JP7543261B2 - 改質セルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 下記工程Aを含む改質セルロースの製造方法。
工程A:セルロース原料に対し、水および界面活性剤存在下、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に炭素数6以上の置換基を導入する工程
[2] さらに下記工程Bを有する前記[1]に記載の製造方法。
工程B:セルロース原料に対し、水および界面活性剤存在下、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に炭素数1以上5以下の置換基を導入する工程
[3] 工程A及び工程Bを同時に行う、前記[2]に記載の製造方法。
[4] 工程Bの後、工程Aを行う改質セルロースの製造方法であって、工程Aにおけるセルロース原料として、工程Bで得られた炭素数1以上5以下の置換基が導入されたセルロースを用いる、前記[2]に記載の製造方法。
[5] 前記工程Aを含む改質セルロースの製造方法で得られた改質セルロース。
[6] 前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた改質セルロースと、樹脂とを混合して得られる樹脂組成物。
[7] 前記[6]に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明の改質セルロースの製造方法は、詳細なメカニズムについては不明だが、界面活性剤を系内に添加することで、セルロース原料と疎水性置換基の相溶性を高めることができ、置換基の反応選択率が向上したと推測される。
本発明の製造方法は工程Aを有する。工程Aでは、セルロース原料に、炭素数6以上の置換基を有する化合物をエーテル化剤として反応させる。好ましくは、セルロース原料と塩基の混合物に、炭素数6以上の置換基を有する化合物をエーテル化剤として反応させる。以下、工程Aにおける各成分および反応条件について説明する。
本発明で用いられるセルロース原料は、木本系(針葉樹・広葉樹)、草本系(イネ科、アオイ科、マメ科の植物原料、ヤシ科の植物の非木質原料)、パルプ類(綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等)、紙類(新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等)等が挙げられる。なかでも、入手性及びコストの観点から、木本系、草本系が好ましい。本発明ではこれらの原料をそのまま用いてもよいし、後述する工程Bの後、工程Aを行う場合等においては、工程Bで得られた炭素数1以上5以下の置換基が導入されたセルロースをセルロース原料として用いてもよい。
水は工程Aにおける媒体としての役割を有すると考えられる。
工程Aにおいては、任意に親水性の媒体を存在させることができる。親水性の媒体としては、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。
本発明で用いられる界面活性剤としては、界面活性を有していれば特に制限はない。
R15-NH3 + (A-2)
R24-O-(AO)n-SO3- (E)
本発明の改質セルロースの製造方法において導入される置換基は、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基と結合する炭素数6以上の置換基である。疎水性発現の観点から、前記置換基の炭素数は、好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、入手性および反応性の観点から、好ましくは26以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは18以下である。
-R1 (1)
-CH2-CH(OH)-R2 (2)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R3 (3)
〔式中、R1は炭素数6以上30以下の炭化水素基であり、R2は炭素数4以上30以下の炭化水素基であり、R3は炭素数3以上30以下の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
エーテル化剤は、反応性の観点から、反応性を有する環状構造基を有する化合物及びまたは有機ハロゲン化合物を用いることが好ましく、エポキシ基及び又はハロゲン化炭化水素基を有する化合物を用いることがより好ましい。以下に、前記一般式(1)、(2)、(3)で示した置換基を導入するための化合物を例示する。
本発明の改質セルロースの製造方法では、前記セルロース原料に、エーテル化反応を進行させる観点から、塩基を混合することが好ましい。
エーテル化剤とセルロース原料とのエーテル化反応は、水および界面活性剤の存在下で、両者を混合することにより行うことができる。
操作手順としては、例えば、セルロース原料に水、界面活性剤、及び必要に応じて水酸化ナトリウム等の塩基をこの順序で加え、30分以上室温にて混合した後、エーテル化剤を添加して加熱混合することで反応を行う方法が例示される。この手順はセルロース原料や界面活性剤、エーテル化剤が均一に混合されていれば、順序を問わない。混合時間も反応のスケールや使用するエーテル化剤の種類や量等によって一概には決められない。均一に反応を行う観点、及び反応時の熱分布の偏りを解消する観点から、撹拌翼やマグネチックスターラー等を用いて適宜撹拌させながら反応を行ってもよい。エーテル化剤はこの一工程で二種類以上添加しても良い。
本発明の改質セルロースの製造方法は、前記工程Aの他、任意に、炭素数1以上5以下の置換基を導入する工程(工程B)、水以外の媒体を含有する工程、微細化処理工程などの工程を有していてもよい。
工程Bは、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に炭素数1以上5以下の置換基が導入されたセルロース原料を調製する工程である。
-CH2-CH(OH)-R5 (5)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R6 (6)
〔式中、R4は炭素数1以上5以下の炭化水素基を示し、R5は水素、または炭素数1以上3以下の炭化水素基、R6は水素、または炭素数1以上2以下の炭化水素基、nは0以上2以下の数、Aは炭素数2以上6以下の2価の炭化水素基を示す〕
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースは、さらに微細化処理が行われてもよい。例えば、マスコロイダー等の磨砕機を用いた処理や溶媒中で高圧ホモジナイザー等を用いた処理を行うことで微細化することができる。
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースは、炭素数6以上の置換基がエーテル結合を介してセルロースに導入されたものである。本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースの態様としては、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維、セルロースI型結晶構造を有さない改質セルロースが挙げられる。樹脂に機械物性を付与する観点から、好ましくはセルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維である。
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースは、樹脂(例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂など)と混合して、樹脂組成物として用いることができる。樹脂は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、樹脂含有組成物を溶媒キャスト法、紡糸、押出成形、射出成形、プレス成形等の公知の成形法を施すことによって、成形体を調製することができる。本明細書において、かかる樹脂組成物及び樹脂成形体は、本発明に包含される。
本発明の改質セルロースには、用途に応じてその他の成分、例えば、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、結晶核剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、加水分解抑制剤、難燃剤、酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、界面活性剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;タンニン、;香料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;紫外線分散剤;消臭剤等が、含まれていても構わない。さらに、他の高分子材料や他の組成物を添加することも可能である。
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースの結晶化度は、改質セルロースを樹脂組成物に適用した際に得られる成形体の強度発現の観点から、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上であり、更に好ましくは20%以上である。また、原料入手性の観点から、好ましくは90%以下であり、より好ましくは85%以下であり、更に好ましくは80%以下であり、更に好ましくは75%以下である。なお、本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出したセルロースI型結晶化度であり、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。セルロースI型結晶構造の有無は、後述の実施例に記載のX線回折測定において、2θ=22.6°にピークがあることで判定することができる。
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースにおいて、セルロースの無水グルコースユニット1モルに対する炭素数6以上の置換基が導入されたモル量(モル置換度:MS)は、疎水性発現の観点から、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.005以上であり、より好ましくは0.01以上であり、更に好ましくは0.03以上である。一方、選択率及びコストの観点から、MSとしては、好ましくは3以下であり、より好ましくは2.5以下であり、更に好ましくは2以下である。ここで、炭素数6以上の置換基が複数種の置換基で構成されている場合、炭素数6以上の置換基のMSは各置換基のMSの合計である。本明細書において、モル置換度(MS)は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の改質セルロースの製造方法により得られる改質セルロースが改質セルロース繊維である場合の平均繊維径は、置換基の種類に関係なく、好ましくは5μm以上である。取扱い性、入手性、及びコストの観点から、より好ましくは7μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、更に好ましくは15μm以上である。また、上限は特に設定されないが、取扱い性の観点から、好ましくは10,000μm以下であり、より好ましくは5,000μm以下であり、更に好ましくは1,000μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、より更に好ましくは100μm以下である。なお、前記微細化処理工程により、ナノファイバーとすることもできる。改質セルロース繊維の平均繊維径は、前記したセルロース原料と同様にして測定することができる。詳細は、実施例に記載の通りである。
工程A:セルロース原料に対し、水および界面活性剤存在下、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に炭素数6以上の置換基を導入する工程
-R1 (1)
-CH2-CH(OH)-R2 (2)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R3 (3)
〔式中、R1は炭素数6以上30以下の炭化水素基であり、R2は炭素数4以上30以下の炭化水素基であり、R3は炭素数3以上30以下の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕
<3> 炭素数6以上の置換基の炭素数が、好ましくは7以上26以下、より好ましくは8以上22以下、更に好ましくは10以上18以下である、前記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> さらに下記工程Bを有する、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
工程B:セルロース原料に対し、水および界面活性剤存在下、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に炭素数1以上5以下の置換基を導入する工程
<5> 工程A及び工程Bを同時に行う、前記<4>に記載の製造方法。
<6> 工程Bの後、工程Aを行う改質セルロースの製造方法であって、工程Aにおけるセルロース原料として、工程Bで得られた炭素数1以上5以下の置換基が導入されたセルロースを用いる、前記<4>又は<5>に記載の製造方法。
<7> 炭素数1以上5以下の置換基が、下記一般式(4)、(5)及び(6)からなる群より選択される1種以上の置換基である、前記<4>~<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
-R4 (4)
-CH2-CH(OH)-R5 (5)
-CH2-CH(OH)-CH2-(OA)n-O-R6 (6)
〔式中、R4は炭素数1以上5以下の炭化水素基を示し、R5は水素、または炭素数1以上3以下の炭化水素基、R6は水素、または炭素数1以上2以下の炭化水素基、nは0以上2以下の数、Aは炭素数2以上6以下の2価の炭化水素基を示す〕
<8> セルロース原料の平均繊維径が、好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは7μm以上300μm以下である、前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
<9> セルロース原料の平均繊維長が、好ましくは1,000μm以上5,000μm以下、より好ましくは1,500μm以上3,000μm以下である、前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の製造方法。
<10> 界面活性剤が、好ましくは、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤であり、より好ましくは陽イオン性界面活性剤であり、更に好ましくは4級アンモニウム塩である、前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の製造方法。
<12> 界面活性剤が有する炭化水素基が、好ましくは、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリチル基等のアラルキル基;及びヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基である、前記<1>~<11>のいずれか1つに記載の製造方法。
<13> 界面活性剤の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.005当量以上5当量以下、より好ましくは0.01当量以上1当量以下、更に好ましくは0.03当量以上0.1当量以下、更に好ましくは0.03当量以上0.05当量以下である、前記<1>~<12>のいずれか1つに記載の製造方法。
<14> 界面活性剤の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.005mol以上5mol以下、より好ましくは0.01mol以上1mol以下、更に好ましくは0.03mol以上0.1mol以下、更に好ましくは0.03mol以上0.05mol以下である、前記<1>~<13>のいずれか1つに記載の製造方法。
<15> エーテル化剤の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.02当量以上10.0当量以下、より好ましくは0.05当量以上8.0当量以下、更に好ましくは0.1当量以上7.0当量以下、更に好ましくは0.3当量以上6.0当量以下、更に好ましくは0.5当量以上6.0当量以下である、前記<1>~<14>のいずれか1つに記載の製造方法。
<16> エーテル化剤の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.02mol以上10.0mol以下、より好ましくは0.05mol以上8.0mol以下、更に好ましくは0.1mol以上7.0mol以下、更に好ましくは0.3mol以上6.0mol以下、更に好ましくは0.5mol以上6.0mol以下である、前記<1>~<15>のいずれか1つに記載の製造方法。
<17> 工程Aにおける全成分の混合物中のエーテル化剤の濃度が、好ましくは1質量%以上80質量%以下、より好ましくは5質量%以上70質量%以下、更に好ましくは10質量%以上60質量%以下、更に好ましくは10質量%以上55質量%以下、更に好ましくは10質量%以上52質量%以下である、前記<1>~<16>のいずれか1つに記載の製造方法。
<18> エーテル化反応における塩基の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.01当量以上10当量以下、より好ましくは0.05当量以上8当量以下、更に好ましくは0.1当量以上5当量以下、更に好ましくは0.2当量以上3当量以下である、前記<1>~<17>のいずれか1つに記載の製造方法。
<19> エーテル化反応における塩基の添加量が、セルロース原料のAGU 1molあたり、好ましくは0.01mol以上10mol以下、より好ましくは0.05mol以上8mol以下、更に好ましくは0.1mol以上5mol以下、更に好ましくは0.2mol以上3mol以下である、前記<1>~<18>のいずれか1つに記載の製造方法。
<20> 改質セルロースがセルロースI型結晶構造を有するものである、前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の製造方法。
<22> 改質セルロースが改質セルロース繊維であって、該改質セルロース繊維の平均繊維径が、好ましくは5μm以上10,000μm以下、より好ましくは7μm以上5,000μm以下、更に好ましくは10μm以上1,000μm以下、更に好ましくは15μm以上500μm以下、更に好ましくは15μm以上100μm以下である、前記<1>~<21>のいずれか1つに記載の製造方法。
<23> 改質セルロースにおける、セルロースのAGU 1モルに対する炭素数6以上の置換基のモル置換度(MS)が、好ましくは0.001MS以上、より好ましくは0.005MS以上、より好ましくは0.01MS以上、更に好ましくは0.03MS以上である、前記<1>~<22>のいずれか1つに記載の製造方法。
<24> 前記工程Aを含む改質セルロースの製造方法によって得られた改質セルロース。
<25> 工程Aにおける界面活性剤が、炭素数6以上40以下の炭化水素基を有する界面活性剤である、前記<24>に記載の改質セルロース。
<26> 界面活性剤が、好ましくは、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤であり、より好ましくは陽イオン性界面活性剤であり、更に好ましくは4級アンモニウム塩である、前記<25>に記載の改質セルロース。
<27> 界面活性剤が有する炭化水素基の炭素数が、好ましくは6以上40以下、より好ましくは7以上36以下、さらに好ましくは8以上30以下、さらに好ましくは10以上20以下である、前記<25>又は<26>に記載の改質セルロース。
<28> 界面活性剤が有する炭化水素基が、好ましくは、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリチル基等のアラルキル基;及びヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基である、前記<25>~<27>のいずれか1つに記載の改質セルロース。
<29> 前記<1>~<23>のいずれか1つに記載の製造方法によって得られた改質セルロース。
<30> 前記<1>~<23>のいずれか1つに記載の製造方法によって得られた改質セルロースと、樹脂とを混合して得られる樹脂組成物。
<31> 前記<30>に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
セルロース原料及び改質セルロースの結晶構造は、回折計(リガク社製、商品名:RigakuRINT 2500VC X-RAY diffractometer)を用いて以下の条件で測定することにより確認する。
測定ペレット調製条件:錠剤成形機で10-20MPaの範囲で圧力を印加することで、面積320mm2×厚さ1mmの平滑なペレットを調製する。
X線回折分析条件:ステップ角0.01°、スキャンスピード10°/min、測定範囲:回折角2θ=5~45°
X線源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA
ピーク分割条件:バックグラウンドノイズを除去した後、2θ=13-23°の間の誤差が5%以内に収まるようにガウス関数でフィッティングする。
セルロースI型結晶構造の結晶化度は上述のピーク分割により得られたX線回折ピークの面積を用いて以下の式(A)に基づいて算出する。
セルロースI型結晶化度(%)=[Icr/(Icr+Iam)]×100 (A)
〔式中、Icrは、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22-23°)の回折ピークの面積、Iamはアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折ピークの面積を示す〕
測定対象のセルロース中に含有される置換基の含有量%(質量%)を、Analytical Chemistry, Vol.51, No.13, 2172(1979)、「第十五改正日本薬局方(ヒドロキシプロピルセルロースの分析方法の項)」等に記載の、セルロースエーテルのアルコキシ基の平均付加モル数を分析する手法として知られるZeisel法に準じて算出する。以下に手順を示す。
(ii)精製、乾燥を行った測定対象のセルロース70mg、アジピン酸80mgを10mLバイアル瓶に精秤し、ヨウ化水素酸2mLを加えて密栓する。
(iii)上記バイアル瓶中の混合物を、スターラーチップにより攪拌しながら、160℃のブロックヒーターにて1時間加熱する。
(iv)加熱後、バイアルに内標溶液2mL、ジエチルエーテル2mLを順次注入し、室温で1分間攪拌する。
(v)バイアル瓶中の2相に分離した混合物の上層(ジエチルエーテル層)をガスクロマトグラフィー(SHIMADZU社製、商品名:GC2010Plus)にて分析する。
(vi)測定対象のセルロースを、その改質に用いたエーテル化剤5mg、10mg、15mgにそれぞれ変更する以外は、(ii)~(v)と同様の方法で分析を行い、エーテル化剤の検量線を作成する。
(vii)作成した検量線と、測定対象のセルロースの分析結果から、測定対象のセルロース中に含有される置換基を定量する。分析条件は以下のとおりである。
カラム温度:30℃(10min Hold)→10℃/min→300℃(10min Hold)
インジェクター温度:300℃
検出器温度:300℃
打ち込み量:1μL
数式(1)
MS=(W/Mw)/((100-W)/162.14)
W:測定対象のセルロース中の工程A又は工程Bで導入された置換基の含有量(質量%)
Mw:導入工程で導入したエーテル化剤の分子量(g/mol)
また、一工程中で二種類の置換基AおよびBを導入し、各々のMSをまとめて算出する場合、下記数式(2)及び(3)を用いて各々のモル置換度を算出することができる。
数式(2)
MS(A)=(A/Mw)/((100-A-B)/162.14)
数式(3)
MS(B)=(B/Mw)/((100-A-B)/162.14)
A:測定対象のセルロース中の一工程において二種の置換基AおよびBを導入した際の置換基A含有量(質量%)
B:測定対象のセルロース中の一工程において二種の置換基AおよびBを導入した際の置換基B含有量(質量%)
Mw:導入工程で導入したエーテル化剤の分子量(g/mol)
測定対象のセルロースに媒体を加えて、その含有量が0.01質量%の分散液を調製する。該分散液を湿式分散タイプ画像解析粒度分布計(ジャスコインターナショナル社製、商品名:IF-3200)を用いて、フロントレンズ:2倍、テレセントリックズームレンズ:1倍、画像分解能:0.835μm/ピクセル、シリンジ内径:6515μm、スペーサー厚み:500μm、画像認識モード:ゴースト、閾値:8、分析サンプル量:1mL、サンプリング:15%の条件で測定する。セルロースを100本以上測定し、それらの平均ISO繊維径を平均繊維径として、平均ISO繊維長を平均繊維長として算出する。
針葉樹の漂白クラフトパルプ(以後NBKPと略称、ウエストフレザー社製、「ヒントン」、繊維状、平均繊維径24μm、セルロース含有量90質量%、水分含有量5質量%)を粉砕した粉末状セルロース(平均メジアン径89μm、セルロース含有量90質量%、水分含有量5質量%)を、セルロース原料1として用いた。
絶乾したNBKP粉砕品(セルロース原料1)250.0gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液267.1g(NaOH0.28当量/AGU)を添加し、均一に混合した後、エーテル化剤として酸化ブチレン333.8g(和工純薬社製、3当量/AGU)を添加し、密閉した後に50℃、7hニーダー回転機器を用いて撹拌反応を行った。反応後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、セルロース原料2(酸化ブチレンのMS0.26)を得た。
セルロース原料1を1.0gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液10.7g(NaOH2.77当量/AGU)、界面活性剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.069g(富士フイルムワコーケミカル社製、0.04当量/AGU)を添加し、均一に混合した後、エーテル化剤として2-エチルヘキシルグリシジルエーテル5.18g(東京化成工業社製、4.5当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24hブロックヒーターによる撹拌反応を行った。反応後、熱IPAで洗浄した後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
2-エチルヘキシルグリシジルエーテルをラウリルグリシジルエーテル(四日市合成社製、実施例2)、ステアリルグリシジルエーテル(花王社製、実施例3)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。活性剤の量は4.5当量/AGUとした。
ラウリルグリシジルエーテルの使用量を1.0当量/AGUに変更した点以外は実施例2と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
界面活性剤を未添加に変更した点及び当量以外は実施例1~4と同様の方法で、それぞれセルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
使用した界面活性剤を表4に記載のものに変更した点以外は実施例4と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。活性剤の量は1.0当量/AGUとした。
セルロース原料1を1.0gに25質量%のTBAH水溶液13.3g(Combi-Blocks社製TBAH2.17当量/AGU)、界面活性剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.069g(富士フイルムワコーケミカル社製、0.04当量/AGU)を添加し、均一に混合した後、エーテル化剤としてラウリルグリシジルエーテル2.9g(四日市合成社製、1.0当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24hブロックヒーターによる撹拌反応を行った。反応後、熱IPAで洗浄した後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
2-エチルヘキシルグリシジルエーテルをフェニルグリシジルエーテル(東京化成工業社製、1.0当量/AGU、実施例13)、o-メチルフェニルグリシジルエーテル(Sigma-Aldrich社製、1.0当量/AGU、実施例14)に変更した点以外は実施例1と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
界面活性剤を未添加に変更した点以外は実施例13~14と同様の方法で、それぞれセルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
セルロース原料2を1.0gに6.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液10.7g(NaOH3.00当量/AGU)、界面活性剤としてドデシルトリメチルアンモニウムクロリド0.063g(富士フイルムワコーケミカル社製、0.04当量/AGU)を添加し、均一に混合した後、エーテル化剤としてラウリルグリシジルエーテル1.38g(四日市合成社製、1.0当量/AGU)を添加し、密閉した後に70℃、24hブロックヒーターによる撹拌反応を行った。反応後、熱IPAで洗浄した後、酢酸で中和し、水、アセトンでそれぞれ十分に洗浄することで不純物を取り除き、70℃で一晩真空乾燥を行うことで、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
界面活性剤を未添加に変更した点以外は実施例15と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
ラウリルグリシジルエーテルを、ステアリルグリシジルエーテル(花王社製)に変更した点以外は実施例15と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
使用した界面活性剤を表7に記載のものに変更した点以外は実施例15と同様の方法で、セルロースI型結晶構造を有する改質セルロース繊維を得た。
オクチルトリメチルアンモニウムクロリド(東京化成工業社製)
コータミンD-10P(花王社製)ジデシルジメチルアンモニウムクロリド
ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(Combi-Blocks社製)
ネオぺレックスG-15(花王社製)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
ぺレックスTR(花王社製)ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム
エマルゲン102KG(花王社製)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
ラテムルE-150(花王社製)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム
エマルゲン150(花王社製)ポリオキシエチレンラウリルエーテル
アンヒトール20AB(花王社製)ラウリン酸アミドプロピルベタイン
-CH2-CH(OH)-CH2-O-R3 (3a)
反応選択率は、1グルコースユニット当たりに付加した炭素数6以上の置換基の付加モル数をそれぞれ使用したエーテル化剤の使用モル量で割った値である。実施例1~3に関してはそれぞれ比較例1~3を、実施例4~12に関しては比較例4を、実施例13に関しては比較例6を、実施例14に関しては比較例7を、実施例15~21に関しては比較例8の反応選択率を1としたときの相対値を併せて示す。
Claims (3)
- 下記工程Aを含む改質セルロースの製造方法。
工程A:セルロース原料に対し、水および炭素数10以上40以下のアルキル基を有する4級アンモニウム塩の存在下、セルロース骨格の水酸基から水素原子を除いた基に、下記一般式(3)で示される総炭素数が11以上の置換基をエーテル結合を介して導入する工程
-CH 2 -CH(OH)-CH 2 -(OA) n -O-R 3 (3)
〔式中、R 3 は炭素数3以上30以下の炭化水素基であり、nは0以上50以下の数であり、Aは炭素数2以上6以下の直鎖又は分岐鎖の2価の炭化水素基である。〕 - 改質セルロースが、セルロースI型結晶構造を有する、請求項1に記載の改質セルロースの製造方法。
- 改質セルロースが、改質セルロース繊維である、請求項1又は2に記載の改質セルロースの製造方法。
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