JP7527591B2 - 触媒、電極、膜電極接合体、および空気電池 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、「比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
なお、本発明において「空気電池」とは、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属(亜鉛またはリチウム)を用いる電池(空気亜鉛電池または空気リチウム電池)を意味する。
本発明の触媒は、(A)Ni原子およびFe原子の少なくともいずれかと、(B)チオウレアと、(C)繊維状炭素ナノ構造体とを含み、任意に、所定の(D)重合体、その他の成分をさらに含む。なお、本発明の触媒は、Ni原子およびFe原子を含むことが好ましい。
かかる本発明の触媒は、優れた酸素還元反応(ORR)および酸素発生反応(OER)の触媒活性を有し、水の電気分解用触媒や空気電池用電極触媒等として有用である。
本発明の触媒は、後述の(D)重合体で被覆された繊維状炭素ナノ構造体上に、チオウレアが配位したNi原子およびFe原子の少なくともいずれか〔即ち、チオウレア配位体(遷移金属カルコゲニド)〕が担持されてなるものが好ましい。このように、後述の(D)重合体で被覆された繊維状炭素ナノ構造体上に、チオウレア配位体(遷移金属カルコゲニド)を担持させることで、繊維状炭素ナノ構造体に、該配位体を担持させるための欠陥部位を導入することなく、触媒活性や耐久性に優れた触媒を作製することができる。
本発明の触媒において、(A)Ni原子および/またはFe原子は、原子単体として存在してもよく、酸化物として存在していてもよい。また、(B)チオウレアと配位して、下記一般式(Q)に示すようなチオウレア配位体(遷移金属カルコゲニド)を形成していてもよい。これらはいずれも触媒活性成分として機能する。
また、本発明の触媒において、(B)チオウレアは、チオウレア単体として存在してもよく、(A)Ni原子および/またはFe原子と配位して、下記一般式(Q)に示すようなチオウレア配位体(遷移金属カルコゲニド)を形成していてもよい。
(A)Ni原子および/またはFe原子と(B)チオウレアとの配位体は、触媒活性成分として機能し、後述する(D)重合体が被覆された(C)繊維状炭素ナノ構造体に担持され得る。
本発明の触媒がNi原子を含む場合において、本発明の触媒におけるNi原子の含有量としては、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
上記含有量範囲であれば、触媒活性を一層向上させることができる。
なお、本発明の触媒におけるNi原子の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像、などを用いて測定することができる。また、触媒調製時にNiチオウレア配位体の形で用いる場合、その配合量により算出することもできる。
本発明の触媒がFe原子を含む場合において、本発明の触媒におけるFe原子の含有量としては、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることが特に好ましく、10質量%以下であることが好ましい。
上記含有量範囲であれば、触媒活性を一層向上させることができる。
なお、本発明の触媒におけるFe原子の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像、を用いて測定することができ、また、触媒調製時にFeチオウレア配位体の形で用いる場合、その配合量により算出することもできる。
本発明の触媒におけるチオウレアの含有量としては、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましく、70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
上記含有量が、上記下限以上であることにより、十分にNi原子および/またはFe原子にチオウレアを配位させることができ、上記上限以下であることにより、充分に高い触媒活性を有する触媒を合成できる。
なお、本発明の触媒におけるチオウレアの含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像などを用いて測定することができる。また、触媒調製時にチオウレア配位体の形で用いる場合、その配合量により算出することもできる。
本発明の触媒におけるチオウレア配位体(Ni原子にチオウレアが配位したNiチオウレア配位体、および/または、Fe原子にチオウレアが配位したFeチオウレア配位体)の含有量としては、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましく、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
上記含有量が、上記下限以上であることにより、触媒活性を充分に向上させることができ、上記上限以下であることにより、充分に高い触媒活性を有する触媒を合成できる。
なお、本発明の触媒におけるチオウレア配位体の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像、を用いて測定することができる。また、触媒調製時にチオウレア配位体の形で用いる場合、その配合量により算出することもできる。
なお、本発明の触媒におけるチオウレア配位体の電子状態は、例えば、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができ、また、触媒調製時におけるチオウレア配位体の投入量により算出することができる。
本発明の触媒において、Fe原子にチオウレアが配位したFeチオウレア配位体の含有量に対する、Ni原子にチオウレアが配位したNiチオウレア配位体の含有量の質量比(Niチオウレア配位体/Feチオウレア配位体)としては、5/95以上であることが好ましく、10/90以上であることがより好ましく、15/85以上であることが更に好ましく、20/80以上であることが特に好ましく、70/30以下であることが好ましく、60/40以下であることがより好ましく、50/50以下であることが更に好ましく、40/60以下であることが特に好ましい。当該質量比は通常、Feチオウレア配位体〔典型的にはFe(Thiourea)4Cl2〕の仕込み量に対するNiチオウレア配位体〔典型的にはNi(Thiourea)4(NO3)2〕の仕込み量の質量比に概ね等しい。
上記質量比範囲であれば、触媒活性を一層向上させることができる。
チオウレア配位体は、ナノ粒子であることが好ましい。このように、チオウレア配位体がナノ粒子であると、触媒活性成分の表面積が大きくなり、触媒の触媒活性が高くなる。なお、(D)重合体が被覆されている(C)繊維状炭素ナノ構造体上、チオウレア配位体はナノ粒子の状態で担持されているものと推測される。
チオウレア配位体がナノ粒子である場合、該ナノ粒子の平均粒径は、10μm以下であることが好ましい。
ナノ粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡で観察し、無作為に選択された100個のナノ粒子の画像に基づいてその粒径を測定し、求めることができる。
チオウレア配位体の調製方法としては、例えば、(i)硝酸ニッケル(II)およびチオウレアの混合物に対して、n-ブタノール50mLでの還流を60℃で2時間行い、除冷することにより、Ni原子に4つのチオウレア分子が配位したNiチオウレア4配位体(Ni(Thiourea)4(NO3)2)を調製する方法や、(ii)塩化鉄(II)四水和物およびチオウレアの混合物に対してエタノール(50mL)での還流を80℃で2時間行い、0℃で一晩放置することにより、Fe原子に4つのチオウレア分子が配位したFeチオウレア4配位体(Fe(Thiourea)4Cl2)を調製する方法、などが挙げられる。
繊維状炭素ナノ構造体としては、具体的には、例えば、カップスタック型カーボンナノチューブなど円錐状の構造体が積み重なってできた構造体;カーボンナノバット、カーボンナノチューブ(CNT)等の円筒形状の炭素ナノ構造体;並びに炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成されてなるグラフェンナノリボンなどの炭素ナノ構造体といった非円筒形状の炭素ナノ構造体を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上述した繊維状炭素ナノ構造体と共に、市販のカーボンブラックやケッチェンブラックなどのカーボン構造体を併用してもよい。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径」は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について直径(外径)を測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
なお、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
なお、本発明において、「繊維状炭素ナノ構造体」の平均長さは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像上で、例えば、20本の繊維状炭素ナノ構造体について長さを測定し、個数平均値を算出することで求めることができる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt-プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
炭素原子(または水素原子)の割合が好ましい範囲内であれば、得られる触媒に対して、所望の触媒活性等の特性を良好に付与することができる。
そして、スーパーグロース法により製造された繊維状炭素ナノ構造体は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体を含んでいてもよい。
なお、SGCNTの調製時には、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行い、アセチレンを主成分とする原料ガスを用いることができる。
得られたSGCNTは、主に単層CNTから構成され、窒素ガス吸着によるBET比表面積が800m2/g以上2000m2/g以下であることが好ましく、質量密度が0.002g/cm3以上0.2g/cm3以下であることが好ましい。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNTの直径を測定した結果、平均直径(Av)が1nm以上60nm以下であることが好ましく、(3σ/Av)が0.20以上0.60以下であることが好ましく、平均長さが10μm以上600μm以下であることが好ましい。
本発明の触媒における繊維状炭素ナノ構造体の含有量としては、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることが特に好ましく60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
上記含有量が、上記下限以上であることにより、高い触媒活性を発現する。
なお、本発明の触媒における繊維状炭素ナノ構造体の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像、を用いて測定することができる。また、触媒調製時における繊維状炭素ナノ構造体の配合量により算出することもできる。
本発明の触媒は、(D)重合体をさらに含むことが好ましく、(C)繊維状炭素ナノ構造体に(D)重合体が被覆されていることがより好ましい。
(D)重合体は、下記一般式(1)で表される重合体であり、例えば、下記一般式(2)で表されるポリベンズイミダゾール(PBI)、下記一般式(3)で表されるピリジン型ポリベンズイミダゾール(PyPBI)などが挙げられる。
本発明の触媒における(D)重合体の含有量としては、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることが特に好ましく、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
上記含有量が、上記下限以上であることにより、高い触媒活性を有する触媒が得られる。なお、本発明の触媒における(D)重合体の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、元素マッピング画像などを用いて測定することができる。また、触媒調製時における(D)重合体の配合量により算出することもできる。
本発明の触媒を作製する際、触媒活性成分として機能する、Ni原子単体、Fe原子単体、Ni酸化物、Fe酸化物、または、チオウレア配位体の担持に先立って、上記重合体で繊維状炭素ナノ構造体を被覆することが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体上に上記重合体が被覆されることで、溶剤への触媒の分散性を向上させることができる。
ここで、上記重合体による繊維状炭素ナノ構造体の被覆は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体(15mgの単層カーボンナノチューブ)と上記重合体(5mgのPBI)とを溶媒(40mLのジメチルアセトアミド(DMAc))中に分散させ、超音波処理を行うことで実施できる。なお、超音波処理時間としては、1時間以上80時間以下(例えば、37時間)とすることができる。
その後、適宜、洗浄、分離および乾燥することにより、上記重合体による繊維状炭素ナノ構造体の被覆を固定化する。
洗浄方法としては、例えば、アルコール洗浄などを用いることができる。
分離方法としては、例えば、ろ過、遠心分離などを用いることができる。
乾燥方法としては、例えば、真空乾燥、自然乾燥、蒸発乾固法、ロータリーエバポレーター、噴霧乾燥機、ドラムドライヤーによる乾燥などを用いることができる。乾燥時間は、使用する方法に応じて適宜選択すればよい。乾燥温度としては、30℃以上800℃以下であることが好ましく、50℃以上500℃以下であることがより好ましい。乾燥は、アルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガス(非酸化性)雰囲気下において行ってもよい。
本発明の触媒は、例えば、表面が重合体(D)で被覆されていてもよい繊維状炭素ナノ構造体を分散媒中で第1回目の超音波処理を行い、その後、チオウレア配位体(Niチオウレア配位体および/またはFeチオウレア配位体)を添加し、さらに第2回目の超音波処理を行い、ソルボサーマル合成(水熱合成)を行い、加熱減圧乾燥すること、などによって得られる。
分散媒としては、水、イソプロパノール(IPA)、メタノール、N-メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。特に、イソプロパノール(IPA)、水、およびナフィオン(登録商標)(テトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体)の混合物(例えば、体積比が1:4:150)が好ましい。
第1回目の超音波処理の処理時間としては、特に制限はないが、5分間以上12時間以下(例えば、30分間)であることが好ましい。
第2回目の超音波処理の処理時間としては、特に制限はないが、5分間以上3時間以下(例えば、30分間)であることが好ましい。
ソルボサーマル合成(水熱合成)の加圧条件としては、特に制限はないが、1MPa以上3MPa以下であることが好ましい。
ソルボサーマル合成(水熱合成)の温度条件としては、特に制限はないが、40℃以上200℃以下(例えば、150℃)であることが好ましい。
ソルボサーマル合成(水熱合成)の処理時間としては、特に制限はないが、2時間以上72時間以下(例えば、12時間)であることが好ましい。
加熱減圧乾燥の温度条件としては、特に制限はないが、40℃以上140℃以下(例えば、60℃)であることが好ましい。
本発明の電極は、本発明の触媒を含むものである。本発明の電極は、電極としての活性に優れる。
本発明の電極は、例えば、ポリイミドやポリ(テトラフルオロエチレン)等の基材の上に、触媒の分散液を塗布し、乾燥させて触媒層を形成させた後、これをカーボンクロスやカーボンペーパー等の導電性多孔質基材上に熱プレスで転写することにより形成することができる。また、触媒の分散液を、前記導電性多孔質基材上にダイコーターやスプレー等を用いて塗工し、乾燥させることにより形成することができる。触媒の分散液に用いられる溶媒としては、触媒の製造方法に記載した前記分散媒が挙げられる。分散液中の触媒の含有量は、特に限定されないが、0.001質量%~10質量%が好適である。
本発明の電極における触媒層の膜厚は、特に制限はないが、0.005μm~100μm程度である。かかる触媒層中の触媒量としては、0.1mg/m2~2×104mg/m2が好適である。
本発明の電極は、例えば、水の電気分解、有機物の電気分解、充放電可能な空気電池、燃料電池(特には、固体高分子型燃料電池の電極(空気極、燃料極))等に好適に用いられる。
本発明の膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)は、本発明の電極を備えるものである。かかる膜電極接合体は、前記電極をイオン交換膜に圧着させることで得ることができる。「イオン交換膜」とは、イオン交換樹脂を膜状に成型したものをいい、例えば、プロトン伝導膜、アニオン交換膜等が挙げられる。
本発明の膜電極接合体は、充放電可能な空気電池、燃料電池(特には、固体高分子型燃料電池)等に好適に用いられる。
本発明の空気電池は、本発明の電極または膜電極接合体を備えるものである。空気電池とは、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属(亜鉛またはリチウム)を用いる電池(空気亜鉛電池または空気リチウム電池)のことを意味する。空気電池は、通常、空気中の酸素を電池内に取り込むために、空気極(正極)には触媒作用を有する多孔質炭素材料、多孔質金属材料、もしくはこれら両者の複合材料が使用され、負極には各種金属が使用され、電解液には水酸化カリウム水溶液等の水溶液が使用されている。空気電池の放電では、空気中の酸素(O2)が空気極(正極)の触媒作用でOH-として電解液に溶け込み、負極活物質と反応して起電力を発生する。一方、空気電池の充電ではその逆反応が生ずる。本発明の電極および膜電極接合体は、空気電池の正極として用いることができる。本発明の空気電池は、例えば、自動車用電源、家庭用電源、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源として有用である。
リニアースイープボルタンメトリー(LSV)測定を以下のように行い、酸素還元反応(ORR)の開始電圧(オンセット電圧)および半波電位(E1/2)を算出して、酸素還元反応(ORR)の触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
具体的には、作用電極を0.1M(あるいは1M)のKOH電解質中に浸漬し、高電位1.2V(vs RHE)から低電位方向に電位を走査させて、それに応じて流れる反応電流から電流密度を測定した。測定した電流密度により、酸素還元反応(ORR)の開始電圧(オンセット電圧)および半波電位(E1/2)を算出した。
装置:回転リングディスク電極装置(BAS製、商品名:RRDE-3A)
電解質:0.1Mあるいは1MのKOH
作用電極:グラッシーカーボン(ガラス状炭素)上に、実施例、比較例で作製した触媒を0.25mg/cm2担持したもの。
参照電極:Ag/AgCl電極あるいはHg/HgO電極
対極:白金コイル
なお、表1に示す酸素還元反応(ORR)の開始電圧(オンセット電圧)および半波電位(E1/2)の値は、可逆水素電極(測定対象の電極が入っている溶液のpHと同じpHの電解質溶液を用いた水素電極)を基準として測定された電位(単位:V)であり(vs.RHE)、開始電圧(オンセット電圧)および半波電位(E1/2)のいずれの値も大きい方がより好ましい。
リニアースイープボルタンメトリー(LSV)測定を以下のように行い、酸素発生反応(OER)の10mAcm-2時における電位を算出して、酸素発生反応(OER)の触媒活性を評価した。結果を表1に示す。
具体的には、作用電極を0.1M(あるいは1M)のKOH電解質中に浸漬し、1.0V(vs RHE)から正方向に電位を走査させて、それに応じて流れる反応電流から電流密度を測定した。測定した電流密度により、酸素発生反応(OER)の電位を算出した。
装置:回転リングディスク電極装置(BAS製、商品名:RRDE-3A)
電解質:0.1Mあるいは1MのKOH
作用電極:グラッシーカーボン上に、実施例、比較例で作製した触媒を0.25mg/cm2担持したもの。
参照電極:Ag/AgCl電極あるいはHg/HgO電極
対極:白金コイル
なお、表1に示す酸素発生反応(OER)の電位の値は、可逆水素電極(測定対象の電極が入っている溶液のpHと同じpHの電解質溶液を用いた水素電極)を基準として測定された電位(単位:V)であり(vs.RHE)、10mAcm-2時における電位は小さい方(1.23Vに近い方)がより好ましい。
実施例1および2で作製した触媒について、クロノポテンシオメトリー試験を以下のように行い、触媒の耐久性を評価した。その結果、100時間性能に大きな変化はなく、実施例1および2で作製した触媒の耐久性が良好であることが分かった。
具体的には、作用電極を0.1M(あるいは1M)のKOH電解質中に浸漬し、0.88V(vs RHE)に保持し、電位の時間依存性を測定した。
電解質:0.1Mあるいは1MのKOH
作用電極:グラッシーカーボン上に、実施例1および2で作製した触媒を0.25mg/cm2担持したもの。
参照電極:Ag/AgCl電極あるいはHg/HgO電極
対極:白金コイル
下記実施例2で作製した触媒B(NiFeS-SWCNT-NMP-60)5mg、パーフルオロカーボン材料である20重量%ナフィオン分散液(シグマアルドリッチ製)20μl、イソプロピルアルコール160μl、蒸留水40μlを加え、バス型の超音波分散装置で1時間処理をすることで正極用分散液を作製した。得られた正極用分散液を、ガス拡散層(SGLカーボンジャパン製、Sigracet GDL22BB)上に乾燥後の膜厚が0.5mg/cm2になるように刷毛を用いて塗工し、次いで乾燥することで空気亜鉛電池用正極部材を得た。作製した正極部材と、負極となる0.1mm厚の亜鉛箔とを直径17mmの円形に切り取り、正極部材の塗工面にセパレーターおよび負極を順に積層し、メステンレス鋼製のコイン型外装容器中に収納した。この容器中に濃度6モル/LのKOH水溶液を空気が残らないように注入し、メッシュ構造を有するステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止することで、直径20mm、厚さ3.2mmの空気亜鉛電池(コインセルCR2032)を製造した。同様に、下記比較例3で作製した触媒系を正極触媒として用いて、空気亜鉛電池を製造した。
次いで、上記空気亜鉛電池のそれぞれの比容量(specific capacity)を測定した。触媒Bを正極触媒として作製した空気亜鉛電池の比容量は817mAh/gであり、高い性能を示した。一方、繊維状炭素ナノ構造体を用いない比較例3の触媒系を用いて作製した空気亜鉛電池では、比容量は52mAh/gであり、空気亜鉛電池の性能に繊維状炭素ナノ構造体が極めて重要な役割を示していることがわかる。これは、触媒Bで形成されるNi原子-Fe原子-チオウレアの特長的なナノ構造が、高性能の要因をなしていると推察される。
また、触媒Bを正極触媒として作製した空気亜鉛電池の充放電特性を測定した。図1に、触媒Bを正極触媒として作製した空気亜鉛電池の充放電特性を示す。この空気亜鉛電池の放電電位および充電電位はそれぞれ1.21Vおよび1.90Vであり、この空気亜鉛電池の過電圧が従来のものより小さく、これは、この空気亜鉛電池が高い性能を持つことを意味している。なお、図1では、200分までの充放電特性を図示しているが、1200分以上でも充放電特性の傾向は変わらず、この空気亜鉛電池は充放電の繰り返し耐久性も高いことがわかる。
繊維状炭素ナノ構造体としての単層カーボンナノチューブ(SWCNT)(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、商品名:ZEONANO(登録商標)SG101)を準備した。
なお、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の物性は以下の通りであった。
窒素ガス吸着によるBET比表面積:1400m2/g
質量密度:0.03g/cm3
平均直径(Av):3.3nm
直径の標本標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ):1.9nm
(3σ/Av):0.58
平均長さ:500μm
準備したSWCNT15mgと、ポリベンズイミダゾール(PBI)(佐藤ライト工業株式会社製、商品名:ポリベンズイミダゾール)5mgとをジメチルアセトアミド(DMAc)40mL中に分散させ、超音波分散装置(ブランソン株式会社製、商品名:超音波洗浄器5580)を用いて超音波処理を3時間行い、メンブレンフィルター(ADVANTEC製、商品名:PTFEメンブレンフィルターT300A047A)を用いて濾過し、減圧真空乾燥器(アズワン株式会社製、商品名:真空乾燥器AVO-200SB-D)を用いて室温で真空乾燥することで、PBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)を調製した。
硝酸ニッケル(II)0.58gおよびチオウレア1.04gの混合物に対して、n-ブタノール(50mL)還流を60℃で2時間行い、室温まで除冷することで、Ni原子に4つチオウレアが配位したNiチオウレア4配位体(Ni(Thiourea)4(NO3)2)を調製した。
塩化鉄(II)四水和物0.68gおよびチオウレア1.04gの混合物に対して、エタノール(50mL)還流を80℃で2時間行い、0℃で一晩放置することで、Fe原子に4つチオウレアが配位したFeチオウレア4配位体(Fe(Thiourea)4Cl2)を調製した。
下記のように触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を調製し、調製した触媒Aについて、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価、(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価、および(3)触媒の耐久性の評価を行った。
<触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)の調製>
調製したPBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)10mgをメタノール50mL中で、超音波分散装置(ブランソン株式会社製、商品名:超音波洗浄器5580)を用いて超音波処理を2時間行い、その後、Niチオウレア4配位体(Ni(Thiourea)4(NO3)2)20mgおよびFeチオウレア4配位体(Fe(Thiourea)4Cl2)80mgを添加し、超音波分散装置(ブランソン株式会社製、商品名:超音波洗浄器5580)を用いて超音波処理を30分間行い、ソルボサーマル合成(水熱合成)を1~2MPaおよび150℃の条件で12時間行い、反応後減圧真空乾燥器(アズワン社製、商品名:真空乾燥器AVO-200SB-D)を用いて60℃で14時間加熱減圧乾燥して触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を調製した。触媒A中において、Ni原子含有量は2.0質量%であり、Fe原子含有量は8.6質量%であり、単層カーボンナノチューブ含有量は12.5質量%であり、ポリベンズイミダゾール(PBI)含有量は4.2質量%であり、チオウレア含有量は57.5質量%である。
実施例1において、上述したように触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を調製する代わりに、下記に示すように触媒B(NiFeS-SWCNT-NMP-60)を調製したこと以外は、実施例1と同様に、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価、(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価、および(3)触媒の耐久性の評価を行った。結果を表1に示す。
<触媒B(NiFeS-SWCNT-NMP-60)の調製>
N-メチルピロリドン(NMP)19.94g中に分散した単層カーボンナノチューブ(SWCNT)(ゼオンナノテクノロジー株式会社製、商品名:ZEONANO(登録商標)SG101)60mgをメタノール50mL中で、超音波分散装置(ブランソン株式会社製、商品名:超音波洗浄器5580)を用いて超音波処理を2時間行い、その後、Niチオウレア4配位体(Ni(Thiourea)4(NO3)2)40mgおよびFeチオウレア4配位体(Fe(Thiourea)4Cl2)60mgを添加し、超音波分散装置(ブランソン株式会社製、商品名:超音波洗浄器5580)を用いて超音波処理を30分間行い、ソルボサーマル合成(水熱合成)を1~2MPaおよび150℃の条件で12時間行い、減圧真空乾燥器(アズワン株式会社製、商品名:真空乾燥器AVO-200SB-D)を用いて60℃で加熱減圧乾燥して触媒B(NiFeS-SWCNT-NMP-60)を調製した。触媒B中において、Ni原子含有量は3.0質量%であり、Fe原子含有量は4.9質量%であり、単層カーボンナノチューブ含有量は37.5質量%であり、チオウレア含有量は42.1質量%である。
実施例1において、Niチオウレア4配位体20mgおよびFeチオウレア4配位体80mgを添加して触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を得る代わりに、Niチオウレア4配位体40mgおよびFeチオウレア4配位体60mgを添加して触媒C(NiFeS-SWCNT-PBI-60)を得たこと以外は、実施例1と同様に、触媒の調製、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価、および(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。触媒C中において、Ni原子含有量は4.0質量%であり、Fe原子含有量は6.5質量%であり、単層カーボンナノチューブ含有量は12.5質量%であり、ポリベンズイミダゾール(PBI)含有量は4.2質量%であり、チオウレア含有量は56.1質量%である。
実施例1において、触媒として触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を用いる代わりに、下記のように調製した触媒D(Pt/C)を用いたこと以外は、実施例1と同様に、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価および(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。
<触媒D(Pt/C)の準備>
触媒D(Pt/C)として市販品(田中貴金属株式会社製)を用いた。
実施例1において、触媒として触媒A(NiFeS-SWCNT-PBI-80)を用いる代わりに、下記のように調製した触媒E(IrO2/C)を用いたこと以外は、実施例1と同様に、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価および(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。
<触媒E(IrO2/C)の調製>
IrCl3・xH2O(7.9mg)とカーボンブラック(10mg)とを還流することにより得たIr/カーボンブラック(Ir/C)を、60%エチレングリコール水溶液(20mL)に加え、160℃、6時間、N2雰囲気で加熱して触媒E(IrO2/C)を調製した。
調製したPBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)10mgをメタノール50mL中で超音波処理を2時間行うという操作を行わない(調製したPBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)を用いない)こと以外は、実施例3と同様に、触媒の調製、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価、および(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。
調製したPBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)10mgをメタノール50mL中で超音波処理を2時間行うという操作を行わない(調製したPBI被覆SWCNT(SWCNT-PBI)を用いない)こと以外は、実施例1と同様に、触媒の調製、(1)酸素還元反応(ORR)の触媒活性の評価、および(2)酸素発生反応(OER)の触媒活性の評価を行った。結果を表1に示す。
触媒の耐久性の評価の結果から、実施例1および2で作製した触媒は、耐久性が良好であることが分かる。
なお、本発明の触媒は、空気亜鉛電池、水分解、燃料電池、等に好適に用いられる。
Claims (7)
- (A)Ni原子およびFe原子と、
(B)チオウレアと、
(C)繊維状炭素ナノ構造体と、を含み、
前記Ni原子および前記Fe原子に前記チオウレアが各々配位しており、且つ、Feチオウレア配位体の含有量に対するNiチオウレア配位体の含有量の質量比(Niチオウレア配位体/Feチオウレア配位体)が、5/95以上70/30以下である、二官能性電極触媒。 - (D)下記一般式(1)で表される重合体をさらに含む、請求項1に記載の二官能性電極触媒。
〔一般式(1)中、Rは、フェニレン基または下記構造式(X)で表される二価基を示し、nは、10以上の整数である。〕
- 前記繊維状炭素ナノ構造体が単層カーボンナノチューブである、請求項1または2に記載の二官能性電極触媒。
- 前記繊維状炭素ナノ構造体の比表面積が800m2/g以上である、請求項1~3のいずれかに記載の二官能性電極触媒。
- 請求項1~4のいずれかに記載の二官能性電極触媒を含む、電極。
- 請求項5に記載の電極を備える、膜電極接合体。
- 請求項5に記載の電極または請求項6に記載の膜電極接合体を備える、空気電池。
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