JP7368470B2 - 細胞培養用容器の製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕 開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を有する細胞培養用基材と少なくとも前記凹部に培養液を供える細胞培養用容器の製造方法であって、口径が直径3mm以下の送液口部から、及び/又は、流速100cm/s以上で、送液用液を送液する工程を含む、細胞培養用容器の製造方法。
〔2〕 開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を有する細胞培養用基材と少なくとも前記凹部に培養液を供える細胞培養用容器の脱泡方法であって、口径が直径3mm以下の送液口部から、及び/又は、流速100cm/s以上で、送液用液を送液する、細胞培養用容器の脱泡方法。
〔3〕 開口部面積1cm2あたり0.001mL/s以上の流量で送液する、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕 凹部の0.1~10mm上方から送液する、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕 送液口部の口径が直径2.5mm以下である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕 送液口部の直径と凹部開口部の直径の比(送液口部の直径/凹部開口部の直径)が30以下である、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕 細胞培養用基材が、開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を複数有し、該凹部の内側面が細胞非接着性表面を有し、かつ、該凹部の底面が細胞接着性表面を有する細胞培養用シートである、前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕 無菌環境下で行う、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕 送液前に、細胞培養用基材に送液用液を予め注入する、前記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕 前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法により得られた細胞培養用容器を用いる、細胞の培養方法。
〔11〕 前記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法により得られた細胞培養用容器を用いる、スフェロイドの製造方法。
例えば、凹部の内側面と凹部の底面が異なる材質で構成される細胞培養用基材の一例として、凹部の内側面が細胞非接着性表面を有し、かつ、凹部の底面が細胞接着性表面を有する細胞培養用シートを挙げることができる。かかる細胞培養用シートは、開口部の口径が小さいことに加え前記表面特性を有することで、例えば、培養液を注入しただけでは、図1(未脱泡)に示すように気泡が凹部に残存しやすくなるが、本発明により、凹部中の気泡の形成や残存が目視では確認されにくいものとなる。
このような物質の一例を挙げると、具体的には、生体から取得され若しくは合成された物質が挙げられ、例えば、タンパク質(コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等)や、合成樹脂(スチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、これらの混合物や表面改質物等)が含まれる。合成樹脂を選択する場合、合成樹脂自体の強度や耐熱性から、取り扱い性に優れる細胞培養用シートを得ることができる。また、生体適合性の観点から、該シートを用いて得られる培養細胞もしくはスフェロイドの均一性が向上する観点から、または、種々の細胞と適度に接着することにより培地交換作業が容易となる観点から、スチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂やポリイミド樹脂のような合成樹脂を選択することが好ましい。スチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂やポリイミド樹脂のような非生物由来の成分を選択することで、スチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂やポリイミド樹脂等を含む細胞培養用基材を用いて得られるスフェロイドは、再生医療や創薬等の分野への適用が容易となる。
Yは2価の有機基を示し;
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、及びZ6は互いに独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のいずれかを示し、
pは0または1である。
なお、ポリイミド樹脂において、式(I)で示される化学構造は、樹脂の構成単位ごとに異なってもよく、同一であってもよい。X0、Y、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、及びZ6の少なくとも1つはフッ素原子を1個以上含むことが好ましい。
特に、細胞接着性を示す物質又は細胞接着性表面[疎水性(特に、超疎水性でない疎水性)の細胞接着性を示す物質又は細胞接着性表面]は、静的水接触角が70°以上であることが好ましい。細胞接着性表面がこのような条件を満たすことにより、スフェロイド形成がより一層促進される。スフェロイド形成性の観点から、静的水接触角は、より好ましくは75°超であり、さらに好ましくは77°以上、よりさらに好ましくは79°以上、特に好ましくは80°以上(例えば80°超)であり、静的水接触角の上限は、例えば150°未満であり、好ましくは120°以下(例えば、120°未満)であり、より好ましくは110°以下であ、特に100°以下(例えば99°未満、98°以下、97°以下、95°以下等)であり、さらに好ましくは90°未満である。
また、同様の観点から、細胞接着性を示す物質又は細胞接着性表面の転落角は、18°以上、19°以上、20°以上、22°以上、24°以上、26°以上、28°以上、30°以上の順で高いほど好ましい。転落角の上限値は、例えば80°未満であり、好ましくは70°以下(例えば70°未満)であり、より好ましくは60°以下(例えば60°未満)であり、さらに好ましくは50°以下(例えば50°未満)である。
なお、前記表面特性は公知の方法に従って測定することができる。例えば、静的水接触角や転落角は、例えば後述の方法等により測定してもよい。
このような物質の一例を示すと、具体的には、例えば、(ポリ)エチレングリコール及びその誘導体、MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)及びその誘導体、HEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)及びその誘導体等を含む化合物あるいはそれら化合物の重合体[例えば、poly-HEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)等]、SPC(セグメント化ポリウレタン)及びその誘導体等の化合物や、生体から取得されたタンパク質(アルブミン等)、細胞が接着しない糖鎖(アガロース、セルロース等)を、細胞の種類に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、細胞接着性表面や合成樹脂との接着性の観点から、または、細胞培養用基材ないし細胞培養用シートの製造工程を簡素化できる観点から、または、得られる培養細胞もしくはスフェロイドの均一性が向上する観点から、MPC及びその誘導体あるいはそれらの重合体が好ましい。
細胞非接着性を示す表面は、培養される細胞のサイズを均一にしたり、円形度を向上させたりする観点から、その表面特性として、例えば、静的水接触角を指標として判断することができる。例えば、前記細胞非接着性を示す物質で形成された疎水性表面である場合、静的水接触角は、好ましくは90°以上、より好ましくは93°以上、さらに好ましくは95°以上である。また、150°以下であってもよく、好ましくは130°以下、より好ましくは120°以下である。
一方、親水性表面である場合、静的水接触角は、好ましくは65°以下、より好ましくは55°以下、さらに好ましくは50°以下である。また、0°以上であってもよく、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上である。
このような物質の一例を示すと、疎水性が高いMPC(又は当該MPCで形成された表面)では、静的水接触角が、例えば90°以上、100°以上のような静的水接触角を実現しうる。
また、静的水接触角は、例えば後述の方法等により測定してもよい。
<細胞接着性表面を有する層の調製(含フッ素ポリイミドフィルムの調製)>
500mL容量の三口フラスコに、4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物25.332g(0.057モル)、N-メチルピロリドン166.60gを仕込み溶解した。そこへ、1,4-ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン16.668g(0.049モル)をN-メチルピロリドン71.4gに溶解したものを滴下投入し、窒素雰囲気下室温で撹拌後、5日間保持することで、含フッ素ポリアミド酸樹脂組成物(固形分濃度15質量%、6FDA/TPEQポリアミド酸)を得た。該ポリアミド酸の重量平均分子量は15.3万で、粘度は6.7Pa・sであった。なお、ポリアミド酸の重量平均分子量と、焼成後の含フッ素ポリイミドの重量平均分子量とは実質的に同一である。
(重量平均分子量の測定)
装置:東ソー株式会社製HCL-8220GPC
カラム:TSKgel Super AWM-H
溶離液(LiBr・H2O、リン酸入りNMP):0.01mol/L
測定方法:0.5重量%の溶液を溶離液で作製し、ポリスチレンで作製した検量線をもとに分子量を算出する。
(粘度の測定)
装置:アズワン製 粘度計 VISCOMETER TV-22
設定:VI RANGE:H ROTOR No.6 SPEED:10rpm
粘度計校正用標準液:日本グリース(株) JS 14000
測定方法:粘度計校正用標準液で校正後、ワニス0.3gを用いて測定する。(測定温度:23℃)
(静的水接触角の測定)
装置:自動接触角計(協和界面科学製:DM-500)
測定方法:表面(細胞非接着性表面又は細胞接着性表面)又はフィルム(細胞非接着性又は細胞接着性を示す物質で形成したフィルム)上に水2μLを滴下した直後の液滴の付着角度を測定する(測定温度:25℃)。
(転落角の測定)
装置:自動接触角計(協和界面科学製:DM-500)
測定方法:表面(細胞非接着性表面又は細胞接着性表面)又はフィルム(細胞非接着性又は細胞接着性を示す物質で形成したフィルム)上に水25μLを滴下した後、シートを連続的に傾けていき、流れ落ちた際の角度を転落角とする(測定温度:25℃)。
両面テープ(厚み25μm)の片面の剥離テープを剥離後透明なPETフィルム(厚み250μm)に貼り合わせたものに対して、CO2レーザーを用いて、直径300μm、ピッチ500μmで千鳥配置の貫通孔を形成した(形成された貫通孔:400個/cm2、42000個/シート、レーザー入射側孔径500μm、レーザー放出側孔径300μm)。その後、PETフィルム側の表面にスピンコーター(ミカサ製:MS-A150)を用いて、MPCポリマー溶液(0.5%エタノール溶液)を厚みが0.05μmとなるようにコーティングし、50℃の乾燥機内で2時間乾燥処理して、細胞非接着性表面を有する層[PETフィルムのコーティング層(MPCポリマーのコーティング層)側の静的水接触角107.5°]を得た。
次いで、細胞非接着性表面を有する層の両面テープのもう一方の剥離テープを除去した側の面に、上記で作製した細胞接着性表面を有する層を貼りあわせて、細胞培養用シートを調製した(シート厚み:315μm)。得られた細胞培養用シートを培養プレート内へ設置し、細胞培養に用いる細胞培養用基材を完成した。
上記で調製した細胞培養用基材を用いて脱泡処理を行った。具体的には、安全キャビネット内で、はじめに細胞培養用基材へ20mL程度のPBSをデカントで加えた(この時の培養容器の状態は図1の未脱泡状態であり、99%程度のウェルに気泡が認められた)。次に、18Gノンベベル針(内径0.9mm、テルモ製)を取り付けた20mLオールプラスチック(ニプロ製)に20mLのPBSを充填し、針の先端が容器内のPBSの液中に浸かる位置(凹部開口上端面から2mm程上方)で水平移動させながらシリンジを押し出すことによって、基材全表面の1/3程度の範囲に8秒程で全量を送液(開口部面積1cm2あたり約0.09mL/s、流速約393cm/s)した後、次いで、容器内のPBSをシリンジで吸い取ってシリンジにPBSを再充填してから、再び、残る範囲に対しても同様の送液を繰り返して脱泡を行った(図1の脱泡済みの状態)。ほとんどのウェルに気泡が認められなくなったが、気泡が残った部分に対しては上記の脱泡を同様にして行った。かかる処理により、ほぼ全ての気泡を除くことができた。その後、37℃の5%(v/v)CO2インキュベーター内で15分間静置した後、再びシリンジに充填したPBSを押し出すことで新たに生じた気泡を取り除いた。このような脱泡後、凹部からPBSが完全にはなくならないようにPBSを除去してから、1%抗生物質を含んだKBM ADSC-2培地を21mL加えて、37℃の5%(v/v)CO2インキュベーター内で1晩静置して、凹部に培養液が充填された培養基材を有する培養容器を得た。
<細胞の拡大培養>
細胞は、ヒト脂肪由来幹細胞(Human adipose derived stem cell:AdSC)を用いた。AdSCはメーカー品(ロンザ社、PT-5006)を購入して使用した。
培養用フラスコから培地を除去し、細胞剥離液accutase(プロモセル製)を5mL添加した後、37℃の5%(v/v)CO2インキュベーター内で5分程度保持して細胞を剥離した。次いで、剥離液を回収し、PBSを用いて総量が15mLとなるようにしてチューブへ移した。210×gで5分間遠心処理を施し、4mLの1%抗生物質を含んだKBM ADSC-2培地で懸濁させて、細胞数のカウントを行った。その後、1.0×106細胞/mLの濃度となるように調製した。
各ウェルの培養面に開口部口径が2.5μmの凹部が複数設けられているNanoCulture Plate MS Pattern High-Binding 24 well(SCIVAXライフサイエンス製)を用いる以外は、実施例1を参照にして培養容器を得た。具体的には、18Gノンベベル針(内径0.9mm、テルモ製)を取り付けた20mLオールプラスチック(ニプロ製)にPBSを充填し、各ウェルにおいて、針の先端が凹部開口上端面から2mm程上方となる位置で、8秒程で20mLを送液(開口部面積1cm2あたり約0.09mL/s、流速約393cm/s)して脱泡した。
各ウェルの培養面に開口部口径が2.5μmの凹部が複数設けられているNanoCulture Plate MS Pattern Low-Binding 24 well(SCIVAXライフサイエンス製)を用いる以外は、実施例1を参照にして培養容器を得た。具体的には、18Gノンベベル針(内径0.9mm、テルモ製)を取り付けた20mLオールプラスチック(ニプロ製)にPBSを充填し、各ウェルにおいて、針の先端が凹部開口上端面から2mm程上方となる位置で、8秒程で20mLを送液(開口部面積1cm2あたり約0.09mL/s、流速約393cm/s)して脱泡した。
実施例2と実施例3の培養容器について、脱泡処理前の培養基材に培養液を充填した場合(未脱泡)と対比して顕微鏡観察を行なった。泡が残っている部分は黒く、泡が残っていない部分が白く見える部分である。
Claims (14)
- 開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を有する細胞培養用基材と少なくとも前記凹部に培養液を供える細胞培養用容器の製造方法であって、送液前に、送液用液を事前に細胞培養用基材に注入してから、凹部の0.1~10mm上方から、口径が直径3mm以下の送液口部から、流速100cm/s以上、かつ開口部面積1cm 2 あたり0.001mL/s以上の流量で、注入された液内に浸かる位置で、送液用液を送液する工程を含む、細胞培養用容器の製造方法。
- 開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を有する細胞培養用基材と少なくとも前記凹部に培養液を供える細胞培養用容器の脱泡方法であって、送液前に、送液用液を事前に細胞培養用基材に注入してから、凹部の0.1~10mm上方から、口径が直径3mm以下の送液口部から、流速100cm/s以上、かつ開口部面積1cm 2 あたり0.001mL/s以上の流量で、注入された液内に浸かる位置で、送液用液を送液する、細胞培養用容器の脱泡方法。
- 口径が直径2.5mm以下の送液口部から送液する、請求項1又は2記載の方法。
- 流速200cm/s以上で送液する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
- 細胞培養用容器をCO2インキュベーター内で静置する工程を含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
- 開口部面積1cm2あたり0.01mL/s以上の流量で送液する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
- 口径が直径2.5mm以下の送液口部から、流速200cm/s以上、かつ開口部面積1cm 2 あたり0.01mL/s以上の流量で、送液用液を送液する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
- 口径が直径2.0mm以下の送液口部から、流速250cm/s以上、かつ開口部面積1cm 2 あたり0.03mL/s以上の流量で、送液用液を送液する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
- 送液口部の直径と凹部開口部の直径の比(送液口部の直径/凹部開口部の直径)が30以下である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
- 細胞培養用基材が、開口部の口径が直径1000μm以下の凹部を複数有し、該凹部の内側面が細胞非接着性表面を有し、かつ、該凹部の底面が細胞接着性表面を有する細胞培養用シートである、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
- 無菌環境下で行う、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
- 送液前に、細胞培養用基材に送液用液を予め注入する、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
- 請求項1~12のいずれかに記載の方法により細胞培養用容器を製造又は脱泡し、得られた細胞培養用容器を用いる、細胞の培養方法。
- 請求項1~12のいずれかに記載の方法により細胞培養用容器を製造又は脱泡し、得られた細胞培養用容器を用いる、スフェロイドの製造方法。
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