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JP7528527B2 - 法面補強方法 - Google Patents
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Description

本発明は法面補強方法に関する。
従来技術として、浸食防止を目的として法面に薬剤を散布し、法面を補強する方法が知られている(特許文献1)。
特開2005-130732号公報
従来技術を用いて法面を補強する場合、薬剤の耐久性または散布する際の施工性に難があった。
上記課題に鑑み、耐久性または施工性の良い法面の補強方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は一態様として、紫外線劣化防止剤と浸食防止剤とを含有する補強剤を法面に散布し、前記法面を補強する法面補強方法を提供する。
本発明によれば、耐久性または施工性の良い法面の補強方法を提供することができる。
浸食防止剤の選定試験における、試験ケース一覧である。 浸食防止剤選定試験の試験状況である。 PVA水溶液の配合検討試験における、試験ケース一覧である。 既製品のPVA水溶液のケン化度と重合度の分布を示す図である。 PVA水溶液の配合検討試験及び繊維材の検討試験の試験状況である。 PVA水溶液の配合検討試験の結果であり、各候補に対して、表面が崩壊するまで散水した累計水量を示す。 耐久性試験の試験ケース一覧である。 耐久性試験を実施した法面の状況である。試験ケースの記号と対応する法面の範囲を図中に示す。 法面の硬度計測の状況を示す図であり、(a)使用した山中式土壌硬度計と、(b)土壌硬度の計測状況を示す。 耐久性試験を実施した法面の状況であり、試験開始から試験終了までの状況を、(a)図~(c)図に時系列で示す。 耐久性試験の期間中の降水量を示す図である。 耐久性試験の結果を示す図である。 繊維材の検討試験に用いた供試体である。 繊維材の検討試験に用いた供試体一覧である。 繊維材の検討(その1)の試験結果である。 繊維材の検討(その2)の試験結果である。
本発明の実施形態では、法面にポリビニルアルコールと紫外線劣化防止剤を混合した薬剤を補強剤として散布する方法を用いる。以下では、図1~図16を参照して、実施形態に係る法面の補強方法及びこれに用いられる薬剤について説明する。
<浸食防止剤の選定試験>
法面の補強に用いられる薬剤の1つとして、法面の浸食を防止するために用いられる浸食防止剤がある。法面の浸食防止剤として最適なものを選定するため、以下の実験を行った。
実験においては、従来用いられる、または浸食防止剤としての使用が考えられる複数の候補をまず設定し、それらのうち、実験の結果が良好なものを選定した。
図1に示すように、浸食防止剤の候補として考えられる5種類の候補薬剤(図中の番号:2~6)を選定し、これらの性能を比較するために実験を行った。5種類の薬剤は、それぞれ酢酸ビニル樹脂とエチレン重合体(ケース2)、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(ケース3)、ウレタン樹脂(ケース4)、ケイ酸ナトリウム(ケース5)、リグニンスルホン酸マグネシウム(ケース6)を主成分とする。
実験は、上記の5つの候補薬剤を、法面を模した暴露用土層の表面に散布し、6か月間屋外に暴露することによって行った。また、比較用として、薬剤を散布しない土層も用意した(ケース1)。暴露用土層は、図2に示すように、縦横の寸法が1800mm×450mm(ミリメートル)の矩形状で、深さ100mmである。土層は、1:1.5の勾配をつけて設置した。暴露の期間は、2018年5月28日から2018年11月28日までの6か月間とした。
薬剤の比較は、暴露用土層から流出した流出土を回収し(図2)、その乾燥重量を計測することによって行った。詳細には、散水によって供試体から流出した土砂の乾燥重量を計測し、土砂流出率を計測した。土砂流出率は、試験開始時の供試体の乾燥重量に対する、流出土砂の乾燥重量の比率(%)として定義される。結果、PVA水溶液を用いたケース3の土砂流出率が最も少なかった。そのため、PVA水溶液を浸食防止剤とし、その配合や工法を検討した。
<配合検討>
浸食防止剤として最適なPVA水溶液の配合を、以下のように検討した。検討は、重合度及びケン化度が異なる複数のPVA溶液を用意し、優れた耐浸食性(法面の浸食を防止する性能または機能)または施工性を有するものを選定するという方法によって行った。
図3に示すように、PVA水溶液の検討候補を、候補Aから候補Dの4つ用意した。それぞれの候補は、ケン化度及び重合度が異なる。また図示のように、配合の違いに由来して、各候補は粘度が異なる。
これらの候補は、図4において点線枠で示すように、既製品のPVA水溶液(商品名:ポバール、登録商標)のうち、ケン化度(モル%)が86以上、重合度2000以下のものを抽出することにより得たものである。ケン化度が86未満になると法面に散布しても膜を形成しないために十分な耐久性が得られず、また、重合度が2000を超えると酢酸のにおいが強く、実用に耐える施工性が得られないためである。
これらの候補A~Dに対して散水試験を実施することによって、最良のものを選定した。散水試験では、矩形枠にまさ土を詰め、まさ土の表層に候補A~DのPVA水溶液をそれぞれ散布した4つの試験体を用意し、各試験体の上方からシャワーヘッドを用いて散水した。また、比較のため、土の表層にPVA水溶液を散布しない試験体(図6において、「無処理」と記す)も用意し、同様に散水した。散水試験では、表層が崩壊するまでの散水量を計測することによって、候補A~Dの耐久性を調べた。矩形枠の寸法は、図5に示すように300mm×300mmであり、試験体には1:1.5の勾配を付けた。試験体からシャワーヘッドまでの距離は650mmとした。
散水試験では、図6に示すように、候補C(品種:VC-20)を散布した試験体において、表層が崩壊するまでの散水量が最も多いという結果が得られた。候補Cでは、700L(リットル)以上の散水を行っても崩壊しなかった。一方、候補A、B、Dではいずれも、320L程度の散水量で崩壊した。
上記の試験結果により、候補C(VC-20、ケン化度98.5以上99.5以下、重合度2000、粘度35.0以上45.0以下(4%、セ氏20度、mPa・s))のPVA水溶液において、耐久性が最も高いと考えられる。また、ケン化度が候補Cと同等で、重合度2000を超えるPVA水溶液を用いた場合においても、施工性に難が生じる虞はあるが、粘度及び被膜強度が上昇し、候補Cと同等またはそれ以上の耐浸食性が得られると考えられる。
<耐久性試験>
候補C(VC-20)のPVA水溶液に対して、長期的な耐久性及び添加剤による効果の検証をさらに行うことを目的とし、以下のように耐久性試験を実施した。
耐久性試験では、図8に示すように実際の盛土法面(横2m(メートル)、縦5m)に対して各種薬剤を散布し、6か月間に亘って観察し、浸食防止効果を比較した。試験ケースの記号(後述)と対応する法面の範囲を図中に示す。
散布した薬剤の種類を図7に示す。薬剤には、PVA水溶液であるVC-20(試験ケースB4)と、PVA水溶液のVC-20に対して2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン(商品名:SEESORB100、登録商標)を0.02重量%配合したもの(試験ケースB4)と、PVA水溶液のVC-20に対して炭酸カルシウムを20重量%配合したもの(試験ケースB5)とを用意した。また比較のため、処理を施していない法面を試験ケースB1として加えた(無処理)。
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンは、主に化粧品等に使用される紫外線吸収剤であり、紫外線を熱エネルギーに変換する作用がある。炭酸カルシウムは、炭酸カルシウム粒子が紫外線を遮断することによって、浸食防止剤の劣化を防止する作用がある。いずれも、PVA水溶液を紫外線の影響から保護し、劣化を防止することができると考えられる。
試験期間は2019年6月5日から2019年11月29日までの約6か月間である。8月29日と11月29日に、法面表層における土壌硬度の計測を行った(図9)。土壌硬度は山中式土壌硬度計を用いて計測した。土壌硬度が高いほど、法面の浸食に対する耐久性は高いと考えられる。
図10に示すように、試験期間中、いずれの法面においても植生が認められ、薬剤による植生への影響はないことが確認された。
試験期間経過後の最終的な法面の状態として、どの試験ケースにおいても浸食は観測されなかった。法面の面積に対して降雨量が少なかったことが原因として考えられる。なお、参考のため、図11に試験期間における降雨量を示す。
土壌硬度の計測結果を図12に示す。2回の計測結果のどちらにおいても、無処理ケースより、VC-20を散布した3つの試験ケースにおける土壌硬度は高かった。また、紫外線吸収剤を加えていない試験ケースよりも、紫外線吸収剤を配合した薬剤使用の2つの試験ケースにおいて、土壌硬度が高いという結果が得られた。
上記のように、PVA水溶液を法面に散布することによって、長期間に亘って法面の浸食が防止されることが確認された。また、紫外線吸収剤をPVA水溶液に添加して用いることにより、浸食を防止する効果が向上することが認められた。この効果は、炭酸カルシウム及び2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンのいずれを紫外線吸収剤に用いた場合においても、確認することができた。特に炭酸カルシウムを用いた場合、施工費用が安価であり、費用対効果が高い。
<繊維材の検討その1>
次に、PVA水溶液に繊維材を添加した場合の効果を検討した。まず、PVA水溶液に繊維材を添加した薬剤を用いた場合の、法面表面の硬度を計測する試験を実施した。
試験では、図13に示すように、300mm×300mmの矩形で、厚さ100mmのまさ土を用意した。まさ土表面に、繊維材の添加量(重量%)が異なるPVA水溶液を散布し、図14に示すように、供試体2~5の、4種類の供試体とした。比較のため、薬剤を散布していない供試体1も用意した(無処理)。用いた繊維材は、古紙パルプである。
各供試体の表面の硬度を、図13に示すように5か所で計測した。硬度の計測は、山中式土壌表面硬度計を用いて行った。
試験結果を図15に示す。図示のように、供試体2~5の表面硬度にはほとんど差異はなかった。結論として、繊維材を添加しても、表面硬度には影響がないことが分かった。
<繊維材の検討その2>
さらに繊維材を添加したPVA水溶液による、法面の浸食防止効果を確認する試験を実施した。
用いた供試体は、硬度試験に用いたものと同じである(図13)。これらの供試体1~5のそれぞれに対し、上方からシャワーヘッドを用いて散水した。図5に示すように、供試体を1:1.5の勾配をつけて設置し、シャワーヘッドは供試体から650mm上方に設置した。散水する水量は、供試体1に対しては5リットル、供試体2~5に対しては、62.5リットルとした。
散水によって供試体から流出した土砂の重量を計測し、土砂流出率を計測した。土砂流出率は、試験開始時の供試体の乾燥重量に対する、流出土砂の乾燥重量の比率(%)として定義される。
図16に試験の結果を示す。図16では、土砂流出率とともに、試験前後の供試体表面の写真を示している。特に試験終了時(散水終了時)において、土が流出した個所を線で囲んで示す。
供試体1と供試体2を比較すると、PVA水溶液を散布することによって、土砂の流出が防止されることが読み取れる。また、供試体2~5の土砂流出量を見ると、繊維材の添加量が増加するほど、土砂の流出率は少ないことがわかる。
上記のように、PVA水溶液に繊維材を添加することによって、法面の浸食を防止する効果が向上することが結論として得られる。またPVA水溶液に対する繊維材の添加量が多いほど、法面の浸食を防止する効果は高いことが分かる。
<効果>
上記実施形態においては、紫外線劣化防止剤と浸食防止剤とを含む補強剤を法面に散布し、法面を補強する補強方法が提案される。
紫外線劣化防止剤を用いることにより、浸食防止剤の劣化が防止され、浸食防止剤の効果が長期間持続する。そのため、法面の浸食が長期間に亘って防止される。
浸食防止剤は、ポリビニルアルコール水溶液を用いることが好ましい。このポリビニルアルコール水溶液のケン化度(モル%)は98.5以上99.5以下であり、重合度は2000以上であることが好ましい。
浸食防止剤をこのような構成とすることにより、従来よりも高い浸食防止効果を得ることができる。また、浸食防止効果を長期間にわたって得ることができる。ポリビニルアルコール水溶液を用いることにより、植生に影響を与えることがない。
紫外線劣化防止剤は、炭酸カルシウムまたは2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンを含有する。そのため、紫外線による浸食防止剤の劣化が防止され、浸食防止剤の効果が長期間持続する。そのため、法面の浸食が長期間に亘って防止される。また、炭酸カルシウムを用いた場合、施工費用が安価であり、費用対効果が高い。
法面に散布される補強剤は、繊維材を含有する。好ましくは、繊維材は生分解性材料であり、紙パルプである。
補強剤に繊維材を加えることにより、法面の浸食を防止する効果が向上する。また、生分解性材料、特に紙パルプを用いることにより、法面及びその周辺の環境への負荷を低減させることができる。
<変形例>
上記実施形態においては、繊維材として紙パルプを用いていたが、本発明はこれに限定されず、ナイロンやポリエチレンなど、紙パルプ以外の繊維材を用いてもよい。この場合においても、補強剤における、法面を浸食から防止する効果を向上させることが可能である。

Claims (5)

  1. 紫外線劣化防止剤と、ポリビニルアルコール水溶液を用いた浸食防止剤とを含有する補強剤を法面に散布し、前記法面を補強する法面補強方法であって、
    前記ポリビニルアルコール水溶液のケン化度(モル%)は98.5以上99.5以下であり、前記ポリビニルアルコール水溶液の重合度は2000以上である、法面補強方法。
  2. 前記紫外線劣化防止剤は、炭酸カルシウムまたは2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンを含有する、請求項1に記載の法面補強方法。
  3. 前記補強剤は、さらに繊維材を含有する、請求項1または2に記載の法面補強方法。
  4. 前記繊維材は生分解性材料から形成される、請求項3に記載の法面補強方法。
  5. 前記繊維材は紙パルプである、請求項3または4に記載の法面補強方法。
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