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JP7535446B2 - 金属部品の研削焼け評価装置および研削焼け評価方法 - Google Patents
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JP7535446B2 - 金属部品の研削焼け評価装置および研削焼け評価方法 - Google Patents

金属部品の研削焼け評価装置および研削焼け評価方法 Download PDF

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本発明は、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けを評価する金属部品の研削焼け評価装置および研削焼け評価方法に関するものである。
研削加工された金属部品に発生する研削焼けは、硝酸および塩酸を用いて腐食させた表面を観察する腐食表面観察法(JIS G 0561:2011)が知られている。しかし、この腐食表面観察法では、測定対象となる金属部品の切断工程および研磨工程が必要となるので、多くの工数が必要となること、および、腐食範囲や腐食時間により生じる腐食ムラに起因して研削焼けの評価精度が得られ難いこと等の欠点があった。
また、金属部品の表面に圧子を押し当てたときに生じる窪みの大きさを測定することで硬度を測定する硬度測定法(JIS Z 2244:2009、JIS Z 2245:2016)が知られている。しかし、この硬度測定法では、金属部品の極表層に生じる研削焼けを圧子が捉えることが困難であり、母層の硬度が測定値として現れるという欠点があった。
これに対して、X線を金属部品の表面に照射したとき、その金属部品の表面で回折した回折X線の半価幅が予め設定した閾値以下であれば、研削焼けと判定する回折X線を用いた研削焼け評価装置および研削焼け評価方法が提案されている。特許文献1の金属部品の研削焼け検査方法がそれである。これによれば、金属部品の表層に発生する研削焼けの影響を受けた回折X線を用いるので、金属部品の表層の研削焼けを評価することができる。
特開2004-271355号公報
ところで、特許文献1の金属部品の研削焼け評価方法によれば、照射X線と回折X線との間の測定角度(角度Ψ)が1つであるため、金属のような多結晶体で複数の格子面を有し且つ極表層に発生する研削焼けを評価するには、充分な精度が得られない。また、回折X線の半価幅が一定値以下すなわち6°以下であるときに金属部品の研削焼けを一律に判定しているが、格子面によって半価幅が異なるため、評価基準としては不適当であった。さらに、研削加工熱の影響の強弱による金属部品の表層の組織が正常組織層よりも軟質な黒層となったり、正常組織層よりも硬質の白層となったりして、必ずしも正確に研削焼けを評価できない場合があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けをより正確に評価することができる金属部品の研削焼け評価装置および研削焼け評価方法を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けを評価する金属部品の研削焼け評価装置であって、(b)前記金属部品への入射X線の入射光軸と前記金属部品の表面の法線とが成す角度Ψを変化させて、入射X線を前記金属部品の表面に照射するX線照射制御部と、(c)前記角度Ψ毎に、前記金属部品の表面において回折された回折X線の強度プロファイルを検出する回折X線検出制御部と、(d)前記回折X線検出制御部においてそれぞれ検出された前記角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅の平均値を算出する半価幅平均値算出部と、(e)前記半価幅の平均値と、研削加工熱の影響を受けた再硬化層である白層よりも半価幅が低く且つ研削加工熱の影響を受けた軟化層である黒層よりも半価幅が高い正常判定領域を有するように予め設定された研削焼け判定閾値との比較に基づいて前記金属部品の研削焼けを評価する研削焼け評価部と、を含むことにある。
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記白層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも高い値を示す不合格品を除去するための上限値以下且つ前記黒層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも低い値を示す不合格品を除去するための下限値以上の前記正常判定領域を有するように設定されていることにある。
第3発明の要旨とするところは、第1発明又は第2発明において、前記X線照射制御部は、入射X線を前記金属部品の表面に、前記角度Ψを0°~45°の範囲内の複数の角度に変化させて照射するものである。
第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記金属部品のうち、研削焼けが正常であると評価された前記金属部品の表面に、前記X線照射制御部と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出制御部と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出部と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。
第5発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、前記金属部品の前記電解研磨により研磨された表面に、前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出制御部と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出部と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。
第6発明の要旨とするところは、(a)研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けを評価する金属部品の研削焼け評価方法であって、(b)前記金属部品への入射X線の入射光軸と前記金属部品の表面の法線とが成す角度Ψを変化させて、入射X線を前記金属部品の表面に照射するX線照射工程と、(c)前記角度Ψ毎に、前記金属部品の表面において回折された回折X線の強度プロファイルを検出する回折X線検出工程と、(d)前記回折X線検出工程においてそれぞれ検出された前記角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅の平均値を算出する半価幅平均値算出工程と、(e)前記半価幅の平均値と、研削加工熱の影響を受けた再硬化層である白層よりも半価幅が低く且つ研削加工熱の影響を受けた軟化層である黒層よりも半価幅が高い正常判定領域を有するように予め設定された研削焼け判定閾値との比較に基づいて前記金属部品の研削焼けを評価する研削焼け評価工程と、を含むことにある。
第7発明の要旨とするところは、第6発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記白層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも高い値を示す不合格品を除去するための上限値以下且つ前記黒層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも低い値を示す不合格品を除去するための下限値以上の正常判定領域を有するように設定されていることにある。
第8発明の要旨とするところは、第6発明又は第7発明において、前記X線照射工程は、入射X線を前記金属部品の表面に、前記角度Ψを0°~45°の範囲内の複数の角度に変化させて照射するものである。
第9発明の要旨とするところは、第6発明から第8発明のいずれか1の発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記金属部品のうち、研削焼けが正常であると評価された前記金属部品の表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。
第10発明の要旨とするところは、第6発明から第8発明のいずれか1の発明において、前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、前記金属部品の前記電解研磨により研磨された表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。
第1発明の金属部品の研削焼け評価装置、および第6発明の金属部品の研削焼け評価方法によれば、研削焼け評価工程或いは研削焼け評価部において、半価幅平均値算出工程或いは半価幅平均値算出部により算出された前記角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅の平均値と、研削加工鵜熱の影響を受けた再硬化層である白層よりも半価幅が低く且つ研削加工熱の影響を受けた軟化層である黒層よりも半価幅が高い正常判定領域を有するように予め設定された研削焼け判定閾値との比較に基づいて前記金属部品の研削焼けを評価する。このため、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けをより正確に評価することができる。
第2発明の金属部品の研削焼け評価装置、および第7発明の金属部品の研削焼け評価方法によれば、前記研削焼け判定閾値は、前記白層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも高い値を示す不合格品を除去するための上限値以下且つ前記黒層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも低い値を示す不合格品を除去するための下限値以上の前記正常判定領域を有するように設定されたものである。このため、半価幅の平均値が研削焼け判定閾値の上限値を上まわる不良品および研削焼け判定閾値の下限値を下まわる不良品を判定することができるので、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けをより正確に評価することができる。
第3発明の金属部品の研削焼け評価装置、および第8発明の金属部品の研削焼け評価方法によれば、前記角度Ψは0°~45°の範囲内の複数の角度に変化させられる。このため、X線照射工程および回折X線検出工程を行なう回折X線検出装置が小型となる。
第4発明の金属部品の研削焼け評価装置、および第9発明の金属部品の研削焼け評価方法によれば、前記研削焼け判定閾値は、前記金属部品のうち、研削焼けが正常であると評価された前記金属部品の表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。このような研削焼け判定閾値と半価幅の平均値との比較に基づいて金属部品の研削焼けを評価するので、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けをより正確に評価することができる。
第5発明の金属部品の研削焼け評価装置、および第10発明の金属部品の研削焼け評価方法によれば、前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、前記金属部品の前記電解研磨により研磨された表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である。このような研削焼け判定閾値と半価幅の平均値との比較に基づいて金属部品の研削焼けを評価するので、研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けをより正確に評価することができる。
ここで、好適には、前記研削焼け判定閾値は、前記角度Ψ毎の半価幅の平均値を中心とした±0.5°の幅、或いは±0.25°の幅の正常判定領域を有するように設定した値である。
また、好適には、前記入射X線の入射光軸とは、入射X線の中心軸である。また、回折角2θとは、入射X線の入射光軸と、金属部品の表面のうち入射X線が入射した部分から出射された回折X線との間の角度(線型変換を施した角度も含む)である。
また、好適には、前記回折X線の半価幅とは、回折角2θを表す軸と回折X線の強度を表す軸との二次元座標において、回折X線の強度プロファイル中に形成されたピーク(山)の高さの半分に対応する角度幅である。上記回折X線の強度とは、単位時間当たりに検知されるX線格子の数、或いは、それを表す物理量(たとえば電圧、電流等)である。
本発明の金属部品の研削焼け判定方法或いは研削焼け評価装置に用いられる回折X線検出装置および電子制御装置を説明するブロック線図である。 図1の回折X線検出装置により検出された回折X線の強度プロファイルにおいて、半価幅を説明する図である。 図1の電子制御装置の制御作動の要部である金属部品の研削焼け判定方法を説明する工程図である。 ビッカース硬度Hvの研削代断面積に対する変化を、研削焼けによる異常品を●印で、正常品を○印で対比して示す図である。 円筒研削された金属部品(SCr420)について、半価幅HWの研削代断面積に対する変化を、研削焼けによる異常品を●印で、正常品を○印で対比して示す図である。 図5のAに示す金属部品についての、深さに対する半価幅HWの値を示す図である。 図5のBに示す金属部品についての、深さに対する半価幅HWの値を示す図である。 図5のCに示す金属部品についての、深さに対する半価幅HWの値を示す図である。 図5のBに示す金属部品についての、光学顕微鏡により撮影した組織図である。 図5のCに示す金属部品についての、光学顕微鏡により撮影した組織図である。 図5の異常品の角度Ψを6種類に変化させた場合の半価幅を、研削代断面積毎に測定した場合を示す図である。 平面研削された金属部品(SCM440)について、6種類の角度Ψ毎にそれぞれ得られた半価幅HWを、深さ0μmから100μmまで示す図である。 図12の平面研削された金属部品について、6種類の角度Ψ毎にそれぞれ得られた半価幅HWを、深さ100μmから600μmまで示す図である。 図12の平面研削された金属部品について、6種類の角度Ψ毎に得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWav(°)を、深さ0μmから600μmまで示す図である。 図12の平面研削された金属部品について、研削焼け判定閾値THを説明する図である。 金属部品(SCr420)を円筒研削した場合における、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)と砥石軸の消費電力値(kW)との関係を示す図である。 図16と同じ研削条件を用いて金属部品を円筒研削した場合における、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)と砥石摩耗量(μm)との関係を示す図である。 図16と同じ研削条件を用いて金属部品を円筒研削した場合における、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)と研削面の面粗度Rz(μm)との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は発明に関連する要部を説明するものであり、寸法及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、研削砥石を用いて研削加工された金属部品14たとえば焼入鋼から成る軸受部品の研削焼けを評価するための研削焼け評価装置10を示している。研削焼け評価装置10は、鋼製たとえば焼入鋼製の金属部品14の表面16に入射X線を入射させ、金属部品14の表面16のうち入射X線が入射した部分から出射される回折X線を検出する回折X線検出装置12と、その回折X線検出装置12を制御する電子制御装置30を備えている。
回折X線検出装置12は、金属部品14の表面(照射面)16上の点Pに向う入射光軸Lx1に沿って入射X線を出力するX線管18と、点Pにおいて回折を受けて回折光軸Lx2に沿って出射される回折X線を受けて回折X線を検知するX線検出器20とを備えている。
X線管18は、点Pを中心とする円弧状のガイド22により移動可能に支持されている。X線管18は、後述の角度Ψが異なる位置に位置決めされるように、ガイド22に沿って点Pまわりの周方向の複数位置にX線管18を位置決めするアクチュエータ18aを備えている。X線検出器20は、点Pを中心とする円弧状のガイド24により移動可能に支持されている。X線検出器20は、後述の角度Ψが異なる毎に回折X線の強度プロファイルを得るために、ガイド24に沿って点Pまわりの周方向にX線検出器20を位置決めするアクチュエータ20aを備えている。
図1では、X線管18からの入射光軸Lx1が金属部品14の表面16の法線(照射面法線)z1と一致するように、X線管18が位置させられている。すなわち、X線管18からの入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1との成す角度として定義される角度Ψが0°となるように、X線管18が位置させられている。本実施例では、角度Ψが複数種類に切り換えられた状態で、角度Ψ毎に回折X線の強度プロファイルが検出される。図1の破線で示すX線管18は、角度Ψが0°から切り換えられた位置を示している。
図1において示す角度ηは、入射光軸Lx1と格子面26の法線(結晶面法線)z2とが成す角であり、格子面26の法線(結晶面法線)z2と回折光軸Lx2とが成す角である。この角度ηは、回折角2θに線型変換をほどこすことによって導かれる角度であり、入射光軸Lx1と回折光軸Lx2との位置関係を特定できる回折角の一つである。
電子制御装置30は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースを含む所謂マイクロコンピュータであって、ROMに予め記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、金属部品14の研削焼けの評価を実行する。電子制御装置30は、X線照射制御部32と回折X線検出制御部34と半価幅平均値算出部36と研削焼け評価部38とを機能的に備え、研削焼け評価部38による評価結果を出力して表示器40に表示させる。
X線照射制御部32は、金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1との成す角度Ψを、X線管18をアクチュエータ18aによりガイド22に沿って移動させることにより、複数種類たとえば0°、18.4°、26.6°、33.2°、39.2°、45.0°の6種類に変化させてX線管18をそれぞれ位置決めし、X線管18から入射X線を金属部品14の表面16へ照射する。
回折X線検出制御部34は、角度Ψが異なる毎に回折X線の強度プロファイルを得るために、角度Ψが異なる毎にアクチュエータ20aを用いてX線検出器20をガイド24に沿って点Pまわりの周方向に移動させ、複数種類(本実施例では6種類)の角度Ψ毎に、金属部品14の表面において回折された回折X線の強度を検出して強度プロファイルを検出する。
半価幅平均値算出部36は、回折X線検出制御部34においてそれぞれ検出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HW(°)を、角度Ψが異なる毎にそれぞれ測定するとともに、それらの半価幅HW(°)の平均値である半価幅平均値HWav(°)を算出する。図2は、回折X線の強度プロファイルの一部を、回折角2θを表す軸と回折X線強度Iを表す軸との二次元座標において示す図である。この回折X線強度Iとは、単位時間当たりに検知されるX線格子の数、或いは、それを表す物理量(たとえば電圧、電流等)である。図2における強度プロファイル中のピーク波形の最大値Imaxに対応する回折角が、所謂ブラッグの式(2dsinθ=nλ(ここで、dは格子定数、λは波長))を満足するブラッグ角度θの倍数2θである。半価幅HWは、ピーク波形の最大値Imaxの2分の1、すなわち1/2Imaxに対応する回折角の範囲(°)である。
研削焼け評価部38は、半価幅平均値算出部36により算出された半価幅平均値HWavと予め設定された研削焼け判定閾値THとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けを評価する。たとえば、半価幅平均値HWavが研削焼け判定閾値THを上回れば合格判定し、半価幅平均値HWavが研削焼け判定閾値TH以下であるときには研削焼けによる不合格判定を行なう。
上記予め設定された研削焼け判定閾値THは、たとえば、研削加工された金属部品14のうち、研削焼けが正常であると評価された金属部品14の表面に、X線照射制御部32と同様に金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1とが成す角度Ψを変化させて入射X線を照射し、回折X線検出制御部34と同様に金属部品14の表面16において回折された回折X線を検出し、半価幅平均値算出部36と同様にして角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅平均値HWavを算出し、その半価幅平均値HWavに基づいて設定した値である。
また、上記予め設定された研削焼け判定閾値THは、たとえば、研削加工された金属部品14の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、その電解研磨により研磨された金属部品14の表面に、X線照射制御部32と同様に金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1とが成す角度Ψを変化させて入射X線を照射し、回折X線検出制御部34と同様に金属部品14の表面16において回折された回折X線を検出し、半価幅平均値算出部36と同様にして角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅平均値HWavを算出し、その半価幅平均値HWavに基づいて設定した値である。
上記の研削焼け判定閾値THは、半価幅平均値HWavそのままの値に設定されてもよいし、半価幅平均値HWavを基準としてたとえば±10%の程度の範囲内の正常判定領域を有するように設定された値であってもよい。また、半価幅平均値HWavを基準として、たとえば、±5°の幅、或いは±2.5°の幅の正常判定領域を有するように設定された値であってもよい。
図3は、電子制御装置30の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図3において、X線照射制御部32に対応するステップS1(以下、ステップを省略する)のX線照射工程では、金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1との成す角度Ψが、X線管18をアクチュエータ18aにより移動させることにより、0°、18.4°、26.6°、33.2°、39.2°、45.0°の6種類に変化させられてX線管18がそれぞれ位置決めされ、位置決めされる毎にX線管18から入射X線が金属部品14の表面16上の点Pへ照射される。
次に、回折X線検出制御部34に対応するS2の回折X線検出工程では、角度Ψが異なる毎の回折X線の強度プロファイルをそれぞれ得るために、角度Ψが異なる毎にアクチュエータ20aを用いてX線検出器20をガイド24に沿って点Pまわりの周方向に移動させ、6種類の角度Ψ毎に、金属部品14の表面16上のP点において回折された回折X線の強度が検出されて強度プロファイルが検出される。
次いで、半価幅平均値算出部36に対応するS3の半価幅平均値算出工程では、S2の回折X線検出工程においてそれぞれ検出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HW(°)が、角度Ψが異なる毎にそれぞれ測定されるとともに、それらの半価幅HW(°)の平均値である半価幅平均値HWav(°)が算出される。
そして、研削焼け評価部38に対応するS4の研削焼け評価工程では、S3の半価幅平均値算出工程により算出された半価幅平均値HWavと予め設定された研削焼け判定閾値THとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けが評価される。たとえば、半価幅平均値HWavが研削焼け判定閾値THを上回れば合格判定され、半価幅平均値HWavが研削焼け判定閾値TH以下であるときには研削焼けによる不合格判定が行なわれる。
本発明者は、以下に示す研削条件で円筒研削された浸炭焼入鋼製の金属部品14のうちの、砥石1を用いて研削加工した正常品(合格品)と、砥石2を用いて研削加工した研削焼けによる異常品(不合格品)とについて、ビッカース硬度Hv(JIS Z 2244:2009)と半価幅HWとを比較する試験を、以下の測定条件を用いて行なった。
(円筒研削条件)
砥石1 :PA 120 H+ 10 V(焼け無)
砥石2 :PA 80 H+ 10 V(焼け有)
機械 :円筒研削盤
研削方式 :湿式円筒プランジ研削
砥石周速度 :60m/s
被削材周速度 :0.6m/s
周速度比 :100
研削能率 :2.0mm/mm・s
ドレッサ :□0.8角柱ダイヤ単石ドレッサ
ドレスリード :0.1mm/r.o.w.
ドレス切込量 :0.01mm/pass
被削材 :SCr420(浸炭焼入鋼)
(ビッカース硬度測定条件)
観察レンズの倍率 :10倍
荷重保持時間 :10sec
荷重 :10kgf
(半価幅測定条件)
測定部位 :表層0μm
回折X線の測定範囲 :140°~170°
2θ :156.40°(α-Fe(211))
ステップ :0.20°
角度Ψ :45.0°
管球 :Cr
特性X線 :Kα線
図4および図5は、ビッカース硬度Hv(HV10)および半価幅HW(°)の測定値を示している。図4では、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)を表す横軸とビッカース硬度を表す縦軸との二次元座標において、研削焼けによる異常品(不合格品)のビッカース硬度Hvを●にて研削代断面積の増加毎に表示し、研削焼け無しの合格品のビッカース硬度Hvを○にて研削代断面積の増加毎に表示している。図5では、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)を表す横軸と半価幅HW(°)を表す縦軸との二次元座標において、研削焼けによる異常品(不合格品)のビッカース硬度Hvを●にて研削代断面積の増加毎に表示し、研削焼け無しの合格品のビッカース硬度Hvを○にて研削代断面積の増加毎に表示している。ここで、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)とは、研削代断面積を砥石円周長さで割った値である。
図4に示すように、異常品についてのビッカース硬度Hvは、研削代断面積の増加初期において正常品と同等の値を示しているが、その後に急減している。これに対して、図5に示すように、合格品についての半価幅HWは、研削代断面積の増加に拘わらず、略一定の値を示している。異常品についての半価幅HWは、研削代断面積の増加初期から緩やかに減少し、正常品の値よりも研削代断面積の増加初期から全体に小さい値を示している。すなわち、○印の正常品の最小値と●印の異常品の最大値との間に差ΔHWが形成されているので、半価幅HWを用いれば、研削代断面積の増加初期から、異常品と合格品との判定が可能であることを示している。
次に、本発明者は、研削代断面積が少ない領域においてビッカース硬度Hvにおいて正常品と同じ値を示した研削焼け有りの金属部品14(異常品)のうち、図5のA、B、Cに示す3つの金属部品A、B、Cについて、電解研磨によって異なる深さの試料を作成し、異なる深さ毎に半価幅HWを、前述の半価幅測定条件を用いて測定した。図6、図7、図8は、上記図5のA、B、Cに示す3つの金属部品14についての、深さに対する半価幅HWの値を、それぞれ示している。
図6および図7に示すように、ビッカース硬度Hvでは正常品と同等の値を示した金属部品AおよびBは、ビッカース硬度HV10での測定深さ(10kgfでの圧子の押し込み深さ)以内の深さでの半価幅HWは正常組織層NLよりも低いが、ビッカース硬度HV10での測定深さを超えると正常組織層NLの半価幅HWの範囲内であることを示している。これら金属部品AおよびBの組織図では、後述する黒層(軟化層)BLが表面に存在していた。この黒層BLの影響により、ビッカース硬度HV10により評価不可能な表層の研削焼けは、半価幅HWが正常組織層NLよりも低いことで示されている。これにより、半価幅HWを用いるとビッカース硬度HV10での測定深さ以内での評価が可能であることを示している。
図8に示すように、金属部品Cについては、表層の半価幅HWよりも表層から数μm下の位置の半価幅HWが一旦低くなり、ビッカース硬度HV10での測定深さを超えると正常範囲に向って増加することが確認された。図9は、金属部品Bについての、光学顕微鏡により撮影した組織図である。また、図10は、金属部品Cについての、光学顕微鏡により撮影した組織図であり、研削加工熱の影響を受けていない正常組織層NLの上に、研削加工熱の影響を受けた黒層(軟化層)BLおよび白層(再硬化層)WLが順次形成されている。
図8の半価幅HWの値は、図10の組織図の白層WLと黒層BLとを包括した値である。この点において、半価幅HWにより白層WLの存在が捉えられており、ビッカース硬度HV10により評価不可能な表層(ビッカース硬度HV10での測定深さより浅い部分)の研削焼けは、半価幅HWを用いると測定可能であることを示している。ここで、白層WLは、研削加工熱の影響で組織が変化しており、研削加工熱の影響を受けていない正常組織層NLよりもビッカース硬度Hvが高い再硬化層であるが、黒層BLは、研削加工熱の影響で組織が変化しており、研削加工熱の影響を受けていない正常組織層NLよりもビッカース硬度Hvが低い軟化層である。
次に、本発明者は、研削代断面積が少ない領域においてビッカース硬度Hvにおいて正常品と同じ値を示した研削焼け有りの金属部品14(異常品)の外周面の4箇所について、前述の半価幅測定条件と同じ条件ではあるが、0°、18.4°、26.6°、33.2°、39.2°、45.0°の6種類を角度Ψ毎に半価幅HWの測定を行ない、図5と同様の二次元座標にその測定値をプロットすると、図11に示すように、角度Ψによっても半価幅HWの値は上下することが判明した。このため、本発明者は、各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavで研削焼けを評価することで、均一に研削加工熱が加えられている訳ではない金属部品14の複数の結晶面の情報から研削焼けを評価することができる点を見出した。
図6~図8から明らかなように、金属部品14では、研削加工熱の影響を強く受けるほど白層(再硬化層)WLが形成されて半価幅HWが正常品よりも高く検出され、研削加工熱の影響を弱いほど黒層(軟化層)BLが形成されて半価幅HWが正常品よりも低く検出される。この点において、研削焼けの判定には、研削加工された浸炭焼入鋼SCr420について、例えば、後述の図15に示す場合と同様に求められたTHmax1、THmax2等の上限値THmax以下、且つ、THmin1、THmin2等の下限値THmin以上の正常判定領域を有するように設定された研削焼け判定閾値THが用いられる。ここで、研削焼け判定閾値THの中央値THCは、図5に示すように半価幅HWの平均値である半価幅平均値HWavと同じ値である6.75に設定されている。
上限値THmaxは、研削焼けの影響を受けて生じた白層WLの存在により半価幅HWが正常品よりも高い値を示す不合格品を除去するための値であり、下限値THminは、研削焼けの影響を受けて生じた黒層BLの存在により半価幅HWが正常品よりも低い値を示す不合格品を除去するための値である。
図5から図8に示す、上限値THmax1は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの+0.5°(+7.40%)に設定され、下限値THmin1は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの-0.5°(-7.40%)に設定されている。この±0.5°の絶対値は、図5に示す異常品の最大値と、半価幅平均値HWavである中央値THCとの差に基づいている。
また、図5から図8に示す、上限値THmax2は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの+0.25°(+3.70%)に設定され、下限値THmin2は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの-0.25°(-3.70%)に設定されている。この±0.25°の絶対値は、図7及び図9に示す金属部品Bにおける黒層BL(深さ約20μm)を削除した時の半価幅HWの値と、半価幅平均値HWavである中央値THCとの差に基づいている。
さらに、本発明者は、以下に示す研削条件で平面研削された焼入鋼(SCM440)製の金属部品14について、深さと半価幅HWとの関係を明らかとする試験を、以下の測定条件を用いて行なった。
(平面研削条件)
機械 :平面研削盤
研削方式 :レシプロ研削(ダウンカット)
研削能率 :3.3mm/mm・s
ドレス方式 :トラバース(ダウンカット)
ドレッサ :SD 40 Q 75 M(ロータリータイプ)
ドレッサ周速度 :28m/s
ドレッサ切込量 :2.5μm/pass
ドレスリード :0.1mm/r.o.w
ドレッサ周速度比 :0.7
砥石(ホイールスペック) :CBN 80 L 200 V
砥石周速度 :40m/s
左右テーブル速度 :4m/min
被削材 :SCM440(焼入鋼)
(半価幅測定条件)
測定部位 :表層0μm
回折X線の測定範囲 :140°~170°
2θ :156.40°(α-Fe(211))
ステップ :0.20°
角度Ψ :0°、18.4°、26.6°、33.2°、
39.2°、45.0°
管球 :Cr
特性X線 :Kα線
図12および図13は、電解研磨によって金属部品14の表面から測定面まで除去された深さ(μm)を示す横軸とその表層の深さ毎に6種類の角度Ψでそれぞれ得られた半価幅HW(°)を示す縦軸との二次元座標において、6種類の角度Ψ毎に得られた半価幅HWの測定値をそれぞれ示している。図12は、深さ0μmから100μmまでの半価幅HWの測定値を示しており、6種類の角度Ψに影響されたばらつきを示している。図13は、深さ100μmから600μmまでの深さの半価幅HWの測定値を示しており、図12に比較して6種類の角度Ψに応じたばらつきが小さい。すなわち、深さが100μmまでは、角度Ψの影響を受けて半価幅HWが異なることを示している。
図14は、電解研磨によって金属部品14の表面から除去された表層の深さ(μm)を示す横軸とその表層の深さ毎に6種類の角度Ψ毎に得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWav(°)を示す縦軸との二次元座標において、6種類の角度Ψ毎に得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWav(°)が示されている。図15に示すように、研削加工された焼入鋼SCM440から成る金属部品14についての研削焼け判定閾値THの中央値THCは、研削焼けが正常であると評価された金属部品14の表面に、6種類の角度Ψを変化させて入射X線を照射し、回折X線検出制御部34と同様に金属部品14の表面16において回折された回折X線を検出し、半価幅平均値算出部36と同様にして角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HWの平均値である半価幅平均値HWavと同じ値である4.18に設定されている。
上限値THmax1或いは上限値THmax2は、研削焼けの影響を受けて生じた白層WLの存在により半価幅HWが正常品よりも高い値を示す不合格品を除去するための値であり、下限値THmin1或いは下限値THmin2は、研削焼けの影響を受けて生じた黒層BLの存在により半価幅HWが正常品よりも低い値を示す不合格品を除去するための値である。たとえば、上限値THmax1及び下限値THmin1は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの+0.5°(+11.96%)値或いは-0.5°(-11.96%)値に設定される。この±0.5°の絶対値は、半価幅平均値HWavと異常品の最大値との差に相当する。上限値THmax2及び下限値THmin2は、前記各角度Ψから得られた半価幅HWを平均した半価幅平均値HWavである中央値THCの+0.25°(+5.98%)値或いは-0.25°(-5.98%)値に設定される。この±0.25°の絶対値は、半価幅平均値HWavと軟化層である黒層BLを削除した時の半価幅HWとの差に相当する。
図16、図17、図18は、上記の円筒研削条件と同じ研削条件により浸炭焼入鋼(SCr420)製の金属部品14を研削した場合における、砥石単位円周長さ当たりの研削代断面積(mm/mm)と、砥石軸の消費電力値(kW)、砥石摩耗量(μm)、および研削面の面粗度(最大高さ粗さ)Rz(μm)(JIS B 0601:2013)との関係を示している。図16、図17、図18において、●は金属部品14が例えば上述の砥石2を用いることで研削焼けが生成される研削条件で研削された場合、○印は金属部品14が例えば上述の砥石1を用いることで研削焼けが生成される研削条件で研削された場合である。
図16、図17、図18に示すように、砥石軸の消費電力値(kW)、砥石摩耗量(μm)、面粗度Rz(μm)のいずれにおいても、研削焼け無し品に比較して、研削焼け有り品が上回ることを示している。このような研削焼け無し品を得るように、研削砥石の開発、研削砥石の選択、研削条件の選択を行なうために、本実施例の研削焼け評価装置10、および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法を用いることは、工業的に重要な意味がある。
上述のように、本実施例の研削焼け評価装置10および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法によれば、金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1とが成す角度Ψを変化させて、入射X線を金属部品14の表面16に照射するX線照射制御部32或いはX線照射工程S1と、角度Ψ毎に、金属部品14の表面16において回折された回折X線の強度プロファイルを検出する回折X線検出制御部34或いは回折X線検出工程S2と、回折X線検出工程S2においてそれぞれ検出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅HWの平均値HWavを算出する半価幅平均値算出部36或いは半価幅平均値算出工程S3と、半価幅HWの平均値HWavと予め設定された研削焼け判定閾値THとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けを評価する研削焼け評価部38或いは研削焼け評価工程S4と、を含む。このように、研削焼け評価部38或いは研削焼け評価工程S4において、半価幅平均値算出部36或いは半価幅平均値算出工程S3により算出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HWの平均値HWavと、予め設定された研削焼け判定閾値THとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けが評価されるので、研削加工された金属部品14の表面に発生する研削焼けを正確に評価することができる。
また、本実施例の研削焼け評価装置10、および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法によれば、研削焼け判定閾値THは、上限値THmax以下且つ下限値THmin以上の正常判定領域を有するように設定されたものであることから、半価幅HWの平均値HWavが研削焼け判定閾値THの上限値THmaxを上まわる不良品および研削焼け判定閾値THの下限値THminを下まわる不良品を判定することができるので、研削加工された金属部品14の表面16に発生する研削焼けを正確に評価することができる。
また、本実施例の研削焼け評価装置10、および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法によれば、角度Ψは0°以上45°以下の範囲内の複数の角度に変化させられるので、X線照射工程S1および回折X線検出工程S2を行なうための回折X線検出装置12が小型となる。
また、本実施例の研削焼け評価装置10、および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法によれば、研削焼け判定閾値THの中央値THCは、研削加工された金属部品14のうち、研削焼けが正常であると評価された金属部品14の表面に、前記X線照射工程S1と同様に金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1とが成す角度Ψを変化させて入射X線を照射し、回折X線検出工程S2と同様に金属部品14の表面16において回折された回折X線を検出し、半価幅平均値算出工程S3と同様にしてそれぞれ検出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HWの平均値HWavを算出し、角度Ψ毎の半価幅の平均値HWavに基づいて設定した値である。このような研削焼け判定閾値THと角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅の平均値HWavとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けを評価するので、研削加工された金属部品14の表面16に発生する研削焼けを正確に評価することができる。
また、本実施例の研削焼け評価装置10、および研削焼け評価装置10により実施される研削焼け評価方法によれば、研削焼け判定閾値THの中央値THCは、研削加工された金属部品14の表面を研削加工による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、その金属部品14の電解研磨により研磨された表面に、X線照射工程S1と同様に金属部品14への入射X線の入射光軸Lx1と金属部品14の表面16の法線z1とが成す角度Ψを変化させて入射X線を照射し、回折X線検出工程S2と同様に金属部品14の表面16において回折された回折X線を検出し、半価幅平均値算出工程S3と同様にしてそれぞれ検出された角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HWの平均値HWavを算出し、角度Ψ毎の半価幅HWの平均値HWavに基づいて設定した値である。このような研削焼け判定閾値THと角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルの半価幅HWの平均値HWavとの比較に基づいて金属部品14の研削焼けを評価するので、研削加工された金属部品14の表面16に発生する研削焼けを正確に評価することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、半価幅平均値HWavを算出するための6種類の角度Ψが用いられていたが、5種類以下或いは7種類以上の複数種類の角度Ψであってもよい。
また、前述の実施例において、研削焼け判定閾値THの中央値THCは、角度Ψ毎の半価幅HWの平均値HWavと同じ値であったが、異なる値であってもよい。例えば、研削焼け判定閾値THの中央値THCは、平均値HWavより0.1°大きい値であってもよく、その場合の正常判定領域は、例えば、平均値HWavを基準として-0.4°から+0.6°までの幅を有する。
また、前述の実施例において、金属部品14は、浸炭焼入れされたクロム鋼SCr420、或いは焼入れされたクロムモリブデン鋼SCM440であったが、他の種類の焼入鋼であっても良い。要するに、焼き入れ可能な材料から成る部品であればよい。
また、前述の実施例において、金属部品14は、たとえば円柱状部品のように円筒研削される外周面を備える形状の部品や、たとえば板状部品のように平面研削される面を備える形状の部品であったが、他の形状であっても差し支えない。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:研削焼け評価装置
12:回折X線検出装置
14:金属部品
16:表面
32:X線照射制御部
34:回折X線検出制御部
36:半価幅平均値算出部
38:研削焼け評価部
Lx1:入射光軸
z1:照射面法線(金属部品の表面の法線)
TH:研削焼け判定閾値
THmax,THmax1,THmax2:上限値
THmin,THmin1,THmin2:下限値
HW:半価幅
HWav:半価幅平均値(半価幅の平均値)

Claims (10)

  1. 研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けを評価する金属部品の研削焼け評価装置であって、
    前記金属部品への入射X線の入射光軸と前記金属部品の表面の法線とが成す角度Ψを変化させて、入射X線を前記金属部品の表面に照射するX線照射制御部と、
    前記角度Ψ毎に、前記金属部品の表面において回折された回折X線の強度プロファイルを検出する回折X線検出制御部と、
    前記回折X線検出制御部においてそれぞれ検出された前記角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅の平均値を算出する半価幅平均値算出部と、
    前記半価幅の平均値と、研削加工熱の影響を受けた再硬化層である白層よりも半価幅が低く且つ研削加工熱の影響を受けた軟化層である黒層よりも半価幅が高い正常判定領域を有するように予め設定された研削焼け判定閾値との比較に基づいて前記金属部品の研削焼けを評価する研削焼け評価部と、を含む
    ことを特徴とする金属部品の研削焼け評価装置。
  2. 前記研削焼け判定閾値は、前記白層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも高い値を示す不合格品を除去するための上限値以下且つ前記黒層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも低い値を示す不合格品を除去するための下限値以上の前記正常判定領域を有するように設定されている
    ことを特徴とする請求項1の金属部品の研削焼け評価装置。
  3. 前記X線照射制御部は、入射X線を前記金属部品の表面に、前記角度Ψを0°~45°の範囲内の複数の角度に変化させて照射する
    ことを特徴とする請求項1又は2の金属部品の研削焼け評価装置。
  4. 前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品のうち、研削焼けが正常であると評価された前記金属部品の表面に、前記X線照射制御部と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出制御部と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出部と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の金属部品の研削焼け評価装置。
  5. 前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、前記金属部品の前記電解研磨により研磨された表面に、前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出制御部と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出部と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1の金属部品の研削焼け評価装置。
  6. 研削加工された金属部品の表面に発生する研削焼けを評価する金属部品の研削焼け評価方法であって、
    前記金属部品への入射X線の入射光軸と前記金属部品の表面の法線とが成す角度Ψを変化させて、入射X線を前記金属部品の表面に照射するX線照射工程と、
    前記角度Ψ毎に、前記金属部品の表面において回折された回折X線の強度プロファイルを検出する回折X線検出工程と、
    前記回折X線検出工程においてそれぞれ検出された前記角度Ψ毎の回折X線の強度プロファイルから得た半価幅の平均値を算出する半価幅平均値算出工程と、
    前記半価幅の平均値と、研削加工熱の影響を受けた再硬化層である白層よりも半価幅が低く且つ研削加工熱の影響を受けた軟化層である黒層よりも半価幅が高い正常判定領域を有するように予め設定された研削焼け判定閾値との比較に基づいて前記金属部品の研削焼けを評価する研削焼け評価工程と、を含む
    ことを特徴とする金属部品の研削焼け評価方法。
  7. 前記研削焼け判定閾値は、前記白層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも高い値を示す不合格品を除去するための上限値以下且つ前記黒層の存在により半価幅が前記正常判定領域よりも低い値を示す不合格品を除去するための下限値以上の前記正常判定領域を有するように設定されている
    ことを特徴とする請求項6の金属部品の研削焼け評価方法。
  8. 前記X線照射工程は、入射X線を前記金属部品の表面に、前記角度Ψを0°~45°の範囲内の複数の角度に変化させて照射する
    ことを特徴とする請求項6又は7の金属部品の研削焼け評価方法。
  9. 前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品のうち、研削焼けが正常であると評価された前記金属部品の表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である
    ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1の金属部品の研削焼け評価方法。
  10. 前記研削焼け判定閾値は、前記研削加工された前記金属部品の表面を研削加工熱による影響のない深さまで電解研磨により研磨し、前記金属部品の前記電解研磨により研磨された表面に、前記X線照射工程と同様に前記角度Ψを変化させて入射X線を照射し、前記回折X線検出工程と同様に前記金属部品の表面において回折された回折X線を検出し、前記半価幅平均値算出工程と同様にして回折X線の強度プロファイルから算出した前記半価幅の平均値に基づいて設定した値である
    ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1の金属部品の研削焼け評価方法。
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