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JP7268487B2 - 薄膜状圧電素子およびその製造方法 - Google Patents
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JP7268487B2 - 薄膜状圧電素子およびその製造方法 - Google Patents

薄膜状圧電素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜状圧電素子およびその製造方法、アクチュエータ、インクジェットヘッド、ならびに画像形成装置に関する。
薄膜状の圧電体と、上記圧電体に対して厚み方向に電圧を印加する上下の電極と、を有する薄膜状圧電素子は、アクチュエータとしてインクジェットヘッドやハードディスクドライブ(HDD)などに幅広く用いられている。
上記圧電体としては、強誘電性および良好な圧電特性を有する、ペロブスカイト構造を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が一般的に用いられている。また、上記上下の電極には、多種多様な金属またはその酸化物を使用できることが知られている(特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献3~特許文献5には、圧電体としてペロブスカイト型酸化物を用い、かつ、上記上下の電極にチタン(Ti)または酸化チタンと、イリジウム(Ir)とを含む貴金属を用いた圧電素子が記載されている。特許文献3~特許文献5には、TiまたはIrを含むターゲットを用いたスパッタ法により、上記電極を作製できると記載されている。
特開2016-36006号公報 特開2005-228838号公報 特開2004-47928号公報 特開2004-186646号公報 特開2005-119166号公報
特許文献1~特許文献5にも記載のように、ペロブスカイト構造を有する圧電体を用いた薄膜状圧電素子は広く使用されている。
たとえば上記薄膜状圧電素子をインクジェットヘッドに用いるときは、長期的にパルス駆動させたときに圧電体の変位量が低下すると、インクジェットヘッドからの液滴の射出速度も経時的に変化してしまう。薄膜状圧電素子の耐久性を高める観点から、圧電体には、長期的な使用による変位量の変化が少ないことが求められる。特に、本発明者らの知見によれば、ペロブスカイト構造を有する圧電体を高温環境で長期的にパルス駆動させたときに、変位量の低下が顕著である。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、高温環境で長期的にパルス駆動させたときの、圧電体の変位量の経時的な低下が抑制された薄膜状圧電素子、その製造方法、当該薄膜状圧電素子を有するアクチュエータ、当該アクチュエータを有するインクジェットヘッド、ならびに当該インクジェットヘッドを有する画像形成装置を提供することを、その目的とする。
上記課題は、上部電極および下部電極、ならびに上記上部電極と下部電極との間に配置されたペロブスカイト構造を有する圧電体、を有する薄膜状圧電素子によって解決される。上記上部電極および下部電極の少なくとも一方の電極は、Irを主成分とするIr-Ti合金からなり、上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている。
また、上記課題は、基板の一面に下部電極を形成する工程、上記下部電極の前記基板とは反対側に圧電体を形成する工程、および上記圧電体の前記基板とは反対側に上部電極を形成する工程、を有する、薄膜状圧電素子の製造方法により解決される。上記下部電極を形成する工程および上部電極を形成する工程の少なくとも一方の工程は、Irを主成分とするIr-Ti合金焼結体ターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気ガスの存在下で、上記基板を加熱しながら反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程と、上記成膜された電極膜を酸素雰囲気下でアニールする工程と、を含む。
また、上記課題は、上記薄膜状圧電素子を有するアクチュエータによって解決される。
また、上記課題は、上記アクチュエータ他を有するインクジェットヘッドによって解決される。
また、上記課題は、上記インクジェットヘッドを有する画像形成装置によって解決される。
本発明により、高温環境で長期的にパルス駆動させたときの、圧電体の変位量の経時的な低下が抑制された薄膜状圧電素子、その製造方法、当該薄膜状圧電素子を有するアクチュエータ、当該アクチュエータを有するインクジェットヘッド、ならびに当該インクジェットヘッドを有する画像形成装置が提供される。
図1は、本発明の第1の実施形態に関する薄膜状圧電素子の模式的な構成を示す、厚み方向への断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に関する薄膜状圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、本発明の第2の実施形態における上部電極を形成する工程(工程S110)に含まれる各工程を示すフローチャートである。 図4は、本発明の第2の実施形態における下部電極を形成する工程(工程S150)に含まれる各工程を示すフローチャートである。 図5は、実施例において、ACT-1およびACT-2のそれぞれに100億パルスの駆動電圧を印加したときの、印加したパルス数と、アクチュエータの変位量の低下率との関係を示すグラフである。 図6は、実施例において、ACT-1を有するインクジェットヘッドおよびACT-2を有するインクジェットヘッドのそれぞれに100億パルスの駆動電圧を印加したときの、印加したパルス数と、射出速度の低下率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
[薄膜状圧電素子]
図1は、本発明の第1の実施形態に関する薄膜状圧電素子100の模式的な構成を示す、厚み方向への断面図である。
図1に示すように、薄膜状圧電素子100は、この順に配置された、上部電極110、配向制御層120、圧電体130、低誘電率層140、下部電極150および振動板160を有する。
上部電極110は、主成分であるイリジウム(Ir)とチタン(Ti)とを含む、Ir-Ti合金からなる電極である。上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている。下部電極150は、膜厚が0.1μm~0.4μmの薄膜状部材とすることができる。
配向制御層120は、上部電極110と圧電体130との間に配置された、圧電体130よりも比誘電率が低い材料から形成された層である。配向制御層120は、薄膜状圧電素子100の作製時に、圧電体130の材料の結晶性を制御して、(001)面への配向度を高めるための層である。配向制御層120は、ペロブスカイト型結晶構造を有する材料からなればよく、チタン酸ランタン鉛(PLT)、PLTにジルコニウムを添加したPLZT、PLTまたはPLZTにマグネシウムまたはマンガンを添加した合金、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化ストロンチウムチタン、および酸化マグネシウムなどの材料から形成された、膜厚が0.01μm~0.2μmの薄膜状部材とすることができる。
上記配向制御層120の材料は、(001)面に優先配向していることが好ましい。これにより、配向制御層120の表面に接して形成された圧電体130の材料(PZT)を、(001)面に優先配向させることができる。上記圧電体130の材料の配向性をより高める観点から、上記配向制御層120の材料であるPLTは、ランタン(La)の含有量が0モル%より多く25モル%以下であることが好ましく、また、Pbの含有量が化学量論組成よりも0モル%以上30モル%以下過剰であることが好ましい。
圧電体130は、本実施形態では菱面体晶系または正方晶系のペロブスカイト型結晶構造を有する材料からなる。圧電体130の材料は、上記ペロブスカイト型結晶構造を有する限りにおいて特に限定されないが、ペロブスカイト構造(ABO)のAサイトに鉛(Pb)を含むことが好ましく、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であることが好ましい。圧電体130は、膜厚が0.5μm~5.0μmの薄膜状部材とすることができる。
上記PZTは、(001)面に優先配向しており、たとえば(001)面への配向度は90%以上とすることができる。なお、上記(001)面への配向度は、X線回折法においてCu-Kα線を用いて測定された、2θが10°~70°の範囲におけるペロブスカイト型結晶構造を有するPZTの各結晶面からピーク強度の総和に対する、(001)面からのピーク強度の割合である。
上記PZTの組成は、Bサイトに入るジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)との組成比が、正方晶と菱面体晶との境界(モルフォトロピック境界、Zr/Ti=53/47)の付近であることが好ましく、Zr/Ti=30/70~70/30であることが好ましい。また、上記PZTは、ストロンチウム(Sr)、ニオブ(Nb)、およびAlなどを含有してもよいし、マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN-PT)および亜鉛ニオブ酸チタン酸鉛(PZN-PT)などであってもよい。
低誘電率層140は、下部電極150と圧電体130との間に配置された、圧電体130よりも誘電率が低い材料から形成された層である。低誘電率層140は、電圧印加時に圧電体130に発生する応力を緩和するなどして、長期駆動時などに生じやすいリーク電流を抑制する。低誘電率層140は、PLT、PLZT、PLTまたはPLZTにマグネシウムまたはマンガンを添加した合金、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化ストロンチウムチタン、および酸化マグネシウムなどの材料から形成された、膜厚が0.01μm~0.2μmの薄膜状部材とすることができる。
下部電極150は、Irを主成分とするIr-Ti合金からなる電極である。上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている。下部電極150は、膜厚が0.1μm~0.4μmの薄膜状部材とすることができる。
振動板160は、圧電体130が圧電効果により体積変動(変位)することにより、厚み方向に変位して振動する薄膜状部材である。本実施形態において、振動板は、振動板160aおよび振動板160bを有する、積層構造を有する。
振動板160aは、振動板160bよりもヤング率が小さい材料(金属)からなる。このような振動板160aは、製造時の応力を緩和して、上記応力による圧電体130(あるいは上部電極110、配向制御層120、低誘電率層140および下部電極150など)へのクラックの発生を抑制する。
振動板160bは、振動板160aよりもヤング率が大きい材料(金属)からなる。このような振動板160bは、圧電体130が生じた変位からより大きな発生圧力を取り出すことを可能とする。
また、振動板160が、ヤング率がより小さい振動板160aを圧電体130により近い側に有し、ヤング率がより大きい振動板160aを圧電体130からより遠い側に有することで、振動中心の位置を圧電体130からより離れた位置に変更して振動板160をより変位させやすくすることができる。
振動板の材料および構成は特に限定されないものの、たとえば、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)およびシリコン(Si)、ならびにこれらの酸化物または窒化物(たとえば、二酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および窒化シリコンなど)などから形成された、膜厚が2.0μm~10.0μmの薄膜状部材とすることができる。振動板160aおよび振動板160bに使用する材料の組み合わせは特に限定されないものの、たとえば、振動板160aはAu、Cu、およびAlなどを含んで形成され、振動板160bはCr、Mo、Ti、W、Pt、およびIrなどを含んで形成されることが好ましい。
本実施形態において、上部電極110および下部電極150は、Irを主成分とするIr-Ti合金からなる電極であり、上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている。なお、Irを主成分とするIr-Ti合金とは、Irの含有量がTiよりも多い合金を意味する。
本発明者らの知見によると、上記薄膜状圧電素子を高温環境で長期的にパルス駆動させると、圧電体130から酸素が抜けていき、これによって圧電体のヒステリシス曲線がシフトして、圧電体130の変位量が経時的に低下していく。上記変位量の経時的な変化は、特に印加電圧を複雑に変化させる(複雑な波形をかける)インクジェットヘッドなどで、顕著である。
これに対し、上部電極110および下部電極150が、その一部が酸化されているIr、およびその一部が酸化されているTiを含むと、圧電体130の変位量の経時的な低下が抑制される。これは、上部電極110および下部電極150に含まれる上記酸化物が、圧電体130からの酸素抜けを防止するためだと考えられる。
本実施形態において、上記Irの酸化物は、IrOを含む。また、本実施形態において、上記Tiの酸化物は、TiOおよびTiである。上記Tiの酸化物は、TiOおよびTiのいずれか一方を含めばよいが、TiOおよびTiの双方を含むことが好ましい。
上部電極110および下部電極150に含まれるIr原子のうち、上記酸化物(IrO)となっているIr原子の割合は、Ir原子の全量に対して、X線光電子分光XPS分析測定による結合スペクトル強度比より5%から50%以下であることが好ましく、10%から40%であることがより好ましく、15%から35%であることがさらに好ましい。貴金属であるIrは酸化しにくいが、後述する製造方法のようにアニールすることで、Irの酸化を促進し、酸化物となっているIr原子の割合を上記範囲とすることができる。また、酸化物となっているIr原子の割合を上記範囲のように多くすることで、圧電体130からの酸素の抜けをより効果的に抑制して、圧電体130の変位量の経時的な低下をさらに抑制することができる。
上部電極110および下部電極150に含まれるTi原子のうち、TiOおよびTiとなっている酸化物の割合は90%以上でほぼ100%に近い割合となっている事が好ましい。さらにX線光電子分光XPS分析測定による結合スペクトル強度比の解析よりTiOおよびTiの比率を換算すると、TiOおよびTiのうちTiOの強度を100%とすると、Tiの比率は5%から40%以下であることが好ましく、10%から30%であることがより好ましく、10%から20%であることがさらに好ましい。TiOは配向制御に必要な酸化状態でもあるためTiより優位な比率となっている事が好ましい。Tiの酸化物がTiOおよびTiの状態で存在する事で、圧電体130からの酸素の抜けをより効果的に抑制して、圧電体130の変位量の経時的な低下をさらに抑制することができる。
また、本実施形態において、酸化されていないIrは、(111)配向されたIr結晶および(002)配向されたIr結晶となっている。上記酸化されていないIrは、(111)配向されたIr結晶および(002)配向されたIr結晶のいずれかとして存在すればよいが、(111)配向されたIr結晶および(002)配向されたIr結晶の双方が存在することが好ましい。
上部電極110および下部電極150に含まれるIrは、X線回折測定のθ―2θ測定の回折角度が10°から70°の範囲で、(111)面と(002)面の回折強度の総和を100%とすると、(111)への配向度が70%以上95%以下であることが好ましく、80%以上95%以下であることがより好ましく、85%以上95%以下であることがさらに好ましい。
また、上部電極110および下部電極150に含まれるIrは、(002)面への配向度が5%以上30%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましく、5%以上15%以下であることがさらに好ましい。(111)配向は圧電体の配向制御に必要な配向であるため(002)配向に対して有意な配向度を有する事が好ましい。
上記Tiは、製造時に用いる基板への上部電極110の密着性や、振動板160への下部電極150の密着性を高める。また、上記Tiは、上部電極110の表面に配向制御層120を結晶成長させるときに、上記配向制御層120の材料(PLT)を、(001)面に優先配向させやすくする。一方で、比抵抗がより高いTiの含有量を多くすることによる、導電性の低下を抑制するため、上部電極110および下部電極150におけるTiの含有量は、IrとTiとの合計質量に対して、0質量%より多く10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。
なお、上部電極110および下部電極150は、IrおよびTi以外の他の金属原子を含んでいてもよい。
[薄膜状圧電素子の製造方法]
図2は、本発明の第2の実施形態に関する薄膜状圧電素子100の製造方法を示すフローチャートである。
薄膜状圧電素子100は、基板の一面に上部電極110を形成(工程S110)し、その後、配向制御層120の形成(工程S120)、圧電体130の形成(工程S130)、低誘電率層140の形成(工程S140)、下部電極150の形成(工程S150)、および振動板160の形成(工程S160)をこの順に行うことで、作製することができる。
基板は特に限定されず、シリコン(Si)ウエハや、ガラス基板、金属基板およびセラミックス基板などを用いることができる。
基板の、薄膜状圧電素子100が形成される表面には、密着層が形成されていてもよい。上記密着層は、基板への上部電極110の密着性を高めるための層である。上記密着層は、Ti、Ta、鉄(Fe)、コバルト(Co)、NiおよびCr、ならびにこれらの原子を含む合金から形成された層であることが好ましく、上部電極110の密着性をより高める観点からは、Tiを含む層であることがより好ましい。密着層は、膜厚が0.005~1μmの層とすることができる。
上部電極110を形成する工程(工程S110)では、基板の表面、または密着層の表面に、上部電極110を形成する。
図3は、上部電極110を形成する工程(工程S110)に含まれる各工程を示すフローチャートである。
上部電極110は、反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程(工程S112)と、成膜された電極膜を酸素雰囲気下でアニールする工程(工程114)と、により形成される。
電極膜の成膜(工程S112)では、Ir-Ti合金からなる合金焼結体ターゲットを用い、基板を加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを雰囲気ガスの存在下で、RF電源(高周波電源)により反応性スパッタ法を行って、電極膜を成膜する。
上記合金焼結体ターゲットは、形成される上部電極110中のIrとTiとの組成比を制御しやすく、かつ、上部電極110中にTiをより均一に分布させやすいため、IrターゲットおよびTiターゲットの2種を用いるよりも好ましい。上記合金焼結体ターゲットにおけるTiの含有量は、形成すべき上部電極中のTiの含有量と略同一とすることができ、IrとTiとの合計質量に対して、0質量%より多く10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下であることがさらに好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。
基板の加熱温度は、300℃以上500℃以下であることが好ましい。圧電体130からの酸素抜けを効果的に防止するためには、上部電極110に含まれるIrも十分に酸化されていることが重要である。上記加熱温度をより高くすることで、Tiのみならず貴金属であるIrをも、より積極的に酸化させることができる。基板加熱温度を上げる事は酸化には有利であるが、基板との線膨張係数の差による応力が大きくなることを加味して、上記加熱温度は、300℃から400℃であることがより好ましく、300℃から350℃であることがさらに好ましい。
上記雰囲気ガスは、不活性ガスに酸素を混合したガスであればよい。上記雰囲気ガス中の酸素分圧は、IrおよびTiをより十分に酸化させる観点からは、0%より多く30%以下であることが好ましく、2%以上30%以下であることがより好ましく、5%以上30%以下であることがさらに好ましく、10%より多く30%以下であることが特に好ましい。上記雰囲気ガスの真空度は、特に限定されないものの、0.05Pa以上5.0Pa以下であることが好ましく、0.5Pa以上2.0Pa以下であることがより好ましい。
RF電源からの投入電力およびスパッタ時間は特に限定されず、たとえば500Wの投入電力で10分間の成膜を行えばよい。
成膜された電極膜のアニール(工程S114)は、上記電極膜の酸化を促進し、特に貴金属であるIrをより積極的に酸化させるために行う。
上記アニール時の基板温度は、電極膜を形成するときの基板温度よりも高いことが好ましく、たとえば、350℃から600℃であることが好ましく、400℃から550℃であることがより好ましく、400℃から500℃であることがさらに好ましい。
上記アニールは、酸素雰囲気下で行う。このときの雰囲気ガス(酸素ガス)の圧力は、0.5Paから30Paであることが好ましく、1Paから10Paであることがより好ましく、3Paから5Paであることがさらに好ましい。アニール時間は特に限定されないものの、5分程度であればよい。
配向制御層120を形成する工程(工程S120)では、形成された上部電極110の表面(基板とは反対側の面)に、配向制御層120を形成する。
配向制御層120は、上記配向制御層120の材料からなる焼結体ターゲットを用い、基板を加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを雰囲気ガスの存在下で、RF電源(高周波電源)によりスパッタ法を行って、形成する。
上記焼結体ターゲットは、形成すべき配向制御層120と略同一の金属原子比を有する合金とすることができ、たとえば、Laの含有量が0モル%より多く25モル%以下であり、また、Pbの含有量が化学量論組成よりも0モル%以上30モル%以下過剰であるPLTとすることができる。
このときの基板の加熱温度は、450℃以上750℃以下であることが好ましく、500℃以上650℃以下であることがより好ましい。上記加熱温度を450℃以上とすることで、配向制御層120の材料の結晶性を十分に高めることができ、かつペロブスカイト型結晶構造をパイロクロア型結晶構造よりも優先して形成させることができる。上記加熱温度を750℃以下とすることで、形成された膜中からPbが蒸発することによる結晶性の低下を抑制することができる。
上記雰囲気ガスの酸素分圧は、0%より多く10%以下であることが好ましく、0.5%以上10以下であることが好ましい。上記雰囲気ガスが酸素を含むことで、配向制御層120の材料の結晶性を十分に高めることができる。上記酸素分圧が10%以下であると、配向制御層120の材料の(001)面への配向性を十分に高めることができる。
上記雰囲気ガスの真空度は、0.05Pa以上5Pa以下であることが好ましく、0.1Pa以上2Pa以下であることがより好ましい。上記真空度が0.05Pa以上であると、配向制御層120の結晶性のばらつきを抑制することができる。上記真空度が5Pa以下であると、配向制御層120の材料の(001)面への配向性を十分に高めることができる。
RF電源からの投入電力およびスパッタ時間は特に限定されず、たとえば300Wの投入電力で12分間の成膜を行えばよい。
圧電体130を形成する工程(工程S130)では、形成された配向制御層120の表面(基板とは反対側の面)に、圧電体130を形成する。
圧電体130は、上記圧電体130の材料からなる焼結体ターゲットを用い、基板を加熱しながら、アルゴンと酸素の混合ガスを雰囲気ガスの存在下で、RF電源(高周波電源)によりスパッタ法を行って、形成する。
上記焼結体ターゲットは、形成すべき圧電体130と略同一の金属原子比を有する合金とすることができ、たとえば、Bサイトに入るジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)との組成比が、Zr/Ti=30/70~70/30であるPZTとすることができる。
このときの基板の加熱温度は、450℃以上750℃以下であることが好ましく、525℃以上625℃以下であることがより好ましい。上記加熱温度を450℃以上とすることで、圧電体130の材料の結晶性を十分に高めることができ、かつペロブスカイト型結晶構造をパイロクロア型結晶構造よりも優先して形成させることができる。上記加熱温度を750℃以下とすることで、形成された膜中からPbが蒸発することによる結晶性の低下を抑制することができる。
上記雰囲気ガスの酸素分圧は、0%より多く30%以下であることが好ましく、1%以上10以下であることが好ましい。上記雰囲気ガスが酸素を含むことで、圧電体130の材料の結晶性を十分に高めることができる。上記酸素分圧が30%以下であると、圧電体130の材料の(001)面への配向性を十分に高めることができる。
上記雰囲気ガスの真空度は、0.1Pa以上1Pa以下であることが好ましく、0.15Pa以上0.8Pa以下であることがより好ましい。上記真空度が0.1Pa以上であると、圧電体130の材料の結晶性のばらつきを抑制することができる。上記真空度が1Pa以下であると、圧電体130の材料の(001)面への配向性を十分に高めることができる。
RF電源からの投入電力およびスパッタ時間は特に限定されず、たとえば250Wの投入電力で3時間の成膜を行えばよい。
低誘電率層140を形成する工程(工程S140)では、形成された圧電体130の表面(基板とは反対側の面)に、低誘電率層140を形成する。
低誘電率層140の形成は、配向制御層120の形成と同様に行い得るので、重複する説明は省略する。
下部電極150を形成する工程(工程S150)では、形成された低誘電率層140の表面(基板とは反対側の面)に、下部電極150を形成する。
図4は、下部電極150を形成する工程(工程S150)に含まれる各工程を示すフローチャートである。
下部電極150は、反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程(工程S152)と、成膜された電極膜を酸素雰囲気下でアニールする工程(工程154)と、により形成される。
上記電極膜の成膜およびアニールには、上部電極110の形成における電極膜の成膜およびアニールと同様に行い得るので、重複する説明は省略する。
振動板160を形成する工程(工程S160)では、形成された下部電極150の表面(基板とは反対側の面)に、振動板160を形成する。
振動板160の形成方法は特に限定されず、たとえば、上記振動板160aの材料からなるターゲットを用い、室温において、アルゴンガスを雰囲気ガスの存在下で、RF電源(高周波電源)によりスパッタ法を行い、その後、上記振動板160bの材料からなるターゲットを用い、室温において、アルゴンガスを雰囲気ガスの存在下で、RF電源(高周波電源)によりスパッタ法を行って、形成することができる。
このようにして、基板上に、上部電極110、配向制御層120、圧電体130、低誘電率層140、下部電極150および振動板160がこの順に積層されてなる、薄膜状圧電素子100を作製することができる。
作製された薄膜状圧電素子100は、その後、各種アクチュエータの用途に応じてさらなる処理を付されてもよい。たとえば、作製された薄膜状圧電素子100は、接着剤を用いて振動板160をインクジェットヘッドの圧力室部材(あるいは加工前の圧力室部材の材料)に電着させ、さらに、基板および密着層をエッチングにより除去し、さらに、上部電極110、配向制御層120および圧電体130を、エッチングにより圧力室ごとに個別化してもよい。その後、これらをインク流路部材およびノズル板に接着させるなどして、インクジェットヘッドを作製することができる。
[用途]
上記薄膜状圧電素子は、インクジェットヘッド、メモリデバイス、超音波センサ、およびジャイロセンサなどの、アクチュエータが使用されている各種用途に適用可能である。
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これよって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
たとえば、上記各実施形態では、上部電極および下部電極の両方が、Irを主成分とするIr-Ti合金からなり、かつ上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている電極であるとしたが、上部電極および下部電極のいずれか一方のみを上記電極としても、酸素抜けを防止して圧電体の変位量の経時的な低下を抑制する効果は奏される。
また、上部電極および下部電極は、高温環境で長期的にパルス駆動させたときの、圧電体の変位量の経時的な低下を抑制する効果が顕著に阻害されない限り、上記Ir-Ti合金以外の他の成分を含んでいてもよい。
また、上部電極、配向制御層、圧電体、低誘電率層、および下部電極は、いずれも複数の層からなる積層構造であってもよい。また、振動板は、単層からなるものであってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(Ir-Ti薄膜の解析)
IrにTiを1.0wt%添加した焼結体ターゲットを用いて、基板を350℃に加熱を行いながら、0.5Paのアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中(酸素分圧:20%)で、RF電源(高周波電源)からの投入電力を500Wとして、10分間の反応性スパッタリングにより、上記基板の一面にIr-Ti薄膜を成膜した。その後、基板温度を400℃まで上昇させ、酸素のみ1.0Paの雰囲気を保ちつつ、5分間のアニールを行った。
このようにしてアニールされたIr-Ti薄膜を、Cu-Kα線を用いてX線回折測定したところ、Ir、Irの酸化物、Ti、Tiの酸化物のピーク(ピーク強度順)が観察された。なお、Irの結晶を示すピークとしてが、(111)面(配向度:90%)、(002)面(配向度:10%)、に配向されたIrのピークが観察された。なお、上記配向度とは、上記2つのIrの結晶を示すピークのピーク強度の総和に対する、それぞれのピーク強度が占める割合である。
この結果から、上記Ir-Ti薄膜は、Irを主成分とするIr-Ti合金からなり、上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されていることがわかる。
また、上記アニールされたIr-Ti薄膜をXPS測定して、Ti2p3/2のピークをピークフィッティングしたところ、価数3価(Ti)および価数2価(TiO)に分離可能だった。また、Ir4f7/2ピークをピークフィッティングしたところ、IrとIr酸化物に分離可能だった。Irは不安定であり、存在できないと考えられるので、上記Ir酸化物は、IrOであると判断された。
また、上記アニールされたIr-Ti薄膜をX線光電子分光XPS分析測定による各々の原子の結合スペクトルを測定した。まずIr原子のうち、上記酸化物(IrO)となっているIr原子の割合は、Ir原子の全量に対して、強度比より30%となっていた。
次にTi原子のうち、TiOおよびTiとなる酸化物の割合はスペクトル比より全量の95%以上であることがピークフィッティング解析より判断できた。またTi2p3/2スペクトル強度比のピークフィッティング解析より、TiOおよびTiに分離が出来、比率を換算すると、TiOおよびTiのうちTiOを100とすると、Tiの比率はおよそ25%であると判断された。
(アクチュエータの変位特性)
Si基板上に、Tiを1.0wt%添加した焼結体ターゲットを用いて、基板を350℃に加熱を行いながら、0.5Paのアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中(酸素分圧:20%)で、RF電源(高周波電源)からの投入電力を500Wとして、10分間の反応性スパッタリングにより、Ir-Ti薄膜を成膜した。その後、基板温度を400℃まで上昇させ、酸素のみ1.0Paの雰囲気を保ちつつ、5分間のアニールを行って、上部電極を形成した。
上記形成された上部電極の表面に、Laを14モル%含有するPLTに、酸化鉛(PbO)を化学量論組成よりも12モル%過剰に加えて調合した焼結体ターゲットを用い、基板の温度600℃、真空度0.8Paとしたアルゴンと酸素の混合ガス(酸素分圧:5%)雰囲気中で、300Wの投入電力で12分のRFスパッタを行い、配向制御層を形成した。
上記形成された配向制御層の表面に、ZrとTiとの組成比が、Zr/Ti=53/47であるPZTの焼結体他0ゲットを用い、基板の温度610℃、真空度0.3Paとしたアルゴンと酸素の混合ガス(酸素分圧:5%)雰囲気中で、250Wの投入電力で3時間のRFスパッタを行い、圧電体を形成した。
上記形成された圧電体の表面に、Laを14モル%含有するPLTに、酸化鉛(PbO)を化学量論組成よりも12モル%過剰に加えて調合した焼結体ターゲットを用い、基板の温度600℃、真空度0.8Paとしたアルゴンと酸素の混合ガス(酸素分圧:5%)雰囲気中で、300Wの投入電力で12分のRFスパッタを行い、低誘電率層を形成した。
上記形成された低誘電率層の表面に、Tiを1.0wt%添加した焼結体ターゲットを用いて、基板を350℃に加熱を行いながら、0.5Paのアルゴンと酸素の混合ガス雰囲気中(酸素分圧:20%)で、RF電源(高周波電源)からの投入電力を500Wとして、10分間の反応性スパッタリングにより、Ir-Ti薄膜を成膜した。その後、基板温度を400℃まで上昇させ、酸素のみ1.0Paの雰囲気を保ちつつ、5分間のアニールを行って、下部電極を形成した。
上記形成された下部電極の表面に、Crターゲットを用いて、室温において、1Paのアルゴンガス雰囲気中で、RF電源(高周波電源)からの投入電力を200Wとして、6時間のスパッタリングにより、振動板を形成した。
その後、基板をエッチングにより除去して、アクチュエータ-1(ACT-1)を得た。
上部電極および下部電極を、Ptターゲットを用いて、基板を400℃に加熱しながら、1Paのアルゴンガス雰囲気中で、RF電源(高周波電源)からの投入電力を200Wとして、12分間のスパッタリングにより形成した以外は、ACT-1の作製と同様にして、アクチュエータ-2(ACT-2)を得た。
ACT-1およびACT-2の両電極間に、15V、AC、60kHzのパルス駆動電圧を印加して、50℃の高温環境下で、駆動耐久試験を行った。
図5は、ACT-1およびACT-2のそれぞれに100億パルスの駆動電圧を印加したときの、印加したパルス数と、アクチュエータの変位量の低下率との関係を示すグラフである。
図5から明らかなように、Irを主成分とするIr-Ti合金からなり、上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されているIr-Ti薄膜を上部電極および下部電極に用いたACT-1は、Pt薄膜を上部電極および下部電極に用いたACT-2よりも、圧電体の変位量の経時的な低下が抑制されていた。
(インクジェットヘッドの射出特性)
ACT-1およびACT-2を、接着剤を用いて圧力室部材に電着させ、さらに、上部電極、低誘電率層および圧電体を、エッチングにより圧力室ごとに個別化した。その後、これらをインク流路部材およびノズル板に接着させて、それぞれ、インクジェットヘッドとした。
上記インクジェットヘッドを画像形成装置に搭載し、50℃の高温環境下で、初期速度が7m/secとなるように波形を調整して、60kHzのパルス駆動耐久試験を行った。
図6は、ACT-1を有するインクジェットヘッドおよびACT-2を有するインクジェットヘッドのそれぞれに100億パルスの駆動電圧を印加したときの、印加したパルス数と、射出速度の低下率との関係を示すグラフである。
図6から明らかなように、Irを主成分とするIr-Ti合金からなり、上記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されているIr-Ti薄膜を上部電極および下部電極に用いたACT-1は、Cr薄膜を上部電極および下部電極に用いたACT-2よりも、インクジェットヘッドに用いたときの射出速度の経時的な低下が抑制されていた。
本発明の薄膜状圧電素子によれば、高温環境で長期的にパルス駆動させたときの、圧電体の変位量の経時的な低下が抑制される。そのため、本発明には、特にはインクジェットヘッドなどの、高温で長期的に使用する用途における薄膜状圧電素子の長期信頼性を向上させることができ、薄膜状圧電素子を備える各機器の耐久性向上に貢献することが期待される。
100 薄膜状圧電素子
110 上部電極
120 配向制御層
130 圧電体
140 低誘電率層
150 下部電極
160、160a、160b 振動板

Claims (18)

  1. 上部電極および下部電極、ならびに前記上部電極と下部電極との間に配置されたペロブスカイト構造を有する圧電体、を有する薄膜状圧電素子であって、
    前記上部電極および下部電極の少なくとも一方の電極は、Irを主成分とするIr-Ti合金を含んでなり、前記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されており、
    前記Ir-Ti合金は、TiOおよびTiを含む、
    薄膜状圧電素子。
  2. 上部電極および下部電極、ならびに前記上部電極と下部電極との間に配置されたペロブスカイト構造を有する圧電体、を有する薄膜状圧電素子であって、
    前記上部電極および下部電極の少なくとも一方の電極は、Irを主成分とするIr-Ti合金を含んでなり、前記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されており、
    前記Ir-Ti合金は、(111)配向および(002)配向されたIr結晶を含む、
    薄膜状圧電素子。
  3. 上部電極および下部電極、ならびに前記上部電極と下部電極との間に配置されたペロブスカイト構造を有する圧電体、を有する薄膜状圧電素子であって、
    前記上部電極および下部電極の少なくとも一方の電極は、Irを主成分とするIr-Ti合金を含んでなり、前記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されており、
    前記Ir-Ti合金は、IrとTiとの合計質量に対して0質量%より多く10質量%以下のTiを含む、
    薄膜状圧電素子。
  4. 上部電極および下部電極、ならびに前記上部電極と下部電極との間に配置されたペロブスカイト構造を有する圧電体、を有する薄膜状圧電素子であって、
    前記上部電極および下部電極の両方の電極は、Irを主成分とするIr-Ti合金を含んでなり、前記IrおよびTiは、いずれも、その一部が酸化されている、
    薄膜状圧電素子。
  5. 前記Ir-Ti合金は、TiOおよびTiを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  6. 前記Ir-Ti合金は、(111)配向および(002)配向されたIr結晶を含む、請求項1、3および4のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  7. 前記Ir-Ti合金は、IrとTiとの合計質量に対して0質量%より多く10質量%以下のTiを含む、請求項1、2および4のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  8. 前記Irを主成分とするIr-Ti合金を含んでなる電極と前記圧電体との間に配置された低誘電率層を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  9. 前記上部電極および下部電極の両方の電極は、前記Ir-Ti合金を含んでなる、請求項1~3および8のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  10. 前記Ir-Ti合金は、IrOを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  11. 前記Ir-Ti合金は、IrとTiとの合計質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下のTiを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子。
  12. 基板の一面に下部電極を形成する工程、
    前記下部電極の前記基板とは反対側に圧電体を形成する工程、および
    前記圧電体の前記基板とは反対側に上部電極を形成する工程、
    を有し、
    前記下部電極を形成する工程および上部電極を形成する工程の少なくとも一方の工程は、Irを主成分とし、IrとTiとの合計質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下のTiを含むIr-Ti合金焼結体ターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気ガスの存在下で、前記基板を加熱しながら反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程と、
    前記成膜された電極膜を酸素雰囲気下でアニールする工程と、
    を含む、
    薄膜状圧電素子の製造方法。
  13. 基板の一面に下部電極を形成する工程、
    前記下部電極の前記基板とは反対側に圧電体を形成する工程、および
    前記圧電体の前記基板とは反対側に上部電極を形成する工程、
    を有し、
    前記下部電極を形成する工程および上部電極を形成する工程の両方の工程は、Irを主成分とするIr-Ti合金焼結体ターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気ガスの存在下で、前記基板を加熱しながら反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程と、
    前記成膜された電極膜を酸素雰囲気下でアニールする工程と、
    を含む、
    薄膜状圧電素子の製造方法。
  14. 前記Ir-Ti合金焼結体ターゲットは、IrとTiとの合計質量に対して0質量%より多く10質量%以下のTiを含む、請求項13に記載の薄膜状圧電素子の製造方法。
  15. 前記Ir-Ti合金焼結体ターゲットは、IrとTiとの合計質量に対して0.2質量%以上1.0質量%以下のTiを含む、請求項13または14に記載の薄膜状圧電素子の製造方法。
  16. 前記下部電極を形成する工程および上部電極を形成する工程の両方の工程は、前記成膜する工程と、前記アニールする工程と、を含む、請求項12に記載の薄膜状圧電素子の製造方法。
  17. 前記成膜する工程は、前記基板を300℃以上500℃以下に加熱しながら反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程である、請求項12~16のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子の製造方法。
  18. 前記成膜する工程は、酸素分圧が2%以上30%以下である前記雰囲気ガスの存在下で反応性スパッタ法により電極膜を成膜する工程である、請求項12~17のいずれか1項に記載の薄膜状圧電素子の製造方法。
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