離するが、緩和時間T2の長いほうから、それぞれ1~1.6(W1)、1.2~2(W2)、1.5~2(W3)のワイブル係数(但し、W1≦W2≦W3)を用いて分離するのが好適である。なお、異なる3つのワイブル係数(W1<W2<W3)を用いて3成分に分離するのがより好ましい。以上により、それぞれの成分に関して、緩和時間と水素原子の組成を求めることが出来る。酸化セルロースナノファイバー配合ゴムマスターバッチの場合、30℃において、緩和時間が最も短いものは酸化セルロースナノファイバーの結晶由来の水素原子に起因するものと考えられ、中間成分の緩和時間T2mが酸化セルロースナノファイバーと結合しているゴム分子に起因するものであると考えられる。
Figure 0007215672000001
なお、上記数1に示す数式(1)において、M(t)はパルス印加後の経過時間(t)における静磁場に直交する平面内での磁気モーメント磁化を、M0はパルス印加直後の最大磁気モーメント磁化を意味する。
そして、本発明により得られるゴムマスターバッチを使用して、充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、接着用樹脂、粘着剤、素練り促進剤、老化防止剤、ワックス、加工助剤、アロマオイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤、架橋剤などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を適量配合し、公知の方法で混練してタイヤ用ゴム組成物とすることができる。
このようにして得られたタイヤ用ゴム組成物は、硬度が高く破断伸びが大きい(高いモジュラスを有し強靭な)タイヤ用ゴム組成物となり、このタイヤ用ゴム組成物により形成されたタイヤは、操縦安定性や耐久性が優れたものとなる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
下記表1に示す原料および乾燥方法によりゴムマスターバッチを製造した。
具体的には、天然ゴム(NR;SIME DARBY PLANTATION SDN BHD製,HYTEX HA)あるいはスチレン・ブタジエンゴム(SBR;日本ゼオン社製,NIPOL SBR 1502、重量平均分子量5.0×105)のゴムラテックスに、充填剤(フィラー)としてカルボキシ基を1.5mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバー(CNF;日本製紙社製,Cellenpoa)あるいはシリカ粒子(Solvay社製,Zeosil 1165)を、前記NRまたはSNR100質量部に対する割合(phr:per hundred rubber)として下記表1に示す量混合分散して、固形分濃度(乾燥ゴム分)が60質量%以下であるスラリー状態の原料分散液(実施例1~2および比較例1~5)を取得した。
そして、実施例1~2および比較例2の原料分散液については、パルス乾燥機により周波数1000Hz、温度60℃の条件においてパルス乾燥を行い、ゴムマスターバッチを取得した。また、比較例1、3および4の原料分散液については、加熱オーブンにより40℃の条件下においてオーブン乾燥を行い、ゴムマスターバッチを取得した。なお、比較例5では、原料分散液をアルコール中へ投入し凝固させる方法(アルコール凝固法)により乾燥を行ったが、凝固せず、ゴムマスターバッチが得られなかった。
Figure 0007215672000002
そして、得られた各ゴムマスターバッチについて、下記表2に示す原料を配合してゴム組成物を製造した。
具体的には、各ゴムマスターバッチと加硫系成分を除く成分(酸化亜鉛(ZnO、正同化学工業社製)、およびステアリン酸(日油社製))を下記表2に示す配合量(質量部)で、混合温度160℃の条件において接線式ミキサーにより3分30秒間混錬して各混合物を得た。次に、この各混合物に加硫系成分(硫黄(四国化成工業社製,ミュークロン OT-20)および加硫促進剤(大内新興化学工業社製,ノクセラーNS-P)を加え、混合温度100℃の条件においてオープンロールにより混錬し、これを所定の金型中において160℃15分間プレス加硫して、加硫ゴム試験片に調製した実施例1~2および比較例1~4のゴム組成物を得た。
Figure 0007215672000003
得られた実施例1~2および比較例1~4の加硫ゴム試験片からJIS3号ダンベル状の試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2010に準拠して行い、50%伸長時における引張応力(M50:MPa)を室温(20℃)にて測定した。なお、M50の指数が大きいほど応力が大きく、高いモジュラスを有することを意味する。
また、これらの引張試験後の加硫ゴム試験片について、トルエンへの24時間浸漬を3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR装置JNM-MU25(日本電子社製)を用いて、30℃においてsolid echo法でパルスNMR測定を行い、測定された緩和時間T2成分を緩和時間の長い方から1.35、1.75、2、のワイブル係数を用いて3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2m(μs)を算出した。
これらの結果を上記表3に示す。これらの結果から、実施例1および2のゴム組成物は、パルスNMR測定から得られた緩和時間T2成分を3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが比較例よりも短く、つまり、酸化セルロースナノファイバーがゴム成分中に均質に分散していることが示唆された。また、実施例1および2のゴム組成物は、M50も高く、つまり架橋が多く力学特性が高いゴム組成物であることも明らかとなった。なお、酸化セルロースナノファイバーではなくシリカを充填剤として配合してパルス乾燥により作製したゴムマスターバッチから得られた比較例2のゴム組成物は、パルスNMR測定結果からシリカがあまり均質に分散していないと推察され、また、オーブン乾燥により作製したゴムマスターバッチから得られた比較例3および4のゴム組成物も、パルスNMR測定結果から酸化セルロースナノファイバーやシリカがあまり均質に分散してないことが推察された。さらに、酸化セルロースナノファイバーを配合してオーブン乾燥により作製したゴムマスターバッチから得られた比較例1のゴム組成物は、パルスNMR測定結果から酸化セルロースナノファイバーの分散性がかなり悪いものであると推察された。
Figure 0007215672000004
さらに、実施例1と比較例1のゴム組成物について、その断面を下記の条件において偏光顕微鏡により観察した。偏光顕微鏡による断面観察では、結晶部分が光って見えるが、この観察の結果、図1に示されるように、パルス乾燥によるゴムマスターバッチを使用したゴム組成物は結晶部分が少なく、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散していると認められた。一方、オーブン乾燥によるゴムマスターバッチを使用したゴム組成物は結晶部分が目立ち、酸化セルロースナノファイバーが均質に分散していないと認められた。
<偏光顕微鏡観察の条件>
測定装置:偏光顕微鏡(ECLIPSE LV100N POL、ニコンインスツルメンツ社製)
観察条件:倍率200倍

Claims (4)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を1.0~2.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを5~30質量部含むゴムマスターバッチであって、24時間トルエンに浸漬することを3回繰り返して可溶分を除去し、パルスNMR測定により、30℃においてsolid echo法で測定される緩和時間T2成分を3種類に分離した際の中間成分の緩和時間T2mが50~100μsである、ゴムマスターバッチ。
  2. 前記緩和時間T2成分を、ワイブル係数として緩和時間の長い方から1~1.6、1.2~2、1.5~2を用いて3種類に分離する、請求項1に記載のゴムマスターバッチ。
  3. 前記ジエン系ゴムがスチレン-ブタジエン共重合体ゴムである、請求項1または2に記載のゴムマスターバッチ。
  4. ジエン系ゴム100質量部に対して、カルボキシ基を1.0~2.0mmol/g含有する酸化セルロースナノファイバーを5~30質量部含み、固形分濃度(乾燥ゴム分)が60質量%以下である原料分散液を、周波数250~1200Hzおよび温度40~140℃の条件下において、パルス乾燥機によりパルス乾燥させる工程を含む、ゴムマスターバッチの製造方法。
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