JP7369989B2 - 糖鎖の製造方法、糖鎖合成用のビルディングブロックおよび化合物 - Google Patents
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Description
<1>
下記式(1)で表されるビルディングブロック、および、下記式(1)で表されるビルディングブロック由来の糖残基と下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基とを含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックAを、電解質を含む非プロトン性有機溶媒中で電解酸化し、
下記式(2)で表されるビルディングブロック、および、下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を複数含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックBと、電解酸化したビルディングブロックAとをグリコシル化することを含む、糖鎖の製造方法;
式(1)
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1およびR2は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す;
式(2)
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、1価の有機基を表し、
R4は、水素原子または1価の有機基を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
<2>
Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.2以上であり、かつ、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.2以上である、
<1>に記載の製造方法。
<3>
Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が1.5以下であり、かつ、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が1.5以下である、
<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>
Z1~Z10のうち少なくとも1つがハロゲン原子である、
<1>~<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>
Z1~Z5のうち少なくとも1つがハロゲン原子であり、Z6~Z10のうち少なくとも1つがハロゲン原子である、
<4>に記載の製造方法。
<6>
Z1~Z5のうち、2つがハロゲン原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z6~Z10のうち、2つがハロゲン原子であって、それ以外が水素原子である、
<5>に記載の製造方法。
<7>
Z1~Z5のうち、1つがハロゲン原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z6~Z10のうち、1つがハロゲン原子であって、それ以外が水素原子である、
<5>に記載の製造方法。
<8>
ハロゲン原子が、塩素原子および臭素原子の少なくとも1種である、
<4>~<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
<9>
式(1)で表されるビルディングブロックとして、下記式(1-2)で表されるビルディングブロックが使用される、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の製造方法;
式(1-2)
L1は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、
R5およびR6は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
R5およびR6は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
tは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
<10>
tが0または1である<9>に記載の製造方法。
<11>
式(2)で表されるビルディングブロックとして、下記式(2-2)で表されるビルディングブロックが使用される、
<1>~<10>のいずれか1つに記載の製造方法;
式(2-2)
R7は、1価の有機基を表し、
R8は、それぞれ独立して水素原子または1価の有機基を表し、
R7およびR8は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
uは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
R8(O)rのうち少なくとも1つは水酸基であり、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
<12>
uが0または1である<11>に記載の製造方法。
<13>
ビルディングブロックAおよびビルディングブロックBのうち少なくとも1種が二糖類であり、成果物として三糖類以上の多糖類を得る、
<1>~<12>のいずれか1つに記載の製造方法。
<14>
下記式(1)で表される、または、下記式(1)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を含む、糖鎖合成におけるビルディングブロック;
式(1)
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1およびR2は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
<15>
下記式(2)で表される、または、下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を含む、糖鎖合成におけるビルディングブロック;
式(2)
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、1価の有機基を表し、
R4は、水素原子または1価の有機基を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
<16>
下記式(3)で表される化合物;
式(3)
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1は、フタルイミド基、アジド基、アミド基、アルキル基、-[O(CH2)i]j-OCkH2k+1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは0~5の整数を表し、kは1~10の整数を表す。)、-[O(CH2)i]j-OCkH2k-1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは0~5の整数を表し、kは2~10の整数を表す。)、-O-C(=O)-CkH2k+1(ここで、kは1~10の整数を表す。)、-O(CH2)i-Ar(ここで、iは1~10の整数を表し、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)、-O-C(=O)-Ar(ここで、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)またはアルキルシロキシ基を表し、
R2は、アルキル基、-[(CH2)iO]j-CkH2k+1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは1~5の整数を表し、kは1~10の整数を表す。)、-C(=O)-CkH2k+1(ここで、kは1~10の整数を表す。)、-(CH2)i-Ar(ここで、iは1~10の整数を表し、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)、-C(=O)-Ar(ここで、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
A1およびSの間の結合は、エクアトリアル配置である。
<17>
下記式(4)で表される化合物;
式(4)
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、フタルイミド基、アジド基、アミド基、アルキル基、-[O(CH2)i]j-OCkH2k+1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは0~5の整数を表し、kは1~10の整数を表す。)、-[O(CH2)i]j-OCkH2k-1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは0~5の整数を表し、kは2~10の整数を表す。)、-O-C(=O)-CkH2k+1(ここで、kは1~10の整数を表す。)、-O(CH2)i-Ar(ここで、iは1~10の整数を表し、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)、-O-C(=O)-Ar(ここで、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)またはアルキルシロキシ基を表し、
R4は、水素原子、アルキル基、-[(CH2)iO]j-CkH2k+1(ここで、iは1~10の整数を表し、jは1~5の整数を表し、kは1~10の整数を表す。)、-C(=O)-CkH2k+1(ここで、kは1~10の整数を表す。)、-(CH2)i-Ar(ここで、iは1~10の整数を表し、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)、-C(=O)-Ar(ここで、Arは炭素数6~10のアリール基を表す。)を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
A2およびSの間の結合は、エクアトリアル配置である。
<18>
下記式(5)で表される化合物;
式(5)
L31およびL32は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基またはエチレン基を表し、
R9は、それぞれ独立して、フタルイミド基、アジド基、アセチルオキシ基、アセトアミド基、ベンジルオキシ基またはベンゾイルオキシ基を表し、
R10は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、トリメチルアセチル基、ベンジル基またはベンゾイル基を表し、
xは、0~10の整数を表し、
y1およびy2は、それぞれ独立して、0~2の整数を表し、
z1は、それぞれ独立して、2または3の整数を表し、
z2は、2~4の整数を表し、
y1+z1=3、かつ、y2+z2=4であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
本発明の糖鎖の製造方法は、
下記式(1)で表されるビルディングブロック、および、下記式(1)で表されるビルディングブロック由来の糖残基と下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基とを含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックAを、電解質を含む非プロトン性有機溶媒中で電解酸化し、
下記式(2)で表されるビルディングブロック、および、下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を複数含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックBと、電解酸化したビルディングブロックAとをグリコシル化することを含む。
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1およびR2は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。なお、環構造A1の構成原子の結合手のうち、環を形成せずかつ硫黄原子S、R1およびL1のいずれにも結合してない結合手には、水素原子が結合しているものとする。
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、1価の有機基を表し、
R4は、水素原子または1価の有機基を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。なお、環構造A2の構成原子の結合手のうち、環を形成せずかつ硫黄原子S、R3およびL2のいずれにも結合してない結合手には、水素原子が結合しているものとする。
ビルディングブロックAは、式(1)で表されるビルディングブロック単体でもよく、式(1)で表されるビルディングブロック由来の糖残基と式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基とを含むビルディングブロックでもよく、これらの混合物でもよい。なお、式(2)で表されるビルディングブロックの詳細な説明については、ビルディングブロックBの説明とともに行う。
L1は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、
R5およびR6は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
R5およびR6は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
tは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
ビルディングブロックBは、式(2)で表されるビルディングブロック単体でもよく、式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を複数含むビルディングブロックでもよく、これらの混合物でもよい。
R7は、1価の有機基を表し、
R8は、それぞれ独立して水素原子または1価の有機基を表し、
R7およびR8は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
uは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
R8(O)rのうち少なくとも1つは水酸基であり、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
本発明の製造方法において使用する電解質は、ビルディングブロックAを反応中間体として活性化させることができれば、特に限定されないが、硫黄系アニオン(硫黄原子を含むアニオンを意味する。以下同じ。)、リン系アニオン、ホウ素系アニオンおよび塩素酸化物系アニオンの少なくとも1種を含む電解質であることが好ましく、硫黄系アニオンまたは塩素酸化物系アニオンを含む電解質であることがより好ましく、硫黄系アニオンを含む電解質であることがさらに好ましい。硫黄系アニオンは、例えば、スルファート系アニオン(XSO4 -:Xは任意の基)、スルホナート系アニオン(XSO3 -)およびフルオロスルホン酸系アニオン(フッ素を含有する硫黄酸化物のアニオン)などである。リン系アニオンは、例えば、ホスファート系アニオン(XPO4 -)、ホスホナート系アニオン(XPO3 -)、ホスフィナート系アニオン(XPO2 -)およびフルオロリン酸系アニオン(フッ素を含有するリン酸化物のアニオン)などである。ホウ素系アニオンは、例えば、ホウ酸系アニオン(XBO3 -)、ボロン酸系アニオン(XBO2 -)およびフルオロホウ酸系アニオン(フッ素を含有するホウ素酸化物のアニオン)などである。また、塩素酸化物系アニオンは、例えば、過塩素酸アニオン(パークロレートアニオン)(ClO4 -)、塩素酸アニオン(ClO3 -)および亜塩素酸アニオン(ClO2 -)などである。
式(E1)
X1S(=O)2(-O)-
式(E2)
(RE)4(X2)+
非プロトン性有機溶媒は、プロトン(H+)を供与しにくく、電解質を溶解できる有機溶媒であれば、特段制限されないが、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2、-NHR。ここで、Rは有機基である。)およびニトロ基(-NO2)を有しないことが好ましい。非プロトン性有機溶媒は、極性が比較的小さい非極性溶媒でも、極性が比較的大きい極性溶媒でもよい。非プロトン性有機溶媒のうち、非極性溶媒としては、例えば、ヘキサン、ベンゼンおよびトルエンのような炭化水素、対称性の高い構造を有するエーテル類(例えば、点対称構造を有するジエチルエーテルなど)、クロロホルムおよび塩化メチレンなどを使用でき、極性溶媒としては、例えば、アセトン、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、アセトニトリル、上記以外のエーテル類(例えば、テトラヒドロフランなど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルホルムアミド(DMF)などを使用できる。非プロトン性有機溶媒は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレンおよびアセトニトリルの少なくとも1種を含むことが好ましく、塩化メチレンを含むことがより好ましい。非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
電解酸化とグリコシル化を実施する工程は、ビルディングブロックAと電解液と非プロトン性有機溶媒を含む組成物(以下、「反応液」ともいう。)への通電工程a、ビルディングブロックBと非プロトン性有機溶媒を含む組成物(以下、「添加液」ともいう。)の添加工程b、および、これらビルディングブロックのグリコシル化の促進工程cを含み、これらの3工程を含むシーケンスを1サイクルとして、これを複数回実施することで、糖鎖をスケールアップすることができる。サイクルシーケンスの繰り返し回数は、特に限定されず、目的とする糖鎖の長さに応じて適宜決められる。例えば、単糖のビルディングブロックAおよびBを原料にして、三糖類の糖鎖を製造する場合には、サイクルを2回繰り返し、四糖類の糖鎖を製造する場合にはサイクルを3回繰り返せばよい。また、サイクルを繰り返す際に、添加するビルディングブロックBの種類を変更してもよい。例えば、水酸基の保護基の種類を変更したり、水酸基が結合する炭素位置を変更したりできる。水酸基が結合する炭素位置の変更は、糖鎖の途中で結合方式を変更したい場合有用である。糖鎖の収率が向上する本発明の製造方法の有用性は、糖鎖伸長する際に顕著に表れ、成果物として三糖類以上の多糖類を得る場合であっても、従来に比して顕著に優れた収率を確保できる。
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1は、フタルイミド基、アジド基、(C1~10アルキルオキシ)n基(nは1~5の整数である。)、C1~10アルキルカルボニル基、C1~10アルキルカルボニルオキシ基、C1~10アルキルアミド基またはトリC1~5アルキルシロキシ基を表し、
R2は、C1~10アルキル基、C1~10アルキルカルボニル基、(C1~10アルキルオキシ)n-C1~10アルキル基(nは1~4の整数である。)またはトリC1~5アルキルシリル基を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
A1および硫黄原子の間の結合は、エクアトリアル配置である。
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、フタルイミド基、アジド基、(C1~10アルキルオキシ)n基(nは1~5の整数である。)、C1~10アルキルカルボニル基、C1~10アルキルカルボニルオキシ基、C1~10アルキルアミド基またはトリC1~5アルキルシロキシ基を表し、
R4は、水素原子、C1~10アルキル基、C1~10アルキルカルボニル基、(C1~10アルキルオキシ)n-C1~10アルキル基(nは1~4の整数である。)またはトリC1~5アルキルシリル基を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
A2および硫黄原子の間の結合は、エクアトリアル配置である。
L31およびL32は、それぞれ独立して、単結合、メチレン基またはエチレン基を表し、
R9は、それぞれ独立して、フタルイミド基、アジド基、アセチルオキシ基、アセトアミド基、ベンジルオキシ基またはベンゾイルオキシ基を表し、
R10は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、トリメチルアセチル基、ベンジル基またはベンゾイル基を表し、
xは、0~10の整数を表し、
y1およびy2は、それぞれ独立して、0~2の整数を表し、
z1は、それぞれ独立して、2または3の整数を表し、
z2は、2~4の整数を表し、
y1+z1=3、かつ、y2+z2=4であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す。
本発明の第1の化合物は、「1位炭素-硫黄」の結合を有するチオグリコシドであり、例えば、グルコース等の所望の環構造を有する単糖と、所望のフェニル基を有するチオフェノールとを使用して、チオール基が単糖の1位炭素と結合するよう反応させることにより合成できる。このような単糖とチオフェノールは、所望の環構造と所望のフェニル基をそれぞれ有する化合物であれば、特段限定されず、そのような単糖とチオフェノールとしては市販の化合物をそれぞれ使用できる。単糖とチオフェノールとの反応は、単糖の水酸基をアセチル基等の保護基で保護してから、実施することが好ましい。あるいは、予め水酸基が保護された市販の単糖(例えば、ペンタ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース、東京化成工業社製)を使用してもよい。本発明において、単糖とチオフェノールとを反応させる具体的な方法は、特段限定されず、公知の方法から適宜選択される。このような方法としては、例えば、非プロトン性有機溶媒中、トリフルオロボランエーテル錯体等のルイス酸の存在下で、単糖およびチオフェノールを反応させる方法がある。この反応の際の温度は、特段限定されないが、例えば、0~50度に設定することが好ましい。このような方法により、1位炭素にチオフェノール残基が結合し、かつ水酸基のすべてまたはその一部が保護された単糖が得られる。また、このようにして得られた単糖のα体(硫黄原子がアキシアル配置にあるもの)とβ体(硫黄原子がエクアトリアル配置にあるもの)の分離方法も、特段限定されず、公知の方法から適宜選択される。
本発明の上記化合物は、前述したように、糖鎖合成のビルディングブロックとして使用することができる。
また、
<<糖鎖合成の原料>>
使用した原料は下記のとおりである。
・非プロトン性有機溶媒:塩化メチレン(CH2Cl2)
実施例に係るビルディングブロック1aおよび2aそれぞれの合成方法を、下記反応式(S3)を用いながら説明する。
3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-2-フタルイミド-β-D-グルコピラノシド(23.9g)と、4-クロロチオフェノール(8.7g)と、トリフルオロボランエーテル錯体(10.6g)とを塩化メチレン(74mL)に導入し、この反応溶液を50℃に維持しながら48時間撹拌することで、上記グルコピラノシドおよび上記チオフェノールを反応させた。その反応終了後、塩基(本実施例では飽和重曹水を使用した。)にて反応溶液を中和し、固体をセライトろ過にて除去し、酢酸エチルを用いた分液抽出を行うことにより、粗生成物を得た。その後、酢酸エチルを用いて単糖を再結晶させることで、ビルディングブロック1aを無色の結晶として得た(反応式(S3)の第1段階、収率98%、収量27.5g)。
図1は、実施例1における合成シーケンスの一部を示すグラフである。まず、H型ガラス分離膜付電解セル(片側16mL)を加熱し、減圧乾燥し、その後、電解セル内をアルゴンで置換した。次いで、陽極と陰極にテトラブチルアンモニウムトリフラート(1.6mmol、626mg)と塩化メチレン(16mL)を電解セル内にそれぞれ加えた。そして、陽極にビルディングブロック1a(0.40mmol、225mg)を、陰極にトリフルオロメタンスルホン酸(0.80mmol、120mg)を加え、-80℃に設定した低温バスを用いて電解セルを冷却し、反応液を撹拌した。
糖供与体および糖受容体として下記のビルディングブロックを使用した点以外は、実施例1と同様のシーケンスにより糖鎖合成を行った。その結果、下記に示す三糖3r(0.094mmol、131mg)が得られた。このときの三糖3rの収率は24%であった。なお、ビルディングブロック1rおよび2rの合成は、4-クロロチオフェノールに替えて、4-フルオロチオフェノールを使用することにより、実施例1と同様の手順で実施した。
Claims (14)
- 下記式(1)で表されるビルディングブロック、および、下記式(1)で表されるビルディングブロック由来の糖残基と下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基とを含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックAを、電解質を含む非プロトン性有機溶媒中で電解酸化し、
下記式(2)で表されるビルディングブロック、および、下記式(2)で表されるビルディングブロック由来の糖残基を複数含むビルディングブロックのうち、少なくとも1種のビルディングブロックであるビルディングブロックBと、電解酸化した前記ビルディングブロックAとをグリコシル化することを含み、
さらに電解酸化とグリコシル化のシーケンスを繰り返し、
三糖類以上の直鎖の糖鎖を得る、糖鎖の製造方法;
式(1)
式(1)において、
A1は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z1~Z5は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、単結合または2価の連結基を表し、
R1およびR2は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
m個のR1およびn個のR2は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
mは0以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、
m+nは、環構造A1の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表す;
式(2)
式(2)において、
A2は、炭素数4~8の環構造を表し、
Z6~Z10は、それぞれ独立して、水素原子又は電子求引性基であり、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L2は、単結合または2価の連結基を表し、
R3は、1価の有機基を表し、
R4は、水素原子または1価の有機基を表し、q個のR4のうち少なくとも1つは水素原子であり、
p個のR3およびq個のR4は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表し、
p+qは、環構造A2の炭素数以下であり、
波線は、それぞれ独立して、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
Z1~Z5のうち少なくとも1つが塩素原子を表し、
Z6~Z10のうち少なくとも1つが塩素原子を表す。 - Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.2以上であり、かつ、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.2以上である、
請求項1に記載の製造方法。 - Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が1.5以下であり、かつ、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が1.5以下である、
請求項1または2に記載の製造方法。 - Z1~Z5のうち、2つが塩素原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z6~Z10のうち、2つが塩素原子であって、それ以外が水素原子である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。 - Z1~Z5のうち、1つが塩素原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z6~Z10のうち、1つが塩素原子であって、それ以外が水素原子である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 式(1)で表されるビルディングブロックとして、下記式(1-2)で表されるビルディングブロックが使用される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法;
式(1-2)
式(1-2)において、
Z1~Z5は、それぞれ独立してハロゲン原子または1価の電子求引性基を表し、Z1~Z5それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
L1は、それぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、
R5およびR6は、それぞれ独立して1価の有機基を表し、
R5およびR6は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
tは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
Z1~Z5のうち少なくとも1つが塩素原子を表し、
Z6~Z10のうち少なくとも1つが塩素原子を表す。 - tが0または1である請求項6に記載の製造方法。
- 式(2)で表されるビルディングブロックとして、下記式(2-2)で表されるビルディングブロックが使用される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法;
式(2-2)
式(2-2)において、
Z6~Z10は、それぞれ独立して水素原子または1価の電子求引性基を表し、Z6~Z10それぞれのハメットのσ値の合計が0.12超であり、
R7は、1価の有機基を表し、
R8は、それぞれ独立して水素原子または1価の有機基を表し、
R7およびR8は、それぞれ互いに結合して環を形成してもよく、
uは、0~4の整数を表し、
rは、それぞれ独立して0または1を表し、
R8(O)rのうち少なくとも1つは水酸基であり、
波線は、それぞれ独立に、エクアトリアルまたはアキシアルの立体配置にある結合を表し、
Z1~Z5のうち少なくとも1つが塩素原子を表し、
Z6~Z10のうち少なくとも1つが塩素原子を表す。 - uが0または1である請求項8に記載の製造方法。
- R2が一価の水酸基の保護基であり、水素原子以外のR4がR2と同じ保護基である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。 - Z3およびZ8が塩素原子である、
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。 - ビルディングブロックAおよびBが単糖である、
請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。 - Z1~Z5のうち、1つが塩素原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z6~Z10のうち、1つが塩素原子であって、それ以外が水素原子であり、
Z3およびZ8が塩素原子である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記電解酸化とグリコシル化のシーケンスを繰り返しは、電解酸化とグリコシル化を含む同じシーケンスを複数回繰り返すことである、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
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