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JP7290686B2 - 冷蔵庫 - Google Patents
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本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
従来、意匠性を高めるために筐体の表面に化粧板を設けることがあり、例えば冷蔵庫であれば、貯蔵室を開閉する扉の前面にガラス板等のパネル部材を設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-50760号公報
ところで、パネル部材を設ける場合には、パネル材の表面がフレームよりも前方に突出した状態になることがある。
しかしながら、パネル部材がフレームよりも前方に突出した状態になると、接触の可能性も高くなる。その一方で、パネル部材が接触しないようにフレームを大きくすると、フレームが目立ってしまい、意匠性を損ねてしまう。
そこで、意匠性を損ねることなく接触を抑制することができる冷蔵庫を提供する。
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫の扉の前面に設けられている前面部材と、前面部材の側面側に配置されている側面部材と、を備えたものであって、前面部材は、前面から側面に向かって傾斜している傾斜面が設けられており、当該傾斜面の前側の端部と後側の端部とが側面部材の先端よりも前方に位置しているとともに、当該前側の端部と後側の端部とを延長した位置が側面部材の先端よりも後側に位置している。
実施形態のパネル部材を模式的に示す図 冷蔵庫を模式的に示す図 パネル部材の断面形状を模式的に示す図 パネル部材の形状とフレームの形状との関係を模式的に示す図その1 パネル部材の形状とフレームの形状との関係を模式的に示す図その2 コーナー部に施された面取りの形状を模式的に示す図その1 コーナー部に施された面取りの形状を模式的に示す図その2 パネル部材の内部での光の反射例を模式的に示す図 その他の実施形態のパネル部材を模式的に示す図その1 その他の実施形態のパネル部材を模式的に示す図その2 図10の領域XIを拡大して示す図
以下、実施形態について、図1から図8を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のパネル部材1は、風冷強化法で製造された強化ガラス製の板材により概ね四角形状に形成されている。本実施形態では、日本協業規格のJIS R 3206を満足するものを強化ガラスと称している。このパネル部材1は、詳細は後述するが、ユーザから視認される側となる表面1a(図3参照)側および表面1aとは反対側の裏面1b(図3参照)側の双方において、端部つまりは四角形状の4辺のそれぞれに面取りが施されている。
この表面1aの面取りは、意匠性を高めるために正面視における幅(W3。図3参照)を視認し易いように広めに取った幅広面取り加工となっている。以下、幅広面取り加工を施した部分を、便宜的に幅広面取り部分とも称する。また、パネル部材1は、コーナー部1c(図6参照)つまりは四角形状の4隅にも面取りが施されている。
本実施形態の場合、このパネル部材1は、図2に示す冷蔵庫2の扉の前板つまりは化粧板として用いることを想定している。この冷蔵庫2は、断熱性を有するキャビネットにより構成されており、その内部に上から順に冷蔵室3、野菜室4が設けられており、野菜室4の下に製氷室5と上部冷凍室6が左右に並んで設けられ、最下部に下部冷凍室7が設けられている。このうち、冷蔵室3と野菜室4は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、製氷室5、上部冷凍室6および下部冷凍室7は冷凍温度帯の貯蔵室である。
これら冷蔵室3、野菜室4、製氷室5、上部冷凍室6および下部冷凍室7は、周知のように前面開口を有し、その前面開口が扉によって開閉される貯蔵室である。冷蔵室3は、左右に並んで設けられ、左端側を軸に回動し、ユーザがタッチ操作する操作パネル8が設けられている左扉3aと、右端側を軸に回動する右扉3bとによって前面開口が開閉される。また、野菜室4、製氷室5、上部冷凍室6および下部冷凍室7は、引き出し式の野菜室扉4a、製氷室扉5a、上部冷凍室扉6aおよび下部冷凍室扉7aによってそれぞれの前面開口が開閉される。
このとき、左扉3a、野菜室扉4a、製氷室扉5aおよび下部冷凍室扉7aは、それぞれの左端が同一直線上に並んでいる。また、右扉3b、野菜室扉4a、上部冷凍室扉6aおよび下部冷凍室扉7aは、それぞれの右端が同一直線上に並んでいる。また、左扉3aと製氷室扉5aは、同じ幅に設定されている。また、右扉3bと上部冷凍室扉6aは、同じ幅に設定されている。このため、左扉3aと右扉3bとの間の隙間は、製氷室扉5aと上部冷凍室扉6aとの間の隙間と同一直線上に位置している。
そして、本実施形態では、各扉の前面に、支持部となるフレーム9(図3参照)に支持された状態でパネル部材1が設けられている。つまり、冷蔵庫2の場合、前面に位置する全ての扉にパネル部材1が設けられている。このとき、パネル部材1は、例えば接着テープ20(図10参照)等の接着部材によって扉の前面側に接着されている。
次に、パネル部材1の詳細について説明する。
図3は、図1に示す左扉3aのIII-III線における断面を模式的に示している。なお、引き出し線や寸法線を記載するために、図3では断面を示すハッチングは省略している。この図3に示すように、パネル部材1は、端部に面取りが施されている。本実施形態の場合、表面1a側には、幅広面取り加工が施されており、傾斜面(以下、便宜的に表傾斜面10と称する)が形成されている。本実施形態では、表傾斜面10は、断面視において直線状に形成されている。なお、図3では、説明の簡略化のために、接着テープ20の図示は省略している。
表傾斜面10と表面1aとのなす角は、45度よりも小さくなるように幅広面取り加工が施されている。より具体的には、表傾斜面10と表面1aとのなす角は、5度から50度の範囲に設定されており、本実施形態では、約20度で形成されている。この5度から50度の範囲は、幅広面取り部分を正面から見たときの表傾斜面10の見え方を考慮して、つまりは、後述するようにガラス面材1の意匠性を考慮して設定されている。そして、後述するように裏面1bの端部には45度の面取りが施されている。つまり、本実施形態では、パネル部材1の表面1a側には、裏面1b側とは異なる角度であって、裏面1b側よりも小さい角度となる幅広面取り加工が施されている。
また、パネル部材1は、表傾斜面10と側面との交点となる前稜線12が、フレーム9の先端よりも前方に位置した状態で、且つ、後述するように、フレーム9の先端が後稜線13よりも前方に位置した状態でフレーム9に支持されている。つまり、フレーム9の先端は、本実施形態ではパネル部材1の側面に設けられている平面部14の範囲内に位置している。
パネル部材1の裏面1b側には、裏面1bとのなす角が45度となるC面の面取りが施されている。このパネル部材1の裏面1b側は、図示は省略するが、着色層、保護層および操作パネル8の光源からの光を透過させる透過層等が設けられている。これにより、表面1a側から入射した光が着色層等で反射することになり、パネル部材1が鏡面として機能する。つまり、本実施形態のパネル部材1は、鏡面加工が施されている。これにより、扉の意匠性を高めることができる。
また、表傾斜面10および裏面1b側の傾斜面(以下、便宜的に裏傾斜面11と称する)は、それぞれの傾斜方向の幅寸法である直線部分の幅(W1、W2)が、パネル部材1の板厚(t)よりも短くなっている。このとき、表傾斜面10と裏傾斜面11側とでは、その幅(W1、W2)が異なるとともに、表傾斜面10の幅(W1)の方が裏傾斜面11の幅(W2)よりも長くなっている。
このため、パネル部材1は、表面1a側から見た正面視において、表側の面取り部分つまりは本実施形態でいえば表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)が、裏側の面取り部分つまりは裏傾斜面11の見かけ上の幅(W4)に比べ長くなっている。
本実施形態の場合、表面1a側の面取り部分とは、パネル部材1の端部において、平らな表面1aと裏面1b側に傾斜している部位との交点(後述する表稜線12a)から、側面の端部までの範囲を示している。換言すると、表面1a側の面取り部分とは、パネル部材1の側面の端部から表面1aの中央への向きにおいて板厚が変化している範囲を示している。
同様に、裏面1b側の面取り部分とは、パネル部材1の端部において、平らな裏面1bと表面側に傾斜している部位との交点(後述する裏稜線13a)から、側面の端部までの範囲を示している。換言すると、裏面1b側の面取り部分とは、パネル部材1の側面の端部から裏面1bの中央への向きにおいて板厚が変化している範囲を示している。
また、表面1a側における見かけ上の幅(W3)とは、表傾斜面10を表面1aと平行な平面に投影した際の投影距離、つまりは、表傾斜面10と表面1aとの交点である表稜線12aから側面の端部まで表面1aに平行な仮想直線を伸ばした際の仮想直線の長さであり、パネル部材1を正面からみた場合において、表面1aから奥に傾斜して見える部分の幅である。
同様に、裏面1b側における見かけ上の幅(W4)とは、裏傾斜面10を裏面1bと平行な平面に投影した際の投影距離、つまりは、後述する裏稜線12aから側面の端部まで裏面1bに平行に仮想直線を伸ばした際の仮想直線の長さであり、パネル部材1を正面からみた場合において、裏面1bから手前側に傾斜して見える部分の幅である。
また幅広面取り加工とは、表傾斜面10の幅(W1)を、表傾斜面10の奥行き(W6)よりも大きくすることにより、正面視における表傾斜面10の視認性を高める加工である。本実施形態では、表面1a側の面取り部分の見かけ上の幅(W3)が裏面1b側における見かけ上の幅(W4)に比べて大きいことに加えて、表面1a側の面取り部分の傾斜方向の幅寸法である直線部分の幅W2が、裏面1b側の面取り部分の直線部分の幅W1よりも大きくしている。
また、表傾斜面10と側面とが交わる稜線(以下、便宜的に前稜線12と称する)から裏傾斜面11と側面とが交わる稜線(以下、便宜的に後稜線13と称する)までの間には、断面視において傾斜していない直線状となる平面部14が設けられている。換言すると、パネル部材1は、側面の一部が残存した状態で、表面1aと裏面1bとに面取りが施されている。
このとき、裏傾斜面11の幅(W2)は、平面部14の幅(W5)つまりは前稜線12と後稜線13との間の距離よりも短く形成されている。また、前稜線12から表面1aまでの前後方向での垂直距離(W6)および後稜線13から裏面1bまでの前後方向での垂直距離(W7)は、平面部14の幅(W5)よりも短く形成されている。そして、本実施形態では、垂直距離(W6)と垂直距離(W7)の合計を、平面部14の幅(W5)よりも短くしている。
つまり、パネル部材1は、W5+W6+W7=tの関係、およびW6+W7≦W5の関係を満たしている。これにより、平面部14は、概ねパネル部材1の板厚の1/2以上の長さとなる。換言すると、パネル部材1の側面は、板厚の半分以上が残されている。したがって、強度が高くなり、パネル部材1に衝撃が加わって側面に大きな力が集中した場合であってもパネル部材1が破損する可能性を低減することができる。つまり、平面部14は、側面強度確保部分として設けられている。この場合、W5:W6:W7=2:1:1の関係とすることにより、パネル部材1の厚み方向の中心に平面部14を設けることができ、表面1a側と裏面1b側との強度のバランスを取ることができる。
また、本実施形態では、扉に対する外部からの衝突も考慮している。具体的には、パネル部材1は、図4に示すように、左扉3aの場合には、表傾斜面10を延長した平面(S2)よりも前方側にフレーム9の一部が位置するように面取りが施されている。換言すると、表傾斜面10に対して平行な平面(S1)が接近してきた場合、その平面(S1)は、パネル部材1よりも先にフレーム9の一部に接触する。これにより、左扉3aを回動させた際に直線状の壁に接触するような状況であっても、パネル部材1よりも先にフレーム9が壁に接触することになる。したがって、パネル部材1の破損を抑制することができる。
一方、例えば右扉3bを開放してトレー等を収納する際にトレーが右扉3bの左端側に接触するような場合でも、フレーム9に先に接触することになり、パネル部材1に衝突する可能性を低減できるとともに、仮に接触した場合であっても衝撃を和らげることができる。
また、パネル部材1は、正面視における表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)、つまりは、端部において平坦な表面1aから板厚が変化している範囲の幅が、正面視におけるフレーム9の見かけ上の幅(W8)よりも長く形成されている。ここで、フレーム9は、前端面に平面を有し、後方に向かって幅広に傾斜して構成されており、フレーム9の見かけ上の幅(W8)は、その平面の幅を示している。なお、平面を有していない場合には、パネル部材1の側面の平面部14が当接する部位または平面部14に対向する部位における、フレーム9の断面視における最長距離または最短距離を見かけ上の幅としてもよい。
これにより、表傾斜面10つまりは幅広面取り部分がユーザに認識され易くなり、高級感を醸し出すことが可能となるとともに、フレーム9の存在感が相対的に小さくなり、一見すると完全なフレームレスに見える等、意匠性を高めることが可能となる。また、本実施形態では、裏傾斜面11の見かけ上の幅(W4)は、フレーム9の先端の見かけ上の幅(W8)よりも小さくなっている。つまり、各幅は、W3>W8>W4の関係となっている。
その一方で、本実施形態のようにパネル部材1を冷蔵庫2の扉に設ける場合には、扉が縦横に並んで設けられているため、表傾斜面10の見かけ上の幅があまり大きくなると、幅広面取り部分が目立ちすぎ、板チョコつまりは板状であって表面1aに概ね台形状に盛り上がっているチョコレートを連想させてしまい、高級感が損なわれる可能性がある。そのため、正面視における表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)は、正面視におけるフレーム9の見かけ上の幅(W8)の2倍よりもよりも短く形成されている。これにより、幅広面取り部分が悪目立ちすることがなくなり、高級感が損なわれることが抑制される。
また、正面視における表傾斜面10の見かけ上の幅は、左扉3aの左方側だけではなく、上方側、右方側および下方側の全ての辺において共通の態様となるように形成されている。すなわち、4辺を有する四角形状に形成されているパネル部材1は、4辺の端部に面取りが施されているとともに、4辺の端部に共通の面取りが施されている。
さらに、例えば野菜室扉4aのような引き出し式の扉に設けられているパネル部材1についても同様である。具体的には、図5に示すように、野菜室扉4aに設けられているパネル部材1は、表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)が、野菜室扉4aのフレーム9の側方側および上方側の先端の見かけ上の幅(W8)よりも大きく、且つ、その2倍よりも短く形成されている。このとき、パネル部材1の後方であってフレーム9前面の後方側には、扉を引き出す際にユーザが手を掛ける手掛け部4bが形成されている。
この場合、手掛け部4bの深さに対して、表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)を小さくするとよい。これにより、手掛け部4bに手を掛けたときに力が加わったとしても、パネル部材1が破損するおそれを低減できる。好ましくは、手掛け部4bの深さの1/4程度にするとよい。
また、パネル部材1は、図6に示すように、正面視において長方形に形成されているパネル面材1の4隅となるコーナー部1cには、直線状のC面の面取りが施されている。これは、組立時における破損を防止することも目的の1つであるが、意匠性の低下を抑制することにも役立っている。このとき、表稜線12aの交点からコーナー部1cの直線部分までの距離(WC1)は、直線部分から側面を仮想的に伸ばした際の交点までの距離(WC2)と同じ、または距離(WC2)よりも長くなっている。また、コーナー部1の幅つまりは隣り合う2辺までの直線部分の幅(WC)は、表傾斜面10の幅(W3)と同じ、または表傾斜面10の幅(W3)よりも小さくなっている。
これにより、コーナー部1cには面取りによる意匠性の高い領域が形成される。また、表傾斜面10のずれ、つまりは、図6で言えば横方向と縦方向の表傾斜面10の幅(W3)の加工上の誤差が目立たなくなるため、製造時の若干のばらつきを吸収することができ、製造性を向上させることもできる。このとき、各幅の関係がWC≦W3となるようにしているので、コーナー部1cの面取りが表稜線12aの交点に達することはなく、表傾斜面10が図6で言えば縦横に分断されることがなくなり、意匠性が低下することを防止できる。
また、直線部分の幅(WC)を二等分した中点位置から(1/6)・WCの幅寸法内に、図示縦方向の表傾斜面10と図示横方向の表傾斜面10との境界線が位置するように構成することが望ましい。これにより、縦方向と横方向の表傾斜面10同士がバランス良く繋がれた状態となる。
パネル部材1に面取りを施す場合、各端部に対してそれぞれ個別に面取りが施されるため、精度よく作業を行ったとしても、若干のずれが生じる可能性がある。その場合、コーナー部1cに面取りを施さないと、隣り合う斜面部の幅の違いが目立ってしまう。これに対して、面取りを施すことにより、隣り合う斜面部の幅が若干違っていても、その違いが目立たなくなり、意匠性が低下することが抑制される。
また、図7に示すように、コーナー部1cに曲面状の面取りを施せば、より一層目立たなくすることができる。図7の場合、コーナー部1cには、表稜線12aの交点を中心として円弧状の面取りが施されている。このとき、円弧状の曲面の半径(WR)は、表傾斜面10の幅(W3)よりも小さくなっている。また、円弧状の曲面の半径(WR)は、曲面から側面を仮想的に伸ばした際の交点までの距離(WR0)よりも長くなっている。
これにより、コーナー部1cには面取りによる意匠性の高い領域が形成されるとともに、曲面状つまりはR状の面取りによって、表傾斜面10のずれ、つまりは、図7で言えば横方向と縦方向の表傾斜面10の幅(W3)の加工上の誤差が目立たなくなるため、製造時の若干のばらつきを吸収することができ、製造性を向上させることもできる。また、各幅の関係がWR>W3となるようにしているので、コーナー部1cの面取りが表稜線12aの交点に達することはなく、表傾斜面10が図7で言えば縦横に分断されることがなくなり、意匠性が低下することを防止できる。
また、パネル部材1は、表傾斜面10に、表面1aと共通する質感を与える表面処理が施されている。パネル部材1は、上記したように強化ガラス製の板材である。このような板材は、一般的にフロート法で製造されていることから、その表面1aが非常に平滑できれいなものとなっている。その一方で、表傾斜面10は、面取り加工が施された時点では、表面1aよりも滑らかさが低くなっている。
また、縦横に隣接する表傾斜面10の境界線(XL1)と、当該境界線(XL1)の中央から垂直方向に延びる仮想線(XL2)がパネル部材1の縦横の外縁に交差する仮想交点Xa、Xbとの間の距離(XLa、XLb)が、概ね同じになるようにR状の面取りを施すとよい。ここで、概ね同じとは、XLaおよびXLbの差が2割程度に収まる範囲を想定している。これにより、R状の面取りは、境界線(XL1)に対して概ね線対称となり、意匠性が向上する。
そして、表傾斜面10は、表面1aと同様にユーザから直接視認されるため、その表傾斜面10と表面1aとの質感が大きく異なると、意匠性が低下するおそれがある。そのため、本実施形態では、表傾斜面10に、表面1aと同程度の滑らかさとするための磨き処理を表面処理として施している。これにより、表傾斜面10は、表面1aとほぼ同様の質感となり、意匠性が低下するおそれを低減できる。
この場合、裏傾斜面11については、必ずしも表面処理を施す必要はなく、その場合には、各面の滑らかさは表面1a≧表傾斜面10>裏傾斜面11となる。なお、表面処理としては、磨き処理だけで無く、表面の凹凸を無くすコンパウンド処理や、透明塗料により凹凸を埋めるコーティング処理等を採用することもできる。
なお、パネル部材1の裏傾斜面11にも、表傾斜面10と同等の磨き処理を施してもよい。パネル部材1はガラス製で透明であるため、詳細に観察すれば裏傾斜面11を見ることも不可能ではない。そのため、裏傾斜面11に対しても表面1aと同様の磨き処理を施すことにより、見えないところまで手を抜かずに製造されていることを示すことができ、ユーザからの信頼を得ることができる。
図8は、左扉3aの下端部、具体的には、図1に示すVII-VII線での断面を模式的に示している。なお、光が通過する経路を示すために、図8ではハッチングを省略している。
一般的に、冷蔵庫2は室内に設置され、その室内には、冷蔵庫2の天井よりも高い位置に照明装置が設けられていると考えられる。
さて、照明装置からの光が矢印Y1にて示すようにパネル部材1の内部に入射し、パネル部材1の内部で反射した後、矢印Y2にて示す方向に放出されたとする。このとき、パネル部材1は強化ガラス製であるので、内部応力によって表層側に薄い層が形成されている。そのため、パネル部材1は、表層部と内部とでは屈折状態や偏光状態が異なっている。また、図8に示すように3回の内部反射が生じる場合、各反射時にそれぞれ屈折状態や偏光状態が異なる部位を複数回通過する。
このため、矢印Y2がユーザの目線であった場合には、左扉3aの横幅方向において、ユーザの目に異なる波長の光が到達することになる。その結果、ユーザの目には、パネル部材1の端部が、横方向に虹色に煌めいて見えることになる。特に、ヒンジ部分を中心に回動して動く扉に虹色の煌めきを生じ得るパネル部材1を配置しているため、開扉や閉扉の動作によって光源からの距離および光源との角度が変更され、ユーザが虹色の煌めきを確認し易い。
ただし、この虹色の煌めきは、光源との所定の関係が満たされた場合のみ生じるため、常時見えるわけではない。なお、この虹色の煌めきは、パネル部材1が、通常の使用では気にならないものの比較的歪みが生じやすい約700℃の高温までガラスを加熱する風冷強化法で製造されていることも一因であると予想され、風冷強化法で製造する場合のガラスの加熱温度をより低く設定することで虹色の煌めきを弱める代わりに、歪みの発生を防止することも可能である。
強化ガラスの内部には、熱強化されることにより表面の圧縮応力が取り込まれるため、応力に応じて異なる光の屈折率を持つ複屈折性を有する。このとき、厚さ方向に向かうにしたがい、ほぼ比例して屈折率が変化することから、入射した光が特に分散するようになる。そして、板厚の1/6程度の圧縮応力が両面の層に挟まれる状態で内部には引張応力の層が作り出され、また、屈折率の変化が起きることから、光がまた散乱する状態にある。
このような状態の強化ガラスに対してパネル部材1の端部をカットすることで、そのカット面には応力変化が異なる状態が生み出され、カット面の形状と、異なる内部応力の効果つまりは影響とが相まって、光が散乱して虹色に見えると考えられる。
すなわち、冷蔵庫2の上部から光がパネル部材1に入射する状態において、扉が閉鎖状態から90度開放されるまでの動きの中で、面取り加工を施した端部を視認する場合に、ガラスの色または塗料の色とは異なる色が表示されるように、本実施形態であれば虹色の光が生成されるように、JIS R 3206を満足する強化ガラス製のパネル部材1の端部を、面取り部分の見かけ上の幅が板厚よりも短いとともに、表面側の面取り部分の見かけ上の幅が裏面側の面取り部分の見かけ上の幅よりも大きくなるように表面側および裏面側の双方の端部に面取りを施すことを特徴とする。この場合、ヒンジと反対側となる端部に面取りを施すことが好ましい。これにより、扉が回動する過程で面取り部分が前後方向および左右方向に動くため、光の入射角が複雑に変化し、様々な色のパターンを表示させることができる。
このとき、パネル部材1がガラス製であることから、そのパネル部材1が虹色に煌めくと、ダイアモンドの輝きが連想され、高級感を醸し出すことができる。また、瞬間的且つ偶発的に虹色の煌めきが見えることから、LED等を用いたあからさまなイルミネーションとは異なり、あくまでも自然な感じで高級感を演出することができる。なお、実験の結果、表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)が板厚に対して大きすぎるような形状、つまりは、幅広面取り部分がかなり目立つような構造の場合には、虹色の煌めきが生じなかった。
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
パネル部材1は、表面1a側および裏面1b側の双方の端部に面取りが施され、面取り部分の見かけ上の幅(W3、W4)が板厚(t)よりも短いとともに、表面1a側の面取り部分の見かけ上の幅(W3)が裏面1b側の面取り部分の見かけ上の幅(W4)よりも大きくなっている。
パネル部材1の端部を面取りしたことにより、製造時や製品運搬時にパネル部材1が破損するおそれを低減することができる。また、表面1a側の幅(W3)を裏面1b側の幅(W4)よりも大きくしたことにより、外部の部材やユーザと接触した際の衝撃を和らげることができる。そして、傾斜面の幅(W3、W4)を板厚(t)よりも短くしたことにより、面取り部が目立ちすぎることを防止できる。したがって、意匠性を損ねることなくパネル部材1への接触、さらには接触によって生じ得る不具合を抑制することができる。
パネル部材1は、表面1a側の端部に、直線状の傾斜面を形成する幅広面取り加工を施した。これにより、パネル部材1の端部に表傾斜面10つまりは幅広な面取り部が形成され、意匠性を高めることができる。
また、開扉や閉扉の動作を行う際にユーザの目に触れやすいヒンジとは反対側の端部に上下方向にわたって虹色の煌めきを生じ得る幅広面取り部分を形成することで意匠性を高めることができる。
パネル部材1は、側面と表傾斜面10と交点となる表稜線12aが、フレーム9の先端よりも前方に位置している。換言すると、フレーム9は、パネル部材1の表面1aよりも後方に位置している。これにより、フレーム9が目立たなくなり、意匠性を高めることができる。
パネル部材1は、その側面において表傾斜面10から裏傾斜面11までの間に平面部14が設けられている。パネル部材1に衝撃が加わった場合、力は側面に集中する傾向になる。そのため、側面に平面部14を設けることにより強度を高めることができる。
パネル部材1は、表傾斜面10と表面1aとのなす角を45度よりも小さくした。上記したように平面部14を設けることで強度を高めることができるが、その場合、平面部14の幅(W5)によって強度が変化する。その一方で、パネル部材1の厚み(t)は決まっているため、幅広面取り部分が判るような大きさで面取りを施す場合には、C面つまりはなす角が45度の面取りを施すと、平面部14の幅(W5)が短くなってしまう。
そこで、表傾斜面10と表面1aとのなす角を45度よりも小さくすることにより、平面部14の幅(W5)を過度に小さくすることなく、また、はっきりと視認できる状態の幅広な面取り部を設けることができ、意匠性と強度とを両立させることができる。
また、パネル部材1は、裏傾斜面11と裏面1bとのなす角が45度となるC面で面取りしているので、裏面1b側においても、製造時や輸送時に損傷するおそれを低減することができる。また、ユーザが濡れた手で扉の開閉動作を行う、あるいはユーザが冷蔵庫扉のパネル部材1を洗剤等を用いて拭き掃除をするなどしてパネル部材1の端部から裏面1b側に向かって洗剤や水が回り込みそうになる場合であっても、裏面1bのC面で面取りを行った空間を通って下方に伝い落ちるため、裏面1bに洗剤や水が回り込んでしまうことをある程度防止することができるという効果も期待できる。
この場合、実施形態のように垂直距離(W6)と垂直距離(W7)の合計を平面部14の幅(W5)よりも短くすることにより、平面部14の幅(W5)を概ねパネル部材1の板厚の1/2以上の長さとすることができ、強度が高くなってパネル部材1に衝撃が加わって側面に大きな力が集中した場合であってもパネル部材1が破損する可能性を低減することができる。
パネル部材1は、表面1a側から見た正面視における表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)を、正面視におけるフレーム9の見かけ上の幅(W8)よりも長くしている。これにより、フレーム9に比べて幅広面取り部が相対的に大きくなり、幅広面取り部そのものがユーザに視認されやすくなり、高級感を演出することができる。
パネル部材1は、表面1a側から見た正面視における表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)を、正面視におけるフレーム9の見かけ上の幅(W8)の2倍よりも短くしている。これにより、幅広面取り部分が大きくなり過ぎて悪目立ちすることを抑制できる。本実施形態のようにパネル部材1を冷蔵庫2に設けた場合には、見た目が板チョコのようになることを防止でき有意である。
パネル部材1は、表傾斜面10に、表面1aと共通つまりは同等の磨き処理を施している。これにより、表面1aと表傾斜面10とで共通感を出すことができ、意匠性が低下してしまうことを抑制できる。また、表傾斜面10に汚れが付着した場合でも、容易に清掃することができ、清掃性を向上させることができる。本実施形態のようにパネル部材1を冷蔵庫2に設けた場合には、濡れた手で触れることも考えられるため有意である。
パネル部材1は、4辺を有する四角形状に形成され、4辺のそれぞれに面取りが施されている。これにより、製造時および使用時の安全性を高めることができる。
パネル部材1は、4辺のそれぞれに共通の面取りが施されている。これにより、本実施形態のように冷蔵庫2の扉に設け、パネル部材1の全面を同時に視認可能な状態において、統一感を出すことができる。
パネル部材1は、コーナー部1cに直線状の面取りが施されている。これにより、角部を無くすことで安全性を高めることができる。また、隣り合う辺の傾斜面の幅が若干異なっていても目立たなくなり、生産性を高めることができる。これは、コーナー部1cに曲線状の面取りを施した場合も同様である。
パネル部材1は、強化ガラスにより形成されている。これにより、パネル部材1の強度を向上させることができる。また、強化ガラスの場合には表層部と内部とで光の屈折状態が変わるため、光が通過する経路に多様性を持たせることができ、上記した虹色の煌めきの発生を促すことができる。
パネル部材1は、裏面に例えば着色層や保護層あるいは金属蒸着層等を設けた鏡面加工が施されている。これにより、冷蔵庫2を正面から見た際の意匠性を高めることができる。また、上記したように、虹色の煌めきは内部反射に依存しているため、鏡面加工を施すことにより効率よく内部反射するようになり、虹色の煌めきの発生を促すことができる。
また、パネル部材1は、冷蔵庫2の扉に適用することができる。このとき、パネル部材1を、4辺を有する四角形状に形成し、4辺のそれぞれに面取りを施すことにより、冷蔵庫2の意匠性を高めることができる。
このとき、少なくとも1つの辺に幅広面取り加工を施すことにより、意匠性をさらに向上させることができる。また、4つの辺に共通の面取り加工を施すことにより、デザインの統一感を出すことができる。
また、本実施形態のように左扉3aの幅と製氷室扉5aとの幅は等しく、また、右扉3bの幅と上部冷凍室扉6aとの幅が等しくなっている場合には、例えば左扉3aと製氷室扉5aの右端側や製氷室扉5aと上部冷凍室扉6aの上端側等、縦方向または横方向において同一直線上に配置される。このとき、そのため、パネル部材1の端部に面取りを施すことにより、より具体的には、同一直線上に配置される部位には共通の面取りを施すことにより、意匠性を向上させることができる。
また左扉3aと右扉3bのように扉が隣接している側の対向する辺である、例えば左扉3aの右側辺、右扉3bの左側辺に対して共通の面取りをしてもよい。それによりさらに意匠性を向上させることができる。
ところで、冷蔵室3と製氷室5および上部冷凍室6との間に野菜室4を設けない場合には、例えば左扉3aと製氷室扉5aとが近距離で隣り合ってしまう。この場合、例えば幅広面取り部の加工寸法に若干の差があると、扉が隣り合うことから、その差が目立ち、意匠性が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態のように冷蔵室3と製氷室5および上部冷凍室6との間に野菜室4を設けることにより、例えば左扉3aと製氷室扉5aとが近距離で隣り合うことがなくなり、例えば幅広面取り部の加工寸法に若干の差があってもそれが目立たなくなり、意匠性が低下するおそれを低減することができる。
すなわち、左右方向に複数の扉が隣り合って設けられる部位が上下方向に設けられている冷蔵庫2において、上下の複数の部位の間に単体の扉を設けて、上下の部位のそれぞれにおいて複数の扉が隣り合う隣接線を繋ぐ領域に、隣接線を設けないことにより、意匠性が低下するおそれを低減することができる。なお、隣接線は、平易に言えば、左右に並んだ扉の隙間の位置を示す線である。
なお、製氷室5および上部冷凍室6は一例であり、縦方向において各扉の端部が概ね同一直線上に位置するものに適用することができる。勿論、横方向において各扉の端部が概ね同一直線上に位置するものに適用することもできる。
さて、パネル部材1は、4辺に共通の面取り加工を施してもよいが、冷蔵庫2の扉に適用する場合には、扉の動作態様に併せて、面取り加工の態様を変更することができる。すなわち、少なくとも1つの辺に幅広面取り加工を施すことができる。
例えば回動式の左扉3aや右扉3bの場合、回動中心となるヒンジとは反対側となる回動先端側の端部に、幅広面取り加工を施すことができる。上記したように、虹色の煌めきは、外部の照明装置との位置関係によって生成されると予想される。そのため、照明装置との位置関係が大きく変化することになる回動先端側の端部に幅広面取り加工を施すことにより、虹色の煌めきの発生を促すことができる。
あるいは、例えば引き出し式の野菜室扉4aや上部冷凍室扉5aあるいは下部冷凍室扉7aにおいては、扉の上端側となる端部に幅広面取り加工を施すことができる。冷蔵庫2の場合、一般的には、ユーザの視点は、引き出し式の扉よりも上方に位置していると考えられる。また、引き出し式の扉の場合も、引き出し時には外部の照明装置との位置関係が変化すると考えられる。
そのため、引き出し式の扉の場合には、開閉時にユーザが視認している可能性の高い上端側の端部に幅広面取り加工を施すことにより、虹色の煌めきの発生を促すことができる。なた、野菜室扉4に限らず、製氷室扉5aや上部冷凍室扉6a、下部冷凍室扉7aについても、同様の理由により、手掛け部の側の端部に幅広面取り加工を施すことができる。
また、冷蔵庫2の扉にパネル部材1を適用する場合には、例えば野菜室扉4aであれば、手掛け部分4bの下方の端部、つまりは、野菜室扉4aであれば上端側となるパネル部材1の端部に、幅広面取り加工を施すことができる。つまり、ユーザが目にし易く、且つ、虹色の煌めきが発生しやすい部位に幅広面取り加工を施すことができる。これにより、虹色の煌めきがユーザに視認され易くすることができ、意匠性を向上させることができる。
また、上記した回動式扉の回動先端側や引き出し式扉の上端側あるいは手掛け部4b側に幅広面取り加工を施す際には、幅広面取り加工を施す部位以外には、幅広面取り加工を施さないこともできる。幅広面取り加工は、要求される寸法精度が高いことや表面処理が施されること等の理由により、製造コストが増加する一因となる。そのため、回動先端側や引き出し式扉の上端側あるいは手掛け部側以外には幅広面取り加工を施さないことにより、意匠性を向上させつつも、製造コストが過度に上昇することを抑制できる。
このように、表面1a側および裏面1b側の双方の端部に面取りが施されたパネル部材1を扉の前板に用いた冷蔵庫2は、その意匠性を向上させることができる。このとき、冷蔵庫2の扉やその扉に設けるパネル部材1は、表面1a側の面取り部分の見かけ上の幅(W3)を裏面側の面取り部分の見かけ上の幅(W4)よりも大きくする等、上記した実施形態および後述するその他の実施形態に示す各種の拡張や変形を行うことができる。
また、さらに幅広面となる幅の面を設けてもよい。また、幅広面の幅は同じで、傾斜角度つまりは表面1aとのなす角を異ならせることで、表傾斜面10の見かけ上の幅が異なる面を設けてもよい。
(その他の実施形態)
実施形態では、パネル部材1の側面に平面部14を設ける例を示したが、他の構造とすることができる。
例えば図9に示すように、側面を曲面状あるいは円弧状に形成することもできる。すなわち、パネル部材1の側面にラウンド処理を施すこともできる。パネル部材1に鏡面加工を施す場合、意匠性を高めることができるものの、細かい傷なども目立ちやすくなる。また、幅広面取り加工は、切削時に細かい傷が入り易い加工である。
そのため、ラウンド処理を施すことにより、一般的なC面のように面取り部に平面を形成する面取りに比べて、保管時や移動時を含め、各製造工程での傷や欠けの発生がしにくくなり、歩留まりつまりは扉面材としての製造性を向上させることができる。
また、ラウンド処理を施した場合であっても、例えば表面1a側に上記した表傾斜面10のように板厚が変化する領域を形成する幅広面取り加工を施すこともできる。これにより、上記した製造性の向上等に加えて、意匠性を高めることができる。
この場合、図9において、板厚が変化する範囲である表傾斜面R10において直線部R10-1と側面側のラウンド面R10-2との境界、つまりは、断面視において直線状の斜面と曲面との交点(P1)は、裏面1b側の面取り部つまりは板厚が変化している裏傾斜面R11の見かけ上の幅(WR4)よりも図示下方側(端部に近い側)になる。その結果、幅広面取り部の幅は、表稜線12aから点R12までの距離となる。ここで、点R12は、直線部R10-1を延長した仮想線R10Kがパネル部材1の最端部から短手方向(前後方向)に伸びる仮想線R14Kに達する点である。これにより、表傾斜面R10の幅(WR1)が相対的に長くなり、幅広の面取り部が認識しやすくなって意匠性を一層高めることができる。
この場合、表面面取り部分の見かけ上の幅(WR3)は、直線部R10-1の投影距離(WR3-1)と、ラウンド面であるラウンド面R10-2の投影距離(WR3-2)とを合わせた値となる。つまり、図9の場合、直線部R10-1とラウンド面R10-2とを含んだ範囲が、板厚が変化している範囲であり、表面1a側における面取り部分の傾斜面となる。そして、これら傾斜面R10-1とラウンド面R10-2の大きさによって、見かけ上の幅(WR3)が決定される。
このとき、ラウンド面R10-2の曲率は、投影距離(WR3-1)と同じ寸法からその3倍の寸法の範囲内であることが好ましく、投影距離(WR3-2)は、その曲率によって形成される大きさであって、投影距離(WR3-1)の1/20から1/4の範囲内にすることが好ましい。これにより、意匠性の向上と強度の確保とを両立することができる。
このとき、ラウンド面R10-2を小さくし、傾斜面R10-1を相対的に視認しやすくすることにより、平面状の傾斜面R10-1のみを、意匠性を高めるための傾斜面として利用することができる。
あるいは、側面を全体的に曲面で形成してもよいし、一部に上記した平面部14を設けることもできる。
また図9において実施形態の平面部14に相当する部分については、裏面1b側の曲面部(以下、裏傾斜面R11と称する)に実施形態で示した傾斜面11と同じ45度の角度で接する接線R11K(仮想線)が仮想線R14Kに到達する点R13と上記した点R12との間に位置する部分が、平面部14に相当する曲面部R14となる。この部位は、側面端部の割れを防止するための強度を確保するために設けられており、側面強度確保部分となる。
また表傾斜面R10の見かけ上の幅WR3をWR4より大きくすることで強度保全、また意匠性が優れる形状にできるが、板厚が変化する範囲のうちラウンド面R10-2を除く直線部R10-1の見かけ上の幅であるWR3-1の幅を、裏面1b側の面取り部つまりは裏傾斜面R11の見かけ上の幅であるWR4より長くしても良い。これによりさらに意匠性が向上する。
また幅広面取り加工としては、表傾斜面R10の幅WR1を表傾斜面10の奥行き(WR6)よりも大きくすることで視認性を高めており、さらには板厚が変化する範囲のうち直線部R10-1の幅(WR1-1)を、その奥行き(WR6-1)あるいは表傾斜面R10全体の奥行き(WR6)より大きくすることにさらに美観を伴わせることができる。
また、以下に説明するように、また、パネル部材1の形状は、フレーム9を含めて所定の位置関係を満たすことで、強度を確保することが可能となる。
具体的には、図10は、左扉3aおよび右扉3bの断面視を模式的に示しており、各扉には、それぞれパネル部材1が設けられている。以下、図示上方つまりはパネル部材1側を前とし、図示下方つまりはフレーム9側を後ろとし、図示左右方向をそのまま左右として説明する。
まず、図10の図示上下方向つまりは断面視における前後方向において、パネル部材1の表面1aつまりは表稜線12aを通る位置をL1、前稜線12を通る位置をL2、フレーム9の前端を通る位置をL3、後稜線13を通る位置をL4、裏面1bつまりは裏稜線13aを通る位置をL5、プレーム9の取付部9aの前面の位置をL6、取付部9aの後面の位置をL7とする。
また、各扉において表傾斜面10に沿った仮想線をS2、裏傾斜面11に沿った仮想線をS3とし、S3同士の交点をH、S2同士の交点をI、S2とS3との交点をJとする。ここで、取付部9aは、接着テープ20等の接着部材あるいは固定部材によってパネル部材1をフレーム9に取り付けるために設けられている部位であり、パネル部材1と平行に、フレーム9の左右両端を接続する形状に形成されている。
図10の場合、H、Iの前後方向における位置関係は、以下の関係式の通りになっている。
H>L1>L2>L3>L4≧I>L5>L6>L7
ここで、例えばH>L1は、HがL1よりも前方に位置していることを意味している。
この場合、H>L1>L2>L3>L4の位置関係とすることにより、パネル部材1の側面に平面部14を設けることが可能となる。このとき、Hについては、L4よりも前、つまり、H>L4を満たしていれば、L1~L3よりも後方であってもよい。換言すると、平面部14が設けられていればよい。
ただし、平面部14の幅が小さいと強度が相対的に低下することから、強度を向上させるためには、平面部14にある程度の幅を持たせること、つまりは、上記のようにH>L1の位置関係とすることが望ましい。
また、L1>L2>L3とすることにより、表面1aと表傾斜面10とのなす角(以下、表傾斜面10の傾斜角と称する)が鈍角になる。これにより、表稜線12aがなだらかな状態となることで、つまりは、表稜線12aの角部が突出した形状にはならないことで、パネル部材1の割れや破損を抑制することができる。
また、図10の場合、I、Jの前後方向における位置関係は、以下の関係式の通りになっている。
L1>L2>L3>J>I≧L4>L5>L6>L7
この場合、J>Iであることから、裏面1bと裏傾斜面11とのなす角(以下、裏傾斜面11の傾斜角と称する)と表傾斜面10の傾斜角とが異なっており、且つ、裏傾斜面11の傾斜角のほうが表傾斜面10の傾斜角よりもきつくなっている。なお、HとI、Jとの関係は、本実施形態ではH>J>Iとなっている。
このような形状であっても、表傾斜面10の傾斜角が鈍角になり、パネル部材1の割れや損傷を抑制することができる。
また、裏傾斜面11の傾斜角がきついということは、裏傾斜面11の投影距離(W4。図3参照)が小さくなるため、図8に示したように、入射光が表傾斜面10の内面に向かって反射する範囲が広くなり、虹色の煌めきを発生し易くなる。
さて、パネル部材1の形状は、上記した前後方向だけで無く、左右方向についても所定の位置関係を満たすことで強度の確保が可能となる。
図10の図示左右方向つまりは右扉3bの断面視における左右方向において、隣り合う扉の中点をT0、フレーム9の他方の扉側の端部をT1、フレーム9においてパネル部材1の側面と対向する面の位置をT2、パネル部材1の側面(この場合平面部14)の位置をT3、取付部9の根元位置をT4、裏稜線13aの位置をT5、取付部9aの前面に設けられて接着テープ20の端部となる段差部の位置をT6、表稜線12aの位置をT7とする。なお、左扉3aの場合も、扉間の中央位置に線対称となった態様で、T0~T7に対応する位置が存在する。
例えば、Jについて、上記したように
L1>L2>L3>J>I≧L4
となる前後方向の位置関係と、
T2<J<T1
となる左右方向の位置関係の双方を満たす範囲にすることができる。ここで、T2<Jとは、右扉3bの場合には、T2よりも左扉3a側にJが位置していることを示している。また、右扉3bの場合であれば、T2<Jとは、T2よりも左扉3a側にJが位置していることを意味している。
この場合、Jは、フレーム9の内部に位置することになる。このような形状にすることにより、表稜線12aが尖りすぎることを抑制できパネル部材1の割れや損傷を抑制することができるとともに、平面部14の幅が小さくなることを抑制でき、強度が不足するおそれを低減することができる。
また、図11に拡大して示すように、S2と取付部9aの後面(L7)との交点をL、S3と取付部9aの後面(L7)との交点をL、S3と他方の扉のS2との交点をMとする。
この場合、各交点は、左右方向において以下の位置関係となっている。
T7≦K、L≦M<T6<T5<T3<T2<T1
また、各交点は、前後方向において以下の位置関係となっている。
L4>L5>L6>M>L7
このような位置関係を満たす形状であっても、パネル部材1の割れや損傷を抑制することができるとともに、強度が不足するおそれを低減することができる。
また、表傾斜面10は、上記したように意匠性を向上させることを目的として設けられているため、隣り合う扉との間のバランスも重要となる。
ここで、パネル部材1の端部から扉の中点までの幅をWTO3とすると、表傾斜面10の幅(W1)、表傾斜面10の見かけ上の幅(W3)は、以下の大小関係となっている。
(WTO3)/2≦W3<W1<WTO3
これにより、特にパネル部材1の厚みが薄くなった場合でも強度を確保することができる。
このような大小関係とすることにより、扉が隣り合っている状態において、各扉の表傾斜面10の位置が近すぎることがなく、また、離れすぎることもなくなるため、全体のバランス、すなわち、扉を隣り合わせて配置した際のバランスを取ることができる。したがって、質感が向上し、意匠性も向上させることができる。この場合、左右方向に隣り合う扉間以外に、上下方向に隣り合う扉間においても、上記の関係を満たすようにすることで、強度の確保と意匠性の向上とを両立させることができる。
正面視においてフレーム9の先端側となる部位を、扉と同色あるいは同系統の色に塗装することもできる。これにより、フレーム9が目立たなくなり、意匠性を高めることができる。
フレーム9の先端側を、表傾斜面10と平行な平面に形成することもできる。これにより、パネル部材1とフレーム9とが一体的に見えるようになり、意匠性を高めることができる。
実施形態では表傾斜面10に表面1aと共通する磨き処理を施す例を示したが、表面1aとは異なる磨き処理を施すこともできる。これにより、パネル部材1を1枚使うような用途において、表面1aが比較的平坦になりがちなパネル部材1にアクセントを付けることができ、意匠性が向上する。
実施形態では、フレーム9の先端が平面部14の範囲内に位置する例を示したが、フレーム9の先端を、後稜線13よりも後方であって裏面1bよりも前方の範囲内に位置するように設計することもできる。これにより、パネル部材1の側面を含む端部が視認可能となり、正面視においてフレームレスのように見えることにより、意匠性を高めることができる。
実施形態では表傾斜面10の厚み幅(W6)が、W6+W7≦W5の関係を満たすパネル部材1を例示したが、W6≧W5としてもよい。これは、パネル部材1のそもそもの厚み(t)が大きい場合には、側面側の幅(W3)が厚み(t)の1/2以上でなくても十分に強度を確保することができるためである。また、同様の理由により、そもそもの厚み(t)が大きい場合には、W6、W7≧W5の関係とすることもできる。
実施形態では表傾斜面10に表面1aと共通する質感を与える表面処理を施す例を示したが、敢えて表面1aと異なる質感を与える表面処理を施すとこができる。これにより、冷蔵庫2の扉のように、比較的面積が大きく、且つその表面が均質なものにパネル部材1を設ける場合において、表傾斜面10がデザイン上のアクセントとなり、意匠性を高めることができる。
なお、上記した図9に示したラウンド処理を施した面についても同様であり、実施形態のように表面1aと共通する質感を与える表面処理を施すことができるし、表面1aとは異なる質感を与える表面処理を施すことができる。
実施形態では冷蔵室3を観音開きの左扉3aおよび右扉3bで開閉する冷蔵庫2の例を示したが、冷蔵室3を1枚の扉で開閉する冷蔵庫にもパネル部材1を適用することができる。また、実施形態で示した冷蔵庫2の構成は一例であり、貯蔵室の位置や数が異なるものにもパネル部材1を適用することができる。
また、表面1a側および裏面1b側の双方の端部に面取りが施され、面取り部分の見かけ上の幅(W3、W4)が板厚(t)よりも短いとともに、表面1a側の面取り部分の見かけ上の幅(W3)が裏面側の面取り部分の見かけ上の幅(W4)よりも大きいパネル部材1を扉に備える冷蔵庫は、その意匠性を向上させることができる。このとき、パネル部材1は、上記に例示した各種の拡張や変形を行うことができる。
各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1はパネル部材、1aは表面、1bは裏面、1cはコーナー部、2は冷蔵庫、3aは左扉(扉)、3bは右扉(扉)、4aは野菜室扉(扉)、5aは製氷室扉(扉)、6aは上部冷凍室扉(扉)、7aは下部冷凍室扉(扉)、9はフレーム、10、R10は表傾斜面(表面側の傾斜面、表面側の面取り部分)、11、R11は裏傾斜面(裏面側の面取り部分)、12は前稜線(稜線)、14は平面部を示す。

Claims (1)

  1. 冷蔵庫の扉の前面に設けられている前面部材と、
    前記前面部材の側面側に配置され、前記前面部材の後面側となる位置に前記前面部材を接着する接着面を有する側面部材と、を備えた冷蔵庫であって、
    前記前面部材は、前面から側面に向かって傾斜している傾斜面と、当該前面部材の側面から後面に向かって傾斜している裏傾斜面とが設けられており、当該傾斜面の前側の端部と後側の端部とが前記側面部材の先端よりも前方に位置しているとともに、当該前側の端部と後側の端部とを延長した位置が前記側面部材の先端よりも後側に位置しており、側面側において前記側面部材との間に隙間が設けられた状態で、後面側において接着部材で前記接着面に接着されており、
    前記側面部材は、前記接着部材よりも前記前面部材の側面側となる位置であって、且つ、前記裏傾斜面と前記前面部材の後面とが交わる裏稜線よりも前記接着面側の位置であって、且つ、前記前面部材の後面側となる位置に段差部が形成されており、
    前記段差部は、前記側面部材から前記前面部材の側面よりも離れた位置に、前記接着面から前記前面部材側に凸となり、前記前面部材との間の隙間を前記接着面側よりも小さくする形状に形成されている冷蔵庫。
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