以下、図面を参照して本実施形態に係る発光装置、及び当該発光装置を用いた電子機器について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
[発光装置]
本実施形態の発光装置は、固体発光素子3と蛍光体(第一の蛍光体1、第二の蛍光体2)とを少なくとも組み合わせてなり、出力光4を放つ発光装置である。そして、発光装置は、例えば、図1に示すような分光分布を持つ出力光4を放つ。
(発光装置の出力光)
本実施形態の発光装置が放つ出力光4の分光分布は、図1に示すように、少なくとも、蛍光体の蛍光に由来する第一の光成分5及び第二の光成分6を持つ。さらに、出力光4の分光分布は、第一の光成分5と第二の光成分6との間に第一の極小値8、つまり谷部を持つ。図1から明らかなように、第一の光成分5と第二の光成分6は、互いに色調が異なる光成分となる。
そして、第一の光成分5は、波長380nm以上700nm未満、好ましくは波長450nm以上700nm未満、より好ましくは波長500nm以上660nm未満の範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分(可視の光成分)である。また、第二の光成分6は、波長700nm以上2500nm未満、好ましくは波長750nm以上1800nm未満の範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分(近赤外の光成分)である。
さらに、第一の光成分が強度最大値をとる波長は、560nm以上であることが好ましく、575nm以上であることがより好ましく、590nm以上であることがさらに好ましい。また、第二の光成分6の強度最大値は、第一の光成分5の強度最大値よりも大きいことが好ましい。さらに、第一の極小値8は、第二の光成分6の強度最大値の50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましい。
なお、出力光4の波長範囲、つまり第二の光成分6に係る波長範囲の最長波長は、800nm、900nm、1000nm、1200nm又は1500nmとすることができる。
出力光4がこのような分光分布を持つ場合、可視の光成分と近赤外の光成分とが、各々、第一の光成分5と第二の光成分6として明確に分離され、さらに近赤外の光成分の強度が高くなる。そのため、この発光装置は、主目的で使用する光成分を近赤外光とし、補助的な目的で使用する光成分を可視光として使い分ける用途に好都合である。さらに、当該発光装置は、電光変換効率や光の使用効率がよい照明設計を容易に行うことができる。
また、発光装置は蛍光体を使用するので、分光分布の制御が比較的容易となる。さらに、少なくとも近赤外の波長範囲における光成分は、赤外線LEDが放つ赤外線のような極端な狭帯域性とはならず、従来のLED光源のような超広帯域性ともならず、程よい帯域幅を持つものになる。そのため、この発光装置は、検査装置で求められる過不足の無い帯域幅を持つ近赤外光を得る上で有利となる。
ここで、量子型の光検出器、例えばCMOSセンサーの光検出感度は、500nm付近から長波長になるにつれて低下する。このため、発光装置と当該光検出器とを組み合わせてなる検査装置及び監視装置において、出力光4を用いることにより、可視域と近赤外域の検知水準を揃えることが可能となる。つまり、可視域と近赤外域の検知水準は、光検出器の感度と発光装置の出力光強度との積によって決定される。そのため、500nmを超える波長範囲において、第一の光成分5の強度最大値よりも第二の光成分6の強度最大値の方が大きい分光分布とすることにより、上記検知水準を揃えることが可能となる。
発光装置において、第二の光成分6の分光分布、つまり第一の極小値8の波長よりも長波長側の分光分布は、波長10nmごとの分光強度をヒストグラムで表示したときに、単峰型となることが好ましい。ここで、本明細書において、「単峰型」とは、ヒストグラムの山が一つとなる分布状態をいう。この理解を促す目的で、図1には、関連する波長範囲のデータをヒストグラムでも表示した。第二の光成分6を単峰型にすることで、近赤外の光成分が特定の波長範囲に集中するため、近赤外光の高出力化や高効率化に有利な発光装置となる。
第二の光成分6において、強度最大値の50%の強度をとる長波長側の波長と低波長側の波長との間の波長差は、50nm以上200nm未満であることが好ましく、50nm以上150nm未満であることがより好ましい。第二の光成分6をこのような比較的狭い帯域幅にすることで、近赤外の光成分が、特定の波長範囲に集中する。そのため、特定波長の近赤外光の高出力化や高効率化に有利な発光装置となる。
一方、第一の光成分5の分光分布は、波長10nmごとの分光強度をヒストグラムで表示したときに、単峰型となることが好ましい。また、第一の光成分5において、強度最大値の60%の強度をとる長波長側の波長と低波長側の波長との間の波長差は、50nm以上200nm未満であることが好ましく、50nm以上150nm未満であることがより好ましい。第一の光成分5をこのような分光分布にすると、可視の光成分が、特定の波長範囲に集中する。そのため、補助的な目的で使用する可視光の高出力化や高効率化に有利な発光装置となる。
特に、第一の光成分5と第二の光成分6の両方が、上記したような単峰型となる形態及びスペクトル幅が狭くなる形態となることが好ましい。これにより、出力光4を構成する可視の光成分と近赤外の光成分の両方が、特定の波長範囲に集中するため、高出力化や高効率化にいっそう有利な発光装置となる。
このように、本実施形態の発光装置は、検査対象物を可視光と近赤外光の複眼で見ることができるだけでなく、検査対象物に適する可視光と近赤外光を過不足無く放射することができる。そのため、当該発光装置を用いることにより、近赤外線だけでは識別が困難な異物を、非破壊で検知することができる。また、異物検査装置や、それに使用する光源の小型化、高感度化、高効率化に有利で、顧客要望への対応も容易な発光装置となる。
本実施形態の発光装置において、出力光4の分光分布は、固体発光素子3が放つ光(一次光3B)に由来する第三の光成分7をさらに有してもよい。そして、第三の光成分7は、紫外光又は可視光の波長範囲内の光成分とすることができる。具体的には、第三の光成分7は、350nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光成分とすることができる。また、第三の光成分7は、波長405nm以上600nm未満、好ましくは435nm以上540nm未満、特に好ましくは435nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分とすることができる。この場合、出力光4の分光分布は、第一の光成分5と第三の光成分7の間に第二の極小値9を持つようになる。そのため、第一の極小値8と第二の極小値9の間の分光分布が、10nmごとの分光強度をヒストグラムで表示したときに、単峰型となる。
なお、第三の光成分7は、440nm以上470nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つことが特に好ましい。このようにすると、市販の青色発光ダイオード(青色LED)や青色レーザーダイオード(青色LD)などをそのまま使用できるので、迅速な商品開発や工業生産に有利な発光装置となる。
出力光4の分光分布は、650nm以上800nm未満の波長範囲内に第一の極小値8を持つことが好ましく、700nm±50nmの波長範囲内に第一の極小値8を持つことがより好ましい。そして、第一の極小値8は、380nm以上2500nm以下の波長範囲内の分光分布における強度最大値の50%未満であることが好ましく、380nm以上960nm以下の波長範囲内の分光分布における強度最大値の50%未満であることがより好ましい。このようにすると、可視の光成分を主体にしてなる第一の光成分5と、近赤外の光成分を持つ第二の光成分6との干渉が減少する。そのため、波長700nm付近を境界として、可視光と近赤外光が、ある程度分離された分光分布になる。その結果、近赤外光を検知する検出器のS/N比(シグナル/ノイズ比)の向上に有利な発光装置となる。
第一の極小値8及び第二の極小値9は、第二の光成分6の強度最大値の50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましい。加えて、第二の光成分6において、強度最大値の50%の強度をとる長波長側の波長と低波長側の波長との間の波長差は、50nm以上200nm未満であることが好ましく、50nm以上150nm未満であることがより好ましい。このようにすると、近赤外の光成分だけでなく可視の光成分も程よい帯域幅を持つものになる。そのため、異物検査装置に用いることができ、電光変換のエネルギー効率が良好な発光装置となる。
第一の光成分5は、570nm以上650nm未満の波長範囲に強度最大値を持つことが好ましく、580nm以上620nm未満の波長範囲に強度最大値を持つことがより好ましい。このようにすると、出力光4において、可視光成分が、黄~橙~赤の光成分になる。そのため、黄~橙~赤の光成分を反射しやすく、近赤外線だけで検知することが困難であり、さらに茶色である有機性の異物を、検知することが可能な発光装置となる。なお、このような有機性の異物としては、茶髪、枯葉、枯草などがある。
第一の光成分5は、Ce3+又はEu2+で賦活された蛍光体が放つ蛍光に由来することが好ましい。このような蛍光体は、高密度励起下でも蛍光出力飽和しにくい短残光性の光物性を示すので、波長変換効率が高く、高出力化に有利な発光装置となる。また、市販のLED照明用の蛍光体をそのまま使用できるので、迅速な商品開発や工業生産に有利な発光装置にもなる。
第一の光成分5は、570nm以上650nm未満の波長範囲に強度最大値を持つ蛍光成分を含むことが好ましい。さらに、当該蛍光成分は、Ce3+で賦活され、かつ、ガーネット型の結晶構造を持つ第一の蛍光体1に由来することが好ましい。また、第二の光成分6は、450nm以上520nm未満の波長範囲内に励起ピークを持つ第二の蛍光体2の蛍光成分に由来することが好ましい。このようにすると、第一の蛍光体1が放つ蛍光成分のうち、短波長側に位置する青緑色の光成分が第二の蛍光体2に吸収され、長波長側に位置する黄緑~橙の光成分が第二の蛍光体2に吸収され難くなる。その結果、第一の蛍光体1が放つ蛍光成分が長波長シフトするため、茶色の異物の検知に有利な発光装置となる。
また、第一の光成分5は、600nm以上660nm未満の波長範囲に強度最大値を持つ蛍光成分を含むことが好ましい。さらに、当該蛍光成分は、Eu2+で賦活された窒化物又は酸窒化物からなる第一の蛍光体1に由来することが好ましい。また、第二の光成分6は、600nm以上750nm未満の波長範囲内に励起ピークを持つ第二の蛍光体2の蛍光成分に由来することが好ましい。このようにすると、第一の蛍光体1が放つ蛍光成分のうち、長波長側に位置する赤~深赤色の光成分が、第二の蛍光体2に吸収され、短波長側に位置する黄緑~橙の光成分が、第二の蛍光体2に吸収され難くなる。その結果、茶色の異物の検知に有利な発光装置となる。
なお、第一の光成分5は、少なくとも一種類の第一の蛍光体1に由来するものであればよい。そのため、第一の蛍光体1は、一種類の蛍光体のみで構成されてもよく、複数種類の蛍光体で構成されてもよい。
また、第一の光成分5は、固体発光素子と蛍光体とを組み合わせてなる波長変換型発光素子が放つ光成分の少なくとも一部からなることが好ましい。また、出力光4において、第一の光成分5と第三の光成分7の両方が、波長変換型発光素子が放つ光成分とすることも好ましい。このようにすると、市販の白色LED光源をそのまま使用できるので、迅速な商品開発や工業生産に有利な発光装置となる。
ここで、第二の光成分6は、Cr3+で賦活された蛍光体が放つ蛍光に由来することが好ましい。また、第二の光成分6は、ガーネット型の結晶構造を持つ蛍光体が放つ蛍光に由来することが好ましい。Cr3+で賦活された蛍光体は、可視光、特に青色光又は赤色光を吸収して近赤外の蛍光に変換する性質を持たせやすい。このため、青色LEDを備える波長変換型発光素子が放つ青色光、及び赤色蛍光体を備える波長変換型発光素子が放つ赤色光を励起光として使用できることから、発光装置の製造が容易となる。また、Cr3+で賦活することにより、450nm以上520nm未満の波長範囲内に励起ピークを持つ蛍光体、又は600nm以上750nm未満の波長範囲内に励起ピークを持つ蛍光体にすることも容易となる。さらに、賦活剤を添加する蛍光体の母体の種類によって、光吸収ピーク波長や蛍光ピーク波長を変えること、すなわち、励起スペクトル形状や蛍光スペクトル形状を変えることも容易となる。そのため、出力する近赤外の光成分の分光分布を容易に制御することが可能となる。
なお、近赤外光を検出器で検知して、検出器の検知信号をフーリエ変換して使用する場合、第二の光成分6の分光分布は正規分布を持つか、これに近い分光分布を持つことが好ましい。そのため、第二の光成分6の分光分布は、700nm以上の長波長範囲において、強度が急激に変化しないことが好ましい。また、第二の光成分6の分光分布は、少なくとも700nm以上850nm未満の波長範囲内において、強度が急激に変化しないことがより好ましい。具体的には、第二の光成分6の分光分布は、700nm以上の長波長範囲において、±8%/nmを超えて変化しないことが好ましく、±3%/nmを超えて変化しないことがより好ましい。また、第二の光成分6の分光分布は、少なくとも700nm以上850nm未満の波長範囲内において、±8%/nmを超えて変化しないことが好ましく、±3%/nmを超えて変化しないことがより好ましい。
なお、正規分布に近くなる分光分布を数値で示すと、次のようになる。第二の光成分6において、強度最大値を示す波長をλPとし、強度が当該強度最大値の半分となる短波長側と長波長側の波長を、各々λSとλLとする。このとき、λP、λS及びλLが、1≦(λL-λP)/(λP-λS)<2.0、好ましくは1≦(λL-λP)/(λP-λS)<1.8を満足する。これにより、フーリエ変換後の偽信号の生成を抑制し、品質が優れる検知信号を検出器に検知させることが可能となる。
第一の光成分5及び第三の光成分7の少なくとも一方は、波長510nm以上600nm未満の青緑~緑~黄~橙色の光を持つことが好ましく、波長530nm以上580nm未満の緑~黄色の光を持つことがより好ましい。また、第一の光成分5及び第三の光成分7の少なくとも一方は、波長545nm以上565nm未満の緑色の光を持つことがさらに好ましい。このような第一の光成分5及び第三の光成分7は、人の目が光を感じ取る強さが大きい。そのため、人の目で被照射物を視認しやすい出力光4となる。
第一の光成分5と第三の光成分7の少なくとも一方は、波長460nm以上550nm未満の青~青緑~緑の光を持つことが好ましく、波長480nm以上530nm未満の青緑~緑の光を持つことがより好ましい。また、第一の光成分5と第三の光成分7の少なくとも一方は、波長490nm以上520nm未満の青緑~緑色の光を持つことがさらに好ましい。このような第一の光成分5及び第三の光成分7は、光量が小さい暗所視において、人の目が光を感じ取る強さが大きい。そのため、暗闇の中などで被照射物を視認しやすい出力光4となる。
第一の光成分5と第三の光成分7の少なくとも一方は、波長610nm以上670nm未満の光を持つことが好ましく、波長630nm以上660nm未満の赤色の光を持つことがより好ましい。このような第一の光成分5及び第三の光成分7は、被照射物の肌色を美しく見せたり、色鮮やかに見せたりする。そのため、照らされた人の顔や肌の見え方、赤みを持つ食肉や果物の見栄えをよくする出力光4となる。
第二の光成分6は、波長850nmを起点として長波長になるにつれて強度が低下することが好ましい。具体的には、第二の光成分6は、波長1000nmにおける蛍光強度が、波長850nmの蛍光強度の10%未満であることが好ましい。また、起点とする波長は850nmよりも短いことが好ましく、例えば800nmとすることが好ましい。この場合、第二の光成分6は、波長1000nmにおける蛍光強度が、波長800nmにおける蛍光強度の10%未満にすることが好ましい。また、第二の光成分6は、波長950nmにおける蛍光強度が、波長800nmにおける蛍光強度の10%未満にすることも好ましい。このようにすると、熱線として機能しやすい長波長側の近赤外線や中赤外線の割合が減少する。そのため、食品類など、熱によって悪影響を受けやすい物を検査する用途に有利な発光装置となる。
出力光4の分光分布は、第一の光成分5と第二の光成分6の間に第一の極小値8を持ち、第一の極小値8は第二の光成分6の強度最大値の50%を下回ることが好ましい。さらに、第二の光成分6は、強度最大値の50%となる強度をとる長波長側の波長と低波長側の波長との間の波長差が、70nmを超えることが好ましく、100nmを超えることがより好ましい。このようにすると、可視の光成分と近赤外の光成分とが分離され、近赤外光を広い波長範囲に亘って持つ出力光4となる。そのため、近赤外光の吸収波長が異なるか、周囲環境によって変動しやすい物の検査や評価に有利な発光装置となる。
第一の光成分5と第二の光成分6と第三の光成分7とを混合した光は、青色光成分と、青緑~緑~黄色光成分と、赤色光成分とを含むこともできる。青色光成分は、波長435nm以上480nm未満の範囲内の光成分であり、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることが好ましい。青緑~緑~黄色光成分は、波長500nm以上580nm未満の範囲内の光成分であり、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることが好ましい。赤色光成分は、波長600nm以上700nm未満の範囲内の光成分であり、当該波長範囲内に強度最大値を持つ光成分であることが好ましい。これにより、出力光4は、光の三原色となる青と緑と赤の光成分を含むものになり、演色性が高い可視光を出力できる発光装置となる。そのため、被照射物をありのままのように見せることに有利な発光装置となる。また、光の三原色(青、緑、赤)及び近赤外の光成分を多く放つものになるので、RGB-NIRイメージングと呼ばれるイメージング技術との適合性がよい発光装置となる。
第三の光成分7は、固体発光素子3が放つ一次光3Bに由来する、435nm以上480nm未満、好ましくは440nm以上470nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ青色光成分とすることができる。このような第三の光成分7は、青色光を放つ発光ダイオード(LED)又はレーザーダイオード(LD)を使用して容易に得ることができる。そのため、商品開発や工業生産に有利な発光装置となる。
第一の光成分5は、第三の光成分7を第一の蛍光体1で波長変換した光(第一の波長変換光1B)であることが好ましい。このようにすると、第一の蛍光体1による光吸収と蛍光放出とのエネルギー差(ストークスシフト)が小さくなる。そのため、波長変換に伴い生じるエネルギー損失によって第一の蛍光体1が発熱し、当該蛍光体の温度上昇によって消光する現象(温度消光)を抑制することができる。したがって、第一の光成分5を、高い光子変換効率で出力することができる発光装置となる。
同様に、第二の光成分6は、第一の光成分5を第二の蛍光体2で波長変換した光(第二の波長変換光2B)であることが好ましい。このようにすると、第二の蛍光体2による光吸収と蛍光放出のエネルギー差を小さくなるので、第二の蛍光体2の温度消光を抑制することができる。したがって、第二の光成分6を、高い光子変換効率で出力することができる発光装置となる。
なお、出力光4は、波長700nm未満の光成分におけるエネルギー強度の積分値が、波長700nm以上の光成分におけるエネルギー強度の積分値の半分未満であることが好ましく、1/3未満であることがより好ましい。このようにすると、近赤外光を含む光成分のエネルギー強度が、可視光の光成分のエネルギー強度よりも大きくなる。そのため、高精度の非破壊検査、微小物の非破壊検査、広域の非破壊検査、大きな物又は厚みを持つ物の非破壊検査などに適し、必要に応じて、被照射物の表面状態などを人の目で確認することが可能となる。また、可視光成分の割合が小さな出力光4を放つ発光装置となるので、出力光4の眩しさを緩和する上で有利な発光装置にもなる。
本実施形態の発光装置において、出力光4は白色を呈することができる。例えば、第一の光成分5、第二の光成分6及び第三の光成分7が加法混色によって白色光を生成するように、光成分を選択することができる。このようにすると、発光装置は、自然光に近い色調の光と高出力の近赤外線とを同時に放つものになり、一般照明と産業用照明とを兼ねるものになる。そのため、自然に近い見え方の下で、被照射物の状態を検知する検知装置、被照射物の内部構造及び欠陥を検査する検査装置に適する発光装置となる。
本実施形態において、出力光4は、相関色温度が2600K以上12000K未満であることが好ましく、3000K以上8000K未満であることがより好ましい。これにより、自然光に近い色調の可視光と近赤外光とを同時に放つものになり、人の目による見え方が重視される一般照明と、電子機器のセンサーによる見え方が重視される産業用照明とを兼ね備えることができる。そのため、自然に近い見え方の下で、被照射物の状態などを検知する検知装置、被照射物の内部構造及び欠陥などを検査する検査装置に適する発光装置となる。なお、相関色温度が低い光は電球が放つ光に近い光色になり、相関色温度が高い光は昼間の太陽光に近い光色になる。
出力光4は、平均演色評価数(Ra)が80以上100未満であることが好ましい。これにより、青果物、食肉、鮮魚などの見た目を、高演色性の光によって、鮮度感があふれる良好なものにすることができる。一方で、これらを照らした近赤外の反射光又は透過光の検出によって、これらの内部の傷み具合や鮮度などを評価することができる。このため、売り場に陳列した商品の傷み具合を第三者に悟られること無く把握して、傷みが認められる商品を売り場などから早めに取り去ることができる。また、人の顔や肌、体内の臓器などを、高演色性の光によって美しく見せることができる。一方で、これらを照らした近赤外の反射光又は透過光の検出によって、人の健康状態や疾病などを評価することができる。なお、平均演色評価数が小さい光は高光束化に有利な光になり、平均演色評価数が大きい光は自然光に近い光になる。
このように、本実施形態の発光装置は、自然光で照らされたときと遜色のない空間の見え方をする中で、人に悟られること無く、近赤外の光によって、被照射物の状態の監視や計測を行うことができる。
白色を呈する出力光4は、440nm以上660nm未満、好ましくは430nm以上900nm未満の波長範囲の全域において、分光強度を持つことが好ましい。つまり、出力光4は、上記の波長範囲において、強度がゼロとなる波長成分がない分光分布とすることが好ましい。このような出力光4は、波長が異なる多くの光で対象物を照らすことができ、その光が短波長の可視(紫青)から近赤外に亘る。そのため、波長によって異なる反射光を撮影して集約し、被照射物の特徴を可視化するハイパースペクトルイメージングに有利な発光装置となる。
出力光4の分光分布は、波長700nm以上の長波長の光成分の強度が最大値を示すことが好ましい。特に、出力光4の分光分布は、波長700nm以上の光成分の強度最大値が、波長380nm以上700nm未満の光成分の強度最大値の1.5倍を超えることが好ましく、2倍を超えることがより好ましく、3倍を超えることがさらに好ましい。また、出力光4の分光分布において、380nm以上700nm未満の波長範囲内の光成分の強度最大値は、波長700nm以上の光成分の強度最大値の50%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさらに好ましい。このように、近赤外の光成分への変換効率が高いことにより、近赤外の光成分割合が多い発光装置となる。
なお、出力光4の分光分布は、波長380nm未満の紫外域の光成分を実質に含まないことが好ましい。これにより、投入電力を可視光と赤外光にのみ変換でき、可視光と赤外光へのエネルギー変換効率が高い発光装置となる。
出力光4の分光分布は、第二の光成分6として示すような、Cr3+イオンの4T2→4A2の電子エネルギー遷移に由来するブロードな蛍光成分を持つことが好ましい。そして、当該蛍光成分は、700nm以上の波長範囲に蛍光ピークを持つことが好ましい。これにより、広い波長範囲に亘って近赤外光成分を放つものになり、ハイパースペクトルイメージングに適する発光装置となる。
出力光4の分光分布は、少なくとも410nm以上700nm未満、好ましくは380nm以上780nm未満の可視の波長範囲の全域に亘って光成分を持つことが好ましい。これにより、被照射物が人の目で視認できるようになるだけでなく、スペクトルイメージングに使用できる光成分を、可視域の全波長範囲に亘って持つことができる。
なお、後述するように、発光装置において、固体発光素子3と第一の波長変換体1Aは、これらを組み合わせて、波長変換型発光素子とすることができる。そして、相関色温度が2600K以上12000K未満の光を放つ波長変換型発光素子は、白色LEDとして、様々な仕様や形態の製品が市場に数多く出回っている。そのため、波長変換型発光素子を用いることにより、顧客の要望に対して、設計から商品開発、工業生産に至るまでの過程を、少ない工数で迅速に対応することができる。
(発光装置の構成)
図2~図5は、本実施形態に係る発光装置10の構成を示している。図2は、固体発光素子3、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aを、それぞれ一つ使用した発光装置10Aを示す。図3は、固体発光素子3と第一の波長変換体1Aを組み合わせた第一の波長変換型発光素子を複数使用し、さらに一つの第二の波長変換体2Aを使用した発光装置10Bを示す。図4は、複数の固体発光素子3と第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aを一つずつ組み合わせた発光装置10Cを示す。図5は、固体発光素子3と第一の波長変換体1Aを組み合わせた第一の波長変換型発光素子と、固体発光素子3と第二の波長変換体2Aを組み合わせた第二の波長変換型発光素子を使用した発光装置10Dを示す。なお、図2~図5では、発光装置の構成要素となる電源等は省略している。
図2~図5に示すように、発光装置10は、固体発光素子3と、第一の蛍光体1を含む第一の波長変換体1Aと、第二の蛍光体2を含む第二の波長変換体2Aとを備え、出力光4を放つ発光装置である。なお、発光装置10は、第一の波長変換体1A又は第二の波長変換体2Aの少なくとも一方が、第一の蛍光体と第二の蛍光体を両方とも含む波長変換体であってもよい。
発光装置10において、固体発光素子3は一次光3Bを放つ。第一の波長変換体1Aは、一次光3Bの少なくとも一部を吸収して、380nm以上700nm未満の可視の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第一の波長変換光1Bに変換する。第二の波長変換体2Aは、一次光3B及び第一の波長変換光1Bの少なくとも一方の一部を吸収して、第二の波長変換光2Bに変換する。第二の波長変換光2Bは、700nm、好ましくは750nmを超える波長範囲に蛍光ピークを持つ。さらに、第二の波長変換光2Bは、700nm以上2500nm未満、好ましくは780nm以上1000nm未満の波長範囲内の近赤外光成分を持つ。このような装置構成にすると、第一の波長変換光1Bに由来する第一の光成分5と、第二の波長変換光2Bに由来する第二の光成分6と、一次光3Bに由来する第三の光成分7とを含む出力光4を放つことができる。
発光装置10は、図2~図4に示すような、透過形の構成とすることができる。具体的には、第一の波長変換体1Aは、正面1Aaで一次光3Bを受光し、背面1Abから一次光3B及び第一の波長変換光1Bを放射する。さらに、第二の波長変換体2Aは、正面2Aaで一次光3B及び第一の波長変換光1Bを受光し、背面2Abから一次光3B、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bを放射する。この構成では、第一の波長変換光1B、第二の波長変換光2B及び一次光3Bの混合光を、発光装置における共通の出力面から出力する。
具体的には、発光装置10A,10B,10Cにおいて、固体発光素子3が放つ一次光3Bは、第一の波長変換体1Aと第二の波長変換体2Aの両方に照射される。このため、第一の波長変換体1Aと第二の波長変換体2Aは、一次光3Bと第一の波長変換光1Bの両方を透過する構造にすることが好ましい。つまり、一次光3Bと第一の波長変換光1Bの両方が、第一の波長変換体1Aと第二の波長変換体2Aを透過し、第二の波長変換光2Bと共に発光装置から出力し得る構造にすることが好ましい。これにより、出力光4を放つ光出力面が、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aにおいて、面積が大きな方の範囲内に収まるため、発光装置を小型化することができる。
なお、図4の発光装置10Cでは、固体発光素子3に近い側に第一の波長変換体1Aを配置し、遠い側に第二の波長変換体2Aを配置している。しかし、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aの配置は、逆にすることもできる。
図5に示すように、発光装置10は、固体発光素子3と第一の波長変換体1Aを組み合わせた第一の波長変換型発光素子と、固体発光素子3と第二の波長変換体2Aを組み合わせた第二の波長変換型発光素子とを並列に配置した構成とすることもできる。この場合、第一の波長変換体1Aは、正面1Aaで一次光3Bを受光し、背面1Abから一次光3B及び第一の波長変換光1Bを放射する。また、第二の波長変換体2Aは、正面2Aaで一次光3Bを受光し、背面2Abから一次光3B及び第二の波長変換光2Bを放射する。そして、第一の波長変換光1B、第二の波長変換光2B及び一次光3Bの混合光を、発光装置10Dにおける出力面から出力する。
<固体発光素子>
固体発光素子3は、一次光3Bを放射する発光素子であり、発光ダイオード又はレーザーダイオードであることが好ましい。なお、固体発光素子3はこれらに限定されず、一次光3Bを放つことが可能であれば、あらゆる固体発光素子を用いることができる。
固体発光素子3として、1W以上の高エネルギーの光を放つLEDモジュール又はレーザーダイオードを使用することにより、発光装置10は数百mWクラスの近赤外の光成分を含む光出力を期待することができる。固体発光素子3として、3W以上又は10W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、発光装置10は数Wクラスの光出力を期待することができる。固体発光素子3として、30W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、発光装置10は10Wを超える光出力を期待することができる。固体発光素子3として、100W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、発光装置10は30Wを超える光出力を期待することができる。
レーザーダイオードを使用して、一次光3Bをレーザー光にすることにより、第一の波長変換体1Aに高密度のスポット光を照射する仕様になる。これにより、発光装置10は、高出力の点光源となるため、固体照明の産業使用の範囲を広げることが可能となる。なお、レーザーダイオードとしては、例えば、端面発光レーザー(EEL:Edge Emitting Laser)、垂直共振器面発光型レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等を使用することができる。
発光装置10が光ファイバーなどの導光部材を備えることにより、固体発光素子3と第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aとが、空間的に離れる構造になる。これにより、発光部が軽くて自在に動かすことができ、照射場所を自在に変えることが容易な発光装置となる。
固体発光素子3は、複数個であることが好ましい。これにより、一次光3Bの出力を大きくすることができ、高出力化に有利な発光装置となる。なお、固体発光素子の個数は特に限定されないが、例えば、9個以上、16個以上、25個以上、36個以上、49個以上、64個以上、81個以上又は100個以上とすることができる。また、固体発光素子の個数の上限も特に限定されないが、例えば、9個、16個、25個、36個、49個、64個、81個又は100個とすることができる。
発光装置10において、固体発光素子3は、面発光形の面発光光源であることが好ましい。これにより、第一の波長変換体1Aを照射する一次光3Bの強度分布のばらつきや色調のむらを抑制するので、出力光の強度むらの抑制に有利な発光装置となる。
固体発光素子3が放つ一次光3Bの光エネルギー密度は、0.3W/mm2を超えることが好ましく、1.0W/mm2を超えることがより好ましい。このようにすると、一次光3Bの光エネルギー密度が大きいので、拡散させた一次光3Bを第一の波長変換体1Aに照射する構成にした場合、比較的強い出力光4を放つことができる。また、拡散させない一次光3Bを、第一の波長変換体1Aに直接照射する構成にした場合、光エネルギー密度が大きい出力光4を放つことができる。なお、固体発光素子3が放つ一次光3Bの光エネルギー密度の上限は特に限定されないが、例えば30W/mm2とすることができる。
一次光3Bは、第一の波長変換体1Aがその一部を吸収して、380nm以上780nm未満の波長範囲内に蛍光ピークを持つ第一の波長変換光1Bに変換し得る光であればよい。具体的には、一次光3Bは、長波長紫外線(UV-A:315nm以上400nm未満)、紫又は青(380nm以上495nm未満)、緑又は黄(495nm以上590nm未満)、及び、橙又は赤(590nm以上750nm未満)から選択することができる。
一次光3Bは、波長435nm以上560nm未満、特に波長440nm以上480nm未満の範囲内に強度最大値を持つ光であることが好ましい。このようにすると、オーソドックスな青色LED、又は青色LED仕様の白色LEDが使用できるため、迅速な商品開発や工業生産が容易となる。
なお、一次光3Bは、一次光を構成する光子が、複数個の固体発光素子から供給されることが好ましい。このようにすると、固体発光素子3の数に比例して、第一の波長変換体1Aに多くの光子を供給できるため、出力光4の高出力化に有利な発光装置となる。
<第一の波長変換体>
第一の波長変換体1Aは、第一の蛍光体1をシリコーン樹脂で封止した波長変換体とすることができる。また、第一の波長変換体1Aは、第一の蛍光体1を低融点ガラスで封止した全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第一の波長変換体1Aは、結着材などを使用して、第一の蛍光体1を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることもできる。第一の波長変換体1Aは、第一の蛍光体1を焼結してなる焼結体、つまり蛍光セラミックスとすることもできる。そして、このような波長変換体を複合化した形態とすることもでき、例えば、これらを積層した構造にすることもできる。
なお、樹脂で封止した波長変換体は、粉末蛍光体を使用して比較的容易に製造できることから、比較的安価な発光装置となる。一方、全無機の波長変換体は熱伝導性に優れ、放熱設計が容易になるので、波長変換体の温度上昇を抑制して、高ワットで出力できる発光装置となる。
なお、第一の波長変換体1Aの厚みは特に限定されないが、最大厚みが100μm以上5mm未満であることが好ましく、200μm以上1mm未満であることがより好ましい。
第一の波長変換体1Aは、固体発光素子3の光出力面の全体を覆うように配置されていることが好ましく、面発光光源の光出力面の全体を覆うように配置されていることがより好ましい。これにより、一次光3Bが、第一の波長変換体1Aを効率よく照射する構成になるため、一次光3Bの第一の波長変換光1Bへの変換効率を高めることが可能となる。
第一の波長変換体1Aは、透光性を持つことが好ましい。これにより、波長変換体の内部で波長変換された光成分を、第一の波長変換体1Aを透過して放出することができる。
<第一の蛍光体>
第一の蛍光体1は、一次光3Bを吸収して、第一の波長変換光1Bに変換する蛍光体である。第一の蛍光体1としては、固体照明光源用として知られる各種の無機蛍光体を使用することができる。
例えば、第一の蛍光体1として、435nm以上500nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す青色の波長変換光を放つ蛍光体を使用することにより、出力光4は青色の光成分を含む。第一の蛍光体1として、470nm以上530nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す青緑色又は緑色の波長変換光を放つ蛍光体を使用することにより、出力光4は、青緑色の光成分を含む。第一の蛍光体1として、500nm以上560nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す緑色又は黄緑色の波長変換光を放つ蛍光体を使用することにより、出力光4は、緑色の光成分を含む。第一の蛍光体1として、560nm以上600nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す黄色又は橙色の波長変換光を放つ蛍光体を使用することにより、出力光4は黄色の光成分を含む。また、第一の蛍光体1として、600nm以上700nm未満、特に610nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す赤色又は深赤色の波長変換光を放つ蛍光体を使用することにより、出力光4は赤色の光成分を含む。
なお、暗所視において視感度が高い青緑色光を放つ蛍光体を使用することにより、暗がりや暗闇において視認しやすい出力光4となる。また、明所視において視感度が高い緑色光を放つ蛍光体を使用することにより、明るい所において視認しやすい出力光4となる。黄色光を放つ蛍光体を使用することにより、紫外線や青色光によって感光しやすい樹脂を使用する作業環境下で使用する出力光4となる。また、赤色光を放つ蛍光体を使用することにより、赤みを持つ食肉、マグロ、リンゴなど、又は、人の肌などを良好な見た目にする出力光4となる。
第一の蛍光体1としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で賦活され、可視の蛍光を放つ蛍光体を使用することができる。希土類イオンとしては、Ce3+及びEu2+の少なくとも一つであることが好ましい。遷移金属イオンとしては、Mn4+が好ましい。そして、第一の蛍光体1は、当該蛍光イオン(発光中心)を含む、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物又は酸ハロゲン化物であることが好ましい。
詳細に説明すると、第一の蛍光体1は、ハロリン酸塩、リン酸塩、ハロ珪酸塩、珪酸塩、アルミン酸塩、アルミノ珪酸塩、硼酸塩、ゲルマン酸塩、窒化珪酸塩、窒化アルミノ珪酸塩、酸窒化珪酸塩、酸窒化アルミノ珪酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。そして、第一の蛍光体1は、これらから照明設計に適するものを適宜選択して使用すればよい。
なお、第二の波長変換体2Aによる波長変換に伴う、吸収光のストークス損失を抑制する観点から、第一の蛍光体1は、できる限り長波長に強度最大値を示す波長変換光を放つことが好ましい。このため、第一の蛍光体1は、600nm以上660nm未満の波長範囲に強度最大値を持つ光を放つ赤色蛍光体を含むことが好ましい。これにより、赤色光を使用して、第二の波長変換体2Aに含まれる第二の蛍光体2を励起することができる。このため、第二の波長変換体2Aによるストークス損失を低減して、第二の蛍光体2の温度消光を抑制することができる。
赤色蛍光体は、Eu2+で賦活された複合窒化物蛍光体又は複合酸窒化物蛍光体であることが好ましい。このようなEu2+賦活窒化物系蛍光体としては、アルカリ土類金属窒化珪酸塩、アルカリ土類金属窒化アルミノ珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化アルミノ珪酸塩の蛍光体を挙げることができる。また、Eu2+賦活窒化物系蛍光体としては、MAlSiN3:Eu2+、MAlSi4N7:Eu2+、M2Si5N8:Eu2+を挙げることができる。なお、Mは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素である。さらに、Eu2+賦活窒化物系蛍光体としては、上記化合物の組成におけるSi4+-N3+の組み合わせの一部をAl3+-O2-で置換した蛍光体も挙げることができる。
Eu2+賦活窒化物系蛍光体は、青~緑~黄~橙の広い波長範囲に亘る光成分を吸収して赤色光に変換する性質を持つものが多い。そのため、固体発光素子3として、青色光だけでなく、緑色光や黄色光を放つ固体発光素子を使用することもできる。したがって、近赤外線に波長変換する際のストークス損失を小さくすることが容易で、出力光4の高効率化を図ることが可能となる。
第一の波長変換体1Aの蛍光出力飽和を抑制して、第二の波長変換体2Aに多くの光子を供給する観点から、第一の波長変換体1Aは、短残光性の第一の蛍光体1を含むことが好ましい。このため、第一の波長変換体1Aに含まれる第一の蛍光体1は、Ce3+で賦活された蛍光体のみとすることも好ましい。
Ce3+は、パリティー許容型及びスピン許容型の電子エネルギー遷移に基づく光吸収と蛍光放出を示すことに起因して、光吸収と蛍光放出が瞬時に生じる。そのため、高密度励起光の照射下でも蛍光出力飽和し難いことから、第一の波長変換体1Aに直接照射する一次光3Bの光子数を増やして、出力光4の高出力化を図ることができる。
Ce3+で賦活された蛍光体は、ガーネット型の結晶構造を持つ複合酸化物蛍光体(Ce3+賦活ガーネット蛍光体)であることが好ましい。Ce3+賦活ガーネット蛍光体は、希土類アルミニウムガーネット蛍光体、希土類シリコンガーネット蛍光体、これらを端成分としてなる固溶体としてのガーネット化合物を挙げることができる。希土類アルミニウムガーネット蛍光体は、Lu3Al2(AlO4)3:Ce3+、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+、Lu3Ga2(AlO4)3:Ce3+、Y3Ga2(AlO4)3:Ce3+を挙げることができる。希土類シリコンガーネット蛍光体は、Lu2CaMg2(SiO4)3:Ce3+を挙げることができる。
Ce3+賦活ガーネット蛍光体は、青色光を吸収する性質を持つものが多いので、一次光3Bを放つ固体発光素子3として、青色光を放つ固体発光素子を使用することができる。また、Ce3+賦活ガーネット蛍光体は、吸収した光を、緑色光に変換する性質を持つものも多いので、高演色性の出力光4を得ることが容易となる。さらに、Ce3+賦活ガーネット蛍光体は、吸収した光を、橙色光に変換する性質を持つものも多いので、赤味を持つ物体の検知に有利な赤色光成分を含む出力光4を得ることが可能となる。また、車載ヘッドランプ技術や高出力プロジェクタ-技術などの進展に伴い、近年では、高出力化や信頼性確保に有利なCe3+賦活ガーネット蛍光体のセラミックス化技術も進展している。そのため、蛍光セラミックスを使用し、高出力化や信頼性の面で有利な装置の提供なども比較的容易である。
このように、第一の蛍光体1を用いることにより、第一の波長変換光1Bは、波長435nm以上700nm未満の範囲内に強度最大値を持つ可視の光成分となる。例えば、第一の波長変換光1Bは、波長500nm以上600nm未満、特に510nm以上560nm未満の範囲内に強度最大値を持つ光となる。また、第一の波長変換光1Bは、波長600nm以上660nm未満、特に610nm以上650nm未満の範囲内に強度最大値を持つ光となる。
<第二の波長変換体>
第二の波長変換体2Aは、第二の蛍光体2をシリコーン樹脂で封止した波長変換体とすることができる。また、第二の波長変換体2Aは、第二の蛍光体2を低融点ガラスで封止した全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第二の波長変換体2Aは、結着材などを使用して、第二の蛍光体2を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることもできる。第二の波長変換体2Aは、第二の蛍光体2を焼結してなる焼結体、つまり蛍光セラミックスとすることもできる。なお、第二の波長変換体2Aの形態は、第一の波長変換体1Aと同様であることから、重複する説明を省略する。
第二の波長変換体2Aは、第一の波長変換体1Aの全体を覆うように配置されていることが好ましい。これにより、第一の波長変換体1Aを通過した一次光3Bや、第一の波長変換体1Aから放たれる第一の波長変換光1Bが、第二の波長変換体2Aに効率よく照射される。そのため、一次光3B及び第一の波長変換光1Bから第二の波長変換光2Bへの変換効率を高めることができる。
第二の波長変換体2Aは、透光性を持つことが好ましい。これにより、一次光3B及び第一の波長変換光1Bに加えて、波長変換体の内部で波長変換された光成分も、第二の波長変換体2Aを透過して放出することができる。また、第二の波長変換体2Aは、第二の波長変換光2B、特に波長750nmの光を透過することが好ましい。これにより、第二の波長変換体2Aが近赤外の光成分を透過することから、波長変換体の内部で光子が波長変換体自身に吸収されて消失することが抑制される。
<第二の蛍光体>
第二の蛍光体2は、一次光3B及び第一の波長変換光1Bの少なくとも一方を吸収して、第二の波長変換光2Bに変換する蛍光体である。第二の蛍光体2としては、例えば、近赤外光源用として知られる各種の無機蛍光体(近赤外蛍光体)を使用することができる。
第二の蛍光体2としては、700nm以上1700nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す比較的短波長側の近赤外光を放つ蛍光体を使用することができる。これにより、出力光4は、各種ガス分子の吸光波長(例えば、O2:760nm、NO2:830nm、H2O:1365nm、NH3:1530nm、C2H2:1530nm、CO:1567nm、CO2:1573nm、CH4:1651nm)の光成分を含むことができる。この際、一次光3B又は第一の波長変換光1Bを、380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光、特に440nm以上500nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光;500nm以上580nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光;又は波長600nm以上680nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す光とすることが好ましい。
ここで、近赤外分光法を使用して、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)及びこれらの成分を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体2としては、700nmを超え900nm未満の波長範囲内、好ましくは750nmを超え850nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
近赤外分光法を使用して、水(H2O)及び水を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体2としては、1200nmを超え1500nm未満の波長範囲内、好ましくは1275nmを超え1425nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
近赤外分光法を使用して、アンモニア(NH3)、炭化水素(C2H2、CH4など)、炭素酸化物(CO、CO2など)及びこれらの成分を含む物に関する情報を得ることができる。そして、このような目的で使用する第二の蛍光体2としては、1400nmを超え1800nm未満の波長範囲内、好ましくは1500nmを超え1700nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体が好適である。
逆に、第二の蛍光体2から発せられる第二の波長変換光2Bが酸素又は二酸化窒素で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体2としては、750nmを超え850nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体2としては、700nmを超え900nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体2としては、700nmを超え900nm未満の波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
また、第二の蛍光体2から発せられる第二の波長変換光2Bが水で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体2としては、1275nmを超え1425nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体2としては、1200nmを超え1500nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体2としては、1200nmを超え1500nm未満の波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
第二の蛍光体2から発せられる第二の波長変換光2Bがアンモニア、炭化水素、炭素酸化物で吸収されることにより、物やシステムに悪影響を与える場合がある。この場合、第二の蛍光体2としては、1500nmを超え1700nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。また、第二の蛍光体2としては、1400nmを超え1800nm未満の波長範囲内の強度最大値が、700nm以上1700nm未満の波長範囲内における強度最大値の10%に満たない蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第二の蛍光体2としては、1400nmを超え1800nm未満の波長範囲内に光成分を持たない蛍光体を用いることがより好ましい。
なお、第二の蛍光体2として近赤外の波長変換光を放つ蛍光体を使用する発光装置は、フォトダイオードの分光感度が高い光成分を出力する。そして、フォトダイオードは、検出器用のセンサーに専ら使用されている。そのため、このような発光装置は、フォトダイオードを使用する検査装置に好適に用いることができる。
例えば、SiフォトダイオードやSi-PINフォトダイオードを使用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体2は、700nm以上1100nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体2は、780nm以上1050nm未満の波長範囲内、特に800nm以上1000nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
例えば、Geフォトダイオードを使用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体2は、700nm以上1600nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体2は、1100nm以上1550nm未満、特に1300nm以上1500nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
例えば、InGaAsフォトダイオードを使用する検査装置向けの場合、第二の蛍光体2は、900nm以上1650nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることが好ましい。また、この場合、第二の蛍光体2は、1000nm以上1600nm未満、特に1100nm以上1600nm未満の波長範囲内に強度最大値を示す波長変換光を放つ蛍光体であることがより好ましい。
さらに、第二の蛍光体2として、比較的短波長側の近赤外光を放つ蛍光体を使用する発光装置は、熱線となる波長4000nm以上の光成分を出力する可能性が低い。そのため、このような発光装置は、熱によって変質しやすい物の検査用として好適に用いることができる。
第二の蛍光体2としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で賦活され、近赤外の光成分を含む蛍光を放つ蛍光体を使用することができる。希土類イオンは、Nd3+、Eu2+、Ho3+、Er3+、Tm3+及びYb3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。遷移金属イオンは、Ti3+、V4+、Cr4+、V3+、Cr3+、V2+、Mn4+、Fe3+、Co3+、Co2+及びNi2+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。そして、第一の蛍光体1と同様に、第二の蛍光体2としては、上述のイオンを発光中心として含有し、母体として、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物及び酸ハロゲン化物の少なくとも一つを含有した蛍光体を使用することができる。
なお、第二の蛍光体2において蛍光イオンとして機能するイオンは、上述の希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一つとすることができる。そして、蛍光イオンは、一次光3B及び第一の波長変換光1Bの少なくとも一方を吸収して、近赤外の光成分に変換する性質を持つものであれば足りる。ただ、好ましい蛍光イオンは、Cr3+である。つまり、第二の蛍光体2は、蛍光イオンとしてCr3+を含むことが好ましい。
蛍光イオンとしてCr3+を使用することにより、可視光、特に青色光又は赤色光を吸収して近赤外の光成分に変換する性質を持つ第二の蛍光体2を得ることが容易になる。また、母体の種類によって、光吸収ピーク波長や蛍光ピーク波長を変えることも容易となり、励起スペクトル形状や蛍光スペクトル形状を変える上で有利になる。また、Cr3+を使用することにより、青色LEDを備える波長変換型発光素子が放つ青色光、及び赤色蛍光体を備える波長変換型発光素子が放つ赤色光を励起光として使用できることから、発光装置の製造が容易となる。さらに、出力する近赤外の光成分の分光分布を制御する際にも有利な発光装置となる。
なお、蛍光イオンがCr3+となる蛍光体の種類は、一次光3B及び第一の波長変換光1Bの少なくとも一方を吸収し、赤外の蛍光成分に変換するものであれば特に限定されない。ただ、Cr3+賦活蛍光体としては、製造が容易な複合金属酸化物を挙げることができる。
第二の蛍光体2として好ましい蛍光体は、多くの実用実績を持ち、ガーネット型の結晶構造を有し、Cr3+で賦活された複合酸化物蛍光体である。このようなCr3+賦活ガーネット蛍光体は、希土類アルミニウムガーネット蛍光体が好ましい。具体的には、Cr3+賦活ガーネット蛍光体は、Y3Al2(AlO4)3:Cr3+、La3Al2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Al2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(AlO4)3:Cr3+、La3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Y3Sc2(AlO4)3:Cr3+、La3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(GaO4)3:Cr3+、La3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Y3Sc2(GaO4)3:Cr3+、La3Sc2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(GaO4)3:Cr3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、Cr3+賦活ガーネット蛍光体は、これらの蛍光体を端成分としてなる固溶体であってもよい。
Cr3+賦活ガーネット蛍光体は、青色光又は赤色光を吸収して深赤色~近赤外の光に変換する性質を持つものが多い。そのため、固体発光素子3として、青色光及び/又は赤色光を放つ固体発光素子を使用することができる。また、第一の波長変換体1Aとして、青色光及び/又は赤色光の光成分を放つ蛍光体を使用することができる。これにより、光の三原色(青、緑、赤)を構成する少なくとも一種類(青色又は赤色)の光成分と近赤外の光成分を含む出力光4を得ることができる。
特に、固体発光素子3を、青色光を放つ固体発光素子とする。第一の波長変換体1Aを、青色光を緑色光に変換するCe3+賦活ガーネット蛍光体、及び/又は、青色光を赤色光に変換するEu2+賦活窒化物系蛍光体を含む波長変換体とする。さらに、第二の波長変換体2Aを、一次光3B及び/又は第一の波長変換光1Bを近赤外光に変換するCr3+賦活ガーネット蛍光体を含む波長変換体とする。これにより、光の三原色(青、緑、赤)を構成する光成分と近赤外の光成分を含んでなり、高演色性の出力光4を得ることができる。
また、近年、Ce3+賦活ガーネット蛍光体の材料技術が、セラミックス化技術も含めて進展している。そのため、Ce3+賦活ガーネット蛍光体で培われた技術を、Cr3+賦活ガーネット蛍光体へ応用することも容易である。そして、Cr3+賦活ガーネット蛍光体を主体にしてなる蛍光セラミックスを使用すると、近赤外の光成分の高出力化や装置の信頼性の面で有利となる。
さらに、Ce3+賦活ガーネット蛍光体についても多種多様な蛍光体が存在しているので、これらの関連技術の調達も容易である。このため、Ce3+賦活ガーネット蛍光体で培われた技術を水平展開できるCr3+賦活ガーネット蛍光体を使用することで、所望の発光装置を効率的に開発することができる。
このように、第二の蛍光体2を用いることにより、第二の波長変換光2Bは、波長700nm以上2500nm未満の範囲内に強度最大値を持つ近赤外の光成分となる。例えば、第二の波長変換光2Bは、波長750nm以上1800nm未満、特に780nm以上1500nm未満の範囲内に強度最大値を持つ光となる。
(発光装置の動作)
次に、本実施形態の発光装置10の動作を説明する。まず、固体発光素子3に電力を供給して駆動すると、固体発光素子3は一次光3Bを放出する。固体発光素子3から放射された一次光3Bが第一の波長変換体1Aに入射すると、第一の波長変換体1Aが一次光3Bの一部を吸収して、それよりも光エネルギーが低い第一の波長変換光1Bへと変換する。さらに、一次光3Bと第一の波長変換光1Bとの混合光が第二の波長変換体2Aに入射すると、第二の波長変換体2Aは混合光の一部を吸収して、それよりも光エネルギーが低い第二の波長変換光2Bへと変換する。
このようにして生成された、一次光3B、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bが、それぞれ第三の光成分7、第一の光成分5及び第二の光成分6となり、出力光4として放出される。
そして、発光装置10において、一次光3B、第一の波長変換光1B、第二の波長変換光2Bは、それぞれ固体発光素子3、第一の波長変換体1A、第二の波長変換体2Aの種類を変えることによって色調が変わる。また、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aの厚み、蛍光体の含有濃度を変えることによって、一次光3B、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bの出力比を調整することもできる。そのため、出力光4の分光分布を容易に制御することができる。
(発光装置の改良例)
次に、本実施形態の発光装置10に関し、性能改善のための改良例について説明する。
本実施形態の発光装置10は、固体発光素子3を高出力型のものにする、又は発光素子の数を増やすなどの手段によって、出力光4を構成する光子の絶対数を増やすことができる。これにより、出力光4における波長700nm以上の光成分の光エネルギーを、3W、好ましくは10W、より好ましくは30Wを超えるようにすることができる。このような高出力型の発光装置とすることにより、強い近赤外線で照らすことができるため、被照射物との距離が大きくても、比較的強い近赤外線を照射することができる。また、被照射物が微小なものや厚みを持つものであっても、被照射物に係る情報を得ることができる。
発光装置10において、固体発光素子3を高密度の一次光を放つ発光素子にする、又は発光素子が放つ光を光学レンズで集光するなどの手段によって、蛍光体に供給する光子密度を高めることもできる。このため、第一の波長変換体1Aに照射する一次光3Bの光エネルギー密度を、0.3W/mm2を超えるようにすることができる。このようにすると、光エネルギー密度が大きい出力光4を放ち得る発光装置となる。そのため、光エネルギー密度が大きな近赤外光を点出力することができる発光装置となる。
固体発光素子3として、高密度の一次光を放つ発光素子を使用した場合、一次光3Bの光エネルギー密度は、0.3W/mm2、好ましくは1.0W/mm2、より好ましくは3.0W/mm2を超えるものにすることができる。このようにすると、光拡散させた一次光を、第一の波長変換体1Aに照射する構成にした場合、比較的強い出力光4を放つ発光装置となる。また、光拡散させない一次光を、第一の波長変換体1Aに照射する構成にした場合、光エネルギー密度が大きい出力光4を放つ発光装置となる。そのため、光出力面が小さな発光素子を使用しつつ、近赤外光を大面積に照射できる発光装置や、光エネルギー密度が大きな近赤外光を照射する発光装置を提供することができる。
なお、発光装置10において、適切な固体発光素子を選択することによって、出力光4における、440nmよりも波長が短い領域の光成分の強度を、蛍光強度最大値の3%を下回るものに調整することができる。また、出力光における、440nmよりも波長が短い領域の光成分の強度を、蛍光強度最大値の1%を下回るものに調整することもできる。このようにすると、フォトレジストが感光しやすい、紫外~青の波長領域の光成分の強度がゼロに近い出力光になる。そのため、イエロールームでの使用に好適であり、半導体関連の検査作業用として有利な近赤外の光を放つ発光装置となる。
発光装置10は、配光特性を制御する配光制御機構をさらに備えてもよい。このような構成にすると、例えば車載用の配光可変型の照明システムのように、所望の配光特性を持つ出力光を放出することが可能な発光装置となる。
発光装置10は、投入電力の制御装置など、例えば近赤外線の強度を変える出力強度可変機構をさらに備えてもよい。このような構成にすると、近赤外線照射によって損傷しやすい食品や薬剤などの検査などに有利な発光装置となる。
発光装置10は、第二の波長変換光2Bの出力を制御、特にON-OFF制御する制御機構を備えてもよい。このようにすると、近赤外線の出力割合を制御できるため、近赤外線の出力強度を顧客要望に応じたものへと調整する上で有利な発光装置となる。
発光装置10は、第二の波長変換光2Bを含む出力光4と第二の波長変換光2Bを含まない出力光4とを交互に出力する構成とすることもできる。このようにすると、人の目による見え方と電子機器のセンサーによる見え方を、交互に切り替えながら確認できる。そのため、人の目による見え方と電子機器のセンサーによる見え方の干渉を無くすことができ、どちらで見た場合でも、その見え方を明瞭にする上で有利な発光装置となる。
発光装置10は、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に蛍光強度最大値を持つ光成分のピーク波長を変える可変機構を備えてもよい。このような構成にすると、汎用性が大きく、雑多な用途への対応が容易な発光装置となる。また、光の物の内部への侵入深さは波長によって変わるので、物の深さ方向の検査などに有利な発光装置にもなる。
なお、このような近赤外線の制御機構や蛍光ピーク波長の可変機構は、例えば、バンドパスフィルターやローカットフィルターなどの光学フィルターを使用することができる。そして、出力光4が、光学フィルターを透過して出力される構造又は光学フィルターによって遮断される構造にすればよい。
発光装置10は、近赤外の光成分に限らず、出力光4の少なくとも一部の出力を制御する光制御機構を備えてもよい。このような構成により、汎用性が大きく、雑多な用途への対応が容易な発光装置となる。
発光装置10は、出力光4をパルス光とすることもできる。パルス光の照射時間の半値幅は、300ms未満とすることができる。また、出力光4又は第二の光成分6の出力強度が大きいほど、半値幅を短くすることもできる。そのため、出力光4又は第二の光成分6の出力強度に合わせて、半値幅を100ms未満、30ms未満、10ms未満、3ms未満、又は1ms未満とすることができる。なお、パルス光の消灯時間は、1ms以上10s未満とすることができる。
ここで、人の目は、50~100Hz(周期20~10ms)の光をフリッカーとして感じることが報告されている。また、ハトなどの鳥類は150Hz(周期6.7ms)前後の光をフリッカーとして感じ、ハエなどの昆虫は300Hz(周期3.3ms)前後の光をフリッカーとして感じることが報告されている。そのため、これらの生き物がフリッカーを感じない30ms未満の消灯時間が一つの好ましい形態となる。
一方で、強い光照射は、照らした物に損傷を与えるリスクを持つので、フリッカーを気にする必要性がない用途では、パルス光の消灯時間は、100ms以上、特に300ms以上が好ましい形態となる。
なお、人の毛髪や体毛の成長調整をする美容目的の場合、出力光の光エネルギーは、0.01J/cm2以上1J/cm2未満であることが好ましい。そのため、発光装置から発せられる出力光の光エネルギーをこの範囲とし、当該出力光を毛根部付近に照射すると、皮膚内部に存在するメラニン等に光を吸収させることができ、その結果、毛髪等の成長を調整することが可能となる。
ここで、出力光4の好ましい1/10残光時間、つまり消灯する直前の光強度が1/10に低下するまでの時間は、100μs未満であることが好ましく、10μs未満であることがより好ましく、1μs未満であることが特に好ましい。これにより、瞬時点灯や瞬時消灯し得る発光装置となる。
また、発光装置10は、120nm以上380nm未満、好ましくは250nm以上370nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ紫外線を放つ紫外光源を、さらに備えることもできる。このようにすると、紫外線による殺菌効果なども併せ持つ発光装置となる。
発光装置は、従来知られる一般的な照明装置をさらに備えてもよい。このようにすると、近赤外光を出力する機能を付与した照明装置となる。なお、照明装置は、固体発光素子と蛍光体を組み合わせてなるものを用いることができる。具体的には、青色LEDと緑色又は黄色蛍光体としてのCe3+賦活ガーネット蛍光体とを組み合わせてなる照明装置が挙げられる。また、青色LEDと、緑色又は黄色蛍光体としてのCe3+賦活ガーネット蛍光体と、赤色蛍光体としてのEu2+賦活窒化物蛍光体又はEu2+賦活酸窒化物蛍光体とを組み合わせてなる照明装置が挙げられる。
近赤外の光成分を放つ本実施形態の発光装置は、医療用又はバイオ技術用の光源又は照明装置とすることができる。特に、本実施形態の発光装置は、蛍光イメージング法若しくは光線力学療法に使用される医療用発光装置、又は細胞、遺伝子及び検体の検査並びに分析に使用されるバイオ技術用発光装置とすることができる。近赤外の光成分は、生体や細胞を透過する性質を持つため、このような発光装置により、体内外から患部の観察や治療を行ったり、バイオ技術に使用することが可能となる。
また、本実施形態の発光装置は、センシングシステム用光源又はセンシングシステム用照明システムとすることもできる。このようにすると、例えば、有機物を透過する性質を持つ近赤外の光成分や、物体によって反射される近赤外の光成分を使用して、有機物製の袋又は容器における中身又は異物を、未開封状態で検査することができる。また、このような発光装置により、人を含む動植物や物の監視などを行うことができる。
このように、本実施形態の発光装置10は、固体発光素子3と蛍光体とを備え、出力光4を放つ発光装置である。出力光4の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光に由来する第一の光成分5及び第二の光成分6を有し、かつ、第一の光成分5と第二の光成分6との間に第一の極小値8を有する。第一の光成分5は、560nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6は、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6の強度最大値は、第一の光成分5の強度最大値よりも大きい。第一の極小値8は、第二の光成分6の強度最大値の50%未満である。このような構成により、発光装置10は、特定波長の可視光成分及び近赤外光成分の高出力化に有利な装置となる。
本実施形態の発光装置10は、固体発光素子3と蛍光体とを備え、出力光4を放つ発光装置である。出力光4の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光に由来する第一の光成分5及び第二の光成分6を有し、かつ、第一の光成分5と第二の光成分6との間に第一の極小値8を有する。第一の光成分5は、380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6は、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6の分光分布は、700nm以上の波長範囲において、±8%/nmを超えて変化しない。第二の光成分6の強度最大値は、第一の光成分5の強度最大値よりも大きい。第一の極小値8は、第二の光成分6の強度最大値の50%未満である。
また、本実施形態の発光装置10は、固体発光素子3と、第一の蛍光体1及び第二の蛍光体2とを備え、出力光4を放つ発光装置である。出力光4の分光分布は、第一の蛍光体1が放つ蛍光に由来する第一の光成分5及び第二の蛍光体2が放つ蛍光に由来する第二の光成分6を有し、かつ、第一の光成分5と第二の光成分6との間に第一の極小値8を有する。第一の光成分5は、380nm以上700nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6は、700nm以上2500nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ蛍光成分である。第二の光成分6の強度最大値は、第一の光成分5の強度最大値よりも大きい。第一の極小値8は、第二の光成分6の強度最大値の50%未満である。
[電子機器]
次に、本実施形態に係る電子機器について説明する。本実施形態に係る電子機器は、上述の発光装置10を備えている。図6では、本実施形態に係る電子機器の一例を概略的に示している。
電子機器20において、発光装置10は、電源回路11と、導体12と、発光部13とを少なくとも備えている。電源回路11は、導体12を通じて発光部13に電気エネルギーを供給する。
発光部13は、上述の固体発光素子3と蛍光体(第一の蛍光体1、第二の蛍光体2)とを備えている。そして、発光部13は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する。つまり、発光部13は、電源回路11から供給される電気エネルギーの少なくとも一部を、出力光4となる光エネルギーに変換して出力する。
電子機器20は、第一の検出器171、第二の検出器172、第三の検出器171A、第四の検出器172Aをさらに備えている。第一の検出器171及び第三の検出器171Aは、主目的に使用する近赤外の光成分を検知する。第二の検出器172及び第四の検出器172Aは、補助的な目的に使用する可視の光成分を検知する。
具体的には、第一の検出器171は、発光部13から放射され、被照射物14に照射された出力光4における近赤外の透過光成分15を検知する。第二の検出器172は、被照射物14に照射された出力光4における可視の透過光成分15を検知する。第三の検出器171Aは、被照射物14に照射された出力光4における近赤外の反射光成分16を検知する。第四の検出器172Aは、被照射物14に照射された出力光4における可視の反射光成分16を検出する。
このように構成すると、被照射物14を透過した透過光成分15及び被照射物14によって反射された反射光成分16のいずれかを、次の(1)~(4)のいずれかの組み合わせで検出できる。そのため、近赤外と可視の光成分が関与する被照射物14の特性情報を、複眼で検知することができる。
(1)第一の検出器171と第二の検出器172の組み合わせ
(2)第一の検出器171と第四の検出器172Aの組み合わせ
(3)第三の検出器171Aと第二の検出器172の組み合わせ
(4)第三の検出器171Aと第四の検出器172Aの組み合わせ
このように、本実施形態の電子機器は、可視光と近赤外光とを含む出力光4を放出する発光装置10と、可視光の検出器と、近赤外光の検出器とを備える。そのため、電子機器は、高精度化及び高感度化、並びに小型化、高効率化された検知装置となる。
発光装置10は、出力光4のエネルギーが大きく、広い範囲を照らす構成にすることができる。そのため、離れた距離から出力光4を被照射物14に照射しても、S/N比(シグナル/ノイズ比)の良好な信号を検出することができる。したがって、大きな被照射物14の検査や、広範囲に分布する物の一括検査、広範囲に亘る検査面積の一部に存在する物の検知、遠方からの人や物の検知などに適する電子機器となる。
参考のため、本実施形態の発光装置のサイズを説明する。発光部13の主光取り出し面の面積は、1cm2以上1m2未満、好ましくは10cm2以上1000cm2未満とすることができる。また、発光部13から被照射物14までの最短距離は、1mm以上10m未満とすることができる。強い近赤外線を被照射物14に照射する必要がある場合、例えば、医療、美容、繊細な異物検査などの場合では、発光部13から被照射物14までの最短距離は、1mm以上30cm未満、好ましくは3mm以上10cm未満とすることができる。さらに、広い範囲の被照射物14の検査を行う必要がある場合では、発光部13から被照射物14までの最短距離は、30cm以上10m未満、好ましくは1m以上5m未満とすることができる。
なお、強い近赤外線を広い範囲に亘って照射する必要がある場合、発光部13が可動する構成にすることが好ましく、被照射物の形態によって自在に動き得る構成とすることがより好ましい。例えば、発光部13は、直線又は曲線上を往来し得る構造や、XY軸方向あるいはXYZ軸方向に走査し得る構造、移動体(自動車、自転車、ドローンなどの飛行体)に取り付けられた構造にすることができる。
ここで、第一の検出器171、第二の検出器172、第三の検出器171A及び第四の検出器172Aは、各種の光検出器を使用することができる。具体的には、電子機器の使用形態に応じて、光が半導体のPN接合に入射したときに生じる電荷を検出する量子型の光検出器(フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなど)を用いることができる。また、光検出器としては、光を受光したときの発生熱による温度上昇によって生じる電気的性質の変化を検知する熱型の光検出器(熱電効果を使用するサーモパイル、焦電効果を使用する焦電素子)、又は光に感光する赤外線フィルムも用いることができる。
第一の検出器171、第二の検出器172、第三の検出器171A及び第四の検出器172Aとしては、光電変換素子を単体で使用した単独素子を使用してもよく、光電変換素子を集積化した撮像素子を使用してもよい。撮像素子の形態は、一次元的に配置した線型のものであってもよく、二次元的に配置した面型のものであってもよい。また、これらの検出器としては、撮像カメラを使用することもできる。
本実施形態の電子機器は、近赤外光を含む出力光4を使用する、被照射物の検査装置、検知装置、監視装置又は分別装置であることが好ましい。出力光4が持つ近赤外の光成分は、殆どの物質を透過する性質を持つ。そのため、被照射物の外部から近赤外光を照射して、その透過光又は反射光を検出する構成とすることによって、被照射物を破壊することなく、内部の状態や異物の有無などを検査することができる。
また、近赤外の光成分は人の目に見えず、その反射特性は物質に依存する。そのため、被照射物に近赤外の光を照射し、その反射光を検出する構成とすることによって、人に悟られること無く、暗闇などにおいても被照射物を検知することができる。
電子機器は、被照射物を破壊することなく、その内部の状態や異物の有無などを検査して、被照射物の良否を判定し、良品と不良品の選別をすることができる。そのため、電子機器が、正常状態の被照射物と異常状態の被照射物とを分別する機構をさらに備えることによって、被照射物の分別を行うことが可能となる。
電子機器において、発光装置は、可動式になっておらず、固定式とすることができる。このようにすると、発光装置を機械的に動かすための複雑な機構を備える必要がないため、故障が発生し難い電子機器となる。また、発光装置を屋内又は屋外で固定することにより、予め定めた場所における、人や物の状態を定点観察したり、人や物の数をカウントすることができる。そのため、課題の発見やビジネス活用などに役立つビッグデータの収集に有利な電子機器となる。なお、発光装置を備えた固定式の電子機器としては、店舗照明、屋内照明、街路灯、手術用の照明装置を挙げることができる。
電子機器は、発光装置を可動式とし、照射する場所を変えることもできる。例えば、発光装置を移動ステージや移動体(車両、飛行体など)に取り付けて、可動式にすることができる。このようにすると、発光装置が、所望の場所や広い範囲を照射し得るものになるため、大型の物の検査や屋外における物の状態の検査に有利な電子機器となる。なお、発光装置を備えた可動式の電子機器としては、ドローンを挙げることができる。
電子機器は、発光装置に加えて、さらに撮像カメラとしてのハイパースペクトルカメラを備える構成とすることができる。これにより、当該電子機器は、ハイパースペクトルイメージングを行うことができる。ハイパースペクトルカメラを備えた電子機器は、肉眼や通常のカメラでは判別できない違いを画像として見分けることができるため、製品の検査や選別などに関わる幅広い分野で有用な検査装置になる。
具体的には、図7に示すように、電子機器20Aは、発光装置10と、ハイパースペクトルカメラ21とを備えている。そして、コンベア22の表面22aに載置されている被照射物23に対して、発光装置10から出力光を照射しつつ、ハイパースペクトルカメラ21で被照射物23を撮像する。そして、得られた被照射物23の画像を解析することにより、被照射物23の検査や選別を行うことができる。
電子機器は、発光装置に加えて、さらに機械学習するデータ処理システムを備えるものにすることも好ましい。これにより、コンピューターに取り込んだデータを反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことができるようになる。また、新たに取り込んだデータを、そのパターンに当て嵌めることもできるようになる。そのため、検査・検知・監視などの自動化や高精度化、さらにはビッグデータを使用する将来予測などに有利な電子機器になる。
電子機器は、医療用、動物医療用、バイオ技術用、農林水産業用、畜産業用(食肉・肉製品・乳製品など)、又は工業用(異物検査、内容量検査、形状検査、包装状態検査など)に使用することができる。また、電子機器は、医薬品、動物実験、食品、飲料、農林水産物、畜産物、工業製品の検査用にも使用することができる。言い換えれば、本実施形態の電子機器は、人体、動植物、物体のいずれにも使用することができ、さらに気体、液体、固体のいずれにも使用することもできる。
電子機器は、医療機器、治療機器、美容機器、健康機器、介護関連機器、分析機器、計測機器及び評価機器のいずれかとすることができる。
例えば、医療やバイオ技術開発の目的において、本実施形態の電子機器は、1)血液・体液・それらの成分、2)排泄物(尿・便)、3)たんぱく質・アミノ酸、4)細胞(がん細胞)、5)遺伝子・染色体・核酸、6)生体試料・細菌・検体・抗体、7)生体組織・臓器・血管、8)皮膚病・脱毛症、の検査、検出、測定、評価、分析、解析、観察、監視、分離、診断、治療、浄化などに使用することができる。
また、例えば、美容やヘルスケアの目的において、本実施形態の電子機器は、1)皮膚、2)毛髪・体毛、3)口内・歯内・歯周、4)耳・鼻、5)バイタルサイン、の検査、検出、測定、評価、分析、解析、観察、監視、美化、衛生、発育促進、診断などに使用することができる。
例えば、農林水産業、畜産業、工業の目的において、本実施形態の電子機器は、1)工業製品(電子部材・電子デバイス)、2)農産物(青果物など)、3)酵素・菌、4)海産物(魚類・貝類・甲殻類・軟体類)、5)医薬品・生体試料、6)食品・飲料、7)人・動物・物の存在・状態、8)ガス(水蒸気)の状態、9)液体・流体・水・水分・湿度、10)物の形状・色・内部構造・物理状態、11)空間・位置・距離、12)物の汚染状態、13)分子・粒子の状態、14)産業廃棄物の検査、検出、測定、計測、評価、分析、解析、観察、監視、認識、選別、分別などに使用することができる。
例えば、介護の目的において、電子機器は、排泄確認や健康状態の識別、管理、監視などに使用することができる。
このように、本実施形態の電子機器は、検査、検出、測定、計測、評価、分析、解析、観察、監視、認識、選別、分別など、あらゆる用途に対応できるものになる。
なお、本実施形態は、発光装置10を使用する検査方法、検知方法、監視方法、分別方法、分析方法、計測方法、評価方法のいずれかの単純な方法発明とみなすこともできる。
以下、本実施形態の発光装置を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、青色光(ピーク波長:400~455nm)である一次光3Bを放つ固体発光素子3と第一の波長変換体1Aとで構成される第一の波長変換型発光素子を作製した。
固体発光素子3は青色LEDチップを使用し、青色LEDチップはオスラムオプトセミコンダクターズ社製、品番:LE B P2MQを使用した。また、第一の波長変換体1Aは、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+蛍光体(YAG蛍光体)と(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+蛍光体(SCASN蛍光体)とを含む樹脂蛍光膜とした。そして、第一の波長変換体1A及び第一の波長変換型発光素子は、次のように作製した。
まず、蛍光体粉末として、YAG蛍光体とSCASN蛍光体を準備した。YAG蛍光体は、株式会社東京化学研究所製で、中心粒径D50が約24μmのものを使用した。このYAG蛍光体は、波長540nm付近に蛍光ピークを持ち、黄緑色光を放つものであった。SCASN蛍光体は、三菱ケミカル株式会社製で、中心粒径D50が約14μmのものを使用した。このSCASN蛍光体は、波長625nm付近に蛍光ピークを持ち、赤色光を放つものであった。さらに、蛍光体粉末の封止剤として、二液混合型の熱硬化シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、製品名:KER-2500A/B)を準備した。
次に、YAG蛍光体(2.352g)及びSCASN蛍光体(0.504g)とシリコーン樹脂(A剤0.75g、B剤0.75g)とを、攪拌脱泡装置を使用して混合し、さらに脱泡した。この際、攪拌脱泡装置は、株式会社シンキ―製、製品名:あわとり練太郎(登録商標)、形式:ARE-310を使用した。また、攪拌脱泡装置の回転数は約2000rpmとし、3分間処理を行った。このようにして、YAG蛍光体及びSCASN蛍光体とシリコーン樹脂とからなる蛍光体ペーストを作製した。
このようにして得られた蛍光体ペーストを、ディスペンサー(形式:ML-5000XII、武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いて、青色LEDチップの周囲に設けた高さ約210μmの枠内に滴下した。そして、蛍光体ペーストを150℃の大気中で2時間加熱して硬化させた。このように、青色LEDの主光取り出し面上に、厚み約200μmの樹脂蛍光膜を形成することにより、第一の波長変換体1A(縦5mm、横5mm、厚み約200μm)及び第一の波長変換型発光素子とした。
次に、固体発光素子3と第二の波長変換体2Aとで構成される第二の波長変換型発光素子を作製した。固体発光素子3は、第一の波長変換型発光素子と同様に、青色LEDチップを使用した。第二の波長変換体2Aは、波長750nm付近に蛍光ピークを持ち、Cr3+で賦活された複合金属酸化物を主体にしてなる蛍光体を含む樹脂蛍光膜とした。なお、この蛍光体は、(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3の組成式で表される(Gd,La)3Ga2(GaO4)3:Cr3+蛍光体(GLGG蛍光体)であり、ガーネット型の結晶構造を持つものである。
GLGG蛍光体は、以下の化合物粉末を主原料として使用し、オーソドックスな固相反応により調製した。
酸化ガドリニウム(Gd2O3):純度3N、日本イットリウム株式会社製
水酸化ランタン(La(OH)3):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化ガリウム(Ga2O3):純度4N、アジア物性材料株式会社製
酸化クロム(Cr2O3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
具体的には、まず、化学反応によって化学量論的組成の化合物(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3)を生成するように、上記原料を秤量した。原料の秤量値を表1に示す。
次に、アルミナ製のポットミル(容量250ml)に、秤量した原料20gを、アルミナボール(直径φ3mm、合計200g)とエタノール60mlと共に投入した。その後、遊星ボールミル(フリッチュ社製、品番P-5)を用いて、ポットミルを回転速度150rpmで30分間回転させることによって、原料を湿式混合した。
次いで、ふるいを使用してアルミナボールを取り除き、原料とエタノールからなるスラリー状の混合原料を得た。その後、混合原料を、乾燥機を用いて125℃で乾燥させた。そして、乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて軽く混合することにより、蛍光体原料とした。
次に、蛍光体原料をアルミナ製の焼成容器(材質SSA-H、B3サイズ、蓋付き)に入れ、箱型電気炉を使用して、1500℃の大気中で2時間の焼成を行った。なお、焼成時の昇降温速度は300℃/hとした。
得られた焼成物を、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いて手解砕した後、ナイロンメッシュ(目開き95μm)を通過させて粗大粒子を除去することによって、粉末状のGLGG蛍光体を得た。
データを省略するものの、得られたGLGG蛍光体の結晶構成物を、X線回折装置(デスクトップX線回折装置、MiniFlex、株式会社リガク製)を用いて評価したところ、ほぼ単一結晶相のガーネット化合物であった。さらに、GLGG蛍光体の粒子形状と粒子サイズを、電子顕微鏡(卓上顕微鏡Miniscope(登録商標)TM4000、日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を用いて評価した。その結果、GLGG蛍光体の粒子形状は単分散粒子状であり、粒子形状はガーネットの結晶に由来するとみなすことができる形状であり、粒子サイズの主体は15μm前後であった。
そして、GLGG蛍光体の蛍光特性を、絶対PL量子収率測定装置(C9920-02、浜松ホトニクス株式会社製)を使用して、波長450nmの青色光の照射下で評価した。その結果、蛍光ピーク波長は747nm、内部量子効率(IQE)は92%、青色光の光吸収率(Abs.)は57%であった。また、波長628nmの赤色光の照射下で評価した結果、蛍光ピーク波長は746nm、内部量子効率(IQE)は93%、赤色光の光吸収率(Abs.)は45%であった。
このようにして作製したGLGG蛍光体(4.57g)を用い、第一の波長変換体1Aと同様の手順で、第二の波長変換体2A(縦5mm、横5mm、厚み:310μm)及び第二の波長変換型発光素子を作製した。
そして、青色LEDと第一の波長変換体1Aとで構成される第一の波長変換型発光素子と、青色LEDと第二の波長変換体2Aとで構成される第二の波長変換型発光素子を使用して、図5に示すような発光装置を作製し、本例の発光装置とした。
得られた発光装置について、発光特性を評価した。まず、第一の波長変換型発光素子の青色LEDチップに500mAの電流を流すと、青色LEDチップから一次光3Bとしての青色光が放射された。さらに、その一部が、第一の波長変換体1Aによって第一の波長変換光1Bとしての可視光(弱い緑色光成分と強い赤色光成分の加法混色による橙色光)に変換された。そして、一次光3Bとしての青色光と、第一の波長変換光1Bとしての可視光とからなる第一の混合光が、第一の波長変換型発光素子から放出された。なお、青色光成分の出力割合が小さかったこともあり、当該混合光の見た目は実質的に橙色光であり、白色光とみなせない色調の光であった。
次に、第二の波長変換型発光素子の青色LEDチップに2000mAの電流を流すと、青色LEDチップから一次光3Bとしての青色光が放射された。そして、その一部が、第二の波長変換体2Aによって第二の波長変換光2Bとしての近赤外光に変換された。そして、一次光3Bとしての青色光と、第二の波長変換光2Bとしての近赤外光とからなる第二の混合光(紫色光)が、第二の波長変換型発光素子から放出された。
そして、第一の混合光と第二の混合光がさらに混合されることにより、一次光3Bと第一の波長変換光1Bと第二の波長変換光2Bとからなる混合光が、出力光4として放出された。なお、図1に示した分光分布は、本例の発光装置から放出された出力光4の分光分布である。
図1から分かるように、出力光4の分光分布は、第一の波長変換光1Bに由来する第一の光成分5と、第二の波長変換光2Bに由来する第二の光成分6と、一次光3Bに由来する第三の光成分7とで構成されている。そして、当該分光分布は、440nm以上470nm未満の青色の波長範囲と、600nm以上650nm未満の赤色の波長範囲と、700nm以上800nm未満の深赤色~近赤外の波長範囲にピークを持つ。そのため、出力光4は、少なくとも410nmから950nmまでの広い波長範囲に亘って光成分を持つ多峰型(三峰型)のブロードな分光分布であった。
そして、出力光4の分光分布は、第一の光成分5と第二の光成分6の間に第一の極小値8を持ち、第二の光成分6の強度最大値は第一の光成分5の強度最大値よりも大きい。さらに、第一の極小値8は、第二の光成分6の強度最大値の50%を下回っており、具体的には37%(40%未満)であった。
なお、第一の光成分5は、波長618nmに蛍光ピークを持ち、分光分布の60%幅は80nm(70nm以上90nm未満)であった。なお、この「60%幅」は、蛍光ピーク強度が60%となる強度をとる波長(短波長側と長波長側)の波長差である。また、第二の光成分6は、747nmに蛍光ピークを持ち、分光分布の50%幅は118nm(110nm以上125nm未満)であった。なお、この「50%幅」は、蛍光ピーク強度が50%となる強度をとる波長(短波長側と長波長側)の波長差である。そして、第三の光成分7は、455nmに蛍光ピークを持ち、半値幅は27nm(25nm以上30nm未満)であった。
また、波長400nm以上500nm未満の第三の光成分7、波長510nm以上670nm未満の第一の光成分5、及び、波長680nm以上1050nm未満の第二の光成分6は、いずれも単峰型であった。
そして、出力光4において、相関色温度は2299K、黒体輻射からのずれを示すduvは-97.0、xy色度座標は(x,y)=(0.358、0.208)、平均演色評価数Raは37であった。なお、平均演色評価数(Ra)が低い理由は、緑色の波長範囲となる500nm以上550nm未満の分光強度の最大値が、第二の光成分の強度最大値の15%未満(11%)と小さいことによるものと考察できる。
[実施例2~4]
実施例2~4の発光装置は、図2に示す構造の発光装置とした。そして、簡略化のために、青色LED(蛍光ピーク波長:450~455nm)と蛍光体とを組み合わせてなるLED照明用の白色LEDを使用し、当該白色LEDと第二の波長変換体2Aとを組み合わせることにより、本例の発光装置とした。
なお、白色LEDで使用されている蛍光体は、白色LEDが放つ光の分光分布から、Ce3+賦活ガーネット緑色蛍光体とEu2+賦活窒化物赤色蛍光体との混合蛍光体と推測できるものである。
まず、表2に示す、3種類の白色LED(白色LED1~3:ルミレッズ社製)を準備した。次いで、白色LED1~3の光出力面上に、第二の波長変換体2Aを載置した後、白色LEDに定格電流を通電して点灯させた。そして、出力光を積分球(φ20インチ、品番:LMS-200、Labsphere社製)で積分し、全光束測定システム(品番:SLMS-CDS-2021、Labsphere社製)を用いて、出力光4の分光分布及び放射束などを測定した。
なお、第二の波長変換体2Aは、GLGG蛍光体を使用して作製した樹脂蛍光膜(厚み:340μm)を用いた。第二の波長変換体2Aは、次のように作製した。
まず、蛍光体粉末として、上述のGLGG蛍光体(4.57g)を準備した。また、蛍光体粉末の封止剤として、上述の二液混合型の熱硬化シリコーン樹脂(A剤0.75g、B剤0.75g)を準備した。そして、実施例1と同様にして、これらを混合及び脱泡処理し、GLGG蛍光体とシリコーン樹脂とからなる蛍光体ペーストを作製した。
このようにして得られた蛍光体ペーストを、ディスペンサーを用いて、ガラス基板(縦200mm、横200mm、厚み1mm)上に設けた型枠に滴下した。その後、スキージを使用して、滴下した蛍光体ペーストの表面を平坦にした。型枠を外し、150℃の大気中で2時間加熱して硬化することによって、蛍光体シートを作製した。そして、ピンセットを使用して、ガラス基板から蛍光体シートを剥がすことによって、第二の波長変換体2A(縦50mm、横60mm、厚み340μm)を得た。
図8には、実施例2~4の発光装置の出力光の分光分布を纏めて示す。図8から分かるように、実施例2~4の出力光の分光分布は、少なくとも420nm以上950nm未満の全波長範囲内に光成分を持つ。また、当該出力光は、波長450nm付近にピークを持つ光成分(第三の光成分)と、波長560~600nmに強度最大値を持つ蛍光成分(第一の光成分)と、波長730~750nmに強度最大値を持つ蛍光成分(第二の光成分)とを主体にして構成されている。ここで、第三の光成分は、青色LEDに由来する光成分である。また、第一の光成分は、緑色蛍光体(Ce3+賦活ガーネット蛍光体)と赤色蛍光体(Eu2+賦活窒化物系蛍光体)の混合蛍光体に由来する光成分である。第二の光成分は、近赤外蛍光体(Cr3+賦活ガーネット蛍光体)に由来する蛍光成分である。
そして、いずれの分光分布も、第一の光成分と第二の光成分の間に第一の極小値を持ち、第二の光成分の強度最大値は第一の光成分の強度最大値よりも大きい。さらに、第一の極小値は、第二の光成分の強度最大値の50%を下回っており、具体的には、24.4%(実施例2)、37.1%(実施例3)、37.3%(実施例4)であった。また、第三の光成分の強度最大値は小さく、第二の光成分の強度最大値の20%を下回っており、具体的には、18.1%(実施例2)、6.2%(実施例3)、10.7%(実施例4)であった。
以上のことから、本実施例は、緑~黄色光成分と強い近赤外光成分とを含む出力光を必要とする用途に有利な発光装置といえる。
なお、説明の都合上データを省略するが、白色LEDが放つ白色光が第二の波長変換体2Aを透過するようにしたときに、白色LEDが放つ光成分における、青色光成分と赤色光成分の強度が大きく低下する傾向にあった。これは、第二の波長変換体2Aに含まれるCr3+賦活蛍光体が、青と赤の光成分を吸収する性質を持つためであると考えられる。そして、このことに起因して、出力光は黄色味を帯びやすくなる。そのため、白色光に近い出力光を得るためには、白色LED(波長変換型発光素子)の光の一部が、第二の波長変換体2Aを透過せず、そのまま透過する構造とすることが好ましい。
表3では、実施例2~4の出力光の特性を纏めて示す。実施例2~4の出力光は、相関色温度が2500K以上4500K未満であり、duvが+10以上+50未満(20以上40未満)であった。また、平均演色評価数(Ra)は、50以上80未満であった。
ここで、実施例3の発光装置は、白色LEDが放つ白色光を、第二の波長変換体2Aに透過させた後でも、相関色温度をほぼ変えることがなかった。また、平均演色評価数(Ra)が75となり、比較的高い高演色性を示すとともに、比較的高い放射束を保つことがわかった。
これらのデータから、実施例2~4も、高出力の近赤外線と可視光の両方を放つ出力光を得る上で有利な発光装置といえる。
[実施例5~8]
実施例5~8の発光装置も、実施例2~4と同様に、図2に示す構造の発光装置とした。但し、青色LEDは、市販の青色LED(蛍光ピーク波長:460nm、品番:PT-121-B-L11-EPG、Luminus Devices社製)を使用した。蛍光体は、Lu2CaMg2(SiO4)3:Ce3+の一般式で示され、橙色光を放つCe3+賦活ガーネット蛍光体(LuCaMG蛍光体)と、上述のGLGG蛍光体とを使用した。なお、LuCaMG蛍光体は、国際公開第2018/230207号の実施例に沿って作製した。LuCaMG蛍光体は、青色光を吸収して橙色光(蛍光ピーク波長:約596nm)に変換する、3~15μm程度の一次粒子径を持つ蛍光体粒子群である。
そして、LuCaMG蛍光体を含む樹脂蛍光膜である第一の蛍光体シートと、GLGG蛍光体を含む樹脂蛍光膜である第二の蛍光体シートとを、実施例2~4と同様に作製した。具体的には、樹脂中の蛍光体の充填率が30vol%となるように、熱硬化シリコーン樹脂と蛍光体を混練し、熱硬化させることによって、第一の蛍光体シートと第二の蛍光体シートを作製した。この際、第一の蛍光体シートの厚みは97μmとし、第二の蛍光体シートの厚みは100μm、193μm、270μmの三種類とした。なお、蛍光体シートの厚みは、厚みが異なる型枠を使用することによって調整した。
次に、第一の蛍光体シートを第一の波長変換体1Aとし、第二の蛍光体シートを第二の波長変換体2Aとして、表4に示す四種類の発光装置を作製した。なお、第一の波長変換体1Aと第二の波長変換体2Aは二層構造をなすため、表4の「出力光4を放射する波長変換体」とは異なる波長変換体が、一次光3Bが入射する側、つまり青色LED側の波長変換体となる。
そして、図2に示すように、青色LEDの光出力面上に、二層構造をなす波長変換体を載置し、青色LEDに300mAの電流を流して点灯させた。その後、出力光の分光分布及び放射束などを、実施例1~4と同様に測定した。
図9には、実施例5~8の発光装置の出力光の分光分布を纏めて示す。図9から分かるように、実施例5~8の出力光の分光分布も、図8の分光分布と類似しており、少なくとも420nm以上950nm未満の全波長範囲内に光成分を持つ。また、当該出力光は、波長460nm付近にピークを持つ光成分(第三の光成分)と、波長560~600nmに強度最大値を持つ蛍光成分(第一の光成分)と、波長720~750nmに強度最大値を持つ蛍光成分(第二の光成分)とを主体にして構成されている。ここで、第三の光成分は、青色LEDに由来する光成分である。また、第一の光成分は、橙色蛍光体(Ce3+賦活ガーネット蛍光体;LuCaMG)に由来する蛍光成分である。第二の光成分は、近赤外蛍光体(Cr3+賦活ガーネット蛍光体;GLGG)に由来する蛍光成分である。
そして、いずれの分光分布も、第一の光成分と第二の光成分の間に第一の極小値を持ち、第二の光成分の強度最大値は、第一の光成分の強度最大値よりも大きい。さらに、第一の極小値は、第二の光成分の強度最大値の50%を下回っており、具体的には、44.2%(実施例5)、22.5%(実施例6)、12.9%(実施例7)、47.5%(実施例8)であった。また、第三の光成分7の強度最大値は小さく、第二の光成分6の強度最大値の70%を下回っており、具体的には、67.8%(実施例5)、35.6%(実施例6)、26.4%(実施例7)、28.9%(実施例8)であった。
以上のことから、本実施例も、緑~黄色光成分と強い近赤外光成分とを含む出力光を必要とする用途に有利な発光装置といえる。
なお、表5では、実施例5~8の出力光の特性を纏めて示す。実施例5~8の出力光は、相関色温度が1800K以上3000K未満であり、duvが-25以上で15未満であった。また、平均演色評価数(Ra)は、55以上80未満の数値であった。なお、実施例8の発光装置が放つ出力光は、白色光とみなされる光色の光であった。
ここで、実施例5~7の発光装置は、第二の波長変換体2Aの厚みが変わっても、出力光の色調が大きく変化しないことがわかった。これらのデータから、実施例5~8も、高出力の近赤外線と可視光の両方を放つ出力光を得る上で有利な発光装置といえる。
なお、波長変換型発光素子の分光分布は、使用するLED、蛍光体が放つ蛍光の色調(蛍光ピーク波長)、蛍光体を含む波長変換体(第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2A)の光吸収率などによって変化する。また、波長変換体の光吸収率は、波長変換体中の蛍光体の体積割合、波長変換体の厚み、さらには、蛍光体の蛍光イオンの賦活量、母体となる化合物の組成、粒子サイズによって変化する。そして、青色LED、白色LED及び蛍光体は、本実施例で使用したもの以外にも、多種多様な色調の光を放つものが市販されている。このため、出力光の相関色温度や演色性などは、本実施例に限定されるものではない。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
特願2021-026804号(出願日:2021年2月22日)の全内容は、ここに援用される。