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JP7574138B2 - 差動伝送基板および電力重畳差動データ通信装置 - Google Patents
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JP7574138B2 - 差動伝送基板および電力重畳差動データ通信装置 - Google Patents

差動伝送基板および電力重畳差動データ通信装置 Download PDF

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Description

本発明は、差動伝送基板および電力重畳差動データ通信装置に関し、特に、自動車内の電子制御装置(ECU)-ECU間、ECU-センサ間の差動データ伝送線路に電力を重畳させる差動伝送基板および電力重畳差動データ通信装置に適用して有効な技術に関する。
自動車の自動運転化に向け外界の状況をセンシングするためのレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging:光検出と測距、または、Laser Imaging Detection and Ranging:レーザー画像検出と測距)、カメラなどのセンサ類が自動車内に増加し、それらセンサがセンシングしたデータを受信し信号処理する電子制御装置(ECU)や、ECU-ECU間のデータ伝送量が飛躍的に増加している。また増加したセンサ類に電力を供給するための電源ケーブルの本数も増加している。
一方、これらの増加したデータ伝送量に対応するため、イーサネット通信(イーサネット:商標登録)を車載向けに適用するための規格化が進められている。この車載イーサネットの規格では、PoDL(Power Over Data Line)と呼ばれる差動伝送線路に直流電力を重畳させることで、データ伝送に合わせてセンサやECUへの電源電力を供給可能な機能も組み込まれており、増加したセンサ類に電力を供給するための電源ケーブルの本数を削減することができる。
PoDLが適用可能な車載イーサネット規格として、2016年に1Gbpsのデータ伝送が可能な1000BASE-T1が規格制定を完了している。2021年現在では、2.5Gbps、5.0Gbps、10Gbpsのマルチギガビットのデータ伝送が可能となる2.5GBASE-T1、5.0GBASE-T1、10GBASE-T1が規格制定中である。
直流電力が重畳される差動信号を用いて通信を行う差動通信装置として、特許文献1(特開2019-47165号公報)が提案されている。特許文献1は、イミュニティ性能(対ノイズ性)を維持しつつ、差動信号に直流電力を重畳させることができる差動通信装置を開示している。すなわち、直流電力が重畳される差動信号を用いて通信を行う差動通信装置は、前記差動信号を伝送する外部の信号線と接続するコネクタと、前記通信を行う通信回路と前記コネクタとの間を接続する一対の信号線上に設けられるコモンモードチョークコイルと、前記差動信号に重畳される前記直流電力を給電又は受電する電力回路と、前記一対の信号線の各々に対応して前記通信回路と前記コモンモードチョークコイルとの間に設けられ、前記通信回路と前記コモンモードチョークコイルとの間に接続される容量素子、及び前記電力回路と前記コモンモードチョークコイルとの間に接続される誘導素子を含む一対のレギュレータ回路と、を有する。特許文献1において、コモンモードチョークコイルにコモンモードノイズが入力されると、コモンモードチョークコイルの一対のコイルに発生する磁束は互いに強めあい、コモンモードチョークコイルは、高いインピーダンスを発生してコモンモードノイズの通過を妨げる。一方、コモンモードチョークコイルに差動信号が入力されると、一対のコイルに発生する磁束がキャンセルされ、コモンモードチョークコイルは高いインピーダンスを発生せず、差動信号を通過させる。
特開2019-47165号公報
PoDLを用いた電力重畳差動データ伝送では、規格において、モジュール間の伝送はUTPケーブル(Unshielded Twisted Pair Cable)、STPケーブル(Shielded Twisted Pair Cable)が用いられる。PoDLではモジュールの差動伝送基板上に実装される送受信IC(IC:半導体集積回路装置)で発生した同相雑音や、差動伝送基板に飛びついた同相雑音が上記のUTPケーブル上から放射されるという課題がある。
本発明者らは、電力重畳差動データ通信装置に用いられる差動伝送基板について検討を行った。この検討の結果、コモンモードノイズ(同相雑音)の放射雑音を減らすために、コモンモードチョークコイルを実装するのが有効であり、データ信号が伝送する差動モードの信号は減衰させずに、同相雑音が伝送する同相モードのみ減衰させることができ、UTPケーブルから放射される量を低減させることができることがわかった。
しかしながら、自動車の自動運転化に向け、自動車内の電子制御装置(ECU)-ECU間やECU-センサ間を電力重畳差動データ伝送によって接続する場合、各ECUや各センサに電力重畳差動データ通信装置が設けられるので、電力重畳差動データ通信装置の数も多くなる。そのため、電力重畳差動データ通信装置に用いられる差動伝送基板は部品点数をできるだけ少なくして低コストで構成することも重要である。また、本発明者らは、差動データ信号と直流電力を分離するためのフィルタを形成するコンデンサ素子とインダクタ素子とが実装される差動伝送基板において、差動伝送基板のフットパタン(つまり、接地配線のレイアウト配置(パターン))の影響による寄生容量成分(コンデンサ素子と接地配線との間の寄生容量成分、および、インダクタ素子と接地配線との間の寄生容量成分)により、高周波での反射特性が悪化する問題があることにも気づいた。
本発明の目的は、低コストで放射雑音が小さく、かつ高周波動作可能な電力重畳差動データ伝送の技術を提供することである。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する差動伝送基板は、2本の配線パタンからなる第1の差動伝送線路と、2本の配線パタンからなる第2の差動伝送線路と、直流電力を伝送する2本の直流伝送線路と、直流電力をカットし差動データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子と、差動データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子と、を含み、第1の差動伝送線路と第2の差動伝送線路が直列に接続され、第2の差動伝送線路に2つのコンデンサ素子が直列に接続され、第2の差動伝送線路と直流伝送線路とが2つのインダクタ素子を介してそれぞれ接続され、第1の差動伝送線路の差動モードにおける特性インピーダンスと第2の差動伝送線路の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等であり、かつ第1の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスよりも第2の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスが高い。
上記によれば、低コストで放射雑音が小さく、かつ高周波動作可能な電力重畳差動データ伝送の技術を提供できる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
実施の形態1に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す平面図である。 図1AのP1線およびP3線に沿う差動伝送基板の断面図である。 図1AのP2線に沿う差動伝送基板の断面図である。 図1Aから実装素子を削除した場合の差動伝送基板を示す平面図である。 比較例1に係る差動伝送基板を示す図である。 比較例2に係る差動伝送基板を示す図である。 比較例3に係る差動伝送基板を示す図である。 実施の形態2に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。 実施の形態3に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。 図4Aの線P1に沿う差動伝送基板の断面図である。 図4Aの線P4に沿う差動伝送基板の断面図である。 実施の形態4に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。 実施の形態5に係る電力重畳差動データ通信装置を示す図である。 実施の形態1に係る差動伝送基板の差動モードの反射特性を示すスミスチャートである。 実施の形態1に係る差動伝送基板の差動モードの伝送特性を示すグラフである。 実施の形態1に係る差動伝送基板の同相モードの反射特性を示すスミスチャートである。 実施の形態1に係る差動伝送基板の同相モードの伝送特性を示すグラフである。 実施の形態1に係る差動伝送基板の差動モードの反射特性を示すシミュレーション結果である。 実施の形態1に係る差動伝送基板の差動モードの伝送損失特性を示すシミュレーション結果である。 実施の形態1に係る差動伝送基板にケーブルを接続時における差動モードの反射特性を説明するグラフである。 実施の形態1に係る差動伝送基板にケーブルを接続時における差動モードの伝送特性を説明するグラフである。 実施の形態1に係る差動伝送基板にケーブルを接続時における同相モードの反射特性を説明するグラフである。 実施の形態1に係る差動伝送基板にケーブルを接続時における同相モードの伝送特性を説明するグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。実施の形態または実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
実施の形態を説明するための全図において、同一の構成要素や同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することがある。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
(実施の形態1)
以下、図を用いて、実施の形態1を詳細に説明する。図1Aは、実施の形態1に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す平面図である。図1Bは、図1Aの線P1および線P3に沿う差動伝送基板の断面図である。図1Cは、図1Aの線P2に沿う差動伝送基板の断面図である。図1Dは、図1Aから実装素子を取り除いた場合の差動伝送基板を示す平面図である。
図1Aに示す差動伝送基板1は、電力重畳型の差動データ通信装置(電力重畳差動伝送通信装置とも言う)を構成する差動伝送基板であり、送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する基板である。差動伝送基板1は、図1A、図1Dに示すように、2本の配線パタン10A、10A’から構成させるマイクロストリップ線路構造の第1の差動伝送線路と、接地電位の供給された接地電位層(GND層とも言う)が削除された領域(GND開口部とも言う)2のパタン上を通る2本の配線パタン10B、10B’から構成されるマイクロストリップ線路構造の第2の差動伝送線路と、2本の配線パタン10A、10A’と同様に、2本の配線パタン10C、10C’から構成されるマイクロストリップ線路構造の差動伝送線路と、を有する。送受信ICが第1の差動伝送線路(10A、10A’)に接続されるように構成され、2本の配線パタン10C、10C’がケーブルに接続されるように構成されている。これにより、送受信ICから出力された差動データ信号が第1の差動伝送線路(10A、10A’)、第2の差動伝送線路(10B、10B’)および2本の配線パタン10C、10C’を経由してケーブルへ伝送され、また、ケーブルから伝送された差動データ信号が2本の配線パタン10C、10C’、第2の差動伝送線路(10B、10B’)および第1の差動伝送線路(10A、10A’)を経由して送受信ICへ伝送されるように構成されている。
差動伝送基板1は、さらに、直流電力を伝送する2本の直流伝送線路11、11’と、直流電力をカットし高速データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子21、21’と、差動データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子22、22’と、を有する。
図1A、図1Dに示すように、第1の差動伝送線路(10A、10A’)と第2の差動伝送線路(10B、10B’)とが直列に接続される。第2の差動伝送線路(10B、10B’)には、直列にコンデンサ素子21、21’が接続される。第2の差動伝送線路(10B、10B’)と直流伝送線路(11、11’)とがインダクタ素子22、22’を介して接続される。また、第2の差動伝送線路(10B、10B’)と2本の配線パタン10C、10C’が直列に接続される。
2本の配線パタン10C、10C’から構成される差動伝送線路は、第1の差動伝送線路ということもできる。つまり、図1A、図1Dに示す差動伝送基板1の構成例において、第2の差動伝送線路(10B、10B’)は、第1の差動伝送線路(10A、10A’)と第1の差動伝送線路(10C、10C’)との間に形成されている。第1の差動伝送線路(10A、10A’)と第1の差動伝送線路(10C、10C’)は、平面視において、GND層が形成されている領域の上に形成されている。一方、第2の差動伝送線路(10B、10B’)は、平面視において、GND層が削除された領域2の上に形成されている。
第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)の差動モードにおける特性インピーダンスと第2の差動伝送線路(10B、10B’)の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等である構成とされている。一方、第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)の同相モードの特性インピーダンスよりも第2の差動伝送線路(10B、10B’)の同相モードの特性インピーダンスが高い構成とされている。
ここで、図1Bは第1の差動伝送線路(図1Aにおける線P1、P3の部分)の断面構造を示している。図1Cは第2の差動伝送線路(図1Aにおける線P2の部分)の断面構造を示している。
第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)では、第1配線層L1を信号線(10A、10A’、10C、10C’)とし、第2配線層L2を接地電位層(GND層またはGNDプレーンとも言う)として使用しており、第1配線層L1の配線幅と第1配線層L1-第2配線層L2間の絶縁体厚みおよび誘電率で特性インピーダンスが決定するという、いわゆるマイクロストリップ線路となっている。このため、第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)は、差動モードにおける特性インピーダンスと同相モードにおける特性インピーダンスがほぼ同等となる特徴を持っている。
一方、第2の差動伝送線路(10B、10B’)では、第1配線層L1を信号線10B、10B’としていることは第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)と同様であるが、信号線路(10B、10B’)の下の第2配線層L2のGNDプレーンは削除された構造となっている。つまり、第2の差動伝送線路(10B、10B’)の直下部分のGNDプレーンもしくはそれに同等のパターンが除去されている。これにより、第2の差動伝送線路(10B、10B’)の差動モードの特性インピーダンスは配線パタン10Bと10B’の差動配線間の距離と第1配線層L1の誘電率で決定する。一方、第2の差動伝送線路(10B、10B’)の同相モードのインピーダンスは依然として第1配線層L1の信号線(10B、10B’)と遠く離れた第2配線層L2のGND層との距離で決定するため、第2の差動伝送線路(10B、10B’)の同相モードのインピーダンスは第1の差動伝送線路(10A、10A’、10C、10C’)における同相モードの特性インピーダンスより高めることができる。このように、同相モードの特性インピーダンスが高い差動伝送線路(第2の差動伝送線路)を少なくとも1つ含む差動伝送基板1を持つことで、同相モードにおける反射を大きくできる。その結果として、実施の形態1の差動伝送基板1では、コモンモードチョークコイルを挿入せずに同相雑音を低減させることが可能となる。つまり、部品点数を低減させて低コストで、放射雑音が小さく、かつ高周波動作可能な電力重畳差動データ伝送向けの差動伝送基板1を提供することができる。
図7A~図7Dを用いて実施の形態1に係る差動伝送基板のシミュレーション結果を説明する。図7Aは、差動モードの反射特性を示すスミスチャートである。図7Bは、差動モードの伝送特性を示すグラフである。図7Cは、同相モードの反射特性を示すスミスチャートである。図7Dは、同相モードの伝送特性を示すグラフである。
図7A~図7Dは、理想的な無損失伝送線路であって、差動モードの特性インピーダンスが50Ω(差動100Ω)で、同相モードの特性インピーダンスが200Ωを持ち2.5GHzの周波数にて1/4波長の電気長を持つ差動伝送線路単体のシミュレーション結果を示している。図7Aの差動モードの反射特性(スミスチャート)と図7Bの差動モードの伝送特性を見てわかる通り、データ信号が伝送する差動モードに対しては低反射かつ低減衰特性という理想的な伝送特性が得られつつ、図7Cの同相モード反射特性(スミスチャート)と図7Dの同相モードの伝送特性を見てわかる通り、同相雑音が伝送する同相モードに対しては反射が大きくかつ強い減衰特性という雑音除去に対して理想的な特性が得られていることが確認できる。
また、図7Dを見てわかる通り、同相モードの減衰量は2.5GHzにおいて最も大きくなっている。これは、図7Cに示す通り、伝送線路の電気長が2.5GHzにおいて1/4波長(λ)となる場合に、インピーダンスが最も大きくなり、反射量が最大となるためである。つまり、これは本発明における差動伝送基板1に構成される第2の差動伝送線路(10B、10B’)の線路長は着目する周波数(例えば、最も除去したい雑音の周波数)に対して、1/4波長となる条件の時に、インピーダンスが最大化することを意味している。なお、上記の2.5GHzという周波数は10GBASE-T1における伝送データのナイキスト周波数となっている。第2の差動伝送線路(10B、10B’)の線路長(電気長:1/4・λ)は、図1Aに示すように、差動データ伝送の周波数を2.5GHzとする場合、2cm程度になる。
次に、本発明における差動伝送基板1のもう一つの利点について図2A~図2Cの比較例を用いて説明する。図2A~図2Cに示す比較例1-3に係る差動伝送基板は、発明者により検討された差動伝送基板であって、公知とされた差動伝送基板の構成ではない。図2Aは比較例1にかかる差動伝送基板であり、コモンモードチョークコイルを用いた差動伝送基板の構成例を示している。図2Bは比較例2にかかる差動伝送基板であり、コンデンサ素子とインダクタ素子の実装配置される箇所のみGND層を除去した差動伝送基板の構成例を示している。図2Cは比較例3にかかる差動伝送基板であり、インダクタ素子のGND層の除去による影響を減らすために,インダクタ素子を直流電力伝送線路の上側に移動させてからGND層を除去した差動伝送基板の構成例を示している。
図2Aに示すように、差動伝送基板4Aは、コモンモードチョークコイルを用いる電力重畳差動データ通信装置における差動伝送基板の一例を示している。ここで、コンデンサ素子21、21’とインダクタ素子22、22’が差動線路10A、10A’と接続実装されている。この場合、コンデンサ素子21、21’とGNDプレーン(GND層とも言う)との間、および、インダクタ素子22、22’とGNDプレーンとの間に寄生容量結合が発生し、差動伝送基板4Aの高周波伝送特性を悪化させる要因となる。
図2Bに示すように、差動伝送基板4Bは、コンデンサ素子21、21’とインダクタ素子22、22’の実装配置される箇所のみGND層を除去した領域2C、2Lとした差動伝送基板の一例である。この場合、単純にGND層を除去するだけでは、差動線路10A、10A’の差動モードの特性インピーダンスが増加してしまい、インピーダンス不整合が発生することで、差動伝送特性が悪化する問題がある。特に、PoDL用途で用いるインダクタ素子には最大1A程度の直流電流が流れるため、インダクタ素子22、22’のサイズが大きくなり、インダクタ素子22、22’の実装配置される箇所のGND層の削除した領域2Lの面積が大きくなり、インピーダンス不整合の影響は大きくなる。
図2Cに示すように、差動伝送基板4Cは、インダクタ素子22、22’のGND層の削除による影響を減らすために、インダクタ素子22、22’を直流電力伝送線路(直流伝送線路)11、11’の上側に移動させ、かつ、GND層を除去した領域2L1,2L2に実装配置した差動伝送基板の一例である。これにより、GND層の除去による差動線路10A、10A’の差動モードの特性インピーダンスへの影響を減らしている。しかし、差動線路10A、10A’(10C、10C’)と直流電力伝送線路11、11’との間には、差動線路10A、10A’(10C、10C’)から延びる一定の線路長Lb、Lb’の2つの伝送配線ST、ST’と、伝送配線ST、ST’に接続されたインダクタ素子22、22’とが接続される。そのため、この部分の配線ST、ST’が高周波においてオープンスタブとして見える。そのため、データ伝送を行う高周波において差動伝送基板4Cの高周波伝送特性が悪化してしまう。これらの影響は、マルチギガビットのデータ伝送が可能となる2.5GBASE-T1、5.0GBASE-T1、10GBASE-T1などの規格においては、その影響がさらに顕著になる。つまり,比較例の差動伝送基板4Cではマルチギガビット伝送におけるPoDLの実現が困難であった。
しかし、本発明における図1の差動伝送基板1では、差動モードのインピーダンス整合が取れ、かつGND層の除去された領域2の上において、第2の差動伝送線路10B、10B’にてコンデンサ素子21、21’とインダクタ素子22、22’が実装配置されている。そのため、インピーダンスの不整合無しにコンデンサ素子21、21’とインダクタ素子22、22’周辺のGNDプレーンを削除することで、寄生容量の影響を無くして高周波特性を得る効果を得ることができる。つまり、本発明の構成は、同相モードの雑音低減の効果のみならず、高周波特性を向上する効果を持ち、マルチギガビットデータ伝送向けのPoDL型の差動データ伝送装置ないし差動データ通信装置を実現する上で有用となる差動伝送基板の技術である。
次に、図8A、図8Bを用いて、図1Aの差動伝送基板1の伝送特性のシミュレーション結果を説明する。図8Aは、実施の形態1に係る差動伝送基板の差動モードの反射特性を示すシミュレーション結果である。図8Bは、実施の形態1に係る差動伝送基板の伝送損失特性を示すシミュレーション結果である。ここで、このシミュレーションでは、図1Aにおいて、第1の差動伝送線路10A、10A’(左側)から差動信号を入力して、第2の差動伝送線路10B、10B’を経由し、差動伝送線路10C、10C’(右側)へ差動信号を出力する差動信号系としている。なお、図1Aの差動伝送線路10C、10C’は、第1の差動伝送線路10A、10A’と同様に、その同相モードの特性インピーダンスが第2の差動伝送線路10B、10B’よりも低い差動伝送線路である。図1Aでは、第2の差動伝送線路10B、10B’の左側に第1の差動伝送線路10A、10A’が接続され、第2の差動伝送線路10B、10B’の右側に再び同相モードの特性インピーダンスが第2の差動伝送線路10B、10B’よりも低い差動伝送線路10C、10C’が接続されている。
図8Aの反射特性のシミュレーション結果の通り、実施の形態1の差動伝送基板1は規格で規定されている反射特性を満たしている。また、図8Bの伝送特性のシミュレーション結果の通り、データ信号が伝送する差動モードの伝送損失は小さく、同相雑音が伝送する同相モードの伝送損失が大きくなっていることが確認できる。
図9A~図9Dを用いて、本発明の差動伝送基板1にUTPケーブルを接続した場合の実測結果を説明する。図9Aは、差動モードの反射特性を説明するグラフである。図9Bは、差動モードの伝送特性を説明するグラフである。図9Cは、同相モードの反射特性を説明するグラフである。図9Bは、同相モードの伝送特性を説明するグラフである。なお、図9A~図9Dにおいて、「本構造有」は差動伝送基板1に係る実測結果を示し、「本構造無」は比較例の差動伝送基板に係る実測結果を示している。
図9Aの差動モードの反射特性と図9Bの差動モードの伝送特性を見てわかる通り、「本構造有」はデータ信号が伝送する差動モードに対しては低反射かつ低減衰特性という理想的な伝送特性が得られている。図9Cの同相モードの反射特性と図9Dの同相モードの伝送特性を見てわかる通り、「本構造有」は同相雑音が伝送する同相モードに対しては反射が大きくかつ強い減衰特性という雑音除去に対して理想的な特性が得られていることが確認できる。
(実施の形態2)
次に、図3を用いて、実施の形態2に係る差動伝送基板1Aを説明する。図3は、実施の形態2に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。差動伝送基板1Aと実施の形態1の差動伝送基板1とが異なる部分は、差動伝送基板1Aにおいて、第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)がミアンダ構成を有する点である。差動伝送基板1Aの他の構成および効果は、差動伝送基板1と同じである。第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)をミアンダ線路構造とすることで、差動データ伝送の周波数を2.5GHzとした場合の第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)の電気長を維持しつつ、差動伝送基板1Aを小さい面積で実現することができる。その結果、低実装面積かつ低コストな差動伝送基板1Aを用いた電力重畳差動データ通信装置を提供できる。
ここで、図3に示す線P1、P3に沿う断面構造は図1Bに示す断面構造と同じであり、図3に示す線P2に沿う断面構造は図1Cに示す断面構造と基本的に同じである。
図3に示すように、実施の形態2による差動伝送基板1Aは、送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する基板であって、2本の配線パタン10A、10A’から構成させるマイクロストリップ線路構造の第1の差動伝送線路と、GND層が削除されたパタン領域2の上を通りミアンダ線路構造を有する2本の配線パタン10mB、10mB’からなる第2の差動伝送線路と、2本の配線パタン10A、10A’と同様に、2本の配線パタン10C、10C’から構成されるマイクロストリップ線路構造の差動伝送線路と、直流電力を伝送する2本の直流伝送線路11、11’と、を有する。差動伝送基板1Aは、さらに、直流電力をカットし高速データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子21、21’と、高速データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子22、22’とを、有する。
図3に示すように、第1の差動伝送線路(10A、10A’)と第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)が直列に接続される。第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)に直列にコンデンサ素子21、21’が接続される。第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)と直流伝送線路11,11’とがインダクタ素子22,22’を介して接続される。また、第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)と2本の配線パタン10C、10C’が直列に接続される。
第1の差動伝送線路(10A、10A’)の差動モードにおける特性インピーダンスと第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等であり、かつ第1の差動伝送線路(10A、10A’)の同相モードの特性インピーダンスよりも第2の差動伝送線路(10mB、10mB’)の同相モードの特性インピーダンスが高いことを特徴とする。
この実施の形態2では、図3に示す通り、同相モードの特性インピーダンスが高い差動伝送線路10mB、10mB’がミアンダ構成となっているため、差動伝送線路10mB、10mB’を構成するためのGNDプレーンの削除面積を低減することができ、小さい基板面積で本発明の構造を構成させることができる利点がある。つまり、実施の形態2では、より低コストでコモンモードチョークコイルを用いず、データ信号が伝送する差動モードに対しては低反射かつ低減衰特性という理想的な伝送特性が得られつつ、同相雑音が伝送する同相モードに対しては反射が大きくかつ強い減衰特性という雑音除去に対して理想的な特性が得られていることが確認できる。
(実施の形態3)
次に、図4A~図4Cを用いて、実施の形態3に係る差動伝送基板1Bを説明する。図4Aは、実施の形態3に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。図4Bは、図4Aの線P1に沿う差動伝送基板の断面図である。図4Cは、図4Aの線P4に沿う差動伝送基板の断面図である。
実施の形態3による差動伝送基板1Bは3層以上の導電体層(第1配線層L1~第6配線層L6)を持つ多層基板上に実装されており、送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する基板である。図4Aに示すように、差動伝送基板1Bは、2本の配線パタン10A、10A’から構成されるストリップ線路構造の第1の差動伝送線路と、2本の配線パタン10D、10D’から構成され、第1の差動伝送線路よりも信号配線層とGND層の距離が離れているストリップ線路構造の第3の差動伝送線路10D、10D’と、を有する。差動伝送基板1Bは、さらに、GND層が削除されたパタン領域2の上を通り2本の配線パタン10B、10B’から構成される第2の差動伝送線路と、2本の配線パタン10C、10C’から構成される差動伝送線路と、を有する。差動伝送基板1Bは、さらに、直流電力を伝送する2本の直流伝送線路11、11’と、直流電力をカットし高速データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子21、21’と、高速データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子22、22’と、を有する。
第1の差動伝送線路10A、10A’と第3の差動伝送線路10D、10D’とが直列に接続され、前記第3の差動伝送線路10D、10D’と第2の差動伝送線路10B、10B’に直列にコンデンサ素子21、21’が接続される。第2の差動伝送線路10B、10B’と直流伝送線路11、11’とがインダクタ素子22、22’を介して接続される。
第1の差動伝送線路10A、10A’の差動モードにおける特性インピーダンスと第2の差動伝送線路10B、10B’の差動モードの特性インピーダンスと第3の差動伝送線路10D、10D’の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等である。また、第1の差動伝送線路10A、10A’の同相モードの特性インピーダンスよりも第2の差動伝送線路10B、10B’と第3の差動伝送線路10D、10D’の同相モードの特性インピーダンスが高いことを特徴とする。
図4Aにおいて、番号31、31’は、ビア(Via)電極の配置位置を表している。図4A-図4Cには記載されないが、例えば、第1の差動伝送線路(10A、10A’)および第3の差動伝送線路10D、10D’の形成される第4配線層L4と第2の差動伝送線路10B、10B’および差動伝送線路10C、10C’との形成される第1配線層L1との接続は、ビア(Via)電極31、31’により電気的に接続することができる。
ここで、図4Bは第1の差動伝送線路10A、10A’(図4Aにおける線P1に沿う部分)の断面構造を示し、図4Cは第3の差動伝送線路10D、10D’(図4Aにおける線P4に沿う部分)の断面構造を示している。図4Bに示すように、第1の差動伝送線路10A、10A’では、第4配線層L4を信号線10A、10A’とし、第3配線層L3、第5配線層L5層をGNDプレーンとして使用しており、第1の差動伝送線路10A、10A’は第4配線層L4で構成されている。第1の差動伝送線路10A、10A’では、第4配線層L4の配線幅と第3配線層L3-第4配線層L4間および第4配線層L4-第5配線層L5間の絶縁体厚みおよび誘電率で特性インピーダンスが決定するという、いわゆるストリップ線路構造となっている。したがって、第1の差動伝送線路10A、10A’では、差動モードにおける特性インピーダンスと同相モードにおける特性インピーダンスがほぼ同等となる特徴を持っている。
一方、第3の差動伝送線路10D、10D’では、第4配線層L4を信号線10D、10D’としていることは第1の差動伝送線路(10A、10A’)と同様であるが、第2配線層L2、第6配線層L6をGNDプレーンとして使用している。したがって、第3の差動伝送線路10D、10D’では、差動モードの特性インピーダンスは第4配線層L4の配線幅と差動配線10D-10D’間の距離および第2配線層L2-第4配線層L4間、第4配線層L4-第6配線層L6間の絶縁体厚みおよび誘電率で決定するが、同相モードの特性インピーダンスは第4配線層L4の配線幅と第2配線層L2-第4配線層L4間、第4配線層L4-第6配線層L6間の絶縁体厚みおよび誘電率で決定する。このため、第3の差動伝送線路10D、10D’の同相モードの特性インピーダンスは、第1の差動伝送線路10A、10A’よりも信号配線層とGND層の絶縁体厚みの大きい第3の差動伝送線路10D、10D’のほうが高くすることができる。このように、同相モードの特性インピーダンスが高い第3の差動伝送線路を少なくとも1つ含む差動伝送基板1Bを持つことで、同相モードにおける反射を大きくし、その結果として、差動伝送基板1Bでは、コモンモードチョークコイルを挿入せずに同相雑音を低減させることが可能となる。
ここで、第3の差動伝送線路10D、10D’において、信号線10D、10D’の第3配線層L3の上側(ここでは、第2配線層L2)または下側(ここでは、第6配線層L6)にGND層を有するマイクロストリップ線路、もしくは、信号線10D、10D’の第3配線層L3の上下側(ここでは、第2配線層L2および第6配線層L6)にGND層を有するストリップ線路構造とすることができる。
また、第2の差動伝送線路の直下部分のGNDプレーンもしくはそれに同等のパターンが除去されている。
実施の形態3のように、同相モードの特性インピーダンスが高い第3の差動伝送線路10D、10D’をGNDプレーンとしての第2配線層L2と第6配線層L6とにより挟み込むことで、外来雑音から第3の差動伝送線路10D、10D’への雑音の飛びつき量を減らすことができる。それにより、ケーブルによって放射される同相雑音の量も減らすことができる。さらに、第3の差動伝送線路10D、10D’が配置される領域において、表層の第1配線層L1に表面実装素子を配置できる。そのため、差動伝送基板1Bの効率的な利用が可能となるという効果もある。
本実施の形態3における差動伝送線路10B、10B’においても実施の形態2で示したミアンダ線路構成を用いて差動伝送基板1Bの面積を削減可能であることは言うまでもない。
(実施の形態4)
次に、図5を用いて、実施の形態4に係る差動伝送基板1Cを説明する。図5は、実施の形態4に係る電力重畳差動データ通信装置を構成する差動伝送基板と実装素子配置を示す図である。
実施の形態4による差動伝送基板1Cは、図5に示すように、送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する基板であって、2本の配線パタン10A、10A’から構成させるマイクロストリップ線路構造の第1の差動伝送線路と、GND層が削除されたパタン領域2上を通る2本の配線パタン10B、10B’からなる第2の差動伝送線路と、直流電力を伝送する2本の直流伝送線路11、11’と、を有する。差動伝送基板1Cは、さらに、差動モードのインピーダンスが低くかつ同相モードのインピーダンスが高いコモンモードチョークコイル40と、直流電力をカットし高速データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子21、21’と、高速データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子22、22’と、を有する。第1の差動伝送線路(10A、10A’)と第2の差動伝送線路(10B、10B’)が直列に接続される。第2の差動伝送線路(10B、10B’)に直列にコモンモードチョークコイル40とコンデンサ素子21、21’とが接続される。第2の差動伝送線路(10B、10B’)と直流伝送線路11,11’がインダクタ素子22,22’を介して接続される。第1の差動伝送線路(10A、10A’)の差動モードにおける特性インピーダンスと第2の差動伝送線路(10B、10B’)の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等である。また、第1の差動伝送線路(10A、10A’)の同相モードの特性インピーダンスよりも第2の差動伝送線路(10B、10B’)の同相モードの特性インピーダンスが高いことを特徴とする。
本実施の形態に係る差動伝送基板1Cでは、コモンモードチョークコイル40と同相モードの特性インピーダンスが高い第2の差動伝送線路(10B、10B’)の両者を用いることで、同相雑音の低減効果を上げる効果がある。さらに、よりコストが安いコモンモードチョークコイル40を用いることや、高周波における同相雑音の低減効果が大きい第2の差動伝送線路10B,10B’と低周波成分の除去に優れたコモンモードチョークコイル40を用いることで、差動伝送基板1Cでは、広い周波数範囲における同相雑音の低減が可能となる利点がある。
(実施の形態5)
次に、図6を用いて、実施の形態5に係る電力重畳差動データ通信装置200を説明する。図6は、実施の形態5に係る電力重畳差動データ通信装置を示す図である。
実施の形態5による第1電力重畳差動データ通信装置200は、図6に示すように、送受信IC(送受信装置とも言う)100からの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブル103へ伝送する電力重畳差動データ通信装置である。ケーブル103の他端には、例えば、第1電力重畳差動データ通信装置200と同一の構成とされた第2電力重畳差動データ通信装置201が接続されて、差動データ通信システム220を構成する。
電力重畳差動データ通信装置200、201のそれぞれは、差動伝送データを送信および受信する送受信IC100と、実施の形態1~4で記載の差動伝送基板1(または、1A~1C)と、直流電力を送電もしくは受電する直流電力送信/受信装置(直流電力送信および受信装置)101と、直流電力が重畳された差動データ信号を電力重畳差動データ通信装置200、201の外部のケーブル103に接続するためのコネクタ102から構成される。ケーブル103は、例えば、UTPケーブル(Unshielded Twisted Pair Cable)、STPケーブル(Shielded Twisted Pair Cable)を用いることができる。直流電力送信装置/直流電力受信装置101は、この例では、給電機器(PSE:Power Sourcing Equipment)と、受電機器(PD:Powered Device)とを含むように構成されている。
送受信IC100からの差動送信/受信データ信号配線と差動伝送基板1(または、1A~1C)が直列に接続される(送受信IC100からの差動送信/受信データ信号配線は、図1Aの配線パタン10A、10A’に接続される)。直流電力送信/受信装置101からの電力配線が差動伝送基板1に並列に接続される(直流電力送信/受信装置101からの電力配線は、図1Aの配線パタン部分11、11’に接続される)。差動伝送基板1(または、1A~1C)において、差動データ信号に直流電力を重畳させた後に、コネクタ102に接続される(コネクタ102は、図1の配線パタン部分10C、10C’に接続される)。これにより、低コストにてPoDLによる電力重畳差動データ通信装置200、201を実現することが可能となる。
電力重畳差動データ通信装置200、201のそれぞれは、例えば、自動車内の電子制御装置(ECU)に内蔵され、ECU-ECU間の電力重畳差動データ通信を行うように構成することができる。また、電力重畳差動データ通信装置200を自動車内のセンサに内蔵させ、電力重畳差動データ通信装置201を自動車内のECUに内蔵させて、センサ-ECU間の電力重畳差動データ通信を行うように構成することができる。
これにより、送受信ICで発生した同相雑音や、差動伝送基板に飛びついた同相雑音がケーブル103から放射されることを低減できる。また、電力重畳差動データ通信装置に用いられる差動伝送基板は部品点数をできるだけ少なくして低コストで構成できる。また、電力重畳差動データ通信装置200、201により、低コストで放射雑音が小さく、かつ高周波動作可能な電力重畳差動データ伝送を実現可能な差動データ通信システム220を提供できる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
1、1A、1B、1C:本発明による差動伝送基板
2:GND層開口部
3:コモンモードチョークコイル
4:差動伝送基板
10A:差動モードの特性インピーダンスと同相モードの特性インピーダンスの値が同等となる差動伝送線路の片側信号配線
10A’:片側信号配線10Aと対となる差動伝送線路のもう片側の信号配線
10B:差動モードの特性インピーダンスよりも同相モードの特性インピーダンスの値が高くなる差動伝送線路の片側信号配線
10B’:片側信号配線10Bと対となる差動伝送線路のもう片側の信号配線
10C:差動モードの特性インピーダンスと同相モードの特性インピーダンスの値が同等となる差動伝送線路の片側信号配線
10C’:片側信号配線10Cと対となる差動伝送線路のもう片側の信号配線
10D:多層基板を用いた場合の差動モードの特性インピーダンスと同相モードの特性インピーダンスの値が同等となる差動伝送線路の片側信号配線
10D’:片側信号配線10Dと対となる多層基板を用いた場合の差動伝送線路のもう片側の信号配線
11:直流電力を供給するもしくは受給するための配線パタン
11’:直流電力を供給するもしくは受給するための配線パタン
21:差動データ信号と直流電力が重畳された信号から差動データ信号成分のみを取り出すためのコンデンサ素子
22:差動データ信号と直流電力が重畳された信号から直流電力のみを取り出すためのインダクタ素子
100:送受信IC
101:直流電力送信装置(PSE)/直流電力受信装置(PD)
102:コネクタ
103:ケーブル
200、201:電力重畳差動データ通信装置
220:差動データ通信システム
P1:差動伝送基板の断面構造の場所を表す線分
P2:本発明における差動モードの特性インピーダンスよりも同相モードの特性インピーダンスの値が高くなる差動伝送線路の断面構造の場所を表す線分
P3:差動伝送基板の断面構造の場所を表す線分
L1~L6:基板の断面構造における導電層(配線層)

Claims (8)

  1. 送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する差動伝送基板であって、
    2本の配線パタンからなる第1の差動伝送線路と、
    2本の配線パタンからなる第2の差動伝送線路と、
    前記直流電力を伝送する2本の直流伝送線路と、
    前記直流電力をカットし、前記差動データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子と、
    前記差動データ信号である高周波成分をカットし、直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子と、を含み、
    前記第1の差動伝送線路と前記第2の差動伝送線路が直列に接続され、
    前記第2の差動伝送線路に前記2つのコンデンサ素子が直列に接続され、
    前記第2の差動伝送線路と前記直流伝送線路とが前記2つのインダクタ素子を介してそれぞれ接続され、
    前記第1の差動伝送線路の差動モードにおける特性インピーダンスと前記第2の差動伝送線路の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等であり、かつ、前記第1の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスよりも前記第2の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスが高い、ことを特徴とする差動伝送基板。
  2. 請求項1に記載の差動伝送基板であって、
    前記第2の差動伝送線路の直下部分のGNDプレーンもしくはそれに同等のパタンが除去されている、ことを特徴とする差動伝送基板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の差動伝送基板であって、
    前記第2の差動伝送線路の線路長が概ね最も除去したい雑音の周波数において1/4波長となる、ことを特徴とする差動伝送基板。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の差動伝送基板であって、
    前記第2の差動伝送線路がミアンダ線路構造を有する、ことを特徴とする差動伝送基板。
  5. 送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する差動伝送基板であって、
    2本の配線パタンからなる第1の差動伝送線路と、
    2本の配線パタンからなる第2の差動伝送線路と、
    2本の配線パタンからなる第3の差動伝送線路と、
    直流電力を伝送する2本の直流伝送線路と、
    直流電力をカットし差動データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子と、
    差動データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子と、を含み、
    前記第1の差動伝送線路と前記第3の差動伝送線路が直列に接続され、
    前記第3の差動伝送線路と前記第2の差動伝送線路が直列に接続され、
    前記第2の差動伝送線路に直列に前記2つのコンデンサ素子が接続され、
    前記第2の差動伝送線路と前記直流伝送線路とが前記2つのインダクタ素子を介して接続され、
    前記第1の差動伝送線路の差動モードにおける特性インピーダンスと前記第2の差動伝送線路の差動モードの特性インピーダンスと前記第3の差動伝送線路の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等であり、かつ、前記第1の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスよりも前記第2の差動伝送線路および前記第3の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスが高く、
    前記第3の差動伝送線路はその信号線の配線層の上側または下側、もしくは上下側にGND層を有するマイクロストリップ線路もしくはストリップ線路構造を有し、
    前記第2の差動伝送線路の直下部分のGNDプレーンもしくはそれに同等のパターンが除去されている、ことを特徴とする差動伝送基板。
  6. 請求項5に記載の差動伝送基板であって、
    前記第2の差動伝送線路がミアンダ線路構造を有する、ことを特徴とする差動伝送基板。
  7. 送受信ICからの差動データ信号に直流電力を重畳させてからケーブルへ伝送する基板であって、
    2本の配線パタンからなる第1の差動伝送線路と、
    2本の配線パタンからなる第2の差動伝送線路と、
    直流電力を伝送する2本の直流伝送線路と、
    差動モードのインピーダンスが低くかつ同相モードのインピーダンスが高いコモンモードチョークコイルと、
    直流電力をカットし差動データ信号のみを通過させる2つのコンデンサ素子と、
    差動データ信号である高周波成分をカットし直流成分のみを通過させる2つのインダクタ素子と、を含み、
    前記第1の差動伝送線路と前記第2の差動伝送線路が直列に接続され、
    前記第2の差動伝送線路に直列に前記コモンモードチョークコイルと前記2つのコンデンサ素子とが接続され、
    前記第2の差動伝送線路と前記直流伝送線路とが前記2つのインダクタ素子を介して接続され、
    前記第1の差動伝送線路の差動モードにおける特性インピーダンスと前記第2の差動伝送線路の差動モードの特性インピーダンスが概ね同等であり、かつ、前記第1の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスよりも前記第2の差動伝送線路の同相モードの特性インピーダンスが高い、ことを特徴とする差動伝送基板。
  8. 差動データを送信および受信する送受信ICと、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の差動伝送基板と、
    直流電力を送電もしくは受電する直流電力送信および受信装置と、
    直流電力が重畳された前記差動データ信号を伝送する外部のケーブルに接続するためのコネクタと、を含み、
    前記送受信ICからの差動送信および受信データ信号配線と前記差動伝送基板の前記第1の差動伝送線路とが接続され、
    前記直流電力送信および受信装置からの電力配線と前記差動伝送基板の前記2本の直流伝送線路とが接続され、
    前記差動伝送基板において、前記差動データ信号に前記直流電力を重畳させた後に、前記直流電力が重畳された前記差動データ信号が前記コネクタに伝送される、ことを特徴とする電力重畳差動データ通信装置。
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