JP7567348B2 - 流体デバイス - Google Patents
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Description
流体に含まれる微粒子を除去する方法としては、例えば、マイクロ流体チップが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
この非特許文献1に記載の流体デバイスは、流路が形成された流路基板(ガラス基板)と、流路基板に設けられた圧電素子とを備えている。圧電素子で生じた超音波は、流路基板を介して流路内に伝達され、流路内の流体に定在波を生じさせる。流体中の微粒子は、定在波により形成される流体の圧力勾配により、流路内の所定範囲に収束する。
このため、定在波の節の部分に収束した微粒子を分離することで、流体と微粒子とを分離することが可能となる。
また、流体の流量を上げるために流体の流速を上げることも考えられる。しかしながら、流速を上げた場合でも、超音波の音圧を上げる必要があり、上記と同様、定在波の形成が困難となる。
図1は、本実施形態の流体デバイス10を備えた排水システム1の概略構成を示す図である。
本実施形態の排水システム1は、例えば、洗濯機や洗面台等の水処理部2から排出される水(流体)を流体デバイス10に導入し、流体デバイス10により流体からマイクロプラスチック等の微粒子Wを取り除き、微粒子Wが取り除かれた流体を汚水として排出部3に流し、排出部3から下水管等に排出する機構である。
図2は、流体デバイス10を分解した分解図である。
流体デバイス10は、図1、図2に示すように、胴部11と、胴部11の一端部に接続される流入部12と、胴部11の他端部に接続される流出部13と、超音波素子15や回収部16が設けられる回収駆動部14と、を備える。胴部11、流入部12、及び流出部13により、本開示の流通本体部が構成される。
胴部11は、第一軸であるZ軸に沿って延伸する第一側壁111を有する。第一側壁111は、Z軸を中心軸とした筒形状を有する。第一側壁111のZ軸に直交する断面における形状は特に限定されないが、図2に示すように、円筒状に形成されていることが好ましい。円筒状に形成されることにより、胴部11内での乱流の発生を抑制できる。
胴部11には、Z軸に沿って流入部12から流出部13に向かって、流入部12から流入した流体が流される。
流入部12は、胴部11に流す流体が導入される部分であり、例えば、Oリング等により構成された流入側シール機構121を介して、胴部11に接続される。流入部12は、第二側壁122と、流入側蓋部123と、流入口124とを備える。
より好ましくは、流入口124は、流入部12に複数設けられ、複数の流入口124がZ軸を挟んで対向配置される。これにより、各流入口124から導入される流体内の粒子には、それぞれ、流体デバイス10の中心軸であるZ軸に向かう応力が付与される。
また、第二軸としては、Z軸に直交する1軸方向に限定されない。すなわち、第二軸としては、Z軸に直交する複数の軸であってもよい。例えば、本実施形態では、図2に示すように、Z軸に直交するX1軸、Z軸及びX1軸に直交する軸をY1軸(図2参照)として、X1軸上でZ軸に対して対向する一対の流入口124、及び、Y1軸上でZ軸に対して対向する一対の流入口124がそれぞれ設けられている。
流出部13は、胴部11を流れた流体が外部に流出する部分であり、例えば、Oリング等により構成された流出側シール機構131を介して、胴部11に接続される。流出部13は、第三側壁132と、流出口133と、を備える。
また、流出口133によって流体が排出される方向、つまり、流出口133の軸である第三軸は、第二軸(X1軸、Y1軸)のようにZ軸に対して直交する必要はない。つまり、流出口133は、第三側壁132から流体を流出させればよく、その方向は特に限定されない。本実施形態では、流出口133は、X1軸に平行なX2軸、Y1軸に平行なY2軸(図2参照)に沿って設けられているが、例えば、X2軸及びY2軸に対して、45度の角度となる軸に沿って流出口133が設けられていてもよい。また、Z方向から見た際に、第三側壁132の接線方向に流体を排出させる流出口133が設けられていてもよい。
さらに、流出口133としては、Z軸に対して対称となる位置に複数設けられることが好ましい。これにより、流体デバイス10において、流入部12から流出部13に向かうZ軸に沿った流体の流れを均一にできる。Z軸に対称となる位置とは、例えば、Z軸を挟んで対向する位置に流出口133を設けてもよく、Z方向から見た際に、流出口133が回転対称となるように、つまり、Z軸を中心に等角度間隔に流出口133が設けられてもよい。
回収駆動部14は、胴部11、流入部12、流出部13により構成される流通本体部のうち流出部13側に設けられている。この回収駆動部14は、例えば、Oリング等により構成された駆動シール機構141を介して、流出部13に接続される。回収駆動部14は、第四側壁142と、駆動板143と、収納ボックス144と、超音波素子15と、回収部16と、制御回路17と、を備える。
超音波素子15は、図1及び図2に示すように、駆動板143の駆動面143Aとは反対側の面に配置されている。
図3は、超音波素子15の概略構成を示す断面図である。
超音波素子15は、図3に示すように、素子基板151と、振動板152と、圧電素子153と、を備えて構成されている。
ここで、以降の説明にあたり、素子基板151の基板厚み方向は、Z軸に平行な方向であり、図3の矢印の向きである+Zは、超音波の送信方向、つまり、流入部12に向かう方向とする。
素子基板151は、振動板152を支持する基板であり、Si等の半導体基板で構成される。素子基板151には、Z軸に平行なZ方向に沿って素子基板151を貫通する開口部151Aが設けられている。
本実施形態では、1つの振動部152Aと、当該振動部152A上に設けられた圧電素子153とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。図示は省略するが、本実施形態では、このような超音波トランスデューサーTrが、2次元アレイ構造に配置されることで、超音波素子15が構成されている。
そして、本実施形態では、図4に示すように、超音波素子15は、駆動板143の回収部16と重なる領域(回収領域A1)を除く領域全体(周囲領域A2)を覆って、つまり、回収領域A1を囲う周囲領域A2に配置されている。
また、本実施形態では、素子基板151の振動板152とは反対側の面が、駆動板143の駆動面143Aとは反対側の面に接合される。この場合、各開口部151Aに駆動板143と音響インピーダンスが略同一となる音響層を充填させる。これにより、超音波トランスデューサーTrから出力された超音波を、音響層、駆動板143を介して、流体デバイス10内の流体に送信することができる。
上記のように、超音波素子15は、回収領域A1を囲う周囲領域A2に設けられているので、超音波素子15からZ軸に沿って超音波を送信すると、流体デバイス10に円筒状の超音波ビームを形成することができる。
また、本実施形態では、超音波素子15として、振動部152Aを振動させることで超音波を送信する超音波トランスデューサーTrがアレイ状に配置されることで構成される例を示すが、これに限定されない。例えば、バルク状の圧電体を駆動板143に固定し、圧電体に電圧を印加して圧電体自体を振動させて超音波を送信させる構成などとしてもよい。
さらに図3に示す例では、振動部152Aが開口部151Aの開口幅等に応じた周波数で振動し、振動部152Aから+Z側、つまり、流入部12に向かって超音波が送信されるとしたが、これに限定されない。例えば、図示はされないが、振動板152をレジスト等の振動抑制部を用いて複数の振動部152Aに区画する構成とし、当該振動板152により駆動板143が構成される構成としてもよい。この場合、素子基板151が不要となり、かつ素子基板151の隔壁151Bに比べて、振動部152A間の距離を小さくできる。このため、振動板152が、流体デバイス10内の流体に直接接する面積が増え、音圧減衰も抑制でき、流体に効率よく超音波を伝搬させることができる。
次に、駆動板143に設けられる回収部16について説明する。
回収部16は、Z軸を中心軸とした筒状の立壁161を有し、立壁161の内側、つまり、筒状の立壁161に囲われる筒内部は、流体中の微粒子Wが蓄積される蓄積部162を構成する。
この立壁161は、第一面である駆動面143Aから第一位置161A(図1参照)まで流入部12に向かって延伸する。つまり、立壁161のZ軸に沿う長さは、流通本体部の側壁(第一側壁111、第二側壁122、第三側壁132、第四側壁142)の長さよりも短い。
ここで、第一位置161Aとは、流体中の微粒子Wに作用する、流体の流れによって側壁(第一側壁111、第二側壁122、第三側壁132、及び第四側壁142)側に向かう応力が、Z軸に向かう応力と釣り合う位置である。これにより、立壁161の内側の蓄積部162に蓄積された微粒子Wの側壁側への移動が、立壁161により抑制される。
なお、第一位置161Aについての詳細な説明は後述する。
例えば、本実施形態では、図1及び図2に示すように、立壁161が、駆動板143を貫通して設けられ、立壁161の流入部12とは反対側に、回収機構163を構成する微粒子採取管163Aが接続されている。微粒子採取管163Aは、採取弁163Bを備え、採取弁163Bが開かれることで、回収部16に蓄積された微粒子Wが微粒子採取管163Aから排出されて取り除かれる。
なお、回収機構163の構成としては、回収部16に蓄積された微粒子Wを回収する機構であれば、特に限定されない。例えば、回収部16が、立壁161と、立壁161の駆動板143側の端面を閉塞する底部とを備えた容器状に形成され、回収機構163は、駆動板143に対して回収部16を着脱自在に固定する機構であってもよい。この場合、回収部16を、駆動板143から取り外すことで、回収部16に溜まった微粒子Wを回収することができる。
制御回路17は、超音波素子15を制御する回路である。この制御回路17は、各超音波トランスデューサーTrに対して、所定周期のパルス駆動電圧を出力し、超音波素子15から流体デバイス10の内部の流体に対して超音波を送信させる。
次に、上述したような流体デバイス10を用いた流体中の微粒子Wの回収原理について説明する。
(超音波により流体中の微粒子Wが受ける応力)
図5は、流体デバイス10において、超音波素子15から超音波を送信した際の超音波の音圧分布を示す図であり、図6は、図5のA-A線での音圧分布を示す図である。
本実施形態では、超音波素子15から超音波を送信させると、流出部13から流入部12に向かってZ軸に沿った超音波ビームが形成される。ここで、図5のように、XZ面で切断した断面視での音圧分布は、回収部16の延長上となるZ軸を中心とした領域(中心軸領域S1)の音圧が、立壁161から側壁までの間の延長上となる領域(外周領域S2)よりも音圧が小さくなる。つまり、上述したように、超音波素子15から流体中に、円筒状の超音波ビームが形成される。
すなわち、流体中に超音波を送信すると、流体と、流体中の微粒子Wとの境界において、音響インピーダンスの差によって超音波の一部が反射、一部が透過する。この場合、微粒子Wの内外において音響エネルギー密度の差が生じ、当該音響エネルギー密度の差に応じた圧力差が生じる。この圧力差が、微粒子Wにかかる音響放射圧であり、微粒子Wの面積で積分することで、微粒子Wに作用する音響放射力が求められる。本実施形態では、微粒子Wに対して十分に大きい流体空間に超音波が送信される音場条件となり、音響放射圧として、ランジェバン放射圧を受ける。
ところで、ある定位置での超音波の音圧を、1次の線形理論の範囲内で近似すると、正弦波状に変化するので、超音波の音圧を時間平均すると0になる。つまり、超音波によって微粒子Wが応力を受けないことになる。しかしながら、実際には、様々な音場条件により、超音波の音圧は、上記線形理論による線形の範囲からずれ、2次以降の微小量の範囲が大きくなる。この2次以降の微小量は時間平均しても0とならず、これが、上述した音響放射圧として微粒子Wに作用する。
なお、音響放射力を高めるために、超音波素子15から送信する超音波の音圧を大きくすると、高調波が発生しやすくなる。このような高調波が発生すると超音波の波形も歪み、超音波の音圧を近似した近似式における2次以降の項で表される超音波成分が大きくなる。つまり、超音波の音圧を増大させることで、定常波の形成を阻害できるだけでなく、音響放射力の増大をも図れ、流体中の微粒子Wをより強い力でZ軸を中心とした中心軸領域S1に移動させることができる。
本実施形態では、流入部12から流出部13に向かって流れる流体に抗する抵抗力が微粒子Wに作用する。
図7及び図8は、本実施形態における、Z軸に平行な方向に対する流体の流速分布を示す図である。図7では、胴部11、流入部12近傍、及び流出部13近傍の流体の流速を矢印の長さで示す。図8は、図7のA-A線、B-B線、及びC-C線のX軸での流速分布を示す図であり、実線が胴部11のA-A線での流速分布、破線が流入部12のB-B線での流速分布、一点鎖線が流出部13のC-C線での流速分布である。
本実施形態では、流入部12から胴部11を通過して流出部13に至る流体において、流入部12では、各流入口124から流体が流入されるので、流入口124の近傍において、Z軸に平行な方向への流速が大きく、Z軸に近づくにつれて流速が小さくなる。
また、胴部11では、XY面において、略均一な流速で流体が流れる。つまり、流入部12から流入した流体は、層流となって均一な流れで流出部13に向かって流れる。
一方、Z軸に沿う方向のうち、立壁161の流入部12側の先端から、駆動面143Aの間では、蓄積部162においてZ軸に沿った流速は見られない。つまり、本実施形態において、微粒子採取管163Aの採取弁163Bが閉じた状態である場合、立壁161に囲われた蓄積部162には、流出口133に向かって流体が流れる経路がないので、蓄積部162におけるZ軸に沿った流速は0に限りなく近くなる。
なお、流出部13側の、立壁161から側壁までの間は、流出口133に向かって流体が流れるので、流出口133に向かうほど流速が大きくなる。
図9は、胴部11、流入部12、及び流出部13の流体の流速を矢印の長さで示す。図10は、図9の胴部11のA-A線、流入部12のB-B線、及び流出部13のC-C線での流速分布を示す図であり、実線がA-A線での流速分布、破線がB-B線での流速分布、一点鎖線がC-C線での流速分布である。
本実施形態では、流入口124から、Z軸に直交する第二軸(図2のX1軸やY1軸)に沿って流体が流入し、Z軸に交差する第三軸(図2のX2軸やY2軸)に沿って流出口133から流体が流出する。ここでは、X1軸とX2軸とが平行であるものとして説明する。また、図9において、X1軸及びX2軸に平行で、かつ、紙面左側から右側に向かう方向をX方向とする。
流入部12において、流入口124からZ軸に向かう流速が発生する。しかし、このZ軸に向かう流速は、流出部13に向かうにしたがって、次第に減衰し、図10に示すように、A-A線の位置では、XY平面の面方向に沿った流速はほぼ0となる。また、胴部11から流出部13に向かうにしたがって、流出口133に向かう流速が発生し、当該流出口133に向かう流速は徐々に大きくなる。
流体中の微粒子Wは、上記のような流体の流れに抗する抵抗力Dを受ける。
上記抗力係数CD及びレイノルズ数Reは、一般に、図11に示すような関係を有し、抗力係数CDは、微粒子Wのサイズ、流体の流速、及び粘性に基づいたレイノルズ数Reに対応して、図11に示すように定まる。また、式(3)のように、微粒子Wに作用する抵抗力Dは、抗力係数CDに応じて定まる。つまり、流体中の微粒子Wは、流体の粘性、流速、及び微粒子Wのサイズに応じて、流体の流れに対する抵抗力Dを受ける。
上記のように、超音波が送信された流体中の微粒子Wには、超音波の音響放射力F1、流体の流れに抗する抵抗力D、を受けるが、その他、微粒子Wは、重力F2、浮力F3の影響も受ける。ここで、重力F2は、粒子の密度ρ、微粒子Wの体積V、重力加速度gにより、F2=ρVgとなる。また、浮力F3は、F3=ρ0Vgとなる。したがって、重力F2と浮力F3との差は、流体と微粒子Wとの密度の差に微粒子Wの体積Vと重力加速度gとを乗算した値となり、超音波の音響放射力F1、流体の流れに抗する抵抗力Dに対して、無視できる程度に十分に小さい値となる。
流体中の微粒子Wを移動させる力としては、図12に示すように、音響放射力F1、流体の流れに対する抵抗力Dが支配的となり、これらの音響放射力F1、流体の流れに対する抵抗力Dに基づいて、微粒子Wが移動する。
また、流体デバイス10内に流入した流体は、Z軸に沿って流出部13に向かって流れ、当該流体の流れに対する抵抗力D2により、微粒子Wは流出部13に向かって移動される。
ここで、Z軸から側壁に向かう流体の流れに対する抵抗力D3が、音響放射力F1よりも大きくなると、回収部16に回収されず流出口133から流出される微粒子Wが増大する。
これに対して、本実施形態では、回収部16の立壁161が、駆動面143Aから第一位置161Aまで流入部12に向かって延伸している。この第一位置161Aは、上述したように、微粒子Wに作用する側壁側に向かう応力が、Z軸に向かう応力と釣り合う位置、つまり、Z軸から側壁に向かう流体の流れに対する抵抗力D3と、音響放射力F1とが釣り合う位置である。
立壁161が第一位置161Aを超えて流入部12側に延設されると、外周領域S2を移動中で中心軸領域S1に入っていない微粒子Wが回収できない可能性がある。また、立壁161の先端が第一位置161Aよりも駆動面143A側に位置する場合、抵抗力D3が音響放射力F1を上回り、中心軸領域S1に誘導された微粒子Wが、回収部16で回収される前に外周領域S2に移動してしまう可能性がある。これに対して、立壁161を、駆動面143Aから上記のような第一位置161Aまで延設することで、効率よく微粒子Wを回収部16の蓄積部162に蓄積することができる。
なお、抵抗力D3及び音響放射力F1は、微粒子Wの実際の形状によって変化する。したがって、回収部16により回収する所望のサイズの微粒子Wに対して、抵抗力D3及び音響放射力F1をシミュレーションや実験等により求め、これらが略釣り合う位置を第一位置とすればよい。
本実施形態の流体デバイス10は、胴部11と、駆動板143と、立壁161と、超音波素子15とを備える。胴部11は、第一軸であるZ軸に沿った筒状の第一側壁111を有し、Z軸の一方側に設けられる流入部12から、Z軸の他方側に設けられる流出部13に向かって、筒内部に流体を流通させる。駆動板143は、Z軸に交差する第一面としての駆動面143Aを有する。立壁161は、駆動面143AからZ軸に沿って流入部12に向かって延伸し、第一側壁111よりもZ軸に沿う長さが短い筒状に形成されている。超音波素子15は、駆動面143Aにおいて立壁161及び立壁161に囲われる蓄積部162と重なる回収領域A1の外側を囲って配置され、Z軸に沿って超音波を送信する。
このような本実施形態の流体デバイス10では、超音波による音響放射圧を利用して微粒子Wを移動させるものであるため、定在波を用いた従来のマイクロ流体チップとは異なり、流路幅を大きくできる。洗濯機からの洗濯水等、大量の流体からより迅速に微粒子Wを取り除くことができる。
また、本実施形態では、超音波の音圧を大きくすることで、超音波の波形が歪み、これにより、より大きな音響放射力F1が得られる。つまり、超音波の音圧に制限がある従来のマイクロ流体チップとは異なり、大きい音圧の超音波を用いることができる。このように、超音波の音圧を上げることで、音響放射力F1を大きくできるので、広い流路に流れる大量の流体から、微粒子Wを高い効率で回収部16に集めることができる。
このような構成では、流入部12から流入される流体中の微粒子Wは、流体の流れによって抵抗力D1を受ける。したがって、流入部12の近傍の微粒子Wは音響放射力F1に加え、抵抗力D1によるドラッグ力を受けるので、より効率よく微粒子Wを中心軸領域S1に集めることができる。
この場合、駆動板143に流出口133を設ける場合に比べて、駆動板143に配置する超音波素子15の配置領域を確保することができる。よって、超音波素子15から大きい音圧の超音波を送信することができ、音響放射力F1の増大を図れ、微粒子Wの回収効率を向上させることができる。
これにより、立壁161の内部の蓄積部162に効率よく粒子を集めることができる。つまり、立壁161の先端が、第一位置161Aよりも流入部12側に位置すると、立壁161により阻害されて、外周領域S2から中心軸領域S1に移動できず、蓄積部162に入ることができない微粒子Wが増大する。また、立壁161の先端が、第一位置161Aよりも駆動面143A側に位置すると、中心軸領域S1の微粒子Wが、流出口133に向かう流体の流れによって外周領域S2に移動してしまう可能性がある。これに対して、上記のように、立壁161の先端を第一位置とすることで、微粒子Wを中心軸領域S1に効率よく集めることができ、かつ、集めた微粒子Wが外周領域S2に移動してしまう不都合を抑制できるので、回収部16による微粒子Wの回収効率を高めることができる。
これにより、流体デバイス10内に、Z軸に沿って円筒状の超音波ビームを形成することができ、中心軸領域S1に微粒子Wを集めることができる。
超音波素子15からZ軸に沿って定在波を形成すると、定在波の節の位置に微粒子Wが集まり、中心軸領域S1への微粒子Wの移動効率が低下する。これに対して、本実施形態では、超音波素子15は、非定在波となる超音波を送信するので、音響放射力によって効率よく微粒子Wを中心軸領域S1に集めることができる。
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、流入部12が流入側蓋部123を有する構成としたが、流入側蓋部123が設けられない構成としてもよい。例えば、流体デバイスの流入部12側の端面が開口していてもよい。
上記実施形態では、超音波素子15が、流出部13の駆動板143に設けられる構成を例示したが、流入部12に設けられる構成としてもよい。
例えば、流入側蓋部123に超音波素子15を配置し、Z軸に沿って流入部12側から流出部13側に超音波を送信してもよい。この場合、超音波による微粒子Wのブレーキ効果は得られないが、流体の流速を遅くすることで、微粒子Wが中心軸領域S1に移動する前に流出口133から排出される不都合を抑制できる。
上記実施形態では、駆動板143に対して、駆動面143Aの回収部16と重ならない領域全体を覆うように、超音波素子15が配置される例を示したが、これに限定されない。
上記実施形態では、回収部16において、立壁161が駆動板143を貫通して回収機構163に接続されているが、例えば、駆動板143に対して回収機構163によって回収部16が着脱自在に固定されているような構成では、駆動板143における駆動面143Aの全体を覆うように超音波素子15が配置されていてもよい。
この場合、超音波素子15を構成する複数の超音波トランスデューサーTrのうち、回収部16と重なる位置に配置された超音波トランスデューサーTrを非駆動とすればよい。
上記実施形態では、流入部12において、第二側壁122に流入口124が接続され、Z軸に対して直交する第二軸(X1軸、Y1軸等)から流体が流入する構成としたが、これに限定されない。
例えば、流入口124が流入側蓋部123に設けられる構成としてもよい。或いは、変形例1のように流入側蓋部123が設けられない構成とする場合では、水処理部2と接続される接続管が、第二側壁122の胴部11とは反対側に直接接続される構成としてもよい。
例えば、変形例1のように、超音波素子15を流入部12側に設ける場合、駆動板143に流出口133が接続されていてもよい。或いは、変形例3のように、複数の超音波素子15が間を開けて配置される場合、隣り合う超音波素子15の間に流出口133が設けられてもよい。
上記実施形態において、図1,2,5,7,9,12において、流入部12が図面上方、流出部13が図面下方に表示されているが、これは図中上下方向を鉛直方向としているものではない。流体デバイスにおけるZ軸の方向は鉛直方向に限られるものではなく、任意の方向に設置することができる。例えば、流入部12から流出部13に向かう方向は、鉛直方向の下方から上方に向かう方向であってもよく、鉛直方向に直交する水平方向であってもよい。
本開示の第一態様の流体デバイスは、第一軸に沿った筒状の側壁を有し、前記第一軸の一方側に設けられる流入部から、前記第一軸の他方側に設けられる流出部に向かって、筒内部に流体を流通させる流通本体部と、前記流通本体部の前記第一軸の前記他方側に設けられて、前記第一軸に交差する第一面を有する板部と、前記第一面から前記第一軸の前記一方側に向かって延伸し、前記側壁よりも前記第一軸に沿う長さが短い筒状の立壁と、前記第一面において前記立壁及び前記立壁に囲われる領域を回収領域とした場合に、前記板部の前記回収領域の外側に配置され、前記第一軸に沿って超音波を送信する超音波素子と、を備える。
そして、本態様の流体デバイスでは、超音波による音響放射圧を利用して微粒子を移動させるものであるため、定在波を用いた従来のマイクロ流体チップとは異なり、流路幅を大きくでき、大量の流体からより迅速に微粒子を取り除くことができる。
また、従来のマイクロ流体チップでは、定在波を形成する必要がるので、超音波の音圧に制限がかかるが、本態様の流体デバイスでは、超音波の音圧を上げることで、音響放射力を大きくでき、広い流路に流れる大量の流体から、微粒子を高い効率で回収することができる。
このような構成では、流入口から流入される流体中の微粒子は、流体の流れよって、第一軸に向かう抵抗力を受ける。したがって、流入部の近傍の流体中の微粒子は音響放射力と抵抗力との双方の合力により第一軸に向かって移動させることができ、より効率よく微粒子を第一軸に集めることができる。
これにより、板部に配置する超音波素子の配置面積を大きくでき、超音波の音圧の増大を図れ、超音波の音圧増大により、微粒子に作用する音響放射力を増大でき、微粒子の回収効率を高めることができる。
これにより、流体中の微粒子を、第一軸を中心とした中心軸領域に効率よく集めることができ、かつ、集めた微粒子が中心軸領域から側壁側に移動してしまう不都合を抑制できる。
これにより、胴部11内に、第一軸に沿って円筒状の超音波ビームを形成することができ、円筒の中心である第一軸を中心とした中心軸領域に微粒子を集めることができる。
超音波素子によって送信された超音波が、定在波となる場合、位置に微粒子が集まり、中心軸領域への微粒子の移動効率が低下する。これに対して、非定在波とすることで、音響放射力によって効率よく微粒子を中心軸領域に集めることができる。
本態様では、上述した第一態様と同様に、第一軸を中心とした中心軸領域の周りの外周領域に、第一軸に沿った略筒状のビーム形状となる超音波を送信するので、音響放射力によって、外周領域の微粒子を中心軸領域に移動させて、立壁に囲われる領域内に回収することができ、流体と微粒子とを分離できる。
また、第一態様と同様、本態様においても、筒状の側壁の内径である流路幅を大きくできるので、従来のマイクロ流体チップに比べて、大量の流体からより迅速に微粒子を取り除くことができる。さらに、超音波の音圧を上げることで、音響放射力を大きくできるので、大量の流体から効率よく微粒子を分離することができる。
Claims (6)
- 第一軸に沿った筒状の側壁を有し、前記第一軸の一方側に設けられる流入部から、前記第一軸の他方側に設けられる流出部に向かって、筒内部に流体を流通させる流通本体部と、
前記流通本体部の前記第一軸の前記他方側に設けられて、前記第一軸に交差する第一面を有する板部と、
前記第一面から前記第一軸の前記一方側に向かって延伸し、前記側壁よりも前記第一軸に沿う長さが短い筒状の立壁と、
前記第一面において前記立壁及び前記立壁に囲われる領域を回収領域とした場合に、前記板部の前記回収領域の外側に配置され、前記第一軸に沿って非定在波となる超音波を送信する超音波素子と、
を備える流体デバイス。 - 前記流入部は、前記第一軸に対して交差する第二軸から前記流通本体部に前記流体を流入させる流入口を備える、
請求項1に記載の流体デバイス。 - 前記流出部は、前記第一軸に対して交差する第三軸に沿って前記流体を流出させる流出口を備える、
請求項1または請求項2に記載の流体デバイス。 - 前記立壁は、前記第一面から第一位置まで前記第一軸の前記一方側に向かって延伸し、
前記第一位置は、前記流体の流れによって、前記流体中の微粒子を前記第一軸に交差する方向に沿って前記側壁に向かって移動させる応力と、前記超音波による音響放射力とが釣り合う位置である、
請求項3に記載の流体デバイス。 - 前記超音波素子は、前記第一面の前記回収領域以外の領域を覆って設けられている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の流体デバイス。 - 第一軸に沿った筒状の側壁を有し、前記第一軸の一方側に設けられる流入部から、前記第一軸の他方側に設けられる流出部に向かって、筒内部に流体を流通させる流通本体部と、
前記流通本体部の前記第一軸の前記他方側に設けられ、前記第一軸に沿う軸方向を有し、前記第一軸に沿って延伸し、前記側壁よりも前記第一軸に沿う長さが短い筒状の立壁と、
前記第一軸に沿って見た場合に、前記立壁と前記側壁との間で、前記立壁を囲うビーム形状の非定在波となる超音波を前記第一軸に沿って送信する超音波素子と、
を備える流体デバイス。
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