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JP7548796B2 - 熱電材料および熱電モジュール - Google Patents
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Description

本開示は、熱電材料および熱電モジュールに関する。
従来、熱エネルギーと電気エネルギーとを変換可能な熱電モジュールが知られている。熱電モジュールは、典型的には、p型およびn型の2種類の熱電材料を用いて構成されている。例えば特許文献1には、熱電材料として、テルル化ビスマス(BiTe)薄膜が開示されている。しかし、BiTeに含まれるTeは、毒性が高く、高価である。また、従来知られている熱電材料も、鉛(Pb)、セレン(Se)等の毒性が高く、高価な元素を含む場合があり、特に、500℃以下で高い熱電特性を有する熱電材料は、上記の元素を含むことが多い。
非特許文献1には、CZTSを熱電材料として用いることが記載されている。CZTSの構成元素(Cu、Zn、Sn、S)は比較的毒性は低いものの、CZTSは熱電特性が低い。また、特許文献2には、CZTS薄膜の製造方法が開示されている。
特開2016-143758号公報 特開2013-512311号公報
上述したように、CZTSの構成元素(Cu、Zn、Sn、S)は比較的毒性は低いものの、従来のCZTS(典型的にはCuZnSnS)は熱電特性が低い。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、良好な熱電特性を有するCZTS系の熱電材料を提供することを主目的とする。
本開示においては、Cu、Zn、SnおよびSを含有するCZTS結晶相を備え、上記CZTS結晶相はCu空孔を有する、熱電材料を提供する。
本開示によれば、CZTS結晶相がCu空孔を有することから、良好な熱電特性を有する熱電材料を得ることができる。
上記開示においては、上記熱電材料は、アルカリ金属がドープされていてもよい。
上記開示においては、上記アルカリ金属が、Li、NaおよびKの少なくとも一種を有していてもよい。
上記開示においては、上記アルカリ金属が、少なくともNaを有していてもよい。
上記開示においては、上記熱電材料が、(Cu1-αZnSnSで表される組成(αは0.01≦α≦0.10を満たし、Aはアルカリ金属であり、Xは0≦X≦0.5を満たす)を有していてもよい。
また、本開示においては、上述した熱電材料を有する素子を備える、熱電モジュールを提供する。
本開示によれば、上述した熱電材料を有する素子を備えることから、良好な熱電特性を有する熱電モジュールを得ることができる。
上記開示においては、上記素子における上記CZTS結晶相のa軸方向を、電流が流れる方向と一致するように配向させてもよい。
本開示における熱電材料は、良好な熱電特性を有するという効果を奏する。
本開示におけるCZTS結晶相の結晶構造を示す模式図である。 本開示におけるCZTS結晶相の結晶構造を示す模式図である。 本開示における熱電モジュールを例示する概略断面図である。 比較例1における多結晶の合成方法を示す概略断面図である。 比較例1における多結晶の熱処理条件を示すグラフである。 比較例1における単結晶の合成方法を示す概略断面図である。 実施例1~3および比較例1の結果を示すグラフである。
以下、本開示における熱電材料および熱電モジュールについて、詳細に説明する。
A.熱電材料
本開示における熱電材料は、Cu、Zn、SnおよびSを含有するCZTS結晶相を備え、上記CZTS結晶相はCu空孔を有する。図1は、本開示におけるCZTS結晶相の結晶構造を示す模式図である。図1に示すように、本開示における熱電材料は、Cu、Zn、SnおよびSを含有するCZTS結晶相を備える。CZTS結晶相において、Cu-Sn、Cu-Zn、Cu-SnおよびCu-Znのカチオン層は、c軸に沿って順に配置されている。本開示におけるCZTS結晶相は、通常、ケステライト構造を有する。また、図1に示すように、CZTS結晶相はCu空孔Vを有する。Cu空孔とは、理想的なCZTS単結晶のCu原子があるべきサイトに、Cu原子が存在しないサイトをいう。
本開示によれば、CZTS結晶相がCu空孔を有することから、良好な熱電特性を有する熱電材料を得ることができる。ここで、上述したように、CZTSの構成元素(Cu、Zn、Sn、S)は比較的毒性は低い。すなわち、本開示における熱電材料は、従来知られている熱電材料の構成元素(例えばTe、Pb、Se)に比べて、毒性が低く、安価に入手できるという利点がある。
一方、従来のCuZnSnSは、熱電特性が低く、例えば700KでZT値は0.1程度である。これに対して、本開示における熱電材料は、後述する実施例1~3に示すように、例えば700KでZT値は0.5以上であり、熱電特性が、従来のCuZnSnSに比べて大幅に向上している。熱電特性が向上したメカニズムは完全には明らかではないが、CZTS結晶相にCu空孔を付与することで、キャリア濃度増加によって電気伝導率が増加、または、電気伝導率向上によってパワーファクター(ゼーベック係数の2乗×伝導率)が増加したためであると推測される。
本開示における熱電材料は、Cu、Zn、SnおよびSを含有するCZTS結晶相を備える。熱電材料は、通常、CZTS結晶相を主相として備え、特にCZTS結晶相の単相材料であることが好ましい。熱電材料がCZTS結晶相を備えることは、XRD測定およびラマン分光測定において、正方晶のケステライト相のピークが観察されることにより、確認できる。
本開示におけるCZTS結晶相はCu空孔を有する。CZTS結晶相におけるCu空孔の割合は、例えば、1%以上であり、3%以上であってもよく、5%以上であってもよい。Cu空孔の割合が少なすぎると、熱電特性の向上効果が得られない可能性がある。CZTS結晶相におけるCu空孔の割合とは、理想的なCZTS単結晶における全Cuサイトに対するCu空孔の割合をいう。一方、CZTS結晶相におけるにおけるCu空孔の割合は、例えば10%以下であり、8%以下であってもよい。Cu空孔の割合が多すぎると、CZTS結晶相の結晶性が低下する可能性がある。Cu空孔の割合は、例えばSEM-EDX(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法)により測定できる。
本開示における熱電材料は、アルカリ金属がドープされていることが好ましい。アルカリ金属はイオン半径が小さいため、熱電特性に悪影響を与えない歪みをCZTS結晶相に導入でき、熱電特性をさらに向上させることができる。例えば図2に示すように、CZTS結晶相は、Cu空孔Vと、ドープされたアルカリ金属Aとを有することが好ましい。アルカリ金属としては、例えば、Li、K、Naが挙げられる。熱電材料は、1種のアルカリ金属がドープされていてもよく、2種以上のアルカリ金属がドープされていてもよい。アルカリ金属は、少なくともNaを有することが好ましい。熱電特性を向上させることができるからである。また、ドープされたアルカリ金属の少なくとも一部は、Cu空孔に位置していてもよい。アルカリ金属のドープ濃度は、例えば0.01mol%以上であり、0.05mol%以上であってもよく、0.1mol%以上であってもよい。一方、アルカリ金属のドープ濃度は、例えば50mol%以下であり、30mol%以下であってもよく、10mol%以下であってもよい。アルカリ金属のドープ濃度は、例えば、ICP-AES(誘導結合高周波プラズマ発光分光分析)により測定できる。
熱電材料の組成は、特に限定されないが、例えば、(Cu1-αZnSnSが挙げられる。αは、例えば0.01以上であり、0.03以上であってもよく、0.05以上であってもよい。αが小さすぎると、熱電特性が十分に向上しない可能性がある。一方、αは、例えば0.10以下であり、0.08以下であってもよい。αが大きすぎると、CZTS結晶相の結晶性が低下する可能性がある。Aはアルカリ金属である。アルカリ金属は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。アルカリ金属については上述した通りである。Xは、0であってもよく、0より大きくてもよい。後者の場合、熱電特性に悪影響を与えない歪みをCZTS結晶相に導入でき、熱電特性をさらに向上させることができる。Xは、例えば0.0001以上であり、0.0005以上であってもよく、0.001以上であってもよい。一方、Xは、例えば0.5以下であり、0.3以下であってもよく、0.1以下であってもよい。また、Xは、X<2αを満たしてもよい。すなわち、アルカリ金属のドープ量は、Cu空孔量よりも少なくてもよい。
本開示における熱電材料は、p型材料であってもよく、n型材料であってもよい。また、熱電材料の形状は特に限定されない。また、熱電材料は、単結晶材料であることが好ましい。良好な熱電特性が得られるからである。また、熱電材料のZT値は、700Kにおいて、例えば0.4以上であり、0.6以上であってもよく、0.8以上であってもよい。ZT値の算出方法については、後述する実施例において詳細に説明する。
本開示における熱電材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、Cu、Zn、SnおよびSを含有する原料に熱処理を行い、CZTS結晶相を有する多結晶材料を得る工程と、移動ヒーター法(Travelling Heater Method, THM)により、上記多結晶材料から、CZTS結晶相を有する単結晶材料を得る工程と、を有する製造方法が挙げられる。
B.熱電モジュール
本開示における熱電モジュールは、上述した熱電材料を有する素子を備える。図3は、本開示における熱電モジュールを例示する概略断面図である。図3に示す熱電モジュール10は、第1基板1および第1電極2を有する第1電極基板3と、第2基板4および第2電極5を有する第2電極基板6と、対向する第1電極2および第2電極5の間に配置された、p型素子7およびn型素子8と、を備える。
第2電極基板6は、複数の第2電極5を有し、各々の第2電極5は、一対のp型素子7およびn型素子8と電気的に接続されている。さらに、隣り合う2つの第2電極5において、一方の第2電極5におけるp型素子7と、他方の第2電極5におけるn型素子8とが、同一の第1電極2において電気的に接続されている。図3に示す熱電モジュール10は、π型構造を有するpn素子対が直列接続された熱電モジュールに該当する。本開示においては、p型素子7およびn型素子8の少なくとも一方が、上記「A.熱電素子」に記載した熱電材料を有する。
本開示によれば、上述した熱電材料を有する素子を備えることから、良好な熱電特性を有する熱電モジュールを得ることができる。
上記素子は、例えば、薄膜状の熱電材料である。また、上記素子におけるCZTS結晶相のa軸方向を、電流が流れる方向と一致するように配向させることが好ましい。より良好な熱電特性が得られるからである。後述する実施例に示すように、a軸方向におけるZT値は、c軸方向におけるZT値よりも大きくなる傾向がある。電流が流れる方向とは、p型素子では高温側の電極基板から低温側の電極基板に向かう方向をいい、n型素子では低温側の電極基板から高温側の電極基板に向かう方向をいう。
熱電モジュールは、p型素子のみを有していてもよく、n型素子のみを有していてもよいが、p型素子およびn型素子の両方を有することが好ましい。より大きな電位差が得られるからである。また、pn素子対は、上述したπ型構造を有していてもよく、U型構造を有していてもよい。
熱電モジュールは、通常、基板と、上記基板上に配置された電極とを有する電極基板を有する。電極基板は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。基板としては、例えば、窒化アルミニウム等のセラミックスが挙げられる。一方、電極としては、例えば銅が挙げられる。
本開示における熱電モジュールは、熱電発電モジュールであることが好ましい。例えば、廃熱から電力エネルギーを直接回収できるからである。また、熱電モジュールは、例えば、車の排熱、工場の排熱、地熱、体温等の熱エネルギーを電気エネルギーに変換するために用いられるモジュールであることが好ましい。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[比較例1]
CuZnSnSの単結晶を合成した。まず、合成用の石英管を洗浄し、カーボンコートを施した。次に、S以外の原料として、Cu、ZnおよびSn(いずれも高純度材料)を準備し、塩酸(HCl)で洗浄した。次に、図4(a)に示すように、石英管にCu、Zn、SnおよびSを添加し、真空封入した。この際、各原料の添加量は、Cu:Zn:Sn:S=2:1:1:4のモル比とした。
その後、図4(b)に示すように、真空封入した石英管を電気炉に入れ、熱処理を行った。熱処理条件は、図5に示すように、室温から650℃まで4時間かけて昇温し、650℃で20時間保持し、650℃から1100℃まで6時間かけて昇温し、1100℃で20時間保持し、1100℃から室温まで10時間かけて冷却した。これにより、図4(c)に示すように、CuZnSnSの多結晶を得た。
その後、図6(a)に示すように、石英管の底部に、溶媒金属であるSnを配置し、その上にCuZnSnSの多結晶を配置し、真空封入した。真空封入した石英管を電気炉に入れ、ヒーターにより石英管の先端部分を850℃まで加熱した。一方、電気炉内の冷却部の温度勾配を30~40℃/cmに設定し、図6(b)に示すように、4~5mm/dayの速度で石英管を移動させた。所定の日数が経過したあとに、電気炉内の温度を室温まで冷却し、熱電材料(CuZnSnSの単結晶)を得た。
[実施例1]
Cu1.9ZnSnSの単結晶(Cu空孔を有する単結晶)を合成した。具体的には、各原料の添加量を、Cu:Zn:Sn:S=1.9:1:1:4のモル比に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、熱電材料(Cu1.9ZnSnSの単結晶)を得た。
[実施例2]
NaをドープしたCu1.9ZnSnSの単結晶(Cu空孔を有する単結晶)を合成した。具体的には、各原料の添加量を、Cu:Zn:Sn:S=1.9:1:1:4のモル比に変更し、さらにドーパントとしてNaSを用い、Naドープ濃度が0.1mol%となるように添加したこと以外は、比較例1と同様にして、熱電材料(NaをドープしたCu1.9ZnSnSの単結晶)を得た。
[実施例3]
Naドープ濃度を0.04mol%に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、熱電材料(NaをドープしたCu1.9ZnSnSの単結晶)を得た。
[評価]
実施例1~3および比較例1で得られた熱電材料のZT値を求めた。
ZT=σST/κ
式中、σは電気伝導率であり、Sはゼーベック係数であり、Tは絶対温度であり、κは熱伝導率である。
電気伝導率およびゼーベック係数の測定は、熱電材料を2~5mm×2~5mm×10~15mmの寸法に切断してサンプルを作製し、熱電特性評価装置(アドバンス理工製ZEM-3)を用い、測定温度300~800K、He雰囲気の条件で行った。なお、サンプルは、a軸に沿った方向およびc軸に沿った方向で、それぞれ切断した。
一方、熱伝導率κは、以下の式より求めた。
κ=λC
式中、λは熱拡散率であり、Cは熱容量であり、Dは密度である。
熱拡散率の測定は、熱電材料を8mm×8mm×1mmの寸法に切断してサンプルを作製し、レーザーフラッシュアナライザ(Netzsch製LFA457)を用い、測定温度300~800K、Ar雰囲気の条件で行った。一方、熱容量の測定は、熱電材料を3mm×3mm×3mmの寸法に切断してサンプルを作製し、示差走査熱量計(リガク製Thermo plus EVO2 DSCvesta)を用い、測定温度300~800K、真空雰囲気の条件で行った。また、密度の測定は、アルキメデス法を用いて室温で行った。
得られたZT値の結果を図7に示す。図7に示すように、比較例1で得られた熱電材料(CuZnSnS)は、ZT値が低く、例えば700Kで0.1程度であった。これに対して、実施例1で得られた熱電材料(Cu1.9ZnSnS)は、比較例1に比べてZT値が高くなった。このように、Cu空孔を設けることで、熱電特性が向上することが確認された。また、実施例2、3で得られた熱電材料(NaでドープしたCu1.9ZnSnS)は、実施例1に比べてZT値が顕著に高くなった。このように、Na等のアルカリ金属でドープすることで、熱電特性が顕著に向上することが確認された。熱電特性が向上した理由は、Na等のアルカリ金属はイオン半径が小さいため、熱電特性に悪影響を与えない歪みをCZTS結晶相に導入できたためであると推測される。また、図7に示すように、実施例1~3のいずれの場合も、a軸方向の結果が、c軸方向の結果に比べて、熱電特性が良好であった。そのため、熱電モジュールにおいて、CZTS結晶相のa軸方向を、電流が流れる方向と一致するように配向させることで、より良好な熱電特性が得られることが確認された。
1 … 第1基板
2 … 第1電極
3 … 第1電極基板
4 … 第2基板
5 … 第2電極
6 … 第2電極基板
7 … p型素子
8 … n型素子
10 … 熱電モジュール

Claims (5)

  1. 熱電材料を有する素子を備える、熱電モジュールであって、
    前記熱電材料は、Cu、Zn、SnおよびSを含有するCZTS結晶相を備え、
    前記CZTS結晶相はCu空孔を有し、
    前記素子における前記CZTS結晶相のa軸方向を、電流が流れる方向と一致するように配向させた、熱電モジュール
  2. 前記熱電材料は、アルカリ金属がドープされている、請求項1に記載の熱電モジュール
  3. 前記アルカリ金属が、Li、NaおよびKの少なくとも一種を有する、請求項2に記載の熱電モジュール
  4. 前記アルカリ金属が、少なくともNaを有する、請求項2または請求項3に記載の熱電モジュール
  5. 前記熱電材料が、(Cu1-αZnSnSで表される組成(αは0.01≦α≦0.10を満たし、Aはアルカリ金属であり、Xは0≦X≦0.5を満たす)を有する、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の熱電モジュール
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