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JP7589529B2 - 電気アルミニウムめっき液、及び、それを用いたアルミニウム被膜の製造方法、並びにアルミニウム箔の製造方法 - Google Patents
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電気アルミニウムめっき液、及び、それを用いたアルミニウム被膜の製造方法、並びにアルミニウム箔の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム被膜を形成するための電気アルミニウムめっき液およびそれを用いた電気アルミニウムめっき技術に関する。
アルミニウムの電析電位は水素発生の電位よりも卑であるため、水溶液からアルミニウムを電析することは困難である。従って、電気アルミニウムめっき液は、これまで非水溶媒を使用したものが多く研究されてきた。
特許文献1には、ジメチルスルホン10.0molに対してアルミニウムハロゲン化物を1.5~4.0mol含有し、かつ、アルミニウムハロゲン化物に対して塩化アンモニウムをモル比で1/15~1/4含有するか、または、塩化テトラアルキルアンモニウムをモル比で1/15~1/2含有する電気アルミニウムめっき液を用いて、長期間安定に電気アルミニウムめっき処理が可能な、高寿命化が図られためっき液が開示されている。
特許文献2には、(1)ジアルキルスルホン、(2)アルミニウムハロゲン化物、および、(3)ハロゲン化アンモニウム、第一アミンのハロゲン化水素塩、第二アミンのハロゲン化水素塩、第三アミンのハロゲン化水素塩、一般式:R1R2R3R4N・X(R1~R4は同一または異なったアルキル基、Xは第四アンモニウムカチオンに対するカウンターアニオンを示す)で表される第四アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1つの含窒素化合物を少なくとも含むめっき液を用いて、速い成膜速度で延性に富む高純度のアルミニウム箔を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、(1)ジアルキルスルホン、(2)アルミニウムハロゲン化物、および、(3)含窒素化合物を少なくとも含む電気アルミニウムめっき用めっき液の調製方法であって、めっき液を調製するに際してのジアルキルスルホン、アルミニウムハロゲン化物、含窒素化合物の配合割合を、ジアルキルスルホン10モルに対し、アルミニウムハロゲン化物は3.5+n~4.2+nモル、含窒素化合物はnモル(ただしnは0.001~2.0モル)とすることで、めっき液の融点を25℃以下とした、取扱性に優れためっき液を用いて、速い成膜速度で延性に富む高純度のアルミニウム箔を製造する方法が開示されている。
国際公開第2010/044305号 国際公開第2011/001932号 国際公開第2013/129479号
電気アルミニウムめっきの製造コストを低減するためには、めっき液の電気伝導度を上げてアルミニウム被膜を製造するために必要な電解電圧を下げることと、流した電流量から計算される理論電析量に対する実際の電析量の比である電析効率を上げること、さらに、延性に富む(可撓性を有する)アルミニウム被膜(またはアルミニウム箔)を製造して品質不良を低減することと、が重要である。また、量産装置において、めっき液の輸液中の温度低下を考慮すると、融点が高いと配管内で固化して詰まる可能性も考えられる。
したがって、電気アルミニウムめっきの製造コストを低減するための電気アルミニウムめっき液は、高い電気伝導度を有することと、流した電流に対する電析効率が高いことと、得られるアルミニウム被膜が可撓性を有することと、融点が低いこと、の4つの効果を同時に満たす必要がある。
特許文献1~3は、可撓性を有するアルミニウム被膜が得られることと、高い電気伝導度を有することと、流した電流に対する電析効率が高いことと、融点が低いこと、の4つの効果を同時に満たす手段を提供するものではなかった。
本発明は、製造コスト低減に好適なアルミニウム被膜の製造方法を提供すること、アルミニウム被膜を剥離してアルミニウム箔を量産できる、すなわち、製造コスト低減に好適なアルミニウム箔の製造方法を提供すること、およびこれらを実現するための電気アルミニウムめっき液を提供することを目的とする。
本発明は、含有比率として、ジアルキルスルホン10molに対して、アルミニウムハロゲン化物を3.5mol以上4.2mol以下、塩化アンモニウムを0.mol以上0.5mol以下、および、塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下、含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液である。
さらに、本発明の電気アルミニウムめっきは、ジアルキルスルホン10molに対して、塩化アンモニウムを0.3mol以下とする好ましい。
また、本発明は、前記電気アルミニウムめっき液を用いて、基材に電気めっきを施し、前記基材表面にアルミニウム被膜を形成するアルミニウム被膜の製造方法である。
また、本発明は、前記電気アルミニウムめっき液を用いて、基材に電気めっきを施し、前記基材表面にアルミニウム被膜を形成する第1の工程と、前記アルミニウム被膜を前記基材から剥離する第2の工程と、を有するアルミニウム箔の製造方法である。
本発明は、製造コスト低減に好適なアルミニウム被膜の製造方法および製造コスト低減に好適なアルミニウム箔の製造方法、およびこれらを実現するための電気アルミニウムめっき液を提供できる。
文献に記載されている通り、ジアルキルスルホンに、アルミニウムハロゲン化物、及び、含窒素化合物を一定の比率で加えることにより、電気アルミニウムめっきに用いることができるめっき液を得られることが知られている。
本発明者等の研究によれば、ジアルキルスルホンとアルミニウムハロゲン化物の混合物に対して、塩化アンモニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを同時に添加することで、(1)めっき液の電気伝導度が高く、かつ、(2)流した電流に対する電析効率が高く、かつ、(3)得られたアルミニウム被膜が可撓性を有する、さらに、(4)めっき液の融点が低い、という4つの効果を同時に満たすことが可能であることがわかった。
本発明を実施するための形態は、含有比率として、ジアルキルスルホン10molに対して、アルミニウムハロゲン化物を3.5mol以上4.2mol以下、及び、塩化アンモニウムを0.1mol以上0.5mol以下、及び、塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下、を含む電気アルミニウムめっき液である。かかる構成により、可撓性を有するアルミニウム被膜を形成するための電気アルミニウムめっき液として、電気伝導度が高く、かつ、流した電流に対する電析効率が高い電気アルミニウムめっき液が提供可能となる。さらに、上記構成により、めっき液の融点を低下させ、粘度を低下させることが可能となり、量産設備におけるめっき液の管理上も有用な効果をもたらす。ここで、含有比率とは、各化合物を混合する際の比率のことである。ジアルキルスルホンとしてジメチルスルホンなどがあり、アルミニウムハロゲン化物として塩化アルミニウムなどがあり、分子量の違いを考慮して、mol比で表示している。
電気アルミニウムめっき液は、電気伝導度が高いほど、アルミニウム被膜を製造するために必要な電解電圧を低くすることができ、必要な電力量を低減することが可能となるため、製造コストを低減することができる。また、アルミニウム被膜を製造するために必要な電解電圧を低くすることで、発生するジュール熱が小さくなって、液の温度管理が容易となり、アルミニウム被膜の品質の低下が生じにくくすることができる。そのため、電気アルミニウムめっき液の電気伝導度は、1.8S/m以上が好ましく、さらに好ましくは2.0S/m以上であり、より好ましくは2.5S/m以上、である。
電気アルミニウムめっき液を用いて、アルミニウム被膜を製造する際には、流した電流量に対する電析効率が高いほど、効率よくアルミニウム被膜を製造することができ、アルミニウム被膜の製造にかかる余分な電力量を少なくすることができる。アルミニウム被膜を効率よく製造するためには、電析効率は、70%以上が好ましく、さらに好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上、である。
電気アルミニウムめっき液は、融点が60℃以下であれば、例えばアルミニウム被膜の製造設備の電気アルミニウムめっき液の循環経路内でめっき液が冷えて固化する恐れが少なく、製造の安定性に優れる。電気アルミニウムめっき液の融点は、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは55℃以下、である。
電気アルミニウムめっき液は、粘度が低いほど、液中のイオンが拡散されやすくなり、めっき液中のイオンの均一性が高くなりやすいため、アルミニウム被膜の品質の低下やばらつきが生じにくくなる。電気アルミニウムめっき液の粘度は、110℃の温度において、好ましくは20cP以下、である。
本発明の4つの効果(1)めっき液の電気伝導度が高く、かつ、(2)流した電流に対する電析効率が高く、かつ、(3)得られたアルミニウム被膜が可撓性を有する、さらに、(4)めっき液の融点が低い、を満たすための構成との関係について、以下にアルミニウムハロゲン化物として塩化アルミニウムを用いた場合を例として作用を説明する。
塩化アンモニウムまたは塩化テトラメチルアンモニウムは、アルミニウムめっき液に添加することによってめっき液中で次のように解離すると考えられる。ここで、RはHまたは(CH)である。

NRCl → NR +Cl ・・・(式1)

アルミニウムめっき液への塩化アンモニウムまたは塩化テトラメチルアンモニウムの添加がめっき液中のイオン種に及ぼす影響を調べるため、それぞれの添加量を変えて核磁気共鳴(NMR)測定を行い、液中のイオン量を解析した。27Al-NMR測定より、塩化アンモニウムまたは塩化テトラメチルアンモニウムをアルミニウムめっき液に添加することで、Al電析反応に関与するめっき液中のAl(DR´SO 3+量が減少することがわかった。ここで、Al(DR´SO 3+は、ジアルキルスルホンとアルミニウムハロゲン化物から生じ、R´はメチル基などのアルキル基を示す。このことから、塩化アンモニウムまたは塩化テトラメチルアンモニウムから解離した塩化物イオン(Cl)によって、めっき液中のAl(DR´SO 3+は次のように変化すると推察される。

4Cl+Al(DR´SO 3+ → AlCl +3DR´SO ・・・(式2)

したがって、塩化アンモニウムまたは塩化テトラメチルアンモニウムの添加によって、めっき液中のイオン種は次のように変化すると考えられる。

4NRCl+Al(DR´SO 3++3AlCl → 4NR +4AlCl +3DR´SO ・・・(式3)
めっき液の電気伝導度は、添加剤(塩化アンモニウムや塩化テトラメチルアンモニウム)の種類に依らず、それらの合計添加量に比例して増加する。また、DR´SOとAlClの含有比率を変えた場合、AlClの比率が小さいほど、めっき液の電気伝導度は増加する。すなわち、めっき液中のフリーなDR´SO量が多いほど、めっき液の電気伝導度は増加する。これらのことから、めっき液の電気伝導度は、めっき液中のフリーなDR´SO、NH4+およびN(CH量に依存すると考えられる。さらに、DR´SOとAlClの含有比率、および添加剤量を変えためっき液において、式3から見積もっためっき液中のフリーなDR´SO量を横軸に、めっき液の電気伝導度を縦軸にしてプロットすると、その傾きは、DR´SOとAlClの含有比率を変えためっき液(添加剤なし)に比べて、添加剤量を変えためっき液(添加剤あり)の方が大きい。これらの傾きの大きさの違いから、めっき液の電気伝導度を上げるためには、DR´SOとAlClの含有比を調整するよりも、添加剤を添加する方が効果的であると考えられる。さらに、めっき液の電気伝導度は、めっき液の粘度と反比例の関係にあり、めっき液の電気伝導度を高い場合、めっき液の粘度は低下する傾向にある。めっき液の粘度が低下することで、液中のイオンが拡散されやすくなり、めっき液中のイオンの均一性が高くなりやすいため、アルミニウム被膜の品質の低下やばらつきが生じにくくなる。
めっき液の融点は、めっき液の溶媒であるDR´SOや、Al(DR´SO 3+、AlCl 、塩化アンモニウムおよび塩化テトラメチルアンモニウムから解離したNH やN(CH の存在割合が影響する。めっき液に塩化アンモニウムおよび塩化テトラメチルアンモニウムを添加することで、それらの比率が変化してめっき液の融点が変化すると考えられる。NH やN(CH の添加量を所定量より小さくすることで、融点の上昇を抑制することができる。
可撓性を有するアルミニウムめっき膜を得るためには、NHClの添加量に依存する。すなわち、AlCl量/NHCl添加量(mol比)の比率が所定の値より小さくなる、可撓性を有するアルミニウムめっき膜を得られる。NHCl添加によって可撓性を有するアルミニウムめっき膜が得られる理由は、NHClから解離したNH がカソード表面へ吸着するなどして、DR´SOの分解反応やめっき膜への不純物の取り込みを抑制していると推察している。
塩化アンモニウムと塩化テトラメチルアンモニウムを2種類添加しためっき液を用いたAlの電析効率は、AlCl量/合計添加量(mol比)が所定の比率より高くなると、高い値となる。この理由は、めっき液中のAl(DR´SO 3+量が十分に存在することで、Al電析時にカソード近傍へAl(DR´SO 3+が十分に供給され、例えば溶媒のDR´SOの分解などの副反応が生じにくくなるためと考えられる。一方、NHClを1種類添加しためっき液の場合、AlCl量/NHCl添加量(mol比)を所定の比率より大きくすることで、Alの電析と同時に発生する水素ガスの発生量を低減でき、電析効率の低下を抑制することができる。
以上のことから、塩化アンモニウムおよび塩化テトラメチルアンモニウムの添加量は、AlCl量/合計添加量(mol比)を1.8以上21.0以下、及び、AlCl量/NHCl添加量(mol比)を7.0以上42.0以下、を満たす、すなわち、含有比率として、ジアルキルスルホン10molに対して、アルミニウムハロゲン化物を3.5mol以上4.2mol以下、塩化アンモニウムを0.1mol以上0.5mol以下、および、塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下、含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液とすることで、(1)めっき液の電気伝導度が高く、かつ、(2)流した電流に対する電析効率が高く、かつ、(3)得られたアルミニウム被膜が可撓性を有する、さらに、(4)めっき液の融点が低い、という4つの効果を同時に満たすめっき液を得ることが可能となる。
上記の本発明の電気アルミニウムめっき液を用いて、基材表面にアルミニウム被膜を製造する方法について、形態の一つを以下に説明する。
ジアルキルスルホン、アルミニウムハロゲン化物、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウムの含有比率は、ジアルキルスルホン10molに対し、アルミニウムハロゲン化物は3.5mol以上4.2mol以下が望ましい。塩化アンモニウムは0.1mol以上0.5mol以下が望ましく、0.2mol以上0.3mol以下がより望ましい。塩化テトラメチルアンモニウムは0.1mol以上1.5mol以下が望ましく、0.3mol以上1.5mol以下がより望ましい。
アルミニウムハロゲン化物の含有比率がジアルキルスルホン10molに対し3.5mol以上であれば、電気アルミニウムめっき液の融点の上昇を抑制でき、電気アルミニウムめっき液の循環経路内での液の固化を生じにくくすることができる。一方、4.2mol以下であれば、めっき液の液抵抗の上昇を抑制でき、電気アルミニウムめっき液の発熱によるめっき液の分解や蒸発、およびアルミニウム被膜の品質の低下を抑制できる。また、塩化アンモニウムの含有比率がジアルキルスルホン10molに対し0.1mol以上であれば、可撓性を有するアルミニウム被膜が得られる。0.2mol以上であれば、さらに安定して可能性を有するアルミニウム被膜が得られるようになるため、より望ましい。一方、0.5mol以下であれば、アルミニウム被膜の製造時にカソード表面から発生するガスの発生量の増加を抑制することができ、電析効率の低下を抑制できる。0.3mol以下であれば、電析効率の低下をさらに抑制できるため、より望ましい。さらに、塩化テトラメチルアンモニウムの含有比率がジアルキルスルホン10molに対し0.1mol以上であれば、電気アルミニウムめっき液の電気伝導度を上昇させる効果が得られる。0.3mol以上であれば、電気アルミニウムめっき液の電気伝導度をさらに上昇させることができるため、より望ましい。1.5mol以下であれば、めっき液中のAl(DR´SO 3+量の減少を抑制でき、カソード表面へのアルミニウムイオンの供給が不足することによって生じる黒色析出物(焼けと呼ばれる)の発生が起こりにくくなり、電析効率の低下を抑制することができる。
めっき条件としては、例えば、めっき液の温度が60℃以上110℃以下、印加電流密度が2A/dm以上40A/dm以下を挙げることができる。めっき液の温度の下限は、めっき液の融点と電気伝導度を考慮して決定されるものであり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。一方、めっき液の温度が110℃以下であれば、形成されたアルミニウム被膜と電気アルミニウムめっき液との反応を抑制し、アルミニウム被膜中に不純物が取り込まれることでアルミニウムの純度が低下する可能性を低減できる。また、印加電流密度が2A/dm以上であれば、製膜効率の低下を抑制できる。一方、40A/dm以下であれば、めっき液の分解等を抑制でき、安定にめっき処理できる。
アルミニウム被膜を形成するための陽極の材質としては、例えばアルミニウムを例示することができる。基材(陰極)の材質としては、銅板、ステンレス板、チタン板、アルミニウム板、ニッケル板など、導電性を有するものを例示することができる。アルミニウム被膜は基材から剥離してもよいし、基材とアルミニウム膜とが一体となった部材の状態で製造し、用いることもできる。基材とアルミニウム膜とが一体となった部材の状態で用いる場合には、基材とアルミニウム被膜とが密着していた方が好ましく、基材とアルミニウム被膜を密着させるためには、基材を脱脂や酸洗等を行い、基材表面の汚れや酸化被膜を除去すると良い。
また、上記の本発明の電気アルミニウムめっき液を用いて、基材表面にアルミニウム被膜を形成する第1の工程と、基材からアルミニウム被膜を剥離させる第2の工程とを行ってアルミニウム箔を製造する場合、基材の表面は鏡面研磨加工を施す等、可能な限り平滑であることが望ましく、また、基材の表面に緻密な酸化被膜を形成させておくことが望ましい。基材からのアルミニウム被膜の剥離はバッチ的に行ってもよく、陰極ドラムを用いてアルミニウム被膜の形成と剥離を連続的に行ってもよい。
続いて、アルミニウムめっき液に、アルミニウムと異なる異種金属Mを溶出させた、アルミニウム-異種金属M複合めっき液の実施形態について説明する。ここで異種金属Mとは、たとえばチタン等の元素が挙げられる。ここでは、形態の一つとして説明するために複合めっき液と表記したが、この点の違いによる本発明の効果への影響はないため、他の箇所では簡略化のため全てアルミニウムめっき液として表記している。例えばmol比で50%以上の、主としてアルミニウムを含む被膜や箔は、全てアルミニウム被膜、アルミニウム箔と表記し、その製造に用いるめっき液についてもアルミニウムめっき液として表記する。
異種金属Mの溶出方法は、調製したアルミニウムめっき液に、異種金属Mを浸漬させても良いし、異種金属Mをアノードに用いて電解を行っても良い。いずれの場合においても、本発明のめっき液を用いることで、溶出速度を大きくすることが可能となる。
アルミニウムめっき液に異種金属Mを溶出させる条件としては、例えば電解法の場合、めっき液の温度が60℃以上110℃以下、電流密度が20mA/cm以上400mA/cm以下を挙げることができる。めっき液の温度の加減は、めっき液の融点と電気伝導度を考慮して決定されるものであり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。一方、めっき液の温度が110℃以下であれば、めっき液の蒸発量を少なくすることができ、より好ましくは100℃以下である。また、電流密度が20mA/cm以上であれば、単位時間当たりの異種金属Mの溶出量を増加させることができる。一方、400mA/cm以下であれば、めっき液の分解等を抑制でき、安定して異種金属Mを溶出させることができる。アノードに用いる異種金属Mとしては、純金属や合金であってよく、目的の異種金属M元素以外のめっき液への溶出を抑制するためには、純金属が好ましい。カソ―ドの材質としては、例えば、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム、ニッケルなど、導電性を有するものを例示することができる。
以上に説明した構成により、可撓性を有するアルミニウムと異種金属Mの複合被膜を形成するための電気めっき液として、電気伝導度が高く、かつ、流した電流に対する電析効率が高い電気アルミニウムめっき液が提供可能となる。さらに、上記構成により、めっき液の融点を低下させ、粘度を低下させることが可能となり、量産設備におけるめっき液の管理上も有用な効果をもたらす。
(電気アルミニウムめっき液の調製方法)
電気アルミニウムめっき液の調製方法の一例として実施例1を以下に示す。
ジアルキルスルホンとしてジメチルスルホン(DMSO)(関東化学製,特級)を300g(10mol)、アルミニウムハロゲン化物として塩化アルミニウム(AlCl)(関東化学製,特級)を161g(3.8mol)用いた。塩化アンモニウム(NHCl)(関東化学製,特級)は3.4g(0.2mol)準備し、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)(関東化学製,特級)は3.5g(0.1mol)準備した。窒素を連続的に供給しながら、ビーカーに入れたジメチルスルホンをラバーヒータとホットスターラーを用いて加熱し、これを完全に溶融させた。そこに塩化アルミニウムと塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウムを加えて、撹拌させながら加温し、それらを完全に溶解させることで電気アルミニウムめっき液を得た。
実施例2について、塩化テトラメチルアンモニウムを10.5g(0.3mol)としたこと以外は実施例1と同様にした。
実施例3について、塩化テトラメチルアンモニウムを17.5g(0.5mol)としたこと以外は実施例1と同様にした。
実施例4について、塩化テトラメチルアンモニウムを34.9g(1.0mol)としたこと以外は実施例1と同様にした。
実施例5について、塩化テトラメチルアンモニウムを52.4g(1.5mol)としたこと以外は実施例1と同様にした。
実施例6について、塩化アンモニウムを1.7g(0.1mol)としたこと以外は実施例4と同様にした。
実施例7について、塩化アンモニウムを8.5g(0.5mol)としたこと以外は実施例4と同様にした。
比較例1について、塩化アンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例4と同様にした。
比較例2について、塩化テトラメチルアンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
比較例3について、塩化テトラメチルアンモニウムを69.9g(2.0mol)としたこと以外は実施例1と同様にした。
比較例4について、塩化アンモニウムを17.1g(1.0mol)とし、塩化テトラメチルアンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
比較例5について、塩化アルミニウムを127.5g(3.0mol)とし、塩化テトラメチルアンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
比較例6について、塩化アルミニウムを85.0g(2.0mol)とし、塩化テトラメチルアンモニウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にした。
(アルミニウム被膜の作製方法)
実施例1について、調製した電気アルミニウムめっき液を95℃に保ちながら、アノードに純度99.99%のアルミニウム板を、カソードにチタン箔を用いて、電流密度80mA/cmで直流電流を印加し、アルミニウム被膜を得た。実施例2~7、比較例1~6について、実施例1と同じ方法でアルミニウム被膜を作製した。
(電気伝導度評価)
電気アルミニウムめっき液の電気伝導度は、電気伝導率計(東亜DKK製,CM-31P)を用い、めっき液の温度を100℃として測定した。
(電析効率評価)
アルミニウム被膜の電析効率は、電気アルミニウムめっき液を用いて、アルミニウム被膜を作製し、以下の式を用いて電析効率を算出した。このとき、Al原子量をAlモル質量として26.98(g/mol)を用い、ファラデー定数96500(s・A/mol)を用い、Al価数として3を用いた。

電析効率(%)=100×実際電析量(g)/理論電析量(g) ・・・(式4)

理論電析量(g)=(電流(A)×時間(s)×Alモル質量(g/mol))/(ファラデー定数(s・A/mol)×Al価数) ・・・(式5)
(可撓性評価)
アルミニウム被膜の可撓性の評価には、180°折り曲げ試験を用いた。折り曲げた際にアルミニウム被膜が破断する場合は×とし、一部に亀裂が生じる場合は△とし、亀裂が生じない場合は〇とした。
(融点評価)
電気アルミニウムめっき液の融点は、100℃以上に加温して完全に溶融させためっき液をガラス容器内で自然冷却させ、めっき液の固化が開始する温度を観察し、それをめっき液の融点とした。室温で液体の場合、「-」と表記した。
実施例1~7、比較例1~6のめっき液の含有比率と電気伝導度、電析効率、得られたアルミニウム被膜の可撓性の有無、めっき液の融点を表1に示す。
表1の結果によれば、実施例1~7より、塩化アンモニウムを0.1mol以上0.5mol以下添加し、さらに塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下添加することで、(1)めっき液の電気伝導度が高く、かつ、(2)流した電流に対する電析効率が高く、かつ、(3)得られたアルミニウム被膜が可撓性を有する、さらに、(4)めっき液の融点が低い、という4つの効果を同時に満たすことがわかった。
比較例1、2と実施例6より、塩化アンモニウムの添加量が0.0molの場合、アルミニウム被膜の可撓性が得られず、脆く割れやすい膜となり、塩化アンモニウムの添加量が0.1molの場合、可撓性を有するアルミニウム被膜を得られることがわかった。これらの結果から、可撓性を有するアルミニウム被膜を得るためには、塩化アンモニウムを0.1mol以上添加する必要があることがわかった。
比較例3と実施例5より、塩化テトラメチルアンモニウムの添加量が2.0mol以上の場合、電析効率が低下することがわかった。この理由は、塩化テトラメチルアンモニウムや塩化アンモニウムの添加量に応じて、アルミニウムの析出に関与するアルミニウム錯体の量が減少し、カソード表面へのアルミニウムイオンの供給が不足しやすくなり、焼けの発生が生じやすくなるためと考えられる。
比較例4と実施例7より、塩化アンモニウムの添加量が1.0mol以上になると、可撓性を有するアルミニウム被膜が得られるが、電析効率が低下することがわかった。この理由は、添加量に応じてアルミニウム錯体の量が減少し、カソード表面へのアルミニウムイオンの供給が不足しやすくなり、焼けの発生が生じやすくなるとともに、電解時にカソード表面から発生するガス量が増大するためであると考えられる。
比較例5、6より、塩化アルミニウムの量を減少させると、電気伝導度が高くなるが、その一方で、アルミニウムめっき液の融点が60℃超に上昇する。そのため、アルミニウム被膜を作製中にめっき液が固化する等の不具合が生じる恐れがある。
さらに、上記アルミニウムめっき液に、アルミニウムとは異なる異種金属Mを溶出させた、アルミニウム-異種金属M複合めっき液についても同様の評価を行った。以下、アルミニウムめっき液に異種金属Mを溶出させた、アルミニウム-異種金属M複合めっき液の実施例について説明する。ここでは、異種金属Mにチタンを用いた場合を例示する。
実施例8について、実施例4と同じ比率で調製した電気アルミニウムめっき液に、30mm×30mm×80μmのチタン(JIS H4600相当品、純度99mass%)を対向するように2枚浸漬した。浸漬したチタンのうち、一方をアノード、他方をカソードとし、100℃に保持したアルミニウムめっき液中で50mA/cmの電流密度で23分通電した後、めっき液をサンプリングし、ICP(日立ハイテクサイエンス社製,SPS-3520UV)によって液のTi濃度を分析した。
実施例9について、Ti溶出時の電解時間を47分としたこと以外は実施例8と同様に行った。
実施例10について、Ti溶出時の電解時間を70分としたこと以外は実施例8と同様に行った。
実施例11について、Ti溶出時の電解時間を94分としたこと以外は実施例8と同様に行った。
実施例12について、Ti溶出時の電解時間を117分としたこと以外は実施例8と同様に行った。
次に、実施例8~12のめっき液を用いて、液温を95℃に保ちながら、アノードに純度99.99%のアルミニウム板を、カソードにチタン箔を用いて、電流密度80mA/cmで直流電流を印加し、チタン含有アルミニウム被膜を得た。得られたチタン含有アルミニウム被膜のAl含有量およびTi含有量はICPによって分析した。
チタン含有アルミニウム被膜の電析効率は、以下の式を用いて算出した。このとき、Tiの原子量をTiモル質量として47.87(g/mol)を用い、Ti価数として4を用いた。

電析効率(%)=100×実際電析量(g)/理論電析量(g) ・・・(式6)

理論電析量(g)=Alの理論電析量(g)+Tiの理論電析量(g)・・・(式7)

Alの理論電析量(g)=(電流(A)×時間(s)×Alモル質量(g/mol))/(ファラデー定数(s・A/mol)×Al価数)×(被膜のAl含有量(at%)/100) ・・・(式8)

Tiの理論電析量(g)=(電流(A)×時間(s)×Tiモル質量(g/mol))/(ファラデー定数(s・A/mol)×Ti価数)×(被膜のTi含有量(at%)/100) ・・・(式9)
実施例8~12のめっき液の含有比率とTi濃度、電気伝導度、電析効率、得られたアルミニウム被膜の可撓性の有無、めっき液の融点を表2に示す。
表2の結果によれば、実施例8~12より、塩化アンモニウムを0.1mol以上0.5mol以下添加し、さらに塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下添加した電気アルミニウムめっき液に、異種金属Mを溶出させた場合でも、(1)めっき液の電気伝導度が高く、かつ、(2)流した電流に対する電析効率が高く、かつ、(3)得られたアルミニウム被膜が可撓性を有する、さらに、(4)めっき液の融点が低い、という4つの効果を同時に満たすことがわかった。
したがって、異種金属Mを溶出させた電気アルミニウムめっき液においても、含有比率として、ジアルキルスルホン10molに対して、アルミニウムハロゲン化物を3.5mol以上4.2mol以下、塩化アンモニウムを0.1mol以上0.5mol以下、および、塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下、を含む電気アルミニウムめっき液であれば、製造コスト低減に好適なアルミニウム被膜の製造および製造コスト低減に好適なアルミニウム箔の製造、を実現するための電気アルミニウムめっき液を得ることができる。

Claims (4)

  1. 含有比率として、
    ジアルキルスルホン10molに対して、
    アルミニウムハロゲン化物を3.5mol以上4.2mol以下、
    塩化アンモニウムを0.mol以上0.5mol以下、および、
    塩化テトラメチルアンモニウムを0.1mol以上1.5mol以下、
    含むことを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  2. 請求項1に記載の電気アルミニウムめっき液において、前記ジアルキルスルホン10molに対して、前記塩化アンモニウムを0.3mol以下とすることを特徴とする電気アルミニウムめっき液。
  3. 請求項1又は2に記載の電気アルミニウムめっき液を用いて、基材に電気めっきを施し、前記
    基材表面にアルミニウム被膜を形成するアルミニウム被膜の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の電気アルミニウムめっき液を用いて、基材に電気めっきを施し、前記
    基材表面にアルミニウム被膜を形成する第1の工程と、
    前記アルミニウム被膜を前記基材から剥離する第2の工程と、
    を有するアルミニウム箔の製造方法。
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