MIMOレーダは、例えば、時分割、周波数分割又は符号分割を用いて多重したレーダ送信信号(又は、レーダ送信波と呼ぶ)を複数の送信アンテナ(又は送信アレーアンテナと呼ぶ)から送信する。そして、MIMOレーダは、例えば、周辺物体において反射された信号(例えば、レーダ反射波と呼ぶ)を複数の受信アンテナ(又は受信アレーアンテナと呼ぶ)を用いて受信し、それぞれの受信信号から、多重された送信信号を分離して受信する。このような処理により、MIMOレーダは、送信アンテナ数と受信アンテナ数との積で示される伝搬路応答を取り出すことができ、これらの受信信号を仮想受信アレーとしてアレー信号処理を行う。
また、MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおける素子間隔を適切に配置することにより、仮想的にアンテナ開口を拡大し、角度分解能の向上を図ることができる。
例えば、車載レーダといったレーダ装置において、指向性を狭めて指向性利得を向上させた送信アンテナ(あるいは受信アンテナ)を用いて、検知角範囲(例えば、視野角、又は、FOV: Field Of Viewとも呼ぶ)を狭めることにより、比較的遠方の距離範囲まで検出するモード(以下、「LR(Long Range)モード」と呼ぶ)がある(例えば、非特許文献2-4を参照)。また、レーダ装置において、比較的広角の指向性の送信アンテナ(あるいは受信アンテナ)を用いて、検知角範囲(FOV)を広角にすることにより、比較的近傍の距離範囲を検出するモード(以下、「SR(Short Rang)モード」と呼ぶ)がある(例えば、非特許文献2-4を参照)。例えば、LRモードとSRモードとを併用するレーダシステムがある。なお、SRレンジモードは、例えば、中距離用モード(例えば、「MR(Middle Range)モード」)と呼ばれることもある。
LRモードとSRモードとの併用において、例えば、LRモードとSRモードとを時分割で切り替える方法があり得る。例えば、レーダ装置は、LRモード用の送信アンテナからLRモードの変調パルス(あるいは複数の変調パルスからなる変調パルス列)と、SRモード用の送信アンテナからSRモードの変調パルス(あるいは変調パルス列)とを、時分割に交互に切り替えて送信してよい。又は、レーダ装置は、LRモード用の送信アンテナからLRモードの変調パルス列を送信後に、SRモード用の送信アンテナからSRモードの変調パルス列を順次に遂次的に送信してよい。
また、LRモードとSRモードとの時分割送信又は逐次送信に限らず、例えば、符号多重又はドップラ多重といった同時多重送信が適用されてもよい(例えば、特許文献1を参照)。
LRモードとSRモードとの併用において、LRモードとSRモードとでアンテナを別々に備える場合、例えば、RF(Radio Frequency)チップのアンテナポート数の制約から、SRモード及びLRモードの各モードにおけるMIMOアレー数が減少する可能性がある。SRモード及びLRモードの各モードにおけるMIMOアレー数の減少により、例えば、SRモードあるはLRモードのアレー利得の低下、アレー開口が狭まることによる角度分解能の低下、又は、角度サイドローブの上昇に伴う検出性能の低下の可能性がある。
また、例えば、RFチップを増加することにより、アンテナポート数の制約の緩和が可能であるが、消費電力又はコストが増加する可能性がある。または、RFチップの増加により、レーダ装置のサイズが増加し、レーダ装置の設置容易性が損なわれる可能性がある。
これらに対して、特許文献1には、例えば、距離の短いモード用(例えば、SRR(Short Range Radar)モード又はSRモードと呼ぶ)の複数のアンテナを合成して、長距離モード用(例えば、LRR(Long Range Radar)モード又はLRモードと呼ぶ)のアンテナの一部として用いることが開示されている。これにより、特許文献1では、例えば、長距離モードの測角処理において、角度分解能又はアンテナ利得を向上する効果を得ている。しかしながら、特許文献1において、長距離モード用アレーでは、受信アンテナ間隔が、長距離モード用のアンテナの幅よりも広い間隔となり、測角処理において、グレーティングローブによる角度曖昧性が生じ得る。例えば、距離の短いモード用の仮想アレーの間隔と、長距離モード用のアンテナ間隔とが異なることを利用して角度曖昧性を低減することがあり得るが、角度曖昧性を低減する処理を行うことにより、レーダ装置における処理演算量が増加する可能性がある。
そこで、本開示に係る一実施例では、例えば、SRモード及びLRモードにおいて、SRモード用のアンテナ(例えば、SR用アンテナ、SRアンテナ、又は、SRRアンテナとも呼ぶ)及びLR用アンテナ(例えば、LR用アンテナ、LRアンテナ、又は、LRRアンテナとも呼ぶ)を共用可能なアンテナ配置について説明する。
例えば、本開示に係る一実施例では、レーダ装置は、LR用アンテナをSRモードにおいて用いてよく、あるいは、SR用アンテナをLRモードにおいて用いてよい。本開示の一実施例によれば、例えば、SRモード及びLRモードの各モードの測角処理(又は、到来方向推定処理)における、グレーティングローブの発生及び角度の曖昧性を抑制し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、本開示の一実施例によれば、例えば、SRモード及びLRモードの各モードにおける測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上し、ターゲットの検出性能を向上できる。
なお、本開示の一実施例に係るレーダ装置は、例えば、車両といった移動体に搭載されてよい。移動体に搭載されるレーダ装置は、例えば、衝突安全性を高める先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)、又は、自動運転時の移動体周辺の監視に用いるセンサとして利用可能である。
また、本開示の一実施例に係るレーダ装置は、例えば、路側の電柱又は信号機といった比較的高所の構造物に取り付けられてよい。このようなレーダ装置は、例えば、通行する車両又は歩行者の安全性を高める支援システムにおけるセンサとして利用可能である。
なお、レーダ装置の用途はこれらに限定されず、他の用途に利用されてもよい。
以下、本開示の一実施例に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
以下では、送信ブランチが、複数の送信アンテナから符号分割多重された異なる送信信号を送出し、受信ブランチが、各送信信号を分離して受信処理を行う構成(換言すると、MIMOレーダ構成)のレーダ装置について説明する。ただし、レーダ装置の構成は、これに限定されず、送信ブランチが、複数の送信アンテナから周波数分割多重された異なる送信信号を送出し、受信ブランチが、各送信信号を分離して受信処理を行う構成でもよい。また、同様に、レーダ装置の構成は、送信ブランチで複数の送信アンテナから時分割多重された送信信号を送出し、受信ブランチで受信処理を行う構成でもよい。
また、以下では、一例として、チャープ(chirp)パルスのような周波数変調したパルス波を用いたレーダ方式(例えば、チャープパルス送信(fast chirp modulation)とも呼ぶ)の構成について説明する。ただし、変調方式は、周波数変調に限定されない。例えば、本開示の一実施例は、単パルス又は符号化パルスを用いたレーダ方式についても適用可能である。
[レーダ装置の構成]
図1は、本実施の形態に係るレーダ装置10の構成例を示すブロック図である。
レーダ装置10は、レーダ送信部(送信ブランチ)100と、レーダ受信部(受信ブランチ)200と、測位出力部300とを有する。
レーダ送信部100(例えば、送信回路に相当)は、例えば、レーダ信号(レーダ送信信号)を生成し、複数の送信アンテナ106によって構成される送信アレーアンテナを用いて、レーダ送信信号を規定された送信周期にて送信する。
レーダ受信部200(例えば、受信回路に相当)は、例えば、ターゲット(物標。図示せず)において反射されたレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ202(例えば、Na個)を含む受信アレーアンテナを用いて受信する。レーダ受信部200は、各受信アンテナ202において受信した反射波信号を信号処理し、例えば、物標の有無検出又は反射波信号の到来距離、ドップラ周波数(換言すると相対速度)、及び到来方向の推定を行い、推定結果に関する情報(換言すると、測位情報)を出力する。
測位出力部300は、レーダ受信部200から入力される到来方向の推定結果に関する情報に基づいて、測位出力処理を行う。
なお、ターゲットはレーダ装置10が検出する対象の物体であり、例えば、車両(4輪及び2輪を含む)、人、ブロック又は縁石を含む。
[レーダ送信部100の構成]
レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部101と、符号生成部104と、位相回転部105と、送信アンテナ106と、を有する。
レーダ送信部100において、例えば、第1の送信アンテナ106-1は、LRモード用の送信アンテナ(例えば、LR用アンテナ)であり、第2の送信アンテナ106-2は、SRモード用の送信アンテナ(例えば、SR用アンテナ)でもよい。
レーダ送信信号生成部101は、例えば、レーダ送信信号(換言すると、ベースバンド信号)を生成する。レーダ送信信号生成部101は、例えば、変調信号発生部102及びVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発信器)103を有する。以下、レーダ送信信号生成部101における各構成部について説明する。
変調信号発生部102は、例えば、図2の上段に示すように、のこぎり歯形状の変調信号(換言すると、VCO制御用の変調信号)をレーダ送信周期Tr毎に発生させる。
VCO103は、変調信号発生部102から出力されるレーダ送信信号(変調信号)に基づいて、周波数変調信号(以下、例えば、周波数チャープ信号又はチャープ信号と呼ぶ)を位相回転部105(例えば、第1の送信アンテナ106-1に接続されるNT1個の位相器又は位相変調器)へ出力する。また、VCO103は、例えば、チャープ信号を位相回転部105(例えば、第2の送信アンテナ106-2に接続されるNT2個の位相器又は位相変調器)へ出力する。
また、レーダ送信信号生成部101において生成されたチャープ信号は、レーダ受信部200(後述するミキサ部204へ)出力される。
符号生成部104は、符号多重送信を行う送信アンテナ106毎に異なる符号を生成する。符号生成部104は、生成した符号に対応する位相回転量を位相回転部105へ出力する。また、符号生成部104は、生成した符号に関する情報をレーダ受信部200(後述する出力切替部209)へ出力する。
位相回転部105は、例えば、レーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、符号生成部104から入力される位相回転量を付与し、位相回転後の信号を送信アンテナ106(例えば、第1の送信アンテナ106-1及び第2の送信アンテナ106-2)に出力する。例えば、位相回転部105は、位相器及び位相変調器等を含んでよい(図示せず)。
位相回転部105の出力信号は、規定された送信電力に増幅され、各送信アンテナ106から空間に放射される。換言すると、レーダ送信信号は、符号に対応する位相回転量が付与されることによって、複数の送信アンテナ106から符号多重送信される。
次に、レーダ装置10において設定される符号(例えば、直交符号)の一例について説明する。
符号生成部104は、例えば、符号多重送信を行う送信アンテナ106毎に異なる符号を生成してよい。
例えば、以下では、第1の送信アンテナ106-1の数を「NT1」個とし、第2の送信アンテナ106-2の数を「NT2」個とし、符号多重送信を行う送信アンテナ106の数を「NTx」(=NT1+NT2)個とする。ここで、NT1≧1、NT2≧1であり、NTx(=NT1+NT2)≧2である。
また、符号多重数を「NCM」とする。図1では、一例として、NCM=NTXについて説明するが、これに限定されず、例えば、複数の送信アンテナ106の組において同一の符号が送信(例えば、アレー送信又はビームフォーミング送信)されてもよい。この場合、NCM<NTXとなる。
符号生成部104は、例えば、符号長(換言すると、符号要素数)Locの符号系列(例えば、互いに直交する関係となる直交符号系列(又は、単に符号又は直交符号とも呼ぶ))に含まれるNallcode個(又は、Nallcode(Loc)個と表すこともある)の直交符号のうち、NCM個の直交符号を、符号多重送信用の符号に設定する。
例えば、符号多重数NCMは、直交符号数Nallcodeよりも少なく、NCM<Nallcodeである。換言すると、直交符号の符号長Locは、符号多重数NCMよりも大きい。例えば、符号長LocのNCM個の直交符号をCodencm=[OCncm(1), OCncm(2),…, OCncm(Loc)]と表記する。ここで、「OCncm(noc)」は、第ncm番の直交符号Codencmにおける第noc番の符号要素を表す。また、「ncm」は符号多重に用いる直交符号のインデックスを表し、ncm=1,…, NCMである。また、「noc」は符号要素のインデックスであり、noc=1,…,Locである。
ここで、符号長LocのNallcode個の直交符号のうち、(Nallcode-NCM)個の直交符号は、符号生成部104において用いられない(換言すると、符号多重送信に用いられない)。以下、(Nallcode-NCM)個の符号生成部104において用いられない直交符号を「未使用直交符号」と呼ぶ。未使用直交符号の少なくとも一つは、例えば、後述するレーダ受信部200の折り返し判定部212におけるドップラ周波数の折り返し判定に用いられる(一例は後述する)。
未使用直交符号の使用により、レーダ装置10は、例えば、複数の送信アンテナ106から符号多重送信された信号を、符号間干渉を抑制した状態で、個別に分離して受信でき、かつ、検出可能なドップラ周波数の範囲を拡大できる(一例は後述する)。
上述したように、符号生成部104において生成されるNCM個の直交符号は、例えば、互いに直交する符号(換言すると、無相関の符号)である。例えば、直交符号系列には、Walsh-Hadamard符号が用いられてよい。Walsh-Hadamard符号の符号長は2のべき乗であり、各符号長の直交符号には、符号長と同数の直交符号が含まれる。例えば、符号長2、4、8又は16のWalsh-Hadamard符号には、それぞれ2、4、8又は16個の直交符号が含まれる。
以下では、一例として、符号数N
CM個の直交符号系列の符号長Locは次式(1)を満たすように設定してよい。
ここで、ceil[x]は実数x以上の最小の整数を出力する演算子(天井関数)である。符号長LocのWalsh-Hadamard符号の場合、Nallcode(Loc)=Locの関係が成り立つ。例えば、符号長Loc=2、4、8、又は16のWalsh-Hadamard符号は、それぞれ2、4、8又は16個の直交符号を含むため、Nallcode(2)=2、Nallcode(4)=4、Nallcode(8)=8、及び、Nallcode(16)=16が成立する。符号生成部104は、例えば、符号長LocのWalsh-Hadamard符号に含まれるNallcode(Loc)個の符号のうち、NCM個の直交符号を用いてよい。
ここで、符号長について説明する。例えば、ターゲット又はレーダ装置10の移動速度に加速度が含まれる場合、符号長が長いほど符号間干渉を受けやすくなる。また、符号長が長いほど、後述するドップラ折り返し判定の際のドップラ折り返し範囲の候補が増大する。このため、同一の距離インデックスに異なる折り返し範囲に亘って複数のドップラ周波数のターゲットが存在する場合には、異なる折り返し範囲において検出されるドップラ周波数インデックスが重複する確率が増大するめた、レーダ装置10は、折り返しを適切に判定することが困難になる確率が増加し得る。
このため、レーダ装置10は、後述するレーダ受信部200の折り返し判定部212における折り返し判定の性能面及び演算量の観点から、符号長のより短い符号を用いてもよい。一例として、レーダ装置10は、式(1)を満たす符号長Locのうち最も短い符号長の直交符号系列を用いてもよい。
なお、符号長LocのWalsh-Hadamard符号に、例えば、符号長Locの符号[OCncm(1), OCncm(2),…, OCncm(Loc-1), OCncm(Loc)]が含まれる場合、符号長LocのWalsh-Hadamard符号には、当該符号の奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号[OCncm(1), -OCncm(2),…, OCncm(Loc-1), -OCncm(Loc)]も含まれる。
また、符号長LocのWalsh-Hadamard符号と異なる他の符号であっても、例えば、符号長Locの符号[OCncm(1), OCncm(2),…, OCncm(Loc-1), OCncm(Loc)]が含まれる場合、符号長Locの符号は、当該符号の奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号[OCncm(1), -OCncm(2),…, OCncm(Loc-1), -OCncm(Loc)]であってもよいし、又は、当該符号の偶数番目の符号要素が同一であり、奇数番目の符号要素が符号反転している符号[-OCncm(1), OCncm(2),…, -OCncm(Loc-1), OCncm(Loc)]であってよい。
未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)が2以上の場合、レーダ装置10は、例えば、上述した関係の符号の組を未使用直交符号に含まないように、符号を選択してもよい。例えば、上述した関係の符号の組において一方の符号は符号多重送信に用いられ、他方の符号は未使用直交符号に含まれてもよい。この未使用直交符号の選択により、後述するレーダ受信部200の折り返し判定部212におけるドップラ周波数の折り返し判定精度を向上できる(一例は後述する)。
次に、各符号多重数NCMにおける直交符号の一例について説明する。
<NCM=2又は3の場合>
NCM=2又は3の場合、例えば、符号長Loc=4、8、16、32、…のWalsh-Hadamard符号を適用してよい。これらの符号長Locの場合、NCM<Nallcode(Loc)となる。また、符号多重数がNCM=2又は3の場合、これらの符号長Locのうち、符号長が最も短いWalsh-Hadamard符号(例えば、Loc=4)を用いる場合について説明する。
例えば、符号長LocのWalsh-Hadamard符号をWHLoc(nwhc)と表す。なお、nwhcは符号長LocのWalsh-Hadamard符号に含まれる符号インデックスを表し、nwhc=1,…, Locである。例えば、符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号には、直交符号WH4(1)=[1,1, 1, 1]、WH4(2)=[1,-1, 1, -1]、WH4(3)=[1,1, -1, -1]、及び、WH4(4)=[1,-1, -1, 1]が含まれる。
ここで、符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号のうち、WH4(1)= [1,1, 1, 1]とWH4(2) = [1,-1, 1, -1]とは、相互の符号間において、奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号の組である。また、WH4(3)= [1,1, -1, -1]及びWH4 (4)= [1,-1, -1, 1]も、WH4(1)及びWH4(2)の組と同様な関係の符号の組である。
例えば、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)が2以上の場合には、レーダ装置10は、このような関係の符号の組を未使用直交符号に含まないように、符号を選択してもよい。
例えば、符号多重数NCM=2の場合、符号生成部104は、符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号のうち、2個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は2個となる。
例えば、符号生成部104は、WH4(1)とWH4(2)の符号の組、又は、WH4(3)とWH4(4)の符号の組が未使用直交符号に含まれないように、符号多重送信用の符号を選択してもよい。例えば、符号多重送信用の符号(Code1及びCode2)の組み合わせは、Code1=WH4(1)(= [1,1, 1, 1])及びCode2=WH4(3)(= [1,1, -1, -1])の組み合わせ、Code1=WH4(1)及びCode2=WH4(4)の組み合わせ、Code1=WH4(2)及びCode2=WH4(3)の組み合わせ、又は、Code1=WH4(2)及びCode2=WH4(4)の組み合わせでもよい。
また、符号多重数NCM=2の場合、例えば、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長Loc=4のNallcode=4個のWalsh-Hadamard符号のうち、符号生成部104において用いられない(換言すると、符号多重送信に用いられない)2個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号の少なくとも一つを、折り返し判定に用いてよい(一例は後述する)。
以下では、符号長LocのNallcode個の直交符号のうち、未使用直交符号を「UnCodenuc=[UOCnuc(1), UOCnuc(2),…, UOCnuc(Loc) ]」と表す。なお、UnCodenucは第nuc番の未使用直交符号を表す。また、nucは未使用直交符号のインデックスを表し、nuc =1,…, (Nallcode-NCM)である。また、UOCnuc(noc)は第nuc番の未使用直交符号UnCodenucにおけるnoc番の符号要素を表す。また、nocは符号要素のインデックスを表し、noc=1,…,Locである。
例えば、符号多重数がNCM=2であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH4(1)(= [1,1, 1, 1])及びCode2=WH4(3)(= [1,1, -1, -1])の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH4(2)(= [1,-1, 1, -1])及びUnCode2=WH4(4)(= [1,-1, -1, 1])となる。なお、未使用直交符号(UnCode1及びUnCode2)の組み合わせは、WH4(2)及びWH4(4)の組み合わせに限らず、他の符号の組み合わせでもよい。
同様に、符号多重数NCM=3の場合、符号生成部104は、例えば、符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号のうち、3個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は1個となる。
例えば、符号生成部104は、Code1=WH4(3)=[1,1, -1, -1]、Code2=WH4(4)=[1,-1, -1, 1]、及び、Code3=WH4(2)=[1,-1, 1, -1]を選択してもよい。
また、レーダ受信部200の折り返し判定部212は、符号長Loc=4のNallcode=4個のWalsh-Hadamard符号のうち、1個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号を折り返し判定に用いてよい(一例は後述する)。例えば、符号多重数がNCM=3であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH4(3)=[1,1, -1, -1]、Code2=WH4(4)=[1,-1, -1, 1]、Code3=WH4(2)=[1,-1, 1, -1]の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH4(1)=[1,1, 1, 1]となる。なお、符号多重送信用の符号(Code1、Code2及びCode3)及び未使用直交符号(UnCode1)の組み合わせは、これらに限らず、他の符号の組み合わせでもよい。
<NCM=4、5、6又は7の場合>
NCM=4、5、6又は7の場合、例えば、符号長Loc=8、16、32、…のWalsh-Hadamard符号を適用してもよい。これらの符号長Locの場合、NCM<Nallcode(Loc)となる。また、符号多重数がNCM=4、5、6又は7の場合、これらの符号長Locのうち、符号長が最も短いWalsh-Hadamard符号(例えば、Loc=8)を用いる場合について説明する。
例えば、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号には、以下の8個の直交符号が含まれる。
WH8(1)= [ 1 1 1 1 1 1 1 1],
WH8(2)= [ 1 -1 1 -1 1 -1 1 -1],
WH8(3)= [ 1 1 -1 -1 1 1 -1 -1],
WH8(4)= [ 1 -1 -1 1 1 -1 -1 1],
WH8(5)= [ 1 1 1 1 -1 -1 -1 -1],
WH8(6)= [ 1 -1 1 -1 -1 1 -1 1],
WH8(7)= [ 1 1 -1 -1 -1 -1 1 1],
WH8(8)= [ 1 -1 -1 1 -1 1 1 -1]
ここで、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号のうち、WH8(1)とWH8(2)とは、相互の符号間において奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号の組である。また、同様に、WH8(3)とWH8(4)の組、WH8(5)とWH8(6)の組、及び、WH8(7)とWH8(8)の組も、WH8(1)とWH8(2)の組と同様な関係の符号の組である。
例えば、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)が2以上の場合には、符号生成部104は、このような関係の符号の組を未使用直交符号に含まないように符号を選択する一例として、WH8(1)とWH8(2)の符号の組、WH8(3)とWH8(4)の符号の組、WH8(5)とWH8(6)の符号の組、又は、WH8(7)とWH8(8)の符号の組のいずれかの組が未使用直交符号に含まれないように、符号多重送信用の符号を選択してもよい。
例えば、符号多重数NCM=4の場合、符号生成部104は、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号のうち、4個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は4個となる。
例えば、符号生成部104は、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3及びCode4)の組み合わせは、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(3)、Code3=WH8(5)及びCode4=WH8(7)の組み合わせ、又は、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(4)、Code3=WH8(5)及びCode4=WH8(8)の組み合わせでもよい。なお、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3及びCode4)の組み合わせは、これらに限定されない。
また、符号多重数NCM=4の場合、例えば、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長Loc=8のNallcode=8個のWalsh-Hadamard符号のうち、符号生成部104において用いられない4個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号の一部あるいは全てを折り返し判定に用いてよい(一例は後述する)。
例えば、符号多重数NCM=4であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(3)、Code3=WH8(5)及びCode4=WH8(7)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH8(2)、UnCode2=WH8(4), UnCode3=WH8(6)及びUnCode4=WH8(8)となる。又は、例えば、符号多重数NCM=4であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(4)、Code3=WH8(5)及びCode4=WH8(8)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH8(2)、UnCode2=WH8(3), UnCode3=WH8(6)及びUnCode4=WH8(7)となる。
同様に、例えば、符号多重数NCM=5の場合、符号生成部104は、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号のうち、5個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は3個となる。
例えば、符号生成部104は、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3、Code4及びCode5)の組み合わせは、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(3)、Code3=WH8(5)、Code4=WH8(7)及びCode5=WH8(8)の組み合わせ、又は、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(4)、Code3=WH8(5)、Code4=WH8(7)及びCode5=WH8(8)でもよい。なお、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3、Code4及びCode5)の組み合わせは、これらに限定されない。
符号多重数NCM=5の場合、例えば、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長Loc=8のNallcode=8個のWalsh-Hadamard符号のうち、符号生成部104において用いられない3個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号の一部あるいは全てを折り返し判定に用いる(一例は後述する)。
例えば、符号多重数NCM=5であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(3)、Code3=WH8(5)、Code4=WH8(7)及びCode5=WH8(8)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH8(2)、UnCode2=WH8(4)及び UnCode3=WH8(6)となる。又は、例えば、符号多重数NCM=5であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(4)、Code3=WH8(5)、Code4=WH8(7)及びCode5=WH8(8)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH8(2)、UnCode2=WH8(3)及びUnCode3=WH8(6)となる。
同様に、例えば、符号多重数NCM=6の場合、符号生成部104は、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号のうち、6個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は2個となる。
例えば、符号生成部104は、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3、Code4、Code5及びCode6)の組み合わせは、例えば、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(2)、Code3=WH8(3)、Code4=WH8(4)、Code5=WH8(5)及びCode6=WH8(8)でもよい。なお、符号多重送信用の符号(Code1、Code2、Code3、Code4、Code5及びCode6)の組み合わせは、これらに限定されない。
また、符号多重数NCM=6の場合、例えば、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長Loc=8のNallcode=8個のWalsh-Hadamard符号のうち、符号生成部104において用いられない2個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号の一部あるいは全てを折り返し判定に用いる(一例は後述する)。
例えば、符号多重数がNCM=6であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(2)、Code3=WH8(3)、Code4=WH8(4)、Code5=WH8(5)及びCode6=WH8(8)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH8(6)及びUnCode2=WH8(7)となる。
同様に、例えば、符号多重数NCM=7の場合、符号生成部104は、符号長Loc=8のWalsh-Hadamard符号のうち、7個の直交符号を符号多重送信用の符号に決定する。この場合、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)は1個となる。
例えば、符号生成部104は、符号多重送信用の符号に、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(2)、Code3=WH8(3)、Code4=WH8(4)、Code5=WH8(5)、Code6=WH8(6)及びCode7=WH8(7)を選択してもよい。なお、符号多重送信用の符号の組み合わせは、これらに限定されない。
また、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長Loc=8のNallcode=8個のWalsh-Hadamard符号のうち、符号生成部104において用いられない1個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号を折り返し判定に用いる(一例は後述する)。
例えば、符号多重数NCM=7であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH8(1)、Code2=WH8(2)、Code3=WH8(3)、Code4=WH8(4)、Code5=WH8(5)、Code6=WH8(6)及びCode7=WH8(7)の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH(8)となる。
以上、符号多重数NCM=4、5、6又は7の場合について説明した。
なお、レーダ装置10は、符号多重数NCM=8以上の場合も、符号多重数NCM=2~7の場合と同様に符号多重送信用の符号、及び、未使用直交符号を決定してもよい。
例えば、符号生成部104は、式(2)に示す符号長LocのWalsh-Hadamard符号のうち、N
CM個の直交符号を符号多重送信用の符号に選択してもよい。この場合、N
CM<Loc=N
allcodeとなる。
また、レーダ受信部200における折り返し判定部212は、符号長LocのNallcode=Loc個のWalsh-Hadamard符号のうち、(Nallcode-NCM)個の未使用直交符号を折り返し判定に用いてよい(一例は後述する)。また、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)が2個以上の場合、符号生成部104は、例えば、符号長LocのWalsh-Hadamard符号のうち、相互の符号間において奇数番目及び偶数番目の何れか一方の符号要素が同一であり、奇数番目及び偶数番目の他方の符号要素が符号反転している符号の組が未使用直交符号に含まれないように、符号多重送信用の符号を選択してもよい。
換言すると、符号長LocのWalsh-Hadamard符号のうち、相互の符号間において奇数番目及び偶数番目の何れか一方の符号要素が同一であり、奇数番目及び偶数番目の他方の符号要素が符号反転している符号の組の何れか一方が未使用直交符号に含まれ、他方が未使用直交符号に含まれなくてよい。
なお、直交符号系列を構成する要素は実数に限らず、複素数値が含まれてもよい。
また、符号は、Walsh-Hadamard符号と異なる他の直交符号でもよい。例えば、符号は、直交M系列符号又は擬似直交符号でもよい。
以上、各符号多重数NCMにおける直交符号の一例について説明した。
次に、符号生成部104において生成された符号多重送信用の符号に基づく位相回転量の一例について説明する。
レーダ装置10は、例えば、符号多重送信を行う送信アンテナTx#1~Tx#NTXに対して、それぞれ異なる直交符号を用いた符号多重送信を行う。そこで、符号生成部104は、例えば、第m番の送信周期Trにおいて、第ncm番の送信アンテナTx#ncmに対して付与する、直交符号Codencmに基づく位相回転量ψncm(m)を設定し、位相回転部105に出力する。ここで、ncm=1,…, NCMである。
例えば、位相回転量ψ
ncm(m)は、次式(3)に示すように、符号長Loc回の送信周期の期間毎に、直交符号Code
ncmのLoc個の各符号要素OC
ncm(1),…, OC
ncm(Loc)に相当する位相量を巡回的に付与する。
ここで、angle(x)は実数xのラジアン位相を出力する演算子であり、angle(1)=0、angle(-1)=π、angle(j)=π/2、及び、angle(-j)=-π/2である。jは虚数単位である。また、OC_INDEXは、直交符号系列Code
ncmの要素を指示する直交符号要素インデックスであり、送信周期(Tr)毎に、次式(4)のように1からLocの範囲で巡回的に可変する。
ここで、mod(x,y)はモジュロ演算子であり、xをyで割った後の余りを出力する関数である。また、m=1,…,Ncである。Ncは、レーダ装置10がレーダ測位に用いる所定の送信周期数(以下では、「レーダ送信信号送信回数」と呼ぶ)である。また、レーダ装置10は、例えば、Locの整数倍(例えば、Ncode倍)となるレーダ送信信号送信回数Ncの送信を行う。例えば、Nc=Loc×Ncodeである。
また、符号生成部104は、送信周期(Tr)毎に、直交符号要素インデックスOC_INDEXをレーダ受信部200の出力切替部209へ出力する。
位相回転部105は、例えば、NTx個の送信アンテナ106にそれぞれ対応する位相器又は位相変調器を備える。位相回転部105は、例えば、送信周期Tr毎に、レーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、符号生成部104から入力される位相回転量ψncm(m)をそれぞれ付与する。
例えば、位相回転部105は、送信周期Tr毎にレーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、第ncm番の送信アンテナTx#ncmに対して付与する、直交符号Codencmに基づく位相回転量ψncm(m)を付与する。ここで、ncm=1,…,NCMであり、m=1,..,Ncである。
NTx個の送信アンテナ106に対する位相回転部105からの出力は、例えば、所定の送信電力に増幅後に、NTx個の送信アンテナ106(例えば、送信アレーアンテナ)から空間に放射される。
一例として、第1の送信アンテナ106-1の数NT1=1、第2の送信アンテナ106-2の数NT2=2を用いて(送信アンテナ数NTx= NT1+ NT2=3)、符号多重数NCM=3の符号多重送信する場合について説明する。なお、送信アンテナ数NTx及び符号多重数NCMは、これらの値に限定されない。
例えば、位相回転量ψ1(m), ψ2(m)及びψ3(m)が、第m番の送信周期Tr毎に符号生成部104から位相回転部105へ出力される。
第1番(ncm=1)の位相回転部105(換言すると、第1の送信アンテナ106-1(例えば、Tx#1)に対応する位相器)は、送信周期Tr毎にレーダ送信信号生成部101において生成されたチャープ信号に対して、送信周期Tr毎に、次式(5)のように位相回転を付与する。第1番の位相回転部105の出力は、第1の送信アンテナ106-1(Tx#1)から送信される。ここで、cp(t)は、レーダ送信信号生成部101から出力される送信周期Tr毎のチャープ信号を表す。
同様に、第2番(ncm=2)の位相回転部105は、送信周期Tr毎にレーダ送信信号生成部101において生成されたチャープ信号に対して、送信周期Tr毎に、次式(6)のように位相回転を付与する。第2番の位相回転部105の出力は、第2の送信アンテナ106-2(例えば、Tx#2)から送信される。
同様に、第3番(ncm=3)の位相回転部105は、送信周期Tr毎にレーダ送信信号生成部101において生成されたチャープ信号に対して、送信周期Tr毎に、次式(7)のように位相回転を付与する。第3番の位相回転部105の出力は、第2の送信アンテナ106-2(例えば、Tx#3)から送信される。
なお、レーダ装置10は、レーダ測位を継続的に行う場合に、レーダ測位毎(例えば、Nc回の送信周期(Nc×Tr)毎)に、直交符号Codencmに用いる符号を可変に設定してもよい。
また、レーダ装置10は、例えば、NTx個の位相回転部105の出力を送信する送信アンテナ106(換言すると、位相回転部105の各出力に対応する送信アンテナ106)を可変に設定してもよい。例えば、複数の送信アンテナ106と、符号多重送信用の符号系列との対応付けは、レーダ装置10におけるレーダ測位毎に異なってもよい。レーダ装置10は、例えば、送信アンテナ106毎に異なる他レーダからの干渉の影響を受けて、信号を受信する場合に、レーダ測位毎に送信アンテナ106から出力される符号多重信号が変わることになり、干渉の影響のランダマイズ効果を得ることができる。
以上、レーダ送信部100の構成例について説明した。
[レーダ受信部200の構成]
図1において、レーダ受信部200は、Na個の受信アンテナ202(例えば、Rx#1~Rx#Naとも表す)を備え、アレーアンテナを構成する。また、レーダ受信部200は、Na個のアンテナ系統処理部201-1~201-Naと、CFAR(Constant False Alarm Rate)部211と、折り返し判定部212と、符号多重分離部213と、方向推定部214と、を有する。
各受信アンテナ202は、レーダ測定のターゲットを含む反射物体に反射したレーダ送信信号である反射波信号をそれぞれ受信し、受信した反射波信号を、対応するアンテナ系統処理部201へ受信信号として出力する。
各アンテナ系統処理部201は、受信無線部203と、信号処理部206とを有する。
受信無線部203は、ミキサ部204と、LPF(low pass filter)205と、を有する。ミキサ部204は、例えば、受信した反射波信号に対して、レーダ送信信号生成部101から入力される、レーダ送信信号であるチャープ信号をミキシングする。LPF205は、ミキサ部204の出力信号に対してLPF処理を施すことによって、反射波信号の遅延時間に応じた周波数となるビート信号を出力する。例えば、図2に示すように、送信チャープ信号(送信周波数変調波)の周波数と、受信チャープ信号(受信周波数変調波)の周波数との差分周波数がビート周波数(換言すると、ビート信号)として得られる。
各アンテナ系統処理部201-z(ただし、z=1~Naの何れか)の信号処理部206は、AD変換部207と、ビート周波数解析部208と、出力切替部209と、ドップラ解析部210と、を有する。
信号処理部206において、AD変換部207は、例えば、LPF205から出力された信号(例えば、ビート信号)を、離散的にサンプリングされた離散サンプルデータに変換する。
ビート周波数解析部208は、例えば、送信周期Tr毎に、規定された時間範囲(レンジゲート)において得られたNdata個の離散サンプルデータをFFT(Fast Fourier Transform)処理する。これにより、信号処理部206では、反射波信号(レーダ反射波)の遅延時間に応じたビート周波数にピークが現れる周波数スペクトラムが出力される。なお、ビート周波数解析部208は、FFT処理として、例えば、Han窓又はHamming窓といった窓関数係数を乗算してもよい。レーダ装置10は、窓関数係数を用いることにより、ビート周波数ピーク周辺に発生するサイドローブを抑圧できる。
また、Ndata個の離散サンプリングデータ数が2のべき乗ではない場合、ビート周波数解析部208は、例えば、ゼロ埋めしたデータを含めることで2べき乗個のFFTサイズとしてFFT処理してもよい。
なお、例えば、ミキサ部204が直交ミキサ構成である場合、ミキサ部204の出力としてI信号成分(同相位相成分、In-phase成分)及びQ信号成分(直交位相成分、Quadrature成分)が得られる。この場合、例えば、ミキサ部204の出力のI信号成分又はQ信号成分毎にLPFが適用され、その出力にAD変換が適用されることにより、I信号成分のAD変換出力、及び、Q信号成分のAD変換出力が得られてよい。ミキサ部204が直交ミキサ構成である場合、例えば、LPF205の遮断周波数(又は、カットオフ周波数)fLPFを、2fmb程度に設定することにより、ビート周波数解析部208は、fmbから2fmbの範囲の折り返したビート周波数を、負のビート周波数として検出でき、距離検出範囲を拡大できる。なお、fmbはビート周波数解析部208のFFT処理において、サンプリング定理に基づいて折り返しなく検出可能な最大のビート周波数を示し、例えば、fmb =Ndata/(2TRG)=fsa/2で表されてよい。ここで、TRGは、レンジゲートの時間範囲を示し、fsaは、ADサンプリング周波数を示す。
ここで、第m番目のチャープパルス送信によって得られる第z番目の信号処理部206におけるビート周波数解析部208から出力されるビート周波数応答をRFTz(fb, m)で表す。ここで、fbはビート周波数インデックスを表し、FFTのインデックス(ビン番号)に対応する。例えば、fb=0,…,Ndata/2であり、z=0,…,Naであり、m=1,…,NCである。ビート周波数インデックスfbが小さいほど、反射波信号の遅延時間が小さい(換言すると、ターゲットとの距離が近い)ビート周波数を示す。
また、ビート周波数インデックスf
bは、次式(8)を用いて距離情報に変換してよい。以下では、ビート周波数インデックスf
bを「距離インデックスf
b」とも呼ぶ。
ここで、Bwは、チャープ信号におけるレンジゲート内での周波数変調帯域幅を表し、C0は光速度を表す。
なお、ミキサ部204が直交ミキサ構成の場合、例えば、負のビート周波数(例えば、fb= Ndata /2、…、-1)として検出される信号を、正のビート周波数(fb= Ndata /2、…、Ndata-1)の折り返しと見なすことが可能である。このため、例えば、fb=0,…, Ndata-1と表記してよい。
出力切替部209は、符号生成部104から出力される直交符号要素インデックスOC_INDEXに基づいて、送信周期毎のビート周波数解析部208の出力を、Loc個のドップラ解析部210のうち、OC_INDEX番目のドップラ解析部210に選択的に切り替えて出力する。換言すると、出力切替部209は、第m番目の送信周期Trにおいて、OC_INDEX番目のドップラ解析部210を選択する。
信号処理部206は、例えば、Loc個のドップラ解析部210-1~210-Locを有する。例えば、第noc番のドップラ解析部210には、出力切替部209によってLoc回の送信周期(Loc×Tr)毎にデータが入力される。このため、第noc番目のドップラ解析部210は、Nc回の送信周期のうち、Ncode回の送信周期のデータ(例えば、ビート周波数解析部208から出力されるビート周波数応答RFTz(fb, m))を用いて、距離インデックスfb毎にドップラ解析を行う。ここで、nocは符号要素のインデックスであり、noc=1, …, Locである。
例えば、Ncodeが2のべき乗値である場合、ドップラ解析においてFFT処理を適用してもよい。この場合、FFTサイズはNcodeであり、サンプリング定理から導出される折り返しが発生しない最大ドップラ周波数は±1/(2Loc×Tr)である。また、ドップラ周波数インデックスfsのドップラ周波数間隔は1/(Ncode×Loc×Tr)であり、ドップラ周波数インデックスfsの範囲はfs = -Ncode/2, …, 0, …, Ncode/2-1である。
例えば、第z番の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)は、次式(9)に示される。なお、jは虚数単位であり、z=1~Naである。
また、Ncodeが2のべき乗でない場合には、例えば、ゼロ埋めしたデータを含めることで2のべき乗個のデータサイズ(FFTサイズ)としてFFT処理してもよい。例えば、ゼロ埋めしたデータを含めた場合のドップラ解析部210におけるFFTサイズをN
codewzeroとした場合、第z番の信号処理部206におけるドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)は、次式(10)に示される。
ここで、nocは符号要素のインデックスであり、noc=1,…,Locである。また、FFTサイズはNcodewzeroであり、サンプリング定理から導出される折り返しが発生しない最大ドップラ周波数は、±1/(2Loc×Tr)である。また、ドップラ周波数インデックスfsのドップラ周波数間隔は1/(Ncodewzero×Loc×Tr)であり、ドップラ周波数インデックスfsの範囲はfs=-Ncodewzero/2,…,0,…, Ncodewzero/2-1である。
以下では、一例として、Ncodeが2のべき乗値である場合について説明する。なお、ドップラ解析部210においてゼロ埋めを用いる場合、以下の説明においてNcodeをNcodewzeroと置き換えることにより、同様に適用でき、同様の効果を得られる。
また、ドップラ解析部210は、FFT処理の際に、例えば、Han窓又はHamming窓といった窓関数係数を乗算してもよい。レーダ装置10は、窓関数を適用することでビート周波数ピーク周辺に発生するサイドローブを抑圧できる。
以上、信号処理部206の各構成部における処理について説明した。
図1において、CFAR部211は、第1~第Na番目の信号処理部206それぞれのLoc個のドップラ解析部210の出力を用いて、CFAR処理(換言すると、適応的な閾値判定)を行い、ピーク信号を与える距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarを抽出する。
CFAR部211は、例えば、次式(11)のように、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)を電力加算し、距離軸とドップラ周波数軸(相対速度に相当)とからなる2次元のCFAR処理、又は、1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理を行う。2次元のCFAR処理又は1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理については、例えば、非特許文献5に開示された処理が適用されてよい。
CFAR部211は、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfar、及び、受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_cfar)を折り返し判定部212に出力する。
次に、図1に示す折り返し判定部212の動作例について説明する。
折り返し判定部212は、例えば、CFAR部211において抽出された距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarに基づいて、ドップラ解析部210の出力であるドップラ成分VFTz
noc(fb_cfar, fs_cfar)の折り返し判定を行う。ここで、z=1,…,Naであり、noc=1,…,Locである。
折り返し判定部212は、例えば、想定するターゲットのドップラ範囲を±1/(2×Tr)としてドップラ折り返し判定処理を行ってよい。
ここで、例えば、Ncodeが2のべき乗値である場合、ドップラ解析部210は、符号要素毎にFFT処理を適用するので、(Loc×Tr)周期で、ビート周波数解析部208からの出力を用いてFFT処理を行う。このため、ドップラ解析部210においてサンプリング定理によって折り返しが発生しないドップラ範囲は±1/(2Loc×Tr)である。
よって、折り返し判定部212において想定するターゲットのドップラ範囲は、ドップラ解析部210において折り返しが発生しないドップラ範囲よりも広い。例えば、折り返し判定部212は、ドップラ解析部210の折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)のLoc倍のドップラ範囲±1/(2×Tr)までを想定して折り返し判定処理を行う。
以下、折り返し判定部212における折り返し判定処理の一例を説明する。
ここでは、一例として、符号多重数NCM=3であり、符号生成部104が符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号のうち、3個の直交符号Code1=WH4(3)=[1,1, -1, -1]、Code2=WH4(4)=[1,-1, -1, 1]、及び、Code3=WH4(2)=[1,-1, 1, -1]を用いる場合について説明する。
折り返し判定部212は、例えば、符号長Loc=4のNallcode=4個のWalsh-Hadamard符号のうち、1個(=Nallcode-NCM)の未使用直交符号を折り返し判定に用いる。例えば、符号多重数がNCM=3であり、符号生成部104が決定した符号多重送信用の符号が、Code1=WH4(3)=[1,1, -1, -1]、Code2=WH4(4)=[1,-1, -1, 1]及びCode3=WH4(2)=[1,-1, 1, -1]の場合、未使用直交符号は、UnCode1=WH4(1)=[1,1, 1, 1]となる。
例えば、レーダ装置10が符号長Loc=4の直交符号を用いて符号多重送信を行う場合、上述したように、ドップラ解析部210は符号要素毎にFFT処理を適用するので、(Loc×Tr)=(4×Tr)周期で、ビート周波数解析部208からの出力を用いてFFT処理を行う。よって、ドップラ解析部210においてサンプリング定理よって折り返しが発生しないドップラ範囲は、±1/(2 Loc×Tr)=±1/(8×Tr)となる。
折り返し判定部212は、例えば、ドップラ解析部210におけるドップラ解析の範囲(ドップラ範囲)と比較して、直交符号系列の符号長Loc倍の範囲において折り返しの判定を行ってよい。例えば、折り返し判定部212は、ドップラ解析部210において折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(8×Tr)の4(=Loc)倍のドップラ範囲=±1/(2×Tr)を想定して折り返し判定処理を行う。
ここで、CFAR211部において抽出される距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarに対応するドップラ解析部210の出力であるドップラ成分VFTz
noc(fb_cfar,fs_cfar)は、例えば、±1/(2×Tr)のドップラ範囲において、図3における(a)及び(b)に示すような折り返しを含むドップラ成分が含まれる可能性がある。
例えば、図3における(a)に示すように、ドップラ成分VFTz
noc(fb_cfar,fs_cfar)は、fs_cfar<0の場合、±1/(2×Tr)のドップラ範囲において、fs_cfar-Ncode、fs_cfar、fs_cfar+Ncode、及び、fs_cfar+2Ncodeの4(=Loc)通りのドップラ成分の可能性がある。
また、例えば、図3における(b)に示すように、ドップラ成分VFTz
noc(fb_cfar,fs_cfar)は、fs_cfar>0の場合、±1/(2×Tr)のドップラ範囲において、fs_cfar-2Ncode、fs_cfar-Ncode、fs_cfar、及び、fs_cfar+Ncodeの4(=Loc)通りのドップラ成分の可能性がある。
折り返し判定部212は、例えば、未使用直交符号を用いて、図3に示すような±1/(2×Tr)のドップラ範囲において符号分離処理を行う。例えば、折り返し判定部212は、未使用直交符号に対して、図3に示すような折り返しを含む4(=Loc)通りのドップラ成分の位相変化を補正してもよい。
そして、折り返し判定部212は、例えば、未使用直交符号に基づいて符号分離されたドップラ成分の受信電力に基づいて、各ドップラ成分が折り返しであるか否かを判定する。例えば、折り返し判定部212は、折り返しを含むドップラ成分のうち、受信電力が最小のドップラ成分を検出し、検出したドップラ成分を真のドップラ成分と判定してよい。換言すると、折り返し判定部212は、折り返しを含むドップラ成分のうち、最小の受信電力と異なる他の受信電力のドップラ成分を偽のドップラ成分であると判定してよい。
この折り返し判定処理により、折り返し判定部212は、折り返しを含むドップラ範囲の曖昧性を低減できる。また、この折り返し判定処理により、折り返し判定部212は、ドップラ解析部210におけるドップラ範囲(例えば、-1/(8Tr)以上、かつ、1/(8Tr)未満の範囲)と比較して、曖昧性なくドップラ周波数を検出できる範囲を、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満の範囲に拡大できる。
これは、未使用直交符号に基づいて符号分離することにより、例えば、真のドップラ成分は、当該ドップラ成分の位相変化が正しく補正され、符号多重送信用の直交符号と未使用直交符号との間の直交性が維持される。よって、未使用直交符号と符号多重送信信号とは無相関となり、折り返し判定部212は、ノイズレベル程度の受信電力を検出する。
一方、例えば、偽のドップラ成分は、当該ドップラ成分の位相変化が誤って補正され、符号多重送信用の直交符号と未使用直交符号との間の直交性は維持されない。よって、未使用直交符号と符号多重送信信号との相関成分(干渉成分)が発生するため、例えば、折り返し判定部212は、ノイズレベルよりも大きい受信電力を検出する。
よって、上述したように、折り返し判定部212は、未使用直交符号に基づいて符号分離されたドップラ成分のうち、受信電力が最小のドップラ成分を真のドップラ成分と判定し、最小の受信電力と異なる受信電力の他のドップラ成分を偽のドップラ成分であると判定してよい。
例えば、折り返し判定部212は、各アンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に基づいて、折り返しを含むドップラ成分の位相変化を補正し、未使用直交符号UnCode
nucを用いた符号分離後の受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar,f
s_cfar,DR)を、次式(12)に従って算出する。
折り返し判定部212は、式(12)を用いて、全てのアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に対して、未使用直交符号UnCodenucを用いた符号分離後の受信電力の総和を算出する。これにより、折り返し判定部212は、受信信号レベルが低い場合でも、折り返し判定精度を向上できる。ただし、折り返し判定部212は、式(12)の代わりに、一部のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に対して、未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力を算出してもよい。この場合でも、折り返し判定部212は、例えば、受信信号レベルが十分高い範囲では、折り返し判定の精度を保ち、演算処理量を削減できる。
なお、式(12)において、nuc=1,…,Nallcode-NCMである。また、DRはドップラ折り返し範囲を示すインデックスであり、例えば、DR=ceil[-Loc/2], ceil[-Loc/2]+1,…,0,…, ceil[Loc/2]-1の範囲の整数値をとる。
また、式(12)において、
は、要素数が等しいベクトル同士の要素毎の積を表す。例えば、n次ベクトルA=[a
1,..,a
n]及びB=[b
1,..,b
n]に対して、要素毎の積は以下の式(13)で表される。
また、式(12)において、
は、ベクトル内積演算子を表す。また、式(12)において、上付き添え字Tはベクトル転置を表し、上付き添え字*(アスタリスク)は複素共役演算子を表す。
式(12)において、α(fs_cfar)は「ドップラ位相補正ベクトル」を表す。ドップラ位相補正ベクトルα(fs_cfar)において、例えば、CFAR部211において抽出されたドップラ周波数インデックスfs_cfarが、ドップラ折り返しを含まないドップラ解析部210の出力範囲(換言すると、ドップラ範囲)とする場合に、折り返し判定部212は、Loc個のドップラ解析部210間におけるドップラ解析の時間差に起因するドップラ位相回転を補正する。
例えば、ドップラ位相補正ベクトルα(f
s_cfar)は、次式(14)のように表される。式(14)に示すドップラ位相補正ベクトルα(f
s_cfar)は、例えば、第1番のドップラ解析部210の出力VFT
z
1(f
b_cfar, f
s_cfar)のドップラ解析時間を基準として、第2番のドップラ解析部210の出力VFT
z
2(f
b_cfar, f
s_cfar)から第Loc番のドップラ解析部VFT
z
Loc(f
b_cfar, f
s_cfar)のそれぞれにおけるTr,2Tr,…,(Loc-1)Trの時間遅れにより生じるドップラ周波数インデックスf
s_cfarのドップラ成分での位相回転の補正に用いるドップラ位相補正係数を要素とするベクトルである。
また、式(12)において、β(DR)は「折り返し位相補正ベクトル」を表す。折り返し位相補正ベクトルβ(DR)は、例えば、Loc個のドップラ解析部210間におけるドップラ解析の時間差に起因するドップラ位相回転のうち、ドップラ折り返しが有る場合を考慮して、2πの整数倍のドップラ位相回転の補正に用いられる。
例えば、折り返し位相補正ベクトルβ(DR)は、次式(15)のように表される。
例えば、Loc=4の場合、DR=-2,-1,0,1の整数値をとり、折り返し位相補正ベクトルβ(DR)は、式(16)、式(17)、式(18)及び式(19)のように表される。
例えば、Loc=4の場合、図3における(a)又は(b)においてドップラ解析部210の出力であるドップラ周波数インデックスfs_cfarのドップラ成分が検出されるドップラ範囲(例えば、-1/8Tr~+1/8Tr)はDR=0に対応する。また、DR=0のドップラ周波数インデックスfs_cfarに対する2πの整数倍のドップラ位相回転(例えば、β(1)、β(-1)及びβ(-2))により、折り返し判定部212は、DR=1に対応するドップラ範囲(例えば、1/8Tr~3/8Tr)のドップラ成分、DR=-1に対応するドップラ範囲(例えば、-3/8Tr~-1/8Tr)のドップラ成分、及び、DR=-2に対応するドップラ範囲(例えば、-1/2Tr~-3/8Tr及び3/8Tr~1/2Tr)のドップラ成分を算出する。
また、式(12)において、VFTALL
z(f
b_cfar, f
s_cfar)は、例えば、次式(20)のように、第z番のアンテナ系統処理部201におけるLoc個のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)のうち、CFAR部211において抽出された距離インデックスf
b_cfar及びドップラ周波数インデックスf
s_cfarに対応する成分VFT
z
noc(f
b_cfar, f
s_cfar)(ただし、noc=1,…,Loc)をベクトル形式で表す。
例えば、折り返し判定部212は、式(12)に従って、折り返しを含むドップラ成分の位相変化を補正した未使用直交符号UnCodenucを用いた符号分離後の受信電力DeMulUnCodenuc(fb_cfar, fs_cfar, DR)を、DR=ceil[-Loc/2], ceil[-Loc/2]+1,…,0,…, ceil[Loc/2]-1の範囲においてそれぞれ算出する。
そして、折り返し判定部212は、各DRの範囲のうち、受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)が最小となるDRを検出する。以下では、次式(21)に示すように、各DRの範囲のうち、受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)が最小となるDRを「DR
min」と表す。
以下、上述したような折り返し判定処理によって、ドップラ折り返し判定が可能な理由について説明する。
式(20)に示すVFTALL
z(f
b_cfar, f
s_cfar)に含まれる第ncm番の送信アンテナ106(例えば、Tx#ncm)から送信されたレーダ送信信号成分は、例えば、ノイズ成分を無視すると次式(22)のように表される。
ここで、γz,ncmは、第ncm番の送信アンテナ106から送信されたレーダ送信信号がターゲットに反射した信号が第z番のアンテナ系統処理部201において受信された場合の複素反射係数を表す。また、DRtrueは、真のドップラ折り返し範囲を示すインデックスを表す。DRtrueは、ceil[-Loc/2], ceil[-Loc/2]+1,…,0,…, ceil[Loc/2]-1の範囲のインデックス値とする。以下、DRmin=DRtureとなるように判定できることを示す。
第1番~第N
CM番の送信アンテナ106から送信されたレーダ送信信号成分に対して、未使用直交符号UnCode
nucを用いた符号分離後の受信電力の総和PowDeMul(nuc,DR,DR
true)は次式(23)で表される。
なお、式(23)に示すPowDeMul(nuc,DR,DR
true)は、式(12)における、
の項の評価値に相当する。
式(23)において、DR=DRtrueの場合、未使用直交符号UnCodenucと符号多重送信用の直交符号Codencmとの相関値はゼロ(例えば、UnCodenuc
*・{Codencm}T=0)となるため、PowDeMul(nuc,DR,DRtrue)=0となる。
一方、式(23)において、DR≠DR
trueの場合、
と符号多重送信用の直交符号Code
ncmとの相関値に依存したPowDeMul(nuc,DR,DR
true)が出力される。ここで、全てのUnCode
nucにおいてPowDeMul(nuc,DR,DR
true)がゼロにならない場合、例えば、次式(24)を満たし、DR=DR
trueの場合、PowDeMul(nuc, DR
true,DR
true)の電力が最小となり、折り返し判定部212は、DR
true(=DR
min)を検出できる。換言すると、折り返し判定部212は、式(12)に従ってドップラ折り返し判定できる。
例えば、式(24)を満たすには、
の項が他の未使用直交符号UnCode
nuc2に一致しなければよい。ここで、nuc2≠nucである。
従って、未使用直交符号が1個の場合には式(24)を満たす。また、未使用直交符号が複数の場合には、例えば、符号生成部104は、
の項が他の未使用直交符号に一致しないように、符号多重送信用の符号を選択してもよい。
ここで、Walsh-Hadamard符号又は直交M系列符号といった符号を用いる場合、符号長Locの直交符号のうち、相互の符号間において奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号の組が含まれる場合がある。
一方で、β(0)=[1,1,…,1], β(-Loc/2)=[1, -1, 1,-1,….1,-1]となるため、
の項は、UnCode
nucの奇数番目の符号要素が同一であり、偶数番目の符号要素が符号反転している符号に変換される。
したがって、未使用直交符号の個数(Nallcode-NCM)が2個以上の場合には、例えば、符号生成部104は、符号長Locの直交符号のうち、相互の符号間において奇数番目及び偶数番目の一方の符号要素が同一であり、奇数番目及び偶数番目の他方の符号要素が符号反転している符号の組が未使用直交符号に含まれないように、符号多重送信用の符号又は未使用直交符号を選択してもよい。
例えば、符号長Loc=4のWalsh-Hadamard符号には、WH
4(1)= [1,1, 1, 1]、及び、WH
4(2)= [1,-1, 1, -1]が含まれ、
、又は、
となる。このため、例えば、符号生成部104は、複数の未使用直交符号にWH
4(1)及びWH
4(2)の組を含めないように符号多重送信用の符号又は未使用直交符号を選択してもよい。また、WH
4(3)= [1,1, -1, -1]、及び、WH
4(4)= [1,-1, -1, 1]も同様な関係となるため、例えば、符号生成部104は、複数の未使用直交符号にWH
4(3)及びWH
4(4)の組を含めないように符号多重送信用の符号又は未使用直交符号を選択してもよい。
なお、未使用直交符号UnCode
nucが複数ある場合、受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)の代わりに、次式(25)のように、全ての未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力DeMulUnCodeAll(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)を用いてもよい。
全ての未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力を求めることで、折り返し判定部212は、受信信号レベルが低い場合でも、折り返し判定の精度を向上できる。
例えば、折り返し判定部212は、DR=ceil[-Loc/2], ceil[-Loc/2]+1,…,0,…, ceil[Loc/2]-1のそれぞれの範囲においてDeMulUnCodeAll(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)を算出し、受信電力DeMulUnCodeAll(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)が最小となるDR(換言すると、DR
min)を検出する。式(25)を用いる場合、以下では、次式(26)に示すように、DR範囲において最小となる受信電力を与えるDRを「DR
min」と表す。
また、折り返し判定部212は、例えば、未使用直交符号UnCode
nucを用いた符号分離後の最小受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar, f
s_cfar, DR
min)と受信電力とを比較して、折り返し判定の確からしさを判定(換言すると、測定)する処理を行ってもよい。この場合、折り返し判定部212は、例えば、次式(27)及び式(28)に従って、折り返し判定の確からしさを判定してもよい。
例えば、折り返し判定部212は、CFAR部211において抽出された距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarの受信電力値PowerFT(fb_cfar, fs_cfar)に所定値ThresholdDRを乗算した値よりも、未使用直交符号UnCodenucを用いた符号分離後の最小受信電力DeMulUnCodenuc(fb_cfar, fs_cfar, DRmin)が小さい場合(例えば、式(27))、折り返し判定が十分に確からしいと判定する。この場合、レーダ装置10は、例えば、以降の処理(例えば、符号分離処理)を行ってもよい。
一方、例えば、折り返し判定部212は、受信電力値PowerFT(fb_cfar, fs_cfar)に、ThresholdDRを乗算した値よりも、未使用直交符号UnCodenucを用いた符号分離後の最小受信電力DeMulUnCodenuc(fb_cfar, fs_cfar, DRmin)が等しいか大きい場合(例えば、式(28))、折り返し判定の精度が十分ではない(例えば、ノイズ成分である)と判定する。この場合、レーダ装置10は、例えば、以降の処理(例えば、符号分離処理)を行わなくてもよい。
このような処理により、折り返し判定部212は、折り返し判定の判定誤りを低減でき、また、ノイズ成分を除去できる。なお、所定値ThresholdDRは、例えば、0から1未満の範囲に設定されてよい。一例として、ノイズ成分が含まれることを考慮すると、ThresholdDRは、0.1~0.5程度の範囲で設定されてもよい。
なお、未使用直交符号UnCodenucが複数ある場合、折り返し判定部212は、受信電力DeMulUnCodenuc(fb_cfar, fs_cfar, DR)の代わりに、DeMulUnCodeAll(fb_cfar, fs_cfar, DR)を用いて受信電力との比較をして、折り返し判定の確からしさを判定(換言すると、測定)する処理を行ってもよい。この場合、折り返し判定部212は、例えば、式(27)及び式(28)におけるDeMulUnCodenuc(fb_cfar, fs_cfar, DR)の代わりにDeMulUnCodeAll(fb_cfar, fs_cfar, DR)を用いて、折り返し判定の確からしさを判定してもよい。全ての未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力を求めることで、折り返し判定部212は、受信信号レベルが低い場合でも、折り返し判定の確からしさの精度を向上できる。
なお、未使用直交符号UnCode
nucを用いた符号分離後の受信電力DeMulUnCode
nuc(f
b_cfar, f
s_cfar, DR)の算出式は、例えば、式(12)の代わりに、次式(29)でもよい。
式(29)において、
の項は、ドップラ成分のインデックス(ドップラ周波数インデックス)f
sに依らないため、例えば、予めテーブル化することで、折り返し判定部212における演算量を削減できる。
以上、折り返し判定部212の動作例について説明した。
次に、符号多重分離部213の動作例について説明する。
符号多重分離部213は、折り返し判定部212における折り返し判定結果、及び、符号多重送信用の符号に基づいて、符号多重信号の分離処理を行う。
例えば、符号多重分離部213は、次式(30)のように、折り返し判定部212における折り返し判定結果であるDR
minを用いた折り返し位相補正ベクトルβ(DR
min)に基づいて、CFAR部211において抽出された距離インデックスf
b_cfar及びドップラ周波数インデックスf
s_cfarに対応するドップラ解析部210の出力であるドップラ成分VFTALL
z(f
b_cfar, f
s_cfar)に対して符号分離処理を行う。折り返し判定部212は、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満のドップラ範囲で、真のドップラ折り返し範囲であるインデックスを判定できることから(換言すると、DR
min=DR
trueとなるように判定できることから)、符号多重分離部213は、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満のドップラ範囲で、符号多重に使用している直交符号間の相関値をゼロとすることができ、符号多重信号間の干渉を抑圧した分離処理が可能となる。
ここで、DeMulz
ncm(fb_cfar, fs_cfar)は、第z番のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarの出力に対する直交符号Codencmを用いて符号多重信号を符号分離した出力(例えば、符号分離結果)である。なお、z=1,…,Naであり、ncm=1,…,NCMである。
なお、符号多重分離部213は、式(30)の代わりに、次式(31)を用いてもよい。
式(31)において、
の項(ただし、式(31)では、DR=DR
min)はドップラ成分のインデックス(例えば、ドップラ周波数インデックス)f
sに依らないため、例えば、予めテーブル化することで、符号多重分離部213における演算量を削減できる。
以上のような符号分離処理によって、レーダ装置10は、折り返し判定部212において、ドップラ解析部210の折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)のLoc倍のドップラ範囲±1/(2×Tr)までを想定した折り返し判定結果に基づいて、第ncm番の送信アンテナTx#ncmに対して付与される直交符号Codencmによって符号多重送信された信号を分離した信号を得ることができる。
また、レーダ装置10は、例えば、符号分離処理時に、符号要素毎のドップラ解析部210の出力に対して、ドップラ折り返しを含めたドップラ位相補正(例えば、折り返し位相補正ベクトルβ(DRmin)に基づく処理)を行う。このため、符号多重信号間における相互干渉は、例えば、ノイズレベル程度にまで低減可能である。換言すると、レーダ装置10は、符号間干渉を低減でき、レーダ装置10における検出性能の劣化への影響を抑制できる。
図4は、レーダ装置10の別の構成例を示す。図1に示すレーダ装置10の構成において、式(12)、式(29)、式(30)及び式(31)に示すように、
の項は、折り返し判定部212及び符号多重分離部213において共通的に用いられる。そこで、例えば、図4に示すレーダ装置10aは、位相補正部215を備え、ドップラ成分VFTALL
z(f
b_cfar, f
s_cfar)に対してドップラ位相補正ベクトルα(f
s_cfar)を乗算した出力
を、折り返し判定部212a及び符号多重分離部213aに出力してもよい。折り返し判定部212a及び符号多重分離部213aは、
の項を演算しなくてよく、レーダ装置10aにおいて上記項の重複する演算処理を低減できる。
以上、符号多重分離部213の動作例について説明した。
図1において、方向推定部214は、符号多重分離部213から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfarに対応するドップラ解析部210の出力に対する符号分離結果DeMulz
ncm(fb_cfar, fs_cfar)に基づいて、ターゲットの方向推定処理を行う。
例えば、方向推定部214は、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、ncm=1,..,NT1)から送信された符号多重信号に対応する受信信号DeMulz
ncm(fbLR, fs_cfar)を用いて、LRモード用の方向推定(以下、「LR-DOA」とも呼ぶ)を行ってよい。
また、例えば、方向推定部214は、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、ncm= NT1+1,..,NTx)から送信された符号多重信号に対応する受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar, fs_cfar)を用いて、SRモード用の方向推定処理(以下、「SR-DOA」とも呼ぶ)を行ってよい。
以下、LR-DOA、及び、SR-DOAの例について説明する。
<(1)LRモード用の方向推定(LR-DOA)>
方向推定部214は、例えば、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、ncm=1,..,NT1)から送信される符号多重信号が符号分離処理され、距離変換された受信信号DeMulz
ncm(fbLR, fs_cfar)を用いて、LRモード用の方向推定(LR-DOA)を行ってよい。
また、方向推定部214は、例えば、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、ncm= NT1+1,..,NTx)から送信される符号多重信号を符号分離処理して得られる受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar,fs_cfar)の一部又は全てを、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1との指向性方向に向けるビームウエイトを乗算してビーム合成した信号として用いて、LRモード用の方向推定(LR-DOA)を行ってよい。
<(2)SRモード用の方向推定(SR-DOA)>
方向推定部214は、例えば、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、ncm= NT1+1,..,NTx)から送信される符号多重信号が符号分離処理して得られる受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar, fs_cfar)を用いて、SRモード用の方向推定(SR-DOA)を行ってよい。
また、方向推定部214は、例えば、LRモード用の送信アンテナである第1の送信アンテナ106-1の指向性方向を中心とした所定の角度範囲内において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、ncm=1,..,NT1)から送信される符号多重信号を符号分離処理して得られる受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar,fs_cfar)を含めてSRモード用の方向推定処理(SR-DOA)を行ってよい。
このように、方向推定部214は、例えば、LRモード用の方向推定(LR-DOA)及び、SRモード用の方向推定処理(SR-DOA)において、第1の送信アンテナ106-1及び第2の送信アンテナ106-2を用いて送信される符号多重信号に対応する受信信号を用いて方向推定処理を行う。
レーダ装置10では、例えば、アレー利得の向上、及び、仮想受信アレーによる開口長増大により、グレーティングローブ又はサイドローブを抑圧し、角度分解能を高められる送信アンテナ106及び受信アンテナ202の配置を採用してよい。
以下、送信アンテナ106及び受信アンテナ202のアンテナ配置の一例、及び、各配置例を適用した場合の方向推定部214における方向推定処理の例について説明する。
なお、以下の配置例において、送信アンテナ106には、SR用アンテナ及びLR用アンテナといった異なる種類あるいは異なるサイズのアンテナ素子を用いる場合について説明するが、これに限定されない。
また、以下の配置例では、レーダ装置10は、送信アンテナ106のSR用アンテナ及びLR用アンテナの配置を、それぞれ受信アンテナ202のSR用アンテナ及びLR用アンテナの配置に置き換えてもよく、受信アンテナ202の配置を、送信アンテナ106の配置と置き換えてもよい。レーダ装置10では、送信アンテナ106と受信アンテナ202とでアンテナ配置を入れ替えた場合でも、以下の配置例と同様の効果を得ることができる。
また、レーダ装置10では、以下の配置例における水平方向(例えば、第1の方向に対応)と垂直方向(例えば、第1の方向に直交する第2の方向に対応)とを入れ替えた配置でもよい。アンテナ配置において水平方向と垂直方向とを入れ替えた場合、レーダ装置10では、以下の配置例における水平方向と垂直方向とを入れ替えた効果を得ることができる。
<配置例1>
図5は、配置例1に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図5に示す例では、送信アンテナ数NTxは3個(例えば、Tx#1、Tx#2及びTx#3)であり、受信アンテナ数Naは2個(例えば、Rx#1, Rx#2)である。
また、図5において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1の数はNT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2の数はNT2=2である。図5において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」及び「SR2」はSR用アンテナを示す。
図5に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、以下の(条件1)を満たす配置である。
(条件1)
LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、図5のTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の組。例えば、「SRbf」と表すこともある)の位相中心とLR用アンテナ(例えば、図5のTx#1(LR1))との間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナ202(例えば、図5のRx#1及びRx#2)の間隔dR1,2と、の差分の絶対値の少なくとも一つは、DA=0.5λ~0.8λ(換言すると、レーダ送信信号の波長に基づく規定値)程度とする。また、ビーム合成に用いるSR用アンテナのアンテナ間隔「DTxMIN」は、例えば、0.5λ~0.8λ程度としてよい。なお、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。例えば、レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、チャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
ここで、SRbfの位相中心は、例えば、ビーム合成に用いるSR用アンテナ(図5では、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2))に対して各給電点の中点(3アンテナ以上の場合は中心点)となる。例えば、図5において、Tx#2(SR1)とTx#3(SR2)との間のアンテナ間隔DTxMINは0.5λ~0.8λでもよい。また、例えば、SR用アンテナが3つ以上の場合、各アンテナ間隔のうち最小の間隔をDTxMINとしてよい。
また、図5において、2個のSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、最小の送信アンテナ間隔DTxMIN、SR用アンテナの開口長ASR=DTxMINで配置されるが、これに限定されず、例えば、3個のSR用アンテナが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは2DTxMINとなってもよい。例えば、NSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナのそれぞれが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは(NSR-1)DTxMINとなってもよい。
一例として、図5において、dTLR1,SR1=1.75λとし、dTLR1,SR2=2.25λとし、dR1,2=3λ/2とする場合について説明する。この場合、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)に対しての位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=2λとなる。以上より、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=DA=λ/2(=0.5λ)となり、(条件1)を満たす。
ここで、LR用アンテナは、例えば、SR用アンテナよりもアンテナの指向性を狭めて利得を高めることがあり得る。このため、例えば、図6に示すように、LR用アンテナの幅WLRは、SR用アンテナの幅WSRよりも広くてよい。例えば、図6では、WLR≒2WSRでもよい。例えば、図6に示すLR用アンテナ及びSR用アンテナを、図5に示すアンテナ配置に適用してよい。例えば、図5の2本のSR用アンテナのそれぞれに対して図6の(a)のSR用アンテナを用い、図5の1本のLR用アンテナのそれぞれに対して図6の(b)のLR用アンテナを用いる。これにより、例えば、レーダ装置10は、2本のSR用アンテナ(例えば、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2))を用いて送信ビーム合成することにより、LR用アンテナと、2本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
同様に、例えば、レーダ装置10は、3本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒3WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、レーダ装置10は、LR用アンテナと、3本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
同様に、例えば、レーダ装置10は、Nsr本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒Nsr×WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、レーダ装置10は、LR用アンテナと、Nsr本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
また、例えば、図5に示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナの配置は、垂直方向にアンテナが重複しない配置でもよい。この配置により、例えば、送信アレーアンテナを構成するアンテナの垂直方向のサイズは、任意のサイズでもよい。同様に、受信アレーアンテナを構成するアンテナの配置は、例えば、垂直方向にアンテナが重複しない配置でもよい。この配置により、例えば、受信アレーアンテナを構成するアンテナの垂直方向のサイズは、任意のサイズでもよい。例えば、SR-DOA及びLR-DOAにおいてLR用アンテナとSR用アンテナとを併用することを考慮して、レーダ装置10は、LR用アンテナの高さHLRと、SR用アンテナの高さHSRとを同程度(HLR≒HSR)としてもよい。
図7は、図5に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、次式(32)のように表されてよい。
ここで、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106(例えば、Tx#n)の位置座標を(XT_#n,YT_#n)(例えば、n=1,.., NTx)と表し、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202(例えば、Rx#m)の位置座標を(XR_#m,YR_#m)(例えば、m=1,.., Na)と表し、仮想受信アレーアンテナを構成する仮想アンテナVA#kの位置座標を(XV_#k,YV_#k)(例えば、k=1,.., NTx×Na)と表す。
なお、式(32)では、例えば、VA#1を仮想受信アレーの位置基準(0,0)として表す。
また、図5に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置のうち、VA#7及びVA#8は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を新たな送信アンテナ「Tx#4」とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)をTx#4のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#7及びVA#8は、Tx#4とRx#1,Rx#2とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図7の(a)は、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ(又は、SR用アンテナ群とも呼ぶ)及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図7の(a)に示す仮想受信アンテナ(VA#1、VA#2、VA#7及びVA#8)は、図5に示す、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#4)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、2本の受信アンテナRx#1及びRx#2とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、図7の(a)に示す仮想受信アンテナの配置は、間隔がDAとなる仮想受信アンテナ(図7の(a)ではVA#2及びVA#7)を含む。例えば、図5において、DA=0.5λの場合、図7の(a)に示すVA#2とVA#7との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR1,2|=DA=0.5λとなる。
例えば、「LR-DOAにおいてビーム合成するSR用アンテナ(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナの間隔dRとの差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λとする」場合、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図7の(a))は、DA=0.5λとなる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±90度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、例えば、「LR-DOAにおいてビーム合成するSR用アンテナ(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナの間隔dRとの差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.8λとする」場合、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図7の(a))は、DA=0.8λとなる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±10度程度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
例えば、LR-DOAは、SR-DOAと比較して、視野角を狭めて遠方距離範囲を推定することが想定され得る。このため、LR-DOAでは、例えば、「ビーム合成するSR用アンテナ(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、例えば、レーダ装置10は、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモード(例えば、第1のモードに対応)において、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、Signal to Noise Ration:SNR)を向上させ、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図7の(b)は、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。換言すると、SR-DOAでは、例えば、LR用アンテナは用いられなくてもよい。例えば、図7の(b)に示す仮想受信アンテナ(VA#3~VA#6)は、図5に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)と、2本の受信アンテナRx#1及びRx#2とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、図7の(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、間隔がDTxMINとなる仮想受信アンテナ(図7の(b)ではVA#3及びVA#5の組、及び、VA#4及びVA#6の組)を含む。
例えば、「送信アンテナ間隔DTxMINを0.5λとする」場合、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図7の(b))には、0.5λ(=DTxMIN)となる素子間隔が少なくとも一つ含まれる。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±90度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、例えば、「最小の送信アンテナ間隔DTxMINを0.8λとする」場合、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図7(b))には、0.8λ(=DTxMIN)となる素子間隔が少なくとも一つ含まれる。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±10度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
したがって、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DTxMINを0.5λ~0.8λ程度とする」ことにより、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、SR-DOAにおいて想定される視野角に基づいて送信アンテナ間隔DTxMINを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
図7の(c)は、LRモードの視野角(FOV)内におけるSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、図7の(c)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#6)は、図5に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)及びLR用アンテナTx#1(LR1)と、2本の受信アンテナRx#1及びRx#2とに基づいて構成される。
このように、レーダ装置10は、SRモード(例えば、第2のモードに対応)において、LRモードの視野角内では、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナを用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、配置例1によれば、例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、例えば、レーダ装置10は、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
<配置例2>
図8は、配置例2に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図8に示す例では、送信アンテナ数NTxは3個(例えば、Tx#1、Tx#2及びTx#3)であり、受信アンテナ数Naは4個(例えば、Rx#1、Rx#2、Rx#3及びRx#4)である。
また、図8において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1の数NT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2の数NT2=2である。図8において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」及び「SR2」はSR用アンテナを示す。
図8に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、以下の(条件1)及び(条件2)を満たす配置である。
(条件1)
LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、ビーム合成するSR用アンテナSRbf(例えば、図8のTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の組)の位相中心と、LR用アンテナ(例えば、図8のTx#1(LR1))との間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナ202(例えば、図8のRx#1及びRx#2)の間隔dR1,2と、の差分の絶対値の少なくとも一つは、DA=0.5λ~0.8λ程度とする。また、ビーム合成に用いるSR用アンテナのアンテナ間隔DTxMINは、例えば、0.5λ~0.8λ程度としてよい。
(条件2)
複数の受信アンテナRxの素子間隔(換言すると、隣り合う受信アンテナRx間の間隔。例えば、図8の場合、dR1,2、dR2,3、及び、dR3,4)は、複数のSR用アンテナのうち、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置されるSR用アンテナの開口長ASRよりも広い。ここで、送信アンテナの間隔のうち最小間隔DTxMINは、例えば、0.5λ~0.8λ程度としてよい。
一例として、図8において、dTLR1,SR1=1.75λとし、dTLR1,SR2=2.25λとし、dR1,2=λ、dR2,3=3λ/2、dR3,4=λとする場合について説明する。この場合、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)にの位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=2λとなる。以上より、例えば、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=λ、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=λ/2(=0.5λ)、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=λとなり、dTLR1,SRbfとdR2,3とに関して、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
また、図8において、上記例では、SR用アンテナの開口長ASR=|dTLR1,SR2-dTLR1,SR1|=λ/2である。以上より、dR1,2=λ、dR2,3=3λ/2、dR3,4=λの何れも、SR用アンテナの開口長ASRよりも広くなり(dR1,2、dR2,3、dR3,4>ASR)、(条件2)を満たす。
なお、図8において、2個のSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の配置について説明したが、これに限定されず3個以上のSR用アンテナが配置されてもよい。また、図8において、2個のSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで、SR用アンテナの開口長ASR=DTxMINで配置されるが、これに限定されず、例えば、3個のSR用アンテナが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは2DTxMINとなってよい。例えば、NSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナのそれぞれが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは(NSR-1)DTxMINとなってよい。
図9は、図8に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図8に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置のうち、VA#13~VA#16は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を、新たな送信アンテナTx#4とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)を、Tx#4のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#13~VA#16は、Tx#4とRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図9の(a)は、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図9の(a)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#4、及び、VA#13~VA#16)は、図8に示す、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#4)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、図9の(a)に示す仮想受信アンテナの配置は、間隔がDAとなる仮想受信アンテナ(図9の(a)ではVA#3及びVA#14)を含む。例えば、図8においてDA=0.5λの場合、図9の(a)に示すVA#3とVA#14との素子間隔は、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなる。
例えば、「LR-DOAにおいてビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナの間隔dRとの差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λとする」場合、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図9の(a))は、DA=0.5λとなる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±90度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、例えば、「LR-DOAにおいてビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナの間隔dRとの差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.8λとする」場合、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図9の(a))は、DA=0.8λとなる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±10度程度の視野角範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
例えば、LR-DOAは、SR-DOAと比較して、視野角を狭めて遠方距離範囲を推定することを想定され得る。このため、LR-DOAでは、例えば、「ビーム合成するSR用アンテナ(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、例えば、レーダ装置10は、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10では、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、SNR)を向上させ、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図9の(b)は、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、複数のSR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図9の(b)に示す仮想受信アンテナ(VA#5~VA#12)は、図8に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件2)を満たすことにより、図9の(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、間隔がDTxMINとなる仮想受信アンテナ(例えば、図9の(b)に示すVA#5及びVA#9、VA#6及びVA#10、VA#7及びVA#11、及び、VA#8及びVA#12)を含む。また、(条件2)を満たすことにより、レーダ装置10は、図9の(b)に示すように、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
例えば、「受信アンテナRxの素子間隔は、送信アンテナ間隔DTxMINで並ぶアンテナ群の開口長ASRよりも広くする。ここで、送信アンテナ間隔DTxMINは0.5λとする」場合、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図9の(b))は、0.5λ(=DTxMIN)となる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±90度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナが重複無く配置されるので、レーダ装置10は、仮想受信アレーの開口長を拡大し、角度分解能を向上できる。
また、例えば、「受信アンテナRxの素子間隔は、送信アンテナ間隔DTxMINで並ぶアンテナ群の開口長ASRよりも広くする。ここで、送信アンテナ間隔DTxMINは0.8λとする」場合、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナ配置(図9の(b))は、0.8λ(=DTxMIN)となる素子間隔を少なくとも一つ含む。このため、例えば、仮想受信アンテナの正面方向(例えば、ブロードサイド方向)を基準0度とした場合、レーダ装置10は、±10度の範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナが重複無く配置されるので、レーダ装置10は、仮想受信アレーの開口長を拡大し、角度分解能を向上できる。
したがって、SR-DOAでは、「受信アンテナRxの素子間隔は、送信アンテナ間隔DTxMINで並ぶアンテナ群の開口長ASRよりも広くする。ここで、送信アンテナ間隔DTxMINは0.5λ~0.8λとする」という(条件2)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナが重複無く配置されるので、レーダ装置10は、仮想受信アレーの開口長を拡大し、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
図9の(c)は、LRモードの視野角(FOV)内におけるSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、図9の(c)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#12)は、図8に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)及びLR用アンテナTx#1(LR)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10では、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)を向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、レーダ装置10は、配置例2によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件2)を満たすことにより、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
以上、配置例1及び配置例2について説明した。
次に、上述したアンテナ配置を適用した場合の方向推定部214における方向推定処理の一例について説明する。
例えば、方向推定部214は、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、ncm=1,..,NT1)から送信された符号多重信号を符号分離処理した受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar,fs_cfar)を用いて、式(33)に示すLRモード用の第1の送信アンテナ106-1の仮想受信アレー相関ベクトルhLR(fbLR, fs_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh
LR(f
bLR, f
s_cfar)は、送信アンテナ数N
T1と受信アンテナ数Naとの積であるN
T1×Na個の要素を含む。仮想受信アレー相関ベクトルh
LR(f
bLR, f
s_cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。ここで、z=1,…,Naである。配置例1のMIMOアンテナ配置において、例えば図5を用いた場合、N
T1=1、Na=2より、仮想受信アレー相関ベクトルh
LR(f
bLR, f
s_cfar)は、2つの要素を含み、それぞれは図7に示す仮想受信アンテナ配置におけるVA#1,VA#2での受信信号に対応する。
また、例えば、方向推定部214は、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、ncm= NT1+1,..,NTx)から送信された符号多重信号を符号分離処理した受信信号DeMulz
ncm(fb_cfar,fs_cfar)を用いて、式(34)に示すSRモード用の第2の送信アンテナ106-2の仮想受信アレー相関ベクトルhSR(fbLR, fs_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh
SR(f
bLR, f
s_cfar)は、送信アンテナ数N
T2と受信アンテナ数Naとの積であるN
T2×Na個の要素を含む。仮想受信アレー相関ベクトルh
SR(f
bLR, f
s_cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。ここで、z=1,…,Naである。配置例1のMIMOアンテナ配置において、例えば図5を用いた場合、N
T2=2、Na=2より、仮想受信アレー相関ベクトルh
SR(f
bLR, f
s_cfar)は、4つの要素を含み、それぞれは図7に示す仮想受信アンテナ配置におけるVA#3,VA#4,VA#5,VA#6での受信信号に対応する。
<(1)LRモード用の方向推定(LR-DOA)>
方向推定部214は、例えば、LRモード用の方向推定評価関数値PLR(θu, θBF, fb_cfar, fs_cfar)における方位方向θuを規定されたLRモード用の視野角内で可変として空間プロファイルを算出してよい。方向推定部214は、例えば、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの仰角方向を到来方向推定値(例えば、測位出力)として出力する。例えば、LRモード用の方向推定評価関数値PLR(θu、θBF, fb_cfar,fs_cfar)において、SR用アンテナは、LR用アンテナと同様の指向性方向θBFに指向性を形成し、受信アンテナ202の方位方向θuを所定のLRモード用の視野角内において可変に設定されてよい。
LRモード用の方向推定評価関数値PLR(θu, θBF, fb_cfar, fs_cfar)は、到来方向推定アルゴリズムによって各種の方法がある。例えば、非特許文献6に開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いてもよい。
例えば、ビームフォーマ法は次式(35)、式(36)及び式(37)のように表すことができる。他にも、Capon, MUSICといった手法も同様に適用可能である。
ここで、上付き添え字Hはエルミート転置演算子である。また、aTx(θu、θBF)は、(NT1)次の列ベクトルaTxLR(θu)の要素と、(NT2)次の列ベクトルaTxSR(θBF)の要素とからなるNTx(=NT1+NT2)次の列ベクトルを表す。
また、方向θuは到来方向推定を行うLRモード用の視野角内(例えば、θminLR≦θu≦θmaxLR)を方位間隔DStepLRで変化させた値である。例えば、θuは以下のように設定されてよい。
θu=θminLR + u×DStepLR、u=0,…, NU-1
NU=floor[(θmaxLR-θminLR)/DStepLR]
ここで、floor(x)は、実数xを超えない最大の整数値を返す関数である。
また、aTxLR(θu)は、方位方向θuからレーダ反射波が到来した場合の第1の送信アンテナ106-1の位相差を表す方向ベクトルであり、第1の送信アンテナ106-1の素子間隔で幾何光学的に算出される複素応答を要素とした(NT1)次の列ベクトルである。なお、第1の送信アンテナ106-1の位相差は、例えば、第1の送信アンテナ106-1の所定アンテナの配置を基準として算出されてよい。
また、aTxSR(θBF)は、方位方向θBFからレーダ反射波が到来した場合の第2の送信アンテナ106-2の位相差を表す方向ベクトルであり、第2の送信アンテナ106-2の素子間隔で幾何光学的に算出される複素応答を要素とした(NT2)次の列ベクトルである。なお、第2の送信アンテナ106-2の位相差は、例えば、aTxLR(θu)の算出に用いた第1の送信アンテナ106-1の所定アンテナを基準として算出されてよい。
また、仮想受信アレー相関ベクトルhall(fb_cfar,fs_cfar)は、LRモード用の送信アンテナの仮想受信アレー相関ベクトルhLR(fb_cfar,fs_cfar)の要素と、SRモード用の送信アンテナの仮想受信アレー相関ベクトルhSR(fb_cfar,fs_cfar)の要素からなる(NTx×Na)次の列ベクトルを表す。
また、Dcalは、送信アンテナ間及び受信アンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数及びアンテナ間の素子間結合の影響を低減する係数を含む(NTx×Na)次の正方行列である。仮想受信アレーのアンテナ間の結合が無視できる場合、Dcalは、対角行列となり、対角成分に送信アンテナ間及び受信アンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数が含まれる。
また、式(35)において、
は、クロネッカー積を表す。
なお、式(35)は、例えば、式(38)のように変形されてよい。
また、例えば、D
calが対角行列の場合、式(35)は、次式(39)のように変形されてよい。
ここで、DcalLRはDcalの対角成分の第1番目からの第NT1番目の要素であり、DcalSRはDcalの対角成分の第NT1+1番目からの第NTx番目の要素である。
なお、ここでは、方位方向θに対する方向推定処理の動作について説明したが、これに限定されず、方向推定部214は、例えば、仮想受信アンテナ配置において、垂直配置の位置が異なる仮想受信アンテナが含まれる場合、方位方向及び仰角方向の2次元の方向推定を行ってもよい。
<(2)SRモード用の方向推定(SR-DOA)>
方向推定部214は、例えば、SRモード用の方向推定評価関数値PSR(θq,fb_cfar,fs_cfar)における方位方向θqを規定されたSRモード用の視野角内で可変として空間プロファイルを算出してよい。方向推定部214は、例えば、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの仰角方向を到来方向推定値(例えば、測位出力)として出力する。
SRモード用の方向推定評価関数値PSR(θq,fb_cfar,fs_cfar)は、到来方向推定アルゴリズムによって各種の方法がある。例えば、非特許文献6に開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いてもよい。
例えば、ビームフォーマ法は次式(40)のように表すことができる。他にも、Capon, MUSICといった手法も同様に適用可能である。
ここで、上付き添え字Hはエルミート転置演算子である。
また、方向θqは到来方向推定を行うSRモード用の視野角内(例えば、θminSR≦θq≦θmaxSR)を方位間隔DStepSRで変化させた値である。例えば、θqは以下のように設定されてよい。
θq=θminSR + q×DStepSR、q=0,…, NQ-1
NQ=floor[(θmaxSR-θminSR)/DStepSR]
ここで、floor(x)は、実数xを超えない最大の整数値を返す関数である。
また、DcalSRは、第2の送信アンテナ106-2間及び受信アンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数及びアンテナ間の素子間結合の影響を低減する係数を含む(NT1×Na)次の正方行列である。仮想受信アレーのアンテナ間の結合が無視できる場合、DcalSRは、対角行列となり、対角成分に送信アンテナ間及び受信アンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数が含まれる。
また、例えば、方位方向θ
qがLRモード用の視野角範囲内(例えば、θ
minLR≦θ
q≦θ
maxLR)となる場合、あるいは方位方向θ
qがLRモード用の視野角範囲を含む所定の範囲内(例えば、θ
minSRwLR≦θ
minLR≦θ
q≦θ
maxLR≦θ
maxSRwLR)となる場合、方向推定部214は、式(41)に示すSRモード用の方向推定評価関数値P
SRwLR(θ
q,f
b_cfar,f
s_cfar)における方位方向θ
qをLRモード用の視野角範囲内(θ
minLR≦θ
q≦θ
maxLR)、あるいは方位方向θ
qがLRモード用の視野角範囲を含む所定の範囲内(θ
minSRwLR≦θ
minLR≦θ
q≦θ
maxLR≦θ
maxSRwLR)で可変として空間プロファイルを算出してよい。方向推定部214は、例えば、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの仰角方向を到来方向推定値として出力してもよい。
ここで、γは、LR用アンテナとSR用アンテナとのアンテナ利得の差異を調整する減衰係数である。例えば、LR用アンテナのアンテナ利得の平均値が、SR用アンテナのアンテナ利得の平均値と一致するように減衰係数γが設定されてよい(例えば、0<γ<1である)。一例として、LR用アンテナのアンテナ利得の平均値が、SR用アンテナのアンテナ利得の平均値よりも3dB高い場合、γは0.5に設定されてよい。
また、例えば、PSR(θq,fb_cfar,fs_cfar)とPSRwLR(θq,fb_cfar,fs_cfar)とで方向推定評価に用いるアンテナ数が異なる場合、評価値は差分を生じる。このため、式(41)において、NT2/NTxの項は、アンテナ数の差異を正規化するための項である。
また、例えば、D
calが対角行列の場合、式(41)は、次式(42)のように変形されてよい。
ここで、DcalLRは、Dcalの対角成分の第1番目からの第NT1番目の要素であり、DcalSRはDcalの対角成分の第NT1+1番目からの第NTx番目の要素である。
なお、ここでは、方向推定評価関数値P
SR(θ
q,f
b_cfar,f
s_cfar)は、方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、仮想受信アレー相関ベクトルh
SR(f
b_cfar,f
s_cfar)、及び、
を用いることにより、Capon又はMUSICといった他の方向推定アルゴリズムが適用されてもよい。
また、ここでは、方向推定評価関数値P
SRwLR(θ
q,f
b_cfar,f
s_cfar)は、方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、仮想受信アレー相関ベクトルh
all(f
b_cfar,f
s_cfar)、及び、
を用いることにより、Capon又はMUSICといった他の方向推定アルゴリズムが適用されてもよい。
また、ここでは、方位方向θに対する方向推定処理の動作について説明したが、これに限定されず、方向推定部214は、例えば、仮想受信アンテナ配置において、垂直配置の位置が異なる仮想受信アンテナが含まれる場合、方位方向及び仰角方向の2次元の方向推定を行ってもよい。
以上、LR-DOA及びSR-DOAについて説明した。
次に、上述した配置例1及び配置例2に係るアンテナ配置を適用した場合の方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例について説明する。
<配置例1の方向推定結果の例1>
図10は、配置例1のMIMOアンテナ配置(例えば、図5)を用いた場合の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。また、図10は、例えば、DA=λ/2、DTxMIN=λ/2の場合の方向推定結果の一例を示す。
なお、図10では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図10は、ターゲットの真値を水平方向角度0度とした場合の水平方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図10の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向θBFは、水平方向角度0度に指向性を形成した。
また、図10の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図10の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図10の(a)~(c)それぞれに示される方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平0度)に最大ピークが得られるため、方向推定部214が、ターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
また、図5に示すMIMOアンテナ配置では、例えば、DA=λ/2、DTxMIN=λ/2であるので、図10の(a)~(c)に示す到来方向推定結果において、レーダ装置10が、±90度の範囲におけるグレーティングローブを抑圧していることが確認できる。
また、例えば、図10の(a)及び(b)に示すように、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、角度分解能が高いことが確認できる。
また、例えば、図10の(c)において、水平0度の方向はLRモードの視野角内を想定した場合の方向推定結果である。そのため、図10の(c)及び(b)に示すように、LR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(c))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、角度分解能が高いことが確認できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a))よりも多い。このため、例えば、図10の(a)及び(c)に示すように、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置では、LR用仮想受信アンテナ配置と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブと呼ぶ)のピークレベルがより低減されることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
<配置例1の方向推定結果の例2>
図11は、配置例1のMIMOアンテナ配置(例えば、図5)において、例えば、DA=0.8λ、DTxMIN=0.8λの場合(例えば、図5において、dTLR1,SR1=2λ、dTLR1,SR2=2.8λ,dTLR1,SRbf=2.4λ、dR1,2=1.6λとした場合)の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。
なお、図11では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図11は、ターゲットの真値を水平方向角度90度とした場合の水平方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図11の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向θBFは、水平方向角度0度に指向性を形成した。
また、図11の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図11の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図11の(a)~(c)それぞれに示される到来方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平90度)に最大ピークが得られ、方向推定部214が、ターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
なお、図11の(a)及び(b)では、水平90度の最大ピークの他に、-15度付近にグレーティングローブが発生していることが確認できる。これに対して、レーダ装置10は、視野角(FOV)を、例えば、±10度に設定することにより、水平90度付近にターゲットが存在する場合、視野角内にはグレーティングローブのピークが発生しない。このため、レーダ装置10は、グレーティングローブをターゲットのピークとして誤って検出する可能性を低減できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用又はSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a)又は(b))よりも多い。このため、図11の(c)に示すように、LRの視野角内におけるSR-DOAでは、図11の(a)及び(b)のようなグレーティングローブの発生を抑圧されることが確認できる。
<配置例2の方向推定結果の例>
図12は、配置例2のMIMOアンテナ配置(例えば、図8)を用いた場合の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。また、図12は、例えば、DA=λ/2、DTxMIN=λ/2の場合の方向推定結果を示す。
なお、図12では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図12は、ターゲットの真値を水平方向角度0度とした場合の水平方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図12の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向θBFは、水平方向角度0度に指向性を形成した。
また、図12の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図12の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図12の(a)~(c)それぞれに示される到来方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平0度)に最大ピークが得られ、方向推定部214がターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
また、図8に示すMIMOアンテナ配置では、例えば、DA=λ/2、DTxMIN=λ/2であるので、図12の(a)~(c)に示す到来方向推定結果において、レーダ装置1が±90度の範囲におけるグレーティングローブを抑圧していることが確認できる。
また、例えば、図12の(a)及び(b)に示すように、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(a))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、角度分解能が高いことが確認できる。
また、例えば、図12の(c)において、水平0度の方向はLRモードの視野角内を想定した場合の方向推定結果である。そのため、図12の(c)及び(b)に示すように、LR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(c))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、角度分解能が高いことが確認できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図9の(a))よりも多い。このため、例えば、図12の(a)及び(c)に示すように、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置では、LR用仮想受信アンテナ配置と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブと呼ぶ)のピークレベルがより低減されることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
また、配置例2(例えば、図8及び図9)では、配置例1(例えば、図5及び図7)よりも、受信アンテナ202の数が増加し、仮想受信アンテナ数が増加するため、仮想受信アンテナの開口長が大きい。このため、配置例2の方向推定結果(例えば、図12)では、配置例1の方向推定結果(例えば、図10)と比較して、ターゲット方向(例えば、水平0度)に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなり、角度分解能が高いことが確認できる。また、配置例2の方向推定結果(例えば、図12)では、配置例1の方向推定結果(例えば、図10)と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されていることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
以上、方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例について説明した。
方向推定部214は、例えば、方向推定結果を出力し、さらに、測位結果として、距離インデックスfbLR又はfb_cfarに基づく距離情報、ターゲットのドップラ周波数インデックスfb_cfar及び折り返し判定部212における判定結果DRminに基づくターゲットのドップラ速度情報を出力してもよい。
方向推定部214は、例えば、ドップラ周波数インデックスf
s_cfarと折り返し判定部212での判定結果であるDR
minとに基づいて、式(43)に従って、ドップラ周波数インデックスf
es_cfarを算出してもよい。ドップラ周波数インデックスf
es_cfarは、例えば、ドップラ解析部210のFFTサイズをLoc×Ncodeに拡張した場合のドップラインデックスに相当する。以下、f
es_cfarを「拡張ドップラ周波数インデックス」と呼ぶ。
なお、ドップラ範囲±1/(2×Tr)までを想定しており、このドップラ範囲に対応する拡張ドップラ周波数インデックスfes_cfarの範囲は-Loc×Ncode/2≦fes_cfar<Loc×Ncode/2となることから、式(43)において、算出の結果、fes_cfar<-Loc×Ncode/2の場合、fes_cfar+Loc×Ncodeをfes_cfarとする。また、fes_cfar≧Loc×Ncode/2の場合、fes_cfar-Loc×Ncodeをfes_cfarとする。
また、ドップラ周波数情報は相対速度成分に変換して出力されてもよい。ドップラ周波数インデックスf
es_cfarを相対速度成分v
d(f
es_cfar)に変換するには、式(44)を用いて変換してもよい。ここで、λは送信無線部(図示せず)から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長である。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。また、Δ
fは、ドップラ解析部210におけるFFT処理でのドップラ周波数間隔である。例えば、本実施の形態では、Δ
f=1/{Loc×N
code×T
r}である。
以上、レーダ装置10の動作例について説明した。
以上のように、本実施の形態では、レーダ装置10において、複数の送信アンテナ106及び複数の受信アンテナ202の配置は、例えば、複数のSR用アンテナ(例えば、第2の送信アンテナに相当)のうちのビーム合成される送信アンテナの位相中心に基づいて決定される。このアンテナ配置により、例えば、LR用アンテナ及びSR用アンテナを、LRモード及びSRモードにおいて共用する場合でも、レーダ装置10は、角度曖昧性を低減して、ターゲットの検出性能を向上できる。
例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、LRモード用の方向推定に用いる仮想受信アンテナ配置(例えば、図7の(a)又は図9の(a))には、0.5λ~0.8λ程度となる素子間隔が少なくとも一つ含まれるため、レーダ装置10は、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、例えば、LRモード用の方向推定において、SR用アンテナを用いてビーム合成した信号も用いることができるので、仮想受信アンテナ数が増加し、レーダ装置10は、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質を向上し、検知距離を改善できる。また、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し得るため、レーダ装置10は角度分解能を向上できる。
また、例えば、SRモード用の方向推定において、レーダ装置10は、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SRモード用の方向推定時に、レーダ装置10は、LRモードの視野角内おいてLR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置を使用できるので、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質を向上し、検知距離を改善できる。また、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し得るため、レーダ装置10は角度分解能を向上できる。
また、例えば、上述した(条件2)を満たすことにより、上記(条件1)を満たす場合の効果に加え、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において仮想受信アンテナを重複無く配置できるので、仮想受信アンテナの開口長を拡大でき、レーダ装置10は角度分解能を向上できる。
また、レーダ装置10は、例えば、受信信号(例えば、符号多重信号の符号要素毎のドップラ解析部210の出力)に対して、符号多重送信に未使用の直交符号を用いて、ドップラ折り返しの判定を行ってよい。この判定により、例えば、レーダ装置10は、ドップラ解析部210におけるドップラ解析範囲と比較して、直交符号系列の符号長倍のドップラ範囲において折り返しを判定できる。よって、本実施の形態によれば、レーダ装置10は、曖昧性なく検出可能なドップラ範囲を、1アンテナ送信時と同等のドップラ範囲に拡大できる。
また、レーダ装置10は、例えば、ドップラ折り返しの判定結果に基づいた符号分離の際に、折り返しを含めたドップラ位相補正を行うことにより、符号多重信号間の相互干渉をノイズレベル程度に抑えることができるので、レーダ検出性能の劣化を抑制して、MIMOレーダの符号多重送信が可能となる。
以上より、本実施の形態によれば、レーダ装置10におけるターゲットの検知精度を向上できる。
なお、配置例1において、送信アンテナ数、及び、受信アンテナ数の少なくとも一つを増加した場合、配置例1で示した構成(例えば、図5)にさらに式(32)で示す配置において、仮想受信アンテナが加法的に加わる関係となる。換言すると、図7に示す仮想受信アンテナ配置に対して、更に別の仮想受信アンテナが加わる配置となる。したがって、上述した本実施の形態で説明した効果は保持されるため、配置例1を含むアンテナ配置であっても同様の効果をえることができる。また、配置例2において送信アンテナ数及び受信アンテナ数の少なくとも一つを増加する場合も同様に、上述した本実施の形態で説明した効果は保持される。また、以降の配置例に関しても同様である。
(他の実施の形態)
以下では、上述した配置例1及び配置例2と異なる他の配置例について説明する。
<配置例3>
図13は、配置例3に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図13に示す例では、送信アンテナ数NTxは4個(例えば、Tx#1、Tx#2、Tx#3及びTx#4)であり、受信アンテナ数Naは4個(例えば、Rx#1、Rx#2、Rx#3及びRx#4)である。
また、図13において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、LR用アンテナ)の数NT1=2であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、SR用アンテナ)の数NT2=2である。図13において、「LR1」及び「LR2」はLR用アンテナを示し、「SR1」及び「SR2」はSR用アンテナを示す。
図13に示すアンテナ配置例は、例えば、LR用アンテナが複数ある点が配置例2(例えば、図8)と異なる。
図13に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件1)及び(条件2)を満たす配置である。配置例3において、図13に示すように、LR用アンテナが複数ある場合、LR用アンテナの少なくとも1つが(条件1)を満たすように配置されてよい。
図13の(a)は、2本のLR用アンテナTx#1及びTx#2の両方が(条件1)を満たす配置の一例を示す。また、図13の(b)は、2本のLR用アンテナのうち、1本のLR用アンテナTx#2が(条件1)を満たす配置の一例を示す。
(配置例3-1:条件1)
一例として、図13の(a)において、dTLR2,SR1=1.75λ、dTLR2,SR2=2.25λ、dTTx1,Tx2=1.5λとし、dR1,2=3λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λとする場合について説明する。この場合、Tx#3(SR1)及びTx#4(SR2)に対しての位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#3(SR1)及びTx#4(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=3.5λ、dTLR2,SRbf=2λとなる。
以上より、図13の(a)では、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=2λ、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=2.5λとなり、|dTLR2,SRbf-dR1,2|=λ、|dTLR2,SRbf-dR2,3|=λ/2、|dTLR2,SRbf-dR3,4|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
図13の(a)に示すアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、Tx#3(SR1)及びTx#4(SR2)によってビーム合成するSR用アンテナSRbfの位相中心と、LR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナ間隔dR1,2との差分の絶対値|dTLR1,SRbf-dR1,2|はλ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。同様に、図13の(a)に示すアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)においてTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)によってビーム合成するSR用アンテナSRbfの位相中心と、LR用アンテナTx#2(LR2)との間隔dTLR2,SRbfと、受信アンテナ間隔dR2,3との差分の絶対値|dTLR2,SRbf-dR2,3|はλ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
(配置例3-1:条件2)
図13の(a)において、受信アンテナRxの素子間隔は、dR1,2=3λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λであり、最小の送信アンテナ間隔DTxMIN=λ/2で配置されるSR用アンテナの開口長ASRよりも広い。例えば、図13の(a)では、ASR=|dTLR2,SR2-dTLR2,SR1|=λ/2であり、dR1,2、dR2,3、dR3,4の何れも、SR用アンテナの開口長ASRよりも広くなり(dR1,2、dR2,3、dR3,4>ASR)、(条件2)を満たす。
(配置例3-2:条件1)
一例として、図13の(b)において、dTLR2,SR1=1.75λ、dTLR2,SR2=2.25λ、dTTx1,Tx2=1.5λとし、dR1,2=2λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λとする場合について説明する。この場合、Tx#3(SR1)及びTx#4(SR2)に対しての位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#3(SR1)及びTx#4(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=3.5λ、dTLR2,SRbf=2λとなる。
以上より、図13の(b)では、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=1.5λ、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=2λ、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=2.5λとなり、|dTLR2,SRbf-dR1,2|=0、|dTLR2,SRbf-dR2,3|=λ/2、|dTLR2,SRbf-dR3,4|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
図13の(b)に示すアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)においてTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)によってビーム合成するSR用アンテナSRbfの位相中心と、LR用アンテナTx#2(LR2)との間隔dTLR2,SRbfと、受信アンテナ間隔dR2,3との差分の絶対値|dTLR2,SRbf-dR2,3|はλ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
(配置例3-2:条件2)
図13の(b)において、受信アンテナRxの素子間隔は、dR1,2=2λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λであり、最小の送信アンテナ間隔DTxMIN=λ/2で配置されるSR用アンテナの開口長ASRよりも広い。例えば、図13の(b)では、ASR=|dTLR2,SR2-dTLR2,SR1|=λ/2であり、dR1,2、dR2,3、dR3,4の何れも、SR用アンテナの開口長ASRよりも広くなり(dR1,2、dR2,3、dR3,4>ASR)、(条件2)を満たす。
なお、図13において、2個のSR用アンテナTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)の配置について説明したが、これに限定されず3個以上のSR用アンテナが配置されてもよい。また、図13において、2個のSR用アンテナTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)は、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで、SR用アンテナの開口長ASR=DTxMINで配置されるが、これに限定されず、例えば、3個のSR用アンテナのそれぞれが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは2DTxMINとなってもよい。例えば、NSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナのそれぞれが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは(NSR-1)DTxMINとなってもよい。
図14の(a)及び(b)は、それぞれ図13の(a)及び(b)に示すアンテナ配置によって得られるLR用の仮想受信アレーの配置例(例えば、VA#1~VA#8及びVA#17~VA#20)を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図14の(a)及び(b)に示す仮想受信アレーの配置のうち、VA#17~VA#20は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を、新たな送信アンテナ「Tx#5」とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)を、Tx#5のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#17~VA#20は、Tx#5とRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図14の(a)及び(b)に示す仮想受信アンテナVA#1~VA#4、VA#5~VA#8、及び、VA#17~VA#20は、それぞれ図13の(a)及び(b)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#5)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1及びTx#2)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。なお、図14の(a)において、VA#3とVA#6の配置は重複している。図14の(b)において、VA#3、VA#6及びVA#17の配置は重複している。
例えば、上述した(条件1)を満たすことにより、図14の(a)及び(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、それぞれ間隔がDA(図14の場合、DA=0.5λ)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図14の(a)に示すVA#2とVA#17との素子間隔は、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=DA=0.5λとなり、VA#7とVA#18との素子間隔は、|dTLR2,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなる。また、図14の(b)に示すVA#7とVA#18との素子間隔は、|dTLR2,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなる。
例えば、LR-DOAでは、「ビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモードにおいて、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、SNR)を向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、仮想受信アンテナVA#9~VA#16(図示せず)は、図13の(a)及び(b)において、SR用アンテナTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件2)を満たすことにより、仮想受信アンテナの配置は、間隔がDTxMINとなる仮想受信アンテナを含む。また、レーダ装置10は、(条件2)を満たすことにより、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
したがって、SR-DOAでは、「受信アンテナRxの素子間隔は、送信アンテナ間隔DTxMINで並ぶアンテナ群の開口長ASRよりも広くする。ここで、送信アンテナ間隔DTxMINは0.5λ~0.8λとする」という(条件2)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、レーダ装置10は、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナが重複無く配置されるので、仮想受信アレーの開口長を拡大し、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、仮想受信アンテナVA#1~VA#16(一部を図示せず)は、図13の(a)及び(b)において、SR用アンテナTx#3(SR1)及びTx#4(SR2)及びLR用アンテナTx#1(LR1)及びTx#2(LR2)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10では、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)を向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、レーダ装置10は、配置例3によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件2)を満たすことにより、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
<配置例4>
図15は、配置例4に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図15に示す例では、送信アンテナ数NTxは4個(例えば、Tx#1、Tx#2、Tx#3及びTx#4)であり、受信アンテナ数Naは4個(例えば、Rx#1、Rx#2、Rx#3及びRx#4)である。
また、図15において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(例えば、LR用アンテナ)の数NT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(例えば、SR用アンテナ)の数NT2=3である。図13において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」「SR2」及び「SR3」はSR用アンテナを示す。
また、図15では、例えば、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)を用いてビーム合成するSR用アンテナを「SRbf1」と表し、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)を用いてビーム合成するSR用アンテナを「SRbf2」と表す。換言すると、配置例4は、SR用アンテナによって合成するビーム数が複数ある点が配置例1~3と異なる。
図15に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件1)及び(条件2)を満たす配置である。配置例4において、図15に示すように、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf1及びSRbf2)の位相中心が複数ある場合、SRbf1及びSRbf2の少なくとも1つが(条件1)を満たすように配置されてよい。図15に示す例では、ビーム合成するSR用アンテナSRbf1が(条件1)を満たす。
(条件1)
一例として、図15において、dTLR1,SR1=1.75λ、dTLR1,SR2=2.25λ、dTLR1,SR3=2.75λとし、dR1,2=2.5λ、dR2,3=2.5λ、dR3,4=1.5λとする場合について説明する。この場合、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)に対しての位相中心(例えば、SRbf1の位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf1=2λとなる。また、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)に対しての位相中心(例えば、SRbf2の位相中心)は、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)の中点であるので、dTLR1,SRbf2=2.5λとなる。
以上より、図15では、|dTLR1,SRbf1-dR1,2|=λ/2、|dTLR1,SRbf1-dR2,3|=λ/2、|dTLR1,SRbf1-dR3,4|=λ/2となり、|dTLR1,SRbf2-dR1,2|=0、|dTLR1,SRbf2-dR2,3|=0、|dTLR1,SRbf2-dR3,4|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
図15に示すアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)においてTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)によってビーム合成するSR用アンテナSRbf1の位相中心とLR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbf1と、受信アンテナ間隔dR1,2、dR2,3及びdR3,4との差分の絶対値|dTLR1,SRbf1-dR1,2|=|dTLR1,SRbf1-dR2,3|=|dTLR1,SRbf1-dR3,4|=λ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
その一方で、図15に示すアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、Tx#(SR2)及びTx#4(SR3)によってビーム合成するSRモード用送信アンテナSRbf2の位相中心とLR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbf2と、各受信アンテナ間隔との差分の絶対値は、|dTLR1,SRbf2-dR1,2|=0、|dTLR1,SRbf2-dR2,3|=0、|dTLR1,SRbf2-dR3,4|=λとなり、(条件1)を満たさない。
(条件2)
図15において、受信アンテナRxの素子間隔は、dR1,2=2.5λ、dR2,3=2.5λ、dR3,4=1.5λであり、最小の送信アンテナ間隔DTxMIN=λ/2で配置されるSR用アンテナの開口長ASRよりも広い。例えば、図15では、ASR=|dTLR1,SR3-dTLR1,SR1|=λであり、dR1,2、dR2,3、dR3,4の何れも、SR用アンテナの開口長ASRよりも広くなり(dR1,2、dR2,3、dR3,4>ASR)、(条件2)を満たす。
なお、図15において、3個のSR用アンテナTx#2~Tx#4(SR3)について説明したが、これに限定されず4個以上のSR用アンテナが配置されてもよい。また、図15において、3個のSR用アンテナTx#2(SR1)、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)が、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで、SR用アンテナの開口長ASR=2DTxMINで配置されるが、これに限定されず、例えば、NSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナのそれぞれが、最小の送信アンテナ間隔DTxMINで並んで配置される場合、SR用アンテナの開口長ASRは(NSR-1)DTxMINとなってよい。
図16は、図15に示すアンテナ配置によって得られるLR用の仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図16に示す仮想受信アレーの配置のうち、VA#17~VA#20は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナSRbf1を、新たな送信アンテナTx#5とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbf1の位相中心)を、Tx#5のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#17~VA#20は、Tx#5とRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
同様に、図16に示す仮想受信アレーの配置のうち、VA#21~VA#24は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナSRbf12を、新たな送信アンテナTx#6とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbf2の位相中心)を、Tx#6のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#21~VA#24は、Tx#6とRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。なお、図16において、VA#3とVA#22の配置は重複している。また、VA#2とVA#21の配置は重複している。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ群及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図16に示す仮想受信アンテナVA#1~VA#4、VA#17~VA#20、及び、VA#21~VA#24は、図15において、ビーム合成するSR用アンテナSRbf1(又はTx#5)、ビーム合成するSR用アンテナSRbf2(又はTx#6)、及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
例えば、ビーム合成するSR用アンテナのうち少なくとも一つに対して上述した(条件1)を満たすことにより、図16に示す仮想受信アンテナの配置は、間隔がDA(図16の場合、DA=0.5λ)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図16に示すVA#2とVA#17との素子間隔は|dTLR1,SRbf1-dR1,2|=DA=0.5λとなり、VA#3とVA#18との素子間隔は|dTLR1,SRbf1-dR2,3|=DA=0.5λとなり、VA#4とVA#19との素子間隔は|dTLR1,SRbf1-dR3,4|=DA=0.5λとなる。
例えば、LR-DOAでは、「ビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf1又はSRbf2)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に応じてDAを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモードにおいて、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、仮想受信アンテナVA#5~VA#16(図示せず)は、図15において、SR用アンテナTx#2(SR1)、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件2)を満たすことにより、仮想受信アンテナの配置は、間隔がDTxMINとなる仮想受信アンテナを含む。また、(条件2)を満たすことにより、レーダ装置10は、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
したがって、SR-DOAでは、「受信アンテナRxの素子間隔は、送信アンテナ間隔DTxMINで並ぶアンテナ群の開口長ASRよりも広くする。ここで、送信アンテナ間隔DTxMINは0.5λ~0.8λとする」という(条件2)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SRモード用の仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナが重複無く配置されるので、レーダ装置10は、仮想受信アレーの開口長を拡大し、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、仮想受信アンテナVA#1~VA#16(一部を図示せず)は、図15において、SR用アンテナTx#2(SR1)、Tx#3(SR2)及びTx#4(SR3)及びLR用アンテナTx#1(LR1)と、4本の受信アンテナRx#1~Rx#4とに基づいて構成される。
これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、レーダ装置10は、配置例4によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件2)を満たすことにより、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
以上、配置例4について説明した。
なお、上述した配置例1~4において、ビーム合成に用いるSR用アンテナ数が2個の場合について説明したが、これに限定されず、例えば、3個以上のSR用アンテナを用いてビーム合成を行ってもよい。
また、配置例1~4において、全てのSR用アンテナがビーム合成に用いられる配置例について説明したが、これに限定されず、例えば、ビーム合成に用いないSR用アンテナが含まれてもよい。換言すると、レーダ装置10が備える複数のSR用アンテナのうち一部のSR用アンテナがビーム合成に用いられてもよい。
また、配置例1~4において、SR用アンテナと異なる素子サイズ(例えば、図6)のLR用アンテナを用いる場合について説明したが、これに限定されず、レーダ装置10は、例えば、LR用アンテナの代わりに、複数のSR用アンテナを用いてもよい。例えば、図17は、配置例2(図8)において、LR用アンテナの代わりに、複数のSR用アンテナ(例えば、SR3及びSR4)を用いてTx#1を構成する例を示す図である。図17では、例えば、レーダ装置10は、Tx#1からの送信において、複数のSR用アンテナ(例えば、SR3及びSR4)を用いたアレー送信(又は、ビームフォーミング送信)を行ってよい。換言すると、レーダ装置10は、LRモードでは、例えば、Tx#1、及び、ビーム合成するSR用アンテナSRbfを使用し、SRモードでは、例えば、SR1、SR2、SR3及びSR4を使用してもよい。なお、図17の場合、NCM<NTxとなる。
<配置例5>
配置例1~4では、ビーム合成に用いるSR用アンテナが水平方向に配置される場合について説明した。配置例5では、ビーム合成に用いるSR用アンテナは、例えば、水平方向に対して斜め方向に配置される例について説明する。
図18は、配置例5に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図18に示す例では、送信アンテナ数NTxは3個(例えば、Tx#1、Tx#2及びTx#3)であり、受信アンテナ数Naは8個(例えば、Rx#1~Rx#8)である。
また、図18において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(LR用アンテナ)の数NT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(SR用アンテナ)の数NT2=2である。図18において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」及び「SR2」はSR用アンテナを示す。
図18に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件1)を満たす配置である。また、図18に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件2)の代わりに、以下の(条件3)を満たす配置である。
(条件3)
水平方向に対して斜め方向に配置されるSR用アンテナの水平方向の最小間隔DSRHmin、及び、水平方向に対して斜め方向に配置されるSR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVminに対して、
受信アンテナRxの水平方向の素子間隔は、SR用アンテナの水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置されるSR用アンテナの水平方向の開口長ASRHよりも広く、
受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔は、SR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVminで配置される。
ここで、DSRHminは0.5λ~0.8λ程度でよく、DSRVminは0.5λ~0.8λ程度でよい。
上述した(条件3)を満たすアンテナ配置では、例えば、SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの間隔が水平方向DSRHmin、及び、垂直方向DSRVminとなる間隔を少なくとも一つ含む。また、(条件3)を満たすアンテナ配置では、例えば、SR用の仮想受信アンテナ配置は、水平方向及び垂直方向の仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アンテナの開口長を拡大できる。
例えば、DSRHminは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、水平方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。同様に、例えば、DSRVminは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、レーダ装置10は、垂直方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
例えば、図18に示すアンテナ配置の水平方向において、以下の通り、(条件1)を満たす。
一例として、図18の水平方向において、dTLR1,SR1=1.75λ、dTLR1,SR2=2.25λとする。この場合、図18において、例えば、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)に対しての水平方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=2λである。
また、図18において、例えば、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)に対しての垂直方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、最小間隔DSRVminで配置されたSR用アンテナの垂直方向の開口長ASRVの中点であり、当該中点は、LR用アンテナ(図18に示すTx#1(LR1))の垂直方向の位置と一致してよい。
また、図18に示すアンテナ配置の水平方向において、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λである。
以上より、図18では、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=λ、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=λ、|dTLR1,SRbf-dR5,6|=λ、|dTLR1,SRbf-dR6,7|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR7,8|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
このように、図18に示す水平方向のアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)を用いてビーム合成するSR用アンテナSRbfの位相中心とLR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナ間隔dR2,3及びdR6,7との差分の絶対値|dTLR1,SRbf-dR2,3|及び|dTLR1,SRbf-dR6,7|=λ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
また、例えば、図18に示すアンテナ配置は、以下の通り、(条件3)を満たす。
例えば、図18において、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、水平方向に対して斜め方向に配置される。換言すると、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、水平方向及び垂直方向の双方において重複しない位置に配置されてよい。図18では、例えば、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2、及び、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の垂直方向の最小間隔DSRVmin=λ/2である。
なお、図18において、水平方向に対して斜め方向に2個のSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)が配置されているが、これに限定されず3個以上のSR用アンテナが配置されてもよい。また、図18において、水平方向に対して斜め方向に2個のSR用アンテナは、水平方向の最小間隔DSRHminで、水平方向の開口長ASRH=DSRHminで配置されるが、これに限定されず、例えば、水平方向に対して斜め方向に3個のSR用アンテナが、水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置される場合、水平方向の開口長ASRHは2DSRHminとなってよい。例えば、水平方向に対して斜め方向にNSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナが、水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置される場合、水平方向の開口長ASRHは(NSR-1)DSRHminとなってもよい。
図18では、例えば、水平方向において、受信アンテナRxの隣り合う素子(換言すると、受信アンテナ)間の間隔(例えば、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λ)は、複数のSR用アンテナのうち、水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2で並んで配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の開口長ASRH=λ/2よりも広く配置されている(例えば、dR1,2、dR2,3、dR3,4、dR5,6、dR6,7、dR7,8>ASRH)。
また、図18では、例えば、垂直方向において、受信アンテナRxの隣り合う素子(換言すると、受信アンテナ)は、SR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVmin=λ/2で配置される。図18に示すように、受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔dR1,5、dR2,6、dR3,7、及び、dR4,8は、最小間隔DSRVmin=λ/2である。
以上より、図18に示すアンテナ配置は(条件3)を満たす。
なお、図18において、ビーム合成に用いるSR用アンテナとして、水平方向に対し斜め方向に2素子のSR用アンテナを用いる配置を示したが、これに限定されず、レーダ装置10は、3素子以上のSR用アンテナを用いてもよい。
ここで、LR用アンテナは、例えば、SR用アンテナよりもアンテナの指向性を狭めて利得を高めることがあり得る。このため、例えば、図6に示すように、LR用アンテナの幅WLRは、SR用アンテナの幅WSRよりも広くてよい。例えば、レーダ装置10が2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行う場合、レーダ装置10は、図6に示すように、WLR≒2WSRとなるLR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと、2本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
同様に、例えば、レーダ装置10は、3本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒3WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと、3本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
同様に、例えば、レーダ装置10は、Nsr本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒Nsr×WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと、Nsr本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。
また、例えば、図18に示すように、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナの配置は、垂直方向にアンテナが重複しない配置でもよい。この配置により、例えば、送信アレーアンテナを構成するアンテナの垂直方向のサイズは任意のサイズでもよい。例えば、SR-DOA及びLR-DOAにおいてLR用アンテナとSR用アンテナとを併用することを考慮して、LR用アンテナの高さHLRと、SR用アンテナの高さHSRとを同程度(HLR≒HSR)としてもよい。
図19は、図18に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図18に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置のうち、VA#25~VA#32は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を、新たな送信アンテナ「Tx#4」とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)を、Tx#4のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#25~VA#32は、Tx#4とRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図19の(a)は、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図19の(a)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#8、及び、VA#25~VA#32)は、図18に示す、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#4)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、図18に示す水平方向のアンテナ配置において、上述した(条件1)を満たすことにより、図19の(a)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDA(例えば、DA=λ/2)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図19の(a)に示すVA#3とVA#26との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなり、VA#7とVA#30との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR6,7|=DA=0.5λとなる。
例えば、LR-DOAでは、「ビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモードにおいて、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図19の(b)は、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図19の(b)に示す仮想受信アンテナ(VA#9~VA#24)は、図18に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件3)を満たすことにより、図19の(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDSRHminとなる仮想受信アンテナが含まれ、垂直方向の間隔がDSRVminとなる仮想受信アンテナを含む。例えば、図19の(b)に示すVA#9とVA#21、VA#10とVA#22、VA#11とVA#23、VA#12とVA#24などの素子間隔はそれぞれDSRHminとなる。例えば、図19の(b)に示すVA#9とVA#13、VA#17とVA#21、VA#10とVA#14、VA#18とVA#22などの素子間隔はそれぞれDSRVminとなる。
また、上述した(条件3)を満たすことにより、図19の(b)に示すSRモード用の仮想受信アンテナ配置において、レーダ装置10は、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
したがって、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DSRHminを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、水平方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DSRVminを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、垂直方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、SR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDSRHmin及びDSRVminを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SR用の仮想アンテナ配置には仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できるので、レーダ装置10は、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
図19の(c)は、LRモードの視野角(FOV)内におけるSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、図19の(c)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#24)は、図18に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)及びLR用アンテナTx#1(LR1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
このように、レーダ装置10は、SRモードにおいて、LRモードの視野角内では、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナを用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、配置例5によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件3)を満たすことにより、レーダ装置10は、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、配置例5によれば、LR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図19の(a))、及び、SR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図19の(b)又は(c))は、水平方向及び垂直方向において異なる配置の仮想受信アンテナを含む。このため、レーダ装置10は、例えば、水平方向の方向推定に加え、水平方向及び垂直方向を含めた2次元の方向推定手法を適用できる。よって、レーダ装置10は、例えば、ターゲットの方位方向及び仰角方向を検出でき、例えば、ターゲットの高さ情報の検出が可能になる。
次に、配置例5に係るアンテナ配置を適用した場合の方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例について説明する。
図20は、配置例5のMIMOアンテナ配置(例えば、図18)を用いた場合の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。また、図20では、例えば、DA=λ/2、DSRVmin=DSRHmin=λ/2の場合の方向推定結果の一例を示す。
なお、図20では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図20は、ターゲットの真値を水平方向0度、及び、垂直方向0度とした場合の水平方向±90度範囲、及び、垂直方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図20の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向は、水平方向角度0度、垂直方向角度0度に指向性を形成した。
また、図20の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図20の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図20の(a)~(c)それぞれに示される方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平0度及び垂直0度)に最大ピークが得られ、レーダ装置10が、方向推定部214においてターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
また、図18に示すMIMOアンテナ配置では、例えば、DA=λ/2、DSRVmin=DSRHmin=λ/2であるので、図20の(a)~(c)に示す方向推定結果において、レーダ装置10が、水平方向及び垂直方向の±90度の範囲におけるグレーティングローブを抑圧していることが確認できる。
また、例えば、図20の(a)及び(b)に示すように、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(a))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(b))よりも、仮想受信アンテナの水平方向の開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の水平方向の角度分解能が高いことが確認できる。また、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(b))では、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(a))よりも、仮想受信アンテナの垂直方向の開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、例えば、図20の(c)において、水平0度及び垂直0度の方向はLRモードの視野角内を想定した場合の方向推定結果である。そのため、図20の(c)及び(b)に示すように、LR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(c))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の水平方向及び垂直方向の幅はより狭く鋭くなるため、水平方向及び垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図19の(a))よりも多い。このため、例えば、図20の(a)及び(c)に示すように、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置では、LR用仮想受信アンテナ配置と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブと呼ぶ)のピークレベルがより低減されることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
<配置例6>
配置例1~4では、ビーム合成に用いるSR用アンテナが水平方向に配置される場合について説明した。配置例6では、ビーム合成に用いるSR用アンテナは、例えば、水平方向及び垂直方向の異なる位置(例えば、格子状)に配置される例について説明する。
図21は、配置例6に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図21に示す例では、送信アンテナ数NTxは5個(例えば、Tx#1~Tx#5)であり、受信アンテナ数Naは8個(例えば、Rx#1~Rx#8)である。
また、図21において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(LR用アンテナ)の数NT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(SR用アンテナ)の数NT2=4である。図21において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」、「SR2」、「SR3」及び「SR4」はSR用アンテナを示す。
図21に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件1)を満たす配置である。また、図21に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件2)及び(条件3)の代わりに、以下の(条件4)を満たす配置である。
(条件4)
水平方向に配置されるSR用アンテナの水平方向の最小間隔DSRHmin、及び、垂直方向に配置されるSR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVminに対して、
受信アンテナRxの水平方向の素子間隔は、SR用アンテナの水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置されるSR用アンテナの水平方向の開口長ASRHよりも広く、
受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔において、SR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVminと、受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔と、の差分の絶対値の少なくとも一つは、DB=0.5λ~0.8λ(換言すると、レーダ送信信号の波長に基づく規定値)程度である。
ここで、DSRHminは0.5λ~0.8λ程度でよい。なお、配置例6では、例えば、SR用アンテナ素子は垂直方向の指向性を絞ることを想定して設計されてよい。例えば、図6のように、垂直方向の素子サイズ大きくなることを考慮して、DSRVminはλ以上でもよい。
上述した(条件4)を満たすアンテナ配置では、例えば、SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの間隔が水平方向DSRHmin、及び、垂直方向DBとなる間隔を少なくとも一つ含む。また、(条件4)を満たすアンテナ配置は、例えば、SR用の仮想受信アンテナ配置は、水平方向及び垂直方向の仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アンテナの開口長を拡大できる。
また、例えば、DSRHminは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、レーダ装置10は、水平方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、DBは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、レーダ装置10は、垂直方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
例えば、図21に示すアンテナ配置の水平方向において、以下の通り、(条件1)を満たす。
一例として、図21の水平方向において、dTLR1,SR1=1.75λ、dTLR1,SR2=2.25λとする。この場合、図21において、例えば、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)に対しての水平方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=2λである。
また、図21の垂直方向において、例えば、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)に対しての垂直方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、最小間隔DSRVminで配置されたSR用アンテナの垂直方向の開口長ASRVの中点であり、当該中点は、LR用アンテナ(図21に示すTx#1(LR1))の垂直方向の位置と一致してよい。
また、図21に示すアンテナ配置の水平方向において、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λである。
以上より、図21では、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=λ、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=λ、|dTLR1,SRbf-dR5,6|=λ、|dTLR1,SRbf-dR6,7|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR7,8|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
このように、図21に示す水平方向のアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)を用いてビーム合成するSR用アンテナSRbfの位相中心とLR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbfと受信アンテナ間隔dR2,3及びdR6,7との差分の絶対値|dTLR1,SRbf-dR2,3|及び|dTLR1,SRbf-dR6,7|はλ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
また、例えば、図21に示すアンテナ配置は、以下の通り、(条件4)を満たす。
例えば、図21において、水平方向に配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)(又は、Tx#4(SR3)及びTx#5(SR4))の水平方向の最小間隔DSRHminはλ/2であり、及び、垂直方向に配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#4(SR3)(又は、Tx#3(SR2)及びTx#5(SR4))の垂直方向の最小間隔DSRVminはλである。
図21では、例えば、水平方向において、受信アンテナRxの隣り合う素子(換言すると、受信アンテナ)間の間隔(例えば、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λ)は、複数のSR用アンテナのうち、水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2で並んで配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の水平方向の開口長ASRH=λ/2よりも広く配置されている(例えば、dR1,2、dR2,3、dR3,4、dR5,6、dR6,7、dR7,8>ASRH)。
また、図21では、例えば、垂直方向において、SR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVmin=λと、受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔(例えば、dR1,5=λ/2、dR2,6=λ/2、dR3,7=λ/2、dR4,8=λ/2)との差分の絶対値(例えば、|DSRVmin - dRV|=DB=λ/2)の少なくとも一つは0.5λ~0.8λ程度である。
以上より、図21に示すアンテナ配置は(条件4)を満たす。
なお、図21において、ビーム合成に用いるSR用アンテナとして、水平方向に2素子のSR用アンテナを用いる配置を示したが、これに限定されず、レーダ装置10は、3素子以上のSR用アンテナを用いてもよい。同様に、図21において、ビーム合成に用いるSR用アンテナとして、垂直方向に2素子のSR用アンテナを用いる配置を示したが、これに限定されず、レーダ装置10は、3素子以上のSR用アンテナを用いてもよい。
なお、図21において、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2で、水平方向の開口長ASRH=DSRHminで配置されるが、これに限定されず、例えば、水平方向にNSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナが、水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置される場合、水平方向の開口長ASRHは(NSR-1)DSRHminとなってもよい。
ここで、LR用アンテナは、例えば、SR用アンテナよりもアンテナの指向性を狭めて利得を高めることがあり得る。このため、例えば、図22に示すように、LR用アンテナの幅WLRは、SR用アンテナの幅WSRよりも広くてよい。また、例えば、図22に示すように、LR用アンテナの高さHLRは、SR用アンテナの高さHSRよりも高くてよい。
例えば、水平方向において、レーダ装置10が2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行う場合、図22に示すように、WLR≒2WSRとなるLR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと、2本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。同様に、例えば、水平方向において、レーダ装置10は、3本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒3WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと、3本のSR用アンテナとで同様の指向性を形成可能になる。同様に、例えば、水平方向において、レーダ装置10は、Nsrh本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、WLR≒Nsrh×WSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナとNsrh本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。
また、例えば、垂直方向において、レーダ装置10が2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行う場合、図22に示すように、HLR≒2HSRとなるLR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと2本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。同様に、例えば、垂直方向において、レーダ装置10は、3本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、HLR≒3HSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナと3本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。同様に、例えば、垂直方向において、レーダ装置10は、Nsrv本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成してもよい。この場合、例えば、HLR≒Nsrv×HSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いることにより、LR用アンテナとNsrv本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。
一例として、図21に示すように、水平方向に2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行い、垂直方向に2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行う場合(換言すると、合計4本のSR用アンテナを用いる場合)、図22に示すように、WLR≒2WSR、かつ、HLR≒2HSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いてよい。これにより、例えば、LR用アンテナと4本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。
図23は、図21に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図23に示す仮想受信アレーの配置のうち、VA#41~VA#48は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を、新たな送信アンテナTx#6とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)を、Tx#6のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#41~VA#48は、Tx#6とRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図23の(a)は、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図23の(a)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#8、及び、VA#41~VA#48)は、図21に示す、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#6)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、図21に示す水平方向のアンテナ配置において、上述した(条件1)を満たすことにより、図23の(a)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDA(例えば、DA=λ/2)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図23の(a)に示すVA#3とVA#42との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなり、VA#7とVA#46との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR6,7|=DA=0.5λとなる。
例えば、LR-DOAは、「ビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、水平方向において±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、水平方向の視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモードにおいて、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えばSNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図23の(b)は、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図23の(b)に示す仮想受信アンテナ(VA#9~VA#40)は、図21に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)、Tx#3(SR2)、Tx#4(SR3)及びTx#5(SR4)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件4)を満たすことにより、図23の(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDSRHminとなる仮想受信アンテナを含み、垂直方向の間隔がDB(例えば、DB=λ/2)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図23の(b)に示すVA#9とVA#17、VA#13とVA#21、VA#25とVA#33、VA#29とVA#37などの素子間隔はそれぞれDSRHminとなる。例えば、図23の(b)に示すVA#13とVA#25との素子間隔は|DSRVmin-dRV|=DB=0.5λとなる。同様に、VA#21とVA#33、VA#14とVA#26、VA#22とVA#34、VA#15とVA#27、VA#23とVA#35、VA#16とVA#28、VA#24とVA#36との素子間隔は、それぞれ|DSRVmin-dRV|=DB=0.5λとなる。
また、上述した(条件4)を満たすことにより、図23の(b)に示すSRモード用の仮想受信アンテナ配置において、レーダ装置10は、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
したがって、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DSRHminを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、水平方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DBを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、垂直方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、SR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDSRHmin及びDBを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、レーダ装置10は、SR用の仮想アンテナ配置には仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できるので、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
図23の(c)は、LRモードの視野角(FOV)内におけるSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、図23の(c)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#40)は、図21に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)~Tx#5(SR4)及びLR用アンテナTx#1(LR1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
このように、レーダ装置10は、SRモードにおいて、LRモードの視野角内では、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナを用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、配置例6によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件4)を満たすことにより、レーダ装置10は、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、例えば、レーダ装置10は、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、配置例6によれば、LR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図23の(a))、及び、SR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図23の(b)又は(c))は、水平方向及び垂直方向において異なる配置の仮想受信アンテナを含む。このため、レーダ装置10は、例えば、水平方向の方向推定に加え、水平方向及び垂直方向を含めた2次元の方向推定手法を適用できる。よって、レーダ装置10は、例えば、ターゲットの方位方向及び仰角方向を検出でき、例えば、ターゲットの高さ情報の検出が可能になる。
次に、配置例6に係るアンテナ配置を適用した場合の方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例について説明する。
図24は、配置例6のMIMOアンテナ配置(例えば、図21)を用いた場合の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。また、図24では、例えば、DA=λ/2、DB=λ/2、DSRHmin=λ/2の場合の方向推定結果の一例を示す。
なお、図24では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図24は、ターゲットの真値を水平方向0度、及び、垂直方向0度とした場合の水平方向±90度範囲、及び、垂直方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図24の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向は、水平方向角度0度及び垂直方向角度0度に指向性を形成した。
また、図24の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図24の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図24の(a)~(c)それぞれに示される方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平0度及び垂直0度)に最大ピークが得られ、方向推定部214がターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
また、図23に示すMIMOアンテナ配置では、例えば、DA=λ/2、DB=λ/2、DSRHmin=λ/2であるので、図24の(a)~(c)に示す方向推定結果において、レーダ装置10が、水平方向及び垂直方向の±90度の範囲におけるグレーティングローブを抑圧していることが確認できる。
また、例えば、図24の(a)及び(b)に示すように、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(a))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(b))よりも、仮想受信アンテナの水平方向の開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の水平方向の角度分解能が高いことが確認できる。また、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(b))では、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(a))よりも、仮想受信アンテナの垂直方向の開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、例えば、図24の(c)において、水平0度及び垂直0度の方向はLRモードの視野角内を想定した場合の方向推定結果である。そのため、図24の(c)及び(b)に示すように、LR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(c))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の水平方向及び垂直方向の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の水平方向及び垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図23の(a))よりも多い。このため、例えば、図24の(a)及び(c)に示すように、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置では、LR用仮想受信アンテナ配置と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブと呼ぶ)のピークレベルがより低減されることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
<配置例7>
配置例6では、受信アンテナについても格子状に配置される場合について説明したが、受信アンテナの配置は、これに限定されない。配置例7では、受信アンテナの配置が配置例6と異なる。
図25は、配置例7に係る送信アンテナ106(例えば、Txと表す)及び受信アンテナ202(例えば、Rxと表す)の配置例(例えば、MIMOアンテナ配置例)を示す図である。
図25に示す例では、送信アンテナ数NTxは5個(例えば、Tx#1~Tx#5)であり、受信アンテナ数Naは8個(例えば、Rx#1~Rx#8)である。
また、図25において、LRモード用の第1の送信アンテナ106-1(LR用アンテナ)の数NT1=1であり、SRモード用の第2の送信アンテナ106-2(SR用アンテナ)の数NT2=4である。図25において、「LR1」はLR用アンテナを示し、「SR1」、「SR2」、「SR3」及び「SR4」はSR用アンテナを示す。
配置例7では、例えば、図25に示すように、受信アンテナRx#1~Rx#8について、受信アンテナRx#1~Rx#4と受信アンテナRx#5~Rx#8との垂直方向の間隔(例えば、dRV)は、配置例6(例えば、図21)と同様である。その一方で、図25に示すように、受信アンテナRx#5~Rx#8は、受信アンテナRx#1~Rx#4のそれぞれを、水平方向にSR用アンテナの水平方向の最小間隔DSRHminの整数倍となる間隔(図25では、1倍のλ/2)でシフトして配置される点が配置例6と異なる。
換言すると、配置例7では、例えば、図25に示すように、受信アンテナRx#1~Rx#4と、受信アンテナRx#5~Rx#8とが、水平方向に重複しないように配置される。この配置により、レーダ装置10は、例えば、受信アンテナRxには垂直方向の素子サイズに任意のサイズのアンテナ素子を用いることができるので、受信アンテナ素子によって垂直方向の指向性を絞ることで、受信アンテナの利得を向上可能である。
図25に示すMIMOアンテナ配置は、例えば、(条件1)及び(条件4)を満たす配置である。
上述した(条件4)を満たすアンテナ配置では、例えば、SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの間隔が水平方向DSRHmin、及び、垂直方向DB(例えば、DB=λ/2)となる間隔を少なくとも一つ含む。また、(条件4)を満たすアンテナ配置は、例えば、SR用の仮想受信アンテナ配置には、水平方向及び垂直方向の仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アンテナの開口長を拡大できる。
また、例えば、DSRHminは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、レーダ装置10は、水平方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、DBは0.5λ~0.8λ程度としてよい。これにより、レーダ装置10は、垂直方向±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。
例えば、図25に示すアンテナ配置の水平方向において、以下の通り、(条件1)を満たす。
一例として、図25の水平方向において、dTLR1,SR1=1.75λ、dTLR1,SR2=2.25λとする。図25において、例えば、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)に対しての水平方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、Tx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の中点であるので、dTLR1,SRbf=2λである。
また、図21の垂直方向において、例えば、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)に対しての垂直方向の位相中心(例えば、SRbfの位相中心)は、最小間隔DSRVminで配置されたSR用アンテナの垂直方向の開口長ASRVの中点であり、当該中点は、LR用アンテナ(図25に示すTx#1(LR1))の垂直方向の位置と一致してよい。
また、図25に示すアンテナ配置の水平方向において、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λである。
以上より、図25では、|dTLR1,SRbf-dR1,2|=λ、|dTLR1,SRbf-dR2,3|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR3,4|=λ、|dTLR1,SRbf-dR5,6|=λ、|dTLR1,SRbf-dR6,7|=λ/2、|dTLR1,SRbf-dR7,8|=λとなる。ここで、λはレーダ送信信号のキャリア周波数の波長を表す。レーダ送信信号としてチャープ信号を用いる場合、λはチャープ信号の周波数掃引帯域における中心周波数の波長である。
このように、図25に示す水平方向のアンテナ配置では、LRモード用の方向推定(LR-DOA)において、Tx#2(SR1)~Tx#5(SR4)を用いてビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)の位相中心とLR用アンテナTx#1(LR1)との間隔dTLR1,SRbfと、受信アンテナ間隔dR2,3及びdR6,7と、の差分の絶対値|dTLR1,SRbf-dR2,3|及び|dTLR1,SRbf-dR6,7|はλ/2となり、DA=λ/2とした場合の(条件1)を満たす。
また、例えば、図25に示すアンテナ配置は、以下の通り、(条件4)を満たす。
例えば、図25において、水平方向に配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)(又は、Tx#4(SR3)及びTx#5(SR4))の水平方向の最小間隔DSRHminはλ/2であり、及び、垂直方向に配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#4(SR3)(又は、Tx#3(SR2)及びTx#5(SR4))の垂直方向の最小間隔DSRVminはλである。
図25では、例えば、水平方向において、受信アンテナRxの素子間隔(例えば、dR1,2=λ、dR2,3=1.5λ、dR3,4=λ、dR5,6=λ、dR6,7=1.5λ、dR7,8=λ)は、複数のSR用アンテナのうち、水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2で並んで配置されるSR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)の水平方向の開口長ASRH=λ/2よりも広く配置されている(例えば、dR1,2、dR2,3、dR3,4、dR5,6、dR6,7、dR7,8>ASRH)。
また、図25では、例えば、垂直方向において、SR用アンテナの垂直方向の最小間隔DSRVmin=λと、受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔(例えば、dR1,5=λ/2、dR2,6=λ/2、dR3,7=λ/2、dR4,8=λ/2)と、の差分の絶対値(例えば、|DSRVmin - dRV|=DB=λ/2)の少なくとも一つは0.5λ~0.8λ程度である。
以上より、図25に示すアンテナ配置は(条件4)を満たす。
なお、図25において、各受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔が何れもdRVである場合について説明したが、これに限定されない。例えば、受信アンテナRxの垂直方向の素子間隔は異なってもよく、垂直方向の素子間隔において、DB=0.5λ~0.8λ程度となる素子間隔が少なくとも一つ含まれてよい。
また、図25において、ビーム合成に用いるSR用アンテナとして、水平方向に2素子のSR用アンテナを用いる配置を示したが、これに限定されず、レーダ装置10は、3素子以上のSR用アンテナを用いてもよい。同様に、図25において、ビーム合成に用いるSR用アンテナとして、垂直方向に2素子のSR用アンテナを用いる配置を示したが、これに限定されず、レーダ装置10は、3素子以上のSR用アンテナを用いてもよい。
なお、図25において、SR用アンテナTx#2(SR1)及びTx#3(SR2)は、水平方向の最小間隔DSRHmin=λ/2で、水平方向の開口長ASRH=DSRHminで配置されるが、これに限定されず、例えば、水平方向にNSR個(NSRは2以上)のSR用アンテナのそれぞれが、水平方向の最小間隔DSRHminで並んで配置される場合、水平方向の開口長ASRHは(NSR-1)DSRHminとなってもよい。
ここで、LR用アンテナは、例えば、SR用アンテナよりもアンテナの指向性を狭めて利得を高めることがあり得る。このため、例えば、図22に示すように、LR用アンテナの幅WLRは、SR用アンテナの幅WSRよりも広くてよい。また、例えば、図22に示すように、LR用アンテナの高さHLRは、SR用アンテナの高さHSRよりも高くてよい。
一例として、図25に示すように、水平方向に2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行い、垂直方向に2本のSR用アンテナを用いて送信ビーム合成を行う場合(換言すると、合計4本のSR用アンテナを用いる場合)、図22に示すように、WLR≒2WSR、かつ、HLR≒2HSRとなるLR用アンテナ及びSR用アンテナを用いてよい。これにより、例えば、LR用アンテナと、4本のSR用アンテナとは、同様の指向性を形成可能になる。
図26は、図25に示すアンテナ配置によって得られる仮想受信アレーの配置例を示す図である。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ106の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(32)のように表されてよい。
また、図26に示す仮想受信アレーの配置のうち、VA#41~VA#48は、式(32)において、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf)を、新たな送信アンテナTx#6とし、ビーム合成するSR用アンテナ群の位相中心(SRbfの位相中心)を、Tx#6のアンテナの位置座標とした場合に得られる仮想受信アンテナの配置を示す。換言すると、VA#41~VA#48は、Tx#6とRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
(LRモード用の方向推定(LR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図26の(a)は、LR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
LR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、ビーム合成するSR用アンテナ及びLR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図26の(a)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#8、及び、VA#41~VA#48)は、図25に示す、ビーム合成するSR用アンテナ(例えば、SRbf又はTx#6)及びLR用アンテナ(例えば、Tx#1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、図25に示す水平方向のアンテナ配置において、上述した(条件1)を満たすことにより、図26の(a)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDA(例えば、DA=λ/2)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図26の(a)に示すVA#3とVA#42との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR2,3|=DA=0.5λとなり、VA#7とVA#46との素子間隔は|dTLR1,SRbf-dR6,7|=DA=0.5λとなる。
例えば、LR-DOAでは、「ビーム合成するSR用アンテナ群(SRbf)の位相中心とLR用アンテナとの間隔と、受信アンテナの間隔との差分の絶対値の少なくとも一つはDA=0.5λ~0.8λ程度とする」という(条件1)を満たすことにより、レーダ装置10は、例えば、水平方向において±10度から±90度範囲においてグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、LR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDAを設定することにより、水平方向の視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。
また、レーダ装置10は、LRモードにおいて、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナ(例えば、ビーム合成するSR用アンテナ)を用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、LR-DOAにおいて、レーダ装置10は、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、SR用アンテナを用いてビーム合成したレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、レーダ装置10は、例えば、方向推定時の受信品質(例えば、SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加するため、角度分解能を向上できる。
(SRモード用の方向推定(SR-DOA)に用いる仮想受信アンテナの配置)
図26の(b)は、SR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAに用いる仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナと、受信アンテナとに基づいて構成される。例えば、図26の(b)に示す仮想受信アンテナ(VA#9~VA#40)は、図25に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)、Tx#3(SR2)、Tx#4(SR3)及びTx#5(SR4)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
例えば、上述した(条件4)を満たすことにより、図26の(b)に示す仮想受信アンテナの配置は、水平方向の間隔がDSRHminとなる仮想受信アンテナを含み、垂直方向の間隔がDB(例えば、DB=λ/2)となる仮想受信アンテナを含む。例えば、図26の(b)に示すVA#9とVA#17、VA#13とVA#21、VA#25とVA#33、VA#29とVA#37などの素子間隔はそれぞれDSRHminとなる。例えば、図26の(b)に示すVA#21とVA#25との素子間隔は|DSRVmin-dRV|=DB=0.5λとなる。同様に、VA#14とVA#33、VA#22とVA#26、VA#23とVA#27、VA#16とVA#35、VA#24とVA#28との素子間隔は、それぞれ|DSRVmin-dRV|=DB=0.5λとなる。
また、上述した(条件4)を満たすことにより、図26の(b)に示すSRモード用の仮想受信アンテナ配置において、レーダ装置10は、仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できる。
したがって、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DSRHminを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、水平方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、SR-DOAでは、例えば、「送信アンテナ間隔DBを0.5λ~0.8λ程度とする」とすることにより、レーダ装置10は、垂直方向において±10度から±90度範囲でグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、例えば、レーダ装置10は、SR-DOAにおいて想定される視野角に基づいてDSRHmin及びDBを設定することにより、視野角内におけるグレーティングローブの発生を抑圧できる。また、レーダ装置10は、SR用の仮想アンテナ配置には仮想受信アンテナの重複が無く、仮想受信アレーの開口長を拡大できるので、角度分解能を向上できる。
(LRモードの視野角内においてSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置)
図26の(c)は、LRモードの視野角(FOV)内におけるSR-DOAに用いる仮想受信アンテナの配置例を示す。
SR-DOAにおいて、LRモードの視野角内では、仮想受信アンテナは、例えば、SR用アンテナに加え、LR用アンテナを含む送信アンテナに基づいて構成されてよい。例えば、図26の(c)に示す仮想受信アンテナ(VA#1~VA#40)は、図25に示す、SR用アンテナTx#2(SR1)~Tx#5(SR4)及びLR用アンテナTx#1(LR1)と、8本の受信アンテナRx#1~Rx#8とに基づいて構成される。
このように、レーダ装置10は、SRモードにおいて、LRモードの視野角内では、LR用アンテナ、及び、複数のSR用アンテナを用いて、レーダ送信信号を送信する。これにより、例えば、SR-DOA(例えば、LRモードの視野角内)において、レーダ装置10は、SR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号に加え、LR用アンテナから送信されるレーダ送信信号に対応する受信信号を用いてよい。このため、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数が増加し、アレー利得を向上できる。これにより、例えば、レーダ装置10は、方向推定時の受信品質(例えば、受信SNR)が向上し、検知距離を向上できる。また、レーダ装置10は、仮想受信アンテナ数の増加により、仮想受信アンテナの開口長が増加し、角度分解能を向上できる。
以上のように、配置例7によれば、例えば、上述した(条件1)及び(条件4)を満たすことにより、レーダ装置10は、LR-DOA及びSR-DOAの双方において視野角内のグレーティングローブの発生を抑圧でき、測角処理における角度の曖昧性を低減し、ターゲットの検出性能を向上できる。また、レーダ装置10は、例えば、SRモード及びLRモードの双方において測角処理時のアレー利得及び角度分解能を向上できるので、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、配置例7によれば、LR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図26の(a))、及び、SR-DOAにおいて用いられる仮想受信アンテナ(例えば、図26の(b)又は(c))は、水平方向及び垂直方向において異なる配置の仮想受信アンテナを含む。このため、レーダ装置10は、例えば、水平方向の方向推定に加え、水平方向及び垂直方向を含めた2次元の方向推定手法を適用できる。よって、レーダ装置10は、例えば、ターゲットの方位方向及び仰角方向を検出でき、例えば、ターゲットの高さ情報の検出が可能になる。
次に、配置例7に係るアンテナ配置を適用した場合の方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例について説明する。
図27は、配置例7のMIMOアンテナ配置(例えば、図25)を用いた場合の方向推定部214における到来方向推定アルゴリズムとしてビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミレーション結果)の一例を示す。また、図27では、例えば、DA=λ/2、DB=λ/2、DSRHmin=λ/2の場合の方向推定結果の一例を示す。
なお、図27では、アンテナ素子単体の指向性は考慮されていない。また、図27は、ターゲットの真値を水平方向0度、及び、垂直方向0度とした場合の水平方向±90度範囲、及び、垂直方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットした例を示す。
図27の(a)は、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(a))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LR-DOA)の一例を示す。なお、SR用アンテナを用いたビーム合成の指向性方向は、水平方向角度0度及び垂直方向角度0度に指向性を形成した。
また、図27の(b)は、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(b))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(SR-DOA)の一例を示す。
また、図27の(c)は、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(c))におけるビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(LRのFOV内SR-DOA)の一例を示す。
図27の(a)~(c)それぞれに示される方向推定部結果より、ターゲット真値(ここでは、水平0度及び垂直0度)に最大ピークが得られ、方向推定部214がターゲット方向を正しく推定していることが確認できる。
また、図25に示すMIMOアンテナ配置では、例えば、DA=λ/2、DB=λ/2、DSRHmin=λ/2であるので、図27の(a)~(c)に示す方向推定結果において、レーダ装置10が、水平方向及び垂直方向の±90度の範囲におけるグレーティングローブを抑圧していることが確認できる。
また、例えば、図27の(a)及び(b)に示すように、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(a))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(b))よりも、仮想受信アンテナの水平方向の開口長が大きいため、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の水平方向の角度分解能が高いことが確認できる。また、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(b))では、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(a))よりも、仮想受信アンテナの垂直方向の開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、例えば、図27の(c)において、水平0度及び垂直0度の方向はLRモードの視野角内を想定した場合の方向推定結果である。そのため、図27の(c)及び(b)に示すように、LR用アンテナを含めた仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(c))では、SR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(b))よりも仮想受信アンテナの開口長が大きいため、および、ターゲット方向に向くピーク(例えば、メインローブ)の水平方向及び垂直方向の幅はより狭く鋭くなるため、レーダ装置10の水平方向及び垂直方向の角度分解能が高いことが確認できる。
また、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(c))では、仮想受信アンテナ数が、LR用仮想受信アンテナ配置(例えば、図26の(a))よりも多い。このため、例えば、図27の(a)及び(c)に示すように、LRモードの視野角内におけるSR用仮想受信アンテナ配置では、LR用仮想受信アンテナ配置と比較して、ターゲット方向と異なる方向に生じている擬似ピーク(例えば、サイドローブと呼ぶ)のピークレベルがより低減されることが確認できる。擬似ピーク(例えば、サイドローブ)のピークレベルがより低減されることで、例えば、レーダ装置10は、微弱なターゲットに対する検出性能を向上できる。
以上、本開示の一実施例に係る各実施の形態について説明した。
なお、MIMOアンテナのアンテナ数(例えば、送信アンテナ数及び受信アンテナ数)は、上述した配置例1~7において示したアンテナ数に限定されない。例えば、MIMOアンテナは、配置例1~7の少なくとも一つにおけるアンテナ配置を含む構成でもよい。MIMOアンテナは、例えば、上述した(条件1)を満たすアンテナ配置を含む構成でもよく、(条件1)と、(条件2)~(条件4)の少なくとも一つとを満たすアンテナ配置を含む構成でもよい。換言すると、レーダ装置10は、例えば、各配置例に示すアンテナの他に、図示されないアンテナを備えてもよい。
また、第1の送信アンテナ106-1及び第2の送信アンテナ106-2は、例えば、同程度の指向特性を有する送信アンテナでもよく、異なる指向特性を有する送信アンテナでもよい。例えば、第1のレーダ送信波によって、第2のレーダ送信波と比較して遠方の距離まで検出可能とするために、第1のレーダ送信波の送信に用いる第1の送信アンテナ106-1は、例えば、第2の送信アンテナ106-2よりも指向性を狭めて、指向性利得を高めたアンテナでもよい。これにより、レーダ装置10では、第1のレーダ送信波によって、第1の送信アンテナ106-1の指向性方向において遠方距離のターゲットをより良好な受信品質(例えば、SNR)で検出でき、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、本実施の形態では、一例として、第1の送信アンテナ106-1及び第2の送信アンテナ106-2による視野角の少なくとも一部が重複してもよい。
また、上述した実施の形態では、複数の受信アンテナ202は、例えば、同程度の指向特性を有する受信アンテナでもよく、異なる指向特性を有する受信アンテナでもよい。例えば、レーダ装置10は、複数の受信アンテナ202のうち、指向特性が異なる2種類の受信アンテナを、それぞれを第1の受信アンテナ及び第2の受信アンテナとする。例えば、第1の受信アンテナは、第2の受信アンテナよりも指向性を狭めて、指向性利得を高めたアンテナでもよい。この受信アンテナの構成により、レーダ装置10は、例えば、第1のレーダ送信波によって遠方距離まで検出可能となる。このため、レーダ装置10は、第1のレーダ送信波の反射波の受信信号のうち、第1の受信アンテナの指向性方向において受信された受信信号を、第2の受信アンテナと比較して、遠方距離のターゲットをより良好な受信品質(例えば、SNR)で検出でき、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、上述した実施の形態において、第1のレーダ送信波の送信に用いる第1の送信アンテナ106-1は、第2の送信アンテナ106-2よりも指向性を狭めて指向性利得を高めたアンテナを用い、更に、複数の受信アンテナ202のうち、第1の受信アンテナは、第1の送信アンテナの指向性方向に、第2の受信アンテナよりも指向性を狭めて指向性利得を高めたアンテナを用いてもよい。これにより、第1の受信アンテナの指向性方向が第1の送信アンテナの指向性方向と重複するので、レーダ装置10は、第1のレーダ送信波の反射波の受信信号のうち、第1の受信アンテナにおいて受信される受信信号を、送受信アンテナの指向性利得の向上により、遠方距離のターゲットをより良好な受信品質(例えば、SNR)で検出でき、ターゲットの検出性能を向上できる。
また、上述した実施の形態では、例えば、図5のMIMOアンテナ配置において、LRモード用の方向推定は、ビーム合成するSR用アンテナ(SR1、SR2)及びLR用アンテナ(LR1)を用い、SRモード用の方向推定は、SR用アンテナ(SR1、SR2)を用いているが、LR用アンテナ(LR1)を用いていない。ここで、SRモード用の方向推定において、レーダ装置10は、LR用アンテナ(LR1)の電位を、フローティング、グランド電位、図1及び図4に図示しないLR用アンテナ(LR1)に接続されたアンプの給電を停止のいずれかに設定することができる。
本開示の一実施例に係るレーダ装置において、レーダ送信部及びレーダ受信部は、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。また、本開示の一実施例に係るレーダ受信部において、方向推定部と、他の構成部とは、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)等の作業用メモリを有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。但し、レーダ装置のハードウェア構成は、かかる例に限定されない。例えば、レーダ装置の各機能部は、集積回路であるIC(Integrated Circuit)として実現されてもよい。各機能部は、個別に1チップ化されてもよいし、その一部または全部を含むように1チップ化されてもよい。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
<本開示のまとめ>
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、複数の送信アンテナを用いて、送信信号を送信する送信回路と、複数の受信アンテナを用いて、前記送信信号が物体にて反射された反射波信号を受信する受信回路と、を具備し、前記複数の送信アンテナは、少なくとも1つの第1の送信アンテナ、及び、複数の第2の送信アンテナを含み、第1の方向にて、前記第1の送信アンテナと前記複数の第2の送信アンテナのうちのビーム合成される送信アンテナの位相中心との間隔と、前記複数の受信アンテナのうちの隣り合う受信アンテナ間の間隔と、の差分の絶対値は、前記送信信号の波長に基づく規定値である。
本開示の一実施例において、前記第1の方向にて、前記複数の受信アンテナの隣り合う受信アンテナ間の間隔は、前記複数の第2の送信アンテナのうち、前記複数の第2の送信アンテナの前記第1の方向における間隔のうち最小間隔で並んで配置される送信アンテナの開口長より広い。
本開示の一実施例において、前記複数の第2の送信アンテナは、前記第1の方向、及び、前記第1の方向に直交する第2の方向の双方にて重複しない位置に配置され、前記第1の方向にて、前記複数の受信アンテナの隣り合う受信アンテナ間の間隔は、前記複数の第2の送信アンテナのうち、前記第2の送信アンテナの前記第1の方向における間隔のうち最小間隔で並んで配置される送信アンテナの開口長より広く、前記第2の方向にて、前記複数の受信アンテナの隣り合う受信アンテナは、前記複数の第2の送信アンテナの前記第2の方向における間隔のうち最小間隔で配置される。
本開示の一実施例において、前記複数の第2の送信アンテナのそれぞれは、前記第1の方向、及び、前記第1の方向に直交する第2の方向からなる平面にて互いに異なる位置に配置され、前記第1の方向にて、前記複数の受信アンテナの隣り合う受信アンテナ間の間隔は、前記複数の第2の送信アンテナのうち、前記複数の第2の送信アンテナの前記第1の方向における間隔のうち最小間隔で並んで配置される送信アンテナの開口長より広く、前記第2の方向にて、前記複数の第2の送信アンテナの前記第2の方向における間隔のうち最小間隔と、前記複数の受信アンテナの隣り合う受信アンテナ間の間隔との差分の絶対値は、前記規定値である。
本開示の一実施例において、前記複数の受信アンテナのそれぞれは、前記第1の方向にて互いに重複しない。
本開示の一実施例において、前記規定値は、前記波長の0.5倍から0.8倍の範囲の何れかの値である。
本開示の一実施例において、前記送信回路は、第1の距離を含む範囲を検出する第1のモードにて、前記第1の送信アンテナ、及び、前記複数の第2の送信アンテナの両方を用いて、前記送信信号を送信し、前記第1の距離よりも短い第2の距離を含む範囲を検出する第2のモードにて、前記第1の送信アンテナ、及び、前記複数の第2の送信アンテナのうち、前記複数の第2の送信アンテナを用いて、前記送信信号を送信する。
本開示の一実施例において、前記送信回路は、第1の距離よりも短い第2の距離を含む範囲を検出する第2のモードにて、前記第1の距離を含む範囲を検出する第1のモードにおける視野角内では、前記第1の送信アンテナ、及び、前記複数の第2の送信アンテナを用いて、前記送信信号を送信する。