以下、本実施形態の発光装置及び当該発光装置を用いた電子機器について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、いずれも好ましい具体例を示すものである。したがって、以下の実施形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、あくまで一例であって、本実施形態を限定する趣旨ではない。なお、図2から図8及び図11は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、図2から図8及び図11において、同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
図1は、本実施形態の発光装置が放つ出力光の分光分布の一例を示している。図2から図6は、本実施形態の発光装置の構成例を概略的に示している。本実施形態の発光装置10は、少なくとも二種類の発光素子5,6と少なくとも二種類の蛍光体7,8とを組み合わせてなり、出力光9を放つ発光装置である。
[出力光]
本実施形態の発光装置が放つ出力光9は、図1に示すように、互いに色調が異なる、第一の光成分1、第二の光成分2、第三の光成分3及び第四の光成分4を少なくとも含んでいる。
第一の光成分1は、第一の発光素子5が放つ光(一次光)に由来する光成分であり、第二の光成分2は、第二の発光素子6が放つ光(一次光)に由来する光成分である。これらの光成分はいずれも、380nm以上700nm未満、好ましくは435nm以上670nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分である。
第三の光成分3は、第一の蛍光体7が放つ第一の波長変換光3Aに由来する光成分であり、435nm以上700nm未満、好ましくは500nm以上600nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分である。
第四の光成分4は、第二の蛍光体8が放つ第二の波長変換光4Aに由来する、700nm以上2500nm未満、好ましくは750nm以上1800nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外の光である。なお、当該波長範囲の上限、つまり最長波長は、800nm、900nm、1000nm、1200nm又は1500nmであってもよい。
このような出力光9は、人の目で視認できる可視の光成分、つまり第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3と、人の目で見え難い近赤外の光成分、つまり第四の光成分4とを含む。そのため、出力光9を用いることにより、照らされた物を人の目で確認しつつ、近赤外分光法などによって内部に対する非破壊検査などを行うことが可能となる。
また、発光装置10は、少なくとも四種類の光が加法混色された色調を持つ出力光9を放つ。つまり、出力光9は、電力を変換してなる一次光(発光素子によって放たれる第一の光成分及び第二の光成分)と、当該一次光を波長変換してなる波長変換光(第一の蛍光体及び第二の蛍光体によって波長変換された第一の波長変換光及び第二の波長変換光)を含む。このため、第一の発光素子5及び第二の発光素子6に供給する電力を制御して、第一の光成分1及び第二の光成分2の出力強度を独立して制御することができる。また、第一の蛍光体7及び第二の蛍光体8の種類を変えることによって、第三の光成分3及び第四の光成分4の色調も独立して制御することができる。
このように、発光装置10は、照らされた物の視認性及びその非破壊検査などに関する顧客要望への対応が容易で、人の目と検知器の双方にとって都合のよい出力光を放つことができる。
出力光9の分光分布は、650nm以上750nm以下の波長範囲内に谷部Tを持つ。そして、650nm以上750nm以下の波長範囲内の強度最小値は、380nm以上2500nm以下、特に380nm以上960nm以下の波長範囲内の強度最大値の30%未満であることが好ましい。また、当該強度最小値は、380nm以上2500nm以下、特に380nm以上960nm以下の波長範囲内の強度最大値の20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさらに好ましい。このようにすると、可視の光成分を主体にしてなる第一の光成分1と第二の光成分2と第三の光成分3の混合光成分と、近赤外の光成分を持つ第四の光成分4との干渉が少なくなる。つまり、波長700nm付近を境目として、可視の光成分と近赤外の光成分とが、ある程度分離された分光分布になる。そのため、出力光9を照射した物を透過又は反射した近赤外の光成分を検知する検出器において、S/N比(シグナル/ノイズ比)を向上させることが可能となる。
このような分光分布は、第四の光成分4の短波長側に最も近接する光成分を、発光素子(第一の発光素子5又は第二の発光素子6)が放ち、かつ、スペクトル半値幅が狭い光にすることで、得ることができる。別の見方をすると、このような分光分布は、380nm以上700nm未満の波長範囲内の最長波長側に位置する光成分を、上記発光素子が放ち、かつ、スペクトル半値幅が狭い光にすることで、得ることができる。
近赤外の光成分を検出器で検知した後、検知信号をフーリエ変換して利用する用途(例えば、光干渉断層像撮影)などでは、第四の光成分4の分光分布は単峰性を持つことが好ましい。また、第四の光成分4の分光分布は、正規分布を持つか、これに近い分光分布を持つことがより好ましい。そして、このとき、第四の光成分4の分光分布は、700nmを超える波長領域において、強度の波長依存性が急激な変化を伴わないことが好ましい。具体的には、700nmを超える波長領域において、分光分布の強度は、±8%/nmを超えて変化しないことが好ましく、±3%/nmを超えて変化しないことがより好ましい。
なお、正規分布に近い分光分布の程度を数値で示すと、次のようになる。第四の光成分4において、強度最大値を示す波長をλPとし、強度が当該強度最大値の半分となる短波長側と長波長側の波長を、各々λSとλLとする。このとき、λP、λS及びλLが、1≦(λL-λP)/(λP-λS)<2.0、好ましくは1≦(λL-λP)/(λP-λS)<1.8を満足する。
このように、第四の光成分4の分光分布が、正規分布を持つか、これに近い分光分布を持つことにより、フーリエ変換後の偽信号の生成を抑制できる。そのため、品質が優れる検知信号を検出器に検知させることが可能となる。
第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3の少なくとも一つは、波長510nm以上600nm未満の青緑~緑~黄~橙色の光成分を持つことが好ましい。また、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3の少なくとも一つは、波長530nm以上580nm未満の緑~黄色を持つことがより好ましく、波長545nm以上565nm未満の緑色の光成分を持つことがさらに好ましい。このような光成分は、人の目で感じ取る強さが強く、さらに明るく感じることができる。そのため、被照射物を視認しやすい出力光9を放つ発光装置10となる。
発光装置10において、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3の少なくとも一つは、波長460nm以上550nm未満の青~青緑~緑の光成分を持つことが好ましい。また、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3の少なくとも一つは、波長480nm以上530nm未満の青緑~緑色を持つことがより好ましく、波長490nm以上520nm未満の青緑~緑色の光成分を持つことがさらに好ましい。このような光成分は、光量が小さい暗所視の状況において、人の目で感じ取る強さが強く、さらに明るく感じることができる。そのため、暗闇の中などで照らされた物を視認しやすい出力光9を放つ発光装置10となる。
発光装置10において、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3の少なくとも一つは、波長610nm以上670nm未満の光成分を持つことが好ましく、波長630nm以上660nm未満の赤色の光成分を持つことがより好ましい。このような光成分は、被照射物の肌色や赤色を美しく見せたり、色鮮やかに見せたりする光を有している。そのため、照らされた人の顔や肌の見え方、赤みを持つ食肉や果物などの見栄えを良好にする出力光9を放つ発光装置10となる。
なお、第四の光成分4は、波長850nmを起点とした場合、長波長になるにつれて強度低下することが好ましい。また、第四の光成分4は、波長1000nmにおける蛍光強度が波長850nmの蛍光強度の10%を下回るようにすることができる。また、起点とする波長は、850nmよりも短いことが好ましく、例えば、800nmとすることができる。具体的には、第四の光成分4は、波長800nmを起点とした場合、長波長になるにつれて強度低下することが好ましい。また、第四の光成分4は、波長1000nmにおける蛍光強度が波長800nmの蛍光強度の10%を下回るようにすることができ、さらに、波長950nmにおける蛍光強度が波長800nmにおける蛍光強度の10%を下回るようにすることもできる。このようにすると、熱線として機能しやすい長波長領域の近赤外線や中赤外線の割合が小さな出力光9となる。そのため、食品類など、熱によって悪影響を受けやすい物を検査する用途に有利な発光装置10となる。
第四の光成分4は、スペクトル半値幅、つまり第四の光成分4の強度最大値が1/2の強度となるスペクトルの長波長側と短波長側の波長差が、70nmを超えることが好ましく、100nmを超えることがより好ましい。これにより、波長が異なる近赤外の光成分を、広い波長領域に亘って有する出力光9となる。そのため、近赤外光の吸収波長が異なるか又は周囲環境によって変動しやすい物の検査や評価などに有利な発光装置10となる。
ここで、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3を混合した光は、青色の光成分と、青緑~緑~黄色の光成分と、赤色の光成分とを含むことが好ましい。青色の光成分は、435nm以上480nm未満の波長範囲内の光成分であることが好ましく、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることがより好ましい。青緑~緑~黄色の光成分は、500nm以上580nm未満の波長範囲内の光成分であることが好ましく、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることがより好ましい。赤色の光成分は、600nm以上700nm未満の波長範囲内の光成分であることが好ましく、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることがより好ましい。これにより、出力光9は、光の三原色となる青と緑と赤の光成分を含むため、演色性が高い可視光を出力できる発光装置10となる。また、被照射物を、ありのまま見せることに有利な発光装置10となる。さらに、光の三原色及び近赤外の光成分を多く放つものになるので、RGB-NIRイメージングと呼ばれるイメージング技術との適合性がよい発光装置10となる。
第一の光成分1は、第一の発光素子5が放つ第一の一次光1Aに由来し、435nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ青色光成分とすることができる。また、第一の光成分1は、440nm以上470nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ青色光成分とすることが好ましい。このような第一の光成分1は、青色光を放つ発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)など、オーソドックスな固体発光素子を利用して得ることができる。そのため、スピーディーな商品開発や工業生産に有利な発光装置10となる。
第二の光成分2は、第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aに由来し、500nm以上580nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ緑~黄色の光成分、好ましくは510nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ緑の光成分とすることができる。または、第二の光成分2は、第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aに由来し、600nm以上680nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色の光成分、好ましくは610nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光成分とすることができる。
第三の光成分3は、第一の蛍光体7が放つ第一の波長変換光3Aに由来し、500nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ緑~黄~橙~赤色の光成分とすることができる。また、第三の光成分3は、第一の蛍光体7が放つ第一の波長変換光3Aに由来し、500nm以上600nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ緑~黄~橙の光成分とすることができる。第三の光成分3は、第一の蛍光体7が放つ第一の波長変換光3Aに由来し、520nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ緑色の光成分とすることができる。
第二の光成分2及び第三の光成分3を上述のようにすると、出力光9において、第一の発光素子5が放つ第一の光成分1と、第二の発光素子6が放つ第二の光成分2と、第一の蛍光体7が放つ第三の光成分3とが光の三原色を成す。そのため、各々の光成分の強度や色調を制御することにより、広い色度範囲内において出力光9の色調を制御することができ、さらに高演色性の出力光9を得ることができる。
なお、第二の光成分2は、第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aに由来し、600nm以上680nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色の光成分であることが好ましい。また、第二の光成分2は、第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aに由来し、610nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色の光成分とすることがより好ましい。このようにすると、赤色の波長範囲内に強度最大値を持つ光成分について、スペクトル半値幅を狭くすることができる。そのため、出力光9の可視光成分の高出力化と高演色性化の両立が容易な発光装置10となる。
第四の光成分4は、第二の光成分2が第二の蛍光体8によって波長変換された光、つまり第二の波長変換光4Aであることが好ましい。このようにすると、第二の蛍光体8による光吸収と蛍光放出のエネルギー差(ストークスシフト)を小さくすることができる。そのため、可視光から近赤外光への波長変換に伴って生じるエネルギー損失により第二の蛍光体8が発熱し、当該蛍光体の温度上昇によって消光する現象(温度消光)を抑制することができる。したがって、近赤外の光成分の高出力化に有利な発光装置10となる。
第三の光成分3は、第一の光成分1が第一の蛍光体7によって波長変換された光、つまり第一の波長変換光3Aであることが好ましい。このようにすると、第一の蛍光体7による光吸収と蛍光放出のエネルギー差を小さくすることができる。そのため、可視光からそれよりも長波長の可視光への波長変換に伴って生じるエネルギー損失により第一の蛍光体7が発熱し、当該蛍光体の温度上昇によって消光する現象を抑制することができる。そのため、高い光子変換効率で第三の光成分3を出力することができる発光装置10となる。
出力光9において、波長700nm未満の光成分のエネルギー強度の積分値は、波長700nm以上の光成分のエネルギー強度の積分値よりも大きくすることができる。また、波長700nm未満の光成分のエネルギー強度の積分値は、波長700nm以上の光成分のエネルギー強度の積分値の2倍を超えるようにしてもよく、3倍を超えるようにしてもよい。このようにすると、視感度の大きな可視光のエネルギー強度が、視感度の小さな近赤外光を含む光成分のエネルギー強度よりも大きくなる。そのため、人の目により被照射物が明るく見やすくなり、さらに必要に応じて、被照射物の非破壊検査なども行うことが可能となる。
また、出力光9において、波長700nm未満の光成分のエネルギー強度の積分値は、波長700nm以上の光成分のエネルギー強度の積分値よりも小さくすることができる。また、波長700nm未満の光成分のエネルギー強度の積分値は、波長700nm以上の光成分のエネルギー強度の積分値の半分を下回るようにしてもよく、1/3を下回るようにしてもよい。このようにすると、近赤外光を含む光成分のエネルギー強度が、可視光のエネルギー強度よりも大きくなる。そのため、このような出力光9は、高精度の非破壊検査、微小物の非破壊検査、広域の非破壊検査、大きな物又は厚みを持つ物の非破壊検査などに好適となる。また、必要に応じて、被照射物の表面状態などを人の目で簡単に確認することも可能となる。また、可視光成分の出力割合が小さな出力光9を放つため、出力光9の眩しさを緩和する上で有利な発光装置にもなる。
発光装置10において、出力光9は白色を呈するものとすることができる。例えば、第一の光成分1、第二の光成分2及び第三の光成分3を適宜組み合わせ、加法混色によって、出力光を白色光とすることが好ましい。このようにすると、発光装置10は、自然光に近い色調の光と高出力の近赤外線を同時に放つものになり、一般照明と産業用照明を兼ねることができる。そのため、発光装置10は、自然に近い状態で照らされる環境下で被照射物の状態を検知する検知装置、及び被照射物の内部構造や欠陥を検査する検査装置に使用することができる。
発光装置10において、白色を呈する出力光9は、平均演色評価数Raが80を超えることが好ましく、90を超えることがより好ましい。このようにすると、高演色性の光によって、青果物、食肉及び鮮魚などの見た目を、鮮度感が溢れるものにすることができる。一方、これらを照らす近赤外光の反射光又は透過光を検出することによって、内部の傷み具合や鮮度などの評価を行うことができる。このため、例えば、売り場に陳列した青果物の傷み具合を、第三者に悟られること無く把握し、傷みが認められる場合には売り場から早めに取り去ることが可能となる。
また、高演色性の光によって、人の顔や肌、又は体内の臓器などを美しく見せることができる。一方、近赤外光の反射光又は透過光の検出によって、人の健康状態や疾病などの評価を行うことができる。さらに、高演色性の光によって、動植物に対し、自然に近い生気を感じさせることができる。一方、近赤外光によって、動植物の健康状態や傷の状態などの評価を行うことができる。また、高演色性の光によって自然光で照らされたときと遜色のない状態とした後、人に悟られること無く、近赤外光によって被照射物の監視や計測を行うことができる。
白色を呈する出力光9は、少なくとも440nm以上660nm未満の波長範囲内の全域において、分光強度を持つものにすることができる。また、白色を呈する出力光9は、少なくとも430nm以上900nm未満の波長範囲内の全域において、分光強度を持つものにすることもできる。つまり、上記の波長範囲内において、強度がゼロとなる波長成分がない分光分布の光にすることができる。このような出力光9は、波長が異なる多くの光で対象物を照らすことができる。また、出力光9は、短波長可視(紫青)から近赤外に亘る全域において、分光強度を持つことが好ましい。これにより、照らす波長によって異なる反射光を撮影した後に集約し、照らされた物の特徴を可視化するハイパースペクトルイメージングに適用することができる。
なお、図1の実線は、第一の発光素子5、第二の発光素子6、第一の蛍光体7、第二の蛍光体8として、以下のものを用いた発光装置における出力光9の分光分布の一例を示している。第一の発光素子5としては青色発光ダイオードを使用し、第一の光成分1のピーク波長は450nmである。第二の発光素子6としては赤色発光ダイオードを使用し、第二の光成分2のピーク波長は635nmである。第一の蛍光体7としてはCe3+で付活されたイットリウムアルミニウムガーネットタイプの蛍光体を使用し、第三の光成分3の蛍光ピーク波長は535nmである。第二の蛍光体8としてはCr3+で付活されたガドリニウムガリウムガーネットタイプの蛍光体を使用し、第四の光成分4の蛍光ピーク波長は765nmである。
図1の実線で示すように、出力光9の分光分布は650nmから750nmの波長範囲内に谷部Tを有しており、谷部Tを境に可視光成分と近赤外光成分が分離されている。さらに、650nm以上750nm以下の波長範囲内の強度最小値、つまり波長690nm付近の強度は、380nm以上2500nm以下の波長範囲内における強度最大値、つまり波長450nm付近の強度の30%未満である。
また、図1の実線で示された分光分布の、相関色温度、duv(黒体輻射からのずれを示す指標)及び平均演色評価数Raは、それぞれ、8115K、0.6及び93である。このように、duvは±1の範囲内にあることから自然光に近い光色であるといえる。また、Raは90を超えているため、図1の実線の出力光は、自然光に近く高演色性である。
図1の破線は、第一の発光素子5、第二の発光素子6、第一の蛍光体7、第二の蛍光体8として、以下のものを用いた発光装置における出力光9の分光分布の一例を示している。第一の発光素子5としては青色発光ダイオードを使用し、第一の光成分1のピーク波長は450nmである。第二の発光素子6としては赤色発光ダイオードを使用し、第二の光成分2のピーク波長は660nmである。第一の蛍光体7としてはCe3+で付活されたイットリウムアルミニウムガーネットタイプの蛍光体を使用し、第三の光成分3の蛍光ピーク波長は555nmである。第二の蛍光体8としてはCr3+で付活されたガドリニウムガリウムガーネットタイプの蛍光体を使用し、第四の光成分4の蛍光ピーク波長は765nmである。
図1の破線で示すように、出力光9の分光分布は650nmから750nmの波長範囲内に谷部Tを有しており、谷部Tを境に可視光成分と近赤外光成分が分離されている。さらに、650nm以上750nm以下の波長範囲内の強度最小値、つまり波長690nm付近の強度は、380nm以上2500nm以下の波長範囲内における強度最大値、つまり波長770nm付近の強度の30%未満である。
図1の破線で示された分光分布の、相関色温度、duv及び平均演色評価数Raは、それぞれ、4839K、-13.6及び86である。ここで、一般照明用として適する相関色温度は、2800K以上7000K未満であることから、図1の破線の出力光は一般照明に適している。また、duvは±30の範囲内にあるものの、Raは85を超えているため、図1の破線の出力光も、自然光に近く高演色性である。
なお、相関色温度、duv及び平均演色評価数Raの数値は、照明設計に係る光源技術を用いて分光分布を調整することによって、所望の数値とすることができる。例えば、相関色温度は、2800K以上18000K未満、特に3000K以上8000K未満の範囲内における任意の数値となるように、調整することができる。また、平均演色評価数Raは、70以上100未満、特に80以上98未満の範囲内における任意の数値になるように、調整することができる。duvは、-30以上30未満、特に-10以上10未満の範囲内における任意の数値になるように、調整することができる。
ちなみに、相関色温度が低い光は、電球が放つ光に近い光色になり、相関色温度が高い光は、昼間の太陽光に近い光色になる。平均演色評価数が小さい光は、高光束化に有利な光になり、平均演色評価数が大きい光は、自然光に近い光になる。duvが小さな光は、緑色の光成分が比較的少なく紫味を帯びた光になり、duvが大きな光は、視感度を大きくする緑味を帯び、高光束化に有利な光になる。duvがゼロに近い光は、自然光の色調に近い光になる。
図1の分光分布において、第一の光成分1は、青色発光ダイオード(第一の発光素子5)が放つ第一の一次光1Aとしての青色光に由来している。第二の光成分2は、赤色発光ダイオード(第二の発光素子6)が放つ第二の一次光2Aとしての赤色光に由来している。第三の光成分3は、第一の蛍光体7となるCe3+で付活されたイットリウムアルミニウムガーネットタイプの蛍光体が放つ可視変換光に由来している。第四の光成分4は、第二の蛍光体8となるCr3+で付活されたガドリニウムガリウムガーネットタイプの蛍光体が放つ可視変換光に由来している。
出力光9の分光分布は、図1の実線で示すように、波長380nm以上700nm未満の光成分の強度が最大値を示すことが好ましい。特に、出力光9の分光分布は、波長700nm未満の光成分の強度最大値が、波長700nm以上の光成分の強度最大値の1.5倍を超えることが好ましく、2倍を超えることがより好ましく、3倍を超えることがさらに好ましい。これによって、可視の光成分割合が多く、さらに可視の光成分への変換効率が高い発光装置となる。
出力光9の分光分布は、図1の破線で示すように、波長700nm以上における光成分の強度が最大値を示すことも好ましい。特に、出力光9の分光分布は、波長700nm以上の光成分の強度最大値が、波長380nm以上700nm未満の光成分の強度最大値の1.5倍を超えることが好ましく、2倍を超えることがより好ましく、3倍を超えることがさらに好ましい。
また、波長380nm以上700nm未満の光成分の強度最大値は、波長700nm以上の光成分の強度最大値の50%に満たないことが好ましく、30%に満たないことがより好ましく、10%に満たないことがさらに好ましい。これにより、近赤外の光成分割合が多く、さらに近赤外の光成分への変換効率が高い発光装置となる。
なお、出力光9の分光分布は、図1に示すように、波長380nm未満の紫外域の光成分を実質に含まないことが好ましい。これによって、投入電力を可視光と赤外光にのみ変換でき、可視光と赤外光へのエネルギー変換効率が高い発光装置となる。
出力光9の分光分布は、第四の光成分4として、Cr3+イオンの4T2→4A2の電子エネルギー遷移に由来するブロードな蛍光成分を有することが好ましい。また、当該蛍光成分は、700nm以上の波長領域に蛍光ピークを持つことが好ましい。これにより、出力光9は広い波長範囲に亘る近赤外光成分を持つことになるため、発光装置10をハイパースペクトルイメージングに好適に用いることができる。
出力光9の分光分布は、少なくとも410nm以上700nm未満、好ましくは380nm以上780nm未満の可視の波長領域の全域に亘って光成分を持つことが好ましい。これにより、被照射物を人の目で確認することが可能となる。また、スペクトルイメージングに利用できる光成分を、可視域の全波長範囲に亘って放つ発光装置となる。
[発光装置の構成]
次に、本実施形態に係る発光装置の具体的な構成を説明する。
本実施形態の発光装置10は、図2から図6に示すように、第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の波長変換体7Aと、第二の波長変換体8Aとを、少なくとも組み合わせてなる。第一の発光素子5は、第一の光成分1の由来源となる第一の一次光1Aを放つ。第二の発光素子6は、第二の光成分2の由来源となる第二の一次光2Aを放つ。第一の波長変換体7Aは、第三の光成分3の由来源となる第一の波長変換光3Aを放つ。第二の波長変換体8Aは、第四の光成分4の由来源となる第二の波長変換光4Aを放つ。
第一の波長変換体7Aは第一の蛍光体7を含み、第二の波長変換体8Aは第二の蛍光体8を含む。なお、第一の波長変換体7Aと第二の波長変換体8Aは一体化してもよい。つまり、図3に示すように、一つの波長変換体に、第一の蛍光体7と第二の蛍光体8の両方が含まれていてもよい。
第一の一次光1A及び第二の一次光2Aは、第一の光成分1及び第二の光成分2と同様に色調が異なる光成分である。そして、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aは、380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分であることが好ましく、435nm以上670nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分であることがより好ましい。例えば、第一の一次光1Aは、435nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができ、好ましくは440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができる。第二の一次光2Aは、500nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができ、好ましくは610nm以上670nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができる。
第一の波長変換光3Aは、第三の光成分3と同様に、435nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分である。例えば、第一の波長変換光3Aは、500nm以上600nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができ、好ましくは510nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができる。
第二の波長変換光4Aは、第四の光成分4と同様に、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外の光成分である。例えば、第二の波長変換光4Aは、750nm以上1800nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができ、好ましくは780nm以上1500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光とすることができる。
(第一の発光素子5,第二の発光素子6)
第一の発光素子5は第一の一次光1Aを放射する発光素子であり、第二の発光素子6は第二の一次光2Aを放射する発光素子である。第一の発光素子5及び第二の発光素子6としては、例えば、発光ダイオード又はレーザーダイオードなどの固体発光素子が利用できる。
そして、第一の発光素子5及び第二の発光素子6として、1W以上のエネルギーの光を放つLEDモジュール又はレーザーダイオードを利用することにより、数百mWクラスの光出力を期待できる発光装置10となる。第一の発光素子5及び第二の発光素子6として、3W以上又は10W以上のエネルギーの光を放つLEDモジュールを利用すれば、数Wクラスの光出力を期待できる発光装置10となる。また、第一の発光素子5及び第二の発光素子6として、30W以上のエネルギーの光を放つLEDモジュールを利用することにより、10Wを超える光出力を期待できる発光装置10となる。第一の発光素子5及び第二の発光素子6として、100W以上のエネルギーの光を放つLEDモジュールを利用することにより、30Wを超える光出力を期待できる発光装置10となる。
また、レーザーダイオードを利用して、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの少なくとも一方が、レーザー光になるようにすることができる。これにより、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの少なくとも一方に、高密度のスポット光を照射する仕様になる。そのため、発光装置を高出力の点光源とすることもでき、固体照明の産業利用の範囲を広げることが可能となる。
このようなレーザーダイオードとしては、例えば、端面発光レーザー(EEL:Edge Emitting Laser)、垂直共振器面発光型レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等を利用することができる。
さらに、光ファイバーなどの導光部材を備えることによって、第一の発光素子5及び第二の発光素子6の少なくとも一方と、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの少なくとも一方とが、空間的に離れる構成にすることができる。これにより、発光部が軽くて自在に動かすことができ、照射場所を自在に変えることが容易な発光装置となる。
第一の発光素子5が放射する第一の一次光1Aの光エネルギー密度は、0.3W/mm2を超えることが好ましく、1.0W/mm2を超えることがより好ましい。また、第二の発光素子6が放射する第二の一次光2Aの光エネルギー密度は、0.3W/mm2を超えることが好ましく、1.0W/mm2を超えることがより好ましい。この場合、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの光エネルギー密度が大きい。そのため、光拡散させた第一の一次光1A及び第二の一次光2Aを、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aに照射する構成にしても、比較的強い出力光9を放つ発光装置となる。また、光拡散させない第一の一次光1A及び第二の一次光2Aを、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aに照射する構成にすると、光エネルギー密度が大きい出力光9を放つ発光装置となる。
第一の発光素子5が放つ第一の一次光1A及び第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aの光エネルギー密度の上限は特に限定されないが、例えば30W/mm2とすることができる。
上述のように、発光装置10において、第一の発光素子5及び第二の発光素子6は、固体発光素子であることが好ましく、発光ダイオード及びレーザーダイオードの少なくとも一方であることが好ましい。ただ、第一の発光素子5及び第二の発光素子6はこれらに限定されず、高出力の第一の一次光1A及び第二の一次光2Aを放つことが可能であれば、あらゆる発光素子を用いることができる。
第一の発光素子5及び第二の発光素子6の少なくとも一方は、複数個の固体発光素子を備えた構成とすることが好ましい。このようにすると、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの出力を大きくすることが容易となるため、高出力化に有利な発光装置となる。なお、固体発光素子の個数は特に限定されないが、例えば、9個以上、16個以上、25個以上、36個以上、49個以上、64個以上、81個以上又は100個以上とすることができる。また、固体発光素子の個数の上限も特に限定されないが、例えば、9個、16個、25個、36個、49個、64個、81個又は100個とすることができる。
発光装置10において、第一の発光素子5及び第二の発光素子6の少なくとも一方は、面発光形の光源であることが好ましい。また、第一の発光素子5及び第二の発光素子6の両方が、面発光形の光源であることが好ましい。これにより、波長変換体に照射される第一の一次光1A及び第二の一次光2Aにおける強度分布のばらつきや色調のむらを抑制できる。そのため、出力光9における強度分布のばらつきや色調のむらを抑制することが可能な発光装置となる。
(第一の波長変換体,第二の波長変換体)
本実施形態に係る発光装置10において、第一の波長変換体7Aは、少なくとも第一の蛍光体7を封止材で封止することによって作製することができる。また、第二の波長変換体8Aは、少なくとも第二の蛍光体8を封止材で封止することによって作製することができる。封止材は、有機材料及び無機材料の少なくとも一方、特に、透明(透光性)有機材料及び透明(透光性)無機材料の少なくとも一方であることが好ましい。有機材料の封止材としては、例えば、シリコーン樹脂などの透明有機材料が挙げられる。無機材料の封止材としては、例えば、低融点ガラスなどの透明無機材料が挙げられる。
また、第一の波長変換体7Aは、結着材などを利用して、第一の蛍光体を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第一の波長変換体7Aは、第一の蛍光体を焼結することにより、無機材料の焼結体、つまり蛍光セラミックスとすることもできる。同様に、第二の波長変換体8Aは、結着材などを利用して、第二の蛍光体を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第二の波長変換体8Aは、第二の蛍光体を焼結することにより、無機材料の焼結体、特に蛍光セラミックスとすることもできる。また、このような波長変換体及び蛍光セラミックスを、適宜、複合化することもできる。例えば、波長変換体及び蛍光セラミックスを積層して利用することもできる。
樹脂封止した波長変換体は、粉末蛍光体を利用して、比較的容易に製造できるため、比較的安価な発光装置を提供する上で有利となる。また、全無機の波長変換体は、熱伝導性に優れるので、発光装置の放熱設計が容易になる。このため、波長変換体の温度上昇を抑制して蛍光体の温度消光を低減できることから、高出力化に有利な発光装置となる。
第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの厚みは特に限定されない。ただ、一例を挙げると、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの最大厚みは100μm以上5mm未満であることが好ましく、200μm以上1mm未満であることがより好ましい。
第一の波長変換体7Aは、第一の発光素子5の光出力面の全体を覆うように配置されていることが好ましい。また、第一の発光素子5が面発光光源であり、第一の波長変換体7Aは、当該面発光光源の光出力面の全体を覆うように配置されていることがより好ましい。同様に、第二の波長変換体8Aは、第二の発光素子6の光出力面の全体を覆うように配置されていることが好ましい。また、第二の発光素子6が面発光光源であり、第二の波長変換体8Aは、当該面発光光源の光出力面の全体を覆うように配置されていることがより好ましい。これにより、第一の一次光1Aが第一の波長変換体7Aに効率よく照射される構成になる。同様に、第二の一次光2Aが第二の波長変換体8Aに効率よく照射される構成になる。そのため、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの変換効率が高まり、高効率の発光装置10となる。
なお、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aは、透光性を有することが好ましい。これにより、波長変換体の内部で波長変換されて生成した光成分を、効率的に出力することができ、高出力化に有利な発光装置となる。
(第一の蛍光体)
第一の蛍光体7は、第一の発光素子5が放つ第一の一次光1Aの少なくとも一部を吸収して、第一の波長変換光3Aに変換する蛍光体である。第一の蛍光体7としては、例えば、固体照明光源用として知られる各種の無機蛍光体を利用することができる。
例えば、第一の蛍光体7として、435nm以上500nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す青色の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、青色の光成分を含むものになる。この際、第一の一次光1Aとしては、波長380nm以上であり、かつ、上記蛍光強度最大値を示す波長未満の範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。
例えば、第一の蛍光体7として、470nm以上530nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す青緑色又は緑色の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、青緑色の光成分を含むものになる。この際、第一の一次光1Aとしては、波長380nm以上であり、かつ、上記蛍光強度最大値を示す波長未満の範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。
例えば、第一の蛍光体7として、500nm以上560nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す緑色又は黄緑色の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、緑色の光成分を含むものになる。この際、第一の一次光1Aとしては、波長380nm以上であり、かつ、上記蛍光強度最大値を示す波長未満の範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。また、第一の一次光1Aとしては、435nm以上500nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光を使用することが好ましい。
例えば、第一の蛍光体7として、560nm以上600nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す黄色又は橙色の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、黄色の光成分を含むものになる。この際、第一の一次光1Aとしては、波長380nm以上であり、かつ、上記蛍光強度最大値を示す波長未満の範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。また、第一の一次光1Aとしては、435nm以上500nm未満又は500nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光を使用することが好ましい。
例えば、第一の蛍光体7として、600nm以上700nm未満、特に610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す赤色又は深赤色の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、赤色の光成分を含むものになる。この際、第一の一次光1Aとしては、波長380nm以上であり、かつ、上記蛍光強度最大値を示す波長未満の範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。また、第一の一次光1Aとしては、435nm以上500nm未満、500nm以上560nm未満、又は560nm以上600nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光を使用することが好ましい。
なお、第一の蛍光体7として、暗所視において視感度が高い青緑色の光成分を含む波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、暗がりや暗闇において視認しやすい出力光9を放つ発光装置10となる。また、第一の蛍光体7として、明所視において視感度が高い緑色の光成分を含む波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、明るい所において視認しやすい出力光9を放つ発光装置10となる。
第一の蛍光体7として、黄色の光成分を含む波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、例えば、紫外線や青色光によって感光しやすい樹脂を使用する作業環境下で有利な発光装置10となる。また、第一の蛍光体7として、赤色の光成分を含む波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、食肉、マグロ若しくはリンゴ、又は、人の肌などの見た目を良好にする出力光9を放つ発光装置10となる。
第一の蛍光体7としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で付活され、可視の蛍光を放つ蛍光体を利用することができる。希土類イオンはCe3+及びEu2+の少なくとも一方であることが好ましく、遷移金属イオンは特にMn4+であることが好ましい。そして、第一の蛍光体7としては、上述のイオンを発光中心として含有し、母体として、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物及び酸ハロゲン化物の少なくとも一つを含有した蛍光体を使用することができる。
より詳説すると、第一の蛍光体7として用いることができる蛍光体は、ハロリン酸塩、リン酸塩、ハロ珪酸塩、珪酸塩、アルミン酸塩、アルミノ珪酸塩、硼酸塩、ゲルマン酸塩、窒化珪酸塩、窒化アルミノ珪酸塩、酸窒化珪酸塩及び酸窒化アルミノ珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。そして、第一の蛍光体7は、これらの化合物から照明設計に適するものを適宜選択して利用すればよい。
第一の蛍光体7として特に好ましい蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持ち、Ce3+で付活された複合酸化物蛍光体である。このようなCe3+付活ガーネット蛍光体は、希土類アルミニウムガーネット蛍光体が好ましい。具体的には、Ce3+付活ガーネット蛍光体は、Lu3Al2(AlO4)3:Ce3+、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+、Lu3Ga2(AlO4)3:Ce3+、Y3Ga2(AlO4)3:Ce3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、Ce3+付活ガーネット蛍光体は、これらの蛍光体を端成分としてなる固溶体であることも好ましい。
Ce3+付活ガーネット蛍光体は、青色光を吸収して緑色光に変換する性質を持つものが多い。そのため、第一の一次光1Aを放つ第一の発光素子5として、青色光を放つ固体発光素子を利用することができる。これにより、少なくとも青色と緑色の二種類の光成分を含み、高演色性の出力光9を得ることができる。
また、車載ヘッドランプ技術や高出力プロジェクタ-技術などの進展に伴い、近年では、高出力化や信頼性の確保に有利なCe3+付活ガーネット蛍光体のセラミックス化技術も進展している。そのため、蛍光セラミックスを利用し、高出力化や信頼性の面で有利な発光装置10の提供も容易となる。
(第二の蛍光体)
第二の蛍光体8は、第一の発光素子5が放つ第一の一次光1A及び第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aの少なくとも一方を吸収して、第二の波長変換光4Aに変換する蛍光体である。この際、第二の蛍光体8は、照射された一次光の少なくとも一部を吸収する。また、第二の蛍光体8は、第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aを吸収して、第二の波長変換光4Aに変換する蛍光体であることが好ましい。第二の蛍光体8は、例えば、近赤外光源用として知られる、各種の無機蛍光体を利用することができる。
例えば、第二の蛍光体8として、700nm以上1700nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す近赤外の波長変換光を放つ蛍光体を利用すると、出力光9は、各種ガス分子の吸光波長の光成分を含むことができる。この際、吸収される一次光としては、380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。また、当該一次光としては、500nm以上580nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す緑から黄色の光、又は、600nm以上680nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す赤色の光を使用することが好ましい。
なお、各種ガス分子の吸光波長は、例えば、O2が760nm、NO2が830nm、H2Oが1365nm、NH3が1530nm、C2H2が1530nm、COが1567nm、CO2が1573nm、CH4が1651nmである。
ここで、近赤外分光法を利用して、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)及びこれらの成分を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体8としては、700nmを超え900nm未満の波長範囲内、好ましくは750nmを超え850nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
近赤外分光法を利用して、水(H2O)及び水を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体8としては、1200nmを超え1500nm未満の波長範囲内、好ましくは1275nmを超え1425nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
近赤外分光法を利用して、アンモニア(NH3)、炭化水素(C2H2、CH4など)、炭素酸化物(CO、CO2など)及びこれらの成分を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体8としては、1400nmを超え1800nm未満の波長範囲内、好ましくは1500nmを超え1700nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
逆に、第二の蛍光体8から発せられる第二の波長変換光4Aが酸素又は二酸化窒素で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体8としては、750nmを超え850nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体8としては、700nmを超え900nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体8としては、上記波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
また、第二の蛍光体8から発せられる第二の波長変換光4Aが水で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体8としては、1275nmを超え1425nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体8としては、1200nmを超え1500nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体8としては、上記波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
第二の蛍光体8から発せられる第二の波長変換光4Aがアンモニア、炭化水素、炭素酸化物で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体8としては、1500nmを超え1700nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体8としては、1400nmを超え1800nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体8としては、上記波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
なお、第二の蛍光体8として近赤外の波長変換光を放つ蛍光体を利用する発光装置は、フォトダイオードの分光感度が高い光成分を出力する。そして、フォトダイオードは、検出器用のセンサーに専ら利用されている。そのため、このような発光装置は、フォトダイオードを利用する検査装置に好適に用いることができる。
例えば、SiフォトダイオードやSi-PINフォトダイオードを利用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体8は、700nm以上1100nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体8は、780nm以上1050nm未満の波長範囲内、特に800nm以上1000nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
例えば、Geフォトダイオードを利用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体8は、700nm以上1600nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体8は、1100nm以上1550nm未満、特に1300nm以上1500nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
例えば、InGaAsフォトダイオードを利用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体8は、900nm以上1650nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体8は、1000nm以上1600nm未満、特に1100nm以上1600nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
さらに、第二の蛍光体8として、比較的短波長側の近赤外光を放つ蛍光体を利用する発光装置は、熱線となる波長4000nm以上の光成分を出力する可能性が低い。そのため、このような発光装置は、熱によって変質しやすい物の検査用として好適に用いることができる。
一方、第二の蛍光体8としては、780nm以上2500nm未満、好ましくは800nm以上2500nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を示す、比較的長波長側の近赤外光を放つ蛍光体を使用することもできる。これにより、出力光9は、人の目に見えない赤外線の光成分を含むことができる。そして、この際、吸収される一次光としては、380nm以上700nm未満の可視の波長範囲内に強度最大値を示す光を使用することができる。
このような、比較的長波長側の近赤外光を放つ蛍光体を利用する発光装置は、人の目に見える780nmよりも短波長の可視光成分を出力する可能性が低い。そのため、このような発光装置は、出力光9の存在を人に悟られることが不都合な監視用として好適に用いることができる。
第二の蛍光体8としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で付活され、近赤外の光成分を含む蛍光を放つ蛍光体を利用することができる。希土類イオンはNd3+、Eu2+、Ho3+、Er3+、Tm3+及びYb3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。遷移金属イオンはTi3+、V4+、Cr4+、V3+、Cr3+、V2+、Mn4+、Fe3+、Co3+、Co2+及びNi2+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。そして、第一の蛍光体7と同様に、第二の蛍光体8としては、上述のイオンを発光中心として含有し、母体として、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物及び酸ハロゲン化物の少なくとも一つを含有した蛍光体を使用することができる。
なお、第二の蛍光体8において蛍光イオンとして機能するイオンは、上述の希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一つとすることができる。そして、蛍光イオンは、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの少なくとも一方を吸収して、近赤外の光成分に変換する性質を持つものであれば足りる。ただ、好ましい蛍光イオンは、Cr3+である。つまり、第二の蛍光体8は、蛍光イオンとしてCr3+を含むことが好ましい。
蛍光イオンとしてCr3+を利用することにより、可視光、特に青色光又は赤色光を吸収して近赤外の光成分に変換する性質を持つ第二の蛍光体8を得ることが容易になる。また、母体の種類によって、光吸収ピーク波長や蛍光ピーク波長を変えることも容易となり、励起スペクトル形状や蛍光スペクトル形状を変える上で有利になる。さらに、青色光や赤色光を吸収して近赤外の蛍光成分に変換するCr3+付活蛍光体は、数多く知られている。このため、第一の発光素子5及び第二の発光素子6の選択の幅が広がるだけでなく、第二の蛍光体8が放つ第二の波長変換光4Aの蛍光ピーク波長を変えることが容易となるため、出力光の分光分布の制御に有利となる。
なお、蛍光イオンがCr3+となる蛍光体の種類は、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの少なくとも一方を吸収し、赤外の蛍光成分に変換するものであれば特に限定されない。ただ、Cr3+付活蛍光体としては、製造が容易な複合金属酸化物を挙げることができる。
第二の蛍光体8として特に好ましい蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を有し、Cr3+で付活された複合酸化物蛍光体である。このようなCr3+付活ガーネット蛍光体は、希土類アルミニウムガーネット蛍光体及び希土類ガリウムガーネット蛍光体の少なくとも一方であることが好ましい。具体的には、Cr3+付活ガーネット蛍光体は、Y3Al2(AlO4)3:Cr3+、La3Al2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Al2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(AlO4)3:Cr3+、La3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Y3Sc2(AlO4)3:Cr3+、La3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(GaO4)3:Cr3+、La3Ga2(GaO4)3:Cr3+、(Gd,La)3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Y3Sc2(GaO4)3:Cr3+、La3Sc2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(GaO4)3:Cr3+、及び(Gd,La)3(Ga,Sc)2(GaO4)3:Cr3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、Cr3+付活ガーネット蛍光体は、これらの蛍光体を端成分としてなる固溶体であってもよい。
このような蛍光体は、オーソドックスな固相反応を利用して合成することができる。例えば、蛍光体の構成元素(希土類、Al、Ga、Crなど)を含む複数種類の金属酸化物の混合粉末を原料とし、1600℃前後で焼成することにより、合成することができる。
また、例えば、(Gd0.75La0.25)3(Ga0.5Sc0.47Cr0.03)2(GaO4)3の組成式で表される(Gd,La)3(Ga,Sc)2(GaO4)3:Cr3+蛍光体は、波長460nm付近と波長640nm付近に励起スペクトルのピークを持つ。そして、これらの波長の光を吸収して、波長780nm付近に蛍光ピークを持つ光成分に変換することができる。なお、この蛍光体は、波長460nm付近の光と波長640nm付近の光を、60%を超える光吸収率で吸収することができ、さらに90%程度の高い光子変換効率で波長変換することができる。
Cr3+付活ガーネット蛍光体は、青色光又は赤色光を吸収して深赤色~近赤外の光に変換する性質を持つものが多い。そのため、第一の発光素子5及び/又は第二の発光素子6として、青色光を放つ固体発光素子及び/又は赤色光を放つ固体発光素子を利用することができる。これにより、光の三原色(青、緑、赤)を構成する少なくとも一種類(青色又は赤色)の光成分と近赤外の光成分を含む出力光9を得ることができる。
特に、第一の一次光1Aを放つ第一の発光素子5を、青色光を放つ固体発光素子とし、第二の一次光2Aを放つ第二の発光素子6を、赤色光を放つ固体発光素子とする。さらに、第一の波長変換光3Aを放つ第一の蛍光体7を、第一の発光素子5が放つ青色光を緑色光に変換するCe3+付活ガーネット蛍光体とする。また、第二の波長変換光4Aを放つ第二の蛍光体8を、第二の発光素子6が放つ赤色光を近赤外の光に変換するCr3+付活ガーネット蛍光体とする。このような構成により、光の三原色(青、緑、赤)を構成する光成分と近赤外の光成分を含んでなり、高演色性の出力光9を得ることが容易な発光装置10となる。
また、近年、Ce3+付活ガーネット蛍光体の材料技術が、セラミックス化技術も含めて進展している。そのため、Ce3+付活ガーネット蛍光体で培われた技術を、Cr3+付活ガーネット蛍光体へ応用することも容易である。そして、Cr3+付活ガーネット蛍光体を主体にしてなる蛍光セラミックスを利用すると、近赤外の光成分(第四の光成分4)の高出力化や装置の信頼性の面で有利となる。
さらに、Ce3+付活ガーネット蛍光体についても多種多様な当該蛍光体が存在しているので、これらの関連技術の調達も容易である。このため、Ce3+付活ガーネット蛍光体で培われた技術を水平展開できるCr3+付活ガーネット蛍光体を利用することで、所望の発光装置を効率的に開発することができる。
(発光装置の動作)
図2から図6を用いて、本実施形態の発光装置10の動作を説明する。まず、第一の発光素子5及び第二の発光素子6に電力を供給すると、第一の発光素子5は第一の一次光1Aを放出し、第二の発光素子は第二の一次光2Aを放出する。
第一の発光素子5から放射された第一の一次光1Aが第一の波長変換体7Aに入射すると、第一の波長変換体7Aが第一の一次光1Aの一部を吸収し、それよりも光エネルギーが低い第一の波長変換光3Aを放射する。一方、第二の発光素子6から放射された第二の一次光2Aが第二の波長変換体8Aに入射すると、第二の波長変換体8Aは第二の一次光2Aの一部を吸収して、それよりも光エネルギーが低い第二の波長変換光4Aを放射する。
このようにして生成した、第一の一次光1A、第二の一次光2A、第一の波長変換光3A及び第二の波長変換光4Aが、各々、第一の光成分1、第二の光成分2、第三の光成分3及び第四の光成分を生成する起源となる。そして、これらの光成分が分光分布を形成して、出力光9として出力される。
(発光装置の基本構成)
図2から図6に示す発光装置において、第一の一次光1Aは、例えば、固体発光素子が放つ青色光とすることができる。第二の一次光2Aは、例えば、固体発光素子が放つ赤色光とすることができる。第一の波長変換光3Aは、例えば、青色光を第一の蛍光体7で波長変換した緑色光とすることができる。第二の波長変換光4Aは、例えば、赤色光を第二の蛍光体8で波長変換した近赤外の光とすることができる。
このような構成では、第一の発光素子5は、430nm以上480nm未満、好ましくは440nm以上470nm未満の波長範囲内にピークを持つ青色光を第一の一次光1Aとして放つ固体発光素子とすることができる。第二の発光素子6は、600nm以上680nm未満、好ましくは610nm以上660nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ赤色光を第二の一次光2Aとして放つ固体発光素子とすることができる。第一の蛍光体7は、青色光を吸収して第一の波長変換光3Aとなる緑色光に変換する蛍光体とすることができ、Ce3+又はEu2+で付活された蛍光体、特にCe3+付活ガーネット蛍光体とすることができる。第二の蛍光体8は、青色光及び/又は赤色光を吸収して第二の波長変換光4Aとなる近赤外光に変換する蛍光体とすることができ、遷移金属イオンで付活された蛍光体、特にCr3+付活ガーネット蛍光体とすることができる。
なお、第二の発光素子6は、用途に合わせ、赤色光を放つ固体発光素子に替えて、他の色の光を放つ固体発光素子とすることができる。具体的には、第二の発光素子6は、500nm以上560nm未満、好ましくは510nm以上550nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ緑色光を放つ固体発光素子とすることもできる。また、第二の発光素子6は、560nm以上600nm未満、好ましくは575nm以上600nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ黄色光又は橙色光を放つ固体発光素子とすることもできる。
このような構成にすると、第一の光成分1、第二の光成分2、第三の光成分3及び第四の光成分で構成される出力光9が、可視と近赤外の両方の光成分を持つものになる。さらに、出力光9は、可視光と近赤外光の境目付近の蛍光強度が小さくなり、ある程度以上の明瞭さで、これらが分離された分光分布を持つものになる。
また、第一の光成分1の起源となる第一の一次光1A及び第二の光成分2の起源となる第二の一次光2Aは、それぞれ第一の発光素子5及び第二の発光素子6の種類を変えることによって、色調を変えることができる。同様に、第三の光成分3の起源となる第一の波長変換光3A及び第四の光成分4の起源となる第二の波長変換光4Aは、それぞれ第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの種類を変えることによって、色調を変えることができる。また、第一の発光素子5及び第二の発光素子6に供給する電力割合、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの厚み又は蛍光体の含有濃度を変えることによって、各光成分の出力比を変えることもできる。そのため、このような構成にすると、出力光9の分光分布の制御が容易なものとなる。
なお、第二の蛍光体を含む波長変換体は、第四の光成分4を透過することが好ましい。つまり、第二の蛍光体8を含む第二の波長変換体8Aは、第四の光成分4の起源となる第二の波長変換光4Aを透過する特性を持つことが好ましい。このようにすると、第二の波長変換体8Aは近赤外の光成分を透過し、波長変換体の内部で光子が波長変換体自身に吸収されて消失することが抑制される。そのため、近赤外線の高出力化に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図2に示すように、第一の発光素子5及び第一の波長変換体7Aを組み合わせた第一の波長変換型発光素子と、第二の発光素子6及び第二の波長変換体8Aとを組み合わせた第二の波長変換型発光素子とを使用した構成としてもよい。このようにすると、色調が異なる光を放つように設計した第一の波長変換型発光素子及び第二の波長変換型発光素子を事前に調達することにより、これらの組み合わせだけで出力光9の色調を制御することができる。そのため、顧客の要望対応に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図3に示すように、第一の波長変換体7Aと第二の波長変換体8Aを一体化し、第一の発光素子5が放つ第一の一次光1Aと第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aの両方を、一つの波長変換体に照射する構成としてもよい。このようにすると、当該波長変換体に含まれる第一の蛍光体7と第二の蛍光体8の割合を変えることで、出力光9の色調を制御することができる。また、第一の発光素子5と第二の発光素子6の個数割合を変えるだけで、出力光9の色調を制御することができる。さらに、色調が異なる光を放つように設計した、波長変換体と、第一の発光素子5と、第二の発光素子6とを事前に調達することにより、これらの組み合わせだけで出力光9の色調を制御することができる。そのため、顧客の要望対応に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図4に示すように、第一の発光素子5と第一の波長変換体7Aとを組み合わせた第一の波長変換型発光素子と、第二の発光素子6と、第二の波長変換体8Aとを使用した構成としてもよい。この場合、第一の波長変換体7Aを透過した第一の一次光1Aと、第二の一次光2Aの両方を、第二の波長変換体8Aに照射する構成となっている。このようにすると、色調が異なる光を放つように設計した、第一の波長変換型発光素子と、第二の発光素子6と、第二の波長変換体8Aを事前に調達することにより、これらの組み合わせだけで出力光9の色調を制御することができる。そのため、顧客の要望対応に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図5に示すように、あらかじめ別々に準備された、第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の波長変換体7Aと、第二の波長変換体8Aとを使用した構成としてもよい。この場合、第一の一次光1Aと第二の一次光2Aの両方を第一の波長変換体7Aに照射し、さらに、第一の波長変換体7Aを透過した第一の一次光1Aと第二の一次光2Aの両方を、第二の波長変換体8Aに照射する構成となっている。このようにすると、色調が異なる光を放つように設計した、第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の波長変換体7Aと、第二の波長変換体8Aとを事前に調達することにより、これらの組み合わせだけで出力光9の色調を制御することができる。そのため、顧客の要望対応に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図6に示すように、予め別々に準備された、第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の波長変換体7Aと、第二の波長変換体8Aとを使用した構成としてもよい。この場合、第一の一次光1Aは、第一の波長変換体7Aだけを照射し、第二の一次光2Aは、第二の波長変換体8Aだけを照射する構成となっている。このようにしても、色調が異なる光を放つように設計した、第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の波長変換体7Aと、第二の波長変換体8Aとを事前に調達することにより、これらの組み合わせだけで出力光9の色調を制御することができる。そのため、顧客の要望対応に有利な発光装置となる。
発光装置10は、図3から図6に示すように、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの正面(7Aa,8Aa)で、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aを受光し、背面(7Ab,8Ab)から蛍光を放射する透過形の構成とすることができる。また、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aの正面(7Aa,8Aa)で、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aを受光し、同じ正面(7Aa,8Aa)から蛍光を放射する反射型の構成とすることもできる。
本実施形態の発光装置10は、図3から図5に示すように、第一の光成分1と第三の光成分との混合光成分と、第二の光成分と第四の光成分との混合光成分が、同じ出力面から出力される構成にすることができる。このようにすると、近赤外光を含まない光成分と近赤外光を含む光成分を、同じ光出力面から出力するので、光出力面の小型化に有利な発光装置となる。
さらに詳説すると、発光装置10において、第一の発光素子5が放つ第一の一次光1A及び第二の発光素子6が放つ第二の一次光2Aは、いずれも、第一の波長変換体7A又は第二の波長変換体8Aに照射される。また、図3から図5に示すように、第一の光成分1と第三の光成分との混合光成分と、第二の光成分と第四の光成分との混合光成分とは、同じ出力面から出力されるように構成することができる。そして、このような構成とするには、第一の波長変換体7Aと第二の波長変換体8Aは共に光透過性を持つ構造であることが好ましい。つまり、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの双方が、第一の波長変換体7A及び/又は第二の波長変換体8Aを透過し、第一の波長変換光3A及び第二の波長変換光4Aと共に出力し得る構造であることが好ましい。
発光装置10を図3から図5のような構成にすると、出力光9を放つ光出力面の大きさを、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aにおける面積が大きな方の範囲内に納めることができる。そのため、小型化に有利な発光装置となる。
図5の発光装置10では、第一の発光素子5及び第二の発光素子6に近い側に第一の波長変換体7Aを配置し、遠い側に第二の波長変換体8Aを配置している。ただ、第一の発光素子5及び第二の発光素子6に近い側に第二の波長変換体8Aを配置し、遠い側に第一の波長変換体7Aを配置してもよい。
本実施形態の発光装置10は、図2及び図6に示すように、第一の一次光1Aを第二の波長変換体8Aに照射せずに第一の波長変換体7Aに照射し、第一の一次光1A及び第一の波長変換光3Aの両方を出力する構成にすることができる。また、第二の一次光2Aを第一の波長変換体7Aに照射せずに第二の波長変換体8Aに照射し、第二の一次光2A及び第二の波長変換光4Aの両方を出力する構成にすることができる。この場合、第一の光成分1と第三の光成分3の混合光成分と、第二の光成分2と第四の光成分4の混合光成分は、互いに異なる出力面から出力されることになる。
図2及び図6のような構成にすると、近赤外の光成分を含む第四の光成分4を放射する発光面と、近赤外の光成分を含まない可視光を放射する発光面とを、独立して備えるものになる。そして、近赤外の光成分を含まない出力光と、近赤外の光成分を含む出力光を、分けて出力するものになる。そのため、これらの出力光をそれぞれ独立して制御することができ、さらに用途に応じて、近赤外線と可視光の強度比や当該可視光の色調を制御することができる。また、近赤外線と可視光を交互に出力することができる。
例えば、近赤外線と可視光を交互に照射する発光装置は、検知器における、近赤外線の反射光と可視光の反射光との干渉をいっそう抑制することができる。そのため、当該発光装置を用いることで、S/N比が良好な信号が得られる電子機器を提供することができる。
(発光装置の改良例)
次に、本実施形態の発光装置に関し、性能改善のための改良例について説明する。
本実施形態の発光装置10は、第一の発光素子5及び第二の発光素子6を高出力型のものにする、又は発光素子の数を増やすなどの手段によって、出力光9を構成する光子の絶対数を増やすことができる。これにより、発光装置10から放出される出力光9の光エネルギーを、3W、好ましくは10W、より好ましくは30Wを超えるものにすることができる。また、出力光9における波長700nm以上の光成分の光エネルギーを、3Wを超えるものにすることもできる。このような高出力型の発光装置とすることにより、強い出力光(例えば、近赤外光)で照らすことができるため、被照射物との距離が大きくても、比較的強い近赤外線を照射することができる。また、被照射物が微小なものや厚みを持つものであっても、被照射物に関わる情報を得ることができる。
発光装置10において、第二の蛍光体8によって第四の光成分4の光子に変換される光子は、複数個の固体発光素子から供給されることが好ましい。これにより、第二の蛍光体8に多くの光子を供給する構成になるため、近赤外の光成分の高出力化に有利な発光装置10となる。
発光装置10は、第一の発光素子5及び第二の発光素子6を、レーザーダイオードなどの高光密度の一次光を放つ発光素子にする、又は発光素子が放つ光を光学レンズで集光するなどの手段によって、蛍光体に供給する光子密度を高めることもできる。例えば、第一の一次光1A及び第二の一次光2Aの少なくとも一方、特に第二の一次光2Aの光エネルギー密度は、0.3W/mm2、好ましくは1.0W/mm2、より好ましくは3.0W/mm2を超えるものとすることができる。このようにすると、光エネルギー密度が大きい出力光9を放ち得る発光装置となる。そのため、例えば、光エネルギー密度が大きな近赤外の光を点出力することができる発光装置となる。
第一の発光素子5及び第二の発光素子6として、高光密度の光を放つ発光素子を使用した場合、一次光の光エネルギー密度を0.3W/mm2、好ましくは1.0W/mm2、より好ましくは3.0W/mm2を超えるものにすることができる。このようにすると、光拡散させた一次光を、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aに照射する構成にした場合でも、比較的強い出力光9を放つ発光装置となる。また、光拡散させない一次光を、第一の波長変換体7A及び第二の波長変換体8Aに照射する構成にした場合でも、光エネルギー密度が大きい出力光9を放つ発光装置となる。そのため、光出力面が小さな発光素子を利用しつつ、近赤外光を大面積に照射できる発光装置や、光エネルギー密度が大きな近赤外光を照射する発光装置を提供することができる。
なお、適切な発光素子を選択することによって、出力光9における、440nmよりも波長が短い領域の光成分の強度を、蛍光強度最大値の3%を下回るものに調整することができる。また、出力光9における、440nmよりも波長が短い領域の光成分の強度を、蛍光強度最大値の1%を下回るものに調整することもできる。このようにすると、フォトレジストが感光しやすい、紫外~青の波長領域の光成分の強度がゼロに近い出力光になる。そのため、イエロールームでの使用に好適であり、半導体関連の検査作業用として有利な近赤外の光を放つ発光装置となる。
また、本実施形態の発光装置において、第一の発光素子5及び第二の発光素子6は、上述のように、発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)を用いることが好ましい。ただ、第一の発光素子5及び第二の発光素子6は、それぞれ第一の光成分1及び第二の光成分2を放つならば、あらゆる発光体を用いてもよい。
本実施形態の発光装置は、配光特性を制御する配光制御機構をさらに備えてもよい。このような構成にすると、例えば車載用の配光可変型の照明システムのように、所望の配光特性を持つ出力光を放出することが可能な発光装置となる。
本実施形態の発光装置は、投入電力の制御装置など、例えば近赤外線の強度を変える出力強度可変機構をさらに備えてもよい。このような構成にすると、近赤外線照射によって損傷しやすい食品や薬剤などの検査などに有利な発光装置となる。
本実施形態の発光装置は、例えば、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を持つ光成分のピーク波長を変える可変機構をさらに備えてもよい。このような構成にすると、汎用性が大きく、雑多な用途への対応が容易な発光装置となる。また、被照射物の内部への光の侵入深さは波長によって変わるため、被照射物の深さ方向の検査などに有利な発光装置にもなる。なお、このような蛍光ピーク波長の可変機構としては、例えば、バンドパスフィルターやローカットフィルターなどの光学フィルターを用いることができる。
また、ピーク波長を変える方法としては、次のような方法もある。まず、第二の波長変換体8Aに、蛍光スペクトル形状と励起スペクトル形状が異なる複数の第二の蛍光体8を含有させる。そして、いずれかの第二の蛍光体8を、独立制御可能な第一の発光素子5又は第二の発光素子6で励起することにより、ピーク波長を変えることができる。
本実施形態の発光装置は、出力光の少なくとも一部の出力をON-OFF制御する光制御機構をさらに備えてもよい。このような構成にしても、汎用性が大きく、雑多な用途への対応が容易な発光装置となる。
本実施形態の発光装置は、出力光における、波長700nm未満の可視の光成分及び/又は波長700nm以上の光成分をパルス光とすることができる。発光装置は、特に、出力光における波長700nm以上の光成分をパルス光とすることができる。パルス光の照射時間の半値幅は、300ms未満とすることができる。また、出力光9又は第四の光成分4の出力強度が大きいほど、半値幅を短くすることもできる。そのため、出力光9又は第四の光成分4の出力強度に合わせて、半値幅を100ms未満、30ms未満、10ms未満、3ms未満、又は1ms未満とすることができる。なお、パルス光の消灯時間は、1ms以上10s未満とすることができる。
ここで、人の目は、50~100Hz(周期20~10ms)の光をフリッカーとして感じることが報告されている。また、ハトなどの鳥類は150Hz(周期6.7ms)前後の光をフリッカーとして感じ、ハエなどの昆虫は300Hz(周期3.3ms)前後の光をフリッカーとして感じることが報告されている。そのため、これらの生き物がフリッカーを感じない30ms未満の消灯時間が一つの好ましい形態となる。
一方で、強い光照射は、照らした物に損傷を与えるリスクを持つので、フリッカーを気にする必要性がない用途では、パルス光の消灯時間は、100ms以上、特に300ms以上が好ましい形態となる。
なお、人の毛髪や体毛の成長調整をする美容目的の場合、出力光の光エネルギーは、0.01J/cm2以上1J/cm2未満であることが好ましい。そのため、発光装置から発せられる出力光の光エネルギーをこの範囲とし、当該出力光を毛根部付近に照射すると、皮膚内部に存在するメラニン等に光を吸収させることができ、その結果、毛髪等の成長を調整することが可能となる。
ここで、出力光の好ましい1/10残光時間、つまり消灯する直前の光強度が1/10に低下するまでの時間は、100μs未満であることが好ましく、10μs未満であることがより好ましく、1μs未満であることが特に好ましい。これにより、瞬時点灯や瞬時消灯し得る発光装置となる。
本実施形態の発光装置は、120nm以上380nm未満、好ましくは250nm以上370nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ紫外線を放つ紫外光源を、さらに備えることもできる。このようにすると、紫外線による殺菌効果なども併せ持つ発光装置となる。
本実施形態の発光装置は、従来知られる一般的な照明装置をさらに備えてもよい。このようにすると、近赤外光を出力する機能を付与した照明装置となる。なお、照明装置は、固体発光素子と蛍光体を組み合わせてなるものを用いることができる。具体的には、青色LEDと緑色又は黄色蛍光体としてのCe3+付活ガーネット蛍光体とを組み合わせてなる照明装置が挙げられる。また、青色LEDと、緑色又は黄色蛍光体としてのCe3+付活ガーネット蛍光体と、赤色蛍光体としてのEu2+付活窒化物蛍光体又はEu2+付活酸窒化物蛍光体とを組み合わせてなる照明装置が挙げられる。
本実施形態の発光装置は、医療用発光装置であることが好ましい。つまり、近赤外の光成分を放つことが可能な本実施形態の発光装置は、医療用又はバイオ技術用の光源又は照明装置とすることができる。特に、本実施形態の発光装置は、蛍光イメージング法若しくは光線力学療法に使用される医療用発光装置、又は細胞、遺伝子及び検体などの検査並びに分析などに使用されるバイオ技術用発光装置とすることができる。近赤外の光成分は、生体や細胞などを透過する性質を持つため、このような発光装置により、体内外から患部の観察や治療を行ったり、バイオ技術に利用することが可能となる。
また、近赤外の光成分を放つことが可能な本実施形態の発光装置は、センシングシステム用光源又はセンシングシステム用照明システムとすることもできる。このようにすると、例えば、有機物を透過する性質を持つ近赤外の光成分や、物体によって反射される近赤外の光成分を利用して、有機物製の袋又は容器における中身又は異物を、未開封状態で検査することができる。また、このような発光装置により、人を含む動植物や物の監視などを行うことができる。
このように、本実施形態の発光装置10は、出力光9を放つ発光装置である。発光装置10は、第一の光成分1を放つ第一の発光素子5と、第一の発光素子5と異なり、第二の光成分2を放つ第二の発光素子6と、第三の光成分3を放つ第一の蛍光体7と、第一の蛍光体7と異なり、第四の光成分4を放つ第二の蛍光体8と、を備える。出力光9は、互いに色調が異なる第一の光成分1、第二の光成分2、第三の光成分3及び第四の光成分4を含む。第一の光成分1及び第二の光成分2は、各々380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分である。第三の光成分3は、第一の蛍光体7が放つ第一の波長変換光3Aに由来し、435nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分である。第四の光成分4は、第二の蛍光体8が放つ第二の波長変換光4Aに由来し、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外の光成分である。そして、出力光9の分光分布は、650nm以上750nm以下の波長範囲内に谷部Tを有し、650nm以上750nm以下の波長範囲内の強度最小値は、380nm以上2500nm以下の波長範囲内における強度最大値の30%未満である。
本実施形態の発光装置10において、出力光9の分光分布は650nmから750nmの波長範囲内に谷部Tを有し、谷部Tを境に可視光成分と近赤外光成分が分離されている。そのため、発光装置10を近赤外線の検出器と組み合わせて使用した場合でも、検査対象物を、検出器に加えて目視でも良好に検査することが可能となる。
[電子機器]
次に、本実施形態に係る電子機器について説明する。本実施形態に係る電子機器は、上述の発光装置10を備えている。図7では、本実施形態に係る電子機器の一例を概略的に示している。
電子機器20において、発光装置10は、電源回路11と、導体12と、発光部13とを少なくとも備えている。電源回路11は、発光部13に電力を供給しており、導体12を通じて発光部13に電気エネルギーを供給する。
発光部13は、上述の第一の発光素子5と、第二の発光素子6と、第一の蛍光体7と、第二の蛍光体8とを備えている。そして、発光部13は、電気エネルギーを光エネルギーに変換するものである。つまり、発光部13は、電源回路11から供給される電気エネルギーの少なくとも一部を、出力光9となる光エネルギーに変換して出力する。
電子機器20は、第一の検出器17及び第二の検出器17Aをさらに備えている。第一の検出器17は、発光装置10から放射され、被照射物14に照射された出力光9の透過光成分15を検知する。具体的には、第一の検出器17は、被照射物14を透過した透過光成分15における近赤外光を検知する。第二の検出器17Aは、発光装置10から放射され、被照射物14に照射された出力光9における反射光成分16を検出する。具体的には、第二の検出器17Aは、被照射物14で反射した反射光成分16における近赤外光を検知する。
このような構成の電子機器20では、被照射物14に近赤外の光成分を含む出力光9が照射され、被照射物14を透過した透過光成分15及び被照射物14で反射された反射光成分16を、それぞれ第一の検出器17及び第二の検出器17Aで検出する。そのため、電子機器20により、近赤外の光成分が関与する被照射物14の特性情報を検出することが可能となる。
ここで、本実施形態の発光装置は、可視光と近赤外光とを含み、人の目にも検出器にも都合のよい出力光9を放出することができる。そのため、当該発光装置と近赤外線の検出器と組み合わせることで、産業用途に適する電子機器となる。
また、本実施形態の発光装置は、出力光9のエネルギーが大きく、広い範囲を照らす構成にすることができる。そのため、離れた距離から出力光9を被照射物14に照射しても、S/N比(シグナル/ノイズ比)の良好な信号を検出することができる。したがって、大きな被照射物14の検査、広範囲に分布する物の一括検査、広範囲に亘る検査面積の一部に存在する物の検知、遠方からの人や物の検知などに適する電子機器となる。
参考のため、本実施形態の発光装置のサイズを説明すると、例えば、発光部13の主光取り出し面の面積は、1cm2以上1m2未満、好ましくは10cm2以上1000cm2未満とすることができる。また、発光部13から被照射物14までの最短距離は、例えば、1mm以上10m未満である。強い近赤外線を被照射物14に照射する必要がある場合、例えば、医療、美容、繊細な異物検査などの場合では、発光部13から被照射物14までの最短距離は、例えば、1mm以上30cm未満、好ましくは3mm以上10cm未満とすることができる。さらに、広い範囲の被照射物14の検査を行う必要がある場合では、発光部13から被照射物14までの最短距離は、30cm以上10m未満、好ましくは1m以上5m未満とすることができる。
なお、強い近赤外線を広い範囲に亘って照射する必要がある場合、発光部13が可動する構成にすることが好ましく、被照射物の形態によって自在に動き得る構成とすることがより好ましい。例えば、発光部13は、直線又は曲線上を往来し得る構造や、XY軸方向又はXYZ方向に走査し得る構造、移動体(自動車、自転車、ドローンなどの飛行体)に取り付けられた構造にすることができる。
第一の検出器17及び第二の検出器17Aは、各種の光検出器を使用することができる。具体的には、電子機器の利用形態に応じて、光が半導体のPN接合に入射したときに生じる電荷を検出する量子型の光検出器(フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなど)を用いることができる。また、光検出器としては、光を受光したときの発生熱による温度上昇によって生じる電気的性質の変化を検知する熱型の光検出器(熱電効果を利用するサーモパイル、焦電効果を利用する焦電素子など)、又は光に感光する赤外線フィルムなども用いることができる。
第一の検出器17及び第二の検出器17Aとしては、光電変換素子を単体で利用した単独素子を使用してもよく、光電変換素子を集積化した撮像素子を使用してもよい。撮像素子の形態は、一次元的に配置した線型のものであってもよく、二次元的に配置した面型のものであってもよい。第一の検出器17及び第二の検出器17Aとしては、撮像カメラを使用することもできる。
なお、図7の電子機器20は、第一の検出器17及び第二の検出器17Aの両方を備えているが、当該電子機器は第一の検出器17及び第二の検出器17Aの少なくとも一方を備えていればよい。
また、本実施形態の電子機器は、被照射物の検査装置、検知装置、監視装置又は分別装置であることが好ましい。出力光が持つ近赤外の光成分は、殆どの物質を透過する性質を持つ。そのため、被照射物の外部から近赤外の光を照射して、その透過光又は反射光を検出する構成とすることによって、被照射物を破壊することなく、内部の状態や異物の有無などを検査することができる。
また、近赤外の光成分は人の目に見えず、その反射特性は物質に依存する。そのため、被照射物に近赤外の光を照射し、その反射光を検出する構成とすることによって、人に悟られること無く、暗闇などにおいても被照射物を検知することができる。
本実施形態の電子機器は、被照射物を破壊することなく、その内部の状態や異物の有無などを検査して、被照射物の良否を判定し、良品と不良品の選別をすることができる。そのため、電子機器が、正常状態の被照射物と異常状態の被照射物とを分別する機構をさらに備えることによって、被照射物の分別を行うことが可能となる。
本実施形態の電子機器において、発光装置は、可動式になっておらず、固定式とすることができる。このようにすると、発光装置を機械的に動かすための複雑な機構を備える必要がないため、故障が発生し難い電子機器となる。また、発光装置を屋内又は屋外で固定することにより、予め定めた場所における、人や物の状態を定点観察したり、人や物の数をカウントすることができる。そのため、課題の発見やビジネス活用などに役立つビッグデータの収集に有利な電子機器となる。なお、発光装置を備えた固定式の電子機器としては、店舗照明、屋内照明、街路灯、手術用の照明装置を挙げることができる。
本実施形態の電子機器は、発光装置を可動式とし、照射する場所を変えることもできる。例えば、発光装置を移動ステージや移動体(車両、飛行体など)に取り付けて、可動式にすることができる。このようにすると、発光装置が、所望の場所や広い範囲を照射し得るものになるため、大型の物の検査や屋外における物の状態の検査に有利な電子機器となる。なお、発光装置を備えた可動式の電子機器としては、ドローンを挙げることができる。
本実施形態の電子機器は、発光装置に加えて、さらに撮像カメラとしてのハイパースペクトルカメラを備える構成とすることができる。これにより、当該電子機器は、ハイパースペクトルイメージングを行うことができる。ハイパースペクトルカメラを備えた電子機器は、肉眼や通常のカメラでは判別できない違いを画像として見分けることができるため、製品の検査や選別などに関わる幅広い分野で有用な検査装置になる。
具体的には、図8に示すように、電子機器20Aは、発光装置10と、ハイパースペクトルカメラ21とを備えている。そして、コンベア22の表面22aに載置されている被照射物23に対して、発光装置10から出力光9を照射しつつ、ハイパースペクトルカメラ21で被照射物23を撮像する。そして、得られた被照射物23の画像を解析することにより、被照射物23の検査や選別を行うことができる。
本実施形態の電子機器は、発光装置に加えて、さらに機械学習するデータ処理システムを備えるものにすることも好ましい。これにより、コンピューターに取り込んだデータを反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことができるようになる。また、新たに取り込んだデータを、そのパターンに当て嵌めることもできるようになる。そのため、検査・検知・監視などの自動化や高精度化、さらにはビッグデータを利用する将来予測などに有利な電子機器になる。
本実施形態の電子機器は、医療用、動物医療用、バイオ技術用、農林水産業用、畜産業用(食肉・肉製品・乳製品など)、又は工業用(異物検査、内容量検査、形状検査、包装状態検査など)に利用することができる。また、電子機器は、医薬品、動物実験、食品、飲料、農林水産物、畜産物、工業製品の検査用にも利用することができる。言い換えれば、本実施形態の電子機器は、人体、動植物、物体のいずれにも利用することができ、さらに気体、液体、固体のいずれにも利用することもできる。
本実施形態の電子機器は、医療機器、治療機器、美容機器、健康機器、介護関連機器、分析機器、計測機器及び評価機器のいずれかであることが好ましい。
例えば、医療やバイオ技術開発の目的において、本実施形態の電子機器は、1)血液・体液・それらの成分、2)排泄物(尿・便)、3)たんぱく質・アミノ酸、4)細胞(がん細胞を含む)、5)遺伝子・染色体・核酸、6)生体試料・細菌・検体・抗体、7)生体組織・臓器・血管、8)皮膚病・脱毛症、の検査、検出、測定、評価、分析、解析、観察、監視、分離、診断、治療、浄化などに使用することができる。
また、例えば、美容やヘルスケアの目的において、本実施形態の電子機器は、1)皮膚、2)毛髪・体毛、3)口内・歯内・歯周、4)耳・鼻、5)バイタルサイン、の検査、検出、測定、評価、分析、解析、観察、監視、美化、衛生、発育促進、健康増進、診断などに使用することができる。
例えば、農林水産業、畜産業、工業の目的において、本実施形態の電子機器は、1)工業製品(電子部材・電子デバイスを含む)、2)農産物(青果物など)、3)酵素・菌、4)海産物(魚類・貝類・甲殻類・軟体類)、5)医薬品・生体試料、6)食品・飲料、7)人・動物・物の存在・状態、8)ガス(水蒸気を含む)の状態、9)液体・流体・水・水分・湿度、10)物の形状・色・内部構造・物理状態、11)空間・位置・距離、12)物の汚染状態、13)分子・粒子の状態、14)産業廃棄物の検査、検出、測定、計測、評価、分析、解析、観察、監視、認識、選別、分別などに使用することができる。
例えば、介護の目的において、本実施形態の電子機器は、排泄確認や健康状態の識別、管理、監視などに使用することができる。
このように、本実施形態の電子機器は、検査、検出、測定、計測、評価、分析、解析、観察、監視、認識、選別、分別など、あらゆる用途に対応できるものになる。
なお、本実施形態は、発光装置10を利用する検査方法、検知方法、監視方法、分別方法、分析方法、計測方法、評価方法のいずれかの単純な方法発明とみなすこともできる。
以下、本実施形態の発光装置を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されない。
まず、第四の光成分4の由来源となる第二の波長変換光4Aを放つ第二の波長変換体8Aを作製した。第二の波長変換体8Aは、Cr3+で付活された複合金属酸化物を主体にしてなる蛍光体を含む樹脂蛍光膜とした。なお、Cr3+で付活された複合金属酸化物は、(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3の組成式で表され、ガーネット型の結晶構造を持つ(Gd,La)3Ga2(GaO4)3:Cr3+蛍光体を用いた。以後、(Gd,La)3Ga2(GaO4)3:Cr3+蛍光体をGLGG蛍光体ともいう。
GLGG蛍光体は、以下の化合物粉末を主原料として使用し、オーソドックスな固相反応により調製した。
酸化ガドリニウム(Gd2O3):純度3N、日本イットリウム株式会社製
水酸化ランタン(La(OH)3):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化ガリウム(Ga2O3):純度4N、アジア物性材料株式会社製
酸化クロム(Cr2O3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
具体的には、まず、化学反応によって化学量論的組成の化合物(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3を生成するように、上記原料を秤量した。参考のために、この秤量値を表1に示した。
次に、秤量した原料20gを、容量250mlであるアルミナ製のポットミルに投入し、さらにアルミナボール及びエタノール60mlを投入した。アルミナボールは、直径φ3mmであり、合計200g投入した。そして、ポットミルを、遊星ボールミル(フリッチュ社製、品番P-5)を用いて回転速度150rpmで30分間混合した。
次いで、ふるいを利用してアルミナボールを取り除き、原料とエタノールからなるスラリー状の混合原料を得た。その後、スラリー状の混合原料を、乾燥機を用いて125℃で全量乾燥させた。そして、乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて軽く混合することにより、蛍光体原料とした。
次に、蛍光体原料をアルミナ製の焼成容器(材質SSA-H、B3サイズ、蓋付き)に入れ、箱型電気炉を利用して、1500℃の大気中で2時間の焼成を行った。なお、焼成時の昇降温速度は300℃/hとした。
得られた焼成物を、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いて手解砕した後、ナイロンメッシュ(目開き95μm)を通過させて粗大粒子を除去した。これにより、(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3の組成式で表される粉末状のGLGG蛍光体を得た。
データは省略するものの、得られたGLGG蛍光体の結晶構成物を、X線回折装置(デスクトップX線回折装置、MiniFlex、株式会社リガク製)を用いて評価したところ、ほぼ単一結晶相のガーネット化合物であった。また、粒子形状と粒子サイズを電子顕微鏡を用いて評価したところ、粒子形態は単分散粒子状であり、粒子形状はガーネットの結晶に由来するとみなせる形状であり、粒子サイズの主体は15μm前後であった。なお、電子顕微鏡は、株式会社日立ハイテク製、卓上顕微鏡Miniscope(登録商標)TM4000を使用した。
さらに、GLGG蛍光体の蛍光特性を、絶対PL量子収率測定装置(C9920-02、浜松ホトニクス株式会社製)を使用して、波長450nmの青色光の照射条件下で評価した。その結果、蛍光ピーク波長は747nm、内部量子効率(IQE)は92%、青色光の光吸収率(Abs.)は57%であった。また、波長628nmの赤色光の照射条件下で評価した結果、蛍光ピーク波長は746nm、内部量子効率(IQE)は93%、赤色光の光吸収率(Abs.)は45%であった。
次に、このGLGG蛍光体を利用して、樹脂蛍光膜を作製した。具体的には、樹脂蛍光膜は、シリコーン樹脂とGLGG蛍光体とを混合した後、脱泡処理を施して得られる蛍光体ペーストを硬化させることによって得た。なお、蛍光体粉末の封止材として使用する樹脂は、二液付加硬化方式のシリコーン樹脂(製品名KER-2500A/B、信越化学工業株式会社製)とした。
上記蛍光体ペーストは、次のように作製した。まず、樹脂中の蛍光体粉末の充填率が30体積%となるように、シリコーン樹脂(同量のA剤とB剤)とGLGG蛍光体を秤量した。次いで、乳鉢と乳棒を用いて、シリコーン樹脂と蛍光体粉末を混合した。そして、得られた混合物を真空引き(脱泡処理)することによって、蛍光体ペーストを得た。
また、上記樹脂蛍光膜は、次のように作製した。まず、ガラス基板上に、厚みが100μmであるテープを、対をなし、かつ、15mmの等間隔幅を持つように貼り付けた。次いで、対をなすテープ間に蛍光体ペーストを滴下し、スキージを利用して表面を平滑化した後にテープを剥がした。さらに、蛍光体ペーストを150℃の大気中で2時間加熱して硬化させることにより、蛍光体シートを得た。そして、得られた蛍光体シートを、ピンセットを利用してガラスから剥がし、ハサミで適当なサイズ(縦横10mm)に切断した。このようにして、樹脂蛍光膜(透光性を持つ第二の波長変換体8A)を得た。
なお、樹脂蛍光膜として、厚みが異なる三種類の蛍光膜(実質厚み:100μm、200μm、270μm)を作製した。これらの厚みについては、ガラス基板上に張り付けるテープを二層又は三層とすることによって制御した。
得られた樹脂蛍光膜の蛍光特性を、上記絶対PL量子収率測定装置を利用して評価した。波長450nmの青色光励起下における、樹脂蛍光膜の評価結果を表2に示す。なお、表2中でIQEは内部量子効率であり、Abs.は光吸収率である。また、EQEは外部量子効率であり、EQEはIQEとAbs.の積によって算出できる。λpは蛍光スペクトルの蛍光ピーク波長である。
表2に示すように、サンプルNo.1~3は、実質厚みが100μm、200μm、270μmの各樹脂蛍光膜を単独で評価した結果である。また、サンプルNo.4~11は、表2に示す厚み及び枚数の樹脂蛍光膜を重ね合わせたものを評価した結果である。
表2から分かるように、樹脂蛍光膜の内部量子効率は、その厚みとは無関係に80%を超え、多くが85%を超える90%前後の高い効率水準にあった。また、光吸収率は、厚みを増すにつれて大きくなり、総厚みが800μm以上で飽和する傾向にあった。なお、総厚みが100μmの場合の光吸収率は41%であり、1590μmの場合では64%であった。樹脂蛍光膜が放つ蛍光の蛍光ピーク波長は、総厚みによって大きく変わることはなく、730nm~736nmの一定値であった。
また、波長628nmの赤色光励起下における、樹脂蛍光膜の評価結果を表3に示す。
表3から分かるように、表2に示す青色光励起の場合と同様に、樹脂蛍光膜の内部量子効率は、その厚みとは無関係に80%を超え、多くが85%を超える90%前後の高い効率水準にあった。また、光吸収率は、厚みを増すにつれて大きくなり、総厚みが800μm以上で飽和する傾向にあった。なお、総厚みが100μmの場合の光吸収率は25%であり、1590μmの場合では54%であった。樹脂蛍光膜が放つ蛍光の蛍光ピーク波長は、総厚みによって大きく変わることはなく、730nm~738nmの一定値であった。
次に、表2及び表3に蛍光特性を示す樹脂蛍光膜を利用して、発光装置を作製した。具体的には、まず、第一の一次光1Aを放つ第一の発光素子5としての青色LEDと、蛍光ピーク波長が540nmであるY3Al2(AlO4)3:Ce3+蛍光体を含む第一の波長変換体7Aとしての蛍光膜とを組み合わせてなる市販の白色LEDを準備した。なお、市販の白色LEDは、株式会社イーケイジャパン製、商品名:コード付き超高輝度LED(青色)、品番:LK-5WH-C50を用いた。また、第一の一次光1A(青色光)のピーク波長は、460nmであった。なお、以後、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+蛍光体をYAG蛍光体ともいう。
さらに、第二の発光素子6として、赤色光(ピーク波長:630nm)である第二の一次光2Aを放つ市販の赤色LEDを準備した。なお、市販の赤色LEDは、株式会社イーケイジャパン製、商品名:コード付き超高輝度LED(赤色)、品番:LK-5RD-C50を用いた。
参考のため、図9には、市販の白色LEDの分光分布と、市販の赤色LEDの分光分布を示す。市販の白色LEDが放つ光は、CIE色度図において(x,y)=(0.267,0.272)の位置にあり、相関色温度は13514K、duvは0.2、平均演色評価数Raは82、特殊演色評価数R9は21であった。なお、分光分布における波長540nmの蛍光強度は、波長460nmの蛍光強度の25%であった。一方、市販の赤色LEDが放つ光は、CIE色度図において(x,y)=(0.679,0.314)の位置にあった。
なお、白色LEDの分光分布は、利用する青色LED、YAG蛍光体が放つ蛍光の色調(蛍光ピーク波長)、YAG蛍光体を含む第一の波長変換体7Aの光吸収率などによって変わる。また、第一の波長変換体7Aの光吸収率は、第一の波長変換体7A中のYAG蛍光体の体積割合、第一の波長変換体7Aの厚みなどによって変わる。第一の波長変換体7Aの光吸収率は、さらに、利用するYAG蛍光体のCe3+付活量、YAG蛍光体の組成(YのGd置換割合、Lu置換割合、AlのGa置換割合など)、YAG蛍光体の粒子サイズ(中心粒径D50)によっても変わる。そして、白色LEDは、本実施例で利用した白色LED以外にも、多種多様な色調の白色光を放つものが市販されている。そのため、適切な白色LEDを利用することによって、出力光の色調の制御などを行うことができる。
参考のため、図10には、上記の白色LEDを構成する青色LED(蛍光ピーク:460nm)とYAG蛍光体(蛍光ピーク:540nm)を用いて作製可能な白色LEDの分光分布の例を示す。ちなみに、図10は、上記白色LEDの分光分布におけるYAG蛍光体の蛍光強度を、2割増、4割増、6割増、8割増及び10割増(倍増)とした分光分布のシミュレーション結果である。なお、上記したように、このような分光分布の白色光を放つ白色LEDは、第一の波長変換体7A中のYAG蛍光体の体積割合を増やしたり、第一の波長変換体7Aの厚みを増やすなどの技術手段によって得ることができる。YAG蛍光体の蛍光強度を増やした場合における照明光の特性を表4に示す。
次に、上述の白色LED及び赤色LEDを用いて、次のように発光装置を作製した。まず、図11に示すように、青色LED(第一の発光素子5)の光出力面を覆うようにYAG蛍光体(第一の波長変換体7A)を配置してなる白色LEDの近傍に、赤色LED(第二の発光素子6)を配置した。さらに、赤色LEDの光出力面の直上に、GLGG蛍光体を含んでなる樹脂蛍光膜(第二の波長変換体8A)を配置した。
なお、樹脂蛍光膜は、当該樹脂蛍光膜による波長変換光の出力と樹脂蛍光膜を透過する赤色光の強度割合とを考慮して、厚みが265μmの樹脂蛍光膜を6枚積層したNo.11の蛍光膜を利用した。なお、この積層された樹脂蛍光膜の赤色光の光吸収率は、表3に示すように54%である。そのため、第二の波長変換体8Aとして、光吸収率が50%以上60%未満のものを利用すれば、本例と同様の分光分布を持つ出力光を放つ発光装置を設計することができる。
次いで、白色LEDが放つ白色光と、樹脂蛍光膜を透過した赤色LEDが放つ赤色光と、樹脂蛍光膜による近赤外光の波長変換光とが集光されるように、これらを配置した。なお、本例では、摺りガラス状の光拡散体Dを利用して、出力光9の光質の均一化を図った。
このような構成により、青色LEDが放つ青色光(第一の一次光1A)と、YAG蛍光体が放つ黄緑色の光成分(第一の波長変換光3A)とが混合された第一の混合光成分が得られた。さらに、赤色LEDが放つ赤色光(第二の一次光2A)と、GLGG蛍光体が放つ近赤外の光成分(第二の波長変換光4A)とが混合された第二の混合光成分が得られた。そして、本例の発光装置は、第一の混合光成分と第二の混合光成分との混合光を出力光として出力するものである。
次に、得られた発光装置を用いて、第一の混合光成分と第二の混合光成分の割合が異なる出力光を得た。つまり、発光装置の出力光によって照らされる光照射面から白色LEDの光出力面までの最短距離と、当該光照射面から樹脂蛍光膜の光出力面までの最短距離とを調整することによって、第一の混合光成分と第二の混合光成分の割合が異なる出力光を得た。
具体的には、実施例1は、光照射面から樹脂蛍光膜の光出力面までの距離を一定とし、光照射面から白色LEDの光出力面までの距離を近くした。実施例2は、光照射面から樹脂蛍光膜の光出力面までの距離を実施例1と同じとし、光照射面から白色LEDの光出力面までの距離を実施例1よりも長くした。実施例3は、光照射面から樹脂蛍光膜の光出力面までの距離を実施例1及び実施例2と同じとし、光照射面から白色LEDの光出力面までの距離を実施例2よりも長くした。なお、光照射面から白色LEDの光出力面までの距離が長くなるほど、発光装置の出力光に含まれる第一の一次光1A及び第一の波長変換光3Aの強度が低下する。
実施例1~3の出力光の分光分布を図12に示す。図12に示すように、出力光9の分光分布は650nmから750nmの波長範囲内に谷部を有しており、谷部を境に可視光成分と近赤外光成分が分離されていることが分かる。また、650nm以上750nm以下の波長範囲内の強度最小値、つまり波長675nm付近の強度は、380nm以上2500nm以下の波長範囲内における強度最大値、つまり波長460nm付近又は755nm付近の強度の30%未満であることが分かる。
表5には、図12に示す分光分布の、相関色温度、duv、平均演色評価数Ra及び特殊演色評価数R9(鮮やかな赤色の演色性の尺度となる数値)を纏めた。
表5に示すように、実施例1~3の出力光は、相関色温度が3800以上13000未満の一般照明用として適する光色であり、duvが±40の範囲内となる光色であることが分かる。また、実施例1~3の出力光は、平均演色評価数が60以上85未満であり、特殊演色評価数R9が-40以上15未満であった。なお、データを省略するが、発光装置における樹脂蛍光膜の積層枚数を変えることによって、出力光の相関色温度は1700K以上13000K未満、特に2800K以上13000K未満の範囲内で変えることができた。
なお、実施例1~3において、duvがマイナス側に振れ、Raが85未満の範囲内に収まる結果が得られた理由は、図9の分光分布から分かるように、実施例で使用した白色LEDの緑色光成分の割合が少ないためである。そのため、例えば、図10に示すような、緑色光成分の割合が大きい分光分布を持ち、duvの数値が4、好ましくは10を超える白色光を放つ白色LEDを使用することによって、これらを改善することができる。
ここで、緑色光成分を調整して得られる出力光の分光分布は、図10に示した分光分布と図12に示した分光分布を利用して、比較的高い精度でシミュレーションすることができる。さらに、当該分光分布から、出力光の相関色温度、duv及びRaなどを算出することもできる。そのため、出力光に含まれる緑色光成分を調整した際の効果をシミュレーションで検討した。
図13は、図12の実施例2のデータを元に、緑色光成分の割合を調整することによって得られる分光分布をシミュレーションした結果を示す。実施例4は、実施例2のデータに対して、YAGの蛍光強度を2割増しに調整したものである。実施例5は、実施例2のデータに対して、YAGの蛍光強度を4割増しに調整したものである。実施例6は、実施例2のデータに対して、YAGの蛍光強度を6割増しに調整したものである。実施例7は、実施例2のデータに対して、YAGの蛍光強度を8割増しに調整したものである。実施例8は、実施例2のデータに対して、YAGの蛍光強度を10割増しに調整したものである。
参考のため、表6は、図13に示す実施例4~8の分光分布における、相関色温度、duv、平均演色評価数Ra及び特殊演色評価数R9を示す。
表6に示すように、緑色光成分の割合を調整することより、相関色温度が5000以上7000未満である、一般照明用として適する光色の出力光を得ることができた。また、duvの数値が±21、好ましい形態では±10、さらに好ましくは±5の範囲内である、自然光に近い色調の出力光を得ることができた。さらに、平均演色評価数が82以上96未満となる高演色性の出力光も得ることができた。加えて、平均演色評価数が85を超える出力光や平均演色評価数が90を超える出力光も得ることができた。また、特殊演色評価数R9が10以上である出力光を得ることができた。特に、特殊演色評価数R9が50以上96未満の出力光は、赤みを持つ物に照射した際、その赤みを強調する用途に適する。
このように、実施例4~8では、実施例2で使用した白色LEDを、相関色温度が10000K未満で、duvの数値が4を超える白色光を放つ白色LEDに置き換えた。その結果、Raの数値が80以上となる高演色性の白色光と、比較的高出力の近赤外の光成分とを同時に放つ発光装置を提供できることが分かった。また、R9の数値が10を超える高赤色演色性の白色光及びduvの数値が±21となる自然光に近い光質の白色光と、近赤外の光成分とを同時に放つ発光装置を提供できることが分かった。
なお、上述のように、本例の発光装置では、光照射面から白色LEDの光出力面までの最短距離と、光照射面から樹脂蛍光膜の光出力面までの最短距離とを調整することによって、第一の混合光成分と第二の混合光成分の割合が異なる出力光が得られる。そのため、当該発光装置は、複数種類の一次光(第一の光成分と第二の光成分)の出力割合を調整する色調調整手段、及び/又は、複数種類の波長変換光(第三の光成分と第四の光成分)の出力割合を調整する色調調整手段を備える発光装置とみなすこともできる。
なお、本例では、第二の波長変換体8Aとして、GLGG蛍光体を含んでなる樹脂蛍光膜を利用した場合を説明した。ただ、高出力化のため、樹脂蛍光膜の代わりに無機封止蛍光膜又は蛍光セラミックスを用いることができる。例えば、蛍光セラミックスは、透光性YAG蛍光セラミックスや透光性アルミナ発光管の製造技術を応用することにより、調製することができる。
また、データを省略するものの、例えば、24.7Wの青色光を蛍光セラミックス化したGLGG蛍光体(厚み:530μm)に照射すると、11.1Wであり、蛍光ピークが755nmである波長変換光が放たれることが確認できている。この際、青色光は、0.25Wの青色LEDチップ(縦横0.8mm)を、縦20cm横20cmの基板上に、100個実装してなる高出力タイプの青色LEDモジュール(蛍光ピーク波長:459nm、駆動DC30-40V、3000mA)により得ている。また、同等の仕様である高出力タイプの赤色LEDモジュール(蛍光ピーク波長:664nm、駆動DC30-40V、3000mA)が放つ14.3Wの赤色光を、同じ蛍光セラミックスに照射しても、その8割程度の波長変換光が放たれることが確認できている。
このため、本実施形態によれば、光エネルギーが3Wを超える近赤外光成分はもちろんのこと、10Wを超える高出力の近赤外光成分を放つ発光装置を得ることができる。このような高出力型の発光装置は、強い近赤外線で物を照らすことができるので、照らす物との距離が大きくても、対象物に比較的強い近赤外線を照射することができる。
なお、GLGG蛍光体からなる蛍光セラミックスは、例えば、次のように得ることができる。まず、表1に示す原料からなる蛍光体原料19gを、金型(φ50mm)に充填し、約190MPaの圧力でプレス成形して蛍光体原料の成形体とする。蛍光体原料の成形体は円盤状であり、直径φが50mm、高さが3.1mmとする。次いで、当該成形体をアルミナ製の大型焼成ボート(材質SSA-S)に設置したアルミナ板(縦60mm、横100mm、厚み1.5mm)の上に載置し、管状雰囲気炉を利用して、1500~1600℃の窒素雰囲気中で2時間の焼成を行う。なお、焼成時の昇降温速度は、300℃/hとする。このようにして、円盤状の焼結体が得られる。この焼結体の天面と底面を研磨機で機械的に研磨して所定の厚みとすることにより、GLGG蛍光体からなる蛍光セラミックスが得られる。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
特願2020-084496号(出願日:2020年5月13日)及び特願2021-014818号(出願日:2021年2月2日)の全内容は、ここに援用される。