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JP7361916B2 - 回転機制御装置 - Google Patents
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Description

本願は、回転機制御装置に関する。
巻線温度が上昇した場合には、回転機を過熱から保護するために、巻線の通電量を小さくすることが一般的である。
例えば、固定子巻線及び界磁巻線の温度に応じて、固定子巻線及び界磁巻線の電流指令マップを複数保有しておくことで、固定子巻線及び界磁巻線のうち、温度が高い巻線の電流指令値を小さくし、温度が低い巻線の電流指令値を大きくすることで出力トルクが低下することを抑制することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014-176114号公報 特許第4210992号公報
特許文献1では、各巻線温度に応じた電流指令マップを事前に準備する必要があり、パラメータ数(例えば回転数、抵抗、インダクタンス等の回転機パラメータ、DC電圧、回転速度等)が多いほど電流指令が取りうるパターンが指数関数的に増加する。特に界磁巻線を持つ回転機はパラメータ数が多いため、温度に応じた電流指令パターンが非常に膨大となるため、マップとして保有することは難しい。
一方、特許文献2には、電流指令マップを用いることなく、トルク指令値から銅損が最小となるよう固定子巻線及び界磁巻線の電流指令値を更新することが開示されている。しかし、特許文献2では、電流指令マップは持たないが、温度情報を考慮していないため、回転機温度が上昇した場合に出力トルクの低下を抑制する及び回転機の過熱を抑制するものではない。
本願は、上記の課題を解決するための技術を開示するものであり、電流指令マップを用いることなく、回転機を発熱から適切に保護しつつ、損失を低減しトルク低下がしないように電流指令値を生成することができる回転機制御装置を得ることを目的とする。
本願に開示される回転機制御装置は、固定子巻線及び界磁巻線を有する回転機を制御する回転機制御装置であって、前記回転機の温度を取得する温度情報取得部と、前記温度情報取得部によって取得された前記回転機の温度に基づき、電流指令値を生成する電流指令生成部と、を備え、前記電流指令生成部は、トルク指令、固定子巻線電圧、固定子巻線電流及び界磁巻線電流の各条件に基づいて前記電流指令値を生成するための拘束条件を求める拘束条件設定部と、前記トルク指令、前記固定子巻線電圧、前記固定子巻線電流及び前記界磁巻線電流に基づいて設定された評価関数及び前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する最適化演算部と、前記温度情報取得部によって取得された前記回転機の温度に基づいて前記拘束条件を更新する拘束条件更新部と、を有し、更新された前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する、ものである。
本願に開示される回転機制御装置によれば、電流指令マップを用いることなく、回転機を発熱から適切に保護しつつ、損失を低減しトルクが低下しないように電流指令値を生成することが可能な回転機制御装置を得ることができる。
実施の形態1に係る回転機制御装置のハードウェア構成を示す図である。 実施の形態1に係る回転機制御装置の構成を示すブロック図である。 実施の形態1に係る固定子巻線電流制御部を示すブロック図である。 実施の形態1に係る界磁巻線電流制御部を示すブロック図である。 実施の形態1に係る電流指令生成部を示すブロック図である。 電流指令生成部で生成される10個の指令モードの条件を示す図である。 実施の形態1に係る最適化演算部での演算フローを示すフローチャートである。 実施の形態1に係る最適化演算部での演算フローを示すフローチャートである。 実施の形態1に係る最適化演算部での演算フローを示すフローチャートである。 実施の形態1に係る回転機制御装置による制御例を示す図である。 実施の形態1に係る回転機制御装置による制御例を示す図である。
以下、本実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当する部分を示すものとする。また、回転機としては、交流発電機、モータあるいは駆動装置などの回転機等に適用されるが、ここでは一例として自動車に搭載された車載用交流発電機について説明する。
実施の形態1.
以下、実施の形態1に係る回転機制御装置について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る回転機制御装置のハードウェア構成を示す図であり、制御対象である回転機も含めたシステム全体を示している。図において、回転機制御装置1000は、回転機1を駆動制御するものであり、それぞれ後述する固定子巻線電力変換器6、界磁巻線電力変換器7を介して回転機1の各巻線と接続されている。また回転機制御装置1000は、回転機1に設けられた位置検出器2及び温度検出器3と接続されている。さらに回転機制御装置1000は、固定子巻線電力変換器6、界磁巻線電力変換器7と回転機1の間でそれぞれ直列に接続された電流検出器4、5と接続されている。
図1において、回転機制御装置1000は、プロセッサ10と、記憶装置11とを備える。
記憶装置11は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、記憶装置11は不揮発性の補助記憶装置の代わりにハードディスク等の補助記憶装置を具備してもよい。
プロセッサ10は、記憶装置11から入力されたプログラムを実行する。記憶装置11が補助記憶装置と揮発性記憶装置とを具備するため、プロセッサ10に、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプログラムが入力される。また、プロセッサ10は、演算結果等のデータを記憶装置11の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
回転機1は、例えば車載用交流発電機に用いられ、図示していないが回転子に永久磁石と界磁巻線を有し、固定子に三相の固定子巻線を有する。なお、回転機1は、永久磁石を有していても、有していなくてもよいし、固定子に三相以上の固定子巻線を2つ以上持つ回転機でもよい。
位置検出器2は、例えばレゾルバであり回転機1の回転軸に設置され、回転子の角度θを検出する。なお、位置検出器2は、位置検出器2の代わりに回転子の角度θを推定する位置推定器でもよい。
温度検出器3は、固定子巻線の温度ts及び界磁巻線の温度tfを検出する。なお、温度検出器3は、温度検出器3の代わりに固定子巻線及び界磁巻線の温度を推定する温度推定器でもよい。また、固定子巻線及び界磁巻線の温度だけでなく、さらに磁石等の回転機を構成する部品の温度及び電力変換器等の温度を検出対象あるいは推定対象としたものでもよい。
電流検出器4は、固定子巻線の各相の電流iu、iv、iwを、電流検出器5は、界磁巻線電流ifを検出する。なお、電流検出器4、5のうちの一部または両方の代わりに、固定子巻線の電流iu、iv、iw及び界磁巻線電流ifを推定する電流推定器を用いてもよい。
固定子巻線電力変換器6は、三相電圧指令値vu*、vv*、vw*に相当する電圧を、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)あるいはPAM(Pulse Amplitude Modulation:パルス振幅変調)等の公知の手法を用いて生成する。また、電力変換に使用する固定子巻線直流リンク電圧VDCを検出する。
界磁巻線電力変換器7は、電圧指令値vf*に相当する電圧を、固定子巻線電力変換器6と同様にPWMあるいはPAM等の公知の手法を用いて生成する。また、電力変換に使用する界磁巻線直流リンク電圧VDCfを検出する。
図2は、実施の形態1に係る回転機制御装置1000の機能を示したブロック図である。図2において、微分器20、固定子巻線電流制御部21、界磁巻線電流制御部22、電流指令生成部23及び温度情報取得部24を具備する。ここでは各巻線についてそれぞれ1つの電流制御部を持つ構成としたが、それぞれの電流制御部において、巻線間の干渉を考慮し公知の手法を用いて非干渉化制御を施してもよい。
微分器20は、位置検出器2で検出された回転子の角度θを微分し、回転子の速度ωを演算する。
固定子巻線電流制御部21は、電流検出器4で検出された固定子巻線の各相電流iu、iv、iwを固定子巻線電流id、iqに変換し、固定子巻線電流id、iqが電流指令生成部23で演算された固定子巻線電流指令値id*、iq*と一致するよう固定子巻線電圧指令値vu*、vv*、vw*を演算する。
界磁巻線電流制御部22は、電流検出器5で検出された界磁巻線電流ifが電流指令生成部23で演算された界磁巻線電流指令値if*と一致するよう界磁巻線電圧指令値vf*を演算する。
温度情報取得部24は、温度検出器3で検出された固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfを取得する。
電流指令生成部23は、トルク指令T*、微分器20で演算された回転子速度ω、固定子巻線電力変換器6で検出された固定子巻線直流リンク電圧VDC、界磁巻線電力変換器7で検出された界磁巻線直流リンク電圧VDCf、温度情報取得部24で取得した固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tf、固定子巻線電流制限値idqlim、界磁巻線電流制限値iflim、固定子巻線電流制御部21で変換された固定子巻線電流id、iq、界磁巻線電流制御部22で変換された界磁巻線電流ifに基づいて、固定子巻線電流指令値id*、iq*及び界磁巻線電流指令値if*を演算する。
次に、固定子巻線電流制御部21について説明する。
図3は、実施の形態1に係る回転機制御装置1000における固定子巻線電流制御部21の構成を示す図である。図において、固定子巻線電流制御部21は加減算器30、PI(Proportional Integral)制御器31、dq/uvw座標変換器32と、uvw/dq座標変換器33及び電圧リミッタ34を有する。
固定子巻線電流制御部21の動作について説明する。
uvw/dq座標変換器33は、周知の座標変換の手法を用いて、電流検出器4で検出された三相の固定子巻線電流iu、iv、iwをd軸電流id及びq軸電流iqの固定子巻線電流検出値に変換する。
加減算器30には、電流指令生成部23から出力された固定子巻線電流指令値id*、iq*と、uvw/dq座標変換器33から出力された電流検出値である固定子巻線電流id、iqとが入力され、固定子巻線電流偏差id*-id、iq*-iqが演算される。演算された固定子巻線電流偏差id*-id、iq*-iqに基づいて、PI制御器31においてPI制御が行われ、固定子巻線電圧指令値vd**、vq**が生成される。
PI制御器31における計算例を式(1)と式(2)に示す。ここで、Kpd及びKidと、Kpq及びKiqは各軸の固定子巻線電流の比例ゲインおよび積分ゲインである。また、sはラプラス変換の微分演算子であり、以降の式でも同様である。
vd**=(Kpd+Kid/s)・(id*-id) (1)
vq**=(Kpq+Kiq/s)・(iq*-iq) (2)
ここでは、フィードバック制御によってvd**及びvq**を算出したが、フィードフォワード制御によって算出してもよい。
なお、図示していないが、上述したように固定子巻線電圧指令値vd**、vq**を生成後、周知の非干渉化制御を施してもよい。
電圧リミッタ34は、入力された固定子巻線電圧指令値vd**、vq**の振幅が固定子巻線電圧制限値vdqlimよりも大きい場合、固定子巻線電圧制限値vdqlimの値以下となるように固定子巻線電圧指令値vd*、vq*を演算する。固定子巻線電圧制限値vdqlimは、固定子巻線直流リンク電圧VDCと電圧利用率との積で求められる。
なお、図示していないが、電圧リミッタ34によって固定子巻線電圧指令値vd**及びvq**の電圧振幅が制限されている場合、PI制御器31の積分器にアンチワインドアップ処理を施してもよい。また、電圧リミッタ34は固定子巻線電圧指令値vd**、vq**を制限しているが、固定子巻線電圧指令値vd**、vq**の代わりに固定子巻線直流リンク電圧VDCを制限してもよい。
dq/uvw座標変換器32は、周知の座標変換の手法を用いて、固定子巻線電圧指令値vd、vq*を三相電圧指令値vu*、vv*、vw*に変換する。
次に、界磁巻線電流制御部22について説明する。
図4は、実施の形態1に係る回転機制御装置1000における界磁巻線電流制御部22の構成を示す図である。図において、界磁巻線電流制御部22は、加減算器40、PI制御器41及び電圧リミッタ42を有する。
界磁巻線電流制御部22の動作について説明する。
加減算器40には、電流指令生成部23から出力された界磁巻線電流指令値if*と電流検出器で検出された界磁巻線電流ifとが入力され、界磁巻線電流偏差if*-ifが演算される。演算された界磁巻線電流偏差if*-ifに基づいて、PI制御器41においてPI制御が行われ、界磁巻線電圧指令値vf**が生成される。
PI制御器41における計算例を式(3)に示す。ここで、Kpf、Kifはそれぞれ界磁巻線比例ゲイン、積分ゲインである。
vf**=(Kpf+Kif/s)・(if*-if) (3)
なお、図示していないが、上述したように界磁巻線電圧指令値vf**を生成後、周知の非干渉化制御を施してもよい。また、ここではフィードバック制御によって界磁巻線電圧指令値vf**を算出したが、フィードフォワード制御によって算出してもよい。
電圧リミッタ42は、界磁巻線電圧指令値vf**の振幅が界磁巻線電圧制限値vflimよりも大きい場合、界磁巻線電圧制限値vflimの値以下となるように界磁巻線電圧指令値vf*を演算する。界磁巻線電圧制限値vflimは、界磁巻線直流リンク電圧VDCfと電圧利用率との積で求められる。
なお、図示していないが、電圧リミッタ42によって界磁巻線電圧指令値vf**の電圧振幅が制限されている場合、PI制御器41の積分器にアンチワインドアップ処理を施してもよい。また、電圧リミッタ42は界磁巻線電圧指令値vf**を制限しているが、界磁巻線電圧指令値vf**の代わりに界磁巻線直流リンク電圧VDCfを制限してもよい。
次に、電流指令生成部23について説明する。
図5は、実施の形態1に係る回転機制御装置1000における電流指令生成部23の構成を示す図である。図において、電流指令生成部23は、回転機パラメータ取得部50、拘束条件設定部51、評価関数設定部52、拘束条件更新部53、評価関数更新部54及び最適化演算部55を有する。
回転機パラメータ取得部50は、固定子巻線電流制御部21で変換された固定子巻線電流id、iq、電流検出器5で検出された界磁巻線電流if、温度情報取得部24で取得した固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfに基づいて、回転機パラメータとして固定子巻線抵抗R、界磁巻線抵抗Rf、固定子巻線インダクタンスLd、Lq、固定子巻線と界磁巻線との間の相互インダクタンスM、磁石磁束KEを取得する。また、温度情報取得部24で取得した固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfに応じて、回転機パラメータは更新される。
なお、回転機パラメータ取得部50は、固定子巻線電流id、iq、界磁巻線電流if、固定子巻線温度ts、界磁巻線温度tfだけなく指令電流または電圧等を引数として取得してもよい。また、回転機パラメータとして固定子巻線抵抗R、界磁巻線抵抗Rf、固定子巻線インダクタンスLd、Lq、固定子巻線界磁巻線間相互インダクタンスM、磁石磁束KEだけでなく、界磁巻線インダクタンスLfを取得してもよい。二重三相巻線形の回転機の場合では、固定子間の相互インダクタンス等を回転機パラメータとして設定してもよいし、回転機パラメータはインダクタンス表記だけでなく、磁束表記でもよい。
拘束条件設定部51では、トルク指令T*、回転子速度ω、各直流リンク電圧VDC、VDCf、回転機パラメータ取得部50より出力された回転機パラメータ、及び最適化演算部55から出力された電流指令値id*、iq*、if*に基づいて、拘束条件を設定する。なお、拘束条件設定部51では、電流指令値id*、iq*、if*の代わりに検出電流id、iq、ifを使用してもよい。
評価関数設定部52では、トルク指令T*、回転子速度ω、各直流リンク電圧VDC、VDCf、回転機パラメータ取得部50より出力された回転機パラメータ、及び最適化演算部55から出力された電流指令値id*、iq*、if*に基づいて、評価関数を設定する。なお、評価関数設定部52では、拘束条件設定部51と同様に、電流指令値id*、iq*、if*の代わりに検出電流id、iq、ifを使用してもよい。
次に、拘束条件設定部51での拘束条件の設定方法及び評価関数設定部52での評価関数の設定方法について以下に10の指令モード別に具体的に説明する。
なお、図6に指令モード別の条件をまとめたが、条件a:トルク指令制限は、トルク指令がトルク指令最大値に達するまでの範囲内であれば0、トルク指令最大値に達して飽和している場合は1、条件b:電圧制限は、電圧vdqが電圧最大値vdqmaxに達するまでの範囲内であれば0、電圧最大値vdqmaxに達して飽和している場合は1、条件c:界磁巻線電流制限は、界磁巻線電流ifが界磁巻線電流最大値ifmaxに達するまでの範囲内であれば0、界磁巻線電流最大値ifmaxに達して飽和している場合は1、条件d:固定子巻線電流制限は、固定子巻線電流id、iqが固定子巻線電流振幅最大値idqmaxに達するまでの範囲内であれば0、固定子巻線電流振幅最大値idqmaxに達して飽和している場合は1を記している。
<指令モード1>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧制限内かつ固定子巻線電流及び界磁巻線電流が電流制限内の場合、拘束条件を式(4)、評価関数を式(5)とする。
Figure 0007361916000001
Figure 0007361916000002
式(4)はトルクを表し、式(5)は銅損を表している。ここで、CTはトルク指令T*を極対数Pnで除したものであり、Pwは損失、Ld、Lq、Mはそれぞれd軸インダクタンス、q軸インダクタンス、固定子巻線と界磁巻線との間の相互インダクタンス、KEは磁石磁束を表す。なお、以降記述を省略するが、評価関数は指標として銅損として説明するが、他の損失である鉄損でもよいし、力率を指標とした評価関数としてもよい。力率を評価関数とする場合は力率が最大となるように設定する。
式(4)を拘束条件として、式(5)を最小とするid、iq、ifを解くことで、トルク指令値の下で損失が最小となる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード1と定義する。
<指令モード2>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧制限内かつ固定子巻線電流が電流制限内かつ界磁巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(6)、評価関数を式(7)とする。
Figure 0007361916000003
Figure 0007361916000004
ここで、ifmaxは界磁巻線電流最大値を意味する。なお、界磁巻線電圧が界磁巻線電圧最大値vfmax(vfmax=kf×VDCf ここでkfは電圧利用率)を超えている場合は界磁巻線電圧がvfmax以内となるようifmaxを変更する。
式(6)を拘束条件として、式(7)を最小とするid、iqを解くことで、トルク指令値の下で、界磁巻線電流飽和時に損失が最小となる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード2と定義する。
<指令モード3>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧制限内かつ界磁巻線電流が電流制限内かつ固定子巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(8)、評価関数を式(9)とする。
Figure 0007361916000005
Figure 0007361916000006
ここで、idqmaxは固定子巻線電流振幅最大値を意味する。
式(8)を拘束条件として、式(9)を最小とするid、ifを解くことで、トルク指令値の下で、固定子巻線電流の飽和時に損失が最小となる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード3と定義する。
<指令モード4>
動作点において、トルク指令を出力不可能かつ電圧制限内かつ固定子巻線電流及び界磁巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(10)、評価関数を式(11)とする。
Figure 0007361916000007
Figure 0007361916000008
式(10)を拘束条件として、式(11)を最大とするidを解くことで、固定子巻線電流及び界磁巻線電流の飽和時に最大トルクとなる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード4と定義する。
<指令モード5>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流及び界磁巻線電流が電流制限内の場合、拘束条件を式(12)、(13)、評価関数を式(14)とする。
Figure 0007361916000009
Figure 0007361916000010
Figure 0007361916000011
式(13)は回転機の定常的な電圧を角速度ωreで除したものであり、CVは電圧制限値vdqmax(vdqmax=k×VDC ここでkは電圧利用率)を角速度ωreで除したものを意味する。
式(12)、(13)を拘束条件として、式(14)を最小とするid、iq、ifを解くことで、トルク指令値の下で、電圧飽和時に損失が最小となる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード5と定義する。
<指令モード6>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流が電流制限内かつ界磁巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(15)、(16)とし、評価関数は設定しない。この場合は、拘束条件である式(15)、(16)を満たすid、iq、ifを求めることになる。
Figure 0007361916000012
Figure 0007361916000013
式(15)、(16)を拘束条件として、id、iqを解くことで、トルク指令値の下で、電圧飽和時かつ界磁巻線電流が飽和している場合の電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード6と定義する。
<指令モード7>
動作点において、トルク指令を出力可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流が飽和かつ界磁巻線電流が電流制限内の場合、拘束条件を式(17)、(18)とし、評価関数は設定しない。
Figure 0007361916000014
Figure 0007361916000015
式(17)、(18)を拘束条件として、id、ifを解くことで、トルク指令値の下で、電圧飽和時かつ、固定子巻線電流が飽和している場合の電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード7と定義する。
<指令モード8>
動作点において、トルク指令を出力不可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流が電流制限内かつ界磁巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(19)、評価関数を(20)とする。
Figure 0007361916000016
Figure 0007361916000017
式(19)を拘束条件として、式(20)を最大とするid、iqを解くことで、電圧飽和時かつ、界磁巻線電流が飽和している場合に最大トルクとなる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード8と定義する。
<指令モード9>
動作点において、トルク指令を出力不可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流が飽和かつ界磁巻線電流が電流制限内の場合、拘束条件を式(21)、評価関数を(22)とする。
Figure 0007361916000018
Figure 0007361916000019
式(21)を拘束条件として、式(22)を最大とするid、ifを解くことで、電圧飽和時かつ固定子巻線電流が飽和している場合に最大トルクとなる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード9と定義する。
<指令モード10>
動作点において、トルク指令を出力不可能かつ電圧飽和時かつ固定子巻線電流及び界磁巻線電流が飽和している場合、拘束条件を式(23)、評価関数を(24)とする。
Figure 0007361916000020
Figure 0007361916000021
式(23)を拘束条件として、式(24)を最大とするidを解くことで、電圧飽和時かつ、固定子巻線電流と界磁巻線電流が飽和している場合に、最大トルクとなる電流指令値を演算することが可能となる。なお、本条件を指令モード10と定義する。
以上のように、指令モード1から10までの条件を設定することで、回転機の速度、トルクに基づく全ての動作点の拘束条件と評価関数を設定することが可能となる。これにより、トルク指令、固定子巻線電圧、固定子巻線電流及び界磁巻線電流の各条件に基づいて指令モード1から10まで拘束条件及び評価関数を設定し、拘束条件及び評価関数を解くことで、損失が最小となる、あるいは最大トルクとなる電流指令値を算出することができる。
なお、指令モード1から10までトルク及び電圧を表現する式をインダクタンスで表記しているが、インダクタンスだけでなく磁束表記でもよい。また、インダクタンス及び磁束は電流の関数となるため、電流の関数とした表記とすると、磁気飽和を考慮することができ、演算精度が向上する。加えて、磁石磁束、巻線抵抗は温度に応じて変化するパラメータであるため、温度または電流の関数として表記してもよく、同様に演算精度が向上する。
<拘束条件及び評価関数の更新>
図5において、拘束条件更新部53では、拘束条件設定部51からの拘束条件と、温度検出器3からの固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfとに基づいて、拘束条件の更新を行う。
評価関数更新部54では、評価関数設定部52からの評価関数と、温度検出器3からの固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfとに基づいて、評価関数の更新を行う。
次に、拘束条件更新部53及び評価関数更新部54の具体的な動作について説明する。温度検出器3で検出された固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfが固定子巻線温度最大値tsmax及び界磁巻線温度最大値tfmaxを超えないよう、固定子巻線電流制限値idqlim及び界磁巻線電流制限値iflimを求める。固定子巻線電流制限値idqlimが過電流保護のために設定された固定子巻線電流振幅最大値idqmaxよりも小さい場合、拘束条件設定部51からの拘束条件及び評価関数設定部52からの評価関数におけるidqmaxをidqlimに置き換える。
同様に、界磁巻線電流制限値iflimが過電流保護のために設定された界磁巻線電流最大値ifmaxよりも小さい場合、拘束条件設定部51からの拘束条件及び評価関数設定部52からの評価関数におけるifmaxをiflimに置き換える。上述した通り、拘束条件と評価関数の固定子巻線と界磁巻線の過電流保護用の電流最大値を過熱保護用の電流制限値に置き換えることで、回転機の速度、トルクに基づく全ての動作点に対し、動作に応じて常に変化する固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfを考慮した拘束条件及び評価関数を設定することが可能となる。
ここでは、固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfに基づいて固定子巻線電流制限値idqlimと界磁巻線電流制限値iflimを求めた例を示したが、固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfの代わりに磁石等の回転機を構成する部品の温度あるいは電力変換器等の温度から固定子巻線電流制限値idqlim及び界磁巻線電流制限値iflimを求めてもよい。特に磁石の温度を用いる場合は、基本的に界磁巻線温度tfを磁石温度に置き換えるだけでよく、磁石温度に応じて界磁巻線電流制限値iflimを制限する構成とすればよい。
また、制限値は電流に限るものではない。例えば固定子巻線電圧最大値vdqmax及び界磁巻線電圧最大値vfmaxを用い、検出された固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfに応じて、固定子巻線電圧制限値vdqlim、界磁巻線電圧制限値vflimに置き換えるようにしてもよい。
本実施の形態では、検出された温度情報に応じて、拘束条件及び評価関数を更新する構成としているが、温度の代わりに消費電力または通電時間に応じて拘束条件と評価関数を更新する構成としてもよい。
<最適化演算部>
図5において、最適化演算部55では、拘束条件更新部53及び評価関数更新部54において更新された拘束条件及び評価関数に基づいて、評価関数を最小または最大とする拘束条件付きの最適化問題を解き、条件に最も近い指令モードを選択することで、電流指令値id*、iq*、if*を求める。具体的には、図7A、図7B及び図7Cに示すフローチャートに従い、電流制限あるいは電圧制限、トルク出力制限の判定式に基づきながら上述した指令モードのうちいずれであるかを決定する。電流制限、電圧制限及びトルク出力制限の判定式は検出された温度情報に応じて常に更新される。
次に、図7A、図7B及び図7Cに示すフローチャートに従い、動作点においていずれの指令モードにあるかの決定方法について説明する。
まず、図7Aにおいて、トルク指令に基づき、最適化演算部55において固定子巻線電流指令値id*、iq*及び界磁巻線電流指令値if*が生成され、固定子巻線と界磁巻線とに電流が流れる。固定子巻線と界磁巻線とに電流が流れ始めた時点であるステップS101では、指令モード1の状態である。通電中に、巻線の温度が上昇する。この温度上昇により界磁巻線電流ifが制限範囲内であるが(ステップS102でYES)、固定子巻線電流id、iqが飽和した場合(ステップS103でNO)、指令モード3に切り替わる(ステップS104)。指令モード3で動作中、さらに界磁巻線電流ifが飽和した場合(ステップS105でNO)、指令モード4に切り替わる(ステップS106)。
指令モード1(ステップS101)で動作中、界磁巻線電流ifが飽和するが(ステップS102でNO)、固定子巻線電流id、iqが制限範囲内である場合(ステップS107でYES)、指令モード2に切り替わる(ステップS108)。指令モード2で動作中、さらに固定子巻線電流id、iqが飽和した場合(ステップS109でNO)、指令モード4に切り替わる(ステップS106)。
指令モード1(ステップS101)で動作中、界磁巻線電流ifが飽和し(ステップS102でNO)、かつ固定子巻線電流id、iqが飽和した場合(ステップS107でNO)、指令モード4に切り替わる(ステップS106)。
指令モード2から指令モード4の指令モードで動作中、電圧vdqが飽和した場合(ステップS110でNO)、指令モード5に切り替わる(ステップS111)。
電圧vdqが制限内で指令モード2から指令モード4で制御可能な場合(ステップS110でYES)はその指令モードでの制御が継続される。
図7Bにおいて、指令モード5で動作中、界磁巻線電流ifが制限範囲内となり(ステップS112でYES)、かつ固定子巻線電流id、iqも制限範囲内となった場合(ステップS113でYES)は指令モード5での制御が継続される。
指令モード5で動作中、界磁巻線電流ifが制限範囲内となり(ステップS112でYES)、かつ固定子巻線電流id、iqが飽和している場合(ステップS113でNO)、指令モード7に切り替わる(ステップS114)。
指令モード5で動作中、界磁巻線電流ifは飽和している(ステップS112でNO)が、固定子巻線電流id、iqが制限範囲内となった場合(ステップS116でYES)、指令モード6に切り替わる(ステップS117)。
指令モード5で動作中、界磁巻線電流ifは飽和し(ステップS112でNO)、固定子巻線電流id、iqも飽和している場合(ステップS116でNO)、指令モード10に切り替わる(ステップS125)。
指令モード6または指令モード7で動作中、トルク出力Tがトルク指令T*に基づいて出力可能な場合(ステップS115でYES)は、その指令モードでの制御が継続される。
指令モード6または指令モード7で動作中、トルク出力Tがトルク指令T*に基づいて出力できなくなった場合(ステップS115でNO)は、図7Cにおける次の判定に移る。
指令モード6または指令モード7で動作中、トルク出力Tがトルク指令T*に基づいて出力できなくなった場合(ステップS115でNO)であっても、界磁巻線電流ifが制限範囲内となり(ステップS118でYES)、かつ固定子巻線電流id、iqも制限範囲内となった場合(ステップS119でYES)は指令モード6または7での制御が継続される。
トルク出力Tがトルク指令T*に基づいて出力できなくなった場合(ステップS115でNO)、界磁巻線電流ifが制限範囲内となり(ステップS118でYES)、かつ固定子巻線電流id、iqが飽和している場合(ステップS119でNO)、指令モード9に切り替わる(ステップS120)。
トルク出力Tがトルク指令T*に基づいて出力できなくなった場合(ステップS115でNO)、界磁巻線電流ifは飽和している(ステップS118でNO)が、固定子巻線電流id、iqが制限範囲内となった場合(ステップS122でYES)、指令モード8に切り替わる(ステップS123)。
指令モード8で動作中に、固定子巻線電流id、iqが飽和していた場合(ステップS124でNO)、及び指令モード9で動作中に、界磁巻線電流ifは飽和した場合(ステップS121でNO)、指令モード10に切り替わる(ステップS125)。
電流指令生成部23は上述のように、トルク指令、固定子巻線電圧、固定子巻線電流及び界磁巻線電流の条件に応じた複数の指令モードである拘束条件及び評価関数の組を複数有しており、条件に応じて逐次適切な指令モードを選択し、拘束条件及び評価関数を更新することができる。
各指令モードにおける演算は、演算負荷の都合上、拘束条件付きの最適化問題を事前にラグランジュの未定乗数法を用いて関数化しておく。ラグランジュの未定乗数法によって求められる関数が連立方程式となって導出されるので、ニュートン法等による再帰形の数値解法によって設定した制御周期毎に電流指令値id*、iq*、if*を求める。なお、ラグランジュの未定乗数法、ニュートン法による解の導出で使用する偏微分等の過程を予め関数化しておくと、演算負荷が低減するが、プロセッサに余裕がある場合等必ずしも事前に関数化しておく必要はない。拘束条件付きの最適化問題を設定した制御周期ごとに解くような構成としてもよい。
電流指令生成部23を以上のような構成とすることで、回転機の速度、トルク、固定子巻線温度、界磁巻線温度に基づく電流指令値のマップを持たなくとも、回転機を過熱から保護し、損失を最小としつつ、トルク指令または最大トルクとなる電流指令値を生成することが可能となる。
次に、本実施の形態による効果について説明する。図8は界磁巻線温度が上昇し、界磁巻線温度を保護する場合の電流制限値及び電流指令値の動作に対応する各巻線の電流振幅と温度、トルクの挙動を示している。また、図9は固定子巻線温度が上昇し、固定子巻線温度を保護する場合の電流制限値及び電流指令値の動作に対応する各巻線の電流振幅と温度、トルクの挙動を示している。ここでは、簡単な例として固定子巻線電流、界磁巻線電流、電圧ともに飽和していない、指令モード1に対応して説明する。
まず、図8を用い界磁巻線温度を保護する場合について説明する。
トルク指令に基づき、最適化演算部55において固定子巻線電流指令値id*、iq*及び界磁巻線電流指令値if*が生成され、固定子巻線と界磁巻線とに電流が流れる。通電中に、巻線の温度が上昇する。図8においては界磁巻線温度tfが大きく上昇しているが、界磁巻線温度tfに応じて拘束条件更新部53において拘束条件が更新され、評価関数更新部54において評価関数が更新され、界磁巻線温度tfが界磁巻線温度最大値tfmaxを超えないよう界磁巻線電流制限値iflimが減少する。
界磁巻線電流制限値iflimが界磁巻線電流指令値if*に到達した場合、すなわちiflim≦if*となった時刻t1で、最適化演算部55において指令モードは指令モード1から指令モード2に切り替えられる。界磁巻線電流指令値if*は界磁巻線の過熱を防ぐように制限され、かつ温度が制限範囲内である固定子巻線に対しては指令モード2の拘束条件下において評価関数が最小となるように固定子巻線電流指令値id*、iq*が生成される。ここで、拘束条件下とはif=iflim、とトルク出力T=T*である。このように制御することで、界磁巻線の過熱を防ぎかつ、トルクの低下を抑制することができる。
なお、図8では簡単化のため、電流は電流振幅で記載しているが、通常電流位相も変化する。iflim≦if*となった場合、最適化演算部55によって指令モードを指令モード1から指令モード2に切り替えるが、この時電流位相も考慮して界磁巻線電流指令値if*は界磁巻線の過熱を防ぐように制限され、かつ温度が制限範囲内である固定子巻線に対しては指令モード2の拘束条件下において評価関数が最小となるように電流指令値id*、iq*が生成される。
次に、図9を用い固定子巻線温度を保護する場合について説明する。
トルク指令に基づき、最適化演算部55において固定子巻線電流指令値id*、iq*及び界磁巻線電流指令値if*が生成され、固定子巻線と界磁巻線とに電流が流れる。通電中に、巻線の温度が上昇する。図9においては固定子巻線温度tsが大きく上昇しているが、固定子巻線温度tsに応じて、拘束条件更新部53において拘束条件が更新され、評価関数更新部54において評価関数が更新され、固定子巻線温度tsが固定子巻線温度最大値tsmaxを超えないよう固定子巻線電流制限値idqlimが減少する。
固定子巻線電流制限値idqlimが固定子巻線電流指令値idq*(固定子巻線電流指令値id*または固定子巻線電流指令値iq*をidq*と記す)に到達した場合、すなわちidqlim≦idq*となった時刻t2で、最適化演算部55において指令モードは指令モード1から指令モード3に切り替えられる。固定子巻線電流指令値idq*は固定子巻線の過熱を防ぐように制限され、かつ温度が制限範囲内である界磁巻線に対しては指令モード3の拘束条件下において評価関数が最小となるように電流指令値if*が生成される。ここで、拘束条件下とはidq(idまたはiq)=idqlim、およびトルク出力T=T*である。このように制御することで、界磁巻線の過熱を防ぎかつ、トルクの低下を抑制することができる(固定子巻線電流idまたは固定子巻線電流iqをidqと記す)。
なお、図9では簡単化のため、電流は電流振幅で記載しているが、通常電流位相も変化する。idqlim≦idq*となった場合、最適化演算部55によって指令モードを指令モード1から指令モード3に切り替えるが、この時電流位相も考慮して固定子巻線電流指令値idq*は固定子巻線の過熱を防ぐように制限され、かつ温度が制限範囲内である界磁巻線に対しては指令モード3の拘束条件下において評価関数が最小となるように電流指令値if*が生成される。
図8及び図9で示したように、界磁巻線あるいは固定子巻線のいずれの電流制限下においてもトルク指令T*に応じたトルクTが出力できる場合は、トルク指令を維持すればよいが、トルク指令T*が物理的に出力できない場合は最大トルクが得られるように電流指令値を生成すればよい。
以上の図8及び図9では指令モード1から3までを切り替える動作例を示したが、実際には、さらに複数の指令モードがトルク、回転数による動作点、あるいは回転機温度に応じて、図7Aから7Cで示したフローチャートに従い指令モードが切り替えられて動作する。
以上のように、本実施の形態1によれば、取得した回転機の温度情報に基づいて、トルク出力に関する拘束条件及び損失に係る評価関数を最適化し、かつ取得した回転機の温度情報に基づいて、拘束条件と評価関数を更新し、固定子巻線と界磁巻線の電流指令を演算するようにしたので、回転機の温度情報に応じて最適化演算が可能となる。そのため、電流指令マップを用いることなく、巻線温度の上昇時に回転機を過熱から保護するとともに、トルクの低下を抑制し損失を低下させることが可能となる。
実施の形態1に係る回転機制御装置は、巻線温度の上昇時に過熱から保護しかつトルクの低下の抑制及び損失が低下するように回転機を制御するので、温度環境に厳しいもののトルクの低下の抑制及び損失の低下が求められる自動車に搭載された回転機の制御に好適である。
なお、上述の実施の形態においては、温度として固定子巻線温度ts及び界磁巻線温度tfを用いたが、磁石が用いられた回転機であれば界磁巻線温度tfの代わりに磁石温度を使用してもよいし、固定子巻線温度ts、界磁巻線温度tf、磁石温度のうち2つ以上の部位を保護するようにしても同様の効果が得られる。
また、固定子巻線及び界磁巻線を持つ回転機の代わりに、例えば固定子巻線を2組持つ二重三相巻線形の回転機とする構成でも2組の固定子巻線の温度に応じて2組の電流指令を生成することで本実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、界磁巻線を持つ二重三相巻線形の回転機であっても同様の効果を得ることができる。
また、各部の温度の代わりに各電力変換器の直流電圧と直流電流との積、またはトルクと回転数との積等から演算された回転機の消費電力に基づいて拘束条件及び評価関数を変更するようにしても同様の効果を得ることができる。さらに、各部の温度の代わりに制御周期をカウントするタイマーを設け、計測された固定子巻線及び界磁巻線の通電時間に基づいて拘束条件及び評価関数を変更するようにしても同様の効果を得ることができる。
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1:回転機、 2:位置検出器、 3:温度検出器、 4、5:電流検出器、 6:固定子巻線電力変換器、 7:界磁巻線電力変換器、 10:プロセッサ、 11:記憶装置、 20:微分器、 21:固定子巻線電流制御部、 22:界磁巻線電流制御部、 23:電流指令生成部、 24:温度情報取得部、 30、40:加減算器、 31、41:PI制御器、 32:dq/uvw座標変換器、 33:uvw/dq座標変換器、 34、42:電圧リミッタ、 50:回転機パラメータ取得部、 51:拘束条件設定部、 52:評価関数設定部、 53:拘束条件更新部、 54:評価関数更新部、 55:最適化演算部、 1000:回転機制御装置。

Claims (11)

  1. 固定子巻線及び界磁巻線を有する回転機を制御する回転機制御装置であって、
    前記回転機の温度を取得する温度情報取得部と、
    前記温度情報取得部によって取得された前記回転機の温度に基づき、電流指令値を生成する電流指令生成部と、を備え、
    前記電流指令生成部は、
    トルク指令、固定子巻線電圧、固定子巻線電流及び界磁巻線電流の各条件に基づいて前記電流指令値を生成するための拘束条件を求める拘束条件設定部と、
    前記トルク指令、前記固定子巻線電圧、前記固定子巻線電流及び前記界磁巻線電流に基づいて設定された評価関数及び前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する最適化演算部と、
    前記温度情報取得部によって取得された前記回転機の温度に基づいて前記拘束条件を更新する拘束条件更新部と、を有し、
    更新された前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する、回転機制御装置。
  2. 前記拘束条件更新部は、取得された前記回転機の温度に応じて前記固定子巻線の電流制限値及び前記界磁巻線の電流制限値を変更し、前記拘束条件を更新する請求項1に記載の回転機制御装置。
  3. 前記拘束条件更新部は、取得された前記回転機の温度に応じて前記固定子巻線の電圧制限値及び前記界磁巻線の電圧制限値を変更し、前記拘束条件を更新する請求項1に記載の回転機制御装置。
  4. 前記電流指令生成部は、前記トルク指令、前記固定子巻線電圧、前記固定子巻線電流及び前記界磁巻線電流の各条件に基づく前記拘束条件及び前記評価関数の組を予め複数有しており、取得された前記回転機の温度に応じて、予め設定された前記拘束条件及び前記評価関数の組の中から選択して、前記拘束条件及び前記評価関数を更新する請求項1から3のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  5. 前記最適化演算部は、取得された前記回転機の温度に応じて更新された前記評価関数及び更新された前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する請求項1から4のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  6. 前記電流指令生成部は、前記回転機の特性を示す回転機パラメータを取得する回転機パラメータ取得部を備え、取得された前記回転機の温度に応じて前記回転機パラメータを更新し、前記拘束条件及び前記評価関数は前記回転機パラメータを用いて記述されている請求項1から5のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  7. 前記評価関数は、前記回転機の損失である銅損または鉄損を指標とした場合、前記指標が最小となるように設定された請求項1から6のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  8. 前記評価関数は、前記回転機のトルク出力または力率を指標とした場合、前記指標が最大となるように設定された請求項1から6のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  9. 前記回転機は回転子に磁石を有し、前記回転機の温度は、前記固定子巻線、前記界磁巻線及び前記磁石のうちの少なくとも1つである請求項1から8のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
  10. 固定子巻線及び界磁巻線を有する回転機を制御する回転機制御装置であって、
    前記回転機の消費電力または前記固定子巻線及び前記界磁巻線の通電時間に基づいて、電流指令値を生成する電流指令生成部と、を備え、
    前記電流指令生成部は、
    トルク指令、固定子巻線電圧、固定子巻線電流及び界磁巻線電流に基づいて前記電流指令値を生成するための拘束条件を求める拘束条件設定部と、
    前記トルク指令、前記固定子巻線電圧、前記固定子巻線電流及び前記界磁巻線電流に基づいて設定された評価関数及び前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する最適化演算部と、
    前記回転機の消費電力または前記固定子巻線及び前記界磁巻線の通電時間に基づいて前記拘束条件を更新する拘束条件更新部と、を有し、
    更新された前記拘束条件を用いて前記電流指令値を算出し出力する、回転機制御装置。
  11. 前記回転機が自動車に搭載されたことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の回転機制御装置。
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