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JP7250602B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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JP7250602B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂組成物の製造方法に関する。
従来、有限な資源である石油由来のプラスチック材料が多用されてきたが、近年、環境に対する負荷の少ない技術が脚光を浴びるようになり、かかる技術背景の下、天然に多量に存在するバイオマスであるセルロースを用いた材料が注目されている。
例えば特許文献1には、疎水的な熱可塑性樹脂に、化学処理を施したセルロース繊維を均一に分散させようとする技術が開示されている。
特許第5613996号
しかしながら、親水的なセルロースを樹脂中に分散させることは、セルロースに化学処理を施しても、一般的に難しく、得られた樹脂組成物を成形してなる成形体の機械的強度は必ずしも満足できる程度ではなかった。
したがって、本発明は、特定の置換基がエーテル結合を介してセルロースに結合してなる改質セルロース(以下、改質セルロースと言う)が樹脂中に分散した樹脂組成物の製造方法を提供することに関する。
即ち、本発明は、下記の〔1〕~〔2〕に関する。
〔1〕 下記工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
工程(1):改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程
〔2〕 前記〔1〕に記載の樹脂組成物の製造方法によって製造された樹脂組成物。
本発明によれば、改質セルロースが樹脂中に分散した樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の製造方法は、下記工程(1)及び工程(2)を有する樹脂組成物の製造方法である。
工程(1):改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程。
工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程。
本発明の製造方法がかかる効果を発揮するメカニズムは定かではないが、改質セルロース、有機溶媒及びオレフィン系樹脂を含有する混合物を、混練し有機溶媒を除去することにより、改質セルロース同士が凝集する時間もないまま樹脂組成物が製造されるため、改質セルロースが高分散した状態を維持した樹脂組成物が製造できるものと推定される。
〔工程(1)〕
工程(1)は、改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程である。
[改質セルロース]
本発明における改質セルロースは、セルロースに特定の置換基がエーテル結合を介して結合したものである。なお、本明細書において、「エーテル結合を介して結合」とは、セルロースのヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に結合した状態を意味する。
(平均繊維径)
改質セルロースの平均繊維径としては、樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点、並びに改質セルロースの取扱い性を向上させる観点、入手容易性、及びコストを低減する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上である。また、上限は特に設定されないが、改質セルロースの取扱い性、及び樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下である。なお、本明細書において、改質セルロースの平均繊維径は、後述の実施例に記載の方法によって測定される。
また、改質セルロースは、微細な平均繊維径を有するものであってもよい。例えば、有機溶媒中で高圧ホモジナイザー等を用いた処理を行うことで改質セルロースを微細化することができる。微細化された改質セルロースの平均繊維径は、例えば、1~500nm程度であればよく、樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは10nm以上であり、改質セルロースの取扱い性、及び樹脂組成物の寸法安定性を向上させる観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。
(置換基)
改質セルロースが有する好ましい置換基としては、機械的強度及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは以下の「置換基群A」及び「置換基群B」から選ばれる1種以上、より好ましくは「置換基群A」又は「置換基群A及び置換基群Bの両者」が挙げられる。
(置換基群A)
置換基群Aは、下記一般式(1)で表される置換基、(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。これらの置換基は単独で又は任意の組み合わせで改質セルロースに導入される。
-R (1)
-CH-CH(OH)-R (2)
-CH-CH(OH)-CH-(OA)-O-R (3)
〔式中、Rは炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
前記置換基群Aは、耐熱性及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、一般式(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、一般式(2)で表される置換基である。
一般式(1)におけるRは、置換基の導入効率の観点から、好ましくは炭素数2以上の炭化水素基であり、反応性を確保する観点から、好ましくは炭素数3以下の炭化水素基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基、ブチル基、イソブチル基が例示される。
一般式(2)及び(3)におけるRは、置換基の導入効率の観点から、好ましくは炭素数2以上の炭化水素基であり、反応性を確保する観点から、好ましくは炭素数3以下の炭化水素基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル基、アリル基、ブチル基、イソブチル基、ブテニル基が例示される。
一般式(3)におけるnはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは、入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは3以上であり、同様の観点から、好ましくは40以下である。
一般式(3)におけるAは、炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は、入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは2以上である。Aの具体例としては、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基が好ましい。
(置換基群B)
置換基群Bは、下記一般式(4)で表される置換基、(5)で表される置換基及び(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。これらの置換基は単独で又は任意の組み合わせで導入される。
-R (4)
-CH-CH(OH)-R (5)
-CH-CH(OH)-CH-(OA)-O-R (6)
〔式中、Rはそれぞれ独立して、炭素数5以上30以下の、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
前記置換基群Bは、耐熱性及びオレフィン系樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、一般式(5)で表される置換基及び(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上であり、より好ましくは、一般式(6)で表される置換基である。
一般式(4)、(5)及び(6)におけるRの炭素数は、疎水性発現の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは16以上あり、入手性容易性及び反応性を確保する観点から、好ましくは26以下、より好ましくは18以下である。また、Rは入手容易性及び反応性を確保する観点から、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、より好ましくは直鎖のアルキル基である。Rの具体例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基、トリアコンチル基等の飽和アルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等の不飽和アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、トリチル基等の環状構造を有する炭化水素基が例示される。
一般式(6)におけるnはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nは、入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは40以下であり、更に好ましくは0である。
一般式(6)におけるAは、炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数は、入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは4以下である。
改質セルロースにおいては、かかる置換基が、それぞれ独立して、エーテル結合を介してセルロースに結合されてなる。従って、本発明における改質セルロースとしては、例えば、下記一般式で示される改質セルロースが例示される。
Figure 0007250602000001
〔式中、Rは、それぞれ独立して、水素、置換基群A又は置換基群Bであって、少なくとも一つのRは置換基群Aである。置換基群A及び置換基群Bに属する各置換基は同一であっても異なっていてもよい。mは好ましくは20以上3,000以下の整数である。〕
前記一般式で示される改質セルロースは、前記置換基が導入されたセルロースユニットの繰り返し構造を有するものである。繰り返し構造の繰り返し数として、前記一般式におけるmは、機械的強度、寸法安定性、及び耐熱性を向上させる観点から100以上が好ましく、500以上がより好ましく、同様の観点から、2,000以下がより好ましく、800以下がより好ましい。
(モル置換度(MS))
改質セルロースにおいて、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する置換基群Aが導入されたモル量(モル置換度:MS)は、オレフィン系樹脂中への分散性を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上である。一方、改質セルロースを樹脂組成物に適用した際に得られる成形体の機械的強度を向上させる観点から、MSとしては、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.4以下である。ここで、置換基群Aが複数種の置換基で構成されている場合、MSは各置換基のMSの合計である。なお、本明細書において、無水グルコースユニットを「AGU」と略記することがある。AGUはセルロース系原料がすべて無水グルコースユニットで構成されていると仮定して算出される。
改質セルロースにおいて、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する置換基群Bが導入されたモル量(モル置換度:MS)は、置換基群Aと同様の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上であり、好ましくは3以下であり、より好ましくは1以下、更に好ましくは0.1以下である。ここで、置換基群Bが複数種の置換基で構成されている場合、MSは各置換基のMSの合計である。
本明細書において、置換基の導入の程度(即ち、モル置換度(MS))は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(結晶化度)
改質セルロースとしては、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロースが好ましい。
改質セルロースの結晶化度は、得られる成形体の強度発現の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出したセルロースI型結晶化度であり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。セルロースI型結晶構造の有無は、後述の実施例に記載のX線回折測定において、2θ=22.6°にピークがあることで判定することができる。
[改質セルロースの製造方法]
前記改質セルロースは、前述のように、セルロースに特定の置換基、好ましくは置換基群A及び置換基群Bから選ばれる1種以上が、エーテル結合を介して結合したものであるが、置換基の導入は公知の方法に従って行うことができる。例えば、セルロース系原料に、塩基の存在下で、前記置換基を有する化合物(「エーテル化剤」とも称する。)を反応させればよい。ここで、置換基群Aをセルロースに導入する場合、下記工程Aを行い、置換基群Bをセルロースに導入する場合、下記工程Bを行い、置換基群A及び置換基群Bをセルロースに導入する場合、下記工程A、次いで工程Bを行うことができる。
(工程A)
工程Aでは、塩基の存在下、セルロース系原料とエーテル化剤とを混合して反応させて、セルロース系原料のセルロースに置換基群Aの置換基を導入する。置換基群Aに属する置換基は単独で又は任意の組み合わせで、セルロースのヒドロキシ基にエーテル結合を介して導入される。
(セルロース系原料)
本発明で用いられるセルロース系原料は、特に制限はなく、木本系(針葉樹・広葉樹)、草本系(イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料)、パルプ類(綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等)、紙類(新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等)等が挙げられる。なかでも、入手容易性及びコストを低減する観点から、木本系、草本系が好ましい。
セルロース系原料の平均繊維径は特に限定されないが、セルロース原料の入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上、更に好ましくは15μm以上であり、同様の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
セルロース系原料の平均繊維長は特に限定されないが、入手容易性及びコストを低減する観点から、好ましくは1,000μm以上であり、より好ましくは1,500μm以上であり、同様の観点から、好ましくは5,000μm以下であり、より好ましくは3,000μm以下である。セルロース系原料の平均繊維径及び平均繊維長は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
(塩基)
塩基はエーテル化反応を進行させるための触媒もしくはセルロース系原料の反応活性化剤として機能する。
本工程で用いられる塩基としては、特に制限はないが、エーテル化反応を進行させる観点から、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、1~3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アルカリ金属水酸化物から選ばれる1種又は2種以上が更に好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
塩基の量は、使用する塩基の種類やエーテル化剤の種類によって一概には決定できないが、セルロース系原料の無水グルコースユニットに対して、エーテル化反応を進行させる観点から、好ましくは0.01当量以上、より好ましくは0.1当量以上、更に好ましくは0.2当量以上であり、改質セルロースの製造コストを抑制する観点から、好ましくは10当量以下、より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.3当量以下である。
セルロース系原料と塩基の混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、水、イソプロパノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ヘキサン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
(エーテル化剤)
エーテル化剤としては、セルロース系原料と反応する際に、置換基群Aをセルロースに導入することができるものであれば特に制限はないが、反応性を確保する観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物及び/又は有機ハロゲン化合物が好ましく、反応性を有する環状構造基を有する化合物がより好ましく、エポキシ基を有する化合物が更に好ましい。以下に、一般式(2)で示される置換基を有する化合物を説明する。
一般式(2)で示される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(2A)で示される酸化アルキレン化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。該化合物の総炭素数としては、置換基導入効率の観点から、2以上であり、好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上であり、反応性の観点から、好ましくは6以下であり、より好ましくは5以下である。
Figure 0007250602000002
〔式中、Rは水素又は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。〕
一般式(2A)におけるRの炭素数及び具体例は、一般式(2)におけるRの炭素数及び具体例と同じである。
一般式(2A)で示される化合物の具体例としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、3,4-エポキシ-1-ブテン、1,2-エポキシペンタン、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシ-5-ヘキセンが挙げられる。
エーテル化剤の量は、得られる改質セルロースにおける置換基の所望の導入の程度および使用するエーテル化剤の構造によって一概には決定できないが、例えば、改質セルロースを樹脂組成物に適用した際に得られる樹脂組成物の成形体の機械的強度を向上させる観点及びセルロース系原料との反応性を確保する観点から、セルロース系原料の無水グルコースユニットの1ユニットに対して、かかる化合物の量は、好ましくは0.01当量以上、より好ましくは0.1当量以上、更に好ましくは1当量以上である。一方、改質セルロースの製造コストを抑制する観点から、好ましくは10当量以下、より好ましくは5当量以下、更に好ましくは3当量以下である。
(エーテル化反応)
エーテル化剤とセルロース系原料とのエーテル化反応は、例えば、塩基存在下で、両者を混合することにより行うことができ、更に前記溶媒が存在していてもよい。
溶媒の使用量としては、セルロース系原料やエーテル化剤の種類によって一概には決定されないが、セルロース系原料100質量部に対して、エーテル化剤とセルロース系原料との反応性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは90質量部以上であり、改質セルロースの生産性を向上させる観点から、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは1,000質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
混合条件としては、セルロース系原料やエーテル化剤が均一に混合され、十分に反応が進行できるのであれば特に制限はなく、連続的な混合処理を行っても行わなくてもよい。反応温度を制御する観点から、適宜攪拌を行ってもよい。
反応温度としては、セルロース系原料やエーテル化剤の種類及び目標とするMSによって一概には決定されないが、反応性を向上させる観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、熱分解を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下である。また、必要に応じて適宜昇温・降温過程を設けてもよい。
反応時間としては、セルロース系原料やエーテル化剤の種類及び目標とするMSによって一概には決定されないが、反応率を向上させる観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上であり、生産性を向上させる観点から、好ましくは60時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
更に、前記反応後に、公知の微細化処理を行って改質セルロースを微細化してもよい。また、あらかじめ微細化処理されたセルロース系原料を用いて前記した置換基の導入反応を行って、微細化された改質セルロースを得ることもできる。
反応後は、未反応の化合物や塩基等を除去するために、適宜後処理を行うことができる。該後処理の方法としては、例えば、未反応の塩基を酸(有機酸、無機酸など)で中和し、その後、未反応の化合物や塩基が溶解する溶媒を用いて洗浄することができる。所望により、更に乾燥(真空乾燥など)を行ってもよい。
工程Aを行うことによって得られた改質セルロースは、セルロースの少なくとも一つのヒドロキシ基に、前記一般式(1)で表される置換基、(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基がエーテル結合した状態である。
(工程B)
工程Bでは、塩基の存在下、前記セルロース系原料及び前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースからなる群より選択される1種以上とエーテル化剤とを混合して反応させて、該セルロース又は改質セルロースに置換基群Bの置換基を導入し、改質セルロースを得る。置換基群Bに属する置換基は単独で又は任意の組み合わせで、該セルロース又は改質セルロースに残存するヒドロキシ基にエーテル結合を介して導入される。
(置換基群Bの導入対象のセルロース)
工程Bにおける置換基群Bの導入対象のセルロースは、前記セルロース系原料及び前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースから選ばれる1種以上、好ましくは前記工程Aで得られた置換基群Aを有する改質セルロースである。
(塩基)
本工程で用いられる塩基としては、特に制限はないが、工程Aで列挙されたものが挙げられる。塩基の量は、使用する塩基の種類やエーテル化剤の種類によって一概には決定できないが、工程Aの塩基の量と同様である。
工程Bにおけるセルロースと塩基の混合は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、水、イソプロパノール、t-ブタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ヘキサン、1,4-ジオキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
(エーテル化剤)
工程Bで用いられるエーテル化剤としては、セルロースと反応する際に、置換基群Bを該セルロースに導入できるものであれば特に制限はないが、反応性を確保する観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物及び/又は有機ハロゲン化合物を用いることが好ましく、反応性を有する環状構造基を有する化合物を用いることがより好ましく、エポキシ基を有する化合物を用いることが更に好ましい。以下に、一般式(6)で示される置換基を有する化合物を例示する。
一般式(6)で示される置換基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(6B)で示されるグリシジルエーテル化合物が好ましい。かかる化合物は公知技術に従って調製したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。該化合物の総炭素数としては、疎水性発現の観点から、8以上であり、好ましくは11以上であり、反応性の観点から、好ましくは100以下であり、より好ましくは75以下である。
Figure 0007250602000003
〔式中、Rは炭素数5以上30以下の、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
一般式(6B)におけるRの炭素数及び具体例は、一般式(6)におけるRの炭素数及び具体例と同じである。
一般式(6B)におけるnはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。nの値の好適範囲は、一般式(6)におけるnの値の好適範囲と同じである。
一般式(6B)におけるAは、炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基であり、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基を形成する。Aの炭素数の好適範囲及び具体例は、一般式(6)におけるAの炭素数の好適範囲及び具体例と同じである。
一般式(6B)で示される化合物の具体例としては、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、イソステアリルグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、5-ヘキセニルグリシジルエーテル、9-デセニルグリシジルエーテル、9-オクタデセニルグリシジルエーテル、17-オクタデセニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルおよびこれらの誘導体が挙げられる。
エーテル化剤の量は、得られる改質セルロースにおける置換基の所望の導入の程度および使用するエーテル化剤の構造によって一概には決定できないが、例えば、改質セルロースを樹脂組成物に適用した際に得られる樹脂組成物の成形体の機械的強度を向上させる観点及びセルロースとの反応性を確保する観点から、セルロースの無水グルコースユニットの1ユニットに対して、かかる化合物の量は、好ましくは0.01当量以上、より好ましくは0.05当量以上、更に好ましくは0.1当量以上である。一方、改質セルロースの製造コストを抑制する観点から、好ましくは10当量以下、より好ましくは1当量以下、更に好ましくは0.5当量以下である。
(エーテル化反応)
エーテル化剤とセルロースとのエーテル化反応は、塩基存在下で、両者を混合することにより行うことができ、更に前記溶媒が存在していてもよい。
溶媒の使用量としては、セルロースやエーテル化剤の種類によって一概には決定されないが、セルロース100質量部に対して、エーテル化剤とセルロースとの反応性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは90質量部以上であり、改質セルロースの生産性を向上させる観点から、好ましくは10,000質量部以下、より好ましくは1,000質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。
混合条件としては、セルロースやエーテル化剤が均一に混合され、十分に反応が進行できるのであれば特に制限はなく、連続的な混合処理を行っても行わなくてもよい。1Lを超えるような比較的大きな反応容器を用いる場合には、反応温度を制御する観点から、適宜攪拌を行ってもよい。
反応温度としては、セルロースやエーテル化剤の種類及び目標とするMSの程度によって一概には決定されないが、反応性を向上させる観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、熱分解を抑制する観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。また、必要に応じて適宜昇温・降温過程を設けてもよい。
反応時間としては、セルロースやエーテル化剤の種類及び目標とするMSによって一概には決定されないが、反応率を向上させる観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは10時間以上、更に好ましくは20時間以上であり、生産性を向上させる観点から、好ましくは60時間以下、より好ましくは40時間以下、更に好ましくは30時間以下である。
反応後は、未反応の化合物や塩基等を除去するために、適宜後処理を行うことができる。該後処理の方法としては、例えば、未反応の塩基を酸(有機酸、無機酸など)で中和し、その後、未反応の化合物や塩基が溶解する溶媒を用いて洗浄することができる。所望により、更に乾燥(真空乾燥など)を行ってもよい。
工程A及び工程Bを行うことによって得られた改質セルロースは、セルロースの少なくとも一つのヒドロキシ基に、前記一般式(1)で表される置換基、(2)で表される置換基及び(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基と、少なくとも一つのヒドロキシ基に、前記一般式(4)で表される置換基、(5)で表される置換基及び(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基とがエーテル結合した状態である。
[有機溶媒]
工程(1)で用いられる好ましい有機溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンから選ばれる1種以上が挙げられ、DMF及びキシレンから選ばれる1種以上が好ましい。
[分散液]
本発明における分散液は、改質セルロースが有機溶媒に分散した状態のものであり、改質セルロースが有機溶媒に安定に分散していることに一つの特徴を有する。
改質セルロースが有機溶媒に安定に分散しているとは、改質セルロースが有機溶媒中で長時間、凝集することなく留まっていることをいい、例えば、経時での光透過率の変化が小さい分散液、又は改質セルロースの沈降が遅い分散液は、安定に分散した分散液であるということができる。
改質セルロースが有機溶媒に分散している分散液の経時での光透過率の変化は、具体的には、25℃における前記分散液の波長660nmの光透過率の5分間の変化率を測定することにより求めることができ、より具体的には、前記分散液の調整後1分間経過時から起算した、前記変化率を測定することにより求めることができ、更に具体的には、後述の実施例に記載の方法によって測定される。
前記光透過率の変化率は、得られる樹脂組成物の弾性率及び引張強度を向上させる観点から、小さければ小さいほど好ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
分散液中の改質セルロースの含有量としては、有機溶媒の除去性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、一方、オレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性、成形体の機械的強度、及び生産性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
分散液には、本発明の効果を阻害しない限り、その他の成分が含まれていてもよい。
[分散液の調製方法]
分散液は、前記改質セルロース及び前記工程(1)で用いられる有機溶媒を、必要に応じてその他成分と一緒に、高圧ホモジナイザーで分散処理を行うことにより調製することができる。
[オレフィン系樹脂]
オレフィン系樹脂としては、エチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα-オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ-4-メチルペンテン-1等が例示される。
オレフィン系樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは、重量平均分子量5000~500,000のものなどを使用することができる。
オレフィン系樹脂としては、成形加工時の容易性の観点から、そのメルトフローレート(MFR)が、好ましくは2g/10min以上、より好ましくは4g/10min以上、更に好ましくは5g/10min以上であり、一方、同様の観点から、好ましくは50g/10min以下、より好ましくは30g/10min以下、更に好ましくは15g/10min以下である。なお、本明細書において、MFRは、後述の実施例に記載の方法により測定される。
オレフィン系樹脂の融点としては、成形加工時の容易性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上であり、一方、同様の観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下である。
[相溶化剤]
工程(1)においては、相溶化剤を更に配合することができる。相溶化剤を使用することにより、オレフィン系樹脂と改質セルロースとの界面を強化したり、オレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性を向上させたりすることで、成形体の機械的強度の向上が期待できる。
相溶化剤としては、(A)酸無水物基を有する化合物、(B)エポキシ基を有する化合物、(C)イソシアネート基を有する化合物、及び(D)シランカップリング剤からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むものが挙げられる。
(A)化合物における酸無水物基としては、特に限定はなく、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸等から誘導されるものを挙げることができる。
(A)化合物における化合物としては、ポリオレフィン系、アクリル系、スチレン系等の高分子化合物を挙げることができ、配合する樹脂との親和性との観点からポリオレフィン系高分子化合物が好ましい。
ポリオレフィン系高分子としては、エチレン系重合体[高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他の1種以上のビニル化合物(例えばα-オレフィン、酢酸ビニル、メタアクリル酸、アクリル酸等)との共重合体等]、プロピレン系重合体[ポリプロピレン、プロピレンと他の1種以上のビニル化合物との共重合体等]、エチレンプロピレン共重合体、ポリブテン及びポリ-4-メチルペンテン-1等が例示されるが、好ましくはプロピレン系重合体である。
(A)化合物の具体例としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが挙げられ、より具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
(A)化合物は、公知の方法に従って調製してもよく、市販品を用いてもよい。好適な市販品としては、例えば、三洋化成工業社製「ユーメックス」(無水マレイン酸基を有するポリプロピレン)、アルケマ社製「OREVAC G」(無水マレイン酸基を有するポリプロピレン)、住友化学工業社製「ボンダイン」(エチレン/アクリル酸/無水マレイン酸ターポリマー)等が例示される。
(A)化合物の重量平均分子量(Mw)は、改質セルロースとの親和性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上である。また、ポリプロピレン樹脂との絡み合いによる物性発現の観点から、好ましくは150,000以下、より好ましくは140,000以下、更に好ましくは100,000以下である。
また、(A)化合物は、樹脂と複合化する際に改質セルロースの劣化を抑える観点から、融点が好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下であるものが好ましい。下限は特に限定されず、例えば、100℃程度である。
工程(1)における相溶化剤の配合量は、樹脂組成物の弾性率及び強度を向上させる観点から、前記オレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、同様の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは6質量部以下である。
工程(1)における相溶化剤の配合量は、所定の効果を発揮させる観点から、改質セルロース100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。一方、費用対効果の観点から、樹脂組成物における相溶化剤の量は、改質セルロース100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下である。
混合物には、本発明の効果を阻害しない限り、その他の成分が含まれていてもよい。
[混合物の調製方法]
工程(1)において、前記分散液と前記オレフィン系樹脂とを、所定の比率で、必要に応じてその他成分と一緒に、例えば、ホモジナイザーで分散処理を行うことにより、混合物を調製することができる。分散処理の時間や温度等は特に限定されず、室温付近で実施すれば良い。
工程(1)における、前記分散液と前記オレフィン系樹脂との混合の比率としては、有機溶剤を揮発させる観点から、前記分散液100質量に対して、前記オレフィン系樹脂が好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、一方、オレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性向上の観点から、前記分散液100質量に対して、前記オレフィン系樹脂が好ましくは100質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
前記分散液と前記オレフィン系樹脂との混合物中の改質セルロースの含有量としては、生産性を向上させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、一方、オレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
〔工程(2)〕
工程(2)では、工程(1)で得られた混合物を混練する工程(工程(2-1))及び工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する工程(工程(2-2))が行われる。本発明において、工程(2-1)及び工程(2-2)は同時に行われてもよく、工程(2-1)の後に工程(2-2)が行われてもよく、あるいは工程(2-2)の後に工程(2-1)が行われてもよい。
[工程(2-1)]
工程(2-1)では、工程(1)で得られた混合物を混練する。
混練時の混合物の温度(Tm(℃))は特に限定されないが、下記の式(1)を満たす温度で混練することが、工程(2-1)及び工程(2-2)を同時に実施できるため、好ましい。
Tm-80℃≦Tbp≦Tm+50℃
(式中、Tbpとは分散液を構成する有機溶媒の沸点である。)
より具体的には、有機溶媒の除去速度を向上させる観点から、Tmは、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、一方、改質セルロースや樹脂の劣化を抑制する観点から、Tmは、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは160℃以下である。
Tbpの下限値に関しては、及び改質セルロースの凝集抑制の観点から、好ましくはTm-70℃、より好ましくはTm-30℃、更に好ましくはTm-20℃である。一方、Tbpの上限値に関しては、有機溶媒の除去速度を向上させる観点から、好ましくはTm+30℃であり、より好ましくはTm+20℃であり、更に好ましくはTm+10℃である。
混合物が工程(2-1)における操作を受ける時間としては、特に限定されないが、有機溶媒の除去速度の向上、改質セルロースの凝集抑制及びオレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性向上の観点から、好ましくは3秒間以上、より好ましくは10秒間以上、更に好ましくは100秒間以上、更に好ましくは150秒間以上であり、一方、セルロースや樹脂の劣化抑制や生産性向上の観点から、好ましくは600秒間以下、より好ましくは400秒間以下、更に好ましくは200秒間以下である。
[工程(2-2)]
工程(2-2)では、工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する。例えば、混合物を加熱及び/又は減圧下に置くことにより、有機溶媒を揮発させて除去することが好ましい。
具体的には、混練時の混合物の温度(Tm(℃))が、前記の式(1)を満たすように加熱することが好ましい。例えば、本工程を行うための処理装置の温度を調節することにより、混練時の混合物の温度を所望の温度に容易に設定することができる。
工程(2-2)における絶対圧力は、有機溶媒の残存や除去速度の観点から、混合物を好ましくは0.11MPa以下、より好ましくは0.05MPa以下、更に好ましくは0.01MPa以下の圧力下に置くことであり、一方、工程(2)を実施するための機器の簡略化や生産性の観点から、混合物を好ましくは大気圧下に置くことである。
なお、工程(2-2)において、温度及び圧力のそれぞれの好適範囲の両者を満たすことが、より好ましい。
混合物が工程(2-2)における操作を受ける時間としては、特に限定されないが、有機溶媒の除去速度の向上、改質セルロースの凝集抑制及びオレフィン系樹脂中への改質セルロースの分散性向上の観点から、好ましくは3秒間以上、より好ましくは5秒間以上、更に好ましくは10秒間以上であり、一方、改質セルロースや樹脂の劣化抑制や生産性向上の観点から、好ましくは600秒間以下、より好ましくは400秒間以下、更に好ましくは200秒間以下である。
工程(2)を実施するための処理装置としては、二軸押出機、単軸押出機、密閉式ニーダー、オープンロール型混練機、乾燥機が挙げられる。とりわけ、混合物を減圧下及び/又は加熱下で混練可能な混練装置、例えば、オープンのベント口や真空ベント装置を伴った混練装置を使用することにより、工程(2-1)と工程(2-2)を同時に実施することができる。
<樹脂組成物>
前述の工程(1)及び工程(2)を経て、樹脂組成物を製造することができる。かかる樹脂組成物は、それを成形して得られる成形体の機械的強度、例えば引張弾性率及び/又は引張強度が高い特徴を有する。
樹脂組成物における各成分の配合量は、樹脂の種類にもよるが、下記のとおりである。
樹脂組成物中のオレフィン系樹脂の配合量は、成形体を製造し易くする観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、改質セルロースの配合量を増加させ、得られる樹脂組成物の弾性率および強度を向上させる観点から、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
樹脂組成物中の改質セルロースの配合量は、得られる樹脂組成物の弾性率および強度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、得られる樹脂組成物の強度を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
また、樹脂組成物中の改質セルロースの配合量は、オレフィン系樹脂100質量部に対して、得られる樹脂組成物の弾性率及び強度を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、また、得られる樹脂組成物の強度の観点から、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、可塑剤;結晶核剤;充填剤(無機充填剤、有機充填剤);加水分解抑制剤;難燃剤;酸化防止剤;炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;防曇剤;光安定剤;顔料;防カビ剤;抗菌剤;発泡剤;界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;香料;流動調整剤;レべリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。また同様に、本発明の効果を阻害しない範囲内で他の高分子材料や他の樹脂組成物を配合することも可能である。かかる任意成分の配合割合としては、例えば、樹脂組成物中20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
<樹脂成形体>
本発明の製造方法によって製造された樹脂組成物を、公知の方法によって成形することで、本発明の樹脂成形体(成形体)を製造することができる。かかる成形体は、例えば、エレクトロニクス、航空宇宙、土木建築、自動車、車載向け用途等の分野において、樹脂成形材料、電気絶縁材料として好適に用いることができる。
以下、製造例、実施例、比較例及び試験例を示して本発明を具体的に説明する。なお、これらの実施例等は単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。なお、「大気圧」とは101.3kPaを、「室温」とは25℃を示す。
[分散液中の固形分含有量]
ハロゲン水分計(島津製作所社製、商品名:MOC-120H)を用いて行う。サンプル1gに対して150℃恒温で30秒ごとの測定を行い、質量減少率が0.1%以下となった値を固形分含有量とする。
[置換基の導入の程度]
最初に、測定対象の改質セルロース中に含有される置換基の含有量%(質量%)を、Analytical Chemistry, Vol.51, No.13, 2172 (1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出した。以下に手順を示す。
(i) 200mLメスフラスコにn-テトラデカン0.1gを加え、ヘキサンにて標線までメスアップを行い、内標溶液を調製した。
(ii) 精製、乾燥を行った測定対象の改質セルロース70mg、アジピン酸80mgを10mLバイアル瓶に精秤し、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓した。
(iii) 上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、160℃のブロックヒーターにて1時間加熱した。
(iv) 加熱後、バイアルに内標溶液2mL、ジエチルエーテル2mLを順次注入し、室温で1分間攪拌した。
(v) バイアル瓶中の2層に分離した混合物の上層(ジエチルエーテル層)をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU社製、商品名:GC2010Plus)にて分析した。
(vi) 測定対象の改質セルロースを、その改質に用いたエーテル化剤5mg、10mg、15mgにそれぞれ変更する以外は、(ii)~(v)と同様の方法で分析を行い、エーテル化剤の検量線を作成した。
(vii) 作成した検量線と、測定対象の改質セルロースの分析結果から、測定対象の改質セルロース中に含有される置換基を定量した。分析条件は以下のとおりである。
カラム:アジレント・テクノロジー社製、商品名:DB-5(12m、0.2mm×0.33μm)
カラム温度:30℃(10min Hold)→10℃/min→300℃(10min Hold)
インジェクター温度:300℃
検出器温度:300℃
打ち込み量:1μL
使用したエーテル化剤の検出量から、測定対象の改質セルロース中に含有される置換基の含有量(質量%)を算出した。
次いで、得られた置換基含有量から、下記数式(1)を用いてモル置換度(MS)(無水グルコースユニット1モルに対する置換基モル量)を算出した。ここで、置換基群Aに関するMSをMSとし、置換基群Bに関するMSをMSとする。
数式(1)
MS=(W/Mw)/((100-W-W)/162.14)
MS=(W/Mw)/((100-W-W)/162.14)
:測定対象の改質セルロース中の置換基群Aの含有量(質量%)
:測定対象の改質セルロース中の置換基群Bの含有量(質量%)
Mw:置換基群Aの導入のためのエーテル化剤の分子量(g/mol)
Mw:置換基群Bの導入のためのエーテル化剤の分子量(g/mol)
[セルロース系原料の平均繊維径の測定]
測定対象に脱イオン水を加えて、その含有量が0.01質量%の分散液を調製した。該分散液を湿式分散タイプ画像解析粒度分布計(ジャスコインターナショナル社製、商品名:IF-3200)を用いて、フロントレンズ:2倍、テレセントリックズームレンズ:1倍、画像分解能:0.835μm/ピクセル、シリンジ内径:6515μm、スペーサー厚み:500μm、画像認識モード:ゴースト、閾値:8、分析サンプル量:1mL、サンプリング:15%の条件で測定する。測定対象を100本以上測定し、それらの平均ISO繊維径を平均繊維径をとして算出した。
[2θ=13-23°の回折ピークの有無の判定]
本明細書における改質セルロースの2θ=13-23°の回折ピークの有無の判定は、回折計(リガク社製、商品名:RigakuRINT 2500VC X-RAY diffractometer)を用いて、以下の条件で測定することにより判定した。
測定ペレット調製条件:錠剤成形機で10-20MPaの範囲で圧力を印加することで、面積320mm×厚さ1mmの平滑なペレットを調製した。
X線回折分析条件:ステップ角0.01°、スキャンスピード10°/min、測定範囲:回折角2θ=5~45°
X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA
ピーク分割条件:バックグラウンドノイズを除去した後、2θ=13-23°の間の誤差が5%以内に収まるようにガウス関数でフィッティングした。
[結晶構造の確認]
改質セルロースの結晶構造は、上述の回折計を用いて、上述の条件で測定することにより確認した。
セルロースI型結晶構造の結晶化度は上述のピーク分割により得られたX線回折ピークの面積を用いて以下の式(A)に基づいて算出した。
セルロースI型結晶化度(%)=[Icr/(Icr+Iam)]×100 (A)
〔式中、Icrは、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22-23°)の回折ピークの面積、Iamはアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折ピークの面積を示す。〕
[メルトフローレート]
メルトフローレート(g/10min)は、JIS K7210に記載の方法に従って、230℃、2.16kgfの条件下で測定した。
製造例1<酸化ブチレン付加>
針葉樹の漂白クラフトパルプ(以後NBKPと略記する。ウエストフレザー社製、商品名:ヒントン、繊維状、平均繊維径24μm、セルロース含有量90質量%、水分含有量5質量%)をセルロース系原料として用いた。まず、絶乾したNBKP 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.26当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤として酸化ブチレン1.50g(2.25当量/AGU)を添加し、密閉した後に50℃、2h静置反応を行った。反応終了後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、改質セルロース1(酸化ブチレンのMS 0.31)を得た。
製造例2<ドデシルグリシジルエーテル付加>
改質セルロース1 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.27当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤としてドデシルグリシジルエーテル0.42g(0.2当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24h静置反応を行った。反応終了後、製造例1と同様の中和、洗浄及び真空乾燥を行うことで、改質セルロース2(ドデシルグリシジルエーテルのMS 0.08)を得た。
製造例3<ステアリルグリシジルエーテル付加>
絶乾したNBKP 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.26当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤として酸化ブチレン1.00g(1.50当量/AGU)を添加し、密閉した後に50℃、2h静置反応を行った。反応終了後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、改質セルロース1’(酸化ブチレンのMS 0.19)を得た。
改質セルロース1’ 1.5gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液1.5g(NaOH 0.27当量/AGU)を添加し、均一に混合した。その後、エーテル化剤としてステアリルグリシジルエーテル0.29g(0.1当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24h静置反応を行った。反応後、製造例1と同様の中和、洗浄及び真空乾燥を行うことで、改質セルロース3(ステアリルグリシジルエーテルのMS 0.05)を得た。
前記製造例のまとめを表1に示す。BOとは酸化ブチレンの略号であり、LGEはドデシルグリシジルエーテルの略号であり、SGEとはステアリルグリシジルエーテルの略号である。
Figure 0007250602000004
実施例1<樹脂組成物の製造>
〔分散液の調製〕
改質セルロース1 0.500gを有機溶媒のDMF 49.5g中に投入し、ホモジナイザー(プライミクス社製、T.K.ロボミックス)にて3000rpm、30分間攪拌した。その後、高圧ホモジナイザー(吉田機械社製、ナノヴェイタLES)にて100MPaで10パス処理することで、微細化された改質セルロースがDMFに分散した改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。
〔混合物の調製:工程(1)〕
前記分散液1500部とポリプロピレン樹脂85.0部とをホモジナイザー(プライミクス社製、T.K.ロボミックス)に投入し、500rpmにて3分間攪拌して混合物を得た。
〔混合物の混練及び有機溶媒の除去:工程(2)〕
得られた混合物を、3本ロールミル(井上製作所社製、径12.5cm)を用いて、混練と有機溶媒の除去を行った。
具体的には、ロール表面、即ち、混合物の温度(Tm)が155℃になるように温度を設定し、第1ロール10rpm、第2ロール30rpm、第3ロール90rpmと設定し、第1ロールと第2ロールの間に混合物を投入し、第3ロールから剥離して生成物を得た。得られた生成物を同じ条件でさらに2回、混練と有機溶媒の除去操作を行って、樹脂組成物を製造した。なお、この操作では、混練(工程(2-1)及び有機溶媒の除去(工程(2-2)がほぼ同時に行われた。
実施例2~8<樹脂組成物の製造>
〔分散液の調製〕
表2に記載の種類及び量の、改質セルロース及び有機溶媒を用いて、実施例1と同様の方法で、それぞれの改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。
〔混合物の調製:工程(1)〕
表2に記載の種類及び量の、各実施例の分散液、ポリプロピレン樹脂及び相溶化剤をホモジナイザー(プライミクス社製「T.K.ロボミックス」)に投入し、500rpmにて3分間攪拌して、各実施例の混合物を得た。
〔混合物の混練及び有機溶媒の除去:工程(2)〕
得られた各実施例の混合物を、実施例1と同じ条件で混練と有機溶媒の除去を行って、各実施例の樹脂組成物を製造した。
比較例1<樹脂組成物の製造>
比較のために、ポリプロピレン樹脂そのものを樹脂組成物とした。
比較例2~3<樹脂組成物の製造>
比較のために、有機溶媒を用いずに、改質セルロースとポリプロピレン樹脂のみで樹脂組成物を製造した。
具体的には、前記改質セルロース1又は2とポリプロピレン樹脂を表2に示した量でヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、容量20L)に投入し、1000rpmで1分間撹拌して混合物を得た。次いで、得られた混合物を実施例1の工程(2)と同様の操作を行い樹脂組成物を製造した。
比較例4<樹脂組成物の製造>
比較のために、分散液を構成する溶媒として、有機溶媒の代わりに水を用いて樹脂組成物を製造した。具体的には、以下のようにして樹脂組成物を製造した。
DMFの代わりに水を用いたこと、及び改質セルロースとして改質セルロース2を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で、改質セルロース分散液(固形分含有量:1.0質量%)を調製した。次いで、得られた分散液を実施例1と同様の条件で撹拌して混合物を得、得られた混合物を実施例1の工程(2)と同様の操作を行い樹脂組成物を製造した。
試験例1(引張弾性率及び引張強度)
得られた各樹脂組成物3gを200mm×200mm×0.4mmのスペーサーと鉄製フェロ板に挟み、オートプレス(東洋精機製作所製「精密成型」)を用いてプレスシートを作製した。具体的には、185℃/0.5MPaで2分間プレスした後、185℃/20MPaで1分間プレスした。さらに80℃/10MPaで1分間プレスし、厚さ0.3~0.4mmのシートを得た。
23℃の恒温室において、得られた各シートを用いてJIS K6251(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方)の試験片ダンベル状7号のダンベル形状試験片を作製して、引張試験を行った。引張試験には、オートグラフ精密万能試験機(SHIMADZU社製「AGS-10kNX」)を用い、厚みは試験箇所の3点平均の値を用いて、標線間距離10mm、試験速度50mm/min、1サンプルにつき5回試験を行って平均を求め、引張弾性率及び引張強度を得た。
試験例2(分散液の分散性)
各実施例及び比較例4において調製された分散液の分散性を、次のようにして評価した。なお、光透過率の測定は25℃、大気圧の環境下で実施した。
得られた分散液30mLをスクリュー管(アズワン社製No.7)に移し、分散液をスクリュー管ごと振り、目視で均一になった状態の試料を光路長10mmの石英セルに3mL入れた。スクリュー管はそのまま静置した。セルを1分間静置した後、ダブルビーム分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、「U―2910」を使用)用いて、波長660nmの吸光度を測定した。精製水をブランクとして光透過率を算出し、初期の光透過率(T)を得た。
分散液の入ったスクリュー管については、5分間の静置後、液面上部から20%以内の範囲から分散液を採取し、得られた分散液を光路長10mmの石英セルに3mL入れ、前記と同様にして波長660nmの吸光度を測定し、5分後の光透過率(T)を得た。
次いで、次式により、分散液の波長660nmの光透過率の5分間の変化率(%)を求めた。
変化率(%)=100×(T-T)/T
分散安定性が良好な分散液は、5分間静置することで沈降する改質セルロースが少ないため、T-Tの値が小さく、変化率(%)の値も小さい(なお、実験誤差の観点から、T-Tの値がマイナスとなる場合は、T-Tの値をゼロと扱う。)。一方、分散安定性に劣る分散液は、5分間静置することで沈降する改質セルロースがより多いため、T-Tの値が大きく、変化率(%)の値も大きい。
各条件及び結果を表2に示す。
Figure 0007250602000005
上記製造例等で使用した各成分の詳細は次の通りである。
PP:ポリプロピレン樹脂、プライムポリマー社製、商品名:J105P、MFR:10g/10min(230℃、2.16kgf)
キシレン:o-キシレン、富士フイルム和光純薬製、沸点144℃
DMF:富士フイルム和光純薬製、沸点153℃
ユーメックス1001:三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、質量平均分子量45,000
上記の実験結果から、実施例の製造方法で製造された樹脂組成物の成形体は、引張弾性率及び引張強度に優れたものであった。一方、各実施例における分散液の変化率を見ると、分散液中の改質セルロースは安定して分散していることが分かった。これらのことを考慮すると、分散液中の改質セルロースが安定して分散しているために、オレフィン系樹脂への改質セルロースの分散性が高くなり、その結果、得られる樹脂組成物の成形体の機械的強度が向上することが示唆された。
これに対して、改質セルロース及び有機溶媒を使用しなかった比較例1では、引張弾性率が悪かった。さらに、有機溶媒を使用しなかった比較例2~3では引張強度が悪く、溶媒として水を用いた比較例4では、引張弾性率及び引張強度が共に悪かった。実施例5と比較例3とを比較すると、実施例5の方は改質セルロースの量が半分であるにも関わらず、比較例3と同等以上の効果が確認された。比較例2~3では、有機溶媒を使用しなかったために、改質セルロースの分散が不十分であったことが理由として示唆される。さらに比較例4では、溶媒を用いたものの水であったために改質セルロースの分散が不十分であったことが理由として示唆され、このことは、比較例4における分散液の変化率が劣悪であったことから裏付けられる。
本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体は、例えば、エレクトロニクス、航空宇宙、土木建築、自動車、車載向け用途等の分野において、樹脂成形材料、電気絶縁材料として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記工程(1)及び工程(2)を有することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
    工程(1):下記の置換基群A及び置換基群Bからなる群より選ばれる1種以上の置換基が、それぞれ独立して、エーテル結合を介して結合した改質セルロースが有機溶媒に分散した分散液とオレフィン系樹脂とを混合させる工程
    工程(2):工程(1)で得られた混合物を混練し、かつ該混合物から有機溶媒を除去する工程
    (ここで、置換基群Aは、下記一般式(2)で表される置換基及び一般式(3)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基であり、
    -CH -CH(OH)-R (2)
    -CH -CH(OH)-CH -(OA) -O-R (3)
    〔式中、R はそれぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上3以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
    置換基群Bは、下記一般式(5)で表される置換基及び一般式(6)で表される置換基からなる群より選択される1種以上の置換基である。
    -CH -CH(OH)-R (5)
    -CH -CH(OH)-CH -(OA) -O-R (6)
    〔式中、R はそれぞれ独立して、炭素数5以上30以下の、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有する炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕)
  2. 工程(2)における、工程(1)で得られた混合物の混練時の温度(Tm(℃))が下記の式(1)を満たす、請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
    Tm-80℃≦Tbp≦Tm+50℃
    (式中、Tbpとは分散液を構成する有機溶媒の沸点である。)
  3. 25℃における、前記分散液の波長660nmでの透過率の5分間の変化率が10%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記分散液中の改質セルロースの含有量が、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記工程(1)において、前記分散液100質量部に対して、前記オレフィン系樹脂を0.1質量部以上100質量部以下混合させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記工程(2)において、工程(1)で得られた混合物を混練する工程(工程(2-1))及び工程(1)で得られた混合物から有機溶媒を除去する工程(工程(2-2))が行われる、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記工程(1)で用いられる有機溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレン、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルム、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンからなる群より選択される1種以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
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