以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1~図3を用いて、本発明に係る冷凍サイクル装置10の第1実施形態を説明する。冷凍サイクル装置10は、電気自動車に搭載された車両用空調装置に適用されている。電気自動車は、電動モータから走行用の駆動力を得る車両である。本実施形態の車両用空調装置は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行うとともに、バッテリ30等の車載機器を冷却する車載機器冷却機能付きの空調装置である。
冷凍サイクル装置10は、車両用空調装置において、車室内へ送風される空気を冷却あるいは加熱する。冷凍サイクル装置10は、バッテリ30を冷却する。従って、冷凍サイクル装置10の温度調整対象物は、空気およびバッテリ30である。冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリ30の冷却を行うために、冷媒回路を切替可能に構成されている。
冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油(具体的には、PAGオイル)が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11は、車室の前方側の駆動装置室内に配置されている。駆動装置室は、走行用の駆動力を出力するための駆動用装置(例えば、電動モータ)の少なくとも一部が配置される空間を形成している。
圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出能力)が制御される。
圧縮機11の吐出口には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と、空気とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱かつ凝縮させる凝縮部(換言すれば放熱部)である。換言すると、室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を熱源として空気を加熱する加熱部である。
室内凝縮器12の冷媒出口には、三方継手である第1継手13aの流入口側が接続されている。三方継手は、互いに連通する3つの流入出口を有する継手である。このような三方継手としては、複数の配管を接合して形成されたものや、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けることによって形成されたものを採用することができる。
冷凍サイクル装置10は、第2継手13b~第9継手13iを備えている。第2継手13b、第3継手13c、第5継手13e~第9継手13iは三方継手である。第2継手13b、第3継手13c、第5継手13e~第9継手13iの基本的構成は、いずれも第1継手13aと同様である。
第1継手13a~第3継手13c、第5継手13e~第9継手13iは、3つの流入出口のうち1つが流入口として用いられ、2つが流出口として用いられた際には、1つの流入口から流入した冷媒の流れを分岐する分岐部として機能させることができる。3つの流入出口のうち2つが流入口として用いられ、1つが流出口として用いられた際には、2つの流入口から流入した冷媒の流れを合流させる合流部として機能させることができる。
本実施形態では、第1継手13a、第3継手13c、第6継手13f、第7継手13g、および第9継手13iが、分岐部として機能可能に接続されている。第2継手13b、第5継手13e、および第8継手13hが、合流部として機能可能に接続されている。第1継手13aは第1分岐部である。第3継手13cは第2分岐部である。第9継手13iは第3分岐部である。第6継手13fは第4分岐部である。
第4継手13dは、四方継手である。四方継手は、互いに連通する4つの流入出口を有する継手である。第4継手13dは、4つの流入出口のうち3つが流入口として用いられ、1つが流出口として用いられており、3つの流入口から流入した冷媒の流れを合流させる合流部として機能させることができる。
第1継手13aの一方の流出口には、第1開閉弁14a、第1固定絞り23aおよび第5継手13eを介して、レシーバ15の入口側が接続されている。第1継手13aの他方の流出口には、第2開閉弁14bおよび第2継手13bを介して、暖房用膨張弁16aの入口側が接続されている。
第1開閉弁14aは、第1継手13aの一方の流出口からレシーバ15の入口へ至る入口側通路21aを開閉する電磁弁である。第1開閉弁14aは第1切替部である。第1開閉弁14aは、制御装置50から出力される制御電圧によって、その開閉作動が制御される。冷凍サイクル装置10は、第3開閉弁14cを備えている。第2開閉弁14b、第3開閉弁14cおよび第4開閉弁14dの基本的構成は、第1開閉弁14aと同様である。
第1固定絞り23a(換言すれば第1絞り)は、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる第1減圧部である。第1固定絞り23aは、入口側通路21aのうち、第1継手13aの一方の流出口からレシーバ15の入口へ至る範囲に配置されている。このような第1固定絞り23aとしては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。
第5継手13eは、入口側通路21aにおいて、一方の流入口が第1固定絞り23aの出口側に接続されている。第5継手13eは、入口側通路21aにおいて、流出口がレシーバ15の入口側に接続されている。
レシーバ15は、気液分離機能を有する貯液部である。すなわち、レシーバ15は、冷凍サイクル装置10において冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する熱交換部から流出した冷媒の気液を分離する。そして、レシーバ15は、分離された液相冷媒の一部を下流側に流出させ、残余の液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として蓄える。
第2開閉弁14bは、第1継手13aの他方の流出口から第2継手13bの一方の流入口へ至る外気側通路21cを開閉する電磁弁である。第2開閉弁14bは第1切替部である。第2継手13bの他方の流入口には、レシーバ15の冷媒出口側が接続されている。レシーバ15の冷媒出口と第2継手13bの他方の流入口とを接続する出口側通路21bには、第6継手13fおよび第1逆止弁17aが配置されている。
第6継手13fは、出口側通路21bにおいて、流入口がレシーバ15の冷媒出口側に接続されている。第6継手13fは、出口側通路21bにおいて、一方の流出口が第1逆止弁17aの入口側に接続されている。第6継手13fの他方の流出口には、第7継手13gの流入口側が接続されている。
第2継手13bの流出口には、暖房用膨張弁16aを介して、室外熱交換器18の冷媒入口側が接続されている。このため、出口側通路21bに配置された第1逆止弁17aは、レシーバ15の出口側から暖房用膨張弁16a側へ冷媒が流れることを許容し、暖房用膨張弁16a側からレシーバ15の出口側へ冷媒が流れることを禁止している。
暖房用膨張弁16aは、少なくとも暖房モードの冷媒回路に切り替えられた際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第1減圧部である。
暖房用膨張弁16aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体、および弁体を変位させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)を有する電動式の可変絞り機構である。すなわち、暖房用膨張弁16aは、電気式膨張弁である。暖房用膨張弁16aは、制御装置50から出力される制御信号(具体的には、制御パルス)によって、その作動が制御される。
暖房用膨張弁16aは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
冷凍サイクル装置10は、第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cを備えている。第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cの基本的構成は、暖房用膨張弁16aと同様である。
室外熱交換器18は、暖房用膨張弁16aから流出した冷媒と、図示しない外気ファンから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器18は、暖房用膨張弁16aから流出した冷媒の状態により、冷媒を凝縮させる凝縮部として機能したり、冷媒を蒸発させる蒸発部として機能したりする熱交換部である。室外熱交換器18は、駆動装置室内の前方側に配置されている。このため、車両走行時には、室外熱交換器18に走行風を当てることができる。
室外熱交換器18の冷媒出口には、第3継手13cの流入口側が接続されている。第3継手13cの一方の流出口には、第3開閉弁14cおよび第3逆止弁17cを介して、第4継手13dの第1の流入口側が接続されている。第3継手13cの他方の流出口には、第2逆止弁17bを介して、第9継手13iの流入口側が接続されている。
第3開閉弁14cは、第3継手13cの一方の流出口から第4継手13dの第1の流入口へ至る吸入側通路21dを開閉する電磁弁である。第3開閉弁14cは第2切替部である。第4継手13dの流出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。第3逆止弁17cは、第3継手13cの一方の流出口側から第4継手13dの第1の流入口側へ冷媒が流れることを許容し、第4継手13dの第1の流入口側から第3継手13cの一方の流出口へ冷媒が流れることを禁止している。第2逆止弁17bは、室外熱交換器18の冷媒出口側から第9継手13iの流入口側へ冷媒が流れることを許容し、第9継手13iの流入口側から室外熱交換器18の冷媒出口側へ冷媒が流れることを禁止している。
第9継手13iの一方の流出口には、第2固定絞り23bを介して、第5継手13eの他方の流入口側が接続されている。第2固定絞り23b(換言すれば第2絞り)は、レシーバ15へ流入する冷媒を減圧させる第1減圧部である。第2固定絞り23bは、第9継手13iの一方の流出口から第5継手13eの他方の流入口へ至る範囲に配置されている。このような第2固定絞り23bとしては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。
出口側通路21bに配置された第6継手13fの他方の流出口には、第7継手13gの流入口側が接続されている。第7継手13gの一方の流出口には、第1電気式膨張弁16bの入口側が接続されている。第7継手13gの他方の流出口には、第2電気式膨張弁16cの入口側が接続されている。
第1電気式膨張弁16bは、少なくとも冷房モードの冷媒回路に切り替えられた際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2減圧部である。
第1電気式膨張弁16bの出口には、室内蒸発器19の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器19は、図2に示す室内空調ユニット40のケーシング41内に配置されている。室内蒸発器19は、第1電気式膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒を、室内送風機42から送風された空気と熱交換させて蒸発させる第1蒸発部である。室内蒸発器19は、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって空気を冷却する空気冷却部である。室内蒸発器19の冷媒出口には、図1に示す第8継手13hの一方の流入口が接続されている。
第8継手13hの流出口には、第4逆止弁17dおよび第4継手13dを介して、圧縮機11の吸入口側が接続されている。第4逆止弁17dの出口側は、第4継手13dの第2の流入口側に接続されている。第4逆止弁17dは、第8継手13hの流出口側から第4継手13dの第2の流入口側へ冷媒が流れることを許容し、第4継手13dの第2の流入口側から第8継手13hの流出口側へ冷媒が流れることを禁止している。
第2電気式膨張弁16cは、バッテリ30を冷却する際に、レシーバ15から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2減圧部である。第2電気式膨張弁16cの出口には、バッテリ用チラー20の冷媒入口側が接続されている。バッテリ用チラー20の冷媒出口には、第4継手13dの第3の流入口が接続されている。
バッテリ用チラー20は、第2電気式膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒と、バッテリ冷却水回路31の冷却水(以下、バッテリ冷却水と言う。)とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させる第1蒸発部である。バッテリ用チラー20における冷媒の吸熱作用によって、バッテリ冷却水が冷却される。バッテリ用チラー20は、車両に搭載された機器を冷却する冷却用蒸発器である。
バッテリ冷却水回路31は、バッテリ冷却水を循環させる熱媒体回路である。バッテリ冷却水は、バッテリ30を冷却する熱媒体である。バッテリ冷却水回路31にはバッテリ冷却水ポンプ32およびバッテリ冷却水通路30aが配置されている。バッテリ冷却水ポンプ32は、バッテリ30から供給された電力によってバッテリ冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。
バッテリ30は、電動モータ等の電動式の車載機器に電力を供給する。バッテリ30は、複数の電池セルを電気的に直列的あるいは並列的に接続することによって形成された組電池である。電池セルは、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)である。バッテリ30は、複数の電池セルを略直方体形状となるように積層配置して専用ケースに収容したものである。
この種のバッテリは、低温になると化学反応が進行しにくく出力が低下しやすい。バッテリは、作動時(すなわち、充放電時)に発熱する。バッテリは、高温になると劣化が進行しやすい。このため、バッテリの温度は、バッテリの充放電容量を充分に活用することのできる適切な温度範囲内(本実施形態では、15℃以上かつ55℃以下)に維持されていることが望ましい。
バッテリ冷却水通路30aは、バッテリ30の専用ケースに形成されている。冷却水通路30aは、バッテリ用チラー20にて冷却されたバッテリ冷却水によってバッテリ30を冷却する。つまり、冷却水通路30aは、バッテリ冷却水にバッテリ30の有する熱(すなわち、バッテリ30の廃熱)を吸熱させてバッテリ30を冷却するバッテリ冷却部である。
第9継手13iの他方の流出口には、第4開閉弁14dおよび第1機械式膨張弁16dを介して、後席側蒸発器24の冷媒入口側が接続されている。
第4開閉弁14dは、第9継手13iの他方の流出口から第8継手13hの他方の流入口へ至る分岐通路21eを開閉する電磁弁である。第4開閉弁14dは、第9継手13iで分岐されて第1機械式膨張弁16dおよび後席側蒸発器24を流れる冷媒の流れを遮断することのできる遮断部である。
第1機械式膨張弁16dは、少なくとも全席冷房モードの冷媒回路に切り替えられた際に、第9継手13iの他方の流出口から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第3減圧部である。第1機械式膨張弁16dは、後席側蒸発器24の近傍に配置されている。
本実施形態では、第1機械式膨張弁16dとして、機械的機構で構成された機械式膨張弁(換言すれば、温度式膨張弁)を採用している。より具体的には、第1機械式膨張弁16dは、後席側蒸発器24の出口側冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材(具体的には、ダイヤフラム)を有する感温部と、変形部材の変形に応じて変位して絞り開度を変化させる弁体部とを有している。
これにより、第1機械式膨張弁16dでは、後席側蒸発器24の出口側の冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度(本実施形態では、5℃)に近づくように、絞り開度を変化させる。ここで、機械的機構とは、電力の供給を必要とすることなく、流体圧力による荷重や弾性部材による荷重等によって作動する機構を意味している。
後席側蒸発器24は、後席空調ユニット34のケーシング35内に配置されている。後席側蒸発器24は、第1機械式膨張弁16dにて減圧された低圧冷媒を、後席送風機36から送風された空気と熱交換させて蒸発させる第2蒸発部である。後席側蒸発器24は、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって空気を冷却する空気冷却部である。室内蒸発器19の冷媒出口には、図1に示す第8継手13hの一方の流入口が接続されている。後席側蒸発器24の冷媒出口には、第8継手13hの他方の流入口が接続されている。
後席空調ユニット34は、車両用空調装置において、適切に温度調整された空気を車室内後席側へ吹き出すためのユニットである。後席空調ユニット34は、車室内後部の近傍に配置されている。例えば、後席空調ユニット34は、車室後方側のトランクルームに配置されている。
後席空調ユニット34のケーシング35は空気通路を形成している。ケーシング35内に形成された空気通路には、後席送風機36、後席側蒸発器24等が配置されている。ケーシング35は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて形成されている。
ケーシング35の空気流れ上流側には、後席送風機36が配置されている。後席送風機36は、ケーシング35の吸入口から吸入された空気を車室内へ向けて送風する。後席送風機36は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。後席送風機36は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
後席送風機36の空気流れ下流側には、後席側蒸発器24が配置されている。ケーシング35の空気流れ最下流部には、空気を車室内後席側へ吹き出す開口穴が形成されている。
以上の説明から明らかなように、冷凍サイクル装置10では、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14cおよび第4開閉弁14dが冷媒通路を開閉することによって、冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14cおよび第4開閉弁14d等は、冷媒回路切替部に含まれる。
そして、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、および第1継手13aは、圧縮機11から吐出された冷媒を、レシーバ15側および室外熱交換器18側の一方へ導く冷媒回路切替部の第1切替部22aを構成している。より具体的には、本実施形態の第1切替部22aは、室内凝縮器12から流出した冷媒を、レシーバ15側および第2継手13b側の一方へ導いている。
第2継手13bは、第1継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の少なくとも一方を、室外熱交換器18側へ導く冷媒回路切替部の継手部を形成している。より具体的には、本実施形態の継手部は、第1継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の一方を、暖房用膨張弁16a側へ導いている。
第3開閉弁14cおよび第3継手13cは、室外熱交換器18から流出した冷媒を、圧縮機11の吸入口側および第9継手13i側の一方へ導く冷媒回路切替部の第2切替部22bを構成している。
第4開閉弁14dおよび第9継手13iは、室外熱交換器18から流出した冷媒を、レシーバ15側および後席側蒸発器24側の一方へ導く冷媒回路切替部の第3切替部を構成している。
次に、図2を用いて、室内空調ユニット40について説明する。室内空調ユニット40は、車両用空調装置において、適切に温度調整された空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すためのユニットである。室内空調ユニット40は、空気を主に車室内前席側へ吹き出す。室内空調ユニット40は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット40は、空気通路を形成するケーシング41を有している。ケーシング41内に形成された空気通路には、室内送風機42、室内蒸発器19、室内凝縮器12等が配置されている。ケーシング41は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて形成されている。
ケーシング41の空気流れ最上流側には、内外気切替装置43が配置されている。内外気切替装置43は、ケーシング41内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。内外気切替装置43の駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置43の空気流れ下流側には、室内送風機42が配置されている。室内送風機42は、内外気切替装置43を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。室内送風機42は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。室内送風機42は、制御装置50から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
室内送風機42の空気流れ下流側には、室内蒸発器19と室内凝縮器12が、空気流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器19は、室内凝縮器12よりも、空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器19は、車室内前席側へ送風される空気を熱交換させる前席側蒸発器である。
ケーシング41内には、室内蒸発器19を通過した空気を、室内凝縮器12を迂回させて下流側へ流すバイパス通路45が形成されている。
室内蒸発器19の空気流れ下流側であって、かつ室内凝縮器12の空気流れ上流側には、エアミックスドア44が配置されている。エアミックスドア44は、室内蒸発器19を通過後の空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量とバイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整する。エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて加熱された空気とバイパス通路45を通過して室内凝縮器12にて加熱されていない空気とを混合させる混合空間46が設けられている。ケーシング41の空気流れ最下流部には、混合空間46にて混合された空気を、車室内へ吹き出す図示しない開口穴が配置されている。
従って、エアミックスドア44が室内凝縮器12を通過させる風量とバイパス通路45を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間46にて混合されて各開口穴から車室内へ吹き出される空気(以下、空調風と言う。)の温度を調整することができる。
開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴およびデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらの開口穴の上流側には、図示しない吹出モード切替ドアが配置されている。吹出モード切替ドアは、各開口穴を開閉することによって、空調風を吹き出す開口穴を切り替える。吹出モード切替ドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、図3を用いて、車両用空調装置の電気制御部の概要について説明する。制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置50は、ROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、14a~14d、16a~16d、37、42、43、44等の作動を制御する。
制御装置50の入力側には、図3に示すように、各種の制御用センサが接続されている。制御用センサとしては、内気温センサ51a、外気温センサ51b、日射量センサ51cが含まれる。制御用センサとしては、高圧圧力センサ51d、空調風温度センサ51e、蒸発器温度センサ51f、蒸発器圧力センサ51g、室外器温度センサ51h、室外器圧力センサ51i、バッテリ温度センサ51jが含まれる。
内気温センサ51aは、車室内の温度である内気温Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ51bは、車室外の温度である外気温Tamを検出する外気温検出部である。日射量センサ51cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。
高圧圧力センサ51dは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力である高圧圧力Pdを検出する高圧圧力検出部である。空調風温度センサ51eは、混合空間46から車室内へ吹き出される吹出空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
蒸発器温度センサ51fは、室内蒸発器19における冷媒蒸発温度(換言すれば、蒸発器温度)Teを検出する蒸発器温度検出部である。本実施形態の蒸発器温度センサ51fは、具体的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の温度を検出している。
蒸発器圧力センサ51gは、室内蒸発器19における冷媒蒸発圧力Peを検出する蒸発器圧力検出部である。本実施形態の蒸発器圧力センサ51gは、具体的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の圧力を検出している。
室外器温度センサ51hは、室外熱交換器18を流通する冷媒の温度である室外器冷媒温度T1を検出する室外器温度検出部である。本実施形態の室外器温度センサ51hは、具体的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の温度を検出している。
室外器圧力センサ51iは、室外熱交換器18を流通する冷媒の圧力である室外器冷媒圧力P1を検出する室外器温度検出部である。本実施形態の室外器圧力センサ51iは、具体的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の圧力を検出している。
バッテリ温度センサ51jは、バッテリ30の温度であるバッテリ温度TBを検出するバッテリ温度検出部である。バッテリ温度センサ51jは、複数の温度検出部を有し、バッテリ30の複数の箇所の温度を検出している。このため、制御装置50では、バッテリ30の各部の温度差を検出することもできる。バッテリ温度TBとしては、複数の温度センサの検出値の平均値を採用している。
制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル52が接続され、この操作パネル52に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。
操作パネル52に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、オートスイッチ、エアコンスイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ、後席冷房スイッチ等がある。オートスイッチは、冷凍サイクル装置10の自動制御運転を設定あるいは解除する操作スイッチである。エアコンスイッチは、室内蒸発器19で空気の冷却を行うことを要求する操作スイッチである。風量設定スイッチは、室内送風機42の風量をマニュアル設定する操作スイッチである。温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetを設定する操作スイッチである。後席冷房スイッチは、後席側蒸発器24で空気の冷却を行うことを要求する操作スイッチである。
本実施形態の制御装置50は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。従って、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(すなわち、ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置50のうち、冷媒回路切替部である第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、第3開閉弁14cおよび第4開閉弁14dの作動を制御する構成は、冷媒回路制御部50aを構成している。
次に、上記構成の本実施形態の車両用空調装置の作動について説明する。冷凍サイクル装置10は、車室内の空調およびバッテリ30の冷却を行うために、冷媒回路を切替可能に構成されている。
具体的には、冷凍サイクル装置10は、車室内の空調を行うために、暖房モードの冷媒回路、冷房モードの冷媒回路、除湿暖房モードの冷媒回路を切り替えることができる。暖房モードは、加熱された空気を車室内へ吹き出す運転モードである。冷房モードは、冷却された空気を車室内へ吹き出す運転モードである。除湿暖房モードは、冷却されて除湿された空気を再加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。
これらの運転モードの切り替えは、予め制御装置50に記憶されている空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル52のオートスイッチが投入(ON)されると実行される。空調制御プログラムでは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号に基づいて、運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
(a)暖房モード
暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開き、第4開閉弁14dを閉じる。制御装置50は、暖房用膨張弁16aを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態として、第1電気式膨張弁16bを全閉状態とする。
これにより、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→第1固定絞り23a→レシーバ15→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機11の吸入口の順に循環する第1回路に切り替えられる。
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、制御装置50は、高圧圧力センサ51dによって検出された高圧圧力Pdが目標高圧PDOに近づくように吐出能力を制御する。目標高圧PDOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置50に記憶されている暖房モード用の制御マップを参照して決定される。目標吹出温度TAOは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号を用いて算定される。制御装置50は、目標吹出温度TAOと実際の吹出温度との偏差が小さくなるように圧縮機11の回転数を調整してもよい。
暖房用膨張弁16aについては、制御装置50は、室外熱交換器18の出口側冷媒の過熱度SH1が、予め定めた目標過熱度KSH(本実施形態では、5℃)に近づくように絞り開度を制御する。過熱度SH1は、室外器温度センサ51hによって検出された室外器冷媒温度T1および室外器圧力センサ51iによって検出された室外器冷媒圧力P1から算定される。
エアミックスドア44については、制御装置50は、空調風温度センサ51eによって検出された吹出空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように開度を制御する。暖房モードでは、室内蒸発器19を通過した空気の全風量を室内凝縮器12へ流入させるようにエアミックスドア44の開度を制御してもよい。
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した空気に放熱して凝縮する。これにより、空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1継手13aおよび入口側通路21aを介して第1固定絞り23aへ流入して中間圧まで減圧される。第1固定絞り23aで減圧された冷媒はレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第2継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、暖房用膨張弁16aの絞り開度は、過熱度SH1が目標過熱度KSHに近づくように制御される。暖房モードでは、実質的に、室外熱交換器18の出口側冷媒の過熱度が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3継手13c、吸入側通路21dおよび第4継手13dを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
(b)冷房モード
冷房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを閉じ、第2開閉弁14bを開き、第3開閉弁14cを閉じる。後席冷房スイッチが投入(ON)されていない場合、制御装置50が第4開閉弁14dを閉じ、後席冷房スイッチが投入(ON)されている場合、制御装置50が第4開閉弁14dを開く。制御装置50は、暖房用膨張弁16aを全開状態とし、第1電気式膨張弁16bを絞り状態とする。
これにより、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→第2固定絞り23b→レシーバ15→第1電気式膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する第2回路に切り替えられる。第4開閉弁14dが開かれている場合、圧縮機11から吐出された冷媒が、(室内凝縮器12→暖房用膨張弁16a→)室外熱交換器18→第1機械式膨張弁16d→後席側蒸発器24→圧縮機11の吸入口の順に循環する回路も構成される。
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、蒸発器温度センサ51fによって検出された蒸発器温度Teが目標蒸発器温度TEOに近づくように吐出能力を制御する。目標蒸発器温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置50に記憶されている冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標蒸発器温度TEOが上昇するように決定される。目標蒸発器温度TEOは、室内蒸発器19の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。
第1電気式膨張弁16bについては、制御装置50は、室内蒸発器19の出口側冷媒の過熱度SH2が、目標過熱度KSHに近づくように絞り開度を制御する。過熱度SH2は、蒸発器温度Teおよび蒸発器圧力センサ51gによって検出された冷媒蒸発圧力Peから算定される。エアミックスドア44については、室内蒸発器19を通過した空気の全風量をバイパス通路45へ流入させるようにエアミックスドア44の開度を制御する。
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。冷房モードでは、室内蒸発器19を通過した空気の全風量がバイパス通路45へ流入する。このため、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、空気と熱交換することなく室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1継手13aおよび外気側通路21cを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。冷房モードでは、暖房用膨張弁16aが全開状態となっている。このため、暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、減圧されることなく暖房用膨張弁16aから流出する。つまり、冷房モードでは、室内凝縮器12および暖房用膨張弁16aは、単なる冷媒通路となる。
暖房用膨張弁16aから流出した冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気へ放熱して凝縮する。
室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3継手13c、第9継手13iを介して第2固定絞り23bへ流入して中間圧まで減圧される。第2固定絞り23bで減圧された冷媒は、第5継手13eおよび入口側通路21aを介してレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第6継手13fを介して第1電気式膨張弁16bへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
第1電気式膨張弁16bへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、第1電気式膨張弁16bの絞り開度は、過熱度SH2が目標過熱度KSHに近づくように制御される。冷房モードでは、実質的に、室内蒸発器19の出口側冷媒の過熱度が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
第1電気式膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器19へ流入する。室内蒸発器19へ流入した冷媒は、室内送風機42から送風された空気と熱交換し、空気から吸熱して蒸発する。これにより、空気が冷却される。室内蒸発器19から流出した冷媒は、第8継手13hおよび第4継手13dを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、冷房モードでは、室内蒸発器19にて冷却された空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
第4開閉弁14dが開かれている場合、室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3継手13c、第9継手13iおよび分岐通路21eを介して第1機械式膨張弁16dへ流入する。
第1機械式膨張弁16dへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、第1機械式膨張弁16dは、後席側蒸発器24の出口側の冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように、機械的機構によって絞り開度を変化させる。
第1機械式膨張弁16dにて減圧された低圧冷媒は、後席側蒸発器24へ流入する。後席側蒸発器24へ流入した冷媒は、後席送風機36から送風された空気と熱交換し、空気から吸熱して蒸発する。これにより、空気が冷却される。後席側蒸発器24から流出した冷媒は、第8継手13hおよび第4継手13dを介して圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、第4開閉弁14dが開かれている場合、後席側蒸発器24にて冷却された空気を車室内後席側へ吹き出すことによって、車室内後席側の冷房を行うことができる。
(c)除湿暖房モード
除湿暖房モードでは、制御装置50が、第1開閉弁14aを開き、第2開閉弁14bを閉じ、第3開閉弁14cを開き、第4開閉弁14dを閉じる。制御装置50は、暖房用膨張弁16aを絞り状態とし、第1電気式膨張弁16bを絞り状態とする。
これにより、除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→第1固定絞り23a→レシーバ15の順に流れる。そして、レシーバ15→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機11の吸入口の順に循環するとともに、レシーバ15→第1電気式膨張弁16b→室内蒸発器19→圧縮機11の吸入口の順に循環する第3回路が構成される。
すなわち、除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18と室内蒸発器19が並列的に接続される回路に切り替えられる。
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、圧縮機11については、冷房モードと同様に吐出能力を制御する。
暖房用膨張弁16aについては、制御装置50は、室外器温度センサ51hによって検出された室外器冷媒温度T1が、室外器目標温度TO1に近づくように絞り開度を制御する。室外器目標温度TO1は、目標吹出温度TAOおよび外気温Tamに基づいて、予め制御装置50に記憶されている除湿暖房モード用の制御マップを参照して決定される。この制御マップでは、室外器目標温度TO1が外気温Tamよりも低くなるように決定される。
第1電気式膨張弁16bについては、冷房モードと同様に絞り開度を制御する。エアミックスドア44については、制御装置50は、空調風温度センサ51eによって検出された吹出空気温度TAVが目標吹出温度TAOに近づくように開度を制御する。
冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が作動すると、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、室内蒸発器19を通過した空気に放熱して凝縮する。これにより、室内蒸発器19を通過する際に冷却された空気が加熱される。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、第1継手13aおよび入口側通路21aを介して第1固定絞り23aへ流入して中間圧まで減圧される。第1固定絞り23aで減圧された冷媒はレシーバ15へ流入する。レシーバ15へ流入した冷媒は、レシーバ15にて気液分離される。
レシーバ15にて分離された一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第2継手13bを介して暖房用膨張弁16aへ流入する。レシーバ15にて分離された別の一部の液相冷媒は、出口側通路21bおよび第6継手13fを介して第1電気式膨張弁16bへ流入する。レシーバ15にて分離された残余の液相冷媒は、余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えられる。
レシーバ15から暖房用膨張弁16aへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、暖房用膨張弁16aの絞り開度は、室外器冷媒温度T1が外気温Tamよりも低くなるように制御される。
暖房用膨張弁16aにて減圧された低圧冷媒は、室外熱交換器18へ流入する。室外熱交換器18へ流入した冷媒は、外気ファンから送風された外気と熱交換し、外気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器18から流出した冷媒は、第3継手13cおよび吸入側通路21dを介して第4継手13dへ流入する。
レシーバ15から第1電気式膨張弁16bへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。この際、第1電気式膨張弁16bの絞り開度は、過熱度SH2が目標過熱度KSHに近づくように制御される。
第1電気式膨張弁16bにて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器19へ流入する。室内蒸発器19へ流入した冷媒は、室内送風機42から送風された空気と熱交換し、空気から吸熱して蒸発する。これにより、空気が冷却される。室内蒸発器19から流出した冷媒は、第8継手13hを介して第4継手13dへ流入する。
第4継手13dでは、室外熱交換器18から流出した冷媒の流れと室内蒸発器19から流出した冷媒の流れが合流する。第4継手13dから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、除湿暖房モードでは、室内蒸発器19にて冷却されて除湿された空気を室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置では、冷凍サイクル装置10が各運転モードに応じて冷媒回路を切り替えることによって、車室内の快適な空調を実現することができる。本実施形態の車両用空調装置では、冷却モードを実行することによって、バッテリ30を冷却することができる。
冷却モードは、冷凍サイクル装置10の作動時であれば、空調用の各運転モードと並行して実行することができる。すなわち、車室内の空調を行うと同時に、バッテリ30の冷却を行うことができる。冷却モードは、バッテリ温度センサ51jによって検出されたバッテリ温度TBが、予め定めた基準バッテリ温度KTB以上となった際に実行される。以下、冷却モードの作動について説明する。
(d)冷却モード
冷却モードでは、制御装置50が、空調用の各運転モードと同様の制御対象機器を制御することに加えて、第2電気式膨張弁16cを絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10では、空調用の運転モードによらず、レシーバ15から流出した冷媒が、第2電気式膨張弁16c→バッテリ用チラー20→圧縮機11の吸入口の順に流れるバッテリ冷却用の回路が構成される。
すなわち、冷却モードと暖房モードが並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18とバッテリ用チラー20とが並列的に接続される回路に切り替えられる。
冷却モードと冷房モードが並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室内蒸発器19とバッテリ用チラー20とが並列的に接続される回路に切り替えられる。
冷却モードと除湿暖房モードが並行して実行される際には、冷凍サイクル装置10は、レシーバ15から流出した冷媒の流れに対して、室外熱交換器18、室内蒸発器19およびバッテリ用チラー20とが並列的に接続される回路に切り替えられる。
この回路構成で、制御装置50は、各種制御対象機器の作動を制御する。例えば、第2電気式膨張弁16cについては、制御装置50は、バッテリ温度TBがバッテリ30の適切な温度範囲内に維持されるように絞り開度を制御する。
冷凍サイクル装置10では、レシーバ15から流出した冷媒が、第6継手13fおよび第7継手13gを介して、第2電気式膨張弁16cへ流入する。レシーバ15から第2電気式膨張弁16cへ流入した冷媒は、低圧冷媒となるまで減圧される。
第2電気式膨張弁16cにて減圧された低圧冷媒は、バッテリ用チラー20へ流入する。バッテリ用チラー20へ流入した冷媒は、バッテリ冷却水の有する熱(すなわち、バッテリ30の廃熱)を吸熱して蒸発する。これにより、バッテリ30が冷却される。バッテリ用チラー20から流出した冷媒は、第8継手13hおよび第4継手13dを介して圧縮機11へ吸入される。
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置では、冷却モードを実行することによって、車室内の空調を行いながら、バッテリ30を冷却することができる。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、暖房モードで説明したように、第1回路に切り替えた際に、暖房用膨張弁16aにて減圧させた冷媒を室外熱交換器18にて蒸発させることができる。この際、室内凝縮器12にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室外熱交換器18の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
これによれば、貯液部としてアキュムレータを備える冷凍サイクル装置よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室外熱交換器18における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における空気の加熱能力を向上させることができる。
従って、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、サイクルの成績係数を向上させることができる。
ここで、アキュムレータは、冷媒を蒸発させる熱交換部の冷媒出口側から圧縮機の吸入側へ至る冷媒流路に配置されて、サイクル内の余剰冷媒を液相冷媒として蓄える低圧側の貯液部である。冷媒を蒸発させる熱交換部における冷媒の吸熱量は、冷媒を蒸発させる熱交換部の出口側冷媒のエンタルピから入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差で定義される。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷房モードで説明したように、第2回路に切り替えた際に、第1電気式膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。この際、室外熱交換器18にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室内蒸発器19の出口側冷媒に過熱度を持たせることができる。
これによれば、貯液部としてアキュムレータを備える冷凍サイクル装置よりも、室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内蒸発器19における空気の冷却能力を向上させることができる。
従って、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、サイクルの成績係数を向上させることができる。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、除湿暖房モードで説明したように、第3回路に切り替えた際には、第1電気式膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。第1電気式膨張弁16bにて減圧させた冷媒を室内蒸発器19にて蒸発させることができる。この際、室内凝縮器12にて凝縮させた高圧の液相冷媒を余剰冷媒としてレシーバ15に蓄えることができる。従って、室外熱交換器18の出口側冷媒および室内蒸発器19の出口側冷媒の双方に過熱度を持たせることができる。
これによれば、貯液部としてアキュムレータを備える冷凍サイクル装置よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部である室外熱交換器18における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における空気の加熱能力を向上させることができる。
また、貯液部としてアキュムレータを備える冷凍サイクル装置よりも、室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増加させることができる。その結果、室内蒸発器19における空気の冷却能力を向上させることができる。
従って、除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、サイクルの成績係数を向上させることができる。つまり、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、冷媒回路を切替可能に構成されていても、成績係数を向上させることができる。
本実施形態では、第1開閉弁14a、第2開閉弁14b、および第1継手13aによって第1切替部22aが構成されている。そして、本実施形態の第1切替部22aは、具体的に、室内凝縮器12から流出した冷媒を、レシーバ15側および第2継手13b側の一方へ導いている。
本実施形態の継手部を構成する第2継手13bは、具体的に、第1継手13aから流出した冷媒およびレシーバ15から流出した冷媒の一方を、暖房用膨張弁16a側へ導いている。
第3開閉弁14c、第3継手13c、および第2逆止弁17bによって第2切替部22bが構成されている。そして、本実施形態の第2切替部22bは、具体的に、室外熱交換器18から流出した冷媒を、圧縮機11の吸入口側およびレシーバ15側の一方へ導いている。
これによれば、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15内の冷媒の流れ方向が変化しない冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。従って、冷媒回路を切り替えても、レシーバ15の気液分離性能が変化しにくい。冷媒回路を切り替えても、共通するレシーバ15にサイクル内の余剰冷媒を蓄える冷凍サイクル装置を容易に実現することができる。従って、冷凍サイクル装置10全体としての大型化を抑制することができる。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第1固定絞り23aおよび第2固定絞り23bを備えているので、より一層、成績係数を向上させることができる。
このことを図4を用いて説明する。図4は、暖房モード時の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態を示すモリエル線図である。暖房モードでは、室内凝縮器12が、冷媒を凝縮させる熱交換部となり、室外熱交換器18が、冷媒を蒸発させる熱交換部となる。
図4では、第1固定絞り23aを備える本実施形態の冷凍サイクル装置10における冷媒の状態の変化を太実線で示している。第1固定絞り23aを備えていない比較例の冷凍サイクル装置における冷媒の状態の変化を細破線で示している。
図4では、本実施形態の冷凍サイクル装置10におけるレシーバ15内の冷媒の状態を点Lq1で示している。図4では、比較例の冷凍サイクル装置におけるレシーバ15内の冷媒の状態を点Lqexで示している。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第1固定絞り23aを備えているので、レシーバ15内の冷媒の圧力が、冷媒を凝縮させる熱交換部(暖房モードでは室内凝縮器12)における高圧冷媒の圧力よりも低くなる。このため、図4に示すように、本実施形態の冷凍サイクル装置10の点Lq1の冷媒の圧力は、比較例の冷凍サイクル装置の点Lqexの冷媒の圧力よりも低い圧力になる。
モリエル線図の飽和液線の傾きに沿って、本実施形態の冷凍サイクル装置10の点Lqの冷媒のエンタルピは、比較例の冷凍サイクル装置の点Lqexの冷媒のエンタルピよりも低い値となる。このため、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒を凝縮させる熱交換部(暖房モードでは室内凝縮器12)の出口側の冷媒が過冷却液相冷媒SC1となる。
従って、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、比較例の冷凍サイクル装置10よりも、冷媒を蒸発させる熱交換部(暖房モードでは室外熱交換器18)へ流入する冷媒のエンタルピを低下させることができる。その結果、冷媒を蒸発させる熱交換部(暖房モードでは室外熱交換器18)における冷媒の吸熱量を増大させて、成績係数を向上させることができる。
この効果は、他の運転モードでも得ることができる。例えば、冷房モードでは、室外熱交換器18が、冷媒を凝縮させる熱交換部となり、室内蒸発器19が、冷媒を蒸発させる熱交換部となる。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第2固定絞り23bを備えているので、冷房モードでは、レシーバ15内の冷媒の圧力が室外熱交換器18における高圧冷媒の圧力よりも低くなる。このため、冷房モードでは、室外熱交換器18の出口側の冷媒が過冷却液相冷媒となる。
従って、冷房モードでは、比較例の冷凍サイクル装置10よりも室内蒸発器19へ流入する冷媒のエンタルピを低下させることができる。その結果、室内蒸発器19における冷媒の吸熱量を増大させて、成績係数を向上させることができる。
上述のように、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第2固定絞り23bを備えているので、冷房モードでは、室外熱交換器18の出口側の冷媒が過冷却液相冷媒となる。室外熱交換器18の出口側の冷媒は、第9継手13iにて後席側蒸発器24側に分岐される。そのため、冷房モードにおいて、後席側蒸発器24で空気を冷却するために第4開閉弁14dが開かれている場合、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒は液相冷媒となる。したがって、第1機械式膨張弁16dに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。
第1機械式膨張弁16dのような機械式膨張弁は、蒸発器出口の冷媒温度を感温し、ダイヤフラム内に封入するガス圧を変化させることで弁体を駆動する構造が内部に包含されている。そのため、機械式膨張弁は、構造的に、電気式膨張弁と比較して最大開口径を大きくすることが難しく、開口径を大きく取りつつ必要な減圧量を確保するために開口部の深さを長く取ることが難しい。そのため、冷媒の減圧が急激に生じる特性が強く、機械式膨張弁に気液二相冷媒が流入すると振動や音が発生しやすくなる。第1機械式膨張弁16dは、後席側蒸発器24とともに車室内中央または後部座席の後ろ側に配置される。そのため、第1機械式膨張弁16dから発生する音は車室内に響きやすい。
その点、本実施形態では、第1機械式膨張弁16dに気液二相冷媒が流入することを抑制できるので、第1機械式膨張弁16dにおいて振動や音が発生することを抑制できる。
本実施形態では、制御装置50は、後席側蒸発器24で空気を冷却するために第4開閉弁14dが開かれている場合において、圧縮機11の回転数が所定回転数以下になった場合、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒の過冷却度が所定値以下となったと判断して第4開閉弁14dを閉じる。
これにより、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒の過冷却度が所定値以下となって第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒が気液二相冷媒になるおそれがある場合、第1機械式膨張弁16dへの冷媒の流入が遮断されるので、第1機械式膨張弁16dに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。第1機械式膨張弁16dへの冷媒の流入が遮断されても、第4開閉弁14dと合流部13hとの間に残存する冷媒が合流部13hから吸い出されることによって、しばらくの間は冷房性能を維持できる。
本実施形態では、冷房モード、暖房モードおよび除湿暖房モードのいずれにおいても、分岐通路21eには、液相冷媒が流れる、または溜まることとなる。そのため、運転モード毎の要求冷媒量の差を小さく抑えることができるので、各運転モードでの作動を安定化できるとともに、運転モード毎の要求冷媒量の差を吸収するためのレシーバ15の容積を小さく抑えることができる。
本実施形態では、室外熱交換器18から流出した冷媒の流れを第9継手13iにて第1固定絞り23a側と第1機械式膨張弁16d側とに分岐させ、第1機械式膨張弁16dにて減圧された冷媒を後席側蒸発器24にて蒸発させる。
これによると、図4を用いて説明したように、第1固定絞り23aおよび第1機械式膨張弁16dの減圧作用によって、第9継手13iにおける冷媒を過冷却液相冷媒とすることができる。したがって、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒を過冷却液相冷媒とすることができるので、第1機械式膨張弁16dに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。
本実施形態では、第9継手13iで分岐されて第1機械式膨張弁16dおよび後席側蒸発器24を流れる冷媒の流れを第4開閉弁14dにて遮断できる。これにより、後席側蒸発器24を使用する状態と使用しない状態とを切り替えることができる。
第4開閉弁14dは、第1機械式膨張弁16dと一体化されていてもよい。これにより、構成を簡素化できる。
制御装置50は、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒の過冷却度が所定値以下となった場合、冷媒の流れを遮断するように第4開閉弁14dを制御する。
これにより、第1固定絞り23aおよび第1機械式膨張弁16dの減圧作用を利用しても第9継手13iにおける冷媒を過冷却液相冷媒とすることが困難となった場合に、第1機械式膨張弁16dに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。
制御装置50は、圧縮機11の冷媒吐出能力が所定能力以下になった場合(換言すれば、圧縮機11の回転数が所定回転数以下になった場合)、過冷却度が所定値以下となったと判定する。これにより、第1機械式膨張弁16dへ流入する冷媒の過冷却度が所定値以下となったか否かを容易に判定できる。
第1機械式膨張弁16dは、冷媒の温度および圧力に応じて変形する感温部と、感温部の変形に応じて変位して絞り開度を変化させる機械的機構とを有する膨張弁である。
上述のように、本実施形態では第1機械式膨張弁16dに液相冷媒が流入することから、第1機械式膨張弁16dで冷媒が膨張する際の振動や音の発生を抑制できる。すなわち、後席側蒸発器24に流入する冷媒を減圧する減圧部として電気式膨張弁を用いなくとも、冷媒が膨張する際の振動や音の発生を抑制できる。したがって、後席側蒸発器24に流入する冷媒を減圧する減圧部として電気式膨張弁を用いる場合と比較して、過熱度を検知するセンサ、電気式膨張弁へ電力を供給する電気ハーネス類、および制御装置50におけるセンサとの入出力ポートやソフトウェア等が不要となる。その結果、冷凍サイクル装置10全体の構成を簡素化できる。
本実施形態では、第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cは、冷媒の温度および圧力とは無関係に絞り開度を変更可能な膨張弁である。
これによると、第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cは、機械式膨張弁と比較して絞り径を大きくすることが可能であることから、第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cに気液二相冷媒が流入しても、第1電気式膨張弁16bおよび第2電気式膨張弁16cでの振動や音の発生を抑制できる。
本実施形態では、第1機械式膨張弁16dで減圧された冷媒を後席側蒸発器24にて蒸発させる冷凍サイクル装置において、第1機械式膨張弁16dでの振動や音の発生を抑制できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図5に示すように、バッテリ用チラー20と後席側蒸発器24の配置を逆にしている。すなわち、分岐通路21eにおいて第1機械式膨張弁16dの出口側にバッテリ用チラー20が配置されており、第2電気式膨張弁16cの出口側に後席側蒸発器24が配置されている。
バッテリ用チラー20でバッテリ冷却水を冷却する運転モード(具体的には、冷却モード)では、制御装置50が第4開閉弁14dを開き、バッテリ用チラー20でバッテリ冷却水を冷却しない運転モードでは、制御装置50が第4開閉弁14dを閉じる。
冷房モードにおいて後席冷房スイッチが投入(ON)されていない場合、制御装置50が第2電気式膨張弁16cを閉じ、後席冷房スイッチが投入(ON)されている場合、制御装置50が第2電気式膨張弁16cを絞り状態とする。これにより、上記第1実施形態と同様の作動を実現できる。
そして、上記第1実施形態と同様に、第1機械式膨張弁16dに液相冷媒を極力流入させることができる。すなわち、第1機械式膨張弁16dに気液二相状態の冷媒が流入することを極力抑制できる。
冷却モードは、空調用の運転モードのうち冷房モードおよび除湿暖房モードと並行して実行することができる。暖房モード時に冷却モードを実行する必要がある場合は、空調用の運転モードを強制的に除湿暖房モードに切り替えればよい。
本実施形態では、第1機械式膨張弁16dで減圧された冷媒をバッテリ用チラー20にて蒸発させる冷凍サイクル装置において、第1機械式膨張弁16dでの振動や音の発生を抑制できる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、レシーバ15から流出した冷媒が、バッテリ用チラー20に流入するが、本実施形態では、図6に示すように、レシーバ15をバイパスして流れた冷媒が、バッテリ用チラー20に流入する。
第9継手13iの他方の流出口には、第10継手13jの流入口側が接続されている。第10継手13jの基本的構成は、第1継手13aと同様である。
第10継手13jの一方の流出口には、第4開閉弁14dおよび第1機械式膨張弁16dを介して、後席側蒸発器24の冷媒入口側が接続されている。後席側蒸発器24の冷媒出口には、第8継手13hの他方の流入口が接続されている。
第10継手13jの他方の流出口には、第5開閉弁14eおよび第2機械式膨張弁16eを介して、バッテリ用チラー20の冷媒入口側が接続されている。バッテリ用チラー20の冷媒出口には、第4継手13dの第3の流入口が接続されている。
第5開閉弁14eの基本的構成は、第1開閉弁14aと同様である。第5開閉弁14eは、第10継手13jの他方の流出口から第4継手13dの第3の流入口へ至る分岐通路21fを開閉する電磁弁である。第2機械式膨張弁16eの基本的構成は、第1機械式膨張弁16dと同様である。第2機械式膨張弁16eの感温部は、バッテリ用チラー20の出口側冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材(具体的には、ダイヤフラム)を有している。
バッテリ用チラー20でバッテリ冷却水を冷却する運転モード(具体的には、冷却モード)では、制御装置50が第5開閉弁14eを開き、バッテリ用チラー20でバッテリ冷却水を冷却しない運転モードでは、制御装置50が第5開閉弁14eを閉じる。これにより、上記第1実施形態と同様の作動を実現できる。
そして、第2機械式膨張弁16eに液相冷媒を極力流入させることができる。すなわち、第2機械式膨張弁16eに気液二相状態の冷媒が流入することを極力抑制できるので、第2機械式膨張弁16eでの振動や音の発生を抑制できる。
(第4実施形態)
上記第2実施形態では、冷凍サイクル装置10はバッテリ用チラー20を備えているが、本実施形態では、図7に示すように、冷凍サイクル装置10はバッテリ用チラー20に加えて廃熱回収用チラー25を備えている。
第1継手13aの一方の流出口には、第1開閉弁14aを介して、第11継手13kの流入口側が接続されている。第11継手13kの基本的構成は、第1継手13aと同様である。
第11継手13kの一方の流出口には、第1固定絞り23aが接続されている。第11継手13kの他方の流出口には、第6開閉弁14fおよび第3機械式膨張弁16fを介して、廃熱回収用チラー25の冷媒入口側が接続されている。廃熱回収用チラー25の冷媒出口には、第12継手13lの一方の流入口が接続されている。第12継手13lの他方の流入口は、バッテリ用チラー20の冷媒出口側に接続されている。第12継手13lの流出口は、第8継手13hの他方の流入口に接続されている。
第6開閉弁14fの基本的構成は、第1開閉弁14aと同様である。第6開閉弁14fは、第11継手13kの他方の流出口から第12継手13lの一方の流入口へ至る分岐通路21gを開閉する電磁弁である。第3機械式膨張弁16fの基本的構成は、第1機械式膨張弁16dと同様である。第3機械式膨張弁16fの感温部は、廃熱回収用チラー25の出口側冷媒の温度および圧力に応じて変形する変形部材(具体的には、ダイヤフラム)を有している。
廃熱回収用チラー25は、第3機械式膨張弁16fにて減圧された低圧冷媒と、廃熱回収用冷却水回路37の冷却水(以下、廃熱回収用冷却水と言う。)とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させる蒸発部である。廃熱回収用チラー25における冷媒の吸熱作用によって、廃熱回収用冷却水が冷却される。廃熱回収用チラー25は、車両に搭載された機器を冷却する冷却用蒸発器であると同時に、機器の冷却により回収される温熱を吸熱源とするヒートポンプ式暖房用の吸熱用蒸発器でもある。
廃熱回収用冷却水回路37は、廃熱回収用冷却水を循環させる熱媒体回路である。廃熱回収用冷却水は、インバータ等の車載機器38の廃熱を吸熱して回収する熱媒体である。車載機器38は、作動に伴って発熱する機器である。
廃熱回収用冷却水回路37には廃熱回収用冷却水ポンプ39および廃熱回収用冷却水通路38aが配置されている。廃熱回収用冷却水ポンプ39は、バッテリ30から供給された電力によって廃熱回収用冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。
暖房モードでは、制御装置50が第6開閉弁14fを開く。これにより、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→第1固定絞り23a→レシーバ15→暖房用膨張弁16a→室外熱交換器18→圧縮機11の吸入口の順に循環する第1回路に切り替えられるとともに、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→第3機械式膨張弁16f→廃熱回収用チラー25→圧縮機11の吸入口の順に循環する回路が構成される。
これにより、車載機器38の廃熱を廃熱回収用チラー25で吸熱し、暖房の熱源として利用できる。
除湿暖房モードでも、制御装置50が第6開閉弁14fを開く。これにより、暖房モードと同様に、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→第3機械式膨張弁16f→廃熱回収用チラー25→圧縮機11の吸入口の順に循環する回路が構成されるので、 これにより、車載機器38の廃熱を廃熱回収用チラー25で吸熱し、暖房の熱源として利用できる。
本実施形態では、室内凝縮器12から流出した冷媒の流れを第11継手13kにて第1固定絞り23a側と第3機械式膨張弁16f側とに分岐させ、第3機械式膨張弁16fにて減圧された冷媒を廃熱回収用チラー25にて蒸発させる。
これによると、上記第1実施形態での図4を用いた説明と同様の理由により、第1固定絞り23aおよび第3機械式膨張弁16fの減圧作用によって、第11継手13kにおける冷媒を過冷却液相冷媒とすることができる。したがって、第3機械式膨張弁16fへ流入する冷媒を過冷却液相冷媒とすることができるので、第3機械式膨張弁16fに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。その結果、第3機械式膨張弁16fでの振動や音の発生を抑制できる。
(第5実施形態)
上記第4実施形態では、第11継手13kは、第1継手13aの一方の流出口側かつ第1固定絞り23aの入口側に配置されているが、本実施形態では、図8に示すように、第11継手13kは、室内凝縮器12の冷媒出口側かつ第1継手13aの流入口側に配置されている。これにより、上記第4実施形態と同様の作動を実現できる。
そして、上記第4実施形態と同様に、第3機械式膨張弁16fに液相冷媒を極力流入させることができる。
すなわち、本実施形態では、室内凝縮器12から流出した冷媒の流れを第11継手13kにて第1固定絞り23a側と第3機械式膨張弁16f側とに分岐させ、第3機械式膨張弁16fにて減圧された冷媒を廃熱回収用チラー25にて蒸発させる。
これによると、上記第4実施形態と同様に、第1固定絞り23aおよび第3機械式膨張弁16fの減圧作用によって、第11継手13kにおける冷媒を過冷却液相冷媒とすることができる。したがって、第3機械式膨張弁16fへ流入する冷媒を過冷却液相冷媒とすることができるので、第3機械式膨張弁16fに気液二相冷媒が流入することを抑制できる。その結果、第3機械式膨張弁16fでの振動や音の発生を抑制できる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、冷凍サイクル装置10を、車載機器冷却機能付きの空調装置に適用した例を説明したが、冷凍サイクル装置10の適用はこれに限定されない。車両用に限定されることなく、定置型の空調装置等に適用してもよい。例えば、サーバとして機能するコンピュータを冷却するとともに、サーバが収容される室内の空調を行うサーバ温度調整機能付きの空調装置等に適用してもよい。
上述の実施形態では、車載機器としてバッテリ30を採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、モータジェネレータ、電力制御ユニット(いわゆる、PCU)、先進運転支援システム(いわゆる、ADAS)用の制御装置等のように作動時に発熱する車載機器を採用すればよい。
冷凍サイクル装置10を、車載機器等の冷却機能を有していない空調装置に適用してもよい。この場合は、第7継手13g、第2電気式膨張弁16c、第8継手13hを廃止すればよい。
(2)冷凍サイクル装置10の各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、高圧冷媒を熱源として空気を加熱する加熱部として室内凝縮器12を採用した例を説明したが、これに限定されない。例えば、高温側熱媒体を循環させる高温側熱媒体回路に、高温側水ポンプ、熱媒体冷媒熱交換器、ヒータコア等を配置して加熱部を形成してもよい。
熱媒体冷媒熱交換器は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と高温側熱媒体とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させる放熱部である。高温側水ポンプは、高温側熱媒体回路を循環する高温側熱媒体を熱媒体冷媒熱交換器へ圧送する電動ポンプである。高温側水ポンプは、制御装置50から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、水圧送能力)が制御される。ヒータコアは、熱媒体冷媒熱交換器にて加熱された熱媒体と空気とを熱交換させて、空気を加熱する熱交換部である。
上述の実施形態では、バッテリ用チラー20で冷却されたバッテリ冷却水でバッテリ30を冷却する例を説明したが、冷凍サイクル装置10の低圧冷媒で冷却された空気でバッテリ30を冷却してもよい。冷凍サイクル装置10の低圧冷媒とバッテリ30とを熱交換させる直冷式のバッテリ冷却部を採用してもよい。
バッテリ冷却水回路31の冷却水、および廃熱回収用冷却水回路37の冷却水としては、エチレングリコール、ジメチルポリシロキサン、ナノ流体等を含む溶液、不凍液、アルコール等を含む水系の液媒体を採用することができる。バッテリ冷却水回路31の冷却水、および廃熱回収用冷却水回路37の冷却水の代わりに、オイル等を含む液媒体等を採用してもい。
第1固定絞り23aおよび第2固定絞り23bの代わりに可変絞りが設けられていてもよい。例えば、可変絞りとして、電気的に開度を調整できる電気式膨張弁を用いることで、室内凝縮器12および室外熱交換器18での冷媒の過冷却度が最適になるように冷凍サイクル装置10の運転状況に合わせて開度調整することができるので、圧縮機11をより省電力で運転することが可能になる。
上述の実施形態で説明した冷凍サイクル装置10に対して、室内蒸発器19の冷媒出口と第8継手13hの一方の流入口との間に蒸発圧力調整弁を追加してもよい。蒸発圧力調整弁は、その上流側の冷媒圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する圧力調整弁である。つまり、冷凍サイクル装置10に対して、室内蒸発器19における冷媒蒸発圧力を、基準圧力以上に維持する蒸発圧力調整弁を追加してもよい。
このような蒸発圧力調整弁としては、室内蒸発器19の出口側冷媒の圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構を採用することができる。これによれば、室内蒸発器19における冷媒蒸発温度を0℃よりも高い温度に維持することができ、室内蒸発器19の着霜を抑制することができる。
上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、R290等を採用してもよい。または、これらのうち複数の冷媒を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(3)上述の第1実施形態において、第1機械式膨張弁16dに第4開閉弁14dと同様の作動をさせてもよい。具体的には、第4開閉弁14dを全閉する代わりに、後席送風機36を停止させることによって、後席側蒸発器24における冷媒の流れを実質的に遮断してもよい。すなわち、後席送風機36を停止させることによって、後席側蒸発器24の出口側冷媒の温度および圧力を上昇させて、第1機械式膨張弁16dの絞り開度を著しく減少させてもよい。