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JP7363538B2 - フィルムのピンホール検査方法、フィルム製造方法及びフィルムのピンホール検査装置 - Google Patents
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JP7363538B2 - フィルムのピンホール検査方法、フィルム製造方法及びフィルムのピンホール検査装置 - Google Patents

フィルムのピンホール検査方法、フィルム製造方法及びフィルムのピンホール検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム、特に電気絶縁性フィルムのピンホール(微細な貫通孔)の有無を検査するフィルムのピンホール検査方法、その検査方法を含むフィルム製造方法、及びそのフィルムのピンホール検査装置に関する。
電気絶縁性フィルムは、品質管理のため製造過程でピンホールの有無が検査される。ピンホールとはフィルムの表裏面を貫通する微細孔であり、ピンホールが形成されたフィルムが電極間に配置され電圧が印加されると、その電極間が短絡してしまい電源が破損する可能性がある。そのため、フィルム製造ラインではピンホールが形成されたフィルムが最終製品として出荷されないようにピンホール検査が出荷前に行われる。
例えば、同一の製造ラインで生成されるフィルムが複数の巻回体(ロール)となるようにそれぞれ巻回され、その1つのロールが標本(サンプル)に選択される。そして、この標本でピンホールが検出され場合、この同一の製造ラインで製造された複数のフィルム全部が出荷から除外又は洗浄されたり製造し直されたりする。
フィルムのピンホール検査の従来技術として、搬送されるシートを挟んで対向配置される一対の電極間に高電圧を印加し、フィルムのピンホールに起因する放電電流を発光ダイオードにより光信号に変換するものが知られている(例えば特許文献1参照)。変換された光信号はフォトダイオードで受信・検出され電流信号に変換され、この電流信号が検出されることでピンホールの有無が判定される。また、他の従来技術として、搬送されるシートを挟んで平行に一対の電極板が配置され、この電極間に直流高電圧が印加され、この印加の際に発生する放電電流が検出されることでピンホールの有無が判定されるものも知られている(例えば特許文献2参照)。
特開2000-111531号公報 特開2002-90346号公報
このように、上記特許文献1、2のいずれもフィルムに電圧を印加する際、その検査位置での絶縁破壊電圧が小さくなることを利用してピンホールを検出している。そして、この印加電圧や絶縁破壊電圧に関し、正常部分(ピンホールのない部分)の検出電圧とピンホール発生部分の検出電圧とのギャップ(差)、いわゆるウインドウが広いほど検出精度が高くなり、ピンホールの誤検出や見逃しを防止することが可能となる。
しかしながら、電気自動車やスマートフォンなどにおいて電子機器の高集積化・高密度化などに伴い電気絶縁性フィルムの薄膜化が顕著となっており、電気絶縁性フィルムが薄膜化した場合、正常部分の検出電圧が低下しウインドウが縮小する傾向がある。換言すると、フィルムの薄膜化により、ピンホールが形成された箇所と形成されていな箇所との間において絶縁破壊電圧の差が小さくなる。その結果、検査精度が悪化する可能性がある。また、ロールの製作精度などに起因してそれぞれの検出電圧も検査部位によって変動し、場合によっては、正常部分の検出電圧がピンホール発生部分の検出電圧を下回り、誤検出(正常部分をピンホール部分と誤検知すること)が発生する可能性がある。上記特許文献1、2の検査方法ではフィルムの薄膜化に十分に対応できず、改善の余地があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルムが薄膜化した場合でもピンホールの検出を精度良く行うことができるフィルムのピンホール検査方法、フィルム製造方法及びフィルムのピンホール検査装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)
フィルムに対しその両面を挟むように対向配置される一対の電極の間に直流電圧を印加する電圧印加工程と、
前記一対の電極の間に流れる電流または前記一対の電極の間の電圧降下を検出する検出工程と、
前記検出工程の検出結果に基づき前記フィルムにおけるピンホールの有無を判定する判定工程と、を含み、
前記一対の電極のうち一方の第1電極は、前記フィルムの表面又は裏面である第1面に接触して配置され、
前記一対の電極のうち他方の第2電極は、前記第1面とは反対側の第2面に対し離間して配置され、
前記第2電極の印加電圧の極性は、前記第1電極とは相対的に負に設定される、
フィルムのピンホール検査方法。
(2) 前記第1電極と前記第2電極との離間距離が50μm~200μmの範囲に設定される、
(1)に記載のフィルムのピンホール検査方法。
(3) 前記一対の電極の間に前記フィルムを搬送する搬送工程をさらに含み、
前記第1電極は、その周面で前記フィルムの前記第1面に接触して前記フィルムを搬送する導電性ローラであり、前記搬送工程において前記フィルムを搬送しつつ電極としても機能する、
(1)又は(2)に記載のフィルムのピンホール検査方法。
(4) 前記第2電極は、円筒状に形成され、その長手方向が前記フィルムの搬送方向に垂直かつ前記フィルムの幅方向と平行になるように配置される、
(1)~(3)のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査方法。
(5) (1)~(4)のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査方法により前記フィルムに対しピンホールの有無を検査する検査工程と、
前記検査工程が施された前記フィルムを巻回する巻回工程と、を含む、
フィルム製造方法。
(6) 同一の製造ラインで生成されるフィルムを複数の巻回体となるようにそれぞれ巻回する巻回工程と、
前記複数の巻回体のうち1つを標本に選択し、(1)~(4)のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査方法により前記標本の前記フィルムに対し前記ピンホールの有無を検査する検査工程と、
前記検査工程において前記ピンホールが検出されない場合、前記複数の巻回体のうちその残部を最終製造物として出荷する出荷工程と、を含む、
フィルム製造方法。
(7) 前記標本を再度巻回する再巻回工程を更に含み、
前記出荷工程において、前記標本も含めて前記複数の巻回体の全部を出荷する、
(6)に記載のフィルム製造方法。
(8) 製造ラインで生成されるフィルムを巻回体となるように巻回する巻回工程と、
(1)~(4)のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査方法により前記巻回体のフィルムの一部に対し前記ピンホールの有無を検査する検査工程と、
前記検査工程において前記ピンホールが検出されない場合、前記フィルムのうち前記ピンホールの有無を検査した箇所を切り取り、その残部を最終製造物として出荷する出荷工程と、を含む、
フィルム製造方法。
(9) 前記製造ラインは、
ポリオレフィン樹脂と可塑剤とを混練してポリオレフィン溶液を調製する溶液調製工程と、
前記ポリオレフィン溶液をダイから吐出するとともに冷却してゲル状シートを成形するシート成形工程と、
前記ゲル状シートを延伸して延伸シートを成形するシート延伸工程と、
前記延伸シートから可塑剤を除去して微多孔膜を得る可塑剤除去工程と、を含む、
(6)~(8)のいずれか1つに記載のフィルム製造方法。
(10) フィルムに対しその両面を挟むように対向配置される一対の電極と、
前記一対の電極の間に直流電圧を印加する電圧印加部と、
前記一対の電極の間に流れる電流または前記一対の電極の間の電圧降下を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記フィルムにおけるピンホールの有無を判定する判定部と、を含み、
前記一対の電極のうち一方の第1電極は前記フィルムの表面又は裏面である第1面に接触して配置され、
前記一対の電極のうち他方の第2電極は前記第1面とは反対側の第2面に対し離間して配置され、
前記第2電極の印加電圧の極性は、前記第1電極とは相対的に負に設定される、
フィルムのピンホール検査装置。
(11) 前記第1電極と前記第2電極との離間距離が50μm~200μmの範囲に設定される、
(10)に記載のフィルムのピンホール検査装置。
(12) 前記電圧印加部に前記フィルムを搬送する搬送部をさらに含み、
前記第1電極は、その周面で前記フィルムの前記第1面に接触して前記フィルムを搬送する導電性ローラであり、前記搬送部と一体に設けられて前記フィルムを搬送しつつ電極としても機能する、
(10)又は(11)に記載のフィルムのピンホール検査装置。
(13) 前記第2電極は、円筒状に形成され、その長手方向が前記フィルムの搬送方向に垂直かつ前記フィルムの幅方向と平行になるように配置される、
(10)~(12)のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査装置。
なお、本発明に係るフィルムのピンホール検査方法に適用されるフィルムとしては、電気絶縁性フィルムが好適とされる。
本発明によれば、一対の電極のうち一方の第1電極は、フィルムの表面又は裏面である第1面に接触して配置され、一対の電極のうち他方の第2電極は、第1面とは反対側の第2面に対し離間して配置され、第2電極の印加電圧の極性は、第1電極とは相対的に負に設定される。このため、検出のためのウインドウを広げることができるので、フィルムが薄膜化した場合でもピンホールの検出を精度良く行うことができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係るフィルム製造方法のうち製造ラインを説明するフローチャートである。 図2は、本発明の実施形態に係る検査ラインを実現するためのフィルムのピンホール検査装置を説明する模式図である。 図3は、図2に示すフィルムのピンホール検査装置を上から視た模式図である。 図4は、本発明の実施形態に係る検査ラインを説明するフローチャートである。 図5は、図4に示す検出工程の検出結果を説明する模式図である。 図6は、本発明に係る実施例及び比較例の比較試験結果を示すグラフである。 図7は、バー電極と導電性ローラの間の系を模式的に示すブロック図であり、図7(a)はフィルム正常部分、図7(b)はピンホール発生部分を示している。
本発明のフィルムのピンホール検査方法、フィルム製造方法及びフィルムのピンホール検査装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
なお、図面は符号の向きに合わせてそれぞれ見るものとする。また、以下の説明において、下流側とは、成形されたフィルムが搬送及び巻回される方向であり、その搬送方向に沿って図2及び図3の紙面の左側を上流側、図2及び図3の紙面の右側を下流側ともいう。
また、各図及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、本発明に係る実施形態(以下「本実施形態」ともいう。)ではフィルムの一例として電気絶縁性フィルムであるポリオレフィン微多孔膜を挙げて説明するが、これに限定されない。電気絶縁性フィルムであれば種々のものを採用することができ、また電気絶縁性に限らずさまざまなフィルムにも適宜適用することが可能である。
また、本実施形態に係るピンホール検査方法の検査対象であるピンホールは、ポリオレフィン微多孔膜の素材中に形成される微多孔よりもその径又は長さがはるかに大きい貫通孔である。そして、フィルムにピンホールが形成された場合、そのフィルムを挟むように一対の電極を配置して絶縁破壊電圧(直流電圧)を印加すると、その電圧が空気耐圧と略等しく低いため、放電電流が発生する。一方、ピンホールが形成されない正常の部分では、ピンホールが形成された部分よりも絶縁破壊電圧が高くなる。したがって、これらの絶縁破壊電圧の間の直流電圧をフィルムに印加すると、ピンホールが形成された部分においてのみ絶縁破壊が発生する。
本実施形態に係るフィルム製造方法は、電気絶縁性フィルム(以下「フィルム」ともいう。)を製造する製造ラインと、製造されたフィルムに対しピンホールの有無を検査する検査ライン(検査工程)と、を主に含んでいる。検査ラインは、製造ラインの後工程として実行される。また、検査ラインL2は、後述するように本実施形態のフィルムのピンホール検査装置(以下「検査装置」ともいう。)により実現される。
まず図1を参照して、本実施形態に係るフィルムF製造方法のうちフィルムFの製造ラインL1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフィルム製造方法のうち製造ラインL1を説明するフローチャートである。
製造ラインL1は、複数のローラがそれぞれ配設され、この複数のローラによってフィルムFを上流側から下流側に適宜搬送して、最終的に巻きずれなどなくコアに巻回してフィルム製品リール(最終製造物)を製造する。そして図1に示すように、製造ラインL1は、溶液調製工程(S11)と、シート成形工程(S12)と、シート延伸工程(S13)と、可塑剤除去工程(S14)と、熱固定工程(S15)と、巻回工程(S16)と、を含んでいる。
溶液調製工程では、ポリオレフィン樹脂と可塑剤とを混練してポリオレフィン溶液を調製する。シート成形工程では、溶液調製工程で調製されたポリオレフィン溶液を所定のダイから吐出するとともに冷却してゲル状シートを成形する。シート延伸工程では、シート成形工程で成形されたゲル状シートを延伸して延伸シートを成形する。
ここで、延伸シート内部において可塑剤はポリオレフィン樹脂の内部に粒子状に多数散在しており、可塑剤除去工程では、シート延伸工程で延伸された延伸シートを洗浄して、延伸シートに含有される可塑剤を溶剤に置換する。そして、この溶剤に置換された延伸シートを乾燥させて溶剤を揮発させる。これにより、シート内部に微多孔が無数に形成される。すなわち、可塑剤除去工程によって、延伸シートから可塑剤が除去されてフィルムFが成形される。熱固定工程では、可塑剤が除去されたフィルムFに対し熱を加えて膜体として安定させる。熱固定工程での処理後、フィルムFは更に下流側に搬送され、所定の巻回手段(不図示)によってコアに巻回される(すなわち、巻回工程)。
巻回工程では、フィルムFの巻回によってフィルムFがロールR(巻回体)の径方向で積層され、原反としてフィルムFのロールRを得る。またこのとき、同一の製造ラインL1で生成されるフィルムFを複数のロールRとなるようにそれぞれ巻回する。そして、このように巻回された複数のロールRは、その1つが標本(サンプル)に選択され、後工程の検査ラインL2においてこの標本のフィルムFに対しピンホールの有無が検査される。後述するように、検査の結果、ピンホールが検出されないと判定された場合、複数のロールRのうち少なくともその残部はフィルム製品リール(最終製造物)としてバッテリーセパレータフィルムを使用するメーカー、例えば電池メーカーに出荷される。
なお、フィルムFの製造方法は、上記のような湿式法に限定されず、溶融状態の樹脂フィルムを一軸延伸などにより延伸して孔を形成する乾式法を用いてもよい。また、上記湿式法や乾式法により製造されたフィルムFの表面に、例えば樹脂や無機粒子を含んだ樹脂被膜をコーティングしてもよい。この場合には、以下の工程が採られる。具体的には、上記のようにして巻回されたロールRからフィルムFを巻き出す。巻き出した後、樹脂や粒子を含有したスラリー内部にこのフィルムFを含浸し、あるいはフィルムFの表裏にスラリーを塗布し、その後乾燥工程を経ることにより、コーティングセパレータが得られる。
次に図2及び図3を参照して、本実施形態に係るフィルム製造方法のうちフィルムFの検査ラインL2を実現するための検査装置10の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る検査ラインL2を実現するための検査装置10を説明する模式図である。図3は、図2に示す検査装置10を上から視た模式図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態の検査装置10は、フィルムFを搬送する導電性ローラ11(搬送部、第1電極)と、搬送されかつ導電性ローラ11と接触したフィルムFを挟んで導電性ローラ11とは反対側に配置されるバー電極12(第2電極)と、これらの電極間に直流電圧を印加する電圧印加部13と、これらの電極間に発生した放電電流に応じて流れる電流を検出する検出部(不図示)と、ピンホールの有無を判定する判定部(不図示)と、を含んでいる。
導電性ローラ11は、フィルムFの裏面(第1面)に密着した状態で接触してフィルムFを搬送する。導電性ローラ11は、円筒状に形成され、金属部材、又は樹脂軸にその外周面に金属膜が被覆された導電性部材であり、少なくともその外周面が接地される。導電性ローラ11は、駆動ローラであり、フィルムFを搬送するための駆動力を生成する。導電性ローラ11は、その外周面でフィルムFの裏面に摩擦接触しながら、下流側にフィルムFを搬送する。また、図3に示すように、導電性ローラ11の幅方向寸法は、フィルムFの幅方向と略同一又はそれよりも大きく設けられる。
そして、導電性ローラ11とバー電極12とは、搬送されるフィルムFに対しその両面を挟むように対向配置されており、フィルムFに対し絶縁破壊電圧を印加するための一対の電極を構成する。すなわち、本実施形態では、一対の電極のうち一方の第1電極は、その周面でフィルムFの裏面(第1面)に接触してフィルムFを搬送する導電性ローラ11であり、フィルムFを搬送する搬送部と一体に設けられてフィルムFを搬送しつつ電極としても機能する。
一対の電極のうち他方のバー電極12は、搬送されるフィルムFの表面に対し離間して配置される。また、バー電極12は、円筒状に形成され、その長手方向がフィルムFの搬送方向に垂直かつフィルムFの幅方向と平行になるように配置される(図3参照)。バー電極12はその断面が円形状に形成され周方向に均一な形状となるため、バー電極12の周面のどの位置が導電性ローラ11に対向しても同様な電圧特性を得ることが可能となる。なお、バー電極12の断面形状が周方向で不均一であってもよいが、この場合、バー電極12のどの位置が導電性ローラ11に対向するかによって、一対の電極の間の空隙の距離が変化するため、バー電極12の導電性ローラ11に対する位置のみならずバー電極12の周方向の位置も精密に行わないと、絶縁破壊の電圧特性が変化し、検査精度が低下する可能性がある。
本実施形態では、バー電極12の印加電圧の極性は、導電性ローラ11とは相対的に負に設定される。また、バー電極12の外周面と導電性ローラ11の表面との離間距離は、50μm~200μmの範囲に設定される。
電圧印加部13は、直流電源14を有しており、この一対の電極を構成する導電性ローラ11とバー電極12の間に絶縁破壊電圧として直流電圧を印加する。そして、判定部は、この検出部の検出結果に基づきフィルムFにおけるピンホールの有無を判定する。
なお、判定部は、汎用のミニコンピュータなどで構成され、CPU(中央演算回路)、ROM(読み出し専用記憶回路)、及びRAM(書き込み可能な記憶回路)などを有している。
次に図4及び図5を参照して、上述した検査装置10を用いて実現される、本実施形態に係る検査方法について説明する。図4は、発明の実施形態に係る検査ラインL2を説明するフローチャートである。図5は、図4に示す検出工程の検出結果を説明する模式図である。
図4に示すように、検査ラインL2は、搬送工程(S21)と、電圧印加工程(S22)と、検出工程(S23)と、判定工程(S24)と、再巻回工程(S25)と、出荷工程(S26)と、を含んでいる。
なお、本実施形態では、同一の製造ラインL1で生成されるフィルムFは同じ特性を有していると推定されるので、上述したように複数のロールRのうち1つが標本に選択され、この標本が検査用に用いられる。それに対して標本を用いる代わりに、ロールRをそれぞれセットして、搬送開始されたフィルムFの最初の部分に対しピンホールの検査をそれぞれ行うように構成してもよい(インライン検査)。この場合、検査で用いた部分は検査後、切り取られ廃棄される。なお、ピンホールがない場合にはフィルムFに絶縁破壊が発生しないので、検査で用いた部分を切り取らず残すようにしてもよい。
搬送工程では、検査装置10の導電性ローラ11は、標本のロールRから巻き出したフィルムFを電圧印加部13に搬送する。同一の製造ラインL1で生成されたフィルムFの複数のロールRにおいて、その標本のフィルムFに対しピンホールの有無を検査することで、その複数のロールR全体の品質を判断・管理する。電圧印加工程では、搬送工程で搬送される標本のフィルムFに対し導電性ローラ11とバー電極12とにより構成される一対の電極の間に、検査装置10の電圧印加部13が直流電圧を印加する。この電圧は、フィルムFが正常である場合の絶縁破壊電圧(基材耐圧)とピンホールが発生している場合の絶縁破壊電圧(ピンホール耐圧)との間の値が予め設定されている。検出工程では、検査装置10の検出部が、電圧印加工程によって直流電圧が印加された際にフィルムFに発生する放電電流に応じた電流、すなわちフィルムFに絶縁破壊が発生した場合に流れる電流または電圧降下を検出する。
そして、判定工程では、検査装置10の判定部は、検出部の検出結果に基づきフィルムFにおけるピンホールの有無を判定する。すなわち、判定部は、検出部において放電電流に応じた電流または電圧降下が検出された場合にはピンホールがあると判定し、放電電流に応じた電流または電圧降下が検出されない場合にはピンホールがないと判定する。このとき、本実施形態では、図5に示すように、フィルムFが薄膜化した場合でも、そのフィルムFの正常部分の絶縁破壊電圧(基材耐圧)とフィルムFのピンホール発生部分の絶縁破壊電圧(ピンホール耐圧)とのギャップ、すなわちウインドウを従来に比べ広く取ることが可能となる。そのため、電圧印加部13によりフィルムFに印加する直流電圧を、この広がったウインドウの中央付近に設定すれば、ピンホールが無いにもかかわらず絶縁破壊が発生したり、ピンホールが有るにもかかわらず絶縁破壊が発生しないという現象を抑制でき、検査装置10の判定部は、ピンホールの有無を精度良く判定することが可能となる。また、再巻回工程では、標本のフィルムFを再度巻回してロールR状態に再度巻き取る。
ここで、判定工程でピンホールが検出された場合、所定の警報装置によって警報が出力される。そして、工程は停止して出荷工程には進まない。
なお、上述のインライン検査の際、ピンホールが検出された場合、前工程の装置の洗浄を開始したり前工程のロールRの付着物を除去するために洗浄を促したりする。
その一方、判定工程において標本のフィルムFにピンホールが検出されない場合、出荷工程に進む。出荷工程では、標本にピンホールが検出されないとして、複数のロールRのうち標本以外の残部をフィルム製品リールとして出荷する。
なお、標本は検査時に導電性ローラ11及びバー電極12による電圧印加によって帯電するが、ピンホールが検出されなければ品質上問題ないため、必要に応じて除電したうえで、この標本を含めて複数のロールRの全部をフィルム製品リールとして出荷してもよい。
また、ロールRから巻き出したフィルムFの一部に対し電圧を印加してピンホールの有無を判定し、ピンホールがないと判定された場合には、ロールRのうち検査に使用された箇所のフィルムFをカットし、残りの箇所をフィルム製品リールとして出荷してもよい。この場合、例えば、フィルムFの幅方向の一部に対しピンホールの有無を判定し、幅方向の残りの箇所をフィルム製品リール(スリット)としてもよく、あるいは、ロールRの長さ方向の一部のフィルムFに対しピンホールの有無を判定し、ロールRの残りの長さの部分をフィルム製品リールとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、一対の電極のうち一方の導電性ローラ11(第1電極)は、フィルムFの裏面(第1面)に接触して配置され、一対の電極のうち他方のバー電極12(第2電極)は、表面(第2面)に対し離間して配置され、バー電極12の印加電圧の極性は、導電性ローラ11とは相対的に負に設定される。このため、フィルムFにおける基材耐圧(正常部分の絶縁破壊電圧)とピンホール耐圧(ピンホール発生部分の絶縁破壊電圧)とのギャップ、すなわちウインドウを従来に比べ広く取ることができる。これにより、検出のためのウインドウを広げることができるので、フィルムFが薄膜化した場合でもピンホールの検出を精度良く行うことができる。
また本実施形態によれば、バー電極12(第2電極)と導電性ローラ11の表面との離間距離が50μm~200μmの範囲に設定されるため、ピンホールの検出をより精度良く行うことができる。
また本実施形態によれば、導電性ローラ11(第1電極)は、その周面でフィルムFの裏面(第1面)に接触してフィルムFを搬送する導電性ローラ11であり、搬送工程(S21)においてフィルムFを搬送しつつ電極としても機能する。このため、フィルムFに対し効率良くピンホールの検査を行うことができる。
また本実施形態によれば、バー電極12(第2電極)は、円筒状に形成され、その長手方向がフィルムFの搬送方向に垂直かつフィルムFの幅方向と平行になるように配置される。このため、バー電極12はその断面が円形状に形成され周方向に均一な形状となるため、バー電極12の周面のどの位置が導電性ローラ11に対向しても同様な電圧特性を得て、ピンホールの検出精度の低下を防止することができる。
本発明の有効性を確認するために、絶縁破壊電圧を比較する比較試験を行った。本比較試験では比較例と実施例(上記実施形態相当)との検査装置(10)を用意した。比較例の検査装置(10)では、バー電極(第2電極、12)の印加電圧の極性が、導電性ローラ(第1電極、11)とは相対的に正に設定された。すなわち、比較例と実施例との間では第1電極及び第2電極が互いに逆に設定されており、それ以外の構成は同一とした。また、検査対象のフィルム(F)も同様に同一とした。そのときの比較試験結果を図6に示す。図6は、本発明に係る実施例及び比較例の比較試験結果を示すグラフである。
図6に示すように、比較例と実施例との検出結果を比較すると、ピンホール耐圧は同等であるが、基材耐圧は実施例の方が約0.2kV程度上昇していることが分かる。つまり、実施例は比較例よりもウインドウが広くなっており、これによりピンホールの検出を精度良く行われることが分かる。すなわち、本比較試験によって本発明の有効性が実証された。ここで、印加電圧の極性によって基材耐圧のみが変化し、ピンホール耐圧が変化しなかった理由について図7を用いて説明する。図7はバー電極と導電性ローラの間の系をブロック図で模式的に示したものであり、図7(a)はフィルム正常部分の検査時、図7(b)はピンホール発生部分の検査時を示している。一般的に絶縁破壊現象は正負の極性で異なる挙動を示すことが判っているが、図7(a)では上下非対称の系であるため極性を反転させると系が変化し、基材耐圧には極性による差異が表れる。一方、図7(b)では上下対称の系であるため、極性を反転させても実質同一の系となり、ピンホール耐圧は極性による差異が表れないものと考えられる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良などが可能である。
例えば、上記実施形態では、第2電極とフィルム(F)との間に何も介挿されなかったが、これらの間に誘電体を配置してもよい。したがって、例えば、外周に誘電体層を有するローラにより第2電極を構成してもよい。
本発明の検査方法を適用する製造工程は、電気絶縁性フィルム(例えばポリオレフィン製バッテリーセパレータフィルム、コーティングセパレータ、不織布製バッテリーセパレータ、コンデンサ用フィルム等)のほか、高精度ろ過用途として用いられるポリオレフィン微多孔フィルム等の製造工程にも好適である。
10 検査装置(フィルムのピンホール検査装置)
11 導電性ローラ(第1電極)
12 バー電極(第2電極)
13 電圧印加部
14 直流電源
F フィルム
L1 製造ライン
L2 検査ライン

Claims (13)

  1. フィルムに対しその両面を挟むように対向配置される一対の電極の間に直流電圧を印加する電圧印加工程と、
    前記一対の電極の間に流れる電流または前記一対の電極の間の電圧降下を検出する検出工程と、
    前記検出工程の検出結果に基づき前記フィルムにおけるピンホールの有無を判定する判定工程と、を含み、
    前記一対の電極のうち一方の第1電極は、前記フィルムの表面又は裏面である第1面に接触して配置され、
    前記一対の電極のうち他方の第2電極は、前記第1面とは反対側の第2面に対し離間して配置され、
    前記第2電極の印加電圧の極性は、前記第1電極とは相対的に負に設定される、
    フィルムのピンホール検査方法。
  2. 前記第1電極と前記第2電極との離間距離が50μm~200μmの範囲に設定される、
    請求項1に記載のフィルムのピンホール検査方法。
  3. 前記一対の電極の間に前記フィルムを搬送する搬送工程をさらに含み、
    前記第1電極は、その周面で前記フィルムの前記第1面に接触して前記フィルムを搬送する導電性ローラであり、前記搬送工程において前記フィルムを搬送しつつ電極としても機能する、
    請求項1又は2に記載のフィルムのピンホール検査方法。
  4. 前記第2電極は、円筒状に形成され、その長手方向が前記フィルムの搬送方向に垂直かつ前記フィルムの幅方向と平行になるように配置される、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルムのピンホール検査方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルムのピンホール検査方法により前記フィルムに対しピンホールの有無を検査する検査工程と、
    前記検査工程が施された前記フィルムを巻回する巻回工程と、を含む、
    フィルム製造方法。
  6. 同一の製造ラインで生成されるフィルムを複数の巻回体となるようにそれぞれ巻回する巻回工程と、
    前記複数の巻回体のうち1つを標本に選択し、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルムのピンホール検査方法により前記標本の前記フィルムに対し前記ピンホールの有無を検査する検査工程と、
    前記検査工程において前記ピンホールが検出されない場合、前記複数の巻回体のうちその残部を最終製造物として出荷する出荷工程と、を含む、
    フィルム製造方法。
  7. 前記標本を再度巻回する再巻回工程を更に含み、
    前記出荷工程において、前記標本も含めて前記複数の巻回体の全部を出荷する、
    請求項6に記載のフィルム製造方法。
  8. 製造ラインで生成されるフィルムを巻回体となるように巻回する巻回工程と、
    請求項1~4のいずれか1つに記載のフィルムのピンホール検査方法により前記巻回体のフィルムの一部に対し前記ピンホールの有無を検査する検査工程と、
    前記検査工程において前記ピンホールが検出されない場合、前記フィルムのうち前記ピンホールの有無を検査した箇所を切り取り、その残部を最終製造物として出荷する出荷工程と、を含む、
    フィルム製造方法。
  9. 前記製造ラインは、
    ポリオレフィン樹脂と可塑剤とを混練してポリオレフィン溶液を調製する溶液調製工程と、
    前記ポリオレフィン溶液をダイから吐出するとともに冷却してゲル状シートを成形するシート成形工程と、
    前記ゲル状シートを延伸して延伸シートを成形するシート延伸工程と、
    前記延伸シートから可塑剤を除去して微多孔膜を得る可塑剤除去工程と、を含む、
    請求項6~8のいずれか1項に記載のフィルム製造方法。
  10. フィルムに対しその両面を挟むように対向配置される一対の電極と、
    前記一対の電極の間に直流電圧を印加する電圧印加部と、
    前記一対の電極の間に流れる電流または前記一対の電極の間の電圧降下を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果に基づき前記フィルムにおけるピンホールの有無を判定する判定部と、を含み、
    前記一対の電極のうち一方の第1電極は前記フィルムの表面又は裏面である第1面に接触して配置され、
    前記一対の電極のうち他方の第2電極は前記第1面とは反対側の第2面に対し離間して配置され、
    前記第2電極の印加電圧の極性は、前記第1電極とは相対的に負に設定される、
    フィルムのピンホール検査装置。
  11. 前記第1電極と前記第2電極との離間距離が50μm~200μmの範囲に設定される、
    請求項10に記載のフィルムのピンホール検査装置。
  12. 前記電圧印加部に前記フィルムを搬送する搬送部をさらに含み、
    前記第1電極は、その周面で前記フィルムの前記第1面に接触して前記フィルムを搬送する導電性ローラであり、前記搬送部と一体に設けられて前記フィルムを搬送しつつ電極としても機能する、
    請求項10又は11に記載のフィルムのピンホール検査装置。
  13. 前記第2電極は、円筒状に形成され、その長手方向が前記フィルムの搬送方向に垂直かつ前記フィルムの幅方向と平行になるように配置される、
    請求項10~12のいずれか1項に記載のフィルムのピンホール検査装置。
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