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JP7310539B2 - 排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置 - Google Patents
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JP7310539B2 - 排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置 - Google Patents

排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置 Download PDF

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本発明は、排ガス浄化触媒及び排ガス浄化装置に関し、さらに詳しくは、白金複合酸化物からなる排ガス浄化触媒及びこれを用いた排ガス浄化装置に関する。
内燃機関から排出される排ガス中には、CO、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)などの有害物質が含まれている。このような有害物質をそのまま大気中に放出すると、大気汚染や健康被害の原因となる。そのため、排ガスに含まれる有害物質を種々の触媒を用いて浄化することが試みられている。
例えば、非特許文献1には、CO酸化触媒ではないが、
(a)含浸法により、コバルト酸化物(Co34)の表面にPt粒子が高分散に担持された仮焼触媒を作製し、
(b)仮焼触媒を水素中で還元処理する
ことにより得られるPt/Co34基触媒が開示されている。
同文献には、
(A)仮焼触媒を水素中で処理すると、金属間化合物Pt3Coが形成される点、
(B)還元された表面種は、酸化雰囲気に曝すと直ちに酸化される点、及び、
(C)Ptの電子バンド構造を変更すると、Pt上への強いCO吸着を抑制できる点
が記載されている。
また、特許文献1には、
(a)ジルコニア粉末、硝酸白金、硝酸プラセオジム、硝酸イットリウム、及び硝酸コバルトを水溶液中に分散させた後、150℃で2時間乾燥させ、
(b)乾燥粉末を500℃で1時間焼成する
ことにより得られるディーゼルエンジン排ガス浄化触媒が開示されている。
同文献には、このような触媒により、
(A)酸素を多く含む排ガス中のNOxを低温において分解することができ、
(B)排ガス中の未撚炭化水素、一酸化炭素、及び微粒子物質を燃焼除去でき、かつ、
(C)排ガス中のSO2の酸化反応を抑制できるので、SO2の酸化による硫酸塩の生成量を低減できる点、
が記載されている。
非特許文献1に記載のPt/Co34基触媒は、Pt表面上に弱く吸着したCOを酸化させる機能を持つ。しかし、Pt/Co34基触媒は、CO酸化過電圧が大きく、CO酸化触媒としての活性は低い。
一方、特許文献1に記載の排ガス浄化触媒は、メタル白金のみが活性種であり、これがCO酸化反応と、それに付随する還元反応である酸素還元反応を担っている。しかし、活性種である白金の表面は温度や排ガス雰囲気により、メタルあるいは酸化物のいずれかの状態を取る。CO酸化に対しては、酸化物の状態では活性が高く、メタルの状態では活性が低い。酸素還元反応はその逆で、メタル状態では活性が高く、酸化物の状態では活性が低い。このため、CO酸化反応とそれに付随する酸素還元反応とに対して、高い活性を両立させることができない。
特開平09-308829号公報
T. Matui, et al., "Electrochemical CO Oxidation and Microstructure in Pt/Co3O4-Based Catalysts," J. Electrochem. Soc., 156, K128(2009)
本発明が解決しようとする課題は、高いCO酸化能力を有する排ガス浄化触媒を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような排ガス浄化触媒を用いた排ガス浄化装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る排ガス浄化触媒は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記排ガス浄化用触媒は、
金属酸化物からなる担体と、
前記担体の表面に形成された活性点と
を備えている。
(2)前記活性点は、
白金と金属Mを含む白金複合酸化物からなる活性点(A)と、
メタル白金からなる活性点(B)と
を含む。
(3)前記白金複合酸化物は、次の式(1)で表される組成を持つ白金ブロンズ、及び/又は、次の式(2)で表される組成を持つ白金含有層状岩塩型複合酸化物を含む。
CoxPt3-y4-z …(1)
但し、0<x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。
M'PtO2 …(2)
但し、M’は、Co、又は、Co及びMn。
本発明に係る排ガス浄化装置は、
ハニカムと、
前記ハニカムのガス流路内に充填された本発明に係る排ガス浄化用触媒と
を備えている。
白金複合酸化物からなる活性点(A)は、CO酸化反応に対して高い活性を持つ。一方、メタル白金からなる活性点(B)は、CO酸化反応に付随する酸素還元反応に対して高い活性を持つ。そのため、このような機能の異なる2種類の活性点(A)(B)を担体表面に近接して配置すると、CO酸化反応が促進される。
本発明に係る排ガス浄化触媒の断面模式図である。 CoPtO2、Co-Ptブロンズ、及び、Pt/Vulcan(登録商標)のCO酸化ボルタモグラムである。 表面のメタル白金化処理を施していないCo-Ptブロンズの高電位でのCO酸化ボルタモグラムである。 表面のメタル白金化処理を施していないCoPtO2の高電位でのCO酸化ボルタモグラムである。 排ガス浄化試験時の温度プロファイルである。 CO:1000ppm-O2:10%-H2O:0%のガス雰囲気条件(CO酸化(a))での各種触媒のCO転換率である。
CO:1000ppm-O2:10%-H2O:1%のガス雰囲気条件(CO酸化(b))での各種触媒のCO転換率である。 CO:1000ppm-O2:10%-H2O:3%のガス雰囲気条件(CO酸化(c))での各種触媒のCO転換率である。 CO:1000ppm-O2:10%-H2O:5%のガス雰囲気条件(CO酸化(d))での各種触媒のCO転換率である。 CO:1000ppm-O2:1%-H2O:5%のガス雰囲気条件(CO酸化(e))での各種触媒のCO転換率である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 排ガス浄化触媒]
本発明に係る排ガス浄化用触媒は、
金属酸化物からなる担体と、
前記担体の表面に形成された活性点と
を備えている。
[1.1. 担体]
[1.1.1. 材料]
担体は、金属酸化物からなる。金属酸化物は、排ガス浄化触媒の使用環境に耐える耐熱性を有しているものであれば良い。金属酸化物は、電子伝導体であっても良く、あるいは、絶縁体であっても良い。CO酸化反応及び酸素還元反応は、電子伝導体である活性点を介して行われるため、担体は、必ずしも電子伝導体である必要はない。また、担体は、中実材料であっても良く、あるいは、多孔質材料であっても良い。
担体の材料としては、例えば、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニアなどがある。
[1.1.2. 平均粒径]
「平均粒径」とは、レーザー回折散乱法を用いて測定された粒径のメディアン値(d50)をいう。
担体の平均粒径は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。一般に、担体の平均粒径が小さくなりすぎると、担体の粒成長が起きやすくなる傾向にある。従って、担体の平均粒径は、0.01μm以上が好ましい。平均粒径は、好ましくは、0.1μm以上、さらに好ましくは、0.5μm以上である。
一方、担体の平均粒径が大きくなりすぎると、比表面積が小さくなり、十分な触媒活性が得られなくなる傾向にある。従って、担体の平均粒径は、100μm以下が好ましい。平均粒径は、好ましくは、50μm以下、さらに好ましくは、10μm以下である。
[1.2. 活性点]
活性点は、
白金と金属Mを含む白金複合酸化物からなる活性点(A)と、
メタル白金からなる活性点(B)と
を含む。
[1.2.1. 活性点(A)]
本発明において、「活性点(A)」とは、白金と金属Mを含む白金複合酸化物であって、COの酸化反応に対して活性を持つものをいう。このような白金複合酸化物としては、白金ブロンズ、白金含有層状岩塩型複合酸化物などがある。活性点(A)は、これらのいずれか一種であっても良く、あるいは、2種以上であっても良い。
[A. 担体表面への活性点(A)の形成]
「活性点(A)が担体の表面に形成されている」とは、白金複合酸化物の粒子が担体表面に担持されていることをいう。この場合、白金複合酸化物は、中実担体の外表面に担持されていても良く、あるいは、多孔質担体の細孔の内表面に担持されていても良い。
[B. 白金ブロンズ]
「白金ブロンズ」とは、白金、酸素、及び、第三成分として金属元素Mのイオンを含む複合金属酸化物をいう。白金ブロンズの組成式は、一般にMxPt3-y4-zで表される。白金ブロンズの空間群はPm3nであり、白金原子が6cサイト、酸素原子が8eサイト、金属元素Mが2aサイトに位置する。金属元素Mの量xは、合成条件(金属仕込み量、合成温度など)により異なる。xは、通常、0<x≦1である。
y、zは、基本組成ではゼロであるが、結晶構造を維持することができ、かつ、組成として電気的中性を保つことができる限りにおいて、仕込み量の調整や処理条件などにより変えることができる。yは、通常、0≦y≦1である。また、zは、通常、0≦z≦1である。
本発明において、活性点(A)として、次の式(1)で表される組成を持つ白金ブロンズ(すなわち、Co-Ptブロンズ)、又は、後述する白金含有層状岩塩型複合酸化物の少なくとも一方を含む。Co-Ptブロンズは、COの酸化反応に対して高い活性を有しているので、活性点(A)として好適である。
CoxPt3-y4-z …(1)
但し、0<x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。
[C. 白金含有層状岩塩型複合酸化物]
「白金含有層状岩塩型複合酸化物」とは、白金、酸素、及び、第三成分として金属元素M'のイオンを含む複合金属酸化物をいう。
白金含有層状岩塩型複合酸化物の組成式は、一般にM'PtO2で表される。白金含有層状岩塩型複合酸化物の空間群はR3mであり、白金原子が3aサイト、酸素原子が8eサイト、金属元素M'が3bサイトに位置する。
本発明において、活性点(A)として、次の式(2)で表される組成を持つ白金含有層状岩塩型複合酸化物、又は、上述した白金ブロンズの少なくとも一方を含む。M’としてCoのみを含む白金含有層状岩塩型複合酸化物、又は、M'としてCo及びMnのを双方含む白金含有層状岩塩型複合酸化物は、いずれも、COの酸化反応に対して高い活性を有しているので、活性点(A)として好適である。
M'PtO2 …(2)
但し、M’は、Co、又は、Co及びMn。
[D. 比表面積]
活性点(A)の比表面積は、COの酸化反応に対する活性に影響を与える。一般に、活性点(A)の比表面積が大きくなるほど、少量の添加で高い効果が得られる。COの酸化反応に対する高い活性を得るためには、活性点(A)の比表面積は、15m2/g以上が好ましい。比表面積は、高いほど良い。
[E. 活性点(A)の量]
活性点(A)の量(すなわち、白金複合酸化物の担持量)は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。
一般に、白金複合酸化物の担持量が少なすぎると、COの酸化反応に対する活性が低下する。従って、白金複合酸化物の担持量は、0.01mass%以上が好ましい。担持量は、好ましくは、0.05mass%以上、さらに好ましくは、0.1mass%以上である。
一方、白金複合酸化物の担持量が過剰になると、触媒活性が飽和するとともに、コストが上昇する傾向にある。従って、白金複合酸化物の担持量は、10mass%以下が好ましい。担持量は、好ましくは、5mass%以下、さらに好ましくは、3mass%以下である。
[1.2.2. 活性点(B)]
本発明において、活性点(B)とは、メタル白金をいう。メタル白金は、CO酸化反応に付随する酸素還元反応に対して高い活性を持つ。
[A. 担体表面への活性点(B)の形成]
「活性点(B)が担体の表面に形成されている」とは、
(a)担体表面に白金複合酸化物からなる粒子が担持されており、白金複合酸化物からなる粒子の表面の一部にメタル白金層が形成されていること、又は、
(b)担体表面に、白金複合酸化物の粒子に加えて、メタル白金の粒子が担持されていること
をいう。
後述するように、CO酸化反応を効率的に進行させるためには、これに付随して起こる酸素還元反応もまた効率的に進行させるのが好ましい。そのためには、CO酸化反応が進行する活性点(A)と、酸素還元反応が進行する活性点(B)が近接しているのが好ましい。しかし、担体表面に白金複合酸化物の粒子とメタル白金の粒子の双方を担持させた場合、すべての白金複合酸化物の粒子がメタル白金の粒子と近接しているとは限らない。
これに対し、活性点(A)が担体表面に担持された白金複合酸化物の粒子からなり、活性点(B)が白金複合酸化物からなる粒子の表面の一部に形成されたメタル白金層からなる場合、活性点(A)と活性点(B)の距離が近接する。そのため、CO酸化反応、及びこれに付随して起こる酸素還元反応を効率的に進行させることができる。
[B. 比表面積]
活性点(B)がメタル白金の粒子からなる場合、活性点(B)の比表面積は、酸素還元反応に対する活性に影響を与える。一般に、活性点(B)の比表面積が大きくなるほど、少量の添加で高い効果が得られる。酸素還元反応に対する高い活性を得るためには、活性点(B)の比表面積は、高いほど良い。
[C. 活性点(B)の量]
活性点(B)の量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な値を選択することができる。一般に、活性点(A)の量に対して、活性点(B)が少なすぎると、酸素還元反応が律速となるために、COの酸化反応が効率的に進行しなくなる。
一方、活性点(A)の量に対して活性点(B)を必要以上に多くしても、効果に差が無く、実益がない。
例えば、活性点(B)が白金複合酸化物からなる粒子の表面の一部に形成されたメタル白金層からなる場合において、白金複合酸化物からなる粒子の表面積に対するメタル白金層の面積の割合を「被覆率」と定義する。この場合、CO酸化反応を効率的に進行させるためには、被覆率は、2%~50%が好ましい。
[2. 排ガス浄化装置]
本発明に係る排ガス浄化装置は、
ハニカムと、
前記ハニカムのガス流路内に充填された本発明に係る排ガス浄化用触媒と
を備えている。
[2.1. ハニカム]
ハニカムは、排ガスを流通させるための多数のガス流路を備えているものをいう。本発明において、ハニカムの構造は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な構造を選択することができる。
[2.2. 排ガス浄化触媒]
ハニカムのガス流路内には、本発明に係る排ガス浄化触媒が充填されている。排ガス浄化触媒の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
排ガス浄化触媒の充填量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
[3. 白金複合酸化物の製造法(1)-固相法-]
白金ブロンズ又は白金含有層状岩塩型複合酸化物は、種々の方法により製造することができる。第1の方法は、
(a)Pt源に対して所定量の金属元素M又はM'の原料(以下、これらを総称して「(M、M')源」ともいう)を添加する配合工程と、
(b)原料混合物を所定の条件下で熱処理し、固相反応させる熱処理工程と、
(c)必要に応じて、反応生成物から副生したメタル白金を除去する精製工程と、
(d)必要に応じて、白金複合酸化物の表面を還元処理する還元工程と
を備えている。
[3.1. 配合工程]
まず、Pt源に対して所定量の(M、M')源を添加する(配合工程)。
Pt源は、白金複合酸化物を合成可能なものである限りにおいて、特に限定されない、白金源としては、例えば、
(a)酸化白金(PtO2)、
(b)白金の硝酸塩、クロロ錯体、アンミン塩、ヒドロキシ錯体、ブロモ錯体、ヨード錯体、シアノ錯体
などがある。
(M、M')源は、白金複合酸化物を合成可能なものである限りにおいて、特に限定されない。(M、M')源としては、例えば、
(a)硝酸塩、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩などの無機アニオンとの塩、
(b)酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩などの有機アニオンとの塩、
などがある。
(M、M')源の添加量は、目的とする白金複合酸化物が得られるように、最適な添加量を選択する。
[3.2. 熱処理工程]
次に、原料混合物を所定の条件下で熱処理し、固相反応させる(反応工程)。熱処理条件は、白金複合酸化物の組成や原料の種類に応じて最適な条件を選択する。
例えば、Pt-Coブロンズの場合、熱処理温度は400~750℃が好ましい。また、白金含有層状岩塩型複合酸化物の場合、熱処理温度は600~700℃が好ましい。
熱処理時間は、通常、数分~数時間程度である。原料混合物を所定の条件下で熱処理すると、白金複合酸化物が生成すると同時に、メタル白金が副生する。
[3.3. 精製工程]
次に、必要に応じて、反応生成物から副成したメタル白金を除去する(精製工程)。メタル白金の除去は、王水処理により行うのが好ましい。所定の条件下で王水処理を行うと、反応生成物から白金複合酸化物を単離することができる。
[3.4. 還元工程]
次に、必要に応じて、白金複合酸化物の表面を還元処理する(還元工程)。これにより、白金複合酸化物の表面の一部がメタル白金化する。
白金複合酸化物の表面の一部をメタル白金化する方法としては、例えば、
(a)白金複合酸化物に電位サイクルを付与する方法、
(b)白金複合酸化物を還元剤(例えば、エタノール)で処理する方法、
などがある。
なお、白金複合酸化物の表面の一部のメタル白金化は、担体に担持させる前に行っても良く、あるいは、担持させた後に行っても良い。
[4. 白金複合酸化物の製造方法(2)-鋳型法-]
白金ブロンズ又は白金含有層状岩塩型複合酸化物を製造するための第2の方法は、
(a)メソポーラスシリカのメソ細孔内に、Pt源及び(M、M')源を充填する充填工程と、
(b)Pt源及び(M、M')源が充填されたメソポーラスシリカを熱処理し、メソ細孔内に白金複合酸化物が充填された複合体を作製する熱処理工程と、
(c)複合体からメソポーラスシリカを除去し、反応生成物を回収する回収工程と、
(d)必要に応じて、反応生成物からメタル白金粒子を除去する精製工程と、
(e)必要に応じて、白金複合酸化物の表面を還元する還元工程と
を備えている。
[4.1. 充填工程]
まず、メソポーラスシリカのメソ細孔内に、Pt源及び(M、M')源を充填する(第1工程)。
[A. メソポーラスシリカ]
メソポーラスシリカは、微細な白金複合酸化物粒子を合成するための鋳型である。メソポーラスシリカには、細孔径及び細孔構造の異なる種々の材料が知られている。本発明において、メソポーラスシリカの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な材料を選択することができる。一般に、メソポーラスシリカの細孔径が小さくなるほど、比表面積の大きな白金複合酸化物粒子が得られる。
[B. Pt源、(M、M’)源]
Pt源及び(M。M')源のメソ細孔への充填は、Pt及び(M、M')を含む液体をメソ細孔内に充填することによって行う。従って、Pt源及び(M、M')源は、常温で液体である化合物、又は、常温で溶媒に可溶な化合物である必要がある。
Pt源、及び(M、M')源に関するその他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
[4.2. 熱処理工程]
次に、Pt源及び(M、M')源が充填されたメソポーラスシリカを熱処理する(熱処理工程)。これにより、メソポーラスシリカのメソ細孔内に、白金複合酸化物が充填された複合体が得られる。
熱処理条件は、白金複合酸化物の組成に応じて、最適な温度を選択する。一般に、熱処理温度が低すぎると、白金複合酸化物が生成しない。一方、熱処理温度が高すぎると、低温時に生成した白金複合酸化物が分解し、メタル白金が生成する場合がある。あるいは、白金複合酸化物がシリカと反応することもある。
熱処理条件に関するその他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
[4.3. 回収工程]
次に、複合体から鋳型であるメソポーラスシリカを除去する(回収工程)。これにより、白金複合酸化物を含む反応生成物を回収することができる。
メソポーラスシリカの除去方法としては、具体的には、
(1)複合体を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する方法、
(2)複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、
などがある。
[4.4. 精製工程]
次に、必要に応じて、反応生成物からメタル白金を除去する(精製工程)。これにより、白金複合酸化物を単離することができる。
反応生成物からメタル白金を除去する方法としては、
(a)反応生成物を王水処理する方法、
(b)遠心沈降法を用いて粗大なメタル白金粒子を分離する方法
などがある。
[4.5. 還元工程]
次に、必要に応じて、白金複合酸化物の表面の一部をメタル白金化する(第4工程)。還元工程の詳細については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
[5. 排ガス浄化触媒の製造方法]
白金複合酸化物粒子の表面の一部がメタル白金化されている場合、これをそのまま担体表面に担持させると、本発明に係る排ガス浄化触媒が得られる。
一方、白金複合酸化物粒子の表面の一部がメタル白金化されていない場合、白金複合酸化物粒子及びメタル白金粒子を担体表面に担持させると、本発明に係る排ガス浄化触媒が得られる。
担体表面への微粒子の担持方法は、特に限定されない。担持は、通常、担体及び微粒子を分散媒に分散させ、分散媒を揮発させることにより行われる。
[6. 作用]
図1に、本発明に係る排ガス浄化触媒の断面模式図を示す。白金複合酸化物からなる活性点(A)は、CO酸化反応に対して高い活性を持つ。CO酸化反応(アノード反応)は、次の式(1)で表される。
CO+H2O → CO2+2H++2e- -0.12V …(1)
式(1)より、CO酸化反応を効率良く進行させるためには、活性点(A)にH2Oを効率良く供給すると同時に、活性点(A)から反応生成物であるプロトン、電子、及びCO2を効率良く除去する必要があることが分かる。
一方、メタル白金からなる活性点(B)は、CO酸化反応に付随する酸素還元反応に対して高い活性を持つ。酸素還元反応(カソード反応)は、次の式(2)で表される。
2+4H++4e- → H2O 1.23V …(2)
メタル白金からなる活性点(B)と白金複合酸化物からなる活性点(A)とを近接して配置すると、活性点(A)において生成したプロトンと電子が活性点(B)に輸送され、酸素還元反応に消費される。一方、活性点(B)において生成した水は活性点(A)に輸送され、CO酸化反応に消費される。そのため、このような機能の異なる2種類の活性点(A)(B)を担体表面に近接して配置すると、CO酸化反応が促進される。
特に、図1に示すように、活性点(B)が白金複合酸化物の表面に形成されたメタル白金層である場合、メタル白金表面がより高い酸素還元活性を示す。そのため、白金複合酸化物粒子が単独で存在する場合、あるいは、白金複合酸化物粒子とメタル白金粒子が担体表面に担持されている場合に比べて、CO酸化反応が促進される。
(実施例1、2、比較例1)
[1. 試料の作製(固相法)]
[1.1. Co-Ptブロンズの合成(実施例1)]
酸化白金(PtO2)と硝酸コバルト六水和物(Co(NO3)2・6H2O)とをモル比で3:1になるように秤取し、乳鉢で混合した。得られた混合物を、空気通気下(1L/min)、650℃で5時間熱処理した。粉末X線回折測定により、熱処理後の粉末は、目的とする白金ブロンズと、副生成物であるメタル白金との混合物であることが分かった。
得られた混合粉末を熱王水に30分浸漬した後、上澄み液を除去した。粉末X線回折測定により、王水処理後の回折パターンにはメタル白金のパターンが無くなっていることが確認された。すなわち、王水処理により、副生したメタル白金が除去され、白金ブロンズが単離されたことを確認した。
[1.2. 白金含有層状岩塩型複合酸化物(CoPtO2)の合成(実施例2)]
硝酸白金(Pt(NO3)2)と硝酸コバルト六水和物(Co(NO3)2・6H2O)とをモル比で1:1になるように秤取し、乳鉢で混合した。得られた混合物を、空気通気下(1L/min)、650℃で5時間熱処理した。粉末X線回折測定により、熱処理後の粉末は、目的とするCoPtO2と、副生成物であるメタル白金との混合物であることが分かった。
得られた混合粉末を熱王水に30分浸漬した後、上澄み液を除去した。粉末X線回折測定により、王水処理後の回折パターンにはメタル白金のパターンが無くなっていることが確認された。すなわち、王水処理により、副生したメタル白金が除去され、CoPtO2が単離されたことを確認した。
[1.3. 白金担持カーボン(比較例1)]
市販の白金担持カーボン(Pt/Vulcan(登録商標))をそのまま試験に供した。
[2. 試験方法]
[2.1. 実施例1、2]
触媒粉末をアセトンに分散させた。この分散液をグラッシーカーボン(GC)電極表面に塗布して乾燥させた。これを作用極として電気化学測定を行い、液相でのCO酸化活性を評価した。参照電極は可逆水素電極(RHE)、対極は金メッシュ、電解液は0.1Mの過塩素酸とし、液温は30℃とした。
Arを飽和させた電解液中で0.05~1.2Vの電位範囲で電位掃引を繰り返すことで、触媒粒子の表層をメタル白金化させた。電位掃引の繰り返し回数は、Co-Ptブロンズについては100サイクル、CoPtO2については200サイクルとした。
その後、COを飽和させた電解液中で作用極を400rpm回転させながら、0.05~1.2Vの電位範囲で電位掃引することで、CO酸化性能を評価した。
[2.2. 比較例1]
電位掃引を行わなかった以外は、実施例1、2と同様にしてCO酸化性能を評価した。
[3. 結果]
図2に、CoPtO2、Co-Ptブロンズ、及び、Pt/Vulcan(登録商標)のCO酸化ボルタモグラムを示す。Co-Ptブロンズ及びCoPtO2は、いずれもPt/Vulcan(登録商標)より低い電位からCO酸化電流が見られることから、CO酸化活性が高いことが分かる。上述したように、CO酸化反応(式(1))の標準酸化還元電位は-0.12Vである。Co-Ptブロンズ及びCoPtO2のいずれもCO酸化に対する過電圧が低いことからも、これらのCO酸化活性が高いことが分かる。
一方、Pt/Vulcan(登録商標)については、0.8Vより高い電位でCO酸化電流が見られている。これは、高い電位において白金表面が酸化状態になり、その表面ではCO酸化が進行することを示している。すなわち、メタル状の白金表面では、CO酸化反応が進行しないことを示している。
図3に、表面のメタル白金化処理を施していないCo-Ptブロンズの高電位でのCO酸化ボルタモグラムを示す。Co-Ptブロンズについて、電位サイクルによる表層のメタル白金化処理を施さず、0.6Vより高い電位範囲でCOの酸化性能を評価した場合、図3に示すように、CO雰囲気では酸化電流が見られた。このことから、CO酸化は、Co-Ptブロンズの表面、すなわち、白金複合酸化物表面で進行することが確認された。
図4に、表面のメタル白金化処理を施していないCoPtO2の高電位でのCO酸化ボルタモグラムを示す。CoPtO2についてもまた、電位サイクルによる表層のメタル白金化処理を施さず、0.6Vより高い電位範囲でCOの酸化性能を評価した場合、図4に示すように、CO雰囲気では酸化電流が見られた。このことから、CO酸化は、CoPtO2の表面、すなわち、白金複合酸化物表面で進行することが確認された。
(実施例3、比較例2)
[1. 試料の作製(シリカテンプレート法)]
[1.1. 微細なCo-Ptブロンズの合成(実施例3)]
塩化白金酸(H2PtCl6)と硝酸コバルト六水和物(Co(NO3)2・6H2O)とをモル比で3:1になるように秤取し、水に溶解させた。密閉容器にメソ細孔径が3.8nmのメソポーラスシリカ(FSM22)を秤取し、その細孔容量分の上述の金属塩溶液を投入し、容器を密閉したまま十分に混合した。
混合後の原料粉末を、酸素通気下(200mL/min)、650℃で1時間熱処理した。粉末X線回折測定により、熱処理後の粉末は、結晶相として、目的とする白金ブロンズと、副生成物であるメタル白金との混合物であることが分かった。
得られた粉末試料を10Mの水酸化ナトリウムで処理することでシリカを溶解した。固形分を遠心沈降させた後、上澄み液を除去した。以上の工程を3回繰り返すことで充分にシリカを除去し、Co-Ptブロンズと白金メタルとの混合物を得た。
得られた混合物を超純水に分散させ、超音波を照射後、固形分を遠心沈降させ、上澄みを除去した。この操作を、上澄み液が中性になるまで繰り返し行うことで、充分に洗浄した。固形分を再度超純水に分散させ、超音波を照射後、メタル白金の粗大粒子のみが沈降する程度の遠心加速度で遠心沈降させ、上澄み液から微細なCo-Ptブロンズを回収した。粉末X線回折測定により、白金ブロンズ相のピークの半値幅が広いことから、上記の方法により微細なCo-Ptブロンズが得られたことを確認した。電子顕微鏡観察からも、鋳型として用いたメソポーラスシリカの細孔の形状を反映した微細な針状のCo-Ptブロンズが得られたことを確認した。
[1.2. 白金ブラック(比較例2)]
市販の白金ブラックをそのまま試験に供した。
[2. 試験方法]
[2.1. 比表面積の測定]
ガス吸着量測定装置(Autosorb-1、Quantachrome)を用いて、各粉末の窒素吸着量を測定した。相対圧0.1、0.2、0.3での窒素吸着量をBET法により解析することで比表面積を求めた。
なお、比表面積の測定は、シリカテンプレート法で合成したCo-Ptブロンズ(Co-Ptブロンズ-T、実施例3)及び白金ブラック(比較例2)だけでなく、固相法で合成したCo-Ptブロンズ(Co-Ptブロンズ-S、実施例1)及びCoPtO2(実施例2)についても行った。
[2.2. 表層のメタル白金化、及び被覆率の測定]
合成された白金複合酸化物粉末を80vol%のエタノール水溶液に浸漬することで、表層をメタル白金化させた。なお、表層のメタル白金化処理は、Co-Ptブロンズ-T(実施例3)だけでなく、Co-Ptブロンズ-S(実施例1)及びCoPtO2(実施例2)についても行った。
メタル白金化処理後、粉末を超純水で洗浄し、アセトンに分散させた。この分散液をグラッシーカーボン(GC)電極表面に塗布して乾燥させた。これを作用極として、液相にて電気化学測定を行った。参照電極は可逆水素電極(RHE)、対極は金メッシュ、電解液は0.1Mの過塩素酸とし、液温は30℃とした。
作用極電位を1.0Vに保持したままArを飽和させた電解液に浸漬し、0.05~1.0Vの電位範囲で電位掃引した。水素の脱着波の電流値から、白金の表面積を求めた。これを電極に担持された各活性種のBET表面積で除すことで、活性種の表層のメタル白金被覆率を求めた。
[3. 結果]
表1に、結果を示す。表1より、以下のことが分かる。
(1)Co-Ptブロンズ-S、Co-Ptブロンズ-T、及びCoPtO2の比表面積は、いずれも15m2/g以上であった。
(2)Co-Ptブロンズは、CoPtO2に比べて被覆率が高い。これは、Co-Ptブロンズの方がCoPtO2に比べて還元され易いためと考えられる。
(3)Co-Ptブロンズ-Sは、Co-Ptブロンズ-Tに比べて被覆率が高い。これは、熱処理時間が異なるためと考えられる。
Figure 0007310539000001
(実施例4.1~4.3、比較例3.1~3.4)
[1. 試料の作製]
担体としてAl23を用いた。各種の活性点(触媒粉末)及び担体を水中で混合した後、乾固させることで排ガス浄化試験用の触媒を調製した。
活性点には、
No.1:白金ブラック(比較例3.1)
No.2:PtとCoOとの混合物(比較例3.2)、
No.3:表層がメタル白金化処理されたCo-Ptブロンズ-T(実施例4.1)、
No.4:表層がメタル白金化処理されたCo-Pt-ブロンズ-S(実施例4.2)、
No.5:表層がメタル白金化処理されていないCo-Ptブロンズ-S(比較例3.3)、
No.6:表層がメタル白金化処理されていないCoPtO2(比較例3.4)、又は、
No.7:表層がメタル白金化処理されたCoPtO2(実施例4.3)
を用いた。
触媒中の活性点の含有量は、すべて白金質量として1mass%となるように調節した。表2に、各触媒の諸元を示す。
Figure 0007310539000002
[2. 試験方法]
得られた各触媒を所定のガス雰囲気条件にて、所定の温度プロファイルにて試験し、各温度におけるCO転換率を求めた。表3に、排ガス浄化試験時のガス雰囲気を示す。図5に、排ガス浄化試験時の温度プロファイルを示す。
Figure 0007310539000003
[3. 結果]
図6~図10に、各種のガス雰囲気条件下での各種触媒のCO転換率を示す。図6~図10より、以下のことが分かる。
(1)表層がメタル白金化処理されたCo-Ptブロンズ-S、Co-Ptブロンズ-T、及びCoPtO2は、いずれのガス雰囲気条件下においても、白金ブラックより低い温度でCO転換率が急激に増加しており、CO酸化に対して高活性であることが分かった。
(2)No.4~7の触媒活性を比較することにより、Co-Pt-ブロンズ-S(No.4)及びCoPtO2(No.7)は、メタル白金化処理なしのCo-Ptブロンズ-S(No.5)及びメタル白金化処理なしのCoPtO2(No.6)よりも高いCO転換率を有しており、CO酸化に対して高活性であることが分かった。これらは、H2Oが共存する際や、低酸素濃度条件(CO酸化(b)~(e))にて特段の効果を示す。
(3)No.1とNo.2の比較により、Pt活性点にCoを添加してもCO転換率があまり向上しないことから、白金複合酸化物からなる活性点(A)の表面をメタル白金化することが、活性向上に有効であることが分かった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る排ガス浄化用触媒は、ディーゼルエンジンの排ガス浄化装置、定置用炉の後処理装置などに用いることができる。

Claims (3)

  1. 以下の構成を備えた排ガス浄化用触媒。
    (1)前記排ガス浄化用触媒は、
    金属酸化物からなる担体と、
    前記担体の表面に形成された活性点と
    を備えている。
    (2)前記活性点は、
    白金と金属Mを含む白金複合酸化物からなる活性点(A)と、
    メタル白金からなる活性点(B)と
    を含む。
    (3)前記白金複合酸化物は、次の式(1)で表される組成を持つ白金ブロンズ、及び/又は、次の式(2)で表される組成を持つ白金含有層状岩塩型複合酸化物を含む。
    CoxPt3-y4-z …(1)
    但し、0<x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1。
    M'PtO2 …(2)
    但し、M’は、Co、又は、Co及びMn。
    (4)前記活性点(A)は、前記担体表面に担持された前記白金複合酸化物の粒子からなり、
    前記活性点(B)は、前記白金複合酸化物からなる粒子の表面の一部に形成されたメタル白金層を含む。
  2. 前記活性点(A)の比表面積が15m2/g以上である請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. ハニカムと、
    前記ハニカムのガス流路内に充填された請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒と
    を備えた排ガス浄化装置。
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