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JP7362355B2 - マグネトロン用セラミックス部品 - Google Patents
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JP7362355B2 - マグネトロン用セラミックス部品 - Google Patents

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実施形態は、おおむね、電子レンジ等のマイクロ波加熱機器に用いられるマグネトロン用セラミック部品に関する。
マグネトロン、電力管、電子管用のセラミックス封着部品として、モリブデン(Mo)-マンガン(Mn)等を主成分とするメタライズ層を、アルミナ(酸化アルミニウム:Al2O3)等からなるセラミックス部品本体(ステムセラミックス)表面に形成したセラミックス部品が使用されている。この種のマグネトロン用セラミックス部品としては、例えば、特許第5450059号公報(特許文献1)には、セラミックス本体部がMnを含む粒界相を有したアルミナ焼結体であり、セラミックスとMo-Mnメタライズ層との間にMnリッチ相を具備することを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品がある。また、製造方法としては、例えば、特許第5285868号公報(特許文献2)には、Mnを含有するアルミナ焼結体からなるステム本体部に、Mo-Mn系ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成することによりメタライズ層を形成し、ステム本体部にリード部を挿通しニッケル(Ni)めっきを施す工程を特徴とするマグネトロン用ステムの製造方法がある。
近年、電子レンジは汎用化が進み、材料・部品のコストダウンが求められているが、一方ではモジュールの小型化や高機能化が進み、電子レンジの中核であるマグネトロンに使用されるセラミックス部品についても、高品位化と低価格化が求められている。
マグネトロン用セラミックス部品の品質とコストを左右する重要プロセスの一つにめっき工程がある。
マグネトロン用セラミックス部は、アルミナ焼結体からなる円柱状のセラミックス部品本体の上端面に形成された端子部およびリング部に、Mo-Mnを主成分とするメタライズ層が形成され、このメタライズ層の上面には、他の金属部品との接合強度を向上させ、封着を行うために所定厚さのNiめっき層が形成される。
上記のような複雑形状のセラミックス部品本体にNiめっき層を形成する方法としては、セラミックス部品本体をめっき液中に浸漬して所定厚さのNiめっき層を形成する無電解Niめっき法や、セラミックス部品本体を1個ずつ治具に固定して電解Niめっきする方法や、1回めっき処理した後にアニールし、さらに厚さが不足するために2回のめっきを施して所定厚さのめっき層を形成する方法等が一般的に採用されているが、それぞれに短所がある。それを補う方法として、例えば、特開平11-92255号公報(特許文献3)には、中央部に形成されたメタライズ部にピン電極を差し込んだ状態でバレルめっきを施す事例が挙げられている。また、特許第4250397号公報(特許文献4)には、ピン電極を挿入して、端子部ニッケル層およびリング部ニッケル層の厚さがそれぞれ1.5μm以上であり、端子部ニッケル層厚さのリング部ニッケル層厚さに対する比が1.1以上であることを特徴とするマグネトロン用セラミックス部品がある。
しかしながら、上記のめっき法によれば、通常のめっき法と比較して工程が複雑になりコストが上昇するという問題点があった。すなわち、メタライズ工程が終わった後、Mo等の高融点金属からなるリードを銀(Ag)系のろう材により固定した後にNiめっきを施す方法では、メタライズ層に直接ろう付けを行うために、ろう付けによる接合が不安定になり十分なろう付け強度が得られないという問題があった。
また、メタライズセラミックス部品の表面側に形成したピン挿通穴それぞれにピン電極を差し込んだ状態でバレルめっき処理を施す場合には、ピン電極が穴から抜けやすく、かつ、それぞれのピン挿通穴にピンを挿入および抜去する工程が発生して工数が増加するという課題があった。
特許第5450059号公報 特許第5285868号公報 特開平11-92255号公報 特許第4250397号公報
電子レンジは汎用化・高機能化が進展してきており、マグネトロン用セラミックス部品についても、高品位化と低価格化が求められている。
実施形態は、このような問題を解決するものでありマグネトロンに使用されるセラミックス部品に関して、端子部のリーク不良の発生を抑制し生産性の高いセラミックス部品に関する。
実施形態にかかるマグネトロン用セラミックス部品は、セラミックス部品本体の表面に形成された端子部およびリング部に、それぞれ端子部メタライズ層およびリング部メタライズ層を形成し、この端子部メタライズ層およびリング部メタライズ層の表面にそれぞれ端子部Niめっき層およびリング部Niめっき層を形成したマグネトロン用セラミックス部品において、前記端子部Niめっき層およびリング部Niめっき層の厚さがそれぞれ1.0μm以上であり、端子部穴から他の端子部穴方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さが2.4μm以下であり、他の端子部穴方向との逆方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さに対する比が0.95以上であることを特徴とするものである。
実施形態にかかるマグネトロン用セラミックス部品の断面を示す図。 実施形態にかかるマグネトロン用セラミックス部品の表面(平面)を示す図。 実施形態にかかる電極ピンを挿入したセラミックス部品の断面を示す図。 電極ピンを裏面から挿入したセラミックス部品の断面を示す図。
実施形態にかかるマグネトロン用セラミックス部品は、セラミックス部品本体の表面に形成された端子部およびリング部にそれぞれMoやタングステン(W)のような高融点金属からなる端子部メタライズ層およびリング部メタライズ層を形成し、この端子部メタライズ層およびリング部メタライズ層の表面にそれぞれ端子部Niめっき層およびリング部Niめっき層を形成したマグネトロン用セラミックス部品において、前記端子部Niめっき層およびリング部Niめっき層の厚さがそれぞれ1.0μm以上であり、端子部穴から他の端子部穴方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さが2.4μm以下であり、他の端子部穴方向との逆方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さに対する比が0.95以上であることを特徴とするものである。
図1にマグネトロン用セラミックス部品の断面図の一例を示す。1はマグネトロン用セラミックス部品、2はセラミックス部本体、3はセラミックス端子部、4は、セラミックスリング部、5は、メタライズ端子部、6はメタライズリング部、7はセラミックス溝部、8はセラミックス穴部である。図2では、端子部およびリング部のあるマグネトロン用セラミックス部品表面(平面図)を示したものである。実施形態は、このような形に限定されるものではなく、4のリング部は裏面に形成されても良いものとする。
セラミックス部品2は、アルミナ(酸化アルミニウム)、ジルコニア添加アルミナ(アルジル:酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムを混合した焼結体)のいずれか1種であることが好ましい。また、メタライズにMo-Mn系ペーストを使用する場合は、セラミックスにMnを含有することが好ましい。Mn含有量は1~5重量%であることが好ましい。これは、Mnを含有することによりMo-Mnメタライズ層との接合強度を向上することができるためである。また、アルミナ焼結体にはMn以外にも焼結助剤を添加してもよい。焼結助剤としては、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等が挙げられ、これらをSi、MgおよびCaの少なくとも1種以上を金属元素単体換算で合計1~10重量%添加することが好ましい。これは、添加した焼結助剤はガラス相からなる粒界相を形成してアルミナ焼結体を緻密化するためである。また、ガラス相はMo-Mnメタライズ層の空隙に入り込んでいくのでメタライズ層を強化することができ、接合強度を向上させることができるためである。
2セラミックス部は、略円柱形状である。例えば、φ15mmx高さ15mmである。円柱の表面の円部分には、中央部に3セラミックス端子部と、周辺に4セラミックスリング部が形成される。それぞれの部分には、5メタライズ端子部、6メタライズリング部が形成される。これは、メタライズ部にめっきを施し、ろう付けにより、5メタライズ端子部には座金部品およびリード部品を接合、6メタライズリング部には、金属エンベロープ部品を接合するためである。なお、4セラミックスリング部は端子部の裏面に形成することも可能である。3セラミックス端子部と4セラミックスリング部が同一面上にある場合は、7セラミックス溝部が形成される。セラミックス溝部は、5メタライズ端子部と6メタライズリング部の電気的絶縁をとるためである。8はリード部品を挿入するためのセラミックス穴部である。
図2に図1のマグネトロン用セラミックス部品の表面を表した図(平面図)を示す。図1は図2のA-A’による断面図である。5メタライズ端子部の形状は一例である。
5メタライズ端子部、6メタライズリング部は、Mo-Mn系ペーストを2セラミックス部にスクリーン印刷法などで塗布し、大気雰囲気中で乾燥させた後、還元雰囲気中などで焼成することにより形成する。
Mo-Mn系ペーストはMo粉末とMn粉末を有機バインダーと混合したものである。
有機バインダーは乾燥工程や焼成工程により焼失するものであれば特に限定されるものではない。好ましい一例としてはエチルセルロースが挙げられる。
Mo-Mn系ペーストの調整は、平均粒径0.5~10μmのMo粉末と平均粒径0.
5~10μmのMn粉末をそれぞれ40時間以上の解砕処理を施した後、バインダーと混合して調製されたものであることが好ましい。また、MoとMnの比率はMoとMnの合計を100重量%としたときMnが4~12重量%、好ましくは6~8重量%である。
塗布厚さは10~40μmが好ましい。塗布厚さが10μm未満であるとメタライズ層形成後、メタライズ層の厚さにバラツキができ接合強度を低下させる。一方、40μmを越えるとそれ以上の効果が得られない。
また、乾燥工程は大気雰囲気中50~100℃、好ましくは50~80℃である。また、乾燥時間は5~30分、好ましくは10~20分である。
乾燥工程後、焼成工程を行う。焼成温度は1350~1550℃、好ましくは1400~1480℃である。また、焼成時間は30分~5時間の範囲が好ましい。また、雰囲気は還元性雰囲気が好ましい。焼成時間は好ましくは1時間以上である。1時間以上焼成するとセラミックス焼結体中のガラス相が表面に均一に析出した析出層を形成し易い。セラミックス焼結体の表面に析出した析出層はセラミックス焼結体とMo-Mnメタライズ層の間に析出し、メタライズ層の空隙に入り込んで行く。そのため、メタライズ層が緻密化され接合強度が向上する。
図4には、特開平11-92255の図5に記載のピン電極を挿入した形態から、ピン電極を略U型ピン電極(以下U型ピン電極)に変更した場合の断面図を示す。それぞれの穴部に別々の電極ピンを挿入し、めっき後に抜去するの比較して、一度に挿入および抜去できるためプロセス的には簡略化され、工数の低減が可能である。しかしながら、穴部の最中央箇所からセラミックス中央部にかけてのメタライズ部分には、U型ピン電極の影によりめっきが薄い部分が発生する。この部分は他の箇所に比較して、ろう付けされる距離が短いため、めっきが薄いことによるろう付け不良があるとリーク不良の原因になる。
U型ピン電極を表型から挿入する理由は、挿入時のメタライズ層の欠損を避けるためである。Mo-Mnペーストを塗布した場合、ペーストは自重で穴部分の内部に塗布範囲が広がり穴のエッジ部分まで塗布が行われる。メタライズ後にピンを挿入すると、このエッジ部分にピンが触れることにより電気的な導通が行われる。電気的な導通が行われることによりメタライズ部分にめっきが行われる。
U型ピン電極を裏側(非メタライズ側)から挿入する場合には、ピンのスプリング性が弱いとメタライズ面での接触が十分に行われない可能性があり、歩留まりの低下をまねく。また、スプリング性が強いと穴部をから先端が出るときにエッジ部分のメタライズ層を欠損させてしまい、十分に導通されなくなることによりめっき不良が発生し歩留まりの低下をまねく。
表面からU型ピン電極を挿入したときに発生するめっき影の問題点を解決するために、裏面からU型ピン電極を挿入してめっきをするようにする。また、裏面からU型ピン電極を挿入したときの穴部のエッジ部分のメタライズ欠損を避けるためにU型ピン電極の材質および形状を以下のようにする。
U型ピン電極の材質は、ばね用ステンレス鋼材材を使用する。
U型ピン電極裏面飛び出し長さ(B)=セラミックス高さ(H)x0.3~0.8
U型ピン電極端子面飛び出し長さ(C)=セラミックス高さ(H)x0.1~0.5
U型ピン電極端子面曲げ端部長さ(D)
=U型ピン電極端子面飛び出し長さ(C)x0.2~0.7
U型ピン電極開口幅(F)=セラミックス穴部最外周長さ(W)x1.0~1.5
U型ピン電極直径(φE)=セラミックス穴部直径(φR)x0.1~0.4
裏面からU型ピン電極を挿入することにより、端子面から挿入した場合に発生するU型ピン電極の影が解消され、正常にめっきが行われる。さらに、端子部にはめっきがつきやすくなり、リング部とのめっき厚さの差の解消に役立つ。これは、端子面とリング面が同一面にある形状(片面メタライズ)および端子面とリング面が反対側にある形状(両面メタライズ)ともに有用である。
U型ピン電極に使用する金属は、スプリング性があり電気導通体であれば良く、鉄、圧延鋼材、炭素鋼、高張力鋼、ばね鋼などがあげられる。特にばね用のステンレス鋼材は本用途に適しており、加工しやすく安価であり、めっきが付着した場合に酸処理することにより、回収し再利用することが可能である。ばね用のステンレス鋼材には、SUS-302-WPA、SUS-302-WPB、SUS-304-WPA、SUS-304-WPB、SUS-316-WPA、SUS-631J1-WPCなどがあり、特にSUS-304-WPBが適している。
U型ピン電極を上記の寸法にすることにより、端子部のメタライズ層に接触して電極としての役割を果たすとともに、バレルなどのめっき揺動中にセラミックス部品から外れることがない。
U型ピン電極裏面飛び出し長さを調整することにより、飛び出し部分がめっき時の電極となりめっきに必要な電気をメタライズに供給することが可能である。ピン電極が裏面飛び出し長さが短いと電極としての役割を果たさず、長すぎると電極同士が絡み合って作業性が低下する。このためU型ピン電極裏面飛び出し長さ(B)はセラミックス高さ(H)x0.3~0.8、さらにはセラミックス高さ(H)x0.4~0.7にすることが好ましい。
U型ピン電極端子面飛び出し長さを調整することにより、U型ピン電極裏面飛び出し長さ調整と同様に、飛び出し部がめっき時の電極となりめっきに必要な電気をメタライズに供給することが可能である。U型ピン電極が端子面飛び出し長さが短いと電極としての役割を果たさず、長すぎると電極同士が絡み合って作業性が低下する。このため、U型ピン電極端子面飛び出し長さ(C)はセラミックス高さ(H)x0.1~0.5、さらにはセラミックス高さ(H)x0.2~0.4にすることが好ましい。
U型ピン電極端子面曲げ端部長さを調整することにより、U型ピン電極挿入後の脱落を防止するとともに、U型電極ピンの先端部を挿入しやすくすることが可能である。U型ピン電極端子面曲げ端部長さが長いと曲げ角度によっては穴部に挿入することが難しくなり、短いとピン電極挿入後に脱落しやすくなる。このため、U型ピン電極端子面曲げ端部長さ(D)はU型ピン電極端子面飛び出し長さ(C)x0.2~0.7、さらにはU型ピン電極端子面飛び出し長さ(C)x0.3~0.6にすることが好ましい。
U型ピン電極端子面曲げ端部の曲げ角度は任意であるが、ピンの延長線上から広がる方向(外側)に向かって3~60°であることが好ましい。
U型ピン電極開口幅を調整することにより、U型ピン電極を挿入しやすくし、U型ピン電極の挿入後の脱落の防止とメタライズ部分へ導通することが可能である。U型ピン電極開口幅が大きすぎるとU型ピン電極を差し込みにくくなり作業性が低下する。また、U型ピン電極開口幅が小さいと、U型ピン電極を差し込みにくくなるのと、U型ピン電極がメタライズに接触しない恐れがあり、脱落する場合もある。このため、U型ピン電極開口幅(F)は端子穴最外周長さ(W)x1.0~1.5、さらには端子穴最外周長さ(W)x1.0~1.3であることが好ましい。
U型ピン電極直径を調整することにより、良好なスプリング性が得られる。良好なスプリング性を得ることにより、U型ピン電極の抜き差しが容易となり、かつ適正な強度をもってメタライズ面に接することができる。U型ピン電極直径が細すぎるとピンとしての十分な強度が得られなく、太すぎると抜き差し時に力が必要となり作業性が低下する。このためU型ピン電極直径(φE)は端子穴直径(φR)x0.1~0.4、さらには端子穴直径(φR)x0.2~0.3であることが好ましい。
U型ピン電極を挿入したセラミックス部品のメタライズ層上にNiめっきを行う。量産性を向上させるにはNiめっきを施す工程をバレル式電解めっきで行うことが好ましい。バレル式であれば回転容器中に電解液とU型ピン電極を挿入したセラミックス部品を均一に混合できるので、一度に多量のめっきすることができる。
バレル式電解めっきでは、バレル中に鉄、ステンレス等の金属製ダミー部材を混合させることが好ましい。金属製ダミー部材を混合すると電解液の通電性が向上するのでめっき効率が上がる。また、金属製ダミー部材があるとクッション代わりになりセラミックス部品同士が衝突して破損するのを抑制できる。
また、電解浴槽の温度は40~70℃程度の温浴とし、めっき時間は30~60分が目安となる。
めっき条件は、端子部Niめっき層およびリング部Niめっき層の厚さがそれぞれ1.0μm以上、好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上に調整する。また、端子部穴から他の端子部穴方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さが2.4μm以下であり、他の端子部穴方向との逆方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のNiめっき層の厚さに対する比が0.95以上、好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.3以上であるように調整する。
以上のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法によればめっきの品位を向上することにより歩留まりを大幅に改善することができる。また、めっきの品位が向上したことによりろう付けの品位も向上するため、マグネトロンに組み立てたときに封着性の良い信頼性の高いマグネトロンを製造することができる。
(実施例)
(実施例1~10、比較例1~10)
92重量%Al2O3-8重量%MnO2、SiO2、MgO(合計で8重量%)なる組成を有するアルミナ(Al2O3)造粒粉をプレスで成型し1500℃大気中で焼結することにより、図1に示すような直径15mm×高さ15mmの略円柱状のセラミックス部品を製造した。このセラミックス部品本体の上面には中央部には突出した端子状部が形成され、周縁部には突出したリング状部が形成されている。φRは1.6mm、端子穴最外周長さ(W)は、7mmである。
次にセラミックス部品上面の端子部およびリング部表面に、100メッシュのスクリーンメッシュを用いてMo-Mnペーストを印刷して厚さ20μmのペースト層を塗布した。次にペースト層を形成した部品本体を空気中にて温度100℃で乾燥して各ペースト層を硬化せしめた。
ペースト層を形成した部品本体をウェットフォーミングガス中にて温度1400℃で1時間加熱処理を実施することにより、図1および図2に示すように端子部およびリング部にそれぞれメタライズ層5、6を形成した。
次にSUS-304-WPAを使用して表1のU型ピン電極を作製した。図3に示すように作製したU型ピン電極をそれぞれ5個ずつセラミックス部品に挿入した。さらにU型ピン電極を挿入したセラミックス部品を金属製ダミーとともにバレルめっき処理装置の回転容器(バレル)中に収容し、ワット浴中にて通電量50A、2000A・min条件の電気めっき処理を実施することにより、各メタライズ層5、6表面にNiめっき層をそれぞれ形成した。
Figure 0007362355000001
U型ピン電極によるめっき状態を確認するために、蛍光X線膜厚計によりNiめっき層の膜厚を測定した。測定結果を表2に示す。Niめっき厚の測定箇所は、図2の端子内側(T1:穴部内側と中央溝端部の距離の1/2)、端子外側(T2:穴部外側と端子外側の距離の1/2)、リング部中央(T3:リング内周とリング外周の距離の1/2)とした。なお、測定結果は5個測定中の最小値とした。
Figure 0007362355000002
表2から分かるとおり、実施例にかかるマグネトロン用アルミナ部品にて測定した3箇所のNiめっき厚さはいずれも1.5μm以上と良好であった。一方、比較例1、4、6、8、10は、Niめっき厚では1.5μm以上と良好であったものの、ピン挿入時に大きな力を必要として作業性が悪く量産性は低かった。また、比較例2は、Niめっき厚さは1.5μm以上と良好だったもののバレル中でピンのU型部分に他の部品が入り込み、めっき後の取り出し作業性が悪かった。また、比較例3、5、7、9では、U型ピン電極が外れた製品が発生した。U型ピン電極が外れなかった製品のめっき厚さは良好だったものの、外れた製品の端子部のNiめっき厚さは1μm未満と低い値であった。
(比較例11~15)
上記実施例において、U型ピン電極の挿入方法を図3のようにメタライズ面から挿入した以外は、実施例と同様にメタライズ、Niめっき処理を実施することにより、比較例にかかるマグネトロン用セラミックス部品を調整した。Niめっき厚さの測定結果を表3に示す。
Figure 0007362355000003
表3から分かるとおり、比較例11~15にて測定したNiめっき厚さは、端子外側およびリング部中央ではいずれも1.5μm以上と良好であった。一方、端子内側では1.0μm未満であった。U型ピン電極の影になりめっきが薄くなったことが原因である。
また上記のように調製した各実施例および比較例にかかるマグネトロン用セラミックス部品の端子部およびリング部に銀ろう(BAg-8:72%銀-28%銅)箔を設置し、温度800℃の窒素水素雰囲気中でろう流れ試験を実施したところ、実施例および比較例のリング部はいずれもろう流れが良好であった。一方、端子部は、実施例および比較例1、2、4、6、8、10はろう流れが良好であったの対し、比較例3、5、7、9、11~15についてはろう流れ不良が発生した。
各実施例および比較例について端子部に金属端子をろう付けして気密性試験を行ったところ、比較例3、5、7、9、11~15についてはリーク不良が発生し気密性が得られなかった。
上記に示す結果から明らかなように、U型ピン電極を端子部裏面から挿入してバレルめっきをした各実施例にかかるマグネトロン用セラミックス部品によれば、端子部内側のNiめっき厚さが低下することなく良好なめっき性が得られ、好適な厚さのNiめっき層が形成することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1…マグネトロン用セラミックス部品(断面)
2…セラミックス部本体
3…セラミックス端子部
4…セラミックスリング部
5…メタライズ端子部
6…メタライズリング部
7…セラミックス溝部
8…セラミックス穴部
9…マグネトロン用セラミックス部品表面(平面図)
10…U型ピン電極裏面挿入(実施例)
11…U型ピン電極
12…U型ピン電極表面挿入(比較例)

Claims (4)

  1. 端子部およびリング部が形成されたマグネトロン用セラミックス部品において、前記セラ
    ミックス部品はアルミナ焼結体であり、端子部およびリング部にモリブデン-マンガンか
    らなるメタライズ層を形成した後、ピン電極を端子面と逆方向から挿入する工程と、めっ
    きによりニッケル層を形成する工程と、ピン電極を抜く工程、により端子部ニッケルめっ
    き層とリング部ニッケルめっき層を形成する工程を備え、
    前記ピン電極が、略U型をしており、ピン電極の材質は、ばね用ステンレス鋼材であり、
    ピン電極裏面飛び出し長さはセラミックス高さ×0.3~0.8の範囲であり、ピン電極
    端子面飛び出し長さはセラミックス高さ×0.1~0.5の範囲であり、ピン電極端子面
    曲げ端部長さはU型ピン電極端子面飛び出し長さ×0.2~0.7の範囲であり、ピン電
    極開口幅はセラミックス穴部最外周長さ×1.0~1.5の範囲であり、ピン電極直径は
    セラミックス穴部直径×0.1~0.4の範囲であり、前記端子部ニッケルめっき層およ
    びリング部ニッケルめっき層の厚さがそれぞれ1.0μm以上であり、端子部穴から他の
    端子部穴方向の端子部端までの距離の1/2にあたる箇所のニッケルめっき層の厚さが2
    .4μm以下であり、他の端子部穴方向との逆方向の端子部端までの距離の1/2にあた
    る箇所のニッケルめっき層の厚さに対する比が0.95以上であることを特徴とするマグ
    ネトロン用セラミックス部品の製造方法。
  2. 前記ピン電極に付着しためっきを酸処理により回収し再利用することを特徴とする請求項 1に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
  3. 前記めっきによりニッケル層を形成する工程がバレル式電解めっきであり、バレル中に
    鉄およびステンレス等の金属製ダミー部材を混合することを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載のマグネトロン用セラミックス部品の製造方法。
  4. 前記バレル式電解めっきの浴槽の温度が40℃以上70℃以下であり、電解めっき時間が
    30分から60分以下であることを特徴とする請求項3に記載のマグネトロン用セラミッ
    クス部品の製造方法。
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