JP7493054B2 - 電気デバイス用正極材料並びにこれを用いた電気デバイス用正極および電気デバイス - Google Patents
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Description
集電体は、電極活物質層からの電子の移動を媒介する機能を有する。集電体を構成する材料に特に制限はない。集電体の構成材料としては、例えば、金属や、導電性を有する樹脂が採用されうる。
図1および図2に示す実施形態に係る積層型電池において、負極活物質層13は、負極活物質を含む。負極活物質の種類としては、特に制限されないが、炭素材料、金属酸化物および金属活物質が挙げられる。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。また、金属酸化物としては、例えば、Nb2O5、Li4Ti5O12等が挙げられる。さらに、ケイ素系負極活物質やスズ系負極活物質が用いられてもよい。ここで、ケイ素およびスズは第14族元素に属し、非水電解質二次電池の容量を大きく向上させうる負極活物質であることが知られている。これらの単体は単位体積(質量)あたり多数の電荷担体(リチウムイオン等)を吸蔵および放出しうることから、高容量の負極活物質となる。ここで、ケイ素系負極活物質としては、Si単体を用いることが好ましい。また同様に、Si相とケイ素酸化物相との2相に不均化されたSiOx(0.3≦x≦1.6)などのケイ素酸化物を用いることも好ましい。この際、xの範囲は0.5≦x≦1.5であることがより好ましく、0.7≦x≦1.2であることがさらに好ましい。さらには、ケイ素を含有する合金(ケイ素含有合金系負極活物質)が用いられてもよい。一方、スズ元素を含む負極活物質(スズ系負極活物質)としては、Sn単体、スズ合金(Cu-Sn合金、Co-Sn合金)、アモルファススズ酸化物、スズケイ素酸化物等が挙げられる。このうち、アモルファススズ酸化物としてはSnB0.4P0.6O3.1が例示される。また、スズケイ素酸化物としてはSnSiO3が例示される。また、負極活物質として、リチウムを含有する金属を用いてもよい。このような負極活物質は、リチウムを含有する活物質であれば特に限定されず、金属リチウムのほか、リチウム含有合金が挙げられる。リチウム含有合金としては、例えば、Liと、In、Al、SiおよびSnの少なくとも1種との合金が挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。負極活物質は、金属リチウム、ケイ素系負極活物質またはスズ系負極活物質を含むことが好ましく、金属リチウムを含むことが特に好ましい。
図1および図2に示す実施形態に係る積層型電池において、固体電解質層は、上述した正極活物質層と負極活物質層との間に介在し、固体電解質を必須に含有する層である。
図1および図2に示す実施形態に係る積層型電池において、正極活物質層は、本発明の一形態に係る電気デバイス用正極材料を含む。当該電気デバイス用正極材料は、細孔を有する導電材料と、固体電解質と、硫黄を含む正極活物質とを含む。
硫黄を含む正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)のほか、有機硫黄化合物または無機硫黄化合物の粒子または薄膜が挙げられ、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。有機硫黄化合物としては、ジスルフィド化合物、国際公開第2010/044437号パンフレットに記載の化合物に代表される硫黄変性ポリアクリロニトリル、硫黄変性ポリイソプレン、ルベアン酸(ジチオオキサミド)、ポリ硫化カーボン等が挙げられる。なかでも、ジスルフィド化合物および硫黄変性ポリアクリロニトリル、およびルベアン酸が好ましく、特に好ましくは硫黄変性ポリアクリロニトリルである。ジスルフィド化合物としては、ジチオビウレア誘導体、チオウレア基、チオイソシアネート、またはチオアミド基を有するものがより好ましい。ここで、硫黄変性ポリアクリロニトリルとは、硫黄粉末とポリアクリロニトリルとを混合し、不活性ガス下もしくは減圧下で加熱することによって得られる、硫黄原子を含む変性されたポリアクリロニトリルである。その推定構造は、例えばChem. Mater. 2011,23,5024-5028に示されているように、ポリアクリロニトリルが閉環して多環状になるとともに、Sの少なくとも一部はCと結合している構造である。この文献に記載されている化合物はラマンスペクトルにおいて、1330cm-1と1560cm-1付近に強いピークシグナルがあり、さらに、307cm-1、379cm-1、472cm-1、929cm-1付近にピークが存在する。一方、無機硫黄化合物は安定性に優れることから好ましく、具体的には、硫黄単体(S)、TiS2、TiS3、TiS4、NiS、NiS2、CuS、FeS2、Li2S、MoS2、MoS3、MnS、MnS2、CoS、CoS2等が挙げられる。なかでも、S、S-カーボンコンポジット、TiS2、TiS3、TiS4、FeS2およびMoS2が好ましく、硫黄単体(S)、TiS2およびFeS2がより好ましく、高容量であるという観点からは硫黄単体(S)が特に好ましい。なお、硫黄単体(S)としては、S8構造を有するα硫黄、β硫黄、またはγ硫黄が用いられうる。
本形態に係る正極材料は固体電解質を必須に含む。本形態に係る正極材料に含まれる固体電解質の具体的な形態について特に制限はなく、負極活物質層の欄において例示した固体電解質およびその好ましい形態が同様に採用されうる。場合によっては、上述した固体電解質以外の固体電解質が併用されてもよい。
本形態に係る正極材料は細孔を有する導電材料を必須に含む。本形態に係る正極材料に含まれる導電材料の具体的な形態については、細孔を有するものであれば特に制限はなく、従来公知の材料が適宜採用されうる。導電性に優れ、加工しやすく、所望の細孔分布の設計が容易であるという観点からは、細孔を有する導電材料は炭素材料であることが好ましい。
集電板(25、27)を構成する材料は、特に制限されず、二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板27と負極集電板25とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
また、図示は省略するが、集電体(11’、11”)と集電板(25、27)との間を正極リードや負極リードを介して電気的に接続してもよい。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆することが好ましい。
電池外装材としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、図1および図2に示すように発電要素を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルム29を用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。また、外部から掛かる発電要素への群圧を容易に調整することができることから、外装体はアルミニウムを含むラミネートフィルムがより好ましい。
組電池は、電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。
電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に搭載することができる。本発明では、長期信頼性に優れた高寿命の電池を構成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることにより高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
[実施例1]
(固体電解質含浸カーボンの調製)
露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、硫化物固体電解質(Ampcera社製、Li6PS5Cl)0.500gを100mLの超脱水エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)に加え、溶液が透明になるまで撹拌して固体電解質をエタノールに溶解させた。得られた固体電解質エタノール溶液にカーボン(関西熱化学株式会社製、活性炭、MSC-30)1.00gを加え、よく撹拌して溶液中にカーボンを十分に分散させた。このカーボン分散液が入った容器を真空装置に接続し、マグネティックスターラーにより容器中のカーボン分散液を撹拌しながら油回転ポンプにより容器中を1Pa以下の減圧状態にした。減圧下では溶媒であるエタノールが揮発するため、時間の経過とともにエタノールが除去され、固体電解質を含浸したカーボンが容器内に残存した。このようにしてエタノールを減圧除去した後に減圧下で180℃に加熱し、3時間熱処理を行うことにより固体電解質含浸カーボンを調製した。
露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、上記で調製した固体電解質含浸カーボン0.750gに硫黄(Aldrich社製)2.50gを加えてメノウ乳鉢で十分に混合した後、混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に入れて170℃で3時間加熱することにより硫黄を溶融させて、硫黄を固体電解質含浸カーボンに含浸させた。これにより硫黄/固体電解質/カーボン複合材を調製した。
露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、上記で調製した硫黄/固体電解質含浸カーボン0.130gと、固体電解質(Ampcera社製、Li6PS5Cl)0.070gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミル(フリッチュ社製、Premium line P-7)により370rpmで6時間処理することにより、硫黄含有正極材料の粉末を得た。硫黄含有正極材料の組成は硫黄:固体電解質:カーボン=50:40:10とした。
硫黄含有正極材料の粉末を構成する導電材料(カーボン)の細孔の内部に含まれる固体電解質の含有量を、以下の手法により定量した。
電池の作製は、露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
固体電解質含浸カーボンの調製において、エタノール減圧除去後の減圧熱処理の条件を230℃で3時間に変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
硫黄の熱含浸において、固体電解質含浸カーボンに硫黄を加えてメノウ乳鉢で十分に混合した後、混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に代えて石英管内に1Pa以下で減圧封管して170℃で3時間加熱することにより硫黄を溶融させて、硫黄を固体電解質含浸カーボンに含浸させたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
硫黄含有正極材料の調製において、遊星ボールミルによる混合条件を540rpmで3時間に変更したこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
固体電解質含浸カーボンの調製および硫黄の熱含浸は行わず、露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、硫黄0.100gと、固体電解質0.080gと、カーボン0.020gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミルにより370rpmで6時間処理することにより、硫黄含有正極材料の粉末を得た。これらのこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
固体電解質含浸カーボンの調製と硫黄の熱含浸は行わず、露点-68℃以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス内で、5mm径のジルコニアボール40gと、硫黄0.100gと、固体電解質0.080gと、カーボン0.020gとを容量45mLのジルコニア製容器に入れ、遊星ボールミルにより370rpmで6時間処理した後、硫黄/固体電解質/カーボン混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に入れて170℃で3時間加熱することにより、硫黄含有正極材料の粉末を得た。これらのこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
固体電解質含浸カーボンの調製は行わず、0.500gのカーボンに2.50gの硫黄を加えてメノウ乳鉢で十分に混合した後、混合粉末を密閉耐圧オートクレーブ容器に入れて170℃で3時間加熱することにより硫黄を溶融させて、硫黄をカーボンに含浸させた。これにより硫黄含浸カーボンを得た。
上記の各比較例および各実施例で作製した試験用セルについて、下記の手法により容量特性および充放電レート特性の評価を行った。なお、以下の測定はすべて、充放電試験装置(北斗電工株式会社製、HJ-SD8)を用い、25℃に設定した定温恒温槽中で行った。
恒温槽内に試験用セルを設置し、セル温度が一定になった後、セルコンディショニングとして、0.2mA/cm2の電流密度でセル電圧0.5Vまで放電を行い、それに続いて同じ電流密度で2.5V定電流定電圧充電をカットオフ電流0.01mA/cm2に設定して行った。このコンディショニング充放電サイクルを10回繰り返した後に得られた充放電容量の値と、正極に含まれる正極活物質の質量とから正極活物質の質量あたりの容量値(mAh/g)を算出した。結果を下記の表1に示す。また、実施例2において作製された試験用セル(全固体リチウムイオン二次電池)についての充放電曲線を図6に示す。
放電レート特性については、0.05C-2.5V定電流定電圧充電でカットオフ電流0.01Cの条件で満充電した後に、カットオフ電圧0.5Vで0.05Cでの放電により得られた放電容量値に対する、0.5Cでの放電により得られた放電容量値の百分率(放電レート維持率)を算出した。結果を下記の表1に示す。
11’ 負極集電体、
11” 正極集電体、
13 負極活物質層、
15 正極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 負極集電板、
27 正極集電板、
29 ラミネートフィルム、
100,100’ 正極材料、
110 炭素材料(活性炭)、
110a 細孔、
120 正極活物質(硫黄)、
130 固体電解質。
Claims (13)
- 細孔を有する粒子状の導電材料と、固体電解質と、硫黄を含む正極活物質と、を含み、
少なくとも一部の前記固体電解質と少なくとも一部の前記正極活物質とが、互いに接するように前記細孔の内部表面に配置されている、電気デバイス用正極材料。 - 細孔を有する導電材料と、固体電解質と、硫黄を含む正極活物質と、を含み、
少なくとも一部の前記固体電解質と少なくとも一部の前記正極活物質とが、互いに接するように前記細孔の内部表面に配置されている、電気デバイス用正極材料(ただし、イオン液体を含むものを除く)。 - 前記正極活物質からなる連続相が前記細孔の内部に充填されており、前記固体電解質が前記連続相中に分散相として配置されている、請求項1または2に記載の電気デバイス用正極材料。
- TEM-EDXによる前記導電材料の断面の観察画像において、全元素のカウント数に対する前記固体電解質のみに由来する元素のカウント数の比の値が0.10以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記導電材料が炭素材料である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記導電材料の細孔容積が1.0mL/g以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記導電材料の平均細孔径が50nm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記固体電解質が硫化物固体電解質である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記固体電解質が、アルカリ金属原子と、リン原子および/またはホウ素原子とを含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料。
- 前記アルカリ金属がリチウムである、請求項9に記載の電気デバイス用正極材料。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載の電気デバイス用正極材料を含む、電気デバイス用正極。
- 請求項11に記載の電気デバイス用正極を含む、電気デバイス。
- 全固体リチウムイオン二次電池である、請求項12に記載の電気デバイス。
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