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JP7577142B2 - 電流センサ - Google Patents
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JP7577142B2 - 電流センサ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を用いた磁気平衡式の電流センサに関する。
電気自動車やハイブリッドカーにおけるモータ駆動技術などの分野や、柱状トランスなどインフラ関連の分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定することが可能な電流センサが求められている。このような電流センサとしては、被測定電流からの誘導磁界(電流磁界)を検出する磁気センサを用いたものが知られている。磁気センサ用の磁気検出素子として、例えば、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子などの磁気抵抗効果素子が挙げられる。
磁気抵抗効果素子は、検出感度が高いものの、線形性高く検出可能な磁界強度範囲が比較的狭いという特徴がある。このため、特許文献1の図6に示される電流センサのように、被測定電流と磁気抵抗効果素子との間に磁気シールドを配置して、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される誘導磁界の強度を小さくして、被測定磁界の大きさを良好な検出特性を有する磁界強度範囲内とする方法が用いられる場合がある。このように磁気シールドを用いることによって、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される磁界の強度を低減させて、磁界強度の測定範囲を拡げることが実現されている。
国際公開第2017/064921号
特許文献1には、フィードバックコイルと磁気シールドとの間に絶縁層が形成された磁気平衡式の電流センサが開示されている。しかし、同文献に記載の電流センサは、絶縁層がSi-Nxで形成されているから、加熱工程後の冷却過程などの製造工程において磁気シールドに発生する応力を十分に緩和することができない。この応力の影響が、磁気シールドや磁気抵抗効果素子に及んで電流センサの特性が変動する虞がある。磁気シールドの大型化に伴って発生する応力も大きくなり、電流センサの特性に及ぼす影響が大きくなるという問題がある。
本発明は、磁気シールドの応力が磁気シールド磁気的特性や磁気抵抗効果素子に影響を及ぼすことを抑制し、安定な特性を備えた電流センサを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明の電流センサは、一態様において、磁気抵抗効果素子と、フィードバックコイルと、磁気シールドと、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に設けられた保護層とを備えており、前記フィードバックコイルは、前記磁気抵抗効果素子と前記保護層との間に設けられており、前記保護層は、前記磁気シールド側に設けられた応力緩和層と、前記応力緩和層と前記フィードバックコイルとの間に設けられた無機絶縁層と、を有する。
保護層の備える応力緩和層によって、磁気シールドの応力を緩和することができるから、大電流を測定するために磁気シールドを大型化した場合も、磁気シールドの応力による特性変動が抑えられた電流センサとなる。また、磁気シールドの反対側に設けられた無機絶縁層によりフィードバックコイルを保護することができる。
前記応力緩和層が、前記磁気シールドよりもヤング率が小さい材料で形成された構成としてもよい。この場合、前記応力緩和層の前記ヤング率が、前記磁気シールドの前記ヤング率の1/10以下であることが好ましく、前記応力緩和層の前記ヤング率が3.5MPa以下であることが好ましい。前記応力緩和層は、絶縁性材料で形成されていることが好ましい。
これらの構成により、応力緩和層によって磁気シールドの応力を効率的に緩和することができる。また、無機絶縁層に加えて応力緩和層を絶縁性材料で形成することにより、保護層の絶縁性を高めることができる。
前記応力緩和層は、磁気シールドに起因する応力を効率よく緩和する観点から、樹脂で形成されていることが好ましく、好ましい樹脂としてポリベンゾオキサゾールが挙げられる。
前記保護層が、前記磁気シールド側から、前記磁気シールドに隣接する金属層と、前記応力緩和層と、前記無機絶縁層と、を備えており、前記金属層のヤング率は、前記磁気シールドよりも小さく、前記応力緩和層よりも大きい構成としてもよい。
応力緩和層により磁気シールドの応力を緩和するとともに、応力緩和層よりもヤング率が大きい金属層を設けることで、磁気シールドを容易に形成することができる。
前記磁気シールドは、FeNi合金で形成されていることが好ましい。
FeNi合金の磁気シールドは、表面に不働態層が形成されるため、電流センサの表面を保護するパッシベーション膜を設ける必要が無くなるから、容易に製造することができる。
本発明によれば、応力緩和層と無機絶縁層とを備えた保護層により磁気シールドの応力を緩和するとともに、フィードバックコイルを保護することができる。したがって、応力の影響による特性変動が抑えられた電流センサを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す断面図 第1の実施形態に係る電流センサの構造を模式的に示す平面図 第1の実施形態に係る電流センサの構造を模式的に示す説明図 第1の実施形態に係る電流センサの変形例の構成を模式的に示す断面図 本発明の第2の実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す断面図 第2の実施形態に係る電流センサの構造を模式的に示す平面図 第2の実施形態に係る電流センサの構造を模式的に示す説明図 (a)実施例のシミュレーション結果を示す模式図、(b)図8(a)における領域Qの変位を模式的に示す模式図 (a)比較例のシミュレーション結果を示す模式図、(b)図9(a)における領域Qの変位を模式的に示す模式図 磁気シールド表面がパッシベーション膜で保護された電流センサの構成を模式的に示す断面図
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。各図において、同じ部材には同じ番号を付し、適宜、説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1、図2および図3は、本実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す断面図、平面図および斜視図である。図1は、図2および図3のA-A線での断面を示している。
これらの図に示すように、本実施形態の電流センサ1は、磁気抵抗効果素子11a、11b、11cおよび11dと、フィードバックコイル12と、磁気シールド13と、を備えており、図1に示すように、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間に保護層14が設けられている。以下、磁気抵抗効果素子11a~11dを区別しない場合、適宜、磁気抵抗効果素子11と記す。
図2に示すように、電流センサ1の4つの磁気抵抗効果素子11のそれぞれは、ミアンダ形状(X1-X2方向に延在する複数の長尺パターンが折り返すようにつながって構成される形状)を有する巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を備える。各磁気抵抗効果素子11の感度軸方向Pは図2において矢印にて表され、磁気抵抗効果素子11aおよび11dの感度軸方向P(第1の方向)はY1-Y2方向Y2側を向き、磁気抵抗効果素子11bおよび11cの感度軸方向PはY1-Y2方向Y1側を向くように設定されている。
入力端子55aに接続される配線55は磁気抵抗効果素子11aの一端に接続され、磁気抵抗効果素子11aの他端と磁気抵抗効果素子11bの一端とが直列に接続されて、磁気抵抗効果素子11bの他端が配線56を介してグランド端子56aに接続される。入力端子55aに接続される配線55は途中で分岐して磁気抵抗効果素子11cの一端にも接続され、磁気抵抗効果素子11cの他端と磁気抵抗効果素子11dの一端とが直列に接続されて、磁気抵抗効果素子11dの他端が配線56を介してグランド端子56aに接続される。第1の中点電位測定用端子57aは磁気抵抗効果素子11aの他端と磁気抵抗効果素子11bの一端との間に配線57により接続され、第2の中点電位測定用端子58aは磁気抵抗効果素子11cの他端と磁気抵抗効果素子11dの一端との間に配線58により接続される。
電流路40において被測定電流I0がX1方向へ流れる場合、I0による誘導磁界である電流磁界は、磁気抵抗効果素子11aと11dの抵抗値を低下させるように作用し、磁気抵抗効果素子11bと11cの抵抗値を増大させるように作用する。このため、検出電圧は被測定電流I0が大きくなるにしたがって増大する。
フィードバックコイル12には、被測定電流I0と反対向き(X2方向)にキャンセル電流が流れる。キャンセル電流によって、磁気抵抗効果素子11に、電流磁界を相殺する向きのキャンセル磁界が作用する。
キャンセル磁界を増加させることで検出電圧がゼロに近づき、磁気抵抗効果素子11に作用するキャンセル磁界と電流磁界とが平衡状態となって、検出電圧が所定値以下となったときに、フィードバックコイル12に流れている電流が、被測定電流I0の測定値として検知される。
電流センサ1では、電流路40と磁気抵抗効果素子11との間に設けられている磁気シールド13により、電流磁界が減衰させられる。これにより、磁気抵抗効果素子11が磁気飽和するまでの被測定電流I0の変化の範囲を広げることができ、電流センサ1のダイナミックレンジを広げることが可能になる。
電流センサ1の製造過程では、磁気シールド13が形成された後に、パッケージ用の樹脂の焼成工程などの加熱工程があり、さらに完成後の電流センサをマザー基板に半田付けする工程でも加熱工程を経ることになる。それぞれの加熱工程やその後の冷却過程において、磁気シールド13に応力が発生する。
被測定電流I0が大電流化するにつれて、磁気シールド13に求められる電流磁界を減衰する能力が高くなり、磁気シールド13が大型化して厚さおよび体積が増大する傾向にある。磁気シールド13の大型化に伴い、磁気シールド13の内部に発生する応力(内部応力)も大きくなる。そこで、電流センサ1は、磁気シールド13の応力を緩和するために、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間に保護層14を設けている。
磁気抵抗効果素子11は、基板19上に形成され、アルミナ、窒化ケイ素などの絶縁性材料からなる絶縁層18によって覆われている。図2には、磁気抵抗効果素子11として、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を用いた場合を示したが、これに限られない。巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)以外に、異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)およびトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)などの素子を用いることができる。
磁気抵抗効果素子11として、それぞれの固定層がセルフピン構造を有するGMR素子を用いる場合には、固定層の磁化は磁場中成膜によって行うことができ、成膜後に磁場中の加熱処理が必要とされない。このため、同一の基板19上に固定層の磁化の向きが異なるGMR素子を配置でき、一つの基板19上にフルブリッジ回路を構成することが可能となる。
フィードバックコイル12は、磁気平衡用のフィードバックコイルであり、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間に設けられている。フィードバックコイル12と磁気シールド13との間に保護層14が設けられているから、フィードバックコイル12は、磁気抵抗効果素子11と保護層14との間に設けられている。図2では、磁気平衡用のフィードバックコイル12の外形が太い破線にて示されている。この破線で示される領域のX-Y平面内を周回するようにフィードバックコイル12の配線が配置される。図3に示すように、フィードバックコイル12はスパイラルコイルであり、図1では、周回する複数のフィードバックコイル配線の断面がY1-Y2方向に並んで示されている。なお、本実施形態では、2つのスパイラルコイルが重ねて設けられたフィードバックコイル12を示したが、1つのスパイラルコイルからなるフィードバックコイル12としてもよい。
フィードバックコイル12は、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間に位置する。このため、被測定電流I0の電流磁界が磁気シールド13によって減衰された状態で磁気抵抗効果素子11に印加される。したがって、被測定電流I0の電流磁界をキャンセルするような電流磁界を比較的小電流により発生できるから、電流センサの省電力化が可能である。
フィードバックコイル12はメッキ層であり、低抵抗の非磁性金属層で形成されている。非磁性金属としては、金、銅などが挙げられる。電気抵抗が低いことから、銅が好ましい。また、銅を用いることで、ダマシン(象嵌)プロセスによりフィードバックコイル12を形成できるから、厚さの薄いフィードバックコイル12とすることができる。このため、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間の距離を小さくすることができ、例えば、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド13との間の距離を9~11μm程度、6~7μm程度、さらには、3~5μm程度とすることが可能である。
磁気シールド13は、Fe,Co,Niなど鉄族元素を含む軟磁性材料で形成される。磁気シールド13の表面に腐食作用に抵抗する酸化被膜による不働態が形成されるため、保護目的の層を形成する必要がないという点で、Fe-Ni合金(鉄-ニッケル合金)からなる磁気シールド13が好ましい。
磁気シールド13は、電流磁界を十分減衰させる観点から、厚さD1が、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、35μm以上がさらに好ましい。
保護層14は、応力緩和層15と無機絶縁層16とからなっており、磁気シールド13に起因して生じる応力を緩和する応力緩和機能および絶縁機能を備えている。「磁気シールド13の応力」とは、電流センサ1の製造工程における磁気シールド13の変形に起因して、磁気シールド13の内部に生じる応力をいう。
応力緩和層15は、保護層14の磁気シールド13側に設けられている。応力緩和層15は、磁気シールド13よりもヤング率が小さい材料で形成されている。このため、製造工程において、応力緩和層15が変形することにより、内部応力や熱応力による逆磁歪効果により磁気シールド13の特性が変わることを抑制できる。また、磁気シールド13の変形による、磁気抵抗効果素子11への影響を抑制することもできる。
磁気シールド13の応力を効率的に緩和する観点から、応力緩和層15のヤング率は、磁気シールド13のヤング率の1/10以下が好ましく、1/30以下がより好ましく、1/50がさらに好ましい。
同様の観点から、応力緩和層15のヤング率は、3.5MPa以下が好ましく、3.0MPa以下がより好ましく、2.5MPa以下がさらに好ましい。ヤング率の低い材料を用いることにより、応力緩和層15が変形しやすくなるから、磁気シールド13の変形による応力を緩和して、磁気シールド13の磁気特性の変化を抑えることができる。したがって、安定な特性を備えた電流センサ1とすることができる。
また、応力緩和層15は吸水率が低く、透湿性が高いことが好ましい。応力緩和層15の吸水率は、1.0%以下が好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。また、応力緩和層15の透湿性は、100(g/m2・24時間)以上が好ましく、200(g/m2・24時間)以上がより好ましく、300(g/m2・24時間)以上がさらに好ましい。
応力緩和層15は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール(以下、適宜、PBOとも記す)など、絶縁性材料である樹脂で形成されていることが好ましい。応力緩和機能に優れ、吸水性が低く、透湿性が高く、寸法(外形)変化が小さいことから、ポリベンゾオキサゾールが好ましい。ポリベンゾオキサゾールは疎水性が高いため、吸水による応力緩和層15の膨張を抑えて、特性の安定な電流センサ1とすることができる。
応力緩和層15の厚さD2は、応力緩和機能を十分にする観点から、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。なお、厚さD2の上限は特に限定されないが、例えば10μm以下とされる。
測定対象の大電流化に伴って磁気シールド13が大きくなることに対応するため、電流センサ1には、応力緩和層15が設けられている。この応力緩和層15により、磁気シールド13の変形に起因する応力を緩和することができる。
また、電流センサ1は、応力緩和層15とフィードバックコイル12との間に、フィードバックコイル12を保護する無機絶縁層16が設けられている。この構成により、応力緩和層15で磁気シールド13の応力を緩和するとともに、無機絶縁層16にクラックが発生することを抑制できる。
フィードバックコイル12を水分や空気から保護する観点から、好ましい無機絶縁層16の材料として、窒化ケイ素が挙げられる。また、応力緩和機能を備えた保護層14によりフィードバックコイル12を直接覆うことにより、無機絶縁層16の厚さD3を0.2μm以上、0.5μmさらには1.0μm以上として、十分な保護機能を付与した場合も、クラックの発生を抑えることができる。
無機絶縁層16は、フィードバックコイル12を保護する観点から、透湿性が低いものが好ましい。無機絶縁層16の透湿性は、0.4(g/m2・24時間)以下が好ましく、0.1(g/m2・24時間)以下がさらに好ましい。
無機絶縁層16におけるクラックの発生を抑えることにより、無機絶縁層16でフィードバックコイル12を保護することができる。例えば、抵抗の低い銅で形成されたフィードバックコイル12を水分や空気から保護して、腐食を防ぐことができる。
保護層14は、応力緩和機能を備えた応力緩和層15と、絶縁保護機能とを備えた無機絶縁層16の二層で構成し、役割を分離している。これにより、磁気シールド13の応力を緩和する応力緩和機能と、フィードバックコイル12を保護する機能とを両立することができる。
(変形例)
図4は、本実施形態に係る電流センサの変形例の構成を模式的に示す断面図である。同図に示す電流センサ2は、保護層14が、応力緩和層15、無機絶縁層16に加えて、金属層25を備えている点において、電流センサ1と異なっている。
電流センサ2は、磁気シールド13に隣接する金属層25と、応力緩和層15と、応力緩和層15と前記フィードバックコイル12との間に設けられた無機絶縁層16と、を備えている。
金属層25のヤング率は、磁気シールド13よりも小さく、応力緩和層15よりも大きい。このため、応力緩和層15を十分にヤング率が小さいPBOなどの樹脂で形成した場合でも、金属層25に磁気シールド13を形成することにより、応力緩和層15の変形を抑えて容易に磁気シールド13を形成することができる。
金属層25は、ヤング率が10以上200以下の金属が好ましい。金属層25を形成する好ましい金属として、例えば、金、パラジウムなどが挙げられる。
図10は、磁気シールドがパッシベーション膜46で保護された電流センサ4の構成を模式的に示す断面図である。同図に示す電流センサ4は、磁気抵抗効果素子11と、フィードバックコイル12と、応力緩和層45と、磁気シールド13とからなり、これらパッシベーション膜46で保護された構造である。
電流センサ4のように、大きな磁気シールド13と応力緩和層45上(Z1側)にパッシベーション膜46を形成した場合、応力緩和層45を十分に応力緩和できる程度の柔らかさと体積とすると、応力緩和層45の変形によってパッシベーション膜46にクラックが入ってしまう。特に、図10にRで示した磁気シールド13と応力緩和層45にまたがる領域Qにクラックが生じやすい。
そこで、本実施形態の電流センサ1、2では、十分に応力緩和可能な応力緩和層15を設けて、磁気シールド13の応力を緩和するとともに、変位が小さい応力緩和層15の下面(磁気抵抗効果素子11側)に無機絶縁層16を設けている(図1、図4参照)。この構成により、無機絶縁層16にクラックが発生すること抑制し、安定な特性を備えた電流センサ1、2を高い歩留りで製造することができる。
(第2の実施形態)
図5、図6および図7は、本実施形態に係る電流センサ3の構成を模式的に示す断面図、平面図および斜視図である。図5は、図6および図7のA-A線での断面を示している。
本実施形態の電流センサ3は、図3に示すスパイラル(渦巻状)のフィードバックコイル12に変えて、図7に示すソレノイド(らせん状)のフィードバックコイル32を備えている構成において、第1の実施形態に係る電流センサ1、2とは異なっている。図6に示すように、ソレノイドのフィードバックコイル32により、電流センサ3を小型化することができる。
フィードバックコイル32は、フィードバックコイル12同様、磁気平衡用のフィードバックコイルである。ただし、磁気抵抗効果素子11を取り囲んでおり、その一部がフィードバックコイル32と磁気シールド13との間に位置している。フィードバックコイル32における、フィードバックコイル32と磁気シールド13との間に位置する部分と磁気シールド13との間に保護層14が設けられている。このため、フィードバックコイル12における上記の部分が、磁気抵抗効果素子11と保護層14との間に設けられている。
以下、本発明の電流センサについてシミュレーションを行った結果を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの結果等に限定されるものではない。
(実施例)
以下の構成を備えた図1に示される電流センサについて、製造工程において生じる変位および応力のシミュレーション計算を行い、PBOからなる保護層14の上面および下面における最大変位、ならびに磁気シールド13の内部応力の大きさを計算により求めた。なお、()内の数字は、各層の厚さを示す。
絶縁層18:SiN(4μm)/保護層14:PBO(4μm)/磁気シールド13:Fe-Ni(35μm)
図8(a)は、実施例のシミュレーション結果を示す模式図であり、図8(b)は、図8(a)の領域Qにおける変位を模式的に示す模式図である。
(比較例)
以下の構成を備えた電流センサについて、実施例と同じシミュレーション計算を行い、SiNからなる絶縁層18の上面および下面における最大変位、ならびに磁気シールド13の内部応力を計算により求めた。なお、()内の数字は、各層の厚さを示す。
絶縁層18:SiN(8μm)/磁気シールド13:Fe-Ni(35μm)
図9(a)は、比較例のシミュレーション結果を示す模式図であり、図9(b)は、図9(a)の領域Qにおける変位を模式的に示す模式図である。
Figure 0007577142000001
表1に示すように、磁気シールドの下に応力緩和機能を備えた保護層を設けることにより、磁気シールドの内部応力を緩和することができた。このように、保護層は、磁気シールドの磁気的な性質や磁気抵抗効果素子に対する、内部応力の影響を抑制できることが分かった。したがって、保護層を設けることが、磁気シールドの厚さ(体積)を大きくして大電力化に対応するために有効といえる。
また、図8(a)、図8(b)、図9(a)、図9(b)および表1に示すように、磁気シールドの下に応力緩和機能を備えた保護層を設けることにより、磁気シールドの変位を保護層により緩和することができた。このため、保護層14の下面(磁気抵抗効果素子11側の面)に、パッシベーション機能を備えた無機絶縁層16を形成することにより、無機絶縁層16にクラックが発生することを防止できる(図1参照)。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサは、柱状トランスなどのインフラ設備の電流センサの構成要素や、電気自動車、ハイブリッドカーなどの電流センサとして好適に使用されうる。
1、2、3、4:電流センサ
11、11a~11d:磁気抵抗効果素子
12、32:フィードバックコイル
13 :磁気シールド
14 :保護層
15、45:応力緩和層
16 :無機絶縁層
18 :絶縁層
19 :基板
25 :金属層
40 :電流路
46 :パッシベーション膜
55 :配線
55a :入力端子
56 :配線
56a :グランド端子
57、58 :配線
57a :第1の中点電位測定用端子
58a :第2の中点電位測定用端子
D1、D2、D3:厚さ
0 :被測定電流
P :感度軸方向
Q、R :領域

Claims (12)

  1. 磁気抵抗効果素子と、フィードバックコイルと、磁気シールドと、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に設けられた保護層とを備えており、
    前記フィードバックコイルは、前記磁気抵抗効果素子と前記保護層との間に設けられており、
    前記保護層は、前記磁気シールド側に設けられた応力緩和層と、前記応力緩和層と前記フィードバックコイルとの間に設けられた無機絶縁層と、を有し、
    前記フィードバックコイルは、一部が前記応力緩和層に埋設され、
    前記無機絶縁層は、前記応力緩和層における前記磁気抵抗効果素子が位置する側の面に設けられ、かつ、前記フィードバックコイルを直接覆うことを特徴とする電流センサ。
  2. 前記フィードバックコイルは前記磁気シールドと前記磁気抵抗効果素子の間で多層構造を有し、前記フィードバックコイルのうち、前記磁気シールドに近位な側に位置する部分は前記応力緩和層に埋設され、前記磁気抵抗効果素子に近位な側に位置する部分は、前記応力緩和層よりも硬質の絶縁層に埋設される、請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記磁気抵抗効果素子は前記絶縁層に埋設される、請求項2に記載の電流センサ。
  4. 前記応力緩和層は、前記磁気シールドと前記無機絶縁層との間に設けられる、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
  5. 前記応力緩和層が、前記磁気シールドよりもヤング率が小さい材料で形成されている、請求項1に記載の電流センサ。
  6. 前記応力緩和層の前記ヤング率が、前記磁気シールドの前記ヤング率の1/10以下である、請求項5に記載の電流センサ。
  7. 前記応力緩和層の前記ヤング率が3.5MPa以下である、請求項5に記載の電流センサ。
  8. 前記応力緩和層は、絶縁性材料で形成されている、請求項5に記載の電流センサ。
  9. 前記応力緩和層は、樹脂で形成されている、請求項5に記載の電流センサ。
  10. 前記保護層が、前記磁気シールド側から、前記磁気シールドに隣接する金属層と、前記応力緩和層と、前記無機絶縁層と、を備えており、
    前記金属層のヤング率は、前記磁気シールドよりも小さく、前記応力緩和層よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
  11. 前記樹脂は、ポリベンゾオキサゾールである、
    請求項9に記載の電流センサ。
  12. 前記磁気シールドは、Fe-Ni合金で形成されている、
    請求項1に記載の電流センサ。
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