JP7367927B2 - アリルエーテルおよびアリルシラン骨格を有する化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、非特許文献2に報告されている方法はアリルエーテルおよびアリルシラン骨格を有する化合物を生成するが、多置換アルケンの合成において反応が進行しにくく、基質が限定される、多段階の合成ステップが必要、副生成物にハロゲン塩を生じる等の課題がある。
上記に鑑み、本発明は、簡便かつ穏和な条件でアリルエーテルおよびアリルシラン骨格を有する有機化合物を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の具体的態様等を提供する。
[1] パラジウム錯体及び/又はパラジウム塩並びに銅塩の存在下、1,3-ジエン、アルコール、及びジシランを酸素雰囲気下において反応させる二官能基化反応工程を含む、アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
[2] 前記アルコールが式(A)で表され、前記1,3-ジエンが式(B)で表され、前記ジシランが式(C)で表され、前記アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物が式(D)で表される、[1]記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
[3] 前記銅塩が、二価の銅の塩である、[1]又は[2]に記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
[4] 前記二官能基化反応工程において、1,4-ベンゾキノンを用いる、[1]~[3]のいずれかに記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
[5] 前記パラジウム錯体が、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である、[1]~[4]のいずれかに記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
[6] 式(D’)で表されるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物。
本発明の一実施形態に係るアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法は、パラジウム錯体及び/又はパラジウム塩並びに銅塩の存在下、1,3-ジエン、アルコール、及びジシランを酸素雰囲気下において反応させる二官能基化反応工程(以下、「反応工程」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする。具体的には、例えば、以下に示す反応が挙げられる。なお、「アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物」とは、アリル基を共通とするアリルエーテル骨格(-O-C-C=C-)骨格及びアリルシラン骨格(-C=C-C-Si)を含んでいる有機化合物を意味し、その他の構造は特に限定されないものとする。
ジシラン及びアルコールを遷移金属触媒が失活する酸素雰囲気で反応させると、アルコールをアルコキシ化剤として利用できることを見出し、ジシランとアルコールからSi-Oを形成するのではなくケイ素置換基から離れた箇所に酸素原子を導入する方法に想到し、酸素置換基を有する新規有機ケイ素化合物の合成に成功した。本発明の一実施形態に係るアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法は、1,3-ジエンに対するアルコールとジシランの付加を比較的穏和な条件下で、一段階で行うことができ、多段階の反応を必要とする従来法に比べて、アリルエーテルとアリルシリル骨格の両方を有する化合物を非常に効率良く製造することができる。また、ジシランを利用してシリル化を行うため、ハロゲン化シラン等を用いた場合に比べて、安全性の観点からも優れていると言え、環境調和型物質変換技術と言える。さらに、本反応では、従来のメタセシス反応では困難であった四置換アルケンの合成が可能である。
以下、「アルコール」、「1,3-ジエン」、「ジシラン」、「パラジウム錯体」、「パラジウム塩」等について詳細に説明する。
本発明に用いられるアルコールの具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物に応じて適宜選択されるべきである。好ましくは、式(A)で表されるアルコール(以下、「アルコール」と略す場合がある。)が挙げられる。
R1-OH (A)
上記式中、R1は、炭素数2~30の置換若しくは無置換の炭化水素基を表す。本明細書において、「炭化水素基」とは、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、炭素-炭素不飽和結合、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよいことを意味する。
R1の炭素数は、通常30以下、好ましくは24以下、より好ましくは20以下である。
R1で表される炭素数2~30の無置換の炭化水素基としては、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-ド
コシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
R1で表される炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等の炭素数3~4のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;フラニル基等の含酸素複素環基、チエニル基等の含硫黄複素環基、ピロリル基、ピリジル基等の含窒素複素環等の複素環基;等が挙げられる。したがって、R1で表される炭化水素基が置換基を有する場合、R1としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等のアラルキル基;シクロヘキシルメチル基等のシクロアルキルアルキル基;フルフリル基等の含酸素複素環を有する炭化水素基;チエニルメチル基等の含硫黄複素環を有する炭化水素基;ピリジルメチル基等の含窒素複素環を有する炭化水素基等を好ましく挙げることができ、特に好ましくは、ベンジル基、1-ナフチルメチル基である。
なお、前記炭素数2~30の炭化水素基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。
アルコールとしては、下記式で表されるものが挙げられる。
本発明に用いられる1,3-ジエンの具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物に応じて適宜選択されるべきである。好ましくは、式(B)で表される1,3-ジエン(以下、「ジエン」と略す場合がある。)が挙げられる。
R2が炭化水素基である場合の炭素数は、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。
R2で表される炭素数1~20の無置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウ
ンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-ドコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
R2で表される炭化水素基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等の炭素数3~4のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
なお、前記炭素数1~20の炭化水素基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と炭化水素基の炭素数との合計の炭素数を意味する。また、2つのR2が共に炭化水素基である場合、2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよいが、その環状構造の炭素数は20以下となるものとする。
本発明に用いられるジシランの具体的種類は、特に限定されず、製造目的であるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物に応じて適宜選択されるべきである。好ましくは、式(C)で表されるジシラン(以下、「ジシラン」と略す場合がある。)が挙げられる。
R3の炭化水素基の炭素数は、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
R3で表される炭素数1~20の無置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-ドコシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基等の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
R3のアルコキシ基の炭素数は、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
R3で表される炭素数1~20の無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、iso-ペントキシ基、ネオペントキシ基、n-ヘキソキシ基、n-ヘプトキシ基、n-オクトキシ基等が挙げられる。
R3のアシル基の炭素数は、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。
R3で表される炭素数1~20の無置換のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、n-ブタノイル基、sec-ブタノイル基、n-ペンタノイル基、ピバロイル基、フェニルアセチル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
R3で表される炭化水素基、アルコキシ基又はアシル基が置換基を有する場合、前記置換基としては、重水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基等の炭素数3~4のシクロアルキル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10の芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のアシル基;等が挙げられる。
なお、前記炭素数1~20の炭化水素基、アルコキシ基、又はアシル基が置換基を有する場合、前記炭素数は、置換基の炭素数と炭化水素基、アルコキシ基、又はアシル基の炭素数との合計の炭素数を意味する。R3は、炭化水素基を含むことが好ましく、ジシランの2つのケイ素原子に結合する3つのR3の内、2つ以上が炭化水素基であることが好ましい。
ジシランとしては、下記式で表されるものが好ましく挙げられる。
反応工程において、パラジウム錯体及び/又はパラジウム塩は触媒として働く。パラジウム錯体及びパラジウム塩(以下、「パラジウム錯体等」と略す場合がある。)におけるパラジウムの酸化数、配位子若しくは対イオンの具体的種類等は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
パラジウムの酸化数は、通常0、+1、+2、+4、+6であるが、+2であることが好ましい。
配位子若しくは対イオン、又はこれらになり得る化合物としては、酢酸、2,4,6-トリメチル安息香酸(TMBA)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ベンゾニトリル(PhCN)、ジベンジリデンアセトン(dba)、アセチルアセトン(acac)、塩化物アニオン(Cl-)、臭化物アニオン(Br-)等が挙げられる。
なお、反応工程において、パラジウム錯体等を反応器に直接投入するほか、パラジウム元素を含む前駆体と配位子若しくは対イオンとなり得る化合物を添加剤として投入して、反応器内で目的のパラジウム錯体等を形成させてもよい。例えば、酢酸パラジウム(II)と2,4,6-トリメチル安息香酸(TMBA)を反応させることによって、2,4,6-トリメチル安息香酸パラジウム(II)(Pd(TMBA)2)を形成することが挙げられる。
パラジウム元素を含んだ前駆体の種類としては、塩化パラジウム(II)(PdCl2)、臭化パラジウム(II)(PdBr2)、酢酸パラジウム(II)(Pd(CH3CO2)2)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)(Pd(CF3CO2)2)等が挙げられる。
パラジウム錯体等としては、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc)2)、2,4,6-トリメチル安息香酸パラジウム(II)(Pd(TMBA)2)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)(Pd(TFA)2)、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)(PdCl2(PhCN)2)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(
0)(Pd(dba)2)、アセチルアセトンパラジウム(II)(Pd(acac)2)等が挙げられる。上記のものであると、より効率良くアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物を製造することができる。中でも、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2)が好ましい。
反応工程において用いられる銅塩は特に限定されないが、CuI、CuCl、CuCl2、CuBr、CuBr2、CuSO4、Cu(NO3)2、Cu(BF4)2等が挙げられる。中でも、ハロゲン化銅が好ましく、CuCl2、CuBr2等の二価の銅塩を用いることがより好ましい。銅塩は1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
反応工程は、酸素雰囲気下で行われることを特徴とするが、本発明の効果を損なわない範囲で、不活性ガス等の酸素ガス以外のガスが存在していてもよい。また、反応工程は加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよく、通常0.01atm以上、好ましくは0.05atm以上、より好ましくは0.1atm以上であり、通常10atm以下、好ましくは5atm以下、より好ましくは2atm以下である。
反応工程は、通常溶媒を使用することが好ましい。また、溶媒の種類は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。この中でもN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)が特に好ましい。溶媒は1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記のものであると、より効率良くアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物を製造することができる。
反応工程において、銅の再酸化に寄与できる又はPd触媒の配位子となる添加剤を用いることが好ましい。そのような添加剤としては、ヒドロキノン、1,4-ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン、2,5-ジ-tert-アミルベンゾキノン、2,3,5-トリメチル-1,4-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン、1,4-アントラセンジオン、2-エチルアントラキノンナフトキノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン等のキノン類;銀塩などの金属塩等が挙げられ、収率向上の観点から、1,4-ベンゾキノンを用いることが好ましい。添加剤は1種を用いてもよいし、2種以上を用い
てもよい。
上記の添加剤を用いることにより、より効率良くアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物を製造することができる。
反応工程の反応温度は、通常25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。
反応工程の反応時間は、通常1時間以上、好ましくは3時間以上、より好ましくは6時間以上であり、通常120時間以下、好ましくは96時間以下、より好ましくは72時間以下である。
上記範囲内であると、より効率良くアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物を製造することができる。
本実施形態に係るアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法においては、上記二官能基化工程の他、任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の純度を高めるための精製工程が挙げられる。精製工程においては、ろ過、吸着、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の有機合成分野で通常行われる精製方法を採用することができる。
本発明の製造方法によって式(D)で表されるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物を製造することができることを前述したが、下記式(D’)で表されるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物も本発明の一態様である。
、それぞれ独立して、炭素数1~20の置換若しくは無置換の炭化水素基を表し、R3は、それぞれ独立して、炭素数1~20の置換若しくは無置換の炭化水素基、炭素数1~20の置換若しくは無置換のアルコキシ基、又は炭素数1~20の置換若しくは無置換のアシル基を表す。但し、2つのR2が連結して環状構造を形成していてもよい。
なお、R1、R2、R3については、項目「1.アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法」において説明したものと同義である。
アリルエーテルおよびアリルシラン骨格を有する化合物は、例えば、下記式に示されるように、さらなる反応への応用が可能である。本発明の一実施形態に係るアリルエーテルおよびアリルシラン骨格を有する化合物は、医薬品、工業的化成品などの各種用途への応用が期待される。
[実験例1]
撹拌子を投入した30mLナスフラスコに、Pd(dba)2(5mol%,0.0287g)、CuI(10mol%,0.0190g)を入れ、そこにN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(3mL)を加え、アルゴン置換した。その後、室温で30分間撹拌した。撹拌後、ヘキサメチルジシラン(3mmol,0.4g)、ベンジルアルコール(1mmol,0.108g)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン(3mmol,0.246g)を加えた。環流管の上部に二方コック、さらに酸素ガスを入れたバルーンを取り付けて、系中を酸素雰囲気下にし、オイルバスで70℃(反応温度)に加熱して、撹拌しながら16時間(反応時間)反応させた。反応終了後、還流管内部を洗うようにクエンチ溶媒として、トルエン(10mL)を加えた。
内部基準法(内部基準物質:デカン)により基質の転化率、並びに生成物等の収率を算出(結果を表1に示す。)するとともに、NMR、GC-MS等で分析して生成物の定性を行った。結果、下記式4で表されるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物が生成していることを確認した。また、生成物の収率はベンジルアルコールを基準として算出した。
生成物のNMR測定結果を以下に示す。
1H-NMR (400MHz; CDCl3) δ: 7.38-7.37 (m, 5H), 7.30-7.27 (m, 5H), 4.49 (s, 2H), 3.94 (s, 2H), 1.78 (dd, J = 1.8, 0.9 Hz, 3H), 1.71 (dd, J = 1.7, 0.8 Hz, 3H), 1.62 (d, J = 0.9 Hz, 2H), 0.00 (s, 9H).
13C-NMR (100MHz; CDCl3) δ: 139.77 (C), 132.82 (C), 129.20 (CH), 128.79 (CH), 128.35 (CH), 123.07 (C), 72.76 (CH2), 71.89 (CH2), 26.48 (CH2), 22.60 (CH3), 17.54
(CH3), 0.00 (CH3).
GC-MS (EI) m/z (relative intensity) 262(1) [M]+, 73(100), 91(81), 82(73)
[実験例2、3]
1,3-ブタジエンの量を表1に示すとおりに変更した以外、実験例1と同様の方法により実験例2、3の反応を行った。結果を表1に示す。
[実験例4、5]
2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンの量を表2に示すとおりに変更した以外、実験例2と同様の方法により反応を行った。結果を、実験例2の結果と併せて表2に示す。
[実験例6~8]
添加剤の種類をヨウ化銅(CuI)から表3に示すとおりに変更した以外、実験例2と同様の方法により反応を行った。結果を、実験例2の結果と併せて表3に示す。
[実験例9]
触媒の種類をパラジウム錯体Pd(dba)2から表4に示すとおりに変更した以外、実験例6と同様の方法により実験例9の反応を行った。結果を、実験例6の結果と併せて表4に示す。
[実験例10]
ヘキサメチルジシランの量を表5に示すとおりに変更した以外、実験例6と同様の方法
により実験例22の反応を行った。結果を、実験例6の結果と併せて表5に示す。
[実験例11]
添加剤の種類を表6に示す通りに変更した以外、実験例10と同様の方法により実験例11の反応を行った。結果を、実験例10の結果と併せて表6に示す。
[実験例12]
撹拌子を投入した30mLナスフラスコに、Pd(dba)2(5mol%,0.02
87g)、CuCl(10mol%,0.0099g),1,4-ベンゾキノン(40mol%,0.0432g)を入れ、そこにN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(3mL)を加え、アルゴン置換した。その後、ナスフラスコをスターラ―を用いて室温で30分間撹拌した。撹拌後、ヘキサメチルジシラン(4mmol,0.586g)、ベンジルアルコール(1mmol,0.108g)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン(3mmol,0.246g)加えた。環流管の上部に二方コック、さらに酸素ガスを入れたバルーンを取り付けて、系中を酸素雰囲気下にし、オイルバスで70℃(反応温度)に加熱して、撹拌しながら16時間(反応時間)反応させた。反応終了後、還流管内部を洗うようにクエンチ溶媒として、トルエン(10mL)を加えた。
内部基準法(内部基準物質:デカン)により基質の転化率、並びに生成物等の収率を算出(結果を表7に示す。)するとともに、NMR、GC-MS等で分析して生成物の定性を行った。結果、下記式4で表されるアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物が生成していることを確認した。また、生成物の収率はベンジルアルコールを基準として算出した。
添加剤として銅塩の種類を表7に示す通りに変更した以外は、実験例12と同様の方法により反応を行った。結果を表7に示す。
[実験例18~21]
基質の1,3-ジエン及びジシランの量を表8に示す通りに変更した以外は、実験例15と同様の方法により反応を行った。結果を表8に示す。
[実験例22~24]
ベンゾキノンの使用量を表9に示す通りに変更した以外は、実験例15と同様の方法により実験例22~24の反応を行った。結果を、実験例15の結果と併せて表9に示す。
[実験例25、26]
雰囲気を表10に示す通りに変更した以外は、実験例15と同様の方法により実験例25、26の反応を行った。結果を、実験例15の結果と併せて表10に示す。
[実験例27]
アルコールの種類を表11に示す通りに変更した以外、実験例11と同様の方法により実験例27の反応を行った。結果を、実験例11の結果と併せて表11に示す。
Claims (4)
- パラジウム錯体及び/又はパラジウム塩並びに銅塩の存在下、1,3-ジエン、アルコール、及びジシランを酸素雰囲気下において反応させる二官能基化反応工程を含み、
前記アルコールが式(A)で表され、前記1,3-ジエンが式(B)で表され、前記ジシランが式(C)で表され、前記アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物が式(D)で表される、アリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
上記式中、R 1 は、炭素数2~30の炭化水素基、又は置換基を有する炭素数2~30の炭化水素基を表し、前記置換基は、重水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基、又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり;R 2 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、又は置換基を有する炭素数1~20の炭化水素基を表し、前記置換基は、重水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基、又は炭素数6~10の芳香族炭化水素基であり;R 3 は、それぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基、置換基を有する炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、又は置換基を有する炭素数1~20のアルコキシ基を表し、前記置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基、炭素数6~10の芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基である。但し、2つのR 2 が共に炭化水素基である場合、2つの炭化水素基が連結して環状構造を形成していてもよい。 - 前記銅塩が、二価の銅の塩である、請求項1に記載のアリルエーテル及びアリルシラン
骨格を有する化合物の製造方法。 - 前記二官能基化反応工程において、1,4-ベンゾキノンを用いる、請求項1又は2に記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
- 前記パラジウム錯体が、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアリルエーテル及びアリルシラン骨格を有する化合物の製造方法。
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| Electrochimica Acta,1988年,Vol.33, No.11,pp.1635-1644 |
| J.Org.Chem.,2015年,Vol.80,pp.2017-2023 |
| Tetrahedron,1997年,Vol.53, No.29,pp.9935-9964 |
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