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JP7378976B2 - 熱可塑性樹脂手袋の製造方法および熱可塑性樹脂手袋 - Google Patents
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熱可塑性樹脂手袋の製造方法および熱可塑性樹脂手袋 Download PDF

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Description

本発明は熱可塑性樹脂手袋の製造方法に関し、詳しくは、装置が簡易であり、環境にやさしい熱可塑性樹脂手袋の製造方法および熱可塑性樹脂手袋に関する。
従来、有機溶剤や洗剤などの化学薬品を扱う作業現場では化学薬品から手肌を保護するために、ポリ塩化ビニルやポリウレタンなどの熱可塑性樹脂手袋が用いられていた。これらの手袋は一般的にはディップ成形法によって製造されている。
ディップ成形法とは、可塑剤などの添加剤が添加された熱可塑性樹脂液を浸漬液として調整しておき、手袋の立体形状に対応した型を用意して、前記型を前記浸漬液に一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、型の表面に浸漬液を付着させて手袋を製造する方法である。
型に付着した浸漬液は、引き上げた型ごと加熱されて皮膜となり、脱型することにより手袋が製造される。
ディップ成形法で熱可塑性樹脂手袋を製造するためには、熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶解させたり、水や可塑剤に乳化または分散させたりして、熱可塑性樹脂を一旦液状にしなければならない。逆に言えば、溶解、乳化、分散のいずれかの方法で液状化できない熱可塑性樹脂は、ディップ成形法によって手袋を製造することができない。
現在、洗剤や酸・アルカリを使用する清掃作業では、ポリ塩化ビニル手袋が使用されることが多いが、ポリ塩化ビニル手袋のほとんどが、特許文献1のように、ポリ塩化ビニルを多量の可塑剤中に分散させて液状のゾルを作製した後、ディップ成形法によって製造されている。使用されている可塑剤は人体に有害ではないものの、配合時や設備洗浄時に廃液が生じたり、工場内全体が可塑剤で汚れたりする問題があった。
また、近年、長時間着用しても蒸れにくく、耐薬品性に優れる特徴があり注目されているポリウレタン手袋も、ディップ成形によって製造されている。例えば、特許文献2では、ポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液に低沸点の溶剤を添加した溶液に手袋型を浸漬し、引上げて乾燥することを特徴とする通気性ポリウレタン手袋の製造法について開示されている。しかし、この方法は、人体に有害であるジメチルホルムアミドや有機溶剤を使用するため、作業環境が悪く、また、排気や廃液施設が必要であるといった問題点がある。
これらを解決する方法として、特許文献3には、表面張力が39N/m以上、45N/m以下のポリウレタンの水性エマルションを含む浸漬液を調製する工程、手袋の立体形状に対応した陶器製の手型を前記浸漬液に浸漬したのち引き上げて、前記手型に前記浸漬液を付着させる工程、および付着させた浸漬液を乾燥、固化させる工程を含むノンサポートタイプの手袋の製造方法について開示されている。これらは人体に有害な有機溶剤は使用しないものの、依然として設備は大型であり、廃液が発生する点も解決されていない。また、凝固剤を必要とするため、浸漬液に型を浸漬する前に凝固剤を型に付着させる工程が必要となってしまい、工程が複雑になるとともに、ゴム皮膜に水分散剤由来の乳化剤が残存するため耐水強度が低くなりやすいといった問題点を有していた。
なお、作業用手袋の重要な性能の一つである耐薬品性は、作業現場で扱う薬品に適した熱可塑性樹脂を選択することと、手袋の膜厚を厚くすることによって向上させることができる。しかし、上述のように、従来のディップ成形法では、原料が液状化できる熱可塑性樹脂に限定されてしまい、耐薬品性の改良にも限界がある。また、ディップ成形法では膜厚の厚い手袋を製造することが難しく、膜厚で耐薬品性を改良することが難しい欠点があった。
特開昭62-85002号公報 特開昭58-53413号公報 特開2016-56475号公報
本発明の課題は、ディップ成形法では成形できなかった熱可塑性樹脂から手袋を製造する方法であって、有機溶剤や可塑剤を使用せず、排気や廃液をほとんど発生させず、従来のディップ成形法に比較して製造工程が簡素化され、製造設備を小型化することができる熱可塑性樹脂手袋の製造方法や、膜厚を均一に厚くでき、破断時引張強さと破断時伸びが高く、耐溶剤性に優れ、蒸れにくい優れた熱可塑性樹脂手袋を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性樹脂を接触させて金型表面に樹脂皮膜を形成させることを利用して手袋を製造することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性樹脂を接触させ、金型表面に樹脂皮膜を形成させた後、金型から樹脂皮膜を剥離することを特徴とする熱可塑性樹脂手袋の製造方法である。
また、本発明は、熱可塑性樹脂で形成されたことを特徴とする熱可塑性樹脂手袋である。
本発明によれば、製造装置が簡単な構成であり製造サイクルが短くすることができ生産性が向上する。また、本発明は製造に際し、有機溶剤を一切使用しないため、手袋の製造現場の作業環境を改善するとともに、有機溶剤を含む排気及び廃液が発生しないため、環境負荷を低減することができる。
また、本発明で製造される手袋は、膜厚を均一に厚くでき、破断時引張強さと破断時伸びが高く、耐溶剤性に優れ、蒸れにくい優れたものとなる。
本発明製法の好ましい態様であるパウダースラッシュ法の概略図である。 本発明製法の好ましい態様であるパウダースラッシュ法の概略図である。 本発明製法の好ましい態様である流動浸漬法の概略図である。
本発明の熱可塑性樹脂手袋の製造方法(以下、「本発明製法」という)は、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性樹脂を接触させ、金型表面に樹脂皮膜を形成させた後、金型から樹脂皮膜を剥離するものである。
本発明製法に用いられる手袋の金型は、手袋を形成できる金型であれば材質は特に限定されるものではなく、例えば、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、これらの合金等が挙げられる。手袋の金型は、雄型または雌型のどちらでもよく、これらは従来公知の製造方法で製造できる。
上記金型の表面には、樹脂皮膜を剥がしやすくするために、離型剤を塗布することが好ましい。離型剤の種類としては、ワックス系、金属石鹸系、シリコーン系、フッ素系などが挙げられる。ワックス系離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ-トロプシュワックスなどが挙げられる。金属石鹸系離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。シリコーン系離型剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、微粉末シリカを配合したジメチルシリコーンオイル、及びシリコーンオイル類を水中に乳化させたエマルジョン、シリコーンオイル類を石油炭化水素などの有機溶剤で希釈した溶液などが挙げられる。フッ素系離型剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素含有樹脂、パーフルオロポリエーテルオイル、パーフルオロアルキル基で変性されたノニオン系界面活性剤、パーフルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基で変性された(メタ)アクリレートを重合単位として有するポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。離型剤は、1種類を使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
手袋の金型の加熱は、内部または外部のどちらからでもよく、公知の加熱手段で行うことができる。また、加熱手段は金型の内部にあってもよい。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点及び分解温度などの熱特性を考慮して適宜選択すればよい。例えば、熱可塑性樹として、ポリウレタンまたはポリ塩化ビニルを用いる場合は、金型の表面の温度を200~300℃、さらに好ましくは200~250℃にすればよい。
本発明製法に用いられる粉末状熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂の粉末であれば特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、エチレン-四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などを挙げることができる。単独でもよいが、複数の粉末を混合してもよい。特に熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンであれば、より柔軟な手袋を得ることができるため好ましい。
本発明で用いられる粉末状熱可塑性樹脂には、必要に応じて、充填剤、顔料、可塑剤、安定剤などを含有させても良い。充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、シリカ、珪藻土、ベントナイトなどが挙げられる。顔料の具体例としては、カーボンブラック、ウルトラマリン、群青、酸化チタン、多環顔料、アゾ顔料などが挙げられる。可塑剤の具体例としては、ジイソノニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート(DINCH)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、アルキルスルホン酸フェニルエーテル、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOTP)、安息香酸グリコールエステル、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジn-アルキル、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ビス(2-ブトキシエチル)、分子量300~3000のアジピン酸ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)(TOTM)、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸直鎖アルキルエステルの混合物、ピロメリット酸テトラ(2-エチルヘキシル)(TOPM)、ピロメリット酸直鎖アルキルエステルの混合物、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステルなどが挙げられる。安定剤の具体例としては、アミンケトン系化合物、芳香族アミン系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物などが挙げられる。
粉末状熱可塑性樹脂の調製方法は、特に限定されるものでなく、水溶媒または有機溶媒中で粒子を合成した後で、ろ過や乾燥によって溶媒を除去して粉末化する方法や、塊やペレットを凍結粉砕や機械粉砕によって粉末化する方法などが挙げられる。
粉末の体積平均粒径は従来の粉末成形に利用されている粒径の範囲であれば利用でき、例えば、100~500μmの粒径のものが利用可能である。従来の粉末状熱可塑性樹脂は自動車内装材のような浅物成形物に利用されているが、このような用途の金型は深さが浅く、開放面積が広いため、粉末状熱可塑性樹脂が金型全体に流れやすい。一方、手袋は深物成形物であり、金型は開口部が狭い上に縦長であり、袖口部分から指の先端部分まで粉末状熱可塑性樹脂を一気に行き渡らせるのが難しい。そのため、本発明で用いる粉末状熱可塑性樹脂は、流動性を高めておくことが重要であり、体積平均粒径が100~300μmであることが好ましく、さらに好ましくは100~200μmが好ましい。体積平均粒径粒径が100μmよりも細かいと、金型内での流動性が悪くなり、金型の指先部分まで粉末が到達しなかったり、皮膜形成後に金型開口部を下向きに戻した時、余剰な粉末状熱可塑性樹脂が落ちにくくなったりする。また、体積平均粒径が200μmよりも大きくなると、厚みが均一な手袋が製造しにくくなる。
本発明製法において、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性樹脂を接触させ、金型表面に樹脂皮膜を形成させる方法は特に限定されないが、例えば、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性樹脂をパウダリングしながら吹き付けて行う、いわゆる、パウダースラッシュ法、加熱した手袋の金型を、粉末状熱可塑性樹脂の流動層に浸漬して行う、いわゆる、流動浸漬法等が挙げられる。
上記のようにして金型表面に樹脂皮膜を形成させた後は、適宜、エアブロー等により余分な粉末状熱可塑性樹脂の除去、冷却等をし、もし粉末状熱可塑性樹脂の溶融が不十分な部分があればバーナー等で再加熱をおこない、皮膜の形成状態を整えた後、金型から樹脂皮膜を剥離する。これにより熱可塑性樹脂手袋が製造できる。本発明の手袋の内側には、例えば、手袋の着脱を容易にするために粘着防止層を設けたり、パイルを静電植毛したりしてもよい。
以下、本発明製法の好ましい態様としてパウダースラッシュ法(金型は雌型)を利用した方法を図と共に説明する。
図1(a)~(c)及び図2(a)~(b)に示されるように、加熱されたフレーム部材2を含む金属の手袋の雌型の金型1(以下、「金型1」という)と、粉末状熱可塑性樹脂7を収容したリザーバタンク4とを、金型1の内表面Aを下向きにするとともに、リザーバタンク4の開口部を上向きにした状態で、上下に一体的に連結した後、一緒に回転させることによって、金型1の内表面Aで粉末状熱可塑性樹脂7を溶融させて樹脂皮膜8を形成し、再び金型1の内表面Aを下向きに戻して余剰な粉末状熱可塑性樹脂7をリザーバタンク4へ落とし、金型1の外表面Bを冷却し、冷却後に雌型から剥離することにより、熱可塑性樹脂手袋が得られる。
具体的には、まず、図1(a)に示すように、加熱手段による熱風3によって、フレーム部材2を含む金型1を所定温度に加熱する。次いで、図1(b)に示すように、金型1を、粉末状熱可塑性樹脂7を収容したリザーバタンク4の上方に位置合わせした上で載置する。次いで、図1(c)に示すように、金型1をリザーバタンク4と一緒に回転させて、金型1の内表面Aで粉末状熱可塑性樹脂7を溶融させて樹脂皮膜8を形成させる。次いで、図2(a)に示すように、金型1の内表面Aを上にした状態で、余剰な粉末状熱可塑性樹脂7をリザーバタンク4に戻し、図2(b)に示すように、金型1の外表面Bをシャワー、ミスト、エアブロー等の冷却手段10を備えた冷却装置9で冷却し、冷却後に樹脂皮膜8を剥離して熱可塑性樹脂手袋を得る。
リザーバタンクは、図1(b)に示すように、タンク下方に撹拌室5を設けることが好ましい。撹拌室5を設けて、そこへ空気を導入すれば、リザーバタンク4の内部に収容された粉末状熱可塑性樹脂7が流動状態となり、金型1と連結したリザーバタンク4を回転させた時に、金型1の内表面Aに均一な厚さの樹脂皮膜8が形成させるため、厚さが均一な手袋を製造することができる。
また、撹拌室5を設ける場合には、撹拌室5の上方は、穴開き部材、例えばメッシュ部材から構成しておき、導入された空気によって、粉末状熱可塑性樹脂7が巻き上げる構造であることが好ましい。こうすることによって、金型1を回転させた時の粉末状熱可塑性樹脂の分散性を向上させることができる。
本発明製法の好ましい別の態様として流動浸漬法(金型は雄型)を利用した方法を図と共に説明する。
図3(a)~(d)に示されるように、流動状態の粉末状熱可塑性樹脂15に、加熱されたフレーム部材を含む金属の手袋の雄型の金型11(以下、「金型11」という)を、浸漬させることによって、金型11の外表面で粉末状熱可塑性樹脂15を溶融させて樹脂皮膜17を形成し、流動槽14から引き上げ、余剰な粉末状熱可塑性樹脂15を流動槽14へ落とし、金型11を冷却し、冷却後雄型から反転剥離することにより、熱可塑性樹脂手袋が得られる。
具体的に、まず、図3(a)に示すように加熱手段による熱風12によって、フレーム部材を含む金型11を所定温度に加熱する。次いで、図3(b)に示すように多孔質の隔壁13を備える流動槽14に粉末状熱可塑性樹脂15を収容し、流動槽14の下部から隔壁13を介して空気等の気体を導入して粉末状熱可塑性樹脂15を流動させ、これに金型11を浸漬させる。この浸漬の際には、必要により浸とうさせてもよい。これにより金型11の外表面Cで粉末状熱可塑性樹脂15を溶融させて樹脂皮膜17を形成する。次いで、図3(c)に示すように金型11を流動槽14から引き上げ、余剰な粉末状熱可塑性樹脂15をエアブロー等の冷却手段16で流動槽14へ落とすと共に冷却する。次いで、図3(d)に示すように、冷却後に樹脂皮膜17を反転剥離して熱可塑性樹脂手袋を得る。
金型11を流動槽14から引き上げた後、例えば、接着剤溶液に浸漬してからパイルの静電植毛をおこなって肌触りを良くしたり、表面改質剤溶液に浸漬して粘着防止層を設けて脱着しやすくしたりしてもよい。
斯くして得られる熱可塑性樹脂手袋は、通常のディップ成型品よりも均一に厚くすることができるため、膜厚を均一に厚くでき、破断時引張強さと破断時伸びが高く、耐溶剤性に優れ、蒸れにくい優れたものとなる。手袋の厚みは、特に限定されないが、耐薬品性の良い手袋とするには、例えば、手袋の厚みを0.3mm以上、好ましくは0.5mm以上とする。また、手袋の風合いをよくするためには手袋の厚みを1.0mm以下、好ましくは0.8mm以下とする。
ここで耐薬品性のある手袋とは、後記する試験例1に記載のトルエンを用いた耐溶剤性試験において、レベルが1以上、好ましくは2以上であることをいう。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
パウダースラッシュ法による手袋の製造:
ニッケル製で肉厚3.5mmの手袋の雌型を、400℃の炉に入れ8分間加熱し、型の内表面の温度が250℃になるまで加熱した。一方、リザーバタンク内にポリウレタン(以下、「PU」ということもある)粉末「YT-POWDER LFF」(三洋化成工業(株)製:体積平均粒径160μm)10kgを投入し、雌型の開口部とリザーバタンクの開口部を連結し、上下反転させて20秒間静置して、樹脂皮膜を形成させた後、再び反転させてリザーバタンクを下の位置に戻し、結合部を外し、手型の外表面に空気を吹付けて、外表面温度が60℃になるまで冷却した後、手型から手袋を剥離し、本発明の手袋を得た。
実 施 例 2
パウダースラッシュ法による手袋の製造:
実施例1において、雌型の開口部とリザーバタンクの開口部を連結し、上下反転させた後の静置時間を60秒間に変更した以外は、すべて実施例1と同じ条件で手袋を得た。
比 較 例 1
ディップ成形法による手袋の製造:
ポリウレタン水性エマルジョン「FCS-725」(固形分43%)(DIC(株)製)を見掛け質量で100質量部、酸化チタン粉末0.4質量部、カルボジイミド0.4質量部を配合して浸漬液を調製した。セラミックス製手型を、20%硝酸カルシウム水溶液に浸漬した後、60℃に加熱して乾燥させた。次に、手型を浸漬液に20秒間浸漬した後、引き上げた手型を110℃で30分間加熱して、室温で放置して40℃まで冷却してから、離型して手袋を得た。
試 験 例 1
手袋の物性評価:
実施例1、2および比較例1の手袋について、以下に示す方法で、厚さのばらつき測定、引張試験、蒸れにくさ官能試験及び耐溶剤性を評価し、結果を表1にまとめて示した。
(厚さのばらつき測定)
得られた手袋の中指先端、手のひら部分及び袖口部分の厚さを、厚み計「デジマチックシックネスゲージ547-321」(株式会社ミツトヨ製)で測定し、厚さの最大値と最小値の差をばらつきとした。
(引張試験)
レバー式プレスカッター((株)東洋精機製作所製)を使用して、手袋の手のひら部分から、JIS K-6251に規定されているダンベル型6号の形状に打ち抜いて試験片とした。この試験片を引張試験機オートグラフAG-Xplus((株)島津製作所製)に設置し、試験片下部を固定した状態で引張速度500mm/minで試験片の中心部が破断するまで縦方向に牽引した。破断時の引張強さ及び破断時伸びを測定した。
(透湿性試験)
80℃の水を入れたビーカーの上を、手袋の手のひら部分から切り取った皮膜で完全に覆い、さらにガラス製シャーレを底面が上になるようにして皮膜の上に載せた。ビーカー内から発生した水蒸気が、皮膜を透過して、シャーレ内側で結露すると、シャーレ底面が白く曇る。透過性は、シャーレを載せてから、シャーレ内側が白く曇るまでの時間を透湿時間として評価した。
(蒸れにくさ官能試験)
手袋を10名の被験者に装着してもらい、装着30分後の蒸れの有無を下記A~Eの5段階で評価してもらった。そして、最も人数の多かった段階を、その手袋の蒸れにくさとして評価とした。
<評価> <内容>
A : 全く蒸れなかった。
B : 殆ど蒸れなかった。
C : 僅かに蒸れた。
D : 蒸れた。
E : 非常に蒸れた。
(耐溶剤性(トルエン))
得られた手袋の手のひら部分の耐溶剤性は、手のひら部分から直径80mmの円形試験片を切り取り、欧州規格EN374-3に準拠して、トルエンを使用しておこなった。破過時間が0分以上10分未満をレベル0、10分以上30分未満をレベル1、30分以上60分未満をレベル2、60分以上をレベル3として評価した。
Figure 0007378976000001
表1から明らかなように、本発明の製造方法で得られた手袋(実施例1及び2)は、従来のディップ成形法で得られた手袋(比較例1)に比べて、皮膜の厚さが厚くて均一であり、破断時引張強さと破断時伸びが高く、耐溶剤性に優れていることがわかる。また、膜厚が厚くなっても、透湿性及び装着時の蒸れにくさは、皮膜が薄い従来のディップ成形法で得られた手袋(比較例1)と同等以上のであることがわかる。
実 施 例 3
流動浸漬法による手袋の製造:
ニッケル製で肉厚3.5mmの手袋の雄型を、400℃の炉に入れ8分間加熱し、型の外表面の温度が250℃になるまで加熱した。一方、流動槽内にポリウレタン粉末「YT-POWDER LFF」(三洋化成工業(株)製:体積平均粒径160μm)10kgを投入し、流動槽の下部から多孔質の隔壁を介して空気を導入してポリウレタン粉末を流動させた。これに金型を浸漬し、20秒間振とうした後、引き上げ、手型の外表面に空気を吹付けて、余分なポリウレタン粉末を除去すると共に外表面温度が60℃になるまで冷却した後、手型から手袋を反転剥離し、本発明の手袋を得た。試験例1に記載した方法で、厚さのばらつき測定、引張試験、蒸れにくさ官能試験及び耐溶剤性を評価し、結果を表2にまとめて示した。
Figure 0007378976000002
表2から明らかなように、流動浸漬法で得られた手袋の性能は、パウダースラッシュ法で得られた手袋と同等であることがわかる。
本発明の熱可塑性樹脂手袋の製造方法は、膜厚を均一に厚くでき、破断時引張強さと破断時伸びが高く、耐溶剤性に優れ、蒸れにくい優れた熱可塑性樹脂手袋を製造するのに利用することができる。
1:金型 11:金型
2:金型のフレーム部材 12:熱風
3:熱風 13:多孔質の隔壁
4:リザーバタンク 14:流動槽
5:撹拌室 15:粉末状熱可塑性樹脂
6:型枠 16:冷却手段
7:粉末状熱可塑性樹脂 17:樹脂皮膜
8:樹脂皮膜 C:金型11の外表面
9:冷却装置
10:冷却手段
A:金型1の内表面
B:金型1の外表面
以 上

Claims (9)

  1. 加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性ポリウレタンを接触させ、金型表面にポリウレタン皮膜を形成させた後、金型からポリウレタン皮膜を剥離することを特徴とするポリウレタン手袋の製造方法。
  2. 加熱した手袋の金型への、粉末状熱可塑性ポリウレタンの接触を、加熱した手袋の金型に、粉末状熱可塑性ポリウレタンをパウダリングしながら吹き付けて行うものである請求項1記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  3. 手袋の金型が、手袋の雌型である請求項2記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  4. 加熱した手袋の金型への、粉末状熱可塑性ポリウレタンの接触を、加熱した手袋の金型を、粉末状熱可塑性ポリウレタンの流動層に浸漬して行うものである請求項1記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  5. 手袋の金型が、手袋の雄型である請求項4記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  6. 粉末状熱可塑性ポリウレタンの体積平均粒径が、100~200μmである請求項1~5の何れかに記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  7. ポリウレタン皮膜の厚さが、0.3mm以上である請求項1~6の何れかに記載のポリウレタン手袋の製造方法。
  8. 請求項1~7の何れかに記載のポリウレタン手袋の製造方法で製造されたことを特徴とするポリウレタン手袋。
  9. 耐薬品性を有するものである請求項記載のポリウレタン手袋。
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