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JP7598778B2 - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description

本開示は、セラミック焼結体の製造方法、及びセラミック焼結体に関する。
自動車、電鉄、産業用機器、及び発電関係等の分野には、大電流を制御するパワーモジュールが用いられている。パワーモジュールに搭載される回路基板は、絶縁性のセラミック板を有する。セラミック板の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されるような以下の製造方法が知られている。すなわち、セラミックの粉末を焼結助剤等と混合した後にシート状に押出成形する工程と、打抜加工してセラミックグリーンシートを形成する工程と、セラミックグリーンシートを焼成する工程とが行われることで、セラミック焼結体が製造される。セラミックグリーンシートの焼成工程では、セッターの上に複数枚のセラミックグリーンシートが積層された状態でセラミックグリーンシートの焼成が行われる。
特開平3-60469号公報
上述のような製造方法によって製造されたセラミック焼結体(セラミック板)の主面に金属板が接合された後に、金属板から回路パターンを形成して回路基板が形成される。本開示は、金属板との接合性の向上に有用なセラミック焼結体の製造方法及びセラミック焼結体を提供する。
本開示の一側面に係るセラミック焼結体の製造方法は、複数枚のセラミックグリーンシートが積層された積層体を焼成炉内に収容した状態で、焼成炉内を3kPaよりも小さい目標圧力まで減圧する工程と、焼成炉内を目標圧力まで減圧した後に、焼成炉内を減圧した状態を維持しつつ焼成炉内の温度を上昇させて積層体を焼成する工程と、を含む。焼成炉内を目標圧力まで減圧する工程では、少なくとも焼成炉内の圧力が3kPaから目標圧力まで低下する期間において、焼成炉内における圧力の1秒間あたりの変化量の最大値が30Pa以下となるように焼成炉内を減圧する。
焼成炉内で焼成する前の積層体では、各セラミックグリーンシートが水分を吸着している。そのため、焼成炉内での焼成を行う前に焼成炉内を減圧する過程において水分が蒸発し、蒸発に伴い積層体からガスが発生する。水分に由来したガスの発生に伴って、積層体の一部のセラミックグリーンシートの位置が、他のグリーンシートに対してずれてしまう場合がある。位置ずれが生じたセラミックグリーンシートの端部は、自重によって変形してしまうおそれがある。これに対して、本製造方法では、焼成炉内の圧力の単位時間あたりの変化量の最大値を小さくすることで、単位時間あたりに発生する水分の蒸発量が減少する。その結果、水分の蒸発量の急激な増加が抑えられるので、セラミックグリーンシートの位置ずれが発生し難く、セラミックグリーンシートの端部の変形が抑制される。したがって、本製造方法は、金属板との接合性の向上に有用である。
焼成炉内を目標圧力まで減圧する工程は、焼成炉内のガスを第1流量で排出する状態から、焼成炉内のガスを第1流量よりも大きい第2流量で排出する状態に切り替えることを含んでもよい。焼成炉内の圧力を低下させる際には、目標圧力に近づくにつれて、必要なガスの排出量が大きくなる。その目標圧力付近での大きな排出量に合わせて、一定の流量でガスを排出すると、目標圧力の付近に到達する前の段階において、圧力の単位時間あたりの変化量が大きくなり過ぎるおそれがある。これに対して、上記方法では、第1流量から第2流量にガスの排出量を切り替えることで、目標圧力の付近に到達する前段階では小さい流量でガスを排出し、目標圧力付近では大きい流量でガスを排出することができる。その結果、焼成炉内の圧力の単位時間あたりの変化量を一定値以下に抑えるのが容易である。
積層体を焼成する工程は、焼成炉内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉内の温度を室温から所定の設定温度まで上昇させることを含んでもよい。焼成炉内で積層体を焼成する過程において、焼成炉内の温度の変化量が小さいと、各セラミックグリーンシートに含まれる水分及び他の成分に由来したガスの単位時間あたりの発生量が減少する。その結果、ガスの発生量の急激な増加が抑えられ、セラミックグリーンシートの位置ずれを更に抑制できる。
積層体を焼成する工程は、焼成炉内の温度を室温から所定の焼成温度まで上昇させる期間の一部において、焼成炉内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉内の温度を上昇させることを含んでもよい。この場合、積層体に含まれる成分に由来したガスが発生する温度範囲に合わせた期間において、毎分の温度変化量の最大値を2℃以下に設定すればよいので、セラミック焼結体の製造効率と位置ずれの抑制との両立に有用である。
本開示の一側面に係るセラミック焼結体は、平板状に形成されている。セラミック焼結体の主面のいずれかの一辺を含む端部領域において、当該一辺に沿って延びるように設定された測定ライン上で測定される主面の高さの最大値と最小値との差を、測定ラインの長さで除算して得られる反り量は、0.35×10-3以下である。この場合、端部領域における反りの程度が小さいので、金属板との接合性の向上に有用である。
本開示によれば、金属板との接合性の向上に有用なセラミック焼結体の製造方法及びセラミック焼結体が提供される。
図1は、セラミック焼結体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、セラミック焼結体の製造工程の一例を示すフローチャートである。 図3は、セラミック焼結体の製造工程の一部を行う焼成装置の一例を示す模式図である。 図4は、焼成炉内を減圧する工程の一例を示すフローチャートである。 図5は、焼成炉内の圧力の時間変化の一例を示すグラフである。 図6は、積層体を焼成する工程の一例を示すフローチャートである。 図7は、焼成炉内の温度の時間変化の一例を示すグラフである。 図8は、実施例及び比較例での反り量を評価するラインを示す模式図である。 図9は、実施例での各ライン上の主面の高さの測定値を示すグラフである。 図10は、比較例での各ライン上の主面の高さの測定値を示すグラフである。
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、説明に使用される上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
[セラミック焼結体]
図1は、一実施形態に係るセラミック焼結体(セラミック板)の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示されるセラミック焼結体1は、平板状(直方体状)に形成されている。セラミック焼結体1は、互いに平行な一対の主面2と、一対の主面2を接続する4つの側面4とを有する。主面2の対角線の長さは、150mm以上であってもよく、175mm以上であってもよく、200mm以上であってもよい。セラミック焼結体1の厚さ方向(主面2に直交する方向)から見て、セラミック焼結体1の形状は長方形であってもよい。主面2の形状が長方形である場合、主面2の長辺の長さは、160mm~200mmであってもよく、主面2の短辺の長さは、110mm~150mmであってもよい。
セラミック焼結体1は、主成分としてセラミック粒子と、副成分として主成分中に分散し、セラミック粒子とは異なる酸化物粒子と、を含む。主成分であるセラミック粒子は、窒化物、炭化物、硼化物、酸化物及び珪化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。窒化物としては、窒化アルミニウム(AlN)及び窒化ケイ素(Si)が挙げられる。酸化物としては、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。セラミック粒子は、優れた電気絶縁性と高い熱伝導率とを両立する観点から、構成元素としてアルミニウムを有するセラミックで構成されていてよく、例えば窒化アルミニウム粒子であってもよい。
上述の主成分中に分散する酸化物粒子は、セラミック粒子に含まれるセラミックとは異なる酸化物を含有する。酸化物粒子は、例えば、希土類元素、希土類元素とは異なる遷移元素、アルカリ土類金属元素、及びアルミニウム元素からなる群より選ばれる少なくとも一種を構成元素とする酸化物を含んでいてよい。このような酸化物は、焼結助剤として用いられたときに、セラミック粒子の焼結を促進する作用を有する。
このように、酸化物粒子は、焼結助剤に由来する酸化物を含んでよい。酸化物粒子に含まれる酸化物は複合酸化物であってよい。一例では、セラミック焼結体1は、主成分として窒化アルミニウム粒子と、副成分としてイットリウム及びアルミニウムを構成元素として有する酸化物粒子(複合酸化物粒子)と、を含んでいてよい。このようなセラミック焼結体1は、電気絶縁性のみならず、熱伝導性にも優れる。副成分としてセラミック焼結体1に含まれる複合酸化物としては、例えば、3Y・5Al及びY・Alが挙げられる。
本開示における主成分とは、セラミック焼結体1に含まれる成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。本開示における副成分とは、セラミック焼結体1に含まれる成分のうち、主成分よりも含有量が少ない成分をいう。副成分は、主成分とは異なる成分であり、主成分中に分散している。例えば、主成分である複数のセラミック粒子の粒界に含まれていてよい。セラミック焼結体1における主成分の含有量は、主成分が有する特性を十分に発揮させる観点から、90質量%以上であってよく、93質量%以上であってよく、95質量%以上であってもよい。セラミック焼結体1における副成分(セラミック粒子とは異なる酸化物粒子)の含有量は、焼結を促進して密度を十分に高くする観点から、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよく、2質量%以上であってもよい。
セラミック焼結体1の主面2に含まれる端部領域6における反り量は、0.35×10-3以下である。端部領域6は、主面2の外縁を構成する一辺を含む領域(一辺の近傍の領域)である。端部領域6における反り量は、当該領域でのセラミック焼結体1の反りの程度を示す評価値である。本開示の「反り量」は、一方向に沿って延びるように設定された測定ライン上で測定される主面2の高さの最大値と最小値との差を、その測定ラインの長さで除算することで得られる評価値である。
主面2の一の箇所での高さは、セラミック焼結体1の厚さ方向における基準位置と主面2上の当該箇所との間の最短距離である。端部領域6における反り量は、対応する一辺に沿って延びるように端部領域6内に設定された測定ラインL上で測定される主面2の高さの最大値と最小値との差を、測定ラインLの長さで除算することで得られる。測定ラインLの長さと対応する一辺の長さとは、互いに略一致する。
端部領域6は、対応する一辺に交差する辺に沿った方向において、主面2の端部に位置しており、その対応する一辺に沿って延びている。端部領域6の幅(短手方向の長さ)は、例えば、端部領域6に対応する一辺に交差する辺の長さの0.5%~5.0%程度である。端部領域6内に設定される測定ラインLと、対応する一辺との間の最短距離は、例えば、0.5mm~3.0mm程度である。この最短距離は、主面2の高さを測定するための測定装置の性能に応じて設定されてもよい。
主面2において、4つの端部領域6が想定されるが、いずれか1つの端部領域6における反り量(端部領域6に設定された測定ラインL上での反り量)が、0.35×10-3以下であればよい。互いに略平行な一対の辺に対応する一対の端部領域6における反り量が、0.35×10-3以下であってもよく、4つの端部領域6における反り量が、0.35×10-3以下であってもよい。
端部領域6における反り量が小さいほど、金属板との接合性が向上すると考えられる。金属板との接合性の観点から、端部領域6における反り量は、0.33×10-3以下であってもよく、0.31×10-3以下であってもよく、0.25×10-3以下であってもよい。上述の反り量の定義から、高さの最大値と最小値との差が同じであっても、測定ラインL(一辺)の長さが短いほど、その差による影響が大きく、反りの程度が大きいと評価される。一方、測定ラインL(一辺)の長さが長いほど、その差による影響が小さく、反りの程度が小さいと評価される。
[セラミック焼結体の製造方法]
続いて、一実施形態に係るセラミック焼結体の製造方法として、セラミック焼結体1の製造方法を説明する。図2は、セラミック焼結体1の製造工程の一例を示すフローチャートである。
セラミック焼結体1の製造方法では、まず複数枚のセラミックグリーンシート80を含む積層体90(図3を参照)を形成する工程(S01)が行われる。工程(S01)では、最初に、セラミックスで構成されるシート材を形成する。例えば、粉状のセラミックス、焼成助剤及びバインダーを含む混合物からなる原料スラリーを形成する。セラミックスとして窒化ケイ素が用いられてもよく、バインダーとして有機成分を含むものが用いられてもよい。そして、原料スラリーをドクターブレード法、カレンダー法、又は押し出し法等によって離型フィルム上に所定の厚みで塗布する。その後、塗布された原料スラリーを乾燥させて離型フィルムから剥がすことによって、シート材が形成される。このシート材は、セラミック焼結体1の母材である。
工程(S01)では、次に、シート材を打ち抜くことによって、シート材から個片化されたセラミックグリーンシート80を形成する。より詳細には、切断装置を用いた複数回の打抜き(切断)が繰り返されることで、複数枚のセラミックグリーンシート80を形成する。そして、複数枚のセラミックグリーンシート80それぞれの一方の表面に離型用のスラリーを塗布する。離型用のスラリーは、複数枚のセラミックグリーンシート80を積層した状態で焼成させる際に、互いに隣り合うセラミックグリーンシート80同士が付着することを防ぐ機能を有する。離型用のスラリーとして、窒化ホウ素を含む材料が用いられてもよい。
複数枚のセラミックグリーンシート80に離型用のスラリーが塗布された後に、複数枚のセラミックグリーンシート80を積層することで、積層体90を形成する。積層体90は、互いに隣り合うセラミックグリーンシート80の主面同士が対向(対面)するように形成される。積層体90を構成するセラミックグリーンシート80の積層枚数は、いずれの枚数であってもよく、例えば、50枚~100枚である。
次に、積層体90を脱脂する工程(S02)が行われる。この工程(S02)では、積層体90を脱脂炉に収容して、脱脂炉内の温度を300℃~700℃程度に上昇させることで積層体90を加熱(脱脂)する。積層体90の脱脂が行われることで、積層体90を構成する複数枚のセラミックグリーンシート80に含まれるバインダー成分(例えば、有機成分)が除去される。なお、この脱脂工程が行われても、バインダー成分を全て除去することはできず、脱脂された後の積層体90(脱脂体)にはバインダー成分の一部が残存し得る。
次に、積層体90が焼成炉20内に収容され(図3参照)、積層体90を焼成炉20内に収容した状態で、その焼成炉20内を減圧する工程(S03)が行われる。この工程(S03)では、焼成炉20内の温度を上昇させない状態で、焼成炉20内を所定の目標圧力まで減圧させる。一例では、焼成炉20内の温度が室温に維持された状態で、焼成炉20内を大気圧(常圧)から積層体90に含まれる水分の少なくとも一部が蒸発する程度の圧力(例えば、3kPaよりも小さい圧力)まで減圧させる。工程(S03)の詳細については後述する。
次に、真空状態(実質的な真空状態)で積層体90を焼成する工程(S04)が行われる。この工程(S04)では、焼成炉20内を減圧した状態を維持しつつ、焼成炉20内の温度を上昇させて積層体90を焼成する。例えば、焼成炉20内が中真空程度の圧力(例えば、100Pa以下の圧力)に維持されるように焼成炉20内を減圧しつつ、焼成炉20内の温度を室温から予め定められた焼成温度まで上昇させることで、積層体90に対して真空状態下での焼成が行われる。上記焼成温度は、例えば、800℃~1000℃に設定される。真空状態で積層体90の焼成を行うことで、積層体90の酸化が抑制され、積層体90に残存しているバインダー成分等の有機成分の除去がより促進される。工程(S04)の詳細については後述する。
次に、窒素雰囲気下で積層体90を焼成する工程(S05)が行われる。この工程(S05)では、焼成炉20内の減圧状態(真空状態)を解除し、焼成炉20内を窒素雰囲気下にした状態で積層体90の焼成が行われる。例えば、焼成炉20内の温度を1000℃~2000℃程度に上昇させて、窒素雰囲気下での積層体90の焼成が行われる。以上の工程(S01~S05)を経ることで、複数のセラミック焼結体1が製造される。以上のように製造されたセラミック焼結体1の主面2に金属板が接合された後に、金属板から回路パターンを形成して回路基板が形成されてもよい。
(焼成装置)
図3には、セラミック焼結体1を製造する工程の一部(製造過程)を行う焼成装置10の一例が模式的に示されている。焼成装置10は、複数枚のセラミックグリーンシート80を積層することで形成された積層体90を焼成する。焼成装置10は、例えば、焼成炉20と、加熱部30と、排気部40とを備える。
焼成炉20は、積層体90を加熱するための加熱空間を形成する炉体である。焼成炉20は、積層体90を収容する内側容器と、その内側容器を収容する外側容器とを有してもよい。加熱部30は、焼成炉20内(加熱空間)の温度を上昇させる装置である。加熱部30は、いずれの加熱方式によって焼成炉20内の温度を上昇させてもよい。例えば、加熱部30は、電気ヒータを用いて焼成炉20内の温度を上昇させる。
排気部40は、焼成炉20内を減圧する装置である。より詳細には、排気部40は、焼成炉20内のガスを外部に排出することで、焼成炉20内を実質的に真空状態(例えば、3kPaよりも小さい圧力)にする装置である。排気部40は、焼成炉20内を減圧する際に、焼成炉20内のガスを異なる流量で排出できるように構成されていてもよい。排気部40は、例えば、第1排気ポンプ52と、第1開閉バルブ54と、第2排気ポンプ62と、第2開閉バルブ64とを有する。
第1排気ポンプ52は、焼成炉20内を大気圧から低真空程度の圧力まで減圧する補助ポンプである。第1排気ポンプ52は、焼成炉20内の圧力を大気圧から数百Pa~数千Paまで低下させる程度に、焼成炉20内のガスを排出可能であってもよい。第1排気ポンプ52は、焼成炉20内からガスを排出するための第1排気路56に設けられている。第1開閉バルブ54は、第1排気路56に設けられており、第1排気路56の開閉状態を切り替える。
第2排気ポンプ62は、第1排気ポンプ52によって焼成炉20内が減圧された後に、圧力を更に低下させるように焼成炉20内を減圧する主ポンプである。第2排気ポンプ62は、焼成炉20内の圧力を数Pa~数十Paまで低下させる程度に、焼成炉20内のガスを排出可能であってもよい。第2排気ポンプ62の性能を示す排気速度(単位時間あたりのガスの排出流量)は、例えば、第1排気ポンプ52の性能を示す排気速度の2倍~5倍であってもよい。第2排気ポンプ62は、焼成炉20内からガスを排出するための第2排気路66に設けられている。第2排気路66と、第1排気ポンプ52が設けられる第1排気路56とは、一つの共通排気路46に接続されており、当該共通排気路46を介して焼成炉20内の加熱空間に接続されている。第2開閉バルブ64は、第2排気路66に設けられており、第2排気路66の開閉状態を切り替える。
焼成装置10は、加熱部30及び排気部40を制御するコントローラ(不図示)を備えてもよい。この場合、加熱部30及び排気部40は、コントローラからの動作指示に基づいて動作する。焼成装置10のコントローラは、例えば、予め定められた制御プログラムに従って、加熱部30及び排気部40を制御する。
(減圧工程)
図4は、上述した減圧工程(S03)の詳細の一例を示すフローチャートである。この減圧工程では、最初に、複数枚のセラミックグリーンシート80が積層された積層体90を焼成炉20内に収容する工程(S31)が行われる。積層体90は、図3に示されるように、各セラミックグリーンシート80の主面(主面2に対応する面)が水平となるように焼成炉20内に収容される。積層体90は、一対のセッター92に挟まれた状態で焼成炉20内に収容されてもよい。例えば、積層体90の最下層に位置するセラミックグリーンシート80が一方のセッター92に接触し、最上層に位置するセラミックグリーンシート80が他方のセッター92に接触するように、積層体90が一対のセッター92に挟まれている。セッター92は、セラミック焼結体を作製する際に用いられる公知の部材(例えば成形品)であり、セッター92を構成する材料は窒化ホウ素を含んでいてもよい。
下方に位置するセッター92は、焼成炉20内の容器の底壁に載置されてもよい。上方に位置するセッター92上に、積層体90に荷重を加える重石94が配置されてもよい。重石94はタングステンによって構成されてもよい。タングステンは高温でも安定しており、また、タングステンの比重は大きいので、重石94の容積を小さくすることができる。重石94から積層体90に付加される荷重[gf/cm]は、5~30であってもよい。重石94からの荷重を上記範囲に調整することで、セラミック焼結体1の密度の過度な低下を抑制でき、焼成炉20内への投入重量の極端な増加に起因した生産性の低下を抑制できる。
次に、焼成炉20内の排気が開始される(S32)。例えば、焼成装置10のコントローラが、排気部40の第1排気ポンプ52を動作させ、第1開閉バルブ54を閉状態から開状態に切り替える。これにより、第1排気ポンプ52によって、共通排気路46及び第1排気路56を介して、焼成炉20内のガスが排出され始め、焼成炉20内の圧力が大気圧から低下し始める。第1排気ポンプ52の動作開始によって、第1排気ポンプ52の性能、排気路の配管容量(特に配管径)、及び第1開閉バルブ54の開度等に応じた流量(以下、「第1流量」という。)で、焼成炉20内のガスが焼成炉20の外に排出される。
次に、焼成炉20内の圧力が所定の切替圧力Pcに低下するまで待機する(S33)。切替圧力Pcは、例えば、予め定められており、焼成装置10のコントローラに記憶されている。切替圧力Pcは、100Pa~2000Paであってもよく、150Pa~1500Paであってもよく、200Pa~1000Paであってもよい。上記第1流量は、大気圧から切替圧力Pcまで低下する時間(以下、「第1低下時間T1」という。)が30分~300分となるように設定されてもよい。あるいは、第1流量は、第1低下時間T1が50分~250分となるように設定されてもよく、第1低下時間T1が100分~200分となるように設定されてもよい。以上のように、焼成炉20内が第1流量で排気される状態が、第1低下時間T1だけ継続される。その結果、図5に示されるように、焼成炉20内の圧力が、大気圧(約100kPa)から切替圧力Pcまで低下する。
次に、焼成炉20内を排気する状態の切替えが行われる(S34)。例えば、焼成装置10のコントローラが、排気部40の第2排気ポンプ62を動作させ、第2開閉バルブ64を閉状態から開状態に切り替える。この際、第1開閉バルブ54が開状態に維持されてもよい。これにより、第1排気ポンプ52によるガスの排出に加えて、共通排気路46及び第2排気路66を介して、第2排気ポンプ62によって焼成炉20内のガスが排出され始め、焼成炉20内の圧力が切替圧力Pcよりも更に低下し始める。
第2排気ポンプ62の動作開始によって、第1排気ポンプ52及び第2排気ポンプ62の性能、各排気路の配管容量(特に配管径)、及び第1開閉バルブ54及び第2開閉バルブ64の開度等に応じた流量(以下、「第2流量」という。)で、焼成炉20内のガスが排出される。この際、第1排気ポンプ52と第2排気ポンプ62との2つの排気ポンプで焼成炉20内のガスが排出されるので、第2流量は第1流量よりも大きい。
次に、焼成炉20内の圧力が所定の目標圧力Ptに低下するまで待機する(S35)。目標圧力Ptは、例えば、予め定められており、焼成装置10のコントローラに記憶されている。目標圧力Ptは、焼成炉20内に収容された積層体90(各セラミックグリーンシート80)に含まれる水分の量が減少する程度に設定される。目標圧力Ptは、3kPaよりも小さい値に設定される。目標圧力Ptは、1Pa~100Paであってもよく、5Pa~80Paであってもよく、10Pa~50Paであってもよい。上記第2流量は、切替圧力Pcから目標圧力Ptまで低下する時間(以下、「第2低下時間T2」という。)が、第1低下時間T1よりも短くなるように設定されてもよい。以上のように、焼成炉20内が第2流量で排気される状態が、第2低下時間T2だけ継続される。その結果、図5に示されるように、焼成炉20内の圧力が、切替圧力Pcから目標圧力Ptまで低下する。
以上の工程(S31~S35)が行われることで、焼成炉20内に積層体90が収容された状態で、焼成炉20内が大気圧から目標圧力Ptまで減圧される。以上の減圧工程では、少なくとも焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、焼成炉20内における圧力の1秒間あたりの変化量(以下、「毎秒の圧力変化量」という。)の最大値が30Pa以下となるように、焼成炉20内が減圧されてもよい。焼成炉20内の圧力が3kPaより小さくなると、室温においてセラミックグリーンシート80内の水分が蒸発し得る。毎秒の圧力変化量は、1秒ごとに得られる圧力の測定値から算出されてもよく、1秒とは異なる所定時間ごとに得られる圧力の測定値から算出されてもよい。例えば、1分(60秒)ごとに圧力の測定値が得られる場合において1分間あたりの圧力の変化量を60で除算することで、毎秒の圧力変化量が算出されてもよい。
なお、焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、焼成炉20内における毎秒の圧力変化量の最大値は、20Pa以下、10Pa以下、又は8Pa以下であってもよい。本開示において、焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、毎秒の圧力変化量の最大値が上記値以下となることは、当該期間内のいずれの時間においても、毎秒の圧力変化量が上記値以下となっていることを意味する。一例では、焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、毎秒の圧力変化量の最大値が上記値以下となるように、排気部40のポンプの出力、排気路の配管容量、及びポンプ動作時のバルブの開度が予め設定される。
上述のように、焼成炉20内の排気状態を、焼成炉20内を排気する流量が小さい状態から当該流量が大きい状態に切り替える場合、切替えの際の圧力変化量が、3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において最大となる傾向がある。この場合、切替えの際の圧力変化量が、30Pa以下、20Pa以下、10Pa以下、又は8Pa以下となるように、排気部40が構成されていてもよい。
(真空状態での焼成工程)
図6は、上述した真空状態での焼成工程(S04)の詳細の一例を示すフローチャートである。この焼成工程では、焼成炉20内が減圧された状態で、焼成炉20内の積層体90の加熱が開始される(S41)。例えば、焼成装置10のコントローラが、焼成炉20内の圧力が目標圧力Ptに達した場合に、排気部40に焼成炉20内からのガスの排出を継続させつつ、排気部40内の温度が室温から上昇し始めるように加熱部30を制御する。
次に、焼成炉20内の温度が焼成温度t1に上昇するまで待機する(S42)。焼成温度t1は、例えば、予め定められており、焼成装置10のコントローラに記憶されている。焼成温度t1は、焼成炉20内に収容された積層体90(各セラミックグリーンシート80)に含まれるバインダーの残存成分等の有機成分及び水分が十分に除去される程度に設定される。積層体90からのこれらの成分に由来したガスの発生に伴って、焼成炉20内の圧力は目標圧力Ptよりも上昇し得る。例えば、焼成炉20内の圧力は、目標圧力Ptよりも数十Pa~数百Pa程度上昇し得る。これらの工程が行われることで、図7に示されるように、焼成炉20内の温度が焼成温度t1まで上昇する。
次に、焼成炉20内の真空状態が解除される(S43)。例えば、焼成装置10のコントローラが、排気部40の第1開閉バルブ54及び第2開閉バルブ64を開状態から閉状態に切り替えることで、焼成炉20内の真空状態を解除する。
以上の工程が行われることで、積層体90に対して真空状態での焼成が施される。以上の真空状態での焼成工程では、焼成炉20内の温度が室温から所定の設定温度t2に上昇するまでの間において、焼成炉20内における温度の1分間あたりの変化量(以下、「毎分の温度変化量」という。)の最大値が2℃以下となるように、焼成炉20内の温度が上昇される。所定の設定温度t2は、積層体90内の有機成分及び水分に由来したガスが発生する温度範囲に基づいて、予め設定されている。設定温度t2は、上記焼成温度t1と同じ値であってもよく、焼成温度t1よりも小さい値であってもよい。設定温度t2は、例えば、500℃~1000℃であってもよく、600℃~1000℃であってもよく、800℃~1000℃であってもよい。図7に示されるグラフでは、設定温度t2は、焼成温度t1と同じ値に設定されている。
焼成炉20内における毎分の温度変化量(設定温度t2までの毎分の温度上昇量)の最大値は、1.8℃以下、1.6℃以下、又は1.4℃以下であってもよい。本開示において、焼成炉20内の温度が室温から設定温度t2まで上昇する期間において、毎分の温度変化量の最大値が上記値以下となることは、当該期間内のいずれの時間においても、毎分の温度変化量が上記値以下となっていることを意味する。当該期間において、毎分の温度変化量は一定でなくてもよく、温度変化量がゼロとなる期間を含んでいてもよい。焼成炉20内の温度が室温から設定温度t2(焼成温度t1)まで上昇するまでの時間は、5時間以上、7時間以上、9時間以上、又は10時間以上であってもよい。真空状態下での焼成工程の後に、窒素雰囲気下において、図7に示されるように、焼成温度t1よりも更に焼成炉20内の温度を上昇させて、積層体90の焼成が行われる。以上の工程を経た積層体90に含まれる各セラミック焼結体1では、いずれかの端部領域6(図1参照)における反り量が、0.35×10-3以下となり得る。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以上に例示したセラミック焼結体1の製造方法は、一例であり適宜変更可能である。上述の例では、排気状態が2段階に切り替えられているが、排気状態の切替えが行われなくてもよく、排気状態が3段階以上に切り替えられてもよい。排気状態の切替え方法として、排気ポンプの出力の調整、開閉バルブの開度の調整、又は配管容量が異なる排気路の切替えが行われてもよい。これらの方法のいずれかと排気ポンプの切替えとの組合せによって、又は3台以上の排気ポンプを用いて、排気状態が3段階以上に切り替えられてもよい。
焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、毎秒の圧力変化量の最大値が30Pa以下となるように焼成炉20内が排気されるが、焼成炉20内の圧力が3kPaよりも大きい期間の少なくとも一部においても、毎秒の圧力変化量の最大値が30Pa以下であってもよい。焼成炉20内を3kPaから目標圧力Ptまで減圧する際に、焼成炉20内の毎秒の圧力変化量の最大値が30Pa以下となるように減圧が行われればよく、焼成炉20内の毎分の温度変化量が2℃よりも大きくてもよい。
上述の例では、焼成炉20内の温度を室温から設定温度t2まで上昇させる間において、毎分の温度変化量の最大値が2℃以下に設定される。この設定に代えて、積層体90を焼成する工程では、焼成炉20内の温度を室温から焼成温度t1まで上昇させる期間の一部において、焼成炉20内での毎分の温度変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉20内の温度を上昇させてもよい。例えば、室温よりも高い所定の第1設定温度から、当該第1設定温度よりも高く、且つ焼成温度t1よりも低い所定の第2設定温度まで焼成炉20内の温度を上昇させる期間において、焼成炉20内での毎分の温度変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉20内の温度を上昇させてもよい。第1設定温度及び第2設定温度は、バインダー内の有機成分の分解温度(有機成分に由来した二酸化炭素ガスが発生する温度)に応じて定められてもよい。第1設定温度は、例えば450℃又は500℃であり、第2設定温度は、例えば550℃又は600℃である。
[実施形態の効果]
以上の実施形態に係るセラミック焼結体1の製造方法は、複数枚のセラミックグリーンシート80が積層された積層体90を焼成炉20内に収容した状態で、焼成炉20内を3kPaよりも小さい目標圧力Ptまで減圧する工程と、焼成炉20内を目標圧力Ptまで減圧した後に、焼成炉20内を減圧した状態を維持しつつ焼成炉20内の温度を上昇させて積層体90を焼成する工程と、を含む。焼成炉20内を目標圧力Ptまで減圧する工程では、少なくとも焼成炉20内の圧力が3kPaから目標圧力Ptまで低下する期間において、焼成炉20内における圧力の1秒間あたりの変化量の最大値が30Pa以下となるように焼成炉20内を減圧する。
焼成炉20内で焼成する前の積層体90では、各セラミックグリーンシート80が水分を吸着している。そのため、焼成炉20内での焼成を行う前に焼成炉20内を減圧する過程において水分が蒸発し、水分の蒸発によってガスが発生する。水分に由来したガスの発生に伴って、積層体90の一部のセラミックグリーンシート80(積層体90の上段に位置するグリーンシート)の水平方向における位置が、他のグリーンシートに対してずれてしまう場合がある。位置ずれが生じたセラミックグリーンシート80の端部は、自重によって変形してしまうおそれがある。これに対して、本製造方法では、焼成炉20内の圧力の単位時間あたりの変化量の最大値を小さくすることで、単位時間あたりに発生する水分の蒸発量が減少する。その結果、水分の蒸発量の急激な増加が抑えられので、セラミックグリーンシート80の位置ずれが発生し難く、セラミックグリーンシート80の端部の変形が抑制される。したがって、本製造方法は、金属板との接合性の向上に有用である。
以上の実施形態において、焼成炉20内を目標圧力Ptまで減圧する工程は、焼成炉20内のガスを第1流量で排出する状態から、焼成炉20内のガスを第1流量よりも大きい第2流量で排出する状態に切り替えることを含む。焼成炉20内の圧力を低下させる際には、目標圧力Ptに近づくにつれて、必要なガスの排出量が大きくなる。その目標圧力付近での大きな排出量に合わせて、一定の流量でガスを排出すると、目標圧力Ptの付近に到達する前の段階において、圧力の単位時間あたりの変化量が大きくなり過ぎるおそれがある。これに対して、上記方法では、第1流量から第2流量にガスの排出量を切り替えることで、目標圧力Ptの付近に到達する前段階では小さい流量でガスを排出し、目標圧力付近では大きい流量でガスを排出することができる。その結果、焼成炉20内の圧力の単位時間あたりの変化量を一定値以下に抑えるのが容易である。
以上の実施形態において、積層体90を焼成する工程は、焼成炉20内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉20内の温度を室温から所定の設定温度t2まで上昇させることを含む。焼成炉20内で積層体90を焼成する過程において、焼成炉20内の温度の変化量が小さいと、各セラミックグリーンシート80に含まれている水分及び他の成分(バインダーの有機成分)に由来したガスの単位時間あたりの発生量が減少する。その結果、焼成過程でのガスの発生量の急激な増加が抑えられ、セラミックグリーンシート80の位置ずれを更に抑制できる。
以上の実施形態において、積層体90を焼成する工程は、焼成炉20内の温度を室温から所定の焼成温度t1まで上昇させる期間の一部において、焼成炉20内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、焼成炉20内の温度を上昇させることを含む。この場合、バインダーの有機成分に由来したガスが発生する温度範囲に合わせた期間において、毎分の温度変化量の最大値を2℃以下とし、他の期間においては毎分の温度変化量を2℃よりも大きくすることができる。その結果、セラミック焼結体の製造効率と位置ずれの抑制との両立に有用である。
以上の実施形態に係るセラミック焼結体1は、平板状に形成されている。セラミック焼結体1の主面2のいずれかの一辺を含む端部領域6において、当該一辺に沿って延びるように設定された測定ラインL上で測定される主面2の高さの最大値と最小値との差を、測定ラインLの長さで除算して得られる反り量は、0.35×10-3以下である。この場合、端部領域6における反りの程度が小さいので、金属板との接合性の向上に有用である。
次に、実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上述の図2に示される工程(S01~S05)を含む製造方法によって、主面が長方形であるセラミック焼結体を形成した。具体的には、最初に、粉状の窒化ケイ素と、焼成助剤と、有機成分を含むバインダーとを混合させて原料スラリーを形成した。その原料スラリーをテープ成型法により離型フィルムに塗布して、厚み0.4mmのシート材を形成した。そのシート材を打ち抜くことで、複数枚のセラミックグリーンシートを形成した。セラミックグリーンシートの短辺の長さは180mmとし、セラミックグリーンシートの長辺の長さは260mmとした。各セラミックグリーンシートに離型剤として窒化ホウ素を含む材料を塗布した後に、60枚のセラミックグリーンシートを積層することで、積層体を形成した。
上記積層体を、脱脂炉において500℃で20時間だけ加熱して脱脂した。脱脂された積層体を収容した焼成炉内を、目標圧力である20Paまで減圧した。その際、3kPaから目標圧力まで減圧する間では、毎秒の圧力変化量の最大値が8Pa以下となるように、焼成炉内を減圧した。焼成炉内を減圧した状態で、焼成炉内を室温から900℃まで4時間かけて加熱した。この時の毎分の温度変化量(昇温速度)は、1.3℃に設定した。その後、減圧状態を解除し、焼成炉内を窒素ガスで充填させて、900℃から1800℃まで8時間かけて加熱した。その後、焼成炉内を1800℃に5時間保持した後、焼成炉内で放冷した。このようにして、セラミック焼結体として、窒化ケイ素焼結体を得た。
(反りの評価)
窒化ケイ素焼結体の主面2に含まれる一対の短辺8aそれぞれの長さD1は135mmであり、一対の長辺8bそれぞれの長さD2は190mmであった(図8参照)。短辺8aが延びる方向に沿って並ぶ3つの測定ライン上で、上述した反り量の算出をそれぞれ行った。
測定ラインLaを、一方の長辺8bを含む端部領域に設定し、測定ラインLcを、他方の長辺8bを含む端部領域に設定した。測定ラインLbを、短辺8aが延びる方向において略中央の領域に設定した。測定ラインLa,Lb,Lcの長さは、長さD2と同じ値(190mm)に設定した。測定ラインLa,Lcそれぞれは、対応する長辺8bから2mm内側に設定した。
各測定ライン上での主面2の高さを、以下のようにして測定した。すなわち、レーザ三次元形状測定機によって、主面2の測定ライン上にレーザ光を照射し、主面2から拡散及び反射された光を受光して主面2の高さ(測定機との間の距離)を算出した。ここで、レーザ三次元形状測定機については、XYθステージユニットとしてK2-300(神津精機株式会社製)を採用し、高精度レーザ変位計としてLK-G500(株式会社キーエンス製)を採用し、モータコントローラとしてSC-200K(神津精機株式会社製)を採用し、AD変換機としてDL-100(神津精機株式会社製)を採用した構成のものとした。測定ラインに沿った測定位置のピッチは、1.0mmとした。すなわち、各測定ラインにおいて、1.0mmごとに主面2の高さを算出した。主面2全体での高さの平均値も、上記測定機を用いて算出した。
図9には、各測定ライン上の主面2の高さの測定結果が示されている。図9に示されるグラフにおいて、「(a)」は、測定ラインLaについての測定結果であり、「b」は、測定ラインLbについての測定結果であり、「(c)」は、測定ラインLcについての測定結果である。各グラフでは、縦軸の「高さ(μm)」は、主面2全体での高さの平均値に対する高さの変動量を示しており、横軸の「測定位置(mm)」は、測定ライン上の基準点(一方の端点)からの距離を示している。
各測定ラインにおける高低差及び反り量を下記の表1に示す。高低差は、測定ライン上の複数の測定位置でそれぞれ測定された主面2の高さのうちの最大値と最小値との差である。反り量は、上記高低差を測定ラインの長さ(190mm)で除算して得られる値である。
Figure 0007598778000001
(実施例2)
焼成加熱時の毎分の温度変化量を0.8(℃/分)に設定したこと以外は、上記実施例1と同様にして窒化ケイ素焼結体を作製した。実施例1と同様に反り量を測定した結果を表2に示す。
Figure 0007598778000002
(比較例)
3kPaから目標圧力に減圧する間に、毎秒の圧力変化量の最大値が65Paとなるように焼成炉を減圧し、室温から900℃まで加熱する間に、毎分の温度変化量が4.2℃となるように焼成炉を加熱したこと以外は、上記実施例1と同様にして窒化ケイ素焼結体を作製した。そして、実施例と同様に、短辺8aが延びる方向に沿って並ぶ3つの測定ライン上で、上述した反り量の評価をそれぞれ行った。
図10には、比較例についての各測定ライン上の主面2の高さの測定結果が示されている。比較例での各測定ラインにおける高低差及び反り量を下記の表3に示す。
Figure 0007598778000003
実施例及び比較例の測定結果を比較すると、中央領域に設定された測定ラインLbにおける反り量については、同程度であった。一方、端部領域6に設定された測定ラインLa,Lcにおける反り量については、比較例に比べて実施例の方が小さいことが確認された。すなわち、測定ラインの長さ(長さD2)が同じであっても、上記製造工程を経て形成された実施例に係るセラミック焼結体では、端部領域での反りの程度が小さいことが確認された。
本開示によれば、金属板との接合性の向上に有用なセラミック焼結体の製造方法及びセラミック焼結体が提供される。
1…セラミック焼結体、2…主面、6…端部領域、20…焼成炉、80…セラミックグリーンシート、90…積層体、Pt…目標圧力、t1…焼成温度、t2…設定温度、L…測定ライン。

Claims (4)

  1. 複数枚のセラミックグリーンシートが積層された積層体を焼成炉内に収容した状態で、前記焼成炉内を3kPaよりも小さい目標圧力まで減圧する工程と、
    前記焼成炉内を前記目標圧力まで減圧した後に、前記焼成炉内を減圧した状態を維持しつつ前記焼成炉内の温度を上昇させて前記積層体を焼成する工程と、を含み、
    前記焼成炉内を前記目標圧力まで減圧する工程では、少なくとも前記焼成炉内の圧力が3kPaから前記目標圧力まで低下する期間において、前記焼成炉内における圧力の1秒間あたりの変化量の最大値が30Pa以下となるように前記焼成炉内を減圧する、セラミック焼結体の製造方法。
  2. 前記焼成炉内を前記目標圧力まで減圧する工程は、前記焼成炉内のガスを第1流量で排出する状態から、前記焼成炉内のガスを前記第1流量よりも大きい第2流量で排出する状態に切り替えることを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記積層体を焼成する工程は、前記焼成炉内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、前記焼成炉内の温度を室温から所定の設定温度まで上昇させることを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記積層体を焼成する工程は、前記焼成炉内の温度を室温から所定の焼成温度まで上昇させる期間の一部において、前記焼成炉内における温度の1分間あたりの変化量の最大値が2℃以下となるように、前記焼成炉内の温度を上昇させることを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
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