以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、可動コネクタ10と「接続対象物」及び「導通接続部材」としての相手コネクタ20との接続構造30及び接続形成方法を例示して説明する。本明細書、特許請求の範囲、図面では、図1で示す可動コネクタ10の複数の端子13の配列方向(左右方向)をX方向とし、可動コネクタ10の奥行き方向(前後方向)をY方向とし、可動コネクタ10の高さ方向(上下方向)をZ方向として説明する。しかしこうした方向の特定は、それについて言及する場合を除き、本発明の可動コネクタ10の実装方向、使用方向を限定するものではない。また、本明細書、特許請求の範囲に記載されている「第1」及び「第2」という用語は、発明の異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣を示すために用いるものではない。
第1実施形態〔図1~図11〕
可動コネクタ10の構成〔図1~図4〕
可動コネクタ10は、「第1のハウジング」としての固定ハウジング11と、「第2のハウジング」としての可動ハウジング12と、複数の端子13と、「付勢部材」としての付勢ばね片14とを備える。
固定ハウジング11は、樹脂成形体で形成されており、周壁11aと、天面壁11bとを有する。固定ハウジング11の内側には、可動ハウジング12を収容するとともに可動ハウジング12の変位空間となる収容部11cが形成されている。周壁11aは角筒状に形成されており、その内面には複数の固定側端子保持部11a1がX方向で離間して形成されている。天面壁11bは、周壁11aの上端から内向きに突出する四角枠状に形成されており、その内周縁は可動ハウジング12を挿通する開口11b1を形成している。
可動ハウジング12は、樹脂成形体で形成されており、周壁12aと、底壁12bと、中央壁12cとを有する。周壁12aは、角筒状に形成されており、その内側には相手コネクタ20が挿入されて嵌合する嵌合室12a1が形成されている。周壁12aを形成する左右の各側壁12a2には、左右方向Xの外向きに突出する押圧受け部12a3が形成されている。押圧受け部12a3は、後述する「付勢部材」としての付勢ばね片14の押圧接触を受ける部分である。「当接部」としての底壁12bは、周壁12aの下部を閉塞している。底壁12bには、各端子13を圧入して固定する孔状の可動側端子保持部12b1が形成されている。中央壁12cは、底壁12bからZ方向の上向きに突出して形成されており、周壁12aの内側空間に四角枠形状の嵌合空間をなす嵌合室12a1を形成する。中央壁12cのX方向に沿う各壁面12c1には、端子13の後述する接触部13eを保持する複数の端子保持溝12c2がX方向に沿って並べて配置されている。
前述した固定ハウジング11と可動ハウジング12との間には、左右方向X、前後方向Y、上下方向Zに向けて可動ハウジング12が変位可能な可動間隙が設けられている。したがって、後述する端子13の可動部13cに変位可能に支持されている可動ハウジング12は、固定ハウジング11及び第1の基板P1に対してX-Y-Z方向に変位することができる。
複数の端子13は、図3で示すように、材料となる平板形状の導電性金属片をプレス加工で打抜き、所定箇所で板厚方向に曲げ加工した曲げ端子として形成されている。各端子13は、基板接続部13a、固定ハウジング用固定部13b、可動部13c、可動ハウジング用固定部13d、接触部13eを有する。
基板接続部13aは、後述する第1の基板P1の回路にはんだ付けされることで、はんだ付け部を形成する。固定ハウジング用固定部13bは、各側縁に固定突起を有しており、それが固定側端子保持部11a1に圧入されることで、固定ハウジング11に固定される。可動ハウジング用固定部13dも、各側縁に固定突起を有しており、それが可動側端子保持部12b1に圧入されることで、可動ハウジング12に固定される。接触部13eは、平板形状に形成されており、底壁12bの可動側端子保持部12b1から挿入されて、中央壁12cの端子保持溝12c2に配置される。接触部13eの長手方向に沿う各板縁は、端子保持溝12c2に係止して保持される。接触部13eの表面には、金めっき等によるめっき層(図示略)が形成されている。
可動部13cは、弾性変形することのできる屈曲形状のばね片により形成されている。可動部13cは、固定ハウジング用固定部13bの側から順に、第1の伸長部13c1、第1の屈曲部13c2、第2の伸長部13c3、第2の屈曲部13c4、第3の伸長部13c5、第3の屈曲部13c6を有する。
第1の伸長部13c1は、固定ハウジング用固定部13bの上端と第1の屈曲部13c2とを繋ぐとともに、可動ハウジング12に近づく方向へ傾斜しつつ上方に伸長する直線形状に形成されている。第1の屈曲部13c2は、第1の伸長部13c1と第2の伸長部13c3とを繋ぐとともに、逆U字形状に屈曲して形成されている。第2の伸長部13c3は、第1の屈曲部13c2と第2の屈曲部13c4とを繋ぐとともに、可動ハウジング12に近づく方向へ傾斜しつつ下方に伸長する直線形状に形成されている。第2の屈曲部13c4は、第2の伸長部13c3と第3の伸長部13c5とを繋ぐとともに、L字形状に屈曲して形成されている。第3の伸長部13c5は、第2の屈曲部13c4と第3の屈曲部13c6とを繋ぐとともに、可動ハウジング12の底壁12bに沿って伸長する直線形状に形成されている。また、第3の伸長部13c5は、第2の屈曲部13c4から第3の屈曲部13c6にかけて斜め上方に伸長する傾斜ばね片として形成されている。第3の屈曲部13c6は、第3の伸長部13c5と可動ハウジング用固定部13dとを繋ぐとともに、L字形状に屈曲して形成されている。
第1の伸長部13c1と、第1の屈曲部13c2と、第2の伸長部13c3は、第1の屈曲部13c2を主たる支点として、Y方向(前後方向、嵌合交差方向)で弾性変形する「横方向ばね片」として形成されている。この「横方向ばね片」は、弾性変形することで、固定ハウジング11と可動ハウジング12とがY方向に相対変位できるようにしている。「横方向ばね片」はまた、捩れを伴う弾性変形によってX方向(左右方向)で弾性変形することもできる。
第2の屈曲部13c4と、第3の伸長部13c5と、第3の屈曲部13c6は、第2の屈曲部13c4を主たる支点として、Z方向(上下方向、嵌合方向及び抜去方向)に弾性変形する「縦方向ばね片」として形成されている。この「縦方向ばね片」は、弾性変形にすることで、固定ハウジング11と可動ハウジング12とがZ方向に相対変位できるようにしている。
以上のように可動部13cは、大別すると、主としてX-Y方向での弾性変形に機能する「横方向ばね片」と、主としてZ方向での弾性変形に機能する「縦方向ばね片」とを組み合わせて有している。このため可動部13cは、X-Y-Z方向に弾性変形することで、可動ハウジング12と相手コネクタ20とが相対変位できるようにしている。
付勢ばね片14は、材料となる平板形状の金属片をプレス加工で打抜き、所定箇所で板厚方向に曲げ加工した金属板ばねとして形成されている。付勢ばね片14には、2つの基板固定部14aと、「保持部」としての2つの固定ハウジング用保持部14bと、2つのばね部14cと、1つの押圧部14dとが形成されている。
基板固定部14aは、付勢ばね片14の両端に形成されており、はんだ付け等により第1の基板P1に固定される部分である。したがって、基板固定部14aは、可動コネクタ10を第1の基板P1に固定するための固定金具としての機能を有する。
固定ハウジング用保持部14bは、各基板固定部14aに隣接して形成されている。2つの固定ハウジング用保持部14bは、それぞれ固定ハウジング11の前後方向Yにおける一方側の側壁11a2と他方側の側壁11a2に設けられた溝状の付勢ばね片保持部11a3に圧入により固定される(図7)。
ばね部14cは、弾性変形により押圧部14dを変位可能に支持する支持ばねとして形成されている。ばね部14cは、山形屈曲部14c1と谷形屈曲部14c2とが連続する波状に形成されている。
押圧部14dは、一対のばね部14cの間に架け渡した横架片として形成されており、一対のばね部14cによって変位可能に支持される。押圧部14dは、後述のように可動ハウジング12の押圧受け部12a3と、上下方向Zで対向配置されており、可動ハウジング12を相手コネクタ20に向けて付勢する機能を有する。押圧部14dは、前述のように横架片として水平方向に沿う所定の長さを有するように形成されている。ここで押圧部14dが、例えば山形屈曲部14c1のように形成されており、押圧受け部12a3に対して点接触する構成であると、可動ハウジング12がその接触部位を揺動支点として前方向又は後方向に傾くように支持されて、可動ハウジング12の姿勢が不安定になるおそれがある。しかしながら、押圧部14dは、前後方向Yに沿う所定の長さと左右方向に沿う所定の幅を有する帯板形状に形成されているため、可動ハウジング12の押圧受け部12a3に対して面接触する。このため可動ハウジング12を真っすぐ上方に付勢できるようにして、可動ハウジング12の嵌合姿勢を安定させることができる。また、押圧部14dは、前述のように帯板形状に形成されている。このため、可動ハウジング12が左右方向X及び前後方向Yの何れかに変位していても、可動ハウジング12が傾斜することがなく、嵌合姿勢を安定させることができる。
以上のように付勢ばね片14は、それ単独で可動ハウジング12を相手コネクタ20に向けて付勢することができる。したがって端子13の可動部13cに可動ハウジング12を相手コネクタ20に付勢する反力を生じさせることは必須ではない。よって、付勢ばね片14と端子の可動部13cのそれぞれの設計を容易にすることができる。また、端子13の可動部13cは、X-Y-Z方向に柔軟に弾性変形できるように柔らかく形成することができる。他方、付勢ばね片14は、可動ハウジング12を確実に支持できるように形成することができる。
相手コネクタ20の構成〔図5〕
「接続対象物」及び「導通接続部材」としての相手コネクタ20は、相手ハウジング21と、複数の相手端子22とを備える。
相手ハウジング21は、角筒状の樹脂成形体で形成されており、周壁21aと、底壁21bとを有する(図7A)。周壁21aは、可動ハウジング12の嵌合室12a1に挿入されることで、可動ハウジング12と嵌合する。周壁21aの内側には、可動ハウジング12の中央壁12cが挿入される。周壁21aの内面には、複数の端子保持溝21a1がX方向に並べて形成されており、各端子保持溝21a1は、相手端子22の接触部22cを保持している。周壁21a(相手ハウジング21)の嵌合側端部(上端面)は、可動コネクタ10との嵌合状態で、可動ハウジング12の「当接部」としての底壁12bと接触する当接受け部21a2となっている。底壁21bには、各相手端子22を圧入して固定する孔状の端子保持部21b1が形成されている。
複数の相手端子22は、材料となる導電性金属片をプレス加工で打抜き、所定箇所で板厚方向に曲げ加工した曲げ端子として形成されている。各相手端子22は、基板接続部22a、ハウジング用固定部22b、接触部22cを有する。基板接続部22aは、後述する第2の基板P2の回路にはんだ付けされる。ハウジング用固定部22bは、各側縁に固定突起を有しており、それが相手ハウジング21の端子保持部21b1に圧入されることで固定される。接触部22cは、ハウジング用固定部22bから伸長するばね片でなる弾性腕22c1と、山状に屈曲する接点部22c2とを有する。
可動コネクタ10の接続構造及び接続形成方法の説明〔図6〕
可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30及び接続形成方法を説明する前に、可動コネクタ10の細部構造を省略して模式化した可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3及び接続形成方法の原理を、図6を参照しつつ説明する。
可動コネクタ1は、第1の基板P1に固定する「第1のハウジング」としての固定ハウジング1aと、「第2のハウジング」としての可動ハウジング1bと、固定ハウジング1aに対して可動ハウジング1bを変位可能に支持する可動部1cを有する端子を有している。さらに、可動コネクタ1は、「付勢部材」としての付勢ばね片1dを有している。なお、図6では、説明の便宜上、端子の可動部1cだけを示している。「第1の支持部材」としての第1の基板P1には、「スペーサ部」としてのスペーサ部材Rの第1の端部(下端)が固定されている。
接続対象物2は、「第2の支持部材」としての第2の基板P2に固定されている。こうした接続対象物2は、前述した相手コネクタ20のほか、FPC、FFC等の平型導体、バスバー、接続ピン等の端子、電気素子を含む電子部品等とすることができる。
なお、図6では、スペーサ部材Rを設置する「第1の支持部材」として第1の基板P1を例示している。しかしながら「第1の支持部材」は、第1の基板P1に限定するものではなく、第1の基板P1を取付けるブラケット又は筐体等の構造体としてもよい。これと同様に図6では、スペーサ部材Rを設置する「第2の支持部材」として第2の基板P2を例示しているが、「第2の支持部材」としては第2の基板P2を取付けるブラケット又は筐体等の構造体としてもよい。
嵌合前状態〔図6A〕
図6Aは、可動コネクタ1と接続対象物2とを離して配置した嵌合前状態を示している。嵌合前状態における可動コネクタ1の可動部1cと付勢ばね片1dは、自由状態であって、弾性変形していない。付勢ばね片1dは、可動ハウジング1bの押圧受け部1b5と接触しているが、接触していなくてもよい。可動部1cと付勢ばね片1dには可動ハウジング1bの重量が作用するが、可動部1cと付勢ばね片1dはそれによっては弾性変形しない硬さ(ばね定数)を有するものとして形成されている。なお、付勢ばね片1dが可動ハウジング1bの重量によって弾性変形するとしても、接続対象物2との嵌合前における付勢ばね片1dの弾性変形は、本発明において付勢ばね片1dが「弾性変形」することには含めないものとする。
嵌合状態〔図6B〕
図6Bは、可動コネクタ1と接続対象物2とが嵌合接続した「嵌合状態」を示している。図6Aの嵌合前状態から、接続対象物2を可動ハウジング1bに挿入していくと、まず端子(端子13)の接触部(図示略)が接続対象物2と導通接触する。さらに接続対象物2を挿入し続けると、接続対象物2の嵌合側端部(挿入側端部)に位置する当接受け部2aが、可動ハウジング1bの当接部1b1に対して当接することで、接続対象物2の挿入が停止する。即ち、当接受け部2aと当接部1b1との当接は、接続対象物2が可動ハウジング1bに対する嵌合限界(挿入限界)に到達したことを意味する。こうして接続対象物2が可動コネクタ1に嵌合接続された嵌合状態を得ることができる(第1の工程)。
この嵌合状態には2つの特徴がある。第1の特徴は、各スペーサ部材Rの第2の端部(上端)が第2の基板P2に対して接触していないことである。嵌合状態では第1の基板P1と第2の基板P2との離間距離よりも、スペーサ部材Rが短く形成されている。そのためスペーサ部材Rと第2の基板P2との間には間隙S1が形成されており、スペーサ部材Rと第2の基板P2は離間距離d1を介して対向している。したがって、可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3を完成させるには、間隙S1が無くなるように、第2の基板P2を付勢ばね片1d(及び可動部1c)の弾発力に対抗して、スペーサ部材Rの不足長さである離間距離d1だけ押し込んでからスペーサ部材Rに固定しなければならない。
第2の特徴は、付勢ばね片1dには接続対象物2と第2の基板P2の重量が荷重として作用しているが、付勢ばね片1dは弾性変形していないことである。従来の可動コネクタでは、接点摺動を抑制するために、接続対象物に対する端子の接触部の接触圧を高くするものがある。しかしながら接触部の接触圧を高くすることだけによって接点摺動を抑制しようとすると、接続対象物の挿入力が高くなる。そのため接続対象物を可動ハウジングに嵌合させるためには、可動ハウジングを基板に突き当てて動かない状態として、接続対象物を嵌合させるのが通例である。そしてこの場合、接続対象物が可動ハウジングに完全に嵌合した状態では、端子の接触部の接触圧によって可動ハウジングが基板と突き当たった状態が保持されることになる。
しかしながら、本発明の実施形態では、端子の接触部の接触圧の高さのみによって接点摺動を抑制するのではなく、付勢ばね片1dが可動ハウジング1bを接続対象物2に押圧して後述の嵌合固定状態を得ることによって、接点摺動の発生を抑制する。したがって、付勢ばね片1dはそのような嵌合接続を実現できるように、ばね定数が高く設定されている一方で、端子の接触圧はそれだけで接点摺動の発生を抑制できるほど高くする必要がない。このため接続対象物2を可動ハウジング1bに挿入する際に、付勢ばね片1dは弾性変形しない。また図6Bで示す嵌合状態において、接続対象物2及び第2の基板P2の重量による荷重が作用しても、付勢ばね片1dは弾性変形しない。したがって、可動ハウジング1bは下方に変位せず、可動ハウジング1bは、第1の基板P1に対して離れたまま、接続対象物2と嵌合する。また、前述のように端子の接触部の接触圧を、接点摺動を抑制する目的で高くする必要がないので、端子の接触圧は従来の可動コネクタよりも小さくすることができる。このため接続対象物2を可動ハウジング1bに嵌合させる際の挿入力が低減して接続作業性を高めることができる。また、挿入力を低減できるため、半嵌合を防止することができ、接続作業を確実に行うこともできる。
嵌合固定状態〔図6C〕
図6Cは、図示しないボルト等の固定部材で第2の基板P2と各スペーサ部材Rとを固定した「嵌合固定状態」を示している。本実施形態のスペーサ部材Rは、第1の基板P1と第2の基板P2の間に設置され且つそれらに対して固定される。本実施形態の可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3では、この嵌合固定状態で静止した位置及び状態を、可動ハウジング1b及び接続対象物2の「定常位置」及び「定常時」とする。そして、可動ハウジング1bと接続対象物2は、この定常位置を変位中心としてフローティング機能を発揮すること、即ちX-Y-Z方向に変位することができる。
図6Cの嵌合固定状態を形成する嵌合固定時には、可動ハウジング1bと嵌合する接続対象物2を、図6Bで示す嵌合状態からさらに嵌合方向に押し込み、可動ハウジング1bを離間距離d1だけ嵌合方向に変位させることで付勢ばね片1dを弾性変形させる「第2の工程」を実行する。これにより付勢ばね片1dは、嵌合方向に弾性変形しており且つ抜去方向に接続対象物2を押圧する反力を生じる状態で配置されることとなる。これに続けて、付勢ばね片1dが抜去方向で接続対象物2を押圧する反力を維持したまま、可動コネクタ1の設置位置と接続対象物2の設置位置とを固定する「第3の工程」を実行する。
即ち、図6Bの状態から、第2の基板P2を押し込んで、スペーサ部材Rの不足長さである間隙S1の離間距離d1だけ変位させて、第2の基板P2をスペーサ部材Rに当接させる。第2の基板P2を押し込むと、接続対象物2も間隙S1の離間距離d1だけ嵌合方向(Z方向で下向き)に変位する。すると接続対象物2の当接受け部2aが、可動ハウジング1bの当接部1b1を嵌合方向に押圧することで、可動ハウジング1bも間隙S1の離間距離d1だけ第1の基板P1に向かって変位する。この可動ハウジング1bの変位により押圧受け部1b5が付勢ばね片1dを押圧し、付勢ばね片1dが弾性変形すると、付勢ばね片1dは、当接部1b1が当接受け部2aを押し返す反力(押圧力)を生じる(第2の工程)。この付勢ばね片1dが生じる反力は、可動ハウジング1bを変位可能に支持するとともに可動ハウジング1bを接続対象物2に押圧する「押圧支持力」となる。そして、固定部材によって第2の基板P2と各スペーサ部材Rとを固定する(第3の工程)。このようにして嵌合固定状態では、付勢ばね片1dが押圧受け部1b5を付勢するために弾性変形した状態を維持しており、それによって当接部1b1が抜去方向で当接受け部2aを押圧しつつ、付勢ばね片1dが可動ハウジング1bを変位可能に支持する状態が得られる。なお、この嵌合固定状態では、可動部1cも付勢ばね片1dと同様に弾性変形しており、可動ハウジング1bを接続対象物2に押圧する反力を生じていてもよい。
また、嵌合固定状態では、可動ハウジング1bの外底面の下方に、可動間隙S2が形成される。このため可動ハウジング1bは、後述する図6Dで示すように、嵌合固定状態で可動間隙S2に向けて変位することができる。前述のように接点摺動を抑制する従来の可動コネクタでは、接続対象物に対する端子の接触圧が高いため、接続対象物の挿入力が高くなり、接続対象物を可動ハウジングに嵌合させるときに、可動ハウジングが基板に接触するまで押し込まれることで嵌合状態となることが通例である。このため、従来の可動コネクタでは、初期の嵌合状態で可動ハウジングが嵌合方向に変位することができない。しかしながら、本発明の実施形態では、端子の接触圧の高さによって接点摺動を抑制するのではなく、付勢ばね片1dが可動ハウジング1bを接続対象物2に押圧する状態とすることによって接点摺動の発生を抑制する。したがって、本発明の接続構造3では、可動ハウジング1bの下方には可動間隙S2が形成されており、初期の嵌合固定状態で可動ハウジング1bが嵌合方向に変位できるようになっている。
可動ハウジング1bと接続対象物2とが変位せずに静止した定常時では、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合位置が維持される。したがって、端子と接続対象物2との接触位置も維持されており接点摺動の発生は抑制される。そして、次に説明するように、接点摺動が生じ易いZ方向に沿う外部振動が接続構造3に作用した場合でも、接点摺動の発生は抑制されることとなる。
第1の変位状態〔嵌合方向への変位状態、図6D〕
図6Dは、可動ハウジング1bと接続対象物2の接続構造3の変位時を示している。即ち、可動ハウジング1bと接続対象物2が、固定ハウジング1aに近づくように、嵌合方向に変位した第1の変位状態を示している。このように可動ハウジング1bと接続対象物2が嵌合方向に変位するのは、例えば外部振動や外部衝撃が接続構造3に作用して、接続対象物2を設置する第2の基板P2が嵌合方向に撓んだ場合である。このような場合でも接点摺動は発生しない。
即ち、第2の基板P2が嵌合方向(上下方向Zの下向き)に撓んで接続対象物2が変位した場合、接続対象物2は可動ハウジング1bを嵌合方向に押し下げる。このとき可動ハウジング1bは、付勢ばね片1dの弾性変形により抜去方向(上下方向Zの上向き)に接続対象物2を押圧し続けている。したがって接続対象物2と可動ハウジング1bとの嵌合位置は変わらず、また端子と接続対象物2との接触位置も変わらない。
次に、嵌合方向に撓んでいる第2の基板P2が復帰する際には、接続対象物2が抜去方向に変位するが、付勢ばね片1dは反力によって可動ハウジング1bを抜去方向で接続対象物2に対して押圧し続けているため、可動ハウジング1bは接続対象物2を付勢しながら一緒に抜去方向へ変位することになる。したがって、接続対象物2と可動ハウジング1bとの嵌合位置は変わらず、また端子と接続対象物2との接触位置も変わらない。このように復帰時にも接点摺動は発生しない。
第2の変位状態〔抜去方向への変位状態、図6E〕
図6Eは、可動ハウジング1bと接続対象物2の接続構造3の変位時を示している。即ち、可動ハウジング1bと接続対象物2が、固定ハウジング1aから離れるように、抜去方向に変位した第2の変位状態を示している。接続対象物2が抜去方向に変位するのは、例えば外部振動や外部衝撃が接続構造3に作用して、接続対象物2を設置する第2の基板P2が抜去方向へ撓んだ場合である。しかしながらこの場合にも接点摺動は発生しない。
即ち、第2の基板P2が抜去方向へ撓むと、接続対象物2は抜去方向に変位する。しかしながら、付勢ばね片1dは、反力によって可動ハウジング1bを抜去方向で接続対象物2に対して押圧しているため、当接部1b1が当接受け部2aを押し上げながら、可動ハウジング1bと接続対象物2は一緒に抜去方向へ変位する。したがって、接続対象物2と可動ハウジング1bとの嵌合位置は変わらず、また端子と接続対象物2との接触位置も変わらない。
次に、第2の基板P2が抜去方向に撓んでいる状態から復帰する際には、接続対象物2は嵌合方向に変位する。このとき可動ハウジング1bは付勢ばね片1dによって接続対象物2を抜去方向に押圧し続けている。したがって接続対象物2と可動ハウジング1bとの嵌合位置は変わらず、また端子と接続対象物2との接触位置も変わらない。このように復帰時にも接点摺動は発生しない。
即ち、可動コネクタ1及び可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3は、どのような設置姿勢でもよい。即ち、図6で示すように、嵌合方向が鉛直方向となるように可動コネクタ1を設置する実施形態としてもよいし、また嵌合方向が鉛直方向以外(鉛直方向に対する傾斜方向及び水平方向)となるように可動コネクタ1を設置する実施形態としてもよい。
可動コネクタ1は、可動ハウジング1bが固定ハウジング1aに対して嵌合交差方向で変位した状態で、接続対象物2と嵌合接続することがある。また、可動コネクタ1は、嵌合固定状態で、可動ハウジング1bが固定ハウジング1aに対して嵌合交差方向に変位することもある。これらの場合、端子の可動部1cが嵌合交差方向に弾性変形するが、付勢ばね片1dは嵌合交差方向には弾性変形していない。そのため付勢ばね片1dは、可動ハウジング1bが嵌合交差方向に変位しているか否かに拘わらず、可動ハウジング1bを嵌合方向で確実に支持することができる。
可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造及び接続形成方法の説明〔図7~図1
2〕
次に、具体的に可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30及び接続形成方法について説明する。
嵌合前状態〔図7〕
図7は、可動コネクタ10と相手コネクタ20とを離して配置した嵌合前状態を示している。可動コネクタ10を実装する第1の基板P1には、4つのスペーサ部材Rが固定されている。相手コネクタ20を実装する第2の基板P2には、各スペーサ部材Rに対応する位置にボルト等の固定部材(図示略)を挿通するための孔が設けられている。嵌合前状態における可動コネクタ10の付勢ばね片1dは、荷重が作用していない自由状態であり弾性変形していない。なお、可動ハウジング12の重量により付勢ばね片1dが撓んでいるとしても、それはここでいう付勢ばね片1dの「弾性変形」には含まない。
嵌合状態〔図8〕
図7の嵌合前状態から、相手コネクタ20を可動ハウジング12の嵌合室12a1に挿入すると(図8)、相手端子22の接点部22c2が、端子13の接触部13eに対して押圧接触する。前述のように接点部22c2の接触圧は接点摺動の発生を抑制するほど高くない。そのため相手コネクタ20を挿入するための挿入力は小さく、相手コネクタ20を容易に挿入することができる。そのまま相手コネクタ20の挿入を続けると、図8で示すように、相手ハウジング21の当接受け部21a2が、可動ハウジング12の「当接部」としての底壁12bに対して突き当たり、それ以上、相手コネクタ20を可動ハウジング12に挿入することができなくなる。こうして相手コネクタ20が可動ハウジング12に嵌合接続した嵌合状態が得られる。
この嵌合状態では、相手ハウジング21の四角枠状の上端面の全面(図5)、即ち当接受け部21a2が、可動ハウジング12の「当接部」である底壁12bに対して広い面積で直接接触する。また、可動ハウジング12の嵌合室12a1は深く形成されており、そこには相手ハウジング21の周壁21aがおよそその半分の高さまで挿入され、嵌合室12a1の内面と周壁21aとが広い面積で接触する。このように相手ハウジング21と可動ハウジング12とが広い面積で接触するため、嵌合状態における可動ハウジング12と相手ハウジング21との互いのこじりを防ぐことができ、また可動ハウジング12が相手ハウジング21を抜去方向で確実に押圧できるようにしている。
図8で示すように、各スペーサ部材Rの上端部は、第2の基板P2に対して接触しておらず、それらの間には間隙S1が形成されている。また、嵌合状態では、付勢ばね片1dに相手コネクタ20と第2の基板P2の重量が作用しているが、付勢ばね片1dは弾性変形していない状態となっている。これは付勢ばね片1dのばね定数を高く設定しているためである。
嵌合固定状態〔図9〕
次に、図8で示す嵌合状態の第2の基板P2を離間距離d1だけ嵌合方向に向けてさらに押し込んでスペーサ部材Rの上端部に当接させ、図示しないボルト等の固定部材で、第2の基板P2をスペーサ部材Rに対して固定する。これによって図9で示す嵌合固定状態が得られる。
図9で示す可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30では、嵌合固定状態で静止した位置を定常位置として、可動ハウジング12が固定ハウジング11に対してX-Y-Z方向に変位することができる。特に、可動ハウジング12と第1の基板P1との間には可動間隙S2が形成されている。したがって可動ハウジング12は、後述する図10で示すように、定常位置から嵌合方向の下向きに変位することができる。
また、嵌合状態から嵌合固定状態を形成する際の嵌合固定時には、可動ハウジング12が離間距離d1だけ嵌合方向に変位することに伴って、可動部13cが弾性変形している。即ち、図8の嵌合状態では、第3の伸長部13c5が可動ハウジング12の外周面側から外底面の中心にかけて斜め上方に傾斜しており、この状態を自由状態としている。しかしながら、図9で示す嵌合固定状態では、相手コネクタ20によって可動ハウジング12が離間距離d1だけ押し下げられることで、主として第2の屈曲部13c4を支点として、第3の伸長部13c5が水平となるように回動し、第3の屈曲部13c6の側が嵌合方向に押し下げられることになる。可動部13cと同様に、付勢ばね片14も弾性変形している。即ち、可動ハウジング12の押圧受け部12a3が押圧部14dを押し下げることで、ばね部14cが弾性変形して、押圧部14dが第1の基板P1に向けて変位する。このとき帯板形状の押圧部14dは、押圧受け部12a3に対して面接触しているので、前方や後方に傾くことなく真っすぐ下向きに変位することができる。
このように付勢ばね片14が弾性変形した状態では、ばね部14cが生じる反力によって、可動ハウジング12が、「当接部」としての底壁12bを介して、相手ハウジング21の当接受け部21a2を、抜去方向に押し返す。そのため付勢ばね片14は、可動ハウジング12を変位可能に支持するだけでなく、可動ハウジング12を抜去方向に向けて付勢し、可動ハウジング12を相手コネクタ20に対して常時押圧させる。したがって、可動ハウジング12と相手コネクタ20とが変位しない定常時及び外部振動又は外部衝撃により変位する変位時の何れにおいても、可動ハウジング12と相手ハウジング21との嵌合位置は維持される。よって、端子13の接触部13eと相手端子22の接点部22c2との接触位置のずれも抑制され、接点摺動の発生が抑制される。そして後述するように、接点摺動が生じ易いZ方向に沿う外部振動又は衝撃が接続構造30に作用した場合でも、接点摺動の発生は抑制されることとなる。
また、嵌合固定状態において付勢ばね片14が生じる反力は、第1の基板P1と第2の基板P2にも印加される。そのため第1の基板P1と第2の基板P2の共振周波数が上昇し、共振の発生を抑制することができる。
第1の変位状態〔嵌合方向への変位状態、図10〕
嵌合固定状態にある可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30は、その使用環境下で、例えば外部振動又は外部衝撃が作用すると、図10で示すように、第2の基板P2が嵌合方向へ距離d2だけ変位するが、接点摺動は発生しない。
即ち、第2の基板P2が嵌合方向に撓むことで、相手コネクタ20が嵌合方向に変位すると、相手コネクタ20の当接受け部21a2が、可動ハウジング12の底壁12bに対して当接して、可動ハウジング12を嵌合方向に押し下げる。つまり、相手ハウジング21と可動ハウジング12は、可動間隙S2に向けて、一緒に嵌合方向に変位する。したがって相手コネクタ20と可動ハウジング12との嵌合位置は変わらず、また端子13の接触部13eと相手端子22の接点部22c2との接触位置も変わらない。
このように可動ハウジング12が変位する際には、可動部13cは、主として第2の屈曲部13c4を支点として、第3の伸長部13c5が下方に傾斜するように回動し、第3の屈曲部13c6の側が嵌合方向に押し下げられるように弾性変形する。可動部13cは、この弾性変形の過程では、抜去方向で可動ハウジング12を相手ハウジング21に押し付ける反力を生じている。また、付勢ばね片14も、押圧受け部12a3が押圧部14dを押し下げることで、ばね部14cが弾性変形して、押圧部14dが第1の基板P1に向けて変位する。この弾性変形の過程では、ばね部14cは、抜去方向で可動ハウジング12を相手ハウジング21に押し付ける反力を生じている。
次に、第2の基板P2は、嵌合方向に撓んでいる状態から抜去方向に復帰する。このとき、前述のように反力を生じている可動部13cと付勢ばね片14は、可動ハウジング12を抜去方向で相手コネクタ20に対して継続的に押し付けている。したがって可動ハウジング12は、相手コネクタ20を押し上げながら一緒に抜去方向に変位して、図9で示す嵌合固定状態の定常位置に戻ることになる。このように復帰する際にも、可動ハウジング12と相手コネクタ20との嵌合位置は変わらず、また端子13の接触部13eと相手端子22の接点部22c2との接触位置も変わらない。したがって復帰時にも接点摺動は発生しない。
第2の変位状態〔抜去方向への変位状態、図11〕
また、嵌合固定状態にある可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30は、その使用環境下で、外部振動又は外部衝撃が作用すると、図11で示すように、第2の基板P2が抜去方向へ距離d2だけ変位することがある。しかしながらこの場合にも接点摺動は発生しない。
即ち、第2の基板P2が抜去方向に撓むと、相手コネクタ20は可動ハウジング12から抜ける抜去方向に変位する。しかしながら、嵌合固定状態における付勢ばね片14は、前述のように反力によって可動ハウジング12を抜去方向で相手ハウジング21に対して押圧し続けている。このため可動ハウジング12は相手コネクタ20と一緒に抜去方向へ変位する。したがって、相手コネクタ20と可動ハウジング12との嵌合位置は変わらない。また、端子13の接触部13eと相手端子22の接点部22c2との接触位置も変わらない。
このように可動ハウジング12が抜去方向に変位する際には、可動部13cは、主として第2の屈曲部13c4を支点として、第3の伸長部13c5が上方に傾斜するように回動し、第3の屈曲部13c6の側が抜去方向に押し上げられるように弾性変形する。可動部13cは、この弾性変形の過程では、抜去方向で可動ハウジング12を相手ハウジング21に押し付ける反力を生じている。また、付勢ばね片14も、押圧部14dが押圧受け部12a3を付勢するように、ばね部14cが弾性変形している。この弾性変形の過程では、ばね部14cは、抜去方向で可動ハウジング12を相手ハウジング21に押し付ける反力を生じている。したがって、第2の基板P2は、外部振動等により抜去方向に撓むとしても、その限界変位量は、図8で示す嵌合状態の間隙S1よりも小さくなるように設置される。換言すると、第2の基板P2の抜去方向への変位量は、付勢ばね片14に反力を生じさせた離間距離d1による変位量、即ち付勢ばね片14が自由状態に戻るために必要な変位量の範囲に制限されている。よって、接続構造30では、第2の基板P2が抜去方向に撓んで変位するとしても、可動ハウジング12は常に相手コネクタ20を抜去方向で押圧できるようにしている。
次に、第2の基板P2が抜去方向に撓んでいる状態から嵌合方向に復帰する際には、相手コネクタ20は、可動ハウジング12により抜去方向への押圧を受けたまま、嵌合方向に変位する。したがって相手コネクタ20と可動ハウジング12との嵌合位置は変わらず、また端子13の接触部13eと相手端子22の接点部22c2との接触位置も変わらない。このように復帰時にも接点摺動は発生しないことになる。
第2実施形態〔図12~図16〕
第2実施形態は、可動コネクタ10の「付勢部材」としての付勢ばね片14がコイルばね15である点で、第1実施形態と相違する。可動コネクタ10と可動コネクタ10の接続構造30のその他の構成及び作用効果については、特に言及する場合を除き同じであるため、重複説明を省略する。
第2実施形態の可動コネクタ10は、「付勢部材」としてのコイルばね15を備えている。コイルばね15は、図15で示すように、下端のばね径が小径で上端のばね径が大径である逆円錐状に金属材でなる素線を巻いた形状に形成されている。即ち、コイルばね15は、非線形のばね特性を有する不等ピッチ圧縮コイルばねとして形成されている。
コイルばね15の下端は、固定ハウジング11に形成された取付軸部11dの挿入を受ける保持部15aとなっている(図14、図16)。コイルばね15の上端は、可動ハウジング12の押圧受け部12a3に形成された係止凹部12a4に配置される押圧部15bをなしている。
保持部15aと押圧部15bの間は、ばね部15cとなっており、圧縮方向に弾性変形することで、可動ハウジング12を相手コネクタ20に向けて付勢する反力を生じる。ばね部15cは、不等ピッチ圧縮コイルばねとして形成されており、下端側が小径でありばね定数が高く、上端側に向けて大径になるにつれてばね定数が低くなるように形成されている。ばね部15cの中央付近は、上下方向Zで隣接する素線間の間隔が広くなっており、ばね定数が低く設定されている。したがって、ばね部15cは、固定側である下端側ではばねが硬く変位が少ないため、取付軸部11dから抜去せず安定して保持されるようにしている。他方、ばね部15cは、上下方向Zの素線間の間隔が広い中央付近から可動ハウジング12の変位を受ける上端側は、ばねが柔らかく弾性変形しやすいため、その弾性変形によって可動ハウジング12の変位を柔らかく支持できるようにしている。
次に、可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30及び接続形成方法について説明する。第2実施形態と第1実施形態との相違点は、付勢ばね片14をコイルばね15とした点であり、嵌合前状態、嵌合状態、嵌合固定状態(図16)、第1の変位状態、第2の変位状態における可動コネクタ10の動作は、第1実施形態と同じである。図16で示す嵌合固定状態では、可動ハウジング12が離間距離d1だけ嵌合方向に変位することで、コイルばね15には予圧がかけられている。したがって、コイルばね15は、嵌合固定状態、第1の変位状態、第2の変位状態において、予圧に対する反力によって可動ハウジング12を抜去方向で相手ハウジング21に対して押圧し続けている。このように「付勢部材」としてコイルばね15を用いた場合でも、接点摺動の発生を抑制することができる。
第3実施形態〔図17~図19〕
第3実施形態は、可動コネクタ10の「付勢部材」としての付勢ばね片14が付勢ゴム片16である点で、第1実施形態と相違する。可動コネクタ10と可動コネクタ10の接続構造30のその他の構成及び作用効果については、特に言及する場合を除き同じであるため、重複説明を省略する。
付勢ゴム片16は、図18で示すように、固定ハウジング11の収容部11cに隣接して設けられた付勢ゴム片用収容部11eに収容される。付勢ゴム片用収容部11eは、左右方向Xの両端に設けられ、それぞれに付勢ゴム片16が設置される。
付勢ゴム片16は、基部16aと、基部16aの前後方向Yの各端部から上向きに突出する一対の係止腕部16bと、一対の係止腕部16bの間から上向きに突出する一対のばね部16cと、一対のばね部16cの上端を繋ぐ押圧部16dとを有している。このうち係止腕部16bには、「保持部」としての鉤形状の係止爪16b1が形成されており、係止爪16b1は付勢ゴム片用収容部11eに設けられた係止凹部11e1に対して係止している。一対のばね部16cの間には孔16eが形成されている。ばね部16cは、孔16eが設けられていることで、圧縮変形しやすくされている。押圧部16dの上面は平坦面となっており、第1実施形態の押圧部14dと同様に、可動ハウジング12の押圧受け部12a3に面接触する。
付勢ゴム片16は、ゴム状弾性体の成形体にて形成されている。ゴム弾性体には合成ゴムや熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることができ、例えば、シリコーンゴムやウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム等の合成ゴムの他、天然ゴムや、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、ウレタン系TPE、ポリエステル系TPE、塩化ビニル系TPEなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
次に、可動コネクタ10と相手コネクタ20との接続構造30及び接続形成方法について説明する。第3実施形態と第1実施形態との相違点は、付勢ばね片14を付勢ゴム片16とした点であり、嵌合前状態、嵌合状態、嵌合固定状態(図19)、第1の変位状態、第2の変位状態における可動コネクタ10の動作は、第1実施形態と同じである。図19で示す嵌合固定状態では、可動ハウジング12が離間距離d1だけ嵌合方向に変位していることで、付勢ゴム片16には予圧がかけられている。そのため付勢ゴム片16は、図19Bで示すように圧縮変形されている。したがって、付勢ゴム片16は、嵌合固定状態、第1の変位状態、第2の変位状態において、予圧に対する反力によって可動ハウジング12を抜去方向で相手ハウジング21に対して押圧し続けている。このように「付勢部材」として付勢ゴム片16を用いた場合でも、接点摺動の発生を抑制することができる。
第4実施形態〔図20〕
次に、第4実施形態の可動コネクタと可動コネクタの接続構造及び接続形成方法について、図20を参照しつつ説明する。第4実施形態は、付勢ばね片14のばねとしての硬さ(ばね定数)が第1実施形態よりも柔らかい点で、第1実施形態と異なる。また、第4実施形態は、スペーサ部材Rの長さが嵌合状態における第1の基板P1と第2の基板P2の離間距離と同じである点で、第1実施形態と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同一であるため重複説明を省略する。
図20は、図6と同様に、第4実施形態による可動コネクタの細部構造を省略して一般化した可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3及び接続形成方法の原理を示している。
図20Aは、可動コネクタ1と接続対象物2とを離して配置した嵌合前状態を示している。図20Bは、可動コネクタ1と接続対象物2とが嵌合接続した「嵌合状態」及び図示しないボルト等の固定部材で第2の基板P2と各スペーサ部材Rとを固定した「嵌合固定状態」を示している。
これらの図で示すように、接続対象物2の当接受け部2aが可動ハウジング1bの当接部1b1と当接するまで挿入されて、接続対象物2が可動ハウジング1bと嵌合する(嵌合状態)。この嵌合状態では、接続対象物2と第2の基板P2の重量が荷重として付勢ばね片1dに作用し、付勢ばね片1dは距離d3だけ嵌合方向へ沈むように弾性変形する(図20B)。これにより付勢ばね片1dは、当接部1b1が当接受け部2aを押し返す反力(押圧力)を生じている。そして、この嵌合状態では、第2の基板P2がスペーサ部材Rの上端と当接しているため、ボルト等の固定部材でスペーサ部材Rに対して固定することができる。これにより嵌合固定状態が形成される。
第4実施形態の可動コネクタ1の接続構造では、接続対象物2と第2の基板P2の重量によって付勢ばね片1dを弾性変形させ、抜去方向に反力を生じる状態とされる。これによっても、可動ハウジング1bと固定ハウジング1aとが相対変位した変位時に、付勢ばね片1dの反力によって、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合位置が維持される。したがって、端子と接続対象物2との接触位置も維持されており、接点摺動の発生を抑制することができる。
また、図20Bで示す嵌合固定状態では、可動ハウジング1bの下方に可動間隙S3が形成されている。したがって可動ハウジング1bは、定常時において嵌合方向に変位することができる。
第4実施形態の可動コネクタ1及び可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3は、接続対象物2と第2の基板P2の重量が荷重として付勢ばね片1dに作用し、付勢ばね片1dが距離d3だけ嵌合方向へ沈むように弾性変形することができる設置姿勢であればよい。即ち、図20で示すように、嵌合方向が鉛直方向となるように可動コネクタ1を設置する実施形態のみならず、嵌合方向が鉛直方向以外(鉛直方向に対する傾斜方向)となるように可動コネクタ1を設置する実施形態としてもよい。なお、例えば、嵌合方向が水平方向になる場合、図20で示す可動コネクタ1と接続対象物2との上下の位置関係が入れ替わる場合には、接続対象物2と第2の基板P2の重量が荷重として付勢ばね片1dに作用しないと考えられるが、この場合には、第1の基板P1と第2の基板P2とが近づくように、その何れかを嵌合方向に押し込ませるため、図6で示す第1実施形態に該当する。
第5実施形態〔図21〕
次に、第5実施形態の可動コネクタと可動コネクタの接続構造及び接続形成方法について、図21を参照しつつ説明する。第5実施形態は、付勢ばね片1dのばねとしての硬さ(ばね定数)が第1実施形態よりも柔らかい点で第1実施形態と異なる。その他の構成については、第1実施形態と同一であるため重複説明を省略する。
図21は、図6と同様に、第5実施形態による可動コネクタの細部構造を省略して一般化した可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3及び接続形成方法の原理を示している。
図21Aは、可動コネクタ1と接続対象物2とを離して配置した嵌合前状態を示している。この嵌合前状態から、接続対象物2の当接受け部2aが可動ハウジング1bの当接部1b1と当接するまで挿入されると、図21Bで示す接続対象物2が可動ハウジング1bと嵌合する(嵌合状態)。
図21Bで示す嵌合状態では、接続対象物2と第2の基板P2の重量が、可動ハウジング1bの押圧受け部1b5と接触している付勢ばね片1dに作用し、付勢ばね片1dは距離d3だけ嵌合方向へ沈むように弾性変形する。これにより付勢ばね片1dは、当接部1b1が当接受け部2aを押し返す反力(押圧力)を生じている。この点が第1実施形態と相違する。
また、第1の基板P1と第2の基板P2との離間距離よりも、スペーサ部材Rは短い。そのためスペーサ部材Rと第2の基板P2との間には、間隙S4が形成されている。よって、可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3を完成させるには、間隙S4が無くなるように、第2の基板P2を付勢ばね片1d(及び可動部1c)の弾発力に対抗して、スペーサ部材Rの不足長さである離間距離d4だけ押し込んでからスペーサ部材Rに固定する。この点は第1実施形態と共通する。そして嵌合固定状態は図21Cで示すとおりである。
第5実施形態の可動コネクタ1の接続構造では、嵌合時の接続対象物2及び第2の基板P2の重量と、嵌合固定時に第2の基板P2を介して可動ハウジング1bを嵌合方向に押し込ませる押圧荷重とが付勢ばね片1dに作用する。このため付勢ばね片1dを、より確実かつ容易に弾性変形させることができ、付勢ばね片1dが反力を生じる定常状態を確実かつ容易に形成できる。
図21Cで示す嵌合固定状態では、可動ハウジング1bの下方に可動間隙S5が形成されている。したがって可動ハウジング1bは、定常時において嵌合方向に変位することができる。
図21Dは、可動ハウジング1bと固定ハウジング1aとが近づく方向に相対変位した第1の変位状態を示す。具体的には、第2の基板P2が距離d5だけ嵌合方向に撓み、可動ハウジング1bと接続対象物2が嵌合方向に変位している。したがって第5実施形態でも、第1実施形態と同様に、付勢ばね片1dの反力によって、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合位置が維持される。したがって、端子と接続対象物2との接触位置も維持されており、接点摺動の発生を抑制することができる。
図21Eは、可動ハウジング1bと固定ハウジング1aとが離れる方向に相対変位した第2の変位状態を示す。具体的には、第2の基板P2が距離d6だけ抜去方向に撓み、可動ハウジング1bと接続対象物2が抜去方向に変位している。このときの第2の基板P2と接続対象物2と可動ハウジング1bの抜去方向への最大変位量は、嵌合時の距離d3と嵌合固定時の離間距離d4とを合わせた距離よりも小さくなる。付勢ばね片1dが、反力によって可動ハウジング1bを接続対象物2に抜去方向で押圧し続けるようにするためである。したがって第5実施形態でも、第1実施形態と同様に、付勢ばね片1dの反力によって、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合位置が維持される。したがって、端子と接続対象物2との接触位置も維持されており、接点摺動の発生を抑制することができる。
第5実施形態の可動コネクタ1及び可動コネクタ1と接続対象物2との接続構造3は、接続対象物2と第2の基板P2の重量が荷重として付勢ばね片1dに作用し、付勢ばね片1dが距離d3だけ嵌合方向へ沈むように弾性変形することができる設置姿勢であればよい。即ち、図21で示すように、嵌合方向が鉛直方向となるように可動コネクタ1を設置する実施形態のみならず、嵌合方向が鉛直方向以外(鉛直方向に対する傾斜方向)となるように可動コネクタ1を設置する実施形態としてもよい。なお、例えば、嵌合方向が水平方向になる場合、図21で示す可動コネクタ1と接続対象物2との上下の位置関係が入れ替わる場合には、接続対象物2と第2の基板P2の重量は、荷重として付勢ばね片1dに作用しないと考えられるが、この場合には、第1の基板P1と第2の基板P2とが近づくように、その何れかを嵌合方向に押し込ませるため、図6で示す第1実施形態に該当する。
他の実施形態及び変形例の説明〔図22~図25〕
以上の実施形態については、その構成を部分的に変形して実施することが可能であるため、その幾つかの例を説明する。
前記実施形態では、「接続対象物」としてコネクタ(相手コネクタ20)を例示した。しかしながら「接続対象物」は、コネクタに限るものではなく、FPC、FFC等の平型導体、バスバー、接続ピン等の端子、電気素子を含む電子部品等としてもよい。この場合、可動コネクタ10は、「接続対象物」に応じて構成を変えた変形例として実施される。
前記実施形態では、可動ハウジング12の底壁12bを「当接部」とし、相手ハウジング21の上端面を当接受け部21a2とする例を示したが、それらの「当接部」と「当接受け部」の組み合わせは、これに限定されない。その一例を図22に基づき説明する。なお、図22以降では記載を簡略化するため、図23Fを除き、付勢ばね片1dの記載を省略する。
図22Aは、第6実施形態を示す図である。この実施形態では、可動コネクタ1の「当接部」を可動ハウジング1bの底面1b2及び上端面1b3とし、「当接受け部」を接続対象物2の嵌合側先端部2a1及び段部2a2としている。このように「当接部」と「当接受け部」は、複数箇所に設けてもよい。
図22Bは、第7実施形態を示す図である。この実施形態では、可動コネクタ1の「当接部」を可動ハウジング1bの上端面1b3とし、「当接受け部」を第2の基板P2の基板面2a3としている。このように可動ハウジング1bが嵌合方向及び抜去方向で当接する「当接受け部」は、接続対象物2の部位に限定されない。接続対象物2が、例えば、FPC、FFC等の平型導体、バスバー、接続ピン等の端子、電気素子を含む電子部品等である場合には、コネクタの樹脂成形体でなるハウジングと同様に、当接部の押圧力を受け止める当接受け部を設けることが難しい。このような場合でも、本実施形態であれば、接続対象物2に替えて基板面2a3に対して可動ハウジング1bを当接させることができる。
図22Cは、第8実施形態を示す図である。この実施形態では、可動コネクタ1の「当接部」を可動ハウジング1bに形成したフランジ部1b4とし、「当接受け部」を接続対象物2に設けた当接受け部2a4としている。この場合の接続対象物2は、相手コネクタとすることができ、当接受け部2a4は例えば相手コネクタのハウジングに設けた突出部とすることができる。このように可動ハウジング1bが嵌合方向及び抜去方向で当接する「当接受け部」は、可動ハウジング1bの嵌合室に挿入される相手コネクタ(接続対象物2)の嵌合部に限られない。なお、本実施形態では、可動ハウジング1bに庇状のフランジ部1b4を設けることで、可動部1cを外部に対して保護することができる。
図22Dは、第9実施形態を示す図である。この実施形態では、可動コネクタ1の「当接部」を可動ハウジング1bに形成したフランジ部1b4とし、「当接受け部」を接続対象物2に設けた当接受け部材2a5としている。当接受け部材2a5は、接続対象物2及び第2の基板P2とは別部材であり、フランジ部1b4に対向して第2の基板P2に装着する基板装着部材とすることができる。このように可動ハウジング1bが抜去方向で当接する「当接受け部」は、接続対象物2と第2の基板P2に限定されない。なお、本実施形態では、可動ハウジング1bに庇状のフランジ部1b4を設けることで、可動部1cを外部に対して保護することができる。
前記第1実施形態~第5実施形態では、可動コネクタ10をプラグコネクタとする例を示したが、ソケットコネクタとしてもよい。
前記第1実施形態~第5実施形態では、可動コネクタ10の可動ハウジング12の外底面が、固定ハウジング11に隠されておらず、外部に露出する例を示した。しかしながら、図23Aで示す第10実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のようにしてもよい。この実施形態では、図23Aで示すように、固定ハウジング1aに可動ハウジング1bの外底面と対向する底壁1a1を設けてもよい。この場合、固定ハウジング1aと可動ハウジング1bの相対変位を許容する可動間隙S6は、可動ハウジング1bと固定ハウジング1aの底壁1a1との間となる。
前記第1実施形態~第5実施形態では、固定ハウジング1aと可動ハウジング1bの相対変位を許容する可動間隙S2が、第1の基板P1と可動ハウジング1bとの間とする例を示した。しかしながら、図23Bで示す第11実施形態の可動コネクタ1のようにしてもよい。この実施形態の可動コネクタ1は、図23Bで示すように、固定ハウジング1aを第1の基板P1に固定する固定部材1a2を設け、可動ハウジング1bと固定部材1a2との間を可動間隙S7としてもよい。
前記第1実施形態~第5実施形態では、スペーサ部材Rの両端を第1の基板P1及び第2の基板P2に固定する例を示した。しかしながら、図23Cで示す第12実施形態の可動コネクタ1のようにしてもよい。この実施形態の可動コネクタ1は、図23Cで示すように、固定ハウジング1aに設けた固定部1a3にスペーサ部材Rを固定してもよい。これによれば、可動コネクタ1とスペーサ部材Rとが離れず一体であるため、可動コネクタ1とスペーサ部材Rとの間に無駄なスペースがなく可動コネクタ1の接続構造3を小型化することができる。
前記第1実施形態~第5実施形態では、スペーサ部材Rの両端を第1の基板P1及び第2の基板P2に固定する例を示した。しかしながら、図23Dで示す第13実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のようにしてもよい。この実施形態では、例えば図23Dで示すように、固定ハウジング1aにロックアーム形状の係止片1a4を一体形成し、第2の基板P2に係止孔P21を設ける。係止片1a4は本発明の「スペーサ部」として機能する。この実施形態では、係止孔P21に係止片1a4を挿入して係止させる過程で付勢ばね片1dが弾性変形し、係止片1a4が第2の基板P2に係止した状態で反力を発生する。なお、係止片1a4は、固定ハウジング1aの四隅に設ける形態、固定ハウジング1aの周壁を形成する一対の対向壁の上端にそれぞれ設ける形態、固定ハウジング1aの天面壁から伸長するように設ける形態とすることができる。
前記第1実施形態~第5実施形態では、スペーサ部材Rの両端を第1の基板P1及び第2の基板P2に固定する例を示した。しかしながら、図23Eで示す第14実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のように、スペーサ部材Rの少なくとも一端は固定しなくてもよい。例えば図23Eの可動コネクタ1は図23Dと同じであるが、スペーサ部材Rは、第1の基板P1、第2の基板P2の間に設置されていればよく、それらに対して固定しなくてもよい。例えば、スペーサ部材Rの少なくとも何れか一方のみを固定し、他方は接触しているだけでよい。また、スペーサ部材Rは第1の基板P1、第2の基板P2の表面の面方向(Y方向に)位置ずれしなければよいので、第1の基板P1、第2の基板P2に設けた穴に挿入し、Z方向では抜去できるようにしてもよい。但し、この場合には、係止片1a4のような第2の基板P2が脱離を防止する構造が必要である。
前記第1実施形態~第5実施形態では、嵌合方向が第1の基板P1の垂直方向(Z方向)であるストレート接続型の可動コネクタ1を例示した。しかしながら、図23Fで示す第15実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のようにしてもよい。即ち、この実施形態は、図23Fで示すように、嵌合方向が第1の基板P1の表面の面方向(Y方向)であるライトアングル接続型の可動コネクタ1及びその接続構造である。この場合、第1の基板P1と第2の基板P2は、それぞれそれらを支持するブラケットや筐体等の構造部材に固定されている。または、第1の基板P1と第2の基板P2は、それらを直接保持する支持部材(例えばL字形状のスペーサ部材)により設置されるようにしてもよい。そして、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合固定状態では、付勢ばね片1dが弾性変形しており反力を生じている。したがって、この実施形態では、第1の基板P1と第2の基板P2とがY方向に相対変位した場合でも、付勢ばね片1dの反力によって、可動ハウジング1bと接続対象物2との嵌合位置が維持される。したがって、端子と接続対象物2との接触位置も維持されており、接点摺動の発生を抑制することができる。また、可動ハウジング1bと接続対象物2とがX方向及びZ方向の少なくとも何れかで位置ずれしていても、位置ずれを解消しながら嵌合接続することができる。
前記第1実施形態~第5実施形態では、第1の基板P1と第2の基板P2とをスペーサ部材Rで支持する例を示した。しかしながら、図24で示す第16実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のように、本発明の「スペーサ部」は、筐体としてもよい。即ち、本実施形態では、第1の基板P1は第1の筐体R1に保持されており、第2の基板P2は第2の筐体R2に保持されている。なお、そのように第1の基板P1と第2の基板P2を保持する技術的手段は、係合、ネジ止め、接着等で実現できる。
図24Aで示すように、第1の筐体R1には、第2の筐体R2に対して突き合わせる第1の突き合わせ端部R11が設けられている。第2の筐体R2には、第1の筐体R1に対して突き合わせる第2の突き合わせ端部R21が設けられている。本実施形態では第1の突き合わせ端部R11、第2の突き合わせ端部R21は、それぞれ、第1の筐体R1の開口端、第2の筐体R2の開口端としているが、第1の筐体R1、第2の筐体R2の他の部位に設けるようにしてもよい。
図24Aで示すように、第1の突き合わせ端部R11と第1の基板P1の基板面P11との間は距離d6だけ離れており、これと同様に、第2の突き合わせ端部R21と第2の基板P2の基板面P22との間は距離d7だけ離れている。
図24Bは、接続対象物2を可動ハウジング1bに嵌合させた嵌合状態を示している。この嵌合状態では、第1の基板P1の基板面P11と第2の基板P2の基板面P22との間は距離d8だけ離れており、また第1の突き合わせ端部R11と第2の突き合わせ端部R21との間には間隙S8が形成されている。
そして図24Cは嵌合固定状態を示している。第1の筐体R1と第2の筐体R2とを組み合わせると、可動ハウジング1bを嵌合方向に押し込ませる押圧荷重が付勢ばね片1dに作用する。このため付勢ばね片1dを、より確実かつ容易に弾性変形させることができ、付勢ばね片1dが反力を生じる定常状態を確実かつ容易に形成できる。
なお、図24で示す実施形態は、前記第1実施形態のように第2の基板P2を押し込む押圧荷重を付勢ばね片1dに作用させる例である。しかしながら、本実施形態は、第4実施形態のように、第2の筐体R2等の重量を荷重として付勢ばね片1dに作用させるように構成できる。また、本実施形態は、第5実施形態のように、押圧荷重と重量による荷重の双方を付勢ばね片1dに作用させるように構成できる。
図24で示す第16実施形態では、本発明の「スペーサ部」が分割した第1の筐体R1、第2の筐体R2とする例を示した。しかしながら、図25で示す第17実施形態の可動コネクタ1及びその接続構造3のように、本発明の「スペーサ部」は、そのような分割構造の筐体と同等の機能を奏する複数本のスペーサ部材によって構成してもよい。即ち、図25で示すように、複数のスペーサ部材は、第1の基板P1に配置する第1のスペーサ部材R3と、第2の基板P2に配置する第2のスペーサ部材R4とを有するように構成できる。図25は、第1実施形態の図6Bと同様に嵌合状態を示している。この嵌合状態で、第1のスペーサ部材R3と第2のスペーサ部材R4との間には、距離d9だけ離間する間隙S9が形成されている。このとき、第1の基板P1の基板面P11と第2の基板P2の基板面P22との間は、間隙S9の距離d9よりも長い距離d10だけ離れている。
そして図25で示す嵌合状態から、第1のスペーサ部材R3と第2のスペーサ部材R4とを連結すると、可動ハウジング1bを嵌合方向に押し込ませる押圧荷重が付勢ばね片1dに作用する。このため付勢ばね片1dを、より確実かつ容易に弾性変形させることができ、付勢ばね片1dが反力を生じる定常状態を確実かつ容易に形成できる。なお、第1のスペーサ部材R3と第2のスペーサ部材R4は、螺合、圧入によりそれらを直接相互に連結することができる。また、第1のスペーサ部材R3と第2のスペーサ部材R4は、それらとは別部材のボルトによって相互に連結することもでき、具体的な連結方法は問わない。
さらに、図25で示す実施形態は、前記第1実施形態のように第2の基板P2を押し込む押圧荷重を付勢ばね片1dに作用させる例である。しかしながら、本実施形態は、第4実施形態のように、第2の筐体R2等の重量を荷重として付勢ばね片1dに作用させるように構成できる。また、本実施形態は、第5実施形態のように、押圧荷重と重量による荷重の双方を付勢ばね片1dに作用させるように構成できる。
前記実施形態では、端子13の第3の伸長部13c5が、自由状態で、第2の屈曲部13c4から第3の屈曲部13c6にかけて斜め上方に傾斜しており、嵌合固定状態で水平に弾性変形する例を示した。しかしながら、第3の伸長部13c5は自由状態で水平方向に伸長するものとしたり、第3の伸長部13c5の部分が下向きに円弧状の形状であってもよい。
前記第1実施形態~第5実施形態では、第2の基板P2のみが撓む例を示したが(図6、図10、図11、図21)、第2の基板P2が撓まず第1の基板P1のみが撓む場合もある。また、第1の基板P1と第2の基板P2が同じ方向又は異方向に撓む場合もある。しかしながら、何れの場合であっても、可動ハウジング1bが接続対象物2を押圧し、可動ハウジング12が相手ハウジング21を押圧することは変わらない。したがってどのように撓んでも接点摺動を防ぐことができる。