以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すワイヤボンディング装置1は、例えば、プリント基板などの電極と、当該プリント基板に設けられた半導体素子の電極と、を細径の金属ワイヤを用いて電気的に接続する。ワイヤボンディング装置1は、ワイヤに対して熱、超音波又は圧力を提供してワイヤを電極に接続する。ワイヤボンディング装置1は、ベース2と、上記接続作業のためのボンディング部3と、被処理部品であるプリント基板などをボンディングエリアに搬送する搬送部4と、を有する。
ボンディング部3は、ボンディングツール6を含み、ボンディングツール6の先端には、超音波ホーン7が設けられる。この超音波ホーン7の先端には、ワイヤに対して熱、超音波又は圧力を提供するためのキャピラリ8が着脱可能に設けられる。
以下の説明において、超音波ホーン7が伸びる方向をX軸とし、搬送部4によってプリント基板が搬送される方向をY軸(第2方向)とし、キャピラリ8がボンディング動作を行う際に移動する方向(Z軸の方向、第1方向)をZ軸とする。
キャピラリ8は、定期的に交換を要する部品である。そこで、ワイヤボンディング装置1は、作業者による操作を介することなく、キャピラリ8を自動的に交換するキャピラリ交換部9を有する。
キャピラリ交換部9は、超音波ホーン7に取り付けられたキャピラリ8を回収するとともに、超音波ホーン7に対してキャピラリ8を装着する。つまり、キャピラリ8の交換作業とは、キャピラリ8を回収する作業と、キャピラリ8を装着する作業と、を含む。このキャピラリ8の交換作業は、予め設定された条件を満たした場合に、自動的に実施される。例えば、当該条件は、ボンディング作業の回数としてもよい。すなわち、所定回数のボンディング作業を実施するごとに、キャピラリ8を交換する作業を行うものとしてよい。
図2に示すように、キャピラリ交換部9は、主要な構成要素として、キャピラリ保持部11と、キャピラリ案内部12と、アクチュエータ13と、を有する。また、付加的な構成要素として、着脱治具15及び着脱治具15を駆動する治具駆動部20を有する。
<キャピラリ保持部>
キャピラリ保持部11は、キャピラリ8を保持する。キャピラリ保持部11は、ホルダ14を介してアクチュエータ13に取り付けられる。キャピラリ保持部11は、Z軸の方向に延びる円柱状を呈する。キャピラリ保持部11の下端は、ホルダ14に保持されている。キャピラリ保持部11の上端には、キャピラリ8が着脱可能に刺し込まれる。
図3に示すように、キャピラリ保持部11は、主要な構成要素として、上ソケット16と、コイルバネ17(弾性部)と、下ソケット18(キャピラリベース部)と、オーリング19(拘束部)と、を有する。上ソケット16、コイルバネ17及び下ソケット18は、共通する軸線上に配置される。具体的には、上から順に上ソケット16、コイルバネ17及び下ソケット18の順に配置される。
上ソケット16は、略円筒状を呈し、上端面16aから下端面16bに至る貫通孔16hを有する。上ソケット16は、キャピラリ8のテーパ面8aを保持するので、貫通孔16hの内径は、キャピラリ8のテーパ面8aの外径に対応する。例えば、貫通孔16hの内径は、キャピラリ本体8bの外径より小さい。また、貫通孔16hの上端面16a側には、オーリング19のための座繰り部16cが設けられる。座繰り部16cは、オーリング19を収容可能な寸法を有する。つまり、座繰り部16cは、その深さがオーリング19の高さと同程度であり、その内径がオーリング19の外径と同程度である。
オーリング19は、いわゆるトーラス状の形状を呈する。オーリング19は、キャピラリ8のテーパ面8aと直接に接触する。つまり、キャピラリ保持部11において、オーリング19がキャピラリ8を保持している。この保持は、オーリング19の表面に形成される粘着層によってなされる。オーリング19の内径は、貫通孔16hの内径と略同程度とされ、キャピラリ8のテーパ面8aが差し込まれる。
さらに、上ソケット16は、外周面に設けられた段差16dを有するので、上端面16a側と下端面16b側とで外径の大きさが異なる。具体的には、下端面16b側の外径が上端面16a側の外径よりわずかに小さい。この下端面16b側の細径部16eには、コイルバネ17がはめ込まれる。
下ソケット18は、略円筒状を呈する。下ソケット18は、その上端面18aが上ソケット16の下端面16bと対面する。下ソケット18は、上ソケット16と同様の外形形状を有する。つまり、下ソケット18もその外周面には、段差18dが設けられる。下ソケット18は、上ソケット16とは逆に、上端面18a側が細径部18eとされる。この上端面18a側の細径部18eにも、コイルバネ17がはめ込まれる。下ソケット18の下端面18b側の太径部18fは、ホルダ14によって挟持されている。
コイルバネ17は、圧縮バネである。コイルバネ17は、その上端側が上ソケット16の細径部16eにはめ込まれ、その下端側が下ソケット18の細径部18eに差し込まれる。これら上ソケット16とコイルバネ17とは、可撓部10を構成する。従って、上ソケット16と下ソケット18とは、コイルバネ17によって連結されている。そして、コイルバネ17は、軸線17Aの方向及び軸線17Aと交差する方向に弾性を有する。その結果、上ソケット16は、下ソケット18に対する相対的な位置を変更することができる。
上記の構成を有するキャピラリ保持部11は、図4に示す保持態様を有する。図4の(a)部は、初期態様におけるキャピラリ保持部11を示す。図4の(b)部は、第1の変形態様におけるキャピラリ保持部11を示す。図4の(c)部は、第2の変形態様におけるキャピラリ保持部11を示す。
図4の(a)部に示すように、第1の保持態様に係るキャピラリ保持部11は、上ソケット16及び下ソケット18の軸線16A、18Aが重複している。さらに、キャピラリ8の軸線8Aも当該軸線16A、18Aに重複する。
図4の(b)部に示すように、第2の保持態様に係るキャピラリ保持部11は、上ソケット16、及び下ソケット18の軸線16A、18Aが重複しない。具体的には、ホルダ14に保持されており、その位置が維持される下ソケット18に対して、上ソケット16がX軸及びY軸の方向に移動する。この状態にあっては、上ソケット16の軸線16Aは、下ソケット18の軸線18Aに対して平行である。
図4の(c)部に示すように、第3の変形態様に係るキャピラリ保持部11は、上ソケット16及び下ソケット18の軸線16A、18Aが重複している。つまり、これらの構成は、第1の保持態様と同じである。一方、キャピラリ8の軸線8Aは、上ソケット16の軸線16Aに対して傾いている。オーリング19は、トーラスの形状を有するので、キャピラリ8のテーパ面8aが刺し込まれる内周面は、曲面である。例えば、Z軸に平行な断面におけるオーリング19の断面形状は、円形である。そうすると、オーリング19にテーパ面8aが刺し込まれた状態を断面視すると、オーリング19とテーパ面8aとは、2つの接触部C1、C2で接触する。つまり、オーリング19とキャピラリ8とは、環状の接触線CL(図3参照)において接触する線接触である。である。このような接触状態によれば、オーリング19の軸線19Aに対してキャピラリ8の傾きが許容される。
<キャピラリ案内部>
再び図2に示すように、キャピラリ案内部12は、超音波ホーン7の孔7h(キャピラリ保持孔)にキャピラリ8を挿入するときにキャピラリ8を案内する。キャピラリ案内部12は、アクチュエータ13に設けられる。従って、キャピラリ案内部12は、アクチュエータ13を構成する部品との相対的な位置関係は保存される。キャピラリ案内部12は、アクチュエータ13から超音波ホーン7に向けて伸びる片持ち梁状を呈する。
図5は、キャピラリ案内部12の主要部分を断面視した斜視図である。図5に示すように、キャピラリ案内部12は、その自由端部に設けられたガイド孔12hを有する。ガイド孔12hは、キャピラリ8のキャピラリ本体8bを受け入れて、超音波ホーン7の孔7hへキャピラリ8を導く。ガイド孔12hは、キャピラリ案内部12の上面12aから下面12bに至る貫通孔である。なお、ガイド孔12hは、キャピラリ案内部12の前端面12cにも開口している。つまり、ガイド孔12hは、下面12b及び前端面12cからキャピラリ8を受け入れることができる。
ガイド孔12hは、テーパ孔部12tと、平行孔部12pと、を含む。テーパ孔部12tは、その下端が下面12bに開口する。平行孔部12pは、その上端が上面12aに開口する。下面12bにおけるテーパ孔部12tの内径は、上面12aにおける平行孔部12pの内径よりも大きい。この内径は、キャピラリ8の上端における外径よりも大きい。つまり、ガイド孔12hは、下面12bから上面12aに向かって次第に内径が小さくなり、テーパ孔部12tと平行孔部12pとが連結された位置において内径の最小値をとる。この内径は、キャピラリ8の上端における外径と略同じである。そして、平行孔部12pでは、その内径は一定である。
図6は、キャピラリ案内部12によってキャピラリ8が案内される様子を示す。図6の(a)部に示す状態では、超音波ホーン7の孔7hの軸線7Aと、キャピラリ案内部12のガイド孔12hの軸線12Aとは重複する。一方、キャピラリ保持部11に保持されたキャピラリ8は、その軸線8Aが、軸線7A、12Aに対してX軸の方向に平行にずれている。
図6の(a)部に示す状態から、キャピラリ保持部11をZ軸の方向に移動させる。そうすると、図6の(b)部に示すように、まず、キャピラリ8の上端がテーパ孔部12tの壁面に接触する。さらにキャピラリ保持部11を上に移動させると、キャピラリ8は、壁面に沿って移動する。この移動は、上向き(Z軸方向)の成分に加えて、水平方向(X軸方向)の成分も含む。キャピラリ保持部11は、コイルバネ17によって上ソケット16が下ソケット18に対して移動することができる。つまり、下ソケット18を上方向に移動させると、上ソケット16は、上方向に移動しながら、コイルバネ17によって水平方向へも移動する。
この移動によれば、キャピラリ8の軸線8Aが孔7hの軸線7Aに次第に近づく。そして、キャピラリ8の上端が平行孔部12pに達すると、キャピラリ8の軸線8Aは孔7hの軸線7Aに重複する。従って、キャピラリ8が超音波ホーン7の孔7hに刺し込まれる。
図6の(a)部に示す例は、超音波ホーン7とキャピラリ案内部12との位置関係が理想的な状態である。一方、図7の(a)部に示す例は、キャピラリ案内部12の軸線12Aに対して、超音波ホーン7の孔7hの軸線7Aが傾いている。
このような状態において、キャピラリ8を刺し込む動作を説明する。図7の(b)部に示すように、孔7hの軸線7Aに対してキャピラリ8の軸線8Aが相対的に傾いている。従って、キャピラリ8の上端が孔7hの壁面に接触するので、キャピラリ8を孔7hにそれ以上刺し込むことができない。さらに孔7hに対してキャピラリ8を刺し込むためには、孔7hの軸線7Aに対してキャピラリ8の軸線8Aを平行にし、且つ、軸線7Aに軸線8Aを重複させることが必要である。
上述したように、キャピラリ保持部11は、上ソケット16が下ソケット18に対してずれることが可能であり、さらに、キャピラリ8は上ソケット16の軸線16Aに対して傾くことが可能である。これらの作用によれば、図7の(c)部に示すように、キャピラリ保持部11を上昇させるにつれて、キャピラリ8の軸線8Aは、孔7hの軸線7Aに次第に近づいていき、最終的に孔7hに刺し込むことができる。つまり、キャピラリ保持部11がキャピラリ8を柔軟に保持しているので、キャピラリ8とキャピラリ案内部12とのずれ、及び、キャピラリ8と超音波ホーン7の孔7hとのずれを吸収することができる。従って、キャピラリ保持部11とキャピラリ案内部12とによれば、キャピラリ8を確実に装着することができる。
<アクチュエータ>
アクチュエータ13は、交換対象となるキャピラリ8や新規なキャピラリ8を移動させると共に、キャピラリ8を所定の位置及び姿勢において保持する。アクチュエータ13は、所定の並進軸(Z軸)の方向に沿う往復移動が可能である。本実施形態において、並進軸は、鉛直方向(Z軸)に沿う。従って、アクチュエータ13は、鉛直方向に沿ってキャピラリ8を上下動させる。さらに、アクチュエータ13は、回転軸(X軸)のまわりにおける回転が可能である。本実施形態において、回転軸は鉛直方向(Z軸)と直交する。つまり、回転軸は水平方向(X軸)に沿う。従って、アクチュエータ13は、水平方向のまわりにキャピラリ8を回転させる。
アクチュエータ13は、アクチュエータベース21(ベース部)と、一対のリニアモータ22A、22B(第1力発生部、第2力発生部)と、リニアガイド24と、キャリッジ26(移動体)と、制御装置27(制御部、図1等参照)と、を有する。
アクチュエータベース21は、平板状を呈し、主面21aを有する。主面21aの法線方向は、水平方向(X軸の方向)に沿う。主面21a上には、リニアモータ22A、22B、リニアガイド24及びキャリッジ26が配置される。
リニアモータ22Aは、キャリッジ26を移動させる。リニアモータ22Aは、いわゆるインパクト駆動方式を原理とする超音波モータである。リニアモータ22Aは、駆動軸28Aと、超音波素子29A(超音波発生部)と、を有する。駆動軸28Aは、金属製の丸棒であり、その軸線がアクチュエータベース21の主面21aに対して平行であるように配置される。この駆動軸28Aに沿ってキャリッジ26が移動するので、駆動軸28Aの長さは、キャリッジ26の移動範囲を決定する。駆動軸28Aの下端は、超音波素子29Aに固定される。駆動軸28Aの上端は、アクチュエータベース21の主面21aから突出するガイド31により支持される。駆動軸28Aの上端は、当該ガイド31に対して固定されてもよいし、固定されずに接触するだけでもよい。つまり、駆動軸28Aは、下端が固定端であり、上端が固定端又は自由端である。
超音波素子29Aは、駆動軸28Aに対して超音波振動を提供する。具体的には、超音波振動が提供された駆動軸28Aは、Z軸の沿って僅かに往復動する。超音波素子29Aは、例えば、圧電素子であるピエゾ素子を採用してよい。ピエゾ素子は、加えられた電圧に応じて変形する。従って、ピエゾ素子は、高周波電圧を与えられると、その周波数と電圧の大きさに応じて変形を繰り返し、超音波振動を生じる。超音波素子29Aは、アクチュエータベース21から突出するガイド32に固定される。
超音波素子29Aには、制御装置27が電気的に接続され、制御装置27が発生する駆動電圧を受ける。制御装置27は、超音波素子29Aに提供する交流電圧の周波数と振幅とを制御する。
リニアモータ22Bは、その単体の構成がリニアモータ22Aと同じである。リニアモータ22Bは、Z軸に交差するY軸の方向へ離間して配置される。つまり、リニアモータ22Bの駆動軸28Bは、リニアモータ22Aの駆動軸28Aに対して平行である。また、リニアモータ22Bの上端は、リニアモータ22Aの上端と同じ高さに配置される。同様に、リニアモータ22Bの下端は、リニアモータ22Aの下端と同じ高さに配置される。
キャリッジ26は、リニアモータ22A、22Bによって並進及び回転する移動体である。キャリッジ26は、円盤状を呈し、リニアモータ22A、22Bの間に掛け渡されている。アクチュエータベース21とキャリッジ26との間には、キャリッジ26をZ軸の方向に導くリニアガイド24が設けられる。キャリッジ26は、このリニアガイド24によって、Z軸の方向に案内される。なお、リニアガイド24は、キャリッジ26の移動方向を規制するものであり、Z軸の方向への駆動力を生じるものではない。
キャリッジ26は、前円盤33と、与圧円盤34と、後円盤36と、を有する。これらの円盤は、互いに同じ外径を有し、共通する軸線に沿って積層される。前円盤33と与圧円盤34との間には、軸体37が挟み込まれる。この軸体37の外径は、前円盤33及び与圧円盤34の外径よりも小さい。従って、前円盤33の外周部と与圧円盤34の外周部の間には、隙間が形成される。同様に、後円盤36と与圧円盤34との間にも、軸体38が挟み込まれる。この軸体37の外径も、後円盤36及び与圧円盤34の外径よりも小さい。従って、後円盤36の外周部と与圧円盤34の外周部の間にも、隙間が形成される。
後円盤36は、リニアガイド24のテーブル24aに連結される。ここで、後円盤36は、テーブル24aに対して回転可能に連結される。一方、後円盤36に対して、与圧円盤34及び前円盤33は機械的に固定されるので、後円盤36に対して与圧円盤34及び前円盤33が回転することはない。従って、前円盤33、与圧円盤34及び後円盤36を含むキャリッジ26の全体が、リニアガイド24のテーブル24aに対して回転可能である。
図8に示すように、与圧円盤34と後円盤36との隙間G1には、駆動軸28A、28Bが挟み込まれる。具体的には、一対の駆動軸28A、28Bは、キャリッジ26の重心を挟むように配置される。さらには、駆動軸28A、28Bは、与圧円盤34の裏面34bと後円盤36の主面36aとに接触する。なお、駆動軸28A、28Bは、軸体38の外周面38aには接触しない。つまり、隙間G1は、与圧円盤34及び後円盤36の外径よりも小さく、軸体38の外径よりも大きい。また、軸体38の外径と後円盤36の外径との差分は、駆動軸28A、28Bの外径よりも大きい。同様に、軸体37の外径と与圧円盤34の外径との差分は、駆動軸28A、28Bの外径よりも大きい。
ここで、隙間G1の間隔は、駆動軸28A、28Bの外径よりも僅かに小さい。前円盤33と与圧円盤34との間には隙間G2が形成されているので、与圧円盤34と後円盤36との間に駆動軸28A、28Bを配置したときに与圧円盤34が前円盤33側に僅かにたわむ。このたわみは、駆動軸28A、28Bを後円盤36に押圧する力を発生する。
以下、図9を参照しつつ、アクチュエータ13の動作原理について説明する。図9の(a)部、(b)部及び(c)部は、アクチュエータ13の動作原理を説明する図である。説明の便宜上、図9では、一方のリニアモータ22Aとキャリッジ26とを示し、他方のリニアモータ22B等の図示を省略する。
図9の(a)部は、キャリッジ26の位置を保持する態様を示す。上述したように、キャリッジ26は、与圧円盤34と後円盤36との間に駆動軸28Aが挟み込まれ、当該挟み込みによる与圧によってキャリッジ26の位置が維持される。より詳細には、キャリッジ26は、与圧を垂直抗力とする摩擦抵抗力によってその位置が維持される。このとき、制御装置27は、超音波素子29Aに対して電圧を提供しない(電圧値ゼロ、電圧E1参照)。あるいは、制御装置27は、所定の電圧値を有する直流電流を超音波素子29Aに提供してもよい。
キャリッジ26が駆動軸28Aとの間の摩擦抵抗力によってその位置を維持することは上述したとおりである。ここで、駆動軸28Aを移動させるとき、キャリッジ26が駆動軸28Aに伴って移動する態様と、キャリッジ26が駆動軸28Aに伴わず、その慣性によって位置を維持し続ける態様と、が生じ得る。これらの態様は、駆動軸28Aを移動させる速度、すなわち超音波振動の周波数によりいずれの態様となるかを決定できる。例えば、比較的低い周波数(15kHz~30kHz)であるとき、キャリッジ26は、駆動軸28Aに伴って移動する。例えば、比較的高い周波数(100kHz~150kHz)であるとき、キャリッジ26は、駆動軸28Aに伴わず位置を維持する。
例えば、図9の(b)部に示すように、駆動軸28Aを上方向(正方向)へ移動させるときに、キャリッジ26も駆動軸28Aの移動に伴わせる。つまり、駆動軸28Aとキャリッジ26との相対な位置関係は変化しない。そして、駆動軸28Aを下方向(負方向)へ移動させるときに、キャリッジ26を駆動軸28Aの下方への移動に伴わせない。つまり、駆動軸28Aとキャリッジ26との相対な位置関係は変化する。これらの動作を繰り返すと、キャリッジ26は、次第に上方へ移動する。つまり、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧(電圧E2における符号E2a)の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期(電圧E2における符号E2b)よりも長くすることにより、キャリッジ26を上方へ移動させることができる。
逆に、図9の(c)部に示すように、駆動軸28Aを下方向へ移動させるときに、キャリッジ26も駆動軸28Aの移動に伴わせる。つまり、駆動軸28Aとキャリッジ26との相対な位置関係は変化しない。そして、駆動軸28Aを上方向へ移動させるときに、キャリッジ26を駆動軸28Aの上方への移動に伴わせない。つまり、駆動軸28Aとキャリッジ26との相対な位置関係は変化する。これらの動作を繰り返すと、キャリッジ26は、次第に下方へ移動する。つまり、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧(電圧E3における符号E3a)の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期(電圧E3における符号E3b)よりも短くすることにより、キャリッジ26を下方へ移動させることができる。
なお、キャリッジ26を下方向へ移動させる場合には、上記制御の他に、駆動軸28Aの上下動の両方にキャリッジ26が追従しないようにしてもよい。つまり、見かけ上、キャリッジ26と駆動軸28Aとの間に摩擦抵抗力がキャリッジ26に作用する重力よりも小さくなり、キャリッジ26が落下するように見える。この態様では、キャリッジ26を下方向に移動させる力として、キャリッジ26に作用する重力を利用する。
次に、図10及び図11を参照しつつ、アクチュエータ13の具体的な動作について説明する。
図10の(a)部は、キャリッジ26の位置を維持する動作を示す。上述したように、キャリッジ26の位置を維持する場合には、制御装置27は、それぞれの超音波素子29A、29Bに一定の電圧(図10の(a)部における電圧E4、E5参照)を提供する。
図10の(b)部は、キャリッジ26を上方向へ移動させる動作を示す。このとき、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期よりも長くした交流電圧(図10の(b)部における電圧E6参照)を提供する。同様に、制御装置27は、他方の超音波素子29Bにも、駆動軸28Bを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Bを下方向へ移動させる電圧の周期よりも長くした交流電圧(図10の(b)部における電圧E7参照)を提供する。つまり、制御装置27は、両方の超音波素子29A、26Bに同じ交流電圧を提供する。そして、制御装置27は、一方の駆動軸28Aを上方向に移動させるタイミングと、他方の駆動軸28Bを上方向に移動させるタイミングと、を一致させる。つまり、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに提供する電圧の位相と、他方の超音波素子29Aに提供する電圧の位相と、を互いに同位相の関係とする。そうすると、一方の駆動軸28Aが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P1と、他方の駆動軸28Bが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P2と、は、同じ距離だけ上方に移動していく。その結果、接触部P1、P2は、平行状態を保ったまま、上方に移動する。つまり、キャリッジ26は、重心のまわりに回転することなく、上方向に並進する。
図10の(c)部は、キャリッジ26を下方向へ移動させる動作を示す。このとき、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期よりも短くした交流電圧(図10の(c)部における電圧E8参照)を提供する。同様に、制御装置27は、他方の超音波素子29Bにも、駆動軸28Bを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Bを下方向へ移動させる電圧の周期よりも短くした交流電圧(図10の(c)部における電圧E9参照)を提供する。そうすると、一方の駆動軸28Aが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P1と、他方の駆動軸28Bが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P2と、は、同じ距離だけ下方に移動していく。その結果、接触部P1、P2は、平行状態を保ったまま、上方に移動する。つまり、キャリッジ26は、重心のまわりに回転することなく、上方向に並進する。
上記の制御によれば、キャリッジ26を下方に移動させるときには、キャリッジ26と駆動軸28A、28Bとの間には摩擦抵抗力が作用しており、それぞれの相対的な位置は変わらない。従って、キャリッジ26が重心のまわりに回転することもない。その結果、例えば、キャリッジ26に保持されたキャピラリ8の姿勢に起因してキャリッジ26を回転させるようなトルクが生じている場合であっても、キャリッジ26の回転を抑制しつつ、キャリッジ26を下方向に移動させることができる。
なお、キャリッジ26を上方向及び下方向へ移動させる並進にあっては、リニアモータ22Aは、1個で実現することもできる。実施形態に係るアクチュエータ13は、2個のリニアモータ22A、22Bを有するので、1個のリニアモータ22Aを有する構成よりも推進力を高めることができる。
図11の(a)部は、キャリッジ26を時計方向に回転させる動作を示す。このとき、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期よりも短くした交流電圧(図11の(a)部における電圧E10参照)を提供する。一方、制御装置27は、他方の超音波素子29Bには、駆動軸28Bを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Bを下方向へ移動させる電圧の周期よりも長くした交流電圧(図11の(a)部における電圧E11参照)を提供する。つまり、制御装置27は、超音波素子29Aに提供する電圧と、超音波素子29Bに提供する電圧と、を互いに異ならせる。そして、制御装置27は、一方の駆動軸28Aを上方向に移動させるタイミングと、他方の駆動軸28Bを下方向に移動させるタイミングと、を一致させる。つまり、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに提供する電圧の位相と、他方の超音波素子29Bに提供する電圧の位相と、を互いに逆位相の関係とする。そうすると、一方の駆動軸28Aが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P1が下方向に移動し、他方の駆動軸28Bが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P2が上方向へ移動する。つまり、接触部P1、P2は、互いに逆方向へ移動する。これらの移動量が一致するならば、接触部P1、P2は、Z軸の方向における位置を保ったまま、時計方向に回転する。
図11の(b)部は、キャリッジ26を反時計方向に回転させる動作を示す。このとき、制御装置27は、一方の超音波素子29Aに、駆動軸28Aを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Aを下方向へ移動させる電圧の周期よりも長くした交流電圧(図11の(b)部における電圧E12参照)を提供する。一方、制御装置27は、他方の超音波素子29Bには、駆動軸28Bを上方向へ移動させる電圧の周期を、駆動軸28Bを下方向へ移動させる電圧の周期よりも短くした交流電圧(図11の(b)部における電圧E13参照)を提供する。そうすると、一方の駆動軸28Aが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P1が上方向に移動し、他方の駆動軸28Bが与圧円盤34及び後円盤36に押圧される接触部P2が下方向へ移動する。つまり、接触部P1、P2は、互いに逆方向へ移動する。これらの移動量が一致するならば、接触部P1、P2は、Z軸の方向における位置を保ったまま、反時計方向に回転する。
<交換動作>
続いて、上記のキャピラリ交換部9によって行われるキャピラリ交換動作について説明する。
図12の(a)部は、超音波ホーン7に取り付けられたキャピラリ8Uを交換する直前の状態を示す。キャピラリ交換部9は、上記のキャピラリ保持部11、キャピラリ案内部12及びアクチュエータ13に加えて、付加的な構成要素としてキャピラリストッカ39と、キャピラリ回収部41と、を有する。キャピラリストッカ39は、交換用のキャピラリ8Nを複数収容する。また、キャピラリ回収部41は、使用済みのキャピラリ8Uを収容する。
図12の(a)部に示された状態は、例えば、超音波ホーン7に取り付けられたキャピラリ8Uによってワイヤボンディング作業が行われている状態である。従って、キャピラリ交換部9は、当該ワイヤボンディング作業を妨げない位置に退避してもよい。
図12の(b)部は、交換動作における第1ステップの状態を示す。まず、キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を時計方向に回転させる。この回転は、図11の(a)部に示した動作に対応する。この回転によって、ワイヤボンディング作業を妨げない位置に退避していたキャピラリ保持部11がキャピラリ8Uの下方に位置する。
図13の(a)部は、交換動作における第2ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を上方に移動させる。この移動は、図10の(b)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11は、超音波ホーン7に取り付けられたキャピラリ8Uを保持する。
図13の(b)部は、交換動作における第3ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を下方に移動させる。この移動は、図10の(c)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11に保持されたキャピラリ8Uが超音波ホーン7から取り外される。
図14の(a)部は、交換動作における第4ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を時計方向に回転させる。この移動は、図11の(a)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11に保持されたキャピラリ8Uがキャピラリ回収部41に搬送され、使用済みのキャピラリ8Uとして回収される。
図14の(b)部は、交換動作における第5ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を反時計方向に回転させる。この移動は、図11の(b)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11は、交換用の新規なキャピラリ8Nを保持する。
図15の(a)部は、交換動作における第6ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を時計方向に回転させる。この移動は、図11の(a)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11に保持された新規なキャピラリ8Nは、超音波ホーン7の孔7hの下方に位置する。
図15の(b)部は、交換動作における第7ステップの状態を示す。キャピラリ交換部9は、制御装置27によってキャリッジ26を上方に移動させる。この移動は、図10の(b)部に示した動作に対応する。この移動によって、キャピラリ保持部11に保持された新規なキャピラリ8Nは、超音波ホーン7の孔7hに刺し込まれる。この刺し込みにおいては、図6及び図7に示されたキャピラリ保持部11及びキャピラリ案内部12の作用によって、キャピラリ8Nとキャピラリ案内部12とのずれ、及び、キャピラリ8Nと超音波ホーン7の孔7hとのずれが解消されるので、確実に装着することができる。
以下、実施形態に係るアクチュエータ13及びワイヤボンディング装置1の作用効果について説明する。
アクチュエータ13は、一対のリニアモータ22A、22Bを備えており、それぞれのリニアモータ22A、22Bにおいて生じさせる力は、制御装置27によって制御される。この構成によれば、一対のリニアモータ22A、22Bにおいて生じさせる力の向きを一致させることにより、キャリッジ26を並進させることが可能になる。さらに、リニアモータ22A、22Bにおいて生じさせる力の向きを互いに逆向きにすることにより、キャリッジ26には重心まわりのトルクが生じる。その結果、キャリッジ26を、その重心まわりに回転させることが可能になる。その結果、アクチュエータ13は、並進及び回転という複数の動作が可能である。
つまり、本実施形態に係るアクチュエータ13は、並進と回転とを行うことが可能であるが、並進のためのだけの駆動機構及び回転のためだけの駆動機構と、をそれぞれ準備する必要がない。従って、並進用駆動機構及び回転用駆動機構のそれぞれを準備する構成に比べて、アクチュエータ13の大きさを小型化することができる。
ワイヤボンディング装置1は、アクチュエータ13を備えたキャピラリ交換部9を備える。このアクチュエータ13は、並進と回転との二つの動作を行い得る。従って、ワイヤボンディング装置1にキャピラリ8の交換機能を付与しつつ、キャピラリ交換部9の大型化を抑制することが可能である。従って、ワイヤボンディング装置1の高機能化と小型化とを両立することができる。
さらに、ワイヤボンディング装置1は、キャピラリ保持部11に保持されたキャピラリ8が、キャピラリ案内部12に導かれながら孔7hに挿入される。従って、孔7hに対してキャピラリ8がずれていても、キャピラリ案内部12によってずれが修正される。さらに、キャピラリ保持部11は、アクチュエータ13に固定された下ソケット18に対して、上ソケット16及びコイルバネ17を含む可撓部10がキャピラリ8の位置を相対的に変位可能に保持する。その結果、孔7hに対するキャピラリ8のずれに加えて、孔7hに対してキャピラリ案内部12がずれている場合にも、キャピラリ8をキャピラリ案内部12及び孔7hに倣うように、キャピラリ8の姿勢を変化させながら挿入することができる。従って、作業者の手によらず、新規なキャピラリ8をワイヤボンディング装置1に自動的に取り付けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施してよい。
<変形例1>
実施形態では、第1及び第2力発生部として、慣性の法則を利用したインパクト駆動方式を原理とする超音波駆動モータを例示した。しかし、第1及び第2力発生部は、この構成に限定されず、所定方向に沿う力を発生し得るものであれば第1及び第2力発生部として採用してもよい。例えば、第1及び第2力発生部として、ボールねじを利用したリニアガイドを採用してもよい。
<変形例2>
キャピラリ保持部は、キャピラリ8の姿勢を柔軟に変更し得る態様で保持できればよい。従って、上記キャピラリ保持部の構成に限定されず、図16に示す変形例に係るキャピラリ保持部11Aを採用してもよい。
キャピラリ保持部11Aは、主要な構成要素として、金属製のパイプ42と、シリコーン樹脂製のチューブ43と、キャップ44と、を有する。パイプ42は、筒状を呈し、その内部にチューブ43を収容する。パイプ42の一端及びチューブ43の一端は、キャップ44によって閉鎖される。このキャップ44は、ホルダ14によって保持される。チューブ43の上端43a(上端開口縁)は、パイプ42の上端42aと略一致する。また、チューブ43の外径は、パイプ42の内径よりも小さい。つまり、チューブ43の外周面とパイプ42の内周面との間には、僅かな隙間が形成される。そして、チューブ43の上端43aにおいて、キャピラリ8のテーパ面8aが保持される。
このキャピラリ保持部11Aによれば、チューブ43が所定の可撓性を有する。従って、チューブ43の外周面とパイプ42の内周面との間に形成された隙間の分だけ、キャピラリ保持部11Aはキャピラリ8の姿勢変更を許容できる。具体的には、パイプ42の軸線42Aと交差する方向への偏心及び傾きを許容できる。
ここで、チューブ43のみの場合、キャピラリ8の姿勢によってはチューブ43の剛性が不足するため、キャピラリ8を保持できない場合が生じ得る。しかし、チューブ43の外側には、チューブ43よりも剛性の高いパイプ42が存在するので、チューブ43の剛性が不足する場合であっても、パイプ42によってキャピラリ8の変位を許容範囲に収めることができる。
さらに、チューブ43にキャピラリ8が差し込まれた状態では、当該上端43aの内周縁とテーパ面8aとの接触状態は、線接触となる。従って、実施形態に係るキャピラリ保持部11Aと同様に、キャピラリ8を傾けて保持することもできる。
<変形例3>
上記のキャピラリ案内部12は、テーパ孔部12tの壁面と、平行孔部12pの壁面とにキャピラリ8を接触させながら、キャピラリ8を超音波ホーン7の孔7hに導く。テーパ孔部12t及び平行孔部12pは、図17に示すように、前端面12cに開口部12eを有する。この形状によれば、キャピラリ8を上方に移動させているとき、キャピラリ8は、前方(X軸方向)には支持されていないので、キャピラリ8が壁面12W(図19参照)に対して逆側に傾く可能性がある。そこで、変形例に係るキャピラリ案内部12Sは、このキャピラリ8の傾きの発生を防止し、さらに確実にキャピラリ8を超音波ホーン7の孔7hへ挿入可能とするものである。
図17、図18及び図19に示すように、キャピラリ案内部12Sは、キャピラリ8を孔7hに案内するガイド孔12hを有する。ガイド孔12hは、キャピラリ8の挿入方向(Z軸方向)に沿って並ぶテーパ孔部12t(第1孔部)と、平行孔部12p(第2孔部)と、を含む。そして、キャピラリ案内部12は、テーパ孔部12tが形成されたテーパ部51と、平行孔部12pが形成された平行案内部52と、を含む。
このテーパ孔部12tは、挿入方向(Z軸方向)に向かって直径が小さくなる、すり鉢状のテーパ孔である。ここでいう挿入方向とは、下面12bから上面12aに向かう方向をいう。また、平行孔部12pは、孔7hと同軸に配置されて、平行孔部12pの軸線12A(図18、図19参照)に沿うようにキャピラリ8を案内する。ここでいう「同軸」とは、平行孔部12pの軸線12Aと、孔7hの軸線7Aとが完全に一致(重複)していることに限定されない。「同軸」とは、平行孔部12pから孔7hにキャピラリ8を挿入可能な軸線の位置関係を意味するものであり、平行孔部12pから孔7hにキャピラリ8を挿入可能な構成における軸線同士のずれは許容される。
そして、キャピラリ案内部12Sは、一対のコイルばね53を有する。コイルばね53は、平行孔部12pに挿入されたキャピラリ8に対して、軸線12Aと交差する方向(XY平面の面内方向)に向かう力を提供する。このコイルばね53は、平行案内部52に設けられている。具体的には、平行案内部52に設けられた孔52hに挿入されている。コイルばね53は、平行案内部52に位置するキャピラリ8を支持するものである。
コイルばね53は、その軸線L53がXY平面に対して平行となるように配置されている。また、コイルばね53の軸線L53は、軸線12Aに対してねじれの位置にある。キャピラリ8が当接可能な壁面12Wの点P12と、平行孔部12pの軸線12Aと、コイルばね53においてキャピラリ8と当接可能な点P53と、は、平行孔部12pの軸線12Aを通る径方向線12K上に配置される。
コイルばね53は、外力が作用しない状態(以下「自然状態」という)において、その形状を維持できる弾性率を有する。具体的には、コイルばね53は、その軸線L53を水平方向と一致するように保持した場合に、鉛直方向に有意なたわみを生じない。そして、コイルばね53は、軸線L53と交差する方向に向かう外力が加わると、その外力と逆向きの反力を生じる。
図19に示すように、平行孔部12pの壁面12Wとコイルばね53とに囲まれた領域Sにキャピラリ8が挿入される。コイルばね53と壁面12Wとの間の距離M1は、キャピラリ8の直径よりもわずかに小さい。そうすると、領域Sにキャピラリ8が挿入されると、キャピラリ8は、コイルばね53を壁面12Wと逆側(つまり、開口部12e側)に押圧(力F1)する。この力F1に対して、コイルばね53は、反力F2を発生させる。この反力F2によって、キャピラリ8は、壁面12Wに押し付けられる。
従って、平行孔部12pにおいて、キャピラリ8は、その外周面8tが壁面12Wに接触する。つまり、キャピラリ8の外周面8tが壁面12Wに接触した状態において、キャピラリ8は、軸線12Aの方向に摺動していく。その結果、キャピラリ8は、軸線12Aに対して傾くことなく、安定した状態で移動することができるので、さらに確実にキャピラリ8を超音波ホーン7の孔7hに導くことができる。
なお、図17、図18、図19等に示す付勢部材としてのコイルばね53は、一例であり、付勢部材の構成は当該コイルばね53に限定されない。付勢部材は平行孔部12pの壁面12Wに向けてキャピラリ8を押圧可能な構成であれば適宜採用してよい。