JP7424563B2 - ルテニウムナノ粒子触媒を利用した有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
ヒドロシリル化反応の触媒としては、工業的には、Speier’s触媒、Karstedt’s触媒等の白金触媒が最も多く用いられてきた。しかしながら、これらの白金触媒は、高価である上に、反応後に回収することが難しいため、コストの低減が難しいという問題がある。そのため、より低コストの代替触媒の開発が行われている。
また、非特許文献2には、ルテニウム錯体の存在下で、アルケン類とヒドロシラン類とを反応させ、有機ケイ素化合物を製造する方法が開示されている。この製造方法では、白金触媒を使用する必要はないものの、ヒドロシラン類として工業的に有用性の高い第3級ヒドロシラン類を用いると、ヒドロシリル化反応が進行しないという問題がある。
機ケイ素化合物を製造する方法を提供することである。
ヒドロシリル化触媒の存在下で、アルケン類とヒドロシラン類とを反応させるヒドロシリル化工程を含み、
前記ヒドロシリル化触媒が、表面に配位性有機溶媒が配位したルテニウムナノ粒子触媒である、有機ケイ素化合物の製造方法。
[2]
前記アルケン類が、式(A)で表される化合物である、請求項1に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
[3]
前記ヒドロシラン類が、式(B)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
[4]
前記式(B)中、nが1~3の整数であり、少なくとも1つのR5が前記炭素数6~20の芳香族炭化水素基である、[3]に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
[5]
前記式(B)中、nが3である、[3]に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
[6]
前記配位性有機溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である、[1]~[5]の何れかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
[7]
前記ヒドロシリル化工程が、ジグリム中で行われる、[1]~[6]の何れかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
化合物を製造する方法を提供することができる。
1-1.ヒドロシリル化触媒
本実施態様におけるヒドロシリル化触媒は、表面に配位性有機溶媒が配位したルテニウムナノ粒子触媒である。かかるヒドロシリル化触媒は、粒子状であるため、反応後にろ過等により容易に回収することができ、回収された触媒は、ヒドロシリル化触媒として再利用し得る。
本実施態様におけるヒドロシリル化触媒は、白金触媒を含有しない。なお、本明細書において、「白金触媒を含有しない」とは、ヒドロシリル化触媒に意図的に白金触媒を含有させないことを意味し、ヒドロシリル化触媒に不純物として極微量の白金が含まれることまで排除するものではない。
本明細書において、「ルテニウムナノ粒子」とは、ルテニウム元素を構成元素として含む粒子を意味する。従って、ルテニウムを含むものであれば具体的な組成は特に限定されず、ルテニウム単体のナノ粒子の他、ルテニウム合金のナノ粒子;ルテニウム単体のナノ粒子に酸素原子、炭素原子等のその他の原子がドープされているナノ粒子;酸化ルテニウム等の無機ルテニウム化合物のナノ粒子;等も含まれる。
ルテニウムナノ粒子に配位する配位性有機溶媒は、目的の触媒反応に応じて適宜選択することができる。また、配位性有機溶媒がルテニウムナノ粒子に配位しているか否かについては、分散剤等による表面処理を施すことなく、ルテニウムナノ粒子触媒が配位性有機溶媒中に安定的に分散するか否かで判断することができる。すなわち、例えば配位性有機溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が配位したルテニウムナノ粒子触媒は、DMFと親和性のある配位性有機溶媒に安定的に分散させることができる。
好適である。
アルケン類の具体的種類は、特に限定されず、例えば下記式(A)で表される化合物(以下、「アルケン類(A)」と称することがある。)が挙げられる。なお、アルケン類は、公知であるか、公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。
式(A)中、R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3~20の芳香族複素環基を表す。
これらのうち、脂肪族炭化水素基は、好ましくは直鎖又は分岐のアルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。また、脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、また、好ましくは18以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下である。特に好適な脂肪族炭化水素基としては、n-デシル基が挙げられる。
リル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基等が挙げられる。なお、芳香族複素環基の炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
なお、R1~R4で表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
また、R1~R4の特に好適な態様としては、R2~R4が何れも水素原子である態様;又はR1が炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、かつ、R2~R4が何れも水素原子である態様;が挙げられる。
ヒドロシラン類の具体的種類は、特に限定されず、製造目的である有機ケイ素化合物に応じて適宜選択することができる。ヒドロシラン類としては、例えば下記式(B)で表される化合物(以下、「ヒドロシラン類(B)」と称することがある。)が挙げられる。なお、ヒドロシラン類は、公知であるか、公知の製造方法に準じた方法により容易に製造し得るものである。
式(B)中、R5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭
素数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数3~20の芳香族複素環基を表す。
R5が炭素数6~20の芳香族炭化水素基である場合、その炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは10以下である。
R5が炭素数3~20の芳香族複素環基である場合、その炭素数は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
R5は、それぞれ独立して、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。特に好適なR5としては、メチル基、エチル基又はフェニル基が挙げられる。
また、式(B)中にR5が複数ある場合、R5は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、R5で表される炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は炭素数3~20の芳香族複素環基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
式(B)中、nは、0~3の整数を表す。nは、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
これらのうち、ヒドロシラン類(B)は、トリアルキルシラン類、モノアリールシラン類、ジアリールシラン類、ジアリールアルキルシラン類、アリールジアルキルシラン類であることが好ましく、ジアリールアルキルシラン類であることがより好ましい。
本実施態様に係る製造方法で製造される有機ケイ素化合物は、アルケン類のヒドロシリル化生成物であれば、具体的な構造は特に限定されず、幅広い有機ケイ素化合物であってよい。具体的には、アルケン類(A)とヒドロシラン類(B)との反応により得られる、
式(C1)又は式(C2)で表される有機ケイ素化合物(以下、「有機ケイ素化合物(C1)」又は「有機ケイ素化合物(C2)」と称することがある。)が挙げられる。
[ヒドロシリル化触媒の量]
ヒドロシリル化工程に用いるヒドロシリル化触媒の量は、特に限定されないが、アルケン類に対して総金属換算(ルテニウム換算)で通常0.01mol%以上、好ましくは0.03mol%以上、より好ましくは0.05mol%以上、さらに好ましくは0.1m
ol%以上、また、通常5.0mol%以下、好ましくは2.0mol%以下、より好ましくは1.0mol%以下、さらに好ましくは0.5mol%以下である。
アルケン類に対するヒドロシラン類の量は、特に制限されないが、アルケン類に対して、通常1.0モル当量以上10.0モル当量以下である。精製の容易性の観点からは、アルケン類に対するヒドロキシシラン類の量は、好ましくは9.0モル当量以下、より好ま
しくは7.5モル当量以下であり、また、有機ケイ素化合物の収率向上の観点から、好ましくは2.0モル当量以上、より好ましくは3.0モル当量以上、さらに好ましくは5.0モル当量以上である。
ヒドロシリル化工程は、無溶媒で行ってもよく、反応溶媒中で行ってもよい。反応溶媒としては、特に限定されず、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジグリム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;酢酸、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン等のプロトン性極性溶媒;アセトン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒;等が挙げられる。これらのうち、有機ケイ素化合物の収率向上の観点から、反応溶媒は、ジグリムであることが好ましい。なお、これらの反応溶媒は、1種類に限られず、2種類以上を組み合わせた混合溶媒であってもよい。また、反応溶媒は、脱水脱酸素化して用いることが好ましい。
反応温度は、触媒の種類、基質の反応性、反応溶媒の種類、反応時間等の反応条件に応じて適宜選択すればよく、通常70℃以上150℃以下である。反応温度の下限は、有機ケイ素化合物の収率の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。また、反応温度の上限は、触媒の分解又は不活性化
を抑制する観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは135℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
反応時間は、触媒の種類、基質の反応性、反応溶媒の種類、反応温度等の反応条件に応じて適宜選択すればよく、通常1時間以上48時間以下である。有機ケイ素化合物の収率向上の観点から、反応時間の下限は、好ましくは4時間以上、より好ましくは10時間以上、さらに好ましくは15時間以上である。また、副反応抑制の観点から、反応時間の上限は、好ましくは42時間以下、より好ましくは36時間以下、さらに好ましくは30時間以下である。
ヒドロシリル化工程は、常圧下で行ってもよく、加圧下で行ってもよい。また、ヒドロシリル化工程は、厳密な禁水条件は必要としないが、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
本実施態様に係る有機ケイ素化合物の製造方法においては、上記触媒製造工程及びヒドロシリル化工程の他、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、有機ケイ素化合物の純度を高めるための精製工程が挙げられる。精製工程においては、ろ過、吸着、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の有機合成分野で通常行われる精製方法を採用することができる。
なお、実施例におけるガスクロマトグラフィー(GC)の測定方法は、以下の通りである。
装置名:GC-2025(株式会社島津製作所)
カラム:BP-5(Trajan Scientific and Medical)
キャリアガス:窒素
(合成例1:ルテニウムナノ粒子触媒分散液の調製)
スクリュー管に塩化ルテニウム0.2mmol、純水1.8mL及び36%塩酸0.2
mLを加え、暗所で6時間静置することで、塩化ルテニウム溶液を得た。次いで、三ツ口丸底フラスコに、メスシリンダーで量り取ったDMF50mLを加え、攪拌しながらDMFを140℃で10分間予備加熱した。この際、三ツ口フラスコ、メスシリンダー、攪拌子等の器具は、DMFで共洗いしてから使用した。続いて、三ツ口丸底フラスコに塩化ルテニウム溶液500μLを加え、10時間加熱還流することにより、ルテニウムナノ粒子触媒(以下、「Ru NPs」と称することがある。)の分散液を得た。
塩化ルテニウムが全てルテニウムナノ粒子に変換されたと仮定すると、得られた分散液のルテニウム元素の濃度は、1.0mmol/Lとなる。
スクリュー管に酢酸コバルト(II)0.1mmol、DMF1mLを加え、暗所で6時間静置することで、酢酸コバルト(II)溶液を得た。次いで、三ツ口丸底フラスコに
、メスシリンダーで量り取ったDMF50mLを加え、攪拌しながらDMFを140℃で10分間予備加熱した。この際、三ツ口フラスコ、メスシリンダー、攪拌子等の器具は、DMFで共洗いしてから使用した。続いて、三ツ口丸底フラスコに酢酸コバルト(II)溶液500μLを加え、8時間加熱還流することにより、コバルトナノ粒子触媒(以下、「Co NPs」と称することがある。)の分散液を得た。
酢酸コバルト(II)が全てコバルトナノ粒子に変換されたと仮定すると、得られた分散液のコバルト元素の濃度は、1.0mmol/Lとなる。
スクリュー管にアセチルアセトン鉄(III)0.1mmol、DMF1mLを加え、暗所で6時間静置することで、アセチルアセトン鉄(III)溶液を得た。次いで、三ツ口丸底フラスコに、メスシリンダーで量り取ったDMF50mLを加え、攪拌しながらDMFを140℃で10分間予備加熱した。この際、三ツ口フラスコ、メスシリンダー、攪拌子等の器具は、DMFで共洗いしてから使用した。続いて、三ツ口丸底フラスコにアセチルアセトン鉄(III)溶液500μLを加え、10時間加熱還流することにより、鉄ナノ粒子触媒(以下、「Fe NPs」と称することがある。)の分散液を得た。
アセチルアセトン鉄(III)が全て鉄ナノ粒子に変換されたと仮定すると、得られた分散液の鉄元素の濃度は、1.0mmol/Lとなる。
合成例1で得たルテニウムナノ粒子触媒分散液に代え、合成例2で得たコバルトナノ粒子触媒分散液500μL(Co換算で0.5μmol)又は合成例3で得た鉄ナノ粒子触媒分散液500μL(Fe換算で0.5μmol)を用いた以外は、実験例1-1と同様の方法でヒドロシリル化反応を行った。GC測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表1に示す。
反応溶媒を表3の通りに変更した以外は実験例3-1と同様の方法でヒドロシリル化反応を行った。GC測定結果より算出した基質の転化率及び生成物の収率を表3に示す。
Claims (7)
- ヒドロシリル化触媒の存在下で、アルケン類とヒドロシラン類とを反応させるヒドロシリル化工程を含み、
前記ヒドロシリル化触媒が、表面に配位性有機溶媒が配位したルテニウムナノ粒子触媒である、有機ケイ素化合物の製造方法。 - 前記式(B)中、nが1~3の整数であり、少なくとも1つのR5が前記炭素数6~20の芳香族炭化水素基である、請求項3に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
- 前記式(B)中、nが3である、請求項3に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
- 前記配位性有機溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である、請求項1~5の何れか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
- 前記ヒドロシリル化工程が、ジグリム中で行われる、請求項1~6の何れか1項に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
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