Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
JP7303502B2 - パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法 - Google Patents
[go: Go Back, main page]

JP7303502B2 - パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法 - Google Patents

パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7303502B2
JP7303502B2 JP2019026244A JP2019026244A JP7303502B2 JP 7303502 B2 JP7303502 B2 JP 7303502B2 JP 2019026244 A JP2019026244 A JP 2019026244A JP 2019026244 A JP2019026244 A JP 2019026244A JP 7303502 B2 JP7303502 B2 JP 7303502B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
reaction
carbon atoms
compound
palladium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019026244A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020132553A (ja
Inventor
康嗣 大洞
凌汰 荒川
裕美子 中島
一彦 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Kansai University
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Kansai University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Kansai University filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2019026244A priority Critical patent/JP7303502B2/ja
Publication of JP2020132553A publication Critical patent/JP2020132553A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7303502B2 publication Critical patent/JP7303502B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法に関する。
アリルシラン化合物は、例えばカルボニル化合物、イミン化合物等の不斉アリル化反応におけるアリル化剤として知られており、医薬や医薬中間体の合成に用いられている。アリルシラン化合物は、毒性が低く、また、アリルマグネシウムハライドやアリルリチウム等のアリル化剤に比べて水や空気に対して安定である。そのため、アリルシラン化合物は、有用な有機合成試薬として需要が高く、その製造方法の開発が活発に行われてきた。
例えば、非特許文献1には、アリルアルコール化合物をN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で無水トリフルオロ酢酸と反応させ、アリルアルコール化合物のトリフルオロ酢酸エステルを中間体として合成するエステル化工程と、合成した中間体をビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)の存在下でジシラン化合物と反応させるシリル化工程とを含む方法が開示されている。しかしながら、該方法は、アリル基質がエステル化工程及びシリル化工程の二段階を経ることで、収率の低下や製造コストの増加を招いている。
非特許文献2には、触媒であるテトラキス(アセトニトリル)パラジウム(II)ビス(テトラフルオロボレート)の存在下で、アリルアルコール化合物とジシラン化合物とを反応させる方法が開示されている。該方法では、基質に対して5mol%もの触媒を要し、触媒量を低減すると収率が低下するという問題がある。そのため、製造コストや環境調和性の観点から、さらなる改善が望まれている。
非特許文献3には、ハロゲン化アリル化合物とトリメチルシリル銅とを反応させる方法が開示されている。該方法では、基質であるトリメチルシリル銅を得るために、ヘキサメチルジシランにメチルリチウムを作用させてトリメチルシリルリチウムとし、さらにヨウ化銅(I)と反応させる必要がある。このように、基質の合成に、水や空気に対して不安定なメチルリチウムを使用しなければならず、また、工程数が多いため、該方法は工業上の製造方法としては不向きである。
非特許文献4には、アリルマグネシウムブロミドとトリフェニルシランとを反応させる方法が開示されている。しかしながら、反応性が高く、水や空気に対して不安定な有機金属を用いるため、反応のコントロールが難しく、また、多量の有機金属試薬を要するため、作業性、製造コスト及び環境面の問題が残されている。
また、特許文献1には、表面に溶媒が配位したパラジウム元素含有ナノ粒子の存在下、ハロゲン化アリル化合物とジシラン化合物とを反応させる方法が開示されている。該方法では、基質として用いられるハロゲン化アリル化合物が高価であるため、製造コストの点で改善の余地がある。
特開2017-088576号公報
Yuan Ma, Heteroatom Chemistry, 2002, 13, 310-315 Nicklas Selander, et al., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 3, 409-411 Janice Gorzynski Smith, et al., J. Org. Chem. 1984, 49, 22, 4112-4120 Henry Gilman, et al., J. Am. Chem. Soc. 1959, 81, 22, 5925-5928
本発明の課題は、多量の金属触媒を用いることなく、安価で取扱いの容易な基質から一工程で効率よくアリルシラン化合物を製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、パラジウムナノ粒子触媒及び共触媒の存在下において、アリルアルコール化合物のシリル化が進行し、アリルシランが製造されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)
パラジウムナノ粒子の表面に配位性有機溶媒が配位してなるパラジウムナノ粒子触媒及び共触媒の存在下、式(A)で表されるアリルアルコール化合物と、式(B)で表されるジシラン化合物とを反応させるシリル化工程を含む、式(C)で表されるアリルシラン化合物の製造方法。
Figure 0007303502000001
(式(A)~(C)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R、Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R~Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。)
(2)
前記共触媒が、トリフルオロ酢酸である、(1)に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
(3)
配位性有機溶媒が、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選択される1以上の有機化合物である、(1)又は(2)に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
(4)
前記反応が、反応溶媒中で行われる、(1)~(3)の何れかに記載のアリルシラン化合物の製造方法。
(5)
前記反応溶媒が、1,4-ジオキサン、ジグリム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)及びベンゾニトリルからなる群より選択される1以上の反応溶媒である、(4)に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、少量のパラジウムナノ粒子触媒の存在下で、安価で取扱いの容易なアリルアルコール化合物から一工程で効率よくアリルシラン化合物を製造することができる。
本発明の詳細を説明するにあたり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<1.アリルシラン化合物>
本実施態様に係る製造方法によれば、式(C)で表されるアリルシラン化合物(「アリルシラン化合物(C)」ということがある)が提供される。
Figure 0007303502000002
(R~R
~Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表す。
~Rで表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
~Rで表される炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。
~Rで表される炭素数3~20の芳香族複素環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基等が挙げられる。
前記炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、重水素原子;アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、iso-プロピルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基等の炭素数1~6のアルキルオキシ基;フェニルオキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルキルオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチ
ルアミノ基等ジアルキルアミノ基:ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、カルバゾリル基等の芳香族複素環基;等が挙げられる。
なお、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又芳香族複素環基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
以下、R~Rの好適な態様を説明する。
~Rが、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。
~Rが、炭素数6~20の芳香族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは10以下である。
~Rが、炭素数3~20の芳香族複素環基である場合の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
より詳細には、Rとしては、水素原子、メチル基、4-メチル-3-ペンテン-1-イル基又はフェニル基が好ましく、4-メチル-3-ペンテン-1-イル基又はフェニル基がより好ましい。
としては、水素原子、メチル基又はフェニル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
(R、R
、Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表す。
、Rで表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基としては、上記R~Rで表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基として示した基と同様のものを挙げることができる。また、これらの基は置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、R~Rが有していてもよい置換基と同様のものが挙げることができる。
以下、Rの好適な態様を説明する。
が、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは以下、特に好ましくは5以下である。
が、炭素数6~20の芳香族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは10以下である。
より詳細には、Rとしては、水素原子、メチル基又はフェニル基が好ましく、水素原子又はフェニル基がより好ましい。
(R~R
~Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。
~Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
~Rで表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
~Rで表される炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。
以下、R~Rの好適な態様を説明する。
~Rが、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。
~Rが、炭素数6~20の芳香族炭化水素基である場合の炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは10以下である。
~Rが、炭素数3~20の芳香族複素環基である場合の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
より詳細には、R~Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、フェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また、R~Rは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
アリルシラン化合物(C)の具体例としては、下記アリルシラン化合物が挙げられる。
Figure 0007303502000003
<2.アリルシラン化合物の製造方法>
本実施態様に係るアリルシラン化合物(C)の製造方法は、下記スキームに示すように、パラジウムナノ粒子の表面に配位性有機溶媒が配位してなるパラジウムナノ粒子触媒(「PdNPs」ということがある)及び共触媒の存在下、式(A)で表されるアリルアルコール化合物(「アリルアルコール化合物(A)」ということがある)と式(B)で表されるジシラン化合物(「ジシラン化合物(B)」ということがある)とを反応させるシリル化工程を含む。
Figure 0007303502000004
(式(A)~(C)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R、Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R~Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。)
<2-1.基質>
(アリルアルコール化合物)
基質として用いられるアリルアルコール化合物(A)の具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるアリルシラン化合物(C)に応じて適宜選択することができる。また、アリルアルコール化合物(A)は、公知であるか、公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。
Figure 0007303502000005
~Rは、それぞれ、式(C)におけるR~Rと同一の基を表し、好ましい態様も同様である。
アリルアルコール化合物(A)の具体例としては、下記アリルアルコール化合物が挙げられる。
Figure 0007303502000006
(ジシラン化合物)
基質として用いられるジシラン化合物(B)の具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるアリルシラン化合物(C)に応じて適宜選択することができる。また、ジシラン化合物(B)は、公知であるか、公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。
Figure 0007303502000007
~Rは、それぞれ、式(C)におけるR~Rと同一の基を表し、好ましい態様も同様である。なお、R~Rは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、ジシラン化合物(B)一分子中に、それぞれ2つずつ存在するR同士、R同士又はR同士は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ジシラン化合物(B)の具体例としては、下記ジシラン化合物が挙げられる。
Figure 0007303502000008
<2-2.パラジウムナノ粒子触媒>
本実施態様におけるパラジウムナノ粒子触媒は、パラジウムナノ粒子の表面に配位性有機溶媒が配位してなる触媒である。パラジウムナノ粒子触媒は、シリル化工程に使用した後、回収して触媒として再利用することができる利点がある。また、パラジウムナノ粒子の表面に配位している配位性有機溶媒が、パラジウムナノ粒子を劣化から保護し、触媒活性が維持されると考えられる。
「パラジウムナノ粒子」とは、パラジウム元素を構成元素として含む粒子を意味する。従って、パラジウムを含むものであれば具体的な組成は特に限定されず、金属パラジウム粒子の他、パラジウム合金粒子、金属パラジウム粒子に酸素原子や炭素原子等のその他の原子がドープされている粒子、又は酸化パラジウム等の無機パラジウム化合物粒子等も含まれる。
パラジウムナノ粒子は、パラジウムの他に酸素原子を含むことが好ましい。具体的には、酸素原子がドープされている金属パラジウム粒子、酸素原子がドープされているパラジウム合金粒子又は酸化パラジウム粒子が好ましい。
パラジウムナノ粒子の粒子径(累積中位径(Median径))は、0.5nm以上100nm以下の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは0.8nm以上、さらに好ましくは1nm以上であり、好ましくは50nm以下、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。なお、累積中位径(Median径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定することができる。
また、「表面に配位性有機溶媒が配位した」とは、パラジウムナノ粒子の表面に配位性有機溶媒の分子が配位していることを意味する。
パラジウムナノ粒子に配位する配位性有機溶媒は、目的の反応に合わせて適宜選択することができる。また、配位性有機溶媒がパラジウムナノ粒子に配位しているか否かについては、分散剤等による表面処理を施すことなく、パラジウムナノ粒子触媒が配位性有機溶媒中に安定的に分散するか否かで判断することができる。即ち、例えば配位性有機溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が配位したパラジウムナノ粒子触媒は、DMFと親和性のある配位性有機溶媒に安定的に分散させることができる。
配位性有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ジメチルアセトアミド(DMA
)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。この中でも、触媒活性の観点から、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が特に好ましい。
パラジウムナノ粒子触媒の調製方法は、特に限定されないが、例えばパラジウム元素を含んだ前駆体を極性溶媒中で加熱還流する方法が挙げられる。具体的には、特許6459126号公報又は特開2017-088576号公報に記載の方法でパラジウムナノ粒子触媒を調製することができる。
<2-3.共触媒>
シリル化工程は、パラジウムナノ粒子触媒に加え、共触媒の存在下で行われる。共触媒は、アリルアルコール化合物の触媒的シリル化反応を促進する限り、特に限定されない。なお、アリルアルコール化合物の触媒的シリル化反応を促進するとは、具体的には、パラジウムナノ粒子触媒のパラジウムに配位して触媒活性を向上させたり、アリルアルコール化合物のヒドロキシル基に作用して該ヒドロキシル基の脱離能を高め、アリルアルコール化合物の反応性を高めたりすることである。
共触媒としては、トリフルオロ酢酸;酢酸;テトラフルオロホウ酸カリウム;フッ化カリウム;塩化鉄(III)、塩化アルミニウム等のルイス酸;等が挙げられる。これらのうち、触媒活性の向上、副反応の抑制及びアリルアルコール化合物の反応性向上の観点から、特にトリフルオロ酢酸が好ましい。
<2-4.シリル化工程における反応条件>
シリル化工程は、パラジウムナノ粒子触媒及び共触媒の存在下、アリルアルコール化合物(A)とジシラン化合物(B)とを反応させることにより行われる。
(パラジウムナノ粒子触媒の量)
シリル化工程に用いるパラジウムナノ粒子触媒の量は、特に限定されないが、アリルアルコール化合物(A)に対してパラジウム元素の物質量換算で通常0.01mol%以上、好ましくは0.05mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上、また、通常5.0mol%以下、より好ましくは3.0mol%以下、さらに好ましくは1.0mol%以下である。
(共触媒の量)
シリル化工程に用いる共触媒の量は、パラジウムナノ粒子触媒の量、反応濃度等にもよるが、アリルアルコール化合物(A)に対して通常1mol%以上150mol%以下である。アリルシラン化合物(C)の収率の観点から、共触媒の量の下限は、アリルアルコール化合物(A)に対して、好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、さらに好ましくは15mol%以上、特に好ましくは20mol%以上である。また、精製の容易性の観点からは、共触媒の量の上限は、アリルアルコール化合物(A)に対して、好ましくは120mol%以下、より好ましくは100mol%以下、さらに好ましくは50mol%以下である。
具体的には、例えばアリルアルコール化合物(A)0.5mmolをパラジウムナノ粒子触媒1μmolの存在下、1,4-ジオキサン0.4mL中で反応させる場合、共触媒の量はアリルアルコール化合物(A)に対して20mol%程度が好ましい。
(基質のモル比)
シリル化工程において、アリルアルコール化合物(A)に対するジシラン化合物(B)の量は、特に制限されないが、アリルアルコール化合物(A)1.0当量に対して、通常1.0当量以上6.0当量以下である。副反応の抑制及び精製の容易性の観点からは、ア
リルアルコール化合物(A)1.0当量に対するジシラン化合物(B)の量は、好ましくは4.0当量以下、より好ましくは3.0当量以下、さらに好ましくは2.0当量以下である。
(反応溶媒)
シリル化工程は、無溶媒で行ってもよく、反応溶媒中で行ってもよい。副反応を抑制する点からは、無溶媒で行うことが好ましく、アリルシラン化合物(C)の収率の観点からは、反応溶媒中で行うことが好ましい。
反応溶媒としては、特に限定されず、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジグリム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;酢酸、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性極性溶媒;アセトン、ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;等が挙げられる。これらの反応溶媒は、1種類に限られず、2種類以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。なお、反応溶媒は、脱水脱酸素化して用いることが好ましい。
これらの反応溶媒のうち、1,4-ジオキサン、ジグリム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)又はベンゾニトリルが好ましい。特に、アリルシラン化合物(C)の収率の観点からは、1,4-ジオキサンがより好ましく、副反応抑制の観点からは、ジグリム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸、トルエン又はベンゾニトリルがより好ましい。
(反応温度)
反応温度は、特に制限されないが、通常70℃以上150℃以下である。反応温度の下限は、アリルシラン化合物(C)の収率の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。また、反応温度の上限は、副反応抑制の観点から、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下である。特に、反応温度を130℃付近とすることで、アリルシラン化合物(C)の収率が向上するとともに、副反応が抑制される点で好ましい。
(反応時間)
反応時間は、特に制限されないが、通常1時間以上24時間以下である。アリルシラン化合物(C)の収率向上及び副反応抑制の観点から、反応時間の下限は、好ましくは4時間以上、より好ましくは10時間以上、さらに好ましくは15時間以上である。また、精製が容易となる点で、反応時間の上限は、好ましくは22時間以下、より好ましくは20時間以下である。
(雰囲気ガス等)
シリル化工程は、常圧下で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。また、シリル化工程は、厳密な禁水条件は必要としないが、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
<2-5.その他工程>
本実施態様に係るアリルシラン化合物(C)の製造方法においては、上記シリル化工程の他、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、アリルシラン化合物(C)の純度を高めるための精製工程が挙げられる。精製工程においては、ろ過、吸着、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の有機合成分野で通常行われる精製方法を採用することがで
きる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、実施例におけるガスクロマトグラフィー(GC-MS)の測定方法は、以下の通りである。
<GC-MSの測定方法>
(GC-MS測定条件)
ガスクロマトグラフ:GC2010 GC-MS QP2010(製造元:株式会社 島津製作所)
カラム:BP5(製造元:SGE Analytical Science、内径:0.22mm、膜厚:0.25μm、長さ:25m)
キャリアガス:He(カラム流量0.98mL/min)
カラム温度条件:40℃で4分保持後、15℃/分で280℃まで昇温
イオン源温度:200℃
インターフェース温度:280℃
注入温度:280℃
注入量:1.0μL
注入モード:スプリット
イオン化法:EI法
内部標準物質:ウンデカン
検出器:コンバージョン・ダイノード付き二次電子倍増管
<パラジウムナノ粒子触媒の合成>
(合成例1)
ジムロート冷却器を連結した100mLの三口フラスコに、空気雰囲気下で15mLの脱水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、140℃に加熱したオイルバスに浸漬して、空気雰囲気下、撹拌子を1500rpmで回転させながら還流条件で10分程度予備加熱を行った。
その後、空気雰囲気下で0.1モル濃度(0.1M)の塩化パラジウム(II)(PdCl)水溶液150μLを、マイクロシリンジを使って加え、撹拌しながら140℃で10時間加熱還流を行った。10時間経過後、室温まで冷却して、分散液を得た。
得られた分散液からロータリーエバポレーターによりDMFを留去し、十分に乾燥させた(条件:10hPa、40℃)。その結果、パラジウムナノ粒子触媒が得られた。
<アリルシラン化合物の製造>
(実験例1-1:触媒の検討)
Figure 0007303502000009
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒2μmol(シンナミルアルコールに対して0.4mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン1.5mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表1に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を濾過し、エバポレーターで濃縮した。濃縮により得られた残渣を中圧シリカゲルクロマトグラフィー(装置:バイオタージ社製SP1-A1A0、カラム:バイオタージ社製 SNAP Ultra 10g、展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=100/0)で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例1-2~実験例1-6:触媒の検討)
パラジウムナノ粒子触媒及びその量を表1の通りに変更した以外は、実験例1-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表1に示す。
Figure 0007303502000010
表1に示した結果から、反応触媒なしでは、アリルアルコール化合物とジシラン化合物とからアリルシラン化合物はわずかしか得られなかった。
また、パラジウムナノ粒子触媒以外のパラジウム触媒の存在下では、アリルアルコール化合物1及びジシラン化合物2は何れも十分な転化率を示したものの、アリルシラン化合物3の収率はわずかであった。
一方、パラジウムナノ粒子触媒の存在下では、アリルアルコール化合物1とジシラン化合物2の反応が進行し、アリルシラン化合物3が得られた。また、パラジウムナノ粒子触
媒の存在下では、副生成物4も生成していたものの、副生成物4の収率に対するアリルシラン化合物3の収率の比(「反応選択性」ということがある)は、2以上であった。すなわち、本実施態様に係る製造方法によれば、副反応が抑制され、所望のシリル化が選択的に進行することが示された。
(実験例2-1:パラジウムナノ粒子触媒の量の検討)
Figure 0007303502000011
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒1μmol(シンナミルアルコールに対して0.2mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン3mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表2に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例2-2~実験例2-3:パラジウムナノ粒子触媒の量の検討)
パラジウムナノ粒子触媒の量を表2の通りに変更した以外は、実験例2-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表2に示す。
Figure 0007303502000012
表2に示した結果から、シリル化においてパラジウムナノ粒子触媒の量をアリルアルコール化合物1に対して0.2~0.4mol%の範囲内で変動させた場合、パラジウムナノ粒子触媒の量を増加させると基質であるアリルアルコール化合物1の転化率が向上することがわかった。また、パラジウムナノ粒子触媒の量を上記範囲内で変動させても、アリルシラン化合物3の収率及び副生成物4の収率の何れにも大きな変化は見られなかった。
即ち、本実施態様に係る製造方法によれば、パラジウムナノ粒子触媒の量が、基質であるアリルアルコール化合物1に対して0.2mol%であっても、高い触媒活性及び高い反応選択性を示すことがわかった。
(実験例3-1:基質量の検討)
Figure 0007303502000013
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒1μmol(シンナミルアルコールに対して0.2mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン0.5mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表3に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例3-2~実験例3-5:基質量の検討)
ヘキサメチルジシランの量を表3の通りに変更した以外は、実験例3-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表3に示す。
Figure 0007303502000014
表3に示した結果から、ジシラン化合物2の量を0.5~3mmol(即ち、アリルアルコール化合物1に対して1~6当量)の範囲で変動させた場合、ジシラン化合物2の量を増加させると、ジシラン化合物2の転化率は減少するが、アリルシラン化合物1の収率に大きな影響はないことがわかった。また、ジシラン化合物2をアリルアルコール化合物1に対して過剰量用いると、副生成物4の収率が増加することから、反応選択性が低下する傾向があることがわかった。
(実験例4-1:共触媒の検討)
Figure 0007303502000015
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒2μmol(シンナミルアルコールに対して0.4mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン3mmol及びトリフルオロ酢酸0.15mmol(シンナミルアルコールに対して30mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表4に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例4-2~実験例4-5:共触媒の検討)
共触媒を表4の通りに変更した以外は、実験例4-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表4に示す。
Figure 0007303502000016
表4に示した結果から、反応系に共触媒を添加しない場合、シリル化反応の進行が見られないことがわかった。また、共触媒としてトリフルオロ酢酸を用いた場合、他の共触媒を用いた場合よりも、高い収率でアリルシラン化合物3が得られることが示された。
(実験例5-1:反応溶媒の検討)
Figure 0007303502000017
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒2μmol(シンナミルアルコールに対して0.4mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及びジグリム1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン3mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表5に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例5-2~実験例5-9:反応溶媒の検討)
反応溶媒を表5の通りに変更した以外は、実験例5-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表5に示す。
Figure 0007303502000018
表5に示した結果から、反応溶媒として1,4-ジオキサンを用いることにより、高い収率でアリルシラン化合物3が得られることがわかった。
また、反応溶媒としてジグリム、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、トルエン又はベンゾニトリル、特に酢酸、トルエン又はベンゾニトリルを使用するか、反応溶媒を使用しない場合、アリルシラン化合物3の収率は高くないものの、副反応の進行が効果的に抑制され、高い反応選択性を示すことがわかった。
(実験例6-1:反応温度の検討)
Figure 0007303502000019
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒2μmol(シンナミルアルコールに対して0.4mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン1.5mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を100℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から15時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表6に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例6-2~6-5:反応温度の検討)
反応温度を表6の通りに変更した以外は、実験例6-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表6に示す。
Figure 0007303502000020
表6の結果から、反応温度を130℃付近において、アリルシラン化合物3の収率及び反応選択性が最も高くなり、130℃より高く又は低くなるにつれて、徐々に低下することがわかった。
(実験例7-1:反応時間の検討)
Figure 0007303502000021
枝付きシュレンクフラスコに、合成例1で得たパラジウムナノ粒子触媒2μmol(シンナミルアルコールに対して0.4mol%)を入れ、枝付きシュレンクフラスコ内をアルゴンで置換した。次いで、パラジウムナノ粒子触媒にシンナミルアルコール0.5mmol及び1,4-ジオキサン1mLを加え、20分間攪拌し、パラジウムナノ粒子触媒が均一に分散された分散液を得た。
得られた分散液に、ヘキサメチルジシラン1.5mmol及びトリフルオロ酢酸0.5mmol(シンナミルアルコールに対して100mol%)を順次加え、反応液を得た。続いて、得られた反応液を130℃のオイルバスで加熱しながら攪拌した。加熱開始から4時間経過した時点で、反応液からサンプルを採取し、GC-MSにより反応の進行を確認した。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表7に示す。その後、反応液を冷却し、冷却された反応液にジエチルエーテル10mLを加え、反応混合物を得た。
得られた反応混合物を実験例1-1と同様の方法で精製し、アリルシラン化合物を無色液体として得た。
(実験例7-2~実験例7-5:反応時間の検討)
反応時間を表7の通りに変更した以外は、実験例7-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表7に示す。
Figure 0007303502000022
表7の結果から、反応時間が長くなるほどアリルアルコール化合物1の転化率が上昇し、アリルシラン化合物3の収率も上昇する傾向があることがわかった。また、反応時間が長くなると、副生成物4の収率もわずかに上昇したが、アリルシラン化合物3の収率の方が上昇の程度が高く、その結果、反応時間が長いほど反応選択性が高くなる傾向を示すことがわかった。
(実験例8-1~実験例8-2:基質の種類の検討)
Figure 0007303502000023
シンナミルアルコールを表8に示すアリルアルコール化合物5に変更した以外は、実験例1-1と同様の方法で反応を行った。GC-MSの測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表8に示す。なお、比較のため、実験例1-1の結果も併せて表8に示す。
Figure 0007303502000024
表8の結果から、アリルアルコール化合物5において、OH基が結合している炭素にフェニル基が結合していることにより、高い反応選択性を示し、アリルシラン化合物6が効率よく得られることがわかった。
本発明によれば、少量のパラジウムナノ粒子触媒の存在下で、安価で取扱いの容易なアリルアルコール化合物のシリル化反応が進行し、一工程で効率よくアリルシラン化合物を製造することができる。本発明の製造方法によって製造されるアリルシラン化合物は、例えば有機ケイ素化学工業において、有用なアリル化剤として使用することができる。

Claims (4)

  1. パラジウムナノ粒子の表面に配位性有機溶媒が配位してなるパラジウムナノ粒子触媒及び共触媒の存在下、式(A)で表されるアリルアルコール化合物と、式(B)で表されるジシラン化合物とを反応させるシリル化工程を含み、
    前記共触媒が、トリフルオロ酢酸である、式(C)で表されるアリルシラン化合物の製造方法。
    Figure 0007303502000025

    (式(A)~(C)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R、Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を表し;R~Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。)
  2. 配位性有機溶媒が、エチレングリコール、ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群より選択される1以上の有機化合物である、請求項に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
  3. 前記反応が、反応溶媒中で行われる、請求項1又は2に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
  4. 前記反応溶媒が、1,4-ジオキサン、ジグリム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)及びベンゾニトリルからなる群より選択される1以上の反応溶媒である、請求項に記載のアリルシラン化合物の製造方法。
JP2019026244A 2019-02-18 2019-02-18 パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法 Active JP7303502B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019026244A JP7303502B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019026244A JP7303502B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020132553A JP2020132553A (ja) 2020-08-31
JP7303502B2 true JP7303502B2 (ja) 2023-07-05

Family

ID=72277818

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019026244A Active JP7303502B2 (ja) 2019-02-18 2019-02-18 パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7303502B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7756360B2 (ja) * 2022-02-08 2025-10-20 学校法人 関西大学 カルボン酸4-シリル-2-ブテニルエステル化合物の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008142645A (ja) 2006-12-11 2008-06-26 Osaka Univ モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒
JP2012153663A (ja) 2011-01-27 2012-08-16 Kansai Univ アリルシラン類の製造方法
JP2016141644A (ja) 2015-02-02 2016-08-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 有機シラン化合物の製造方法及び有機シラン化合物合成用触媒組成物
JP2017088576A (ja) 2015-11-16 2017-05-25 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アリルシラン化合物の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008142645A (ja) 2006-12-11 2008-06-26 Osaka Univ モンモリロナイト層間固定化サブナノオーダーパラジウム触媒
JP2012153663A (ja) 2011-01-27 2012-08-16 Kansai Univ アリルシラン類の製造方法
JP2016141644A (ja) 2015-02-02 2016-08-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 有機シラン化合物の製造方法及び有機シラン化合物合成用触媒組成物
JP2017088576A (ja) 2015-11-16 2017-05-25 国立研究開発法人産業技術総合研究所 アリルシラン化合物の製造方法

Non-Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
KAWATSURA M. and HARTWIG J.,Palladium-Catalyzed Intermolecular Hydroamination of Vinylarenes Using Arylamines,J. Am. Chem. Soc.,2000年09月15日,Vol.122,p.9546-9547
LARSSON J. M. et al.,Mechanistic Investigation of the Palladium-Catalyzed Synthesis of Allylic Silanes and Boronates from Allylic Alcohols,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2012年11月30日,Vol.135,p.443-455
MUKHOPADHYAY S. and BELL A. T.,Direct catalytic sulfonation of methane with SO2 to methanesulfonic acid (MSA) in the presence of molecular O2,CHEM. COMMUN.,2003年06月03日,p.1590-1591
SELANDER N. et al.,Palladium-Catalyzed Allylic C-OH Functionalization for Efficient Synthesis of Functionalized Allylsilanes,J. AM. CHEM. SOC.,2010年12月16日,Vol.133,p.409-411
SHIRAKAWA E. et al.,Palladium-catalyzed silylation of alcohols with hexamethyldisilane,Chem. Commun.,2006年08月04日,p.3927-3929
TWRWILLIGER D. W. and TRAUNER D.,Selective Synthesis of Divergolide I,J. Am. Chem. Soc.,2018年01月28日,Vol. 140,p.2748-2751
ZOTTO A. D. et al.,Addition of secondary amines to activated alkenes promoted by Pd(II) complexes: Use of ammonium salts as cocatalysts,Inorganica Chimica Acta,2005年04月07日,Vol.358,p.2749-2754

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020132553A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6763525B2 (ja) 鉄錯体化合物とそれを用いた有機ケイ素化合物の製造方法
JP7303502B2 (ja) パラジウムナノ粒子触媒を利用したアリルシラン化合物の製造方法
CN113735894B (zh) 一类同时含有轴手性和中心手性的2,3-联烯醇类化合物及其制备方法和应用
JP7424563B2 (ja) ルテニウムナノ粒子触媒を利用した有機ケイ素化合物の製造方法
CN116731042A (zh) 手性吡啶-吡咯并咪唑啉酮三齿氮配体及其在迈克尔加成中的应用
WO2009157386A1 (ja) 光学活性アミン化合物の製造方法
CN109529930B (zh) 一种用于芳香胺硅基化反应的催化剂
CN113061121B (zh) 一种催化硫代酰胺衍生物氢化脱硫的方法
CN107915653B (zh) 催化酯和胺进行反应制备酰胺的方法
CN113336786B (zh) 一种非对映选择性的多取代环烷基化合物及其制备方法
CN113754604B (zh) 一类含氮手性配体及其在硫醚的不对称氧化反应中的应用
CN115583961A (zh) 一种α-季碳β-硅基酰胺的合成方法
JP6472419B2 (ja) 芳香族化合物の製造方法
CN113929610A (zh) 一种基于离子液体多孔碳材料催化氮杂环需氧脱氢的方法
CN114437143A (zh) 一种吡啶基桥联双四唑廉价金属配合物及其制备和应用
CN107344904A (zh) 一种钯催化氧化烯烃生成甲基酮的方法
CN116621761B (zh) 一种叔烷基胺类化合物及其合成方法和应用
JP2017132738A (ja) ビピリジル化合物の製造方法
JP6452584B2 (ja) 芳香族化合物の製造方法
JP7738931B2 (ja) アキシアルアリール基含有トリベンゾトリキナセン及びその製造方法
JP7716051B2 (ja) マンガンナノ粒子触媒を利用した有機シラン化合物の製造方法
CN115286485B (zh) 一种合成仲醇的方法
CN112694432B (zh) 一种阿比朵尔关键中间体的制备方法
CN110981919B (zh) 一锅法合成八元脒环钯化合物的方法及其应用
CN117551139A (zh) 一种含有三蝶烯三齿结构的金属钯化合物及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7303502

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150