JP7330071B2 - 鉄筋コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents
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Description
そこで、例えば背面に地山などが存在し、構造物の内側からしか補強施工ができない地中の既存鉄筋コンクリート構造物(ボックスカルバート等)の内側から削孔を行い、その孔内に可塑性グラウト等の充填材を先充填し、その後、異形棒鋼等の鋼棒の両端にプレート等が摩擦圧接により接合された、後施工プレート定着型せん断補強鉄筋(PHb :Post-Head-bar、ポストヘッドバー、尚、ポストヘッドバーは登録商標)等の補強鉄筋を差し込み、硬化させることにより、せん断補強鉄筋と鉄筋コンクリート構造物を一体化し、部材のせん断耐力を向上させ、地震時の靱性を確保する補強施工が行われている。
上記補強施工において、鉄筋コンクリート構造物の側壁等に対して横向きに孔を削孔し、充填材を充填し、補強鉄筋を横向きに挿入する、所謂横向き補強施工においては、孔に挿入された補強鉄筋の落下の恐れがないことから、孔に充填材を充填後、孔の途中位置(例えば、構造物の内側にある鉄筋当たりの位置)までの長さの補強鉄筋を挿入し、充填材の硬化を待つことなしに、補強鉄筋の端部(挿入側端部)と構造物の壁面までの間の隙間(例えば、かぶり相当の隙間)に、孔のかぶり部を閉塞する充填材を充填することが可能になる。
一方、鉄筋コンクリート構造物の天井等において上向きに孔を削孔し、充填材を充填し、補強鉄筋を上向きに挿入する、所謂上向き補強施工においては、孔に上向きに挿入された補強鉄筋の落下の恐れがあることから、補強鉄筋を孔に挿入後、補強鉄筋を下方から押さえるパッカー等が孔に挿入される。パッカー等を挿入した後、充填材の硬化を待つ必要があることから、例えば、一日の硬化時間を経て、翌日にパッカーを撤去し、上記するように孔のかぶり部を閉塞する充填材を充填することになる。従って、上向き補強施工では、横向き補強施工に比べて施工時間を要するといった課題が内在する。
さらに、鉄筋を固定するための針部材は、先端部側から後端部側に向けて延びる形状を有しているが、針部材が孔壁に掛かりながら、鉄筋を支持する強度を要することからこの針部材を鋼製の部材としたいものの、定着体の下側に鋼製の針部材を配置すると、鋼製の延び出した部分がかぶり部分を侵食する可能性があり、針部材を介した鉄筋の腐食に繋がり得る。
既設の鉄筋コンクリート構造物の下面から補強鉄筋を上向きに施工して鉄筋コンクリート構造物を補強する、鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の前記下面から、上向きに孔を削孔する削孔工程と、
前記孔に充填材を充填する充填工程と、
前記補強鉄筋を前記孔に挿入してその下端を該孔の途中位置に位置決めし、板状弾性体を該孔に挿入して該孔の壁面に係止させ、該補強鉄筋を該板状弾性体により支持する挿入支持工程と、を有することを特徴とする。
また、補強鉄筋の下端を支持する部材が板状弾性体であり、可及的に薄い部材であることにより、板状弾性体がかぶり部分を侵食する可能性が低減され、例えば金属製の板状弾性体を介した補強鉄筋の腐食を抑制できる。
さらに、孔に挿入された補強鉄筋を板状弾性体にて支持することにより、従来の施工方法のようにパッカー等を挿入して補強鉄筋の落下を防止し、充填材の硬化を待って例えば翌日にパッカーを撤去ことにより、横向き補強施工に比べて上向き補強施工が施工時間を要するといった課題も解消することができる。そのため、可及的に短時間で上向きの補強施工を実現することができる。
実際の補強方法では、既述する地中のカルバート等の天井等をその下面から上向きに施工するに当たり、電磁波レーダ測定装置等の鉄筋探査機を鉄筋コンクリート構造物の下面に走査させて既存鉄筋の位置を確認した後、既存鉄筋と干渉しない位置に上向き削孔が実施される。
さらに、孔のうち、板状弾性体よりも下方における充填材が満たされていない領域(例えば、孔において、既存鉄筋のかぶりに相当する領域)には、充填材が後充填されることにより、孔が充填材により完全に閉塞される。
本態様によれば、板状弾性体を、鉄筋コンクリート構造物の下面側にある鉄筋のかぶりの外部に位置決めすることにより、例えば金属製の板状弾性体を介した補強鉄筋の腐食を抑制することができる。ここで、「鉄筋のかぶりの外部」とは、板状弾性体が鉄筋のかぶり内に存在しないことから、既存の鉄筋コンクリート構造物において、下面側の鉄筋よりも板状弾性体が構造物の内側に存在することを意味する。そのため、上記する「補強鉄筋の下端を孔の途中位置に位置決め」することに関しては、補強鉄筋の下端に存在する板状弾性体が既存鉄筋のかぶりの外側に位置するように、当該補強鉄筋の下端が位置決めされることになる。
前記挿入支持工程では、先端に磁石を備えた棒状治具の該先端に前記板状弾性体を磁気吸引させ、該棒状治具を介して該板状弾性体を前記孔に挿入することを特徴とする。
本態様によれば、棒状治具の先端に装着された磁石によって、金属製の板状弾性体を磁気吸引した状態で孔に挿入することにより、板状弾性体を落下させることなく、効率的に孔の奥まで挿入することができる。
本態様によれば、板状弾性体が一以上のスリットを有していることにより、板状弾性体が孔に挿入される過程で孔壁から挿入反対方向への動摩擦力を受け、この動摩擦力に起因して挿入反対方向へ面外方向に変形しようとした際に、スリットを介して板状弾性体を面内方向へ先行して変形し易くできる。このように、板状弾性体が面外方向へ変形する前に面内方向へ先行して変形し、面外方向への変形が抑制されることにより、板状弾性体が面外方向である挿入反対方向へ変形して、既存鉄筋のかぶりに進入する(かぶりを侵食する)ことを抑制できる。
さらに、板状弾性体が一以上のスリットを有していることにより、板状弾性体を孔に挿入する過程で巻き込まれた空気を、スリットを介して孔の外へ逃がすことができる。そして、このように孔を介して巻き込んだ空気を抜きながら、例えば先充填されている充填材をスリットを介して板状弾性体の下方面側に漏れ出させることにより、板状弾性体と充填材の間に空隙が残ることが抑制される。
ここで、一以上のスリットを有している板状弾性体としては、その平面視形状がH形の形態(この形態では、二つのスリットを有する)、平面視円形で半径方向に延びる一つもしくは複数のスリットを有する形態等が挙げられる。
既設の鉄筋コンクリート構造物の下面から補強鉄筋が上向きに埋設されている、鉄筋コンクリート構造物の補強構造であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の前記下面から上向きに延設している孔と、
前記孔に挿入されている前記補強鉄筋と、
前記補強鉄筋の下端に当接して、前記孔の壁面に係止している板状弾性体と、
前記孔に充填硬化されている充填材と、を有することを特徴とする。
また、補強鉄筋の下端を支持する部材が板状弾性体であり、可及的に薄い部材であることにより、板状弾性体がかぶり部分を侵食する可能性が低減され、例えば金属製の板状弾性体を介した補強鉄筋の腐食が抑制された補強構造となる。
尚、本態様の補強構造においても、既述するように、板状弾性体が、鉄筋コンクリート構造物の下面側にある鉄筋のかぶりの外部に位置決めされていれば、例えば金属製の板状弾性体を介した補強鉄筋の腐食がより一層抑制される。
また、板状弾性体が一以上のスリットを有していれば、板状弾性体が面外方向である構造物の下面側に向かって変形することが抑制され、板状弾性体が既存鉄筋のかぶりを侵食しない補強構造が形成される。
<板状弾性体>
はじめに、図1A及び図1Bを参照して、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法において適用されるとともに、実施形態に係る補強構造を形成する、板状弾性体について説明する。ここで、図1A及び図1Bは、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法において適用される、板状弾性体の一例の斜視図である。
次に、図2を参照して、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法において適用される、棒状治具について説明する。ここで、図2は、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法において適用される、棒状治具の先端の磁石に板状弾性体が磁気吸引されている状態を示す斜視図である。
次に、図3乃至図9を参照して、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法と補強構造の一例について説明する。ここで、図3、図4、図6、図8、図9は順に、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強方法の一例の工程図であり、図9はさらに、実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物の補強構造の一例を示す縦断面図である。
11,14:弾性体本体
11a:側片
11b繋ぎ片
12,15:スリット
20:棒状治具
21:磁石
30:鉄筋コンクリート構造物(既設の鉄筋コンクリート構造物、ボックスカルバート)
31:下面
32:背面
35:孔
36:開口
40:鉄筋(既存鉄筋、下面側の鉄筋)
45:鉄筋(既存鉄筋、地山側の鉄筋)
50:補強鉄筋(後施工プレート定着型せん断補強鉄筋)
51:鋼棒(異形棒鋼)
52,53:鋼製プレート
60:充填材(可塑性グラウト)
70:補強構造(鉄筋コンクリート構造物の補強構造)
80:エア混入防止カバー
81:挿通孔
82:半割スリット
83:ピン孔
84:繋ぎピン
90:鉄筋探査機
G:地山
IN:構造物の内側
s:かぶり
Claims (3)
- 既設の鉄筋コンクリート構造物の下面から補強鉄筋を上向きに施工して鉄筋コンクリート構造物を補強する、鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、
前記鉄筋コンクリート構造物の前記下面から、上向きに孔を削孔する削孔工程と、
前記孔に充填材を充填する充填工程と、
前記補強鉄筋を前記孔に挿入してその下端を該孔の途中位置に位置決めし、板状弾性体を該孔に挿入して該孔の壁面に係止させ、該補強鉄筋を該板状弾性体により支持する挿入支持工程と、を有し、
前記板状弾性体が金属製であり、
前記挿入支持工程では、先端に磁石を備えた棒状治具の該先端に前記板状弾性体を磁気吸引させ、該棒状治具を介して該板状弾性体を前記孔に挿入することを特徴とする、鉄筋コンクリート構造物の補強方法。 - 前記板状弾性体を、前記鉄筋コンクリート構造物の前記下面側にある鉄筋のかぶりの外部に位置決めすることを特徴とする、請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
- 前記板状弾性体が一以上のスリットを有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強方法。
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