JP7539844B2 - 変性ビニルアルコール系重合体を含有する延伸フィルムおよび積層体並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献3には、2-メチレンプロパン-1,3-ジオールを0.1~2モル%とエチレン単位1~4モル%を含むポリビニルアルコール系樹脂を、一軸延伸させてなるフィルムおよび製造方法が開示されており、延伸性に優れることが記載されているが、当該フィルムは光学フィルム用途を想定しており、バリア性に関しては何ら記載されていない。
当該変性ビニルアルコール系重合体は、下記式(I)で表され、全単量体単位に対する各単量体単位の含有率a(モル%)、b(モル%)及びc(モル%)が下記式(1)~(3)を満足する、延伸フィルム。
4≦a≦20 (1)
0.8≦c≦20 (2)
[100-(a+c)]×0.9≦b≦[100-(a+c)] (3)
[3]: 前記ポリビニルアルコール系重合体のけん化度が80%以上である、[1]または[2]に記載の延伸フィルム。
[4]: 膜厚が0.1μm~50μmである、[1]~[3]に記載の延伸フィルム。
[5]: 延伸倍率が2~10倍である、[1]~[4]のいずれかに記載の延伸フィルム。
[6]: [1]~[5]に記載の延伸フィルムと、基材とを含む積層体。
[7]: 前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンのいずれかで構成されるポリマー基材である、[6]に記載の積層体。
[8]: 前記基材が延伸された基材である、[6]または[7]に記載の積層体。
[10]: 前記フィルムを製造する工程が、前記変性ビニルアルコール系重合体を含む塗工液を塗工してフィルムを得る工程を含む、[9]に記載の延伸フィルムの製造方法。
[11]: 前記延伸する工程が、80~200℃で延伸する工程を含む、[9]または[10]に記載の延伸フィルムの製造方法。
[12]: 前記変性ビニルアルコール系重合体を含有する無延伸のフィルムを製造する工程と、当該無延伸フィルムと基材を積層させて多層構造体を得る工程と、当該多層構造体を延伸する工程を含む、[8]に記載の積層体の製造方法。
4≦a≦20 (1)
0.8≦c≦20 (2)
[100-(a+c)]×0.9≦b≦[100-(a+c)] (3)
[100-(a+c)]×0.95≦b≦[100-(a+c)] (3’)
[100-(a+c)]×0.98≦b≦[100-(a+c)] (3”)
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (5)
ここで、「X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数」は、水酸基のモル数を示し、「X、Y及びZの合計モル数」は、水酸基とエステル基の合計モル数を示す。
他の重合体としては、例えばY及びZを含む単量体単位を含まないポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。添加剤としては例えば無機塩、有機塩、架橋剤、溶媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、防黴剤、防腐剤などが挙げられる。これらを2種以上併用してもよい。
また、延伸を行った後に、熱固定を行うことが好ましい。熱固定とは延伸直後に延伸フィルムを所定時間加熱することである。熱固定温度は80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上であることが好ましい。一方、230℃以上になると融解する恐れがあるため220℃以下であることが好ましく、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは200℃以下、特に好ましくは190℃以下である。熱固定の時間は、特に制限はないが、10秒から10分程度である。熱固定は好適には空気中で行われる。
また、延伸原反として多層構造体を用いる場合、基材も同時に延伸できるため製造効率に優れる傾向があり、基材も延伸したい場合に適する。また、積層体に無延伸の層を用いたい場合は、多層構造体の延伸後にさらに別の無延伸の層を積層する工程を設けてもよい。
日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「LAMBDA 500」を用い、合成例で得られたポリマーA~Hの1H-NMRを、重水素化ジメチルスルホキシド中、80℃で測定し、当該重合体における各単量体単位の含有率a(モル%)、b(モル%)、c(モル%)を定量した。
東ソー株式会社製サイズ排除高速液体クロマトグラフィー装置「HLC-8320GPC」を用い、重合体の数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以下の通りである。
カラム:東ソー株式会社製HFIP系カラム「GMHHR-H(S)」2本直列接続
標準試料:ポリメチルメタクリレート
溶媒及び移動相:トリフルオロ酢酸ナトリウム-HFIP溶液(濃度20mM)
流量:0.2mL/min
温度:40℃
試料溶液濃度:0.1質量%(開口径0.45μmフィルターでろ過)
注入量:10μL
検出器:RI
重合体の数平均重合度Pnは以下の式により求めた。
Pn=Mn×100/(28×a+44×b+88×c)
重合体において、1H-NMRの測定結果から、下記式(1)に示すDSで定義されるけん化度を算出した。
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (1)
ここで、「X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数」は、変性ビニルアルコール系重合体中の水酸基のモル数を示し、「X、Y及びZの合計モル数」は、当該重合体中の水酸基とエステル基の合計モル数を示す。
<合成例1:ポリマーA>
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及び溶液フィード口を備えた5L加圧反応槽に酢酸ビニル1.2kg、メタノール1.4kg及び1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン(DAMP)0.024kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時のエチレン圧、重合時に使用するコモノマーの添加量等の重合条件、けん化時における酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように変更したこと以外は、ポリマーAと同様の方法により各種変性ビニルアルコール系重合体を製造した。また、各種変性ビニルアルコール系重合体の変性量、けん化度、数平均重合度を表1に示す。
無延伸フィルムを塗工する材料又は積層体製造時のポリマー基材として、以下の材料を用いた。
・厚み12μmのPETフィルム (東レ製 ルミラー #12 S-10)
・厚み100μmの無延伸プロピレンフィルム(CPP) (東洋紡製 パイレンP1111)
なお基材に対しては、KASUGA製AGL-B01Lを用いて、照射条件1200W・min/m2でコロナ処理を実施した上で使用した。
各実施例で得られた重合体からなるフィルム(実施例8では積層体)を、実施例に記載の特定の延伸温度で5分間予熱し、同じ温度で、延伸速度50mm/秒で一軸延伸を行い、0.5倍刻みで延伸を行った際の延伸切れが生じなかった最大の倍率を最大延伸倍率とした。
(3倍延伸性)
A・・・外観良好である
B・・・一部クラックがみられた
C・・・3倍延伸時に破断した
酸素透過量(OTR)を酸素ガスバリア性の指標とした。OTRの値が低いほど酸素ガスバリア性が高いと言える。OTRの値の単位は[cc.20μm/(m2・day・atm)]である。
延伸前のフィルム(実施例8では積層体)のOTR(X)と3倍延伸時に得られたフィルム(実施例8では積層体)のOTR(Y)は、いずれも当該フィルムを温度20℃,相対湿度90%の状態で7日間調湿した後、測定した。
具体的な測定は次の通り行った。酸素ガス透過量測定装置OX-TRAN 2/21(モコン社製)を用いて当該フィルムの酸素透過量(OTR)として値F1[cc/(m2・day・atm)]を得た。測定後、当該フィルムの膜厚T(μm)を、株式会社サンコウ電子研究所製の電磁式膜厚計SAMAC-PRоを用いて測定した。
その後下記式(1)を用いて20μm換算後のOTRの値A[cc.20μm/(m2・day・atm)]を求めた。
A=F1×T/20 (1)
以下の式(2)における各記号の意味は以下の通りである。
・多層フィルム全体のOTR実測値:F[cc/(m2・day・atm)]
・変性ビニルアルコール系重合体層のOTR:F1[cc/(m2・day・atm)]
・ポリプロピレンフィルムのOTR実測値:F2[cc/(m2・day・atm)]
(1/F)=(1/F1)+(1/F2) (2)
重合体としてポリマーAを用いた。
ポリマーAを、固形分濃度10重量%になるように、水とイソプロピルアルコールを9対1の重量比で混合した混合溶媒に溶解させ、塗工液を得た。得られた塗工液をPETフィルム上に可変式アプリケーター(YOSHIMITSU製)にて塗工を行い、乾燥温度60℃で1時間乾燥させ、PETフィルムから剥離させることで、延伸原反となる、厚み50μmの無延伸の単層フィルムを得た。
得られた単層フィルムのOTRを測定し、延伸前のフィルムのOTR(X)として、85[cc・20μm/(m2・day・atm)]の値を得た。
また、得られた無延伸の単層フィルムをダンベル状(2cm×10cm)にカットし、チャック間距離500mmに固定し、手動延伸治具装置にセットして、熱風乾燥機内にて120℃で5分間熱処理をし、同じ120℃の温度で、延伸速度50mm/秒でフィルムの長手方向に一軸延伸を行った。その結果、5倍以上延伸しても延伸切れは発生しなかった。
また、無延伸のフィルムを10cm×10cmのフィルムにカットし、延伸装置にセットして、熱風乾燥機内にて120℃で5分間熱処理をし、同じ120℃の温度で、延伸速度50mm/秒、延伸倍率3倍で一軸延伸を行い、得られた延伸フィルムのOTRを評価した。3倍延伸時に得られたフィルムのOTR(Y)として、41[cc・20μm/(m2・day・atm)]の値を得た。
用いる重合体をポリマーBに変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーCに変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーCに変更し、延伸温度を150℃に変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーDに変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーEに変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーCに変更し、延伸時の温度を90℃に変更した以外は、実施例1に記載した条件にてフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
重合体としてポリマーAを用いた。
ポリマーAを、固形分濃度10重量%になるように、水とイソプロピルアルコールを9対1の重量比で混合した混合溶媒に溶解させ、塗工液を得た。得られた塗工液を、コロナ照射を行った無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)上に可変式アプリケーター(YOSHIMITSU製)にて塗工を行い、乾燥温度60℃で1時間乾燥させて、延伸原反となる、厚み150μmの多層構造体(ポリマーAからなる層の厚みは50μm)を得た。得られた多層構造体のOTRを測定したところ、OTR(X)は85[cc・20μm/(m2・day・atm)]であった。次に、得られた多層構造体をダンベル状(2×10cm)にカットし、チャック間距離500mmに固定し、手動延伸冶具装置にセットして、熱風乾燥機内にて120℃で5分間熱処理をし、同じ120℃の温度で、延伸速度50mm/秒でフィルムの長手方向に一軸延伸を行った。その結果、5倍以上延伸しても延伸切れは発生しなかった。
また、無延伸の多層構造体を10cm×10cmのフィルムにカットし、延伸装置にセットして、熱風乾燥機内にて120℃で5分間熱処理をし、同じ120℃の温度で、延伸速度50mm/秒、延伸倍率3倍で一軸延伸を行い、得られた積層体を基にOTRを評価した。3倍延伸時に得られた積層体において、変性ビニルアルコール系重合体からなる層のOTR(Y)は35[cc・20μm/(m2・day・atm)]を示した。
用いる重合体をポリマーFに変更した以外は、実施例1で記載した方法でフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーFに変更し、延伸時の温度を150℃に変更した以外は、実施例1で記載した方法でフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーGに変更した以外は実施例1に記載した方法でフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーHに変更した以外は、実施例1で記載した方法でフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
用いる重合体をポリマーIに変更した以外は、実施例1で記載した方法でフィルム作製及び延伸試験を実施した。結果を表2に示した。
一方、DAMP由来の単位の含有率が0.8モル%未満である(比較例1~3)場合、延伸時にクラックや延伸切れが発生し、延伸時の酸素ガスバリア性は測定に適さなかった。仮に測定したとしても延伸後の酸素ガスバリア性が十分ではないと判断できる。
比較例4および5の場合、延伸性は比較的良好であるが、エチレン単位が4モル%未満であるため、延伸前の酸素ガスバリア性が悪く、延伸後の酸素ガスバリア性も十分な値が得られなかった。
Claims (11)
- 前記ポリビニルアルコール系重合体の重合度が300以上1400以下である、請求項1に記載の延伸フィルム。
- 前記ポリビニルアルコール系重合体のけん化度が80%以上である、請求項1または2に記載の延伸フィルム。
- 膜厚が0.1μm~50μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の延伸フィルム。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の延伸フィルムと、基材とを含む積層体。
- 前記基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンのいずれかで構成されるポリマー基材である、請求項5に記載の積層体。
- 前記基材が延伸された基材である、請求項5または6に記載の積層体。
- フィルムを製造する工程と、延伸する工程を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記フィルムを製造する工程が、前記変性ビニルアルコール系重合体を含む塗工液を塗工してフィルムを得る工程を含む、請求項8に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記延伸する工程が、80~200℃で延伸する工程を含む、請求項8または9に記載の延伸フィルムの製造方法。
- 前記変性ビニルアルコール系重合体を含有する無延伸のフィルムを製造する工程と、当該無延伸フィルムと基材を積層させて多層構造体を得る工程と、当該多層構造体を延伸する工程を含む、請求項7に記載の積層体の製造方法。
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