JP7250602B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕 下記工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
工程(1):改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程
〔2〕 前記〔1〕に記載の樹脂組成物の製造方法によって製造された樹脂組成物。
本発明の製造方法は、下記工程(1)及び工程(2)を有する樹脂組成物の製造方法である。
工程(1):改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程。
工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程。
工程(1)は、改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程である。
本発明における改質セルロースは、セルロースに特定の置換基がエーテル結合を介して結合したものである。なお、本明細書において、「エーテル結合を介して結合」とは、セルロースのヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に結合した状態を意味する。
改質セルロースの平均繊維径としては、樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点、並びに改質セルロースの取扱い性を向上させる観点、入手容易性、及びコストを低減する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上である。また、上限は特に設定されないが、改質セルロースの取扱い性、及び樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下である。なお、本明細書において、改質セルロースの平均繊維径は、後述の実施例に記載の方法によって測定される。
改質セルロースが有する好ましい置換基としては、機械的強度及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは以下の「置換基群A」及び「置換基群B」から選ばれる1種以上、より好ましくは「置換基群A」又は「置換基群A及び置換基群Bの両者」が挙げられる。
置換基群Aは、下記一般式(1)で表される置換基、(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。これらの置換基は単独で又は任意の組み合わせで改質セルロースに導入される。
-R1 (1)
-CH2-CH(OH)-R2 (2)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R2 (3)
〔式中、R1は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
前記置換基群Aは、耐熱性及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、一般式(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、一般式(2)で表される置換基である。
置換基群Bは、下記一般式(4)で表される置換基、(5)で表される置換基及び(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。これらの置換基は単独で又は任意の組み合わせで導入される。
-R3 (4)
-CH2-CH(OH)-R3 (5)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R3 (6)
〔式中、R3はそれぞれ独立して、炭素数5以上30以下の、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
前記置換基群Bは、耐熱性及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、一般式(5)で表される置換基及び(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、一般式(6)で表される置換基である。
改質セルロースにおいて、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する置換基群Aが導入されたモル量(モル置換度:MS)は、オレフィン系樹脂中への分散性を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上である。一方、改質セルロースを樹脂組成物に適用した際に得られる成形体の機械的強度を向上させる観点から、MSとしては、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.4以下である。ここで、置換基群Aが複数種の置換基で構成されている場合、MSは各置換基のMSの合計である。なお、本明細書において、無水グルコースユニットを「AGU」と略記することがある。AGUはセルロース系原料がすべて無水グルコースユニットで構成されていると仮定して算出される。
本明細書において、置換基の導入の程度(即ち、モル置換度(MS))は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
改質セルロースとしては、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロースが好ましい。
改質セルロースの結晶化度は、得られる成形体の強度発現の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出したセルロースI型結晶化度であり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。セルロースI型結晶構造の有無は、後述の実施例に記載のX線回折測定において、2θ=22.6°にピークがあることで判定することができる。
前記改質セルロースは、前述のように、セルロースに特定の置換基、好ましくは置換基群A及び置換基群Bから選ばれる1種以上が、エーテル結合を介して結合したものであるが、置換基の導入は公知の方法に従って行うことができる。例えば、セルロース系原料に、塩基の存在下で、前記置換基を有する化合物(「エーテル化剤」とも称する。)を反応させればよい。ここで、置換基群Aをセルロースに導入する場合、下記工程Aを行い、置換基群Bをセルロースに導入する場合、下記工程Bを行い、置換基群A及び置換基群Bをセルロースに導入する場合、下記工程A、次いで工程Bを行うことができる。
工程Aでは、塩基の存在下、セルロース系原料とエーテル化剤とを混合して反応させて、セルロース系原料のセルロースに置換基群Aの置換基を導入する。置換基群Aに属する置換基は単独で又は任意の組み合わせで、セルロースのヒドロキシ基にエーテル結合を介して導入される。
本発明で用いられるセルロース系原料は、特に制限はなく、木本系(針葉樹・広葉樹)、草本系(イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料)、パルプ類(綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等)、紙類(新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等)等が挙げられる。なかでも、入手容易性及びコストを低減する観点から、木本系、草本系が好ましい。
塩基はエーテル化反応を進行させるための触媒もしくはセルロース系原料の反応活性化剤として機能する。
エーテル化剤としては、セルロース系原料と反応する際に、置換基群Aをセルロースに導入することができるものであれば特に制限はないが、反応性を確保する観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物及び/又は有機ハロゲン化合物が好ましく、反応性を有する環状構造基を有する化合物がより好ましく、エポキシ基を有する化合物が更に好ましい。以下に、一般式(2)で示される置換基を有する化合物を説明する。
エーテル化剤とセルロース系原料とのエーテル化反応は、例えば、塩基存在下で、両者を混合することにより行うことができ、更に前記溶媒が存在していてもよい。
工程Bでは、塩基の存在下、前記セルロース系原料及び前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースからなる群より選択される1種以上とエーテル化剤とを混合して反応させて、該セルロース又は改質セルロースに置換基群Bの置換基を導入し、改質セルロースを得る。置換基群Bに属する置換基は単独で又は任意の組み合わせで、該セルロース又は改質セルロースに残存するヒドロキシ基にエーテル結合を介して導入される。
工程Bにおける置換基群Bの導入対象のセルロースは、前記セルロース系原料及び前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースから選ばれる1種以上、好ましくは前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースである。
本工程で用いられる塩基としては、特に制限はないが、工程Aで列挙されたものが挙げられる。塩基の量は、使用する塩基の種類やエーテル化剤の種類によって一概には決定できないが、工程Aの塩基の量と同様である。
工程Bで用いられるエーテル化剤としては、セルロースと反応する際に、置換基群Bを該セルロースに導入できるものであれば特に制限はないが、反応性を確保する観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物及び/又は有機ハロゲン化合物を用いることが好ましく、反応性を有する環状構造基を有する化合物を用いることがより好ましく、エポキシ基を有する化合物を用いることが更に好ましい。以下に、一般式(6)で示される置換基を有する化合物を例示する。
エーテル化剤とセルロースとのエーテル化反応は、塩基存在下で、両者を混合することにより行うことができ、更に前記溶媒が存在していてもよい。
工程(1)で用いられる好ましい有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンから選ばれる1種以上が挙げられ、DMF及びキシレンから選ばれる1種以上が好ましい。
本発明における分散液は、改質セルロースが有機溶媒に分散した状態のものであり、改質セルロースが有機溶媒に安定に分散していることに一つの特徴を有する。
改質セルロースが有機溶媒に安定に分散しているとは、改質セルロースが有機溶媒中で長時間、凝集することなく留まっていることをいい、例えば、経時での光透過率の変化が小さい分散液、又は改質セルロースの沈降が遅い分散液は、安定に分散した分散液であるということができる。
分散液は、前記改質セルロース及び前記工程(1)で用いられる有機溶媒を、必要に応じてその他成分と一緒に、高圧ホモジナイザーで分散処理を行うことにより調製することができる。
オレフィン系樹脂としては、エチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα-オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ-4-メチルペンテン-1等が例示される。
工程(1)においては、相溶化剤を更に配合することができる。相溶化剤を使用することにより、オレフィン系樹脂と改質セルロースとの界面を強化したり、オレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性を向上させたりすることで、成形体の機械的強度の向上が期待できる。
工程(1)において、前記分散液と前記オレフィン系樹脂とを、所定の比率で、必要に応じてその他成分と一緒に、例えば、ホモジナイザーで分散処理を行うことにより、混合物を調製することができる。分散処理の時間や温度等は特に限定されず、室温付近で実施すれば良い。
工程(2)では、工程(1)で得られた混合物を混練する工程(工程(2-1))及び工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する工程(工程(2-2))が行われる。本発明において、工程(2-1)及び工程(2-2)は同時に行われてもよく、工程(2-1)の後に工程(2-2)が行われてもよく、あるいは工程(2-2)の後に工程(2-1)が行われてもよい。
工程(2-1)では、工程(1)で得られた混合物を混練する。
混練時の混合物の温度(Tm(℃))は特に限定されないが、下記の式(1)を満たす温度で混練することが、工程(2-1)及び工程(2-2)を同時に実施できるため、好ましい。
Tm-80℃≦Tbp≦Tm+50℃
(式中、Tbpとは分散液を構成する有機溶媒の沸点である。)
工程(2-2)では、工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する。例えば、混合物を加熱及び/又は減圧下に置くことにより、有機溶媒を揮発させて除去することが好ましい。
前述の工程(1)及び工程(2)を経て、樹脂組成物を製造することができる。かかる樹脂組成物は、それを成形して得られる成形体の機械的強度、例えば引張弾性率及び/又は引張強度が高い特徴を有する。
樹脂組成物中のオレフィン系樹脂の配合量は、成形体を製造し易くする観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、改質セルロースの配合量を増加させ、得られる樹脂組成物の弾性率および強度を向上させる観点から、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
本発明の製造方法によって製造された樹脂組成物を、公知の方法によって成形することで、本発明の樹脂成形体(成形体)を製造することができる。かかる成形体は、例えば、エレクトロニクス、航空宇宙、土木建築、自動車、車載向け用途等の分野において、樹脂成形材料、電気絶縁材料として好適に用いることができる。
ハロゲン水分計(島津製作所社製、商品名:MOC-120H)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少率が0.1%以下となった値を固形分含有量とする。
最初に、測定対象の改質セルロース中に含有される置換基の含有量%(質量%)を、Analytical Chemistry, Vol.51, No.13, 2172 (1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(ii) 精製、乾燥を行った測定対象の改質セルロース70mg、アジピン酸80mgを10mLバイアル瓶に精秤し、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii) 上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、160℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv) 加熱後、バイアルに内標溶液2mL、ジエチルエーテル2mLを順次注入し、室温で1分間攪拌した。
(v) バイアル瓶中の2層に分離した混合物の上層(ジエチルエーテル層)をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU社製、商品名:GC2010Plus)にて分析した。
(vi) 測定対象の改質セルロースを、その改質に用いたエーテル化剤5mg、10mg、15mgにそれぞれ変更する以外は、(ii)~(v)と同様の方法で分析を行い、エーテル化剤の検量線を作成した。
(vii) 作成した検量線と、測定対象の改質セルロースの分析結果から、測定対象の改質セルロース中に含有される置換基を定量した。分析条件は以下のとおりである。
カラム温度:30℃(10min Hold)→10℃/min→300℃(10min Hold)
インジェクター温度:300℃
検出器温度:300℃
打ち込み量:1μL
次いで、得られた置換基含有量から、下記数式(1)を用いてモル置換度(MS)(無水グルコースユニット1モルに対する置換基モル量)を算出した。ここで、置換基群Aに関するMSをMSAとし、置換基群Bに関するMSをMSBとする。
数式(1)
MSA=(WA/MwA)/((100-WA-WB)/162.14)
MSB=(WB/MwB)/((100-WA-WB)/162.14)
WA:測定対象の改質セルロース中の置換基群Aの含有量(質量%)
WB:測定対象の改質セルロース中の置換基群Bの含有量(質量%)
MwA:置換基群Aの導入のためのエーテル化剤の分子量(g/mol)
MwB:置換基群Bの導入のためのエーテル化剤の分子量(g/mol)
測定対象に脱イオン水を加えて、その含有量が0.01質量%の分散液を調製した。該分散液を湿式分散タイプ画像解析粒度分布計(ジャスコインターナショナル社製、商品名:IF-3200)を用いて、フロントレンズ:2倍、テレセントリックズームレンズ:1倍、画像分解能:0.835μm/ピクセル、シリンジ内径:6515μm、スペーサー厚み:500μm、画像認識モード:ゴースト、閾値:8、分析サンプル量:1mL、サンプリング:15%の条件で測定する。測定対象を100本以上測定し、それらの平均ISO繊維径を平均繊維径をとして算出した。
本明細書における改質セルロースの2θ=13-23°の回折ピークの有無の判定は、回折計(リガク社製、商品名:RigakuRINT 2500VC X-RAY diffractometer)を用いて、以下の条件で測定することにより判定した。
X線回折分析条件:ステップ角0.01°、スキャンスピード10°/min、測定範囲:回折角2θ=5~45°
X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA
ピーク分割条件:バックグラウンドノイズを除去した後、2θ=13-23°の間の誤差が5%以内に収まるようにガウス関数でフィッティングした。
改質セルロースの結晶構造は、上述の回折計を用いて、上述の条件で測定することにより確認した。
セルロースI型結晶構造の結晶化度は上述のピーク分割により得られたX線回折ピークの面積を用いて以下の式(A)に基づいて算出した。
セルロースI型結晶化度(%)=[Icr/(Icr+Iam)]×100 (A)
〔式中、Icrは、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22-23°)の回折ピークの面積、Iamはアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折ピークの面積を示す。〕
メルトフローレート(g/10min)は、JIS K7210に記載の方法に従って、230℃、2.16kgfの条件下で測定した。
針葉樹の漂白クラフトパルプ(以後NBKPと略記する。ウエストフレザー社製、商品名:ヒントン、繊維状、平均繊維径24μm、セルロース含有量90質量%、水分含有量5質量%)をセルロース系原料として用いた。まず、絶乾したNBKP 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.26当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤として酸化ブチレン1.50g(2.25当量/AGU)を添加し、密閉した後に50℃、2h静置反応を行った。反応終了後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、改質セルロース1(酸化ブチレンのMS 0.31)を得た。
改質セルロース1 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.27当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤としてドデシルグリシジルエーテル0.42g(0.2当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24h静置反応を行った。反応終了後、製造例1と同様の中和、洗浄及び真空乾燥を行うことで、改質セルロース2(ドデシルグリシジルエーテルのMS 0.08)を得た。
絶乾したNBKP 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.26当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤として酸化ブチレン1.00g(1.50当量/AGU)を添加し、密閉した後に50℃、2h静置反応を行った。反応終了後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、改質セルロース1’(酸化ブチレンのMS 0.19)を得た。
〔分散液の調製〕
改質セルロース1 0.500gを有機溶媒のDMF 49.5g中に投入し、ホモジナイザー(プライミクス社製、T.K.ロボミックス)にて3000rpm、30分間攪拌した。その後、高圧ホモジナイザー(吉田機械社製、ナノヴェイタLES)にて100MPaで10パス処理することで、微細化された改質セルロースがDMFに分散した改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。
前記分散液1500部とポリプロピレン樹脂85.0部とをホモジナイザー(プライミクス社製、T.K.ロボミックス)に投入し、500rpmにて3分間攪拌して混合物を得た。
得られた混合物を、3本ロールミル(井上製作所社製、径12.5cm)を用いて、混練と有機溶媒の除去を行った。
具体的には、ロール表面、即ち、混合物の温度(Tm)が155℃になるように温度を設定し、第1ロール10rpm、第2ロール30rpm、第3ロール90rpmと設定し、第1ロールと第2ロールの間に混合物を投入し、第3ロールから剥離して生成物を得た。得られた生成物を同じ条件でさらに2回、混練と有機溶媒の除去操作を行って、樹脂組成物を製造した。なお、この操作では、混練(工程(2-1)及び有機溶媒の除去(工程(2-2)がほぼ同時に行われた。
〔分散液の調製〕
表2に記載の種類及び量の、改質セルロース及び有機溶媒を用いて、実施例1と同様の方法で、それぞれの改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。
表2に記載の種類及び量の、各実施例の分散液、ポリプロピレン樹脂及び相溶化剤をホモジナイザー(プライミクス社製「T.K.ロボミックス」)に投入し、500rpmにて3分間攪拌して、各実施例の混合物を得た。
得られた各実施例の混合物を、実施例1と同じ条件で混練と有機溶媒の除去を行って、各実施例の樹脂組成物を製造した。
比較のために、ポリプロピレン樹脂そのものを樹脂組成物とした。
比較のために、有機溶媒を用いずに、改質セルロースとポリプロピレン樹脂のみで樹脂組成物を製造した。
具体的には、前記改質セルロース1又は2とポリプロピレン樹脂を表2に示した量でヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、容量20L)に投入し、1000rpmで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、得られた混合物を実施例1の工程(2)と同様の操作を行い樹脂組成物を製造した。
比較のために、分散液を構成する溶媒として、有機溶媒の代わりに水を用いて樹脂組成物を製造した。具体的には、以下のようにして樹脂組成物を製造した。
DMFの代わりに水を用いたこと、及び改質セルロースとして改質セルロース2を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で、改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。次いで、得られた分散液を実施例1と同様の条件で撹拌して混合物を得、得られた混合物を実施例1の工程(2)と同様の操作を行い樹脂組成物を製造した。
得られた各樹脂組成物3gを200mm×200mm×0.4mmのスペーサーと鉄製フェロ板に挟み、オートプレス(東洋精機製作所製「精密成型」)を用いてプレスシートを作製した。具体的には、185℃/0.5MPaで2分間プレスした後、185℃/20MPaで1分間プレスした。さらに80℃/10MPaで1分間プレスし、厚さ0.3~0.4mmのシートを得た。
各実施例及び比較例4において調製された分散液の分散性を、次のようにして評価した。なお、光透過率の測定は25℃、大気圧の環境下で実施した。
次いで、次式により、分散液の波長660nmの光透過率の5分間の変化率(%)を求めた。
変化率(%)=100×(T5-T0)/T0
PP:ポリプロピレン樹脂、プライムポリマー社製、商品名:J105P、MFR:10g/10min(230℃、2.16kgf)
キシレン:o-キシレン、富士フイルム和光純薬製、沸点144℃
DMF:富士フイルム和光純薬製、沸点153℃
ユーメックス1001:三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、質量平均分子量45,000
Claims (7)
- 下記工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
工程(1):下記の置換基群A及び置換基群Bからなる群より選ばれる1種以上の置換基が、それぞれ独立して、エーテル結合を介して結合した改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液と、オレフィン系樹脂とを混合させる工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程
(ここで、置換基群Aは、下記一般式(2)で表される置換基及び一般式(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基であり、
-CH 2 -CH(OH)-R 2 (2)
-CH 2 -CH(OH)-CH 2 -(OA) n -O-R 2 (3)
〔式中、R 2 はそれぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
置換基群Bは、下記一般式(5)で表される置換基及び一般式(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。
-CH 2 -CH(OH)-R 3 (5)
-CH 2 -CH(OH)-CH 2 -(OA) n -O-R 3 (6)
〔式中、R 3 はそれぞれ独立して、炭素数5以上30以下の、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕) - 工程(2)における、工程(1)で得られた混合物の混練時の温度(Tm(℃))が下記の式(1)を満たす、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
Tm-80℃≦Tbp≦Tm+50℃
(式中、Tbpとは分散液を構成する有機溶媒の沸点である。) - 25℃における、前記分散液の波長660nmでの透過率の5分間の変化率が10%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記分散液中の改質セルロースの含有量が、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記工程(1)において、前記分散液100質量部に対して、前記オレフィン系樹脂を0.1質量部以上100質量部以下混合させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記工程(2)において、工程(1)で得られた混合物を混練する工程(工程(2-1))及び工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する工程(工程(2-2))が行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記工程(1)で用いられる有機溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンからなる群より選択される1種以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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