JP7552611B2 - 水性ポリマーエマルション及びその製造方法、並びに化粧料 - Google Patents
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Description
〔1〕 下記(A)単量体、(B)単量体及び(C)単量体に由来する構成単位を有する共重合体を含む水性ポリマーエマルションであって、前記水性ポリマーエマルション中の全カルボキシ基量の25~75モル%を、前記(A)単量体、前記(B)単量体及び前記(C)単量体を含む単量体混合物の重合により形成された粒子の内部に有し、かつ、前記水性ポリマーエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が2000ppm以下である、水性ポリマーエマルション。
(A)単量体:炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体及び環状構造を有するラジカル重合性単量体よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体
(B)単量体:炭素数8~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体
(C)単量体:不飽和カルボン酸単量体及びその無水物よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体
〔2〕 上記〔1〕の水性ポリマーエマルションを製造する方法であって、前記(A)単量体、前記(B)単量体及び前記(C)単量体を含む単量体混合物を乳化重合して得られたエマルションを、減圧が可能な容器に仕込み、前記容器内のエマルションの温度を50℃~85℃の範囲にし、前記容器内の圧力を12KPa~57KPaの範囲にし、かつ前記容器内を水が沸騰する状態に維持して、前記容器内に加圧水蒸気を供給することにより、前記エマルション中の揮発性有機化合物を除去する、水性ポリマーエマルションの製造方法。
〔3〕上記〔1〕の水性ポリマーエマルションを含有する、化粧料用水性ポリマーエマルション組成物。
〔4〕上記〔1〕の水性ポリマーエマルションを含有する化粧料。
本明細書において、「水性ポリマーエマルション」とは、水を主とする溶剤にポリマーを分散させてなるエマルションを意味する。以降、「水性ポリマーエマルション」を単にエマルションと記載する場合がある。「水を主とする溶剤」とは、溶剤全体に対して水を70質量%以上、好ましくは80質量%以上含む液体を意味する。
本開示のエマルションにおいて、エマルション中のポリマーは、(A)単量体、(B)単量体及び(C)単量体を含む単量体混合物を重合することにより得られる共重合体である。当該共重合体を構成する単量体成分の1種である(A)単量体は、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体及び環状構造を有するラジカル重合性単量体よりなる群から選択される少なくとも1種である。
(B)単量体単位が3質量%以上の場合、耐水性、化粧持ちを良好にできる傾向があり、25質量%以下の場合は、耐油性、化粧持ちを良好にできる傾向がある。
(C)単量体単位が0.1質量%以上の場合、密着性、経時安定性を良好にできる傾向があり、5質量%以下の場合は、耐水性を良好にできる傾向がある。
本開示のエマルションは、上記(A)~(C)単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる分散粒子を含む。具体的には、本開示のエマルションは、不飽和カルボン酸単量体及び/又はその無水物を含むビニル系単量体を共重合して得られる分散粒子を含むものであることが好ましい。前記共重合により得られる共重合体は、実質的に全量又は大部分がエマルション中で分散粒子として存在する。ただし、得られる共重合体の一部分は水相に溶解して存在する場合もある。
乳化重合により得られたエマルション中には、未反応の単量体や、重合中に発生する分解物などの揮発性有機化合物が微量に含まれている。本開示のエマルションは、揮発性有機化合物の濃度が、エマルション全体に対して2000ppm以下である。これにより、揮発性有機化合物に由来する臭気を抑えることができ、低臭気性のエマルションを得ることができる。揮発性有機化合物に由来する臭気を抑えるために、エマルション中の揮発性有機化合物の濃度は、エマルション全体に対して、1000ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下がより更に好ましく、0ppmに近いほど好ましい。
本開示のエマルション中の共重合体のガラス転移温度Tgは、-20~20℃が好ましい。ガラス転移温度Tgが-20℃以上であると、適度な粘着性とすることができるため、良好な使用感を得ることができる。また、ガラス転移温度Tgが20℃以下であると、良好な成膜性を保つことができる傾向にある。本開示のエマルション中の共重合体のガラス転移温度は、-15℃以上がより好ましく、-10℃以上が更に好ましい。また、エマルションのガラス転移温度の上限については、15℃以下がより好ましく、10℃以下が更に好ましい。
式(1):
1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+(Wc/Tgc)+…
本開示のエマルションは、上記(A)~(C)単量体を含む単量体混合物を乳化重合させることによって得ることができる。
重合性界面活性剤としては、例えば、プロペニル-アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンリン酸塩(例えば、三洋化成工業株式会社製、商品名:エレミノールRS-30など)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸塩〔例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロンHS-10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンの硫酸塩(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロンKH-10など)、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンの硫酸塩(例えば、株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE-10など)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸塩(例えば、株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR-10、SR-30など)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩(例えば、花王株式会社製、商品名:ラテムルPD-104、PD-105)、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫酸塩(例えば、日本乳化剤株式会社製、商品名:アントックスMS-60など)、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープER-20など)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロンRN-20など)、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、株式会社ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE-10など)などが挙げられる。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
本開示の乳化重合には、水溶性重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤は、単量体混合物100質量部に対して、0.05~5質量部を使用することが好ましい。還元剤は、単量体混合物100質量部に対して、0.01~2.5質量部を使用することが好ましい。
塩基性化合物は中和に使用し、例えば、アンモニアの他、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン、モルホリン等のエーテルアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物の水溶液などが挙げられる。
また、本開示のエマルションの粘度は、25℃、12rpmの条件でB型粘度計により測定された値が、10~2000mPa・sであるものが好ましい。本開示のエマルションのpHは、2~9であるものが好ましい。また、エマルションの粒子径は、動的光散乱測定法により測定された体積基準メジアン径として、30~500nmが好ましく、50~200nmがより好ましい。体積基準メジアン径を30~500nmにすることで、耐水性や耐油性がより向上する。
重合後の不飽和カルボン酸及びその無水物の分散粒子内での分布は、不飽和カルボン酸及びその無水物の種類や添加条件を選ぶことにより所望の分布が得られる。例えば、不飽和カルボン酸、特にアクリル酸のような親水性が極めて大きい単量体は、他の単量体よりも分散粒子の表面又はエマルションの水相に分布しやすい。そのため、分散粒子内部に存在する不飽和カルボン酸単位の割合を所望の範囲(25~75モル%)とするためには、反応器への単量体混合物の添加に際して、不飽和カルボン酸の添加の割合を反応の前半に大きく、後半を小さくするという様に制御することにより実現することができる。メタクリル酸など、アクリル酸よりも親水性が小さい単量体は、添加の初期から完了まで添加割合を一定に近いものとしてもよいし、添加割合が前半の方が後半より大きくなる様に行ってもよい。
本開示のエマルションに、下記に示す成分などを配合することで、化粧料用水性ポリマーエマルション組成物が得られる。化粧料処方に配合する際は、本開示の効果を損なわない範囲であれば、通常、化粧料に配合される成分を必要に応じて配合して使用することができる。本開示の化粧料用水性ポリマーエマルション組成物は、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、保湿剤、紫外線吸収剤、脂肪酸石鹸、油脂、ロウ、炭化水素油、エステル油、粉体、高分子化合物、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、色材などの公知の成分を含むことができる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl-リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
キレート剤としては、例えば、アラニン、エデト酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸など等が挙げられる。
本開示に係る化粧料は、水性ポリマーエマルションと配合する他の成分を適宜選択することにより、例えば、メイクアップ化粧料、皮膚化粧料、毛髪化粧料などとして使用することができる。メイクアップ化粧料としては、例えば、アイライナー、アイシャドー、アイブロウ、マスカラ、美爪料、ほほ紅、ファンデーション、口紅などが挙げられる。皮膚化粧料としては、例えば、パック、サンスクリーン剤、乳液、クリーム、化粧水などが挙げられる。毛髪化粧料としては、例えば、染毛剤、染毛料、パーマ液、ブリーチ用薬剤、ヘアフォーム、シャンプー、リンスなどが挙げられる。
<実施例1>水性ポリマーエマルションの合成
<乳化重合>
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管及び2個の滴下ロートを備えた反応容器内に、水50部及び界面活性剤(花王株式会社製、商品名:ネオペレックスG-15、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、以下「G-15」ともいう)を2部仕込み、80℃に昇温した。
下記表1に示す組成の単量体混合物に、G-15を10部、界面活性剤(花王株式会社製、商品名:エマルゲン1150S-60、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、以下「1150S-60」ともいう)を5部、水45部を混合してモノマープレエマルションを調製した。得られたモノマープレエマルション及び重合開始剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液20部を、それぞれ別の滴下ロートより4時間かけて連続的に反応容器内に滴下し、液温を約80℃に保ちつつ乳化重合を行った。滴下終了後、更に2時間、液温を80℃に保った。その後、50℃まで冷却して重合を終了させた。得られたエマルションをアンモニア水でpHを8に調整した後、消泡剤(サンノプコ株式会社製、商品名:SNデフォーマーPC、以下「SNデフォーマーPC」ともいう)を0.1部添加し、エマルションを得た。
前記エマルションの入ったフラスコに加圧水蒸気供給管及び排気管を取り付け、液温を55℃に昇温した後、撹拌下、圧力0.2MPaの加圧水蒸気をエマルション100質量部に対し、5部/Hrで液中に吹き込みながら、排気ポンプを用いて系内の水蒸気を排気管を通じて排気することによりフラスコ内の圧力を15KPaに減圧し、系内を水が沸騰している状態に維持した。加圧水蒸気の吹き込みを5時間かけて行うことにより、合計で水蒸気を25部供給した。得られたエマルションのpHをアンモニア水でpH8に調整し、低臭気化したエマルションを得た。
単量体組成を表1及び表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2~22のエマルションを得た。なお、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
<乳化重合>
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管及び2個の滴下ロートを備えた反応容器内に、水50部及び界面活性剤(花王株式会社製、商品名:ラテムルE-304T、ポリオキシエチレンアルキル硫酸アンモニウム、以下「E-304T」ともいう)を2部仕込み、80℃に昇温した。
表2に示す組成の単量体混合物に、E-304Tを10部、1150S-60を5部、水45部を混合してモノマープレエマルションを調製した。得られたモノマープレエマルション及び重合開始剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液20部を、それぞれ別の滴下ロートより4時間かけて連続的に反応容器内に滴下し、液温を約80℃に保ちつつ乳化重合を行った。滴下終了後、更に2時間、液温を80℃に保った。その後、50℃まで冷却して重合を終了させた。得られたエマルションのpHをアンモニア水でpH8に調整した後、消泡剤としてSNデフォーマーPCを0.1部添加し、エマルションを得た。
<脱臭工程(加圧水蒸気を吹き込む工程)>
前記エマルションに、実施例1と同様の方法で加圧水蒸気を吹き込み、実施例23のエマルションを得た。
<乳化重合>
実施例1と同様の装置を用い、水50部及び界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロンKH-10、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、以下「KH-10」ともいう)を0.3部仕込み、80℃に昇温した。
表2に示す組成の単量体混合物に、KH-10を1.7部、1150S-60を5部、水55部を混合してモノマープレエマルションを調製した。得られたモノマープレエマルション及び重合開始剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液20部を、それぞれ別の滴下ロートより4時間かけて連続的に反応容器内に滴下し、液温を約80℃に保ちつつ乳化重合を行った。滴下終了後、更に2時間、液温を80℃に保った。その後、50℃まで冷却して重合を終了させた。得られたエマルションのpHをアンモニア水でpH8に調整した後、消泡剤としてSNデフォーマーPCを0.1部添加し、エマルションを得た。
<脱臭工程>
前記エマルションに、実施例1と同様の方法で加圧水蒸気を吹き込み、実施例24のエマルションを得た。
<乳化重合>
実施例1と同様の装置を用い、水50部及びG-15を2部仕込み、80℃に昇温した。表2に示す1段目組成の単量体混合物にG-15を5部、1150S-60を2.5部、水22.5部を混合してモノマープレエマルションを調製した。得られたモノマープレエマルション及び重合開始剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を、それぞれ別の滴下ロートより2時間かけて連続的に反応容器内に滴下し、液温を約80℃に保ちつつ乳化重合を行った。滴下終了後、液温を80℃に30分間保った。
続いて、表2に示す2段目組成の単量体混合物に、G-15を5部、1150S-60を2.5部、水22.5部を混合してモノマープレエマルションを調製した。得られたモノマープレエマルション及び重合開始剤としての5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を、それぞれ別の滴下ロートより2時間かけて連続的に反応容器内に滴下し、液温を約80℃に保ちつつ乳化重合を行った。
滴下終了後、更に2時間、液温を80℃に保った。その後、50℃まで冷却して重合を終了させた。得られたエマルションのpHをアンモニア水でpH8に調整した後、消泡剤としてSNデフォーマーPCを0.1部添加し、エマルションを得た。
<脱臭工程>
前記エマルションに、実施例1と同様の方法で加圧水蒸気を吹き込み、実施例25のエマルションを得た。
単量体組成を表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例25と同様の方法で、実施例26のエマルションを得た。
<実施例27>水性ポリマーエマルションの合成
脱臭工程での加圧水蒸気の供給時間を2時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例27のエマルションを得た。
<実施例28>水性ポリマーエマルションの合成
脱臭工程での加圧水蒸気の供給時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例28のエマルションを得た。
脱臭工程での容器内圧力を20KPa(水が沸騰しない状態)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のエマルションを得た。
<比較例2>水性ポリマーエマルションの合成
脱臭工程を実施しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2のエマルションを得た。
<比較例3>水性ポリマーエマルションの合成
単量体組成を表2に示す配合組成に変更した以外は、比較例2と同様の方法で、比較例3のエマルションを得た。
単量体組成を表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4のエマルションを得た。
<比較例5>水性ポリマーエマルションの合成
単量体組成を表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例25と同様の方法で、比較例5のエマルションを得た。
<比較例6>水性ポリマーエマルションの合成
単量体組成を表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例6のエマルションを得た。
実施例1~28、比較例1~6のエマルションの液性及び物性を評価した。評価方法は以下のとおりである。
<不揮発分濃度>
エマルション0.5gを、予め質量を測定しておいた秤量瓶[秤量瓶の質量=B(g)]に採取して、秤量瓶ごと正確に秤量した後[W0(g)]、その試料を秤量瓶ごと熱風循環式乾燥器内に収容して155℃で30分間乾燥した。そのときの質量を秤量瓶ごと測定し[W1(g)]、以下の式により不揮発分濃度を求めた。
不揮発分濃度(%)=(W1-B)/(W0-B)×100
<粘度>
25℃、12rpmの条件でB型粘度計により測定した。
<エマルションの粒子径>
エマルションの粒子径を、動的光散乱測定法により測定された体積基準メジアン径として測定した。
各例で得られたエマルション中に含まれるカルボキシ基のうち、粒子内部に存在するカルボキシ基の量(モル%)を以下の[1]~[4]の手順により求めた。
[1]分散粒子表面に存在するカルボキシ基量及びエマルションの水相に溶解している成分中に存在するカルボキシ基量の合計量(x)(ミリモル当量)の算出
不揮発分が10gとなるようにエマルションを量り取り、水を加えて50gとし、1Nの水酸化カリウム溶液を加えてpHを12とした。電位差滴定装置(HIRANUMA製のAUTOTITRATOR:COM-1700A)を用いて、1N塩酸溶液により酸塩基滴定を行い、次式よりカルボキシ基量(x)を算出した。
x=(a-b)/10
上記の式中の記号の意味は下記のとおりである。
x:不揮発分が1gとなる量のエマルション中に存在するカルボキシ基量(ミリモル当量)
a:添加した1N水酸化カリウム溶液量(ml)
b:滴定に使用した1N塩酸溶液量(ml)
[2]エマルション中に存在する全カルボキシ基量(y)(ミリモル当量)の算出
不揮発分が10gとなるようにエマルションを量り取り、エタノール10g及び水10gを加えて希釈した以外は、上記[1]と同様の方法で、エマルション中に存在する全カルボキシ基量を算出した。
[3]分散粒子内部に存在するカルボキシ基量(ミリモル当量)の算出
上記[2]の値(y)から上記[1]の値(x)を差し引いて求めた。
[4]分散粒子内部に存在するカルボキシ基量(モル%)の算出
上記[3]の値((y)-(x))を上記[2]の値で除して、100を乗じることにより求めた。
未反応の単量体などの揮発性有機化合物の含有量を、ガスクロマトグラフィー(装置:(株)島津製作所製GC-2014、カラム:ジーエルサイエンス(株)製DB-1、キャリアガス:窒素、検出器:水素炎イオン化検出器)により測定した。ガスクロマトグラフィーの測定に際しては、エマルション0.5g、エタノール4.0gと20%塩化カルシウム水溶液0.3gを混合して10分間静置し、12000rpm×10分で遠心分離して、上澄みを1.5g取り、これに内部標準としてエチレングリコールモノメチルアセテートの1%水溶液0.05gを加えた溶液をガスクロマトグラフィーの注入液とした。
乾燥後のエマルションの耐水性を以下に示す方法によって評価した。各例で得られたエマルションを、乾燥後の厚みが50μmになるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、23℃50%RHにて1日間風乾することで試験体を作製した。その試験体を蒸留水中に1日間浸漬させた後、摩擦試験機を用い、含水スポンジにて、100gの荷重で10往復摩擦して、脱落、剥がれの有無を評価した。
(評価基準)
☆:被膜に全く変化が見られない(極めて良好)
◎:被膜が僅かに剥離、脱落(良好)
○:被膜の半分程度が剥離、脱落(普通)
△:被膜の大半が剥離、脱落(やや不良)
×:完全に剥離、脱落(不良)
前記耐水性試験と同様にして作製した各試験体を、オレイン酸の中に1日間浸漬させた後、摩擦試験機を用い、含オレイン酸スポンジにて、100gの荷重で10往復摩擦して、脱落、剥がれの有無を評価した。上記耐水性試験と同様の評価基準により評価した。
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、乾燥後の厚みが25μmになるように、各例で得られたエマルションを塗布し、次いで熱風循環式乾燥機にて50℃で6時間乾燥させ、23℃50%RHにて1日間風乾することで試験体を作製した。その試験体を10回繰り返し、湾曲させて、被膜のひび割れ、脱落の有無を評価した。
(評価基準)
○:被膜に全く変化が見られない(良好)
△:被膜に僅かなひび割れ、脱落(やや不良)
×:被膜の全面にひび割れ、脱落(不良)
前記柔軟性試験と同様にして作製した各試験体の表面を指でなぞり、その触感によってべたつきを評価した。
(評価基準)
○:べたつき無し(良好)
△:僅かにべたつく(やや不良)
×:べたつく(不良)
各例で得られたエマルションの経時安定性を以下に示す方法によって評価した。各例で得られたエマルションの製造直後にエマルション中の粒子の粒子径を測定した後、密閉した容器に入れ、40℃の熱風循環式乾燥機中で1ヶ月間保持した後、再度粒子径を測定した。粒子径の測定は、動的光散乱測定法により行った。
粒子径変化率(%)=[(初期の粒子径-1ヶ月後の粒子径)/初期の粒子径]×100
(評価基準)
◎:粒子径変化率<5%(極めて良好)
○:5%≦粒子径変化率<10%(良好)
△:10%≦粒子径変化率<15%(やや不良)
×:15%≦粒子径変化率(不良)
100mLガラス容器に、各例で得られたエマルションを80g採取し、容器に蓋をして密封し、40℃の熱風循環式乾燥機中で1時間保持した後、直ちに取り出して、蓋を取った際の臭気を官能試験にて評価した。
(評価基準)
◎:ほとんど臭気を感じない(極めて良好)
○:僅かに臭気を感じる(良好)
△:臭気を感じる(やや不良)
×:強い臭気有り(不良)
<単量体>
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BMA:n-ブチルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
G-15:花王株式会社製、商品名:ネオペレックスG-15、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ
E-304T:花王株式会社製、商品名:ラテムルE-304T、ポリオキシエチレンアルキル硫酸アンモニウム
1150S-60:花王株式会社製、商品名:エマルゲン1150S-60、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
KH-10:第一工業製薬株式会社製、商品名:アクアロンKH-10、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム
3-1.マスカラ
[マスカラの配合]
<実施例29>
イオン交換水22.3部にメチルヒドロキシプロピルセルロース2部、タルク10部及び実施例1で得たエマルション45部を添加し、均一に撹拌混合した後に、黒色酸化鉄15部、グリセリン5部、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ナカライテスク株式会社製、商品名:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)1.5部からなる着色ペーストを添加して均一に混合し、香料0.1部及び防腐剤0.1部を加えて、黒色のマスカラを得た。
下記表3に示すエマルションに変更した以外は、実施例29と同様の方法で、実施例30~42及び比較例7~10のマスカラをそれぞれ得た。なお、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
<耐水性>
化粧料を乾燥後の厚みが50μmになるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、23℃50%RHにて1日間風乾することで試験体を作製した。その試験体を蒸留水中に1日間浸漬させ、被膜の脱落、剥がれの有無を評価した。
(評価基準)
☆:被膜に全く変化が見られない(極めて良好)
◎:被膜が僅かに剥離、脱落(良好)
○:被膜の半分程度が剥離、脱落(普通)
△:被膜の大半が剥離、脱落(やや不良)
×:完全に剥離、脱落(不良)
前記耐水性と同様の方法で試験体を作製し、その試験体をオレイン酸中に1日間浸漬させ、被膜の脱落、剥がれの有無を評価した。上記耐水性試験と同様の評価基準により評価した。
化粧持ち(化粧効果の持続性)についてパネル10名での使用テストによる評価を行った。なお、評価基準は次のように定めた。
(評価基準)
☆:10名全員が良好とした。
◎:10名中8名以上が良好とした。
○:10名中6名以上が良好とした。
△:10名中4名以上が良好とした。
×:10名中3名以下が良好とした。
50mLガラス容器に化粧料を40g採取し、密封して、40℃の熱風循環式乾燥機中で1ヶ月間保持した後、分離状態を評価した。
(評価基準)
◎:分離がない(極めて良好)
○:わずかに分離がみられるが、混合すると消失する(良好)
△:分離がみられ、混合しても消失しない(やや不良)
×:分離が著しい(不良)
[美爪料の配合]
<実施例43>
エチレングリコールモノエチルエーテル10部、クエン酸アセチルトリブチル3部及びイオン交換水7部を混合した溶液を、実施例2で得たエマルション80部に徐々に配合し、均一になるまで撹拌して、美爪料を得た。得られた美爪料を用いて、耐水性、耐油性及び化粧持ちを評価した。
<実施例44~56及び比較例11~14>
表4に示すエマルションに変更した以外は、実施例43と同様の方法で、実施例44~56及び比較例11~14の美爪料をそれぞれ得た。なお、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
[美爪料の評価]
評価方法はマスカラの場合と同じである。
[アイライナーの配合]
<実施例57>
イオン交換水33.9部にポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)1部、カルボキシメチルセルロース0.15部、酸化鉄14部を添加し、均一に撹拌混合した後に、グリセリン5部、クエン酸アセチルトリブチル1部を配合し、さらに実施例1で得たエマルション45部を徐々に配合し、均一になるまで撹拌して、アイライナーを得た。
表5に示す配合組成に変更した以外は、実施例57と同様の方法で、実施例58~70及び比較例15~18のアイライナーをそれぞれ得た。なお、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
[アイライナーの評価]
評価方法はマスカラの場合と同じである。
[ファンデーションの配合]
<実施例71>
実施例2で得たエマルション5部、ベントナイト0.5部、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(花王株式会社製、商品名:レオドール TW-S106V)1部、プロピレングリコール10部、防腐剤0.1部、イオン交換水52.4部を配合し、70℃でホモミキサーを用いて、均一になるまで分散させた。またpHが7.0になるようトリエタノールアミンで調整した。次に、タルク3部、二酸化チタン5部、ベンガラ0.5部、酸化鉄1部を配合し十分に混合し、これを先の分散液に添加した。ステアリン酸2.5部、イソヘキサデシルアルコール7部、モノステアリン酸グリセリン2部、液状ラノリン2部及び流動パラフィン8部を配合し、80℃で溶解させて油相とした。この油相を先の水相に投入し、70℃でホモミキサーを用いて乳化した。その後、常温になるまで冷却して、ファンデーションを得た。
表6に示す配合組成に変更した以外は、実施例71と同様の方法で、実施例72~84及び比較例19~22のファンデーションをそれぞれ得た。なお、表中の数値は、単位の記載がない項目は「部」を表し、空欄は使用していないことを表す。
[ファンデーションの評価]
評価方法はマスカラの場合と同じである。
Claims (8)
- 下記(A)単量体、(B)単量体及び(C)単量体に由来する構成単位を有する共重合体を含む水性ポリマーエマルションであって、
前記水性ポリマーエマルション中の全カルボキシ基量の35~75モル%を、前記(A)単量体、前記(B)単量体及び前記(C)単量体を含む単量体混合物の重合により形成された粒子の内部に有し、かつ、前記水性ポリマーエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が2000ppm以下である、水性ポリマーエマルション。
(A)単量体:炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体及び環状構造を有するラジカル重合性単量体よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体
(B)単量体:炭素数8~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単量体
(C)単量体:不飽和カルボン酸単量体及びその無水物よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体 - 前記共重合体は、前記共重合体を構成する単量体に由来する構成単位の合計を100質量%として、前記(A)単量体に由来する構成単位を70~95質量%、前記(B)単量体に由来する構成単位を3~25質量%、及び前記(C)単量体に由来する構成単位を0.1~5質量%有する、請求項1に記載の水性ポリマーエマルション。
- 前記(C)単量体がメタクリル酸である、請求項1又は2に記載の水性ポリマーエマルション。
- 前記共重合体のガラス転移温度が-20~20℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性ポリマーエマルション。
- 前記水性ポリマーエマルション中の揮発性有機化合物の濃度が100ppm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性ポリマーエマルション。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の水性ポリマーエマルションを製造する方法であって、
前記(A)単量体、前記(B)単量体及び前記(C)単量体を含む単量体混合物を乳化重合して得られたエマルションを、減圧が可能な容器に仕込み、前記容器内のエマルションの温度を50℃~85℃の範囲にし、前記容器内の圧力を12KPa~57KPaの範囲にし、かつ前記容器内を水が沸騰する状態に維持して、前記容器内に加圧水蒸気を供給することにより、前記エマルション中の揮発性有機化合物を除去する、水性ポリマーエマルションの製造方法。 - 請求項1~5のいずれか一項に記載の水性ポリマーエマルションを含有する、化粧料用水性ポリマーエマルション組成物。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の水性ポリマーエマルションを含有する化粧料。
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