JP7601068B2 - ロータコアとその製造方法ならびにモータ - Google Patents
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Description
上記のように、モータ製造工程の面からのロータコアの強度特性の改善も、モータ特性や生産性、コストの面でも多くの問題が残されていた。
C:0.0015mass%、Si:3.7mass%、Mn:0.5mass%、Al:1.0mass%およびS:0.002mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する、板厚0.20mmの電磁鋼板を素材に用いて、図1に示した形状を有するロータコア材を、以下の5つの方法で作製した。
・方法1:金型を用いた打抜加工(クリアランス:板厚の5%)
・方法2:方法1で得たロータコア材の切断面を機械研磨により平滑化
・方法3:方法1で得たロータコア材の切断面を塩化第二鉄水溶液(45ボーメ、液温45℃)で10秒間処理
・方法4:レーザ切断加工(シングルモードファイバーレーザ、出力:300W、走査速度:10m/min、レーザビームの傾斜角θ=0°)
・方法5:レーザ切断加工(シングルモードファイバーレーザ、出力:300W、走査速度:10m/min、レーザビームの傾斜角θ=2°)
(上記方法4および5のレーザビームの傾斜角θは、図2に示したように、レーザビームの鋼板表面の垂線からの切り落とす孔側への傾斜角をいう)
・方法1と方法2の比較から、機械研磨により疲労強度が向上していること、また、方法2と方法3の比較から、化学研磨を行うことでさらに疲労強度が向上していることがわかる。これは、機械研磨や化学研磨によって打抜加工した切断面の表面粗さRaが低減し、応力集中が緩和されたことによるものと考えられる。
・一方、方法4(傾斜角θ:0°)でレーザ切断加工した場合には、表面粗さRaは方法2と同レベルであるが、疲労強度は方法2には及ばない。しかし、傾斜角θを2°に設定した方法5では、表面粗さRaは方法2や方法4と同レベルであるにも拘わらず、方法1~5の中で最も高い疲労強度を示している。
本発明は、上記の新規な知見に基づき開発したものである。
C:0.0005~0.01mass%
Cは、磁気時効を起こして製品板の磁気特性を劣化させる元素であるので、極力低減するのが望ましく、本発明では0.01mass%以下に制限するのが好ましい。しかし、Cの極度の低減は、精錬コストの上昇を招くため、下限は0.0005mass%とする。より好ましくは0.0010~0.0040mass%の範囲である。
Siは、鋼の比抵抗を高めて鉄損を低減する元素であるため、モータ損失の低減に有効な元素である。また、鋼の強度を高めるためにも有効な元素である。上記の効果を得るためには0.5mass%以上含有していることが好ましい。しかし、7mass%を超える添加は、磁束密度の低下を招くほか、鋼が硬質化し、打抜加工等の機械加工でコア材を製造する際、切断面の性状、とくに切断面に存在する結晶粒界における段差を小さくすることが難しくなる。また、原料コストの上昇も招くので好ましくない。よって、Siは7mass%以下に制限するのが好ましい。より好ましくは2.5~6.5mass%の範囲であり、さらに好ましくは3.5~6.5mass%の範囲である。
Mnは、Siと同様、鋼の比抵抗を高めて鉄損を低減したり、鋼の強度を高めたりするのに有効な元素である。また、熱間加工性を改善する元素でもある。上記効果を得るためには0.05mass%以上含有するのが好ましい。しかし、3mass%を超えると、磁束密度の低下を招くほか、鋼が硬質化して加工性の低下を招いたり、原料コストの上昇を招いたりする。よって、Mnは0.05~3mass%の範囲とするのが好ましい。より好ましくは0.06~1.5mass%の範囲である。
Alも、Siと同様、鋼の比抵抗を高めて鉄損を低減したり、鋼の強度を高めたりするのに有効な元素である。上記効果を得るには0.0010mass%以上含有するのが望ましい。しかし、3mass%を超えると、磁束密度の低下を招くほか、鋼が硬質化して加工性の低下を招いたり、原料コストの上昇を招いたりするので、3mass%以下に制限するのが好ましい。より好ましくは0.1~1.5mass%の範囲である。
P:0.001~0.1mass%
Pは、鋼の強度を高めて、打抜加工性を改善する効果がある。また、Pは、結晶粒界に偏析して、レーザ切断加工時に粒界とその近傍の鋼の融点を下げる作用があり、結晶粒界の段差の低減に有効であるので、0.001mass%以上添加するのが好ましい。しかし、0.1mass%を超えると、鋼が硬質化し過ぎて、圧延することが難しくなる他、原料コストの上昇を招く。よって、Pを添加する場合は、上限を0.1mass%とするのが好ましい。より好ましくは0.02~0.08mass%の範囲である。
Sは、不可避的不純物として含有してくる元素であるが、結晶粒界に偏析して、レーザ切断加工時に粒界とその近傍の鋼の融点を下げる作用があり、結晶粒界の段差の低減に有効である。しかし、0.01mass%を超えると、レーザ切断加工に伴う加熱によってMn等と析出物を形成し、磁気特性の劣化を招くので、上限は0.01mass%とするのが好ましい。より好ましくは0.0020mass%以下である。
SnおよびSbは、結晶粒界に偏析してレーザ切断加工時に粒界とその近傍の鋼の融点を下げる作用があり、結晶粒界の段差の低減に有効であるので、それぞれ0.001mass%以上含有させることが好ましい。しかし、0.1mass%を超えると、圧延性が悪化し、原料コストも上昇するので、上限は0.1mass%とするのが好ましい。より好ましくは、それぞれ0.02~0.08mass%の範囲である。
CaおよびMgは、安定な硫化物を形成し、母材鋼板の粒成長性を改善する効果があるので、それぞれ0.0002mass%以上含有させることが好ましい。しかし、0.005mass%を超えると、上記効果が飽和してしまうので、上限は0.005mass%とするのが好ましい。より好ましくは、それぞれ0.001~0.004mass%の範囲である。
本発明に用いる無方向性電磁鋼板は、板厚方向に1mass%以上のSi濃度傾斜を有することが好ましい。鋼板の渦電流損は、表皮効果により板厚の表層に集中するため、板厚表層のSi濃度を高めて比抵抗を大きくすることが渦電流損の低減に対して有効に作用する。この効果を十分に得るためには、鋼板の表層部と中心部とのSi濃度差を1mass%以上(表層部が中心部より1mass%以上高い)とすることが好ましい。ここで、上記のSi濃度差は、鋼板を板厚方向に3分割したとき、表裏の鋼板表面から板厚の1/3までの層を表層部、その間に挟まれた板厚中央の板厚の1/3の層を中心部としたとき、表裏の表層部のSi濃度の平均値と中心部のSi濃度との差のことをいう。また、上記Siの濃度差の測定は、鋼板断面のSi濃度分布をEPMAで測定してもよいし、全板厚の鋼板と、鋼板の両面から板厚の1/3を化学研磨などで溶解・除去した残りの板厚を1/3のSi濃度を湿式分析し、その差から求めてもよい。
Claims (20)
- 素材鋼板から採取し、ロータコアの外周形状に加工してなる鋼板を積層して構成されるロータコアであって、
上記鋼板には熱切断加工されてなる複数の孔が形成されてなり、かつ、
上記孔の切断面に存在する、結晶粒界における段差の最大値が0.33μm以下であることを特徴とするロータコア。 - 上記素材鋼板は、C:0.0005~0.01mass%、Si:7mass%以下、Mn:0.05~3mass%およびAl:3mass%以下を含有し、さらに任意選択的にP:0.001~0.1mass%、S:0.01mass%以下、Sn:0.001~0.1mass%、Sb:0.001~0.1mass%、Ca:0.0002~0.005mass%およびMg:0.0002~0.005%のうちから選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板であることを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
- 上記素材鋼板は、鋼板表裏の表面から板厚の1/3までを表層部、鋼板表面から板厚の1/3より内側を中心部としたとき、上記表層部の表裏の平均Si含有量が中心部より1mass%以上高いことを特徴とする請求項1に記載のロータコア。
- 上記素材鋼板は、鋼板表裏の表面から板厚の1/3までを表層部、鋼板表面から板厚の1/3より内側を中心部としたとき、上記表層部の表裏の平均Si含有量が中心部より1mass%以上高いことを特徴とする請求項2に記載のロータコア。
- 上記熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロータコア。
- 上記ロータコアの形状に加工した鋼板の外周が熱切断加工されてなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロータコア。
- 上記ロータコアの形状に加工した鋼板の外周が熱切断加工されてなることを特徴とする請求項5に記載のロータコア。
- 上記外周の熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項6に記載のロータコア。
- 上記外周の熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項7に記載のロータコア。
- 上記孔の一部または全てに永久磁石を挿入してなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロータコア。
- 上記孔の一部または全てに永久磁石を挿入してなることを特徴とする請求項5に記載のロータコア。
- 請求項2に記載の成分組成を有する素材鋼板から採取したロータコア形状の鋼板に熱切断加工によって複数の孔を形成した後、上記鋼板を積層してロータコアを組み立てるロータコアの製造方法であって、
上記熱切断加工では、熱ビームを鋼板表面の垂線に対して切り落とす孔側に3~5°傾斜させて照射することで、切断面に存在する結晶粒界における段差の最大値を0.5μm以下とすることを特徴とするロータコアの製造方法。 - 上記素材鋼板は、鋼板表裏の表面から板厚の1/3までを表層部、鋼板表面から板厚の1/3より内側を中心部としたとき、上記表層部の表裏の平均Si含有量が中心部より1mass%以上高いことを特徴とする請求項12に記載のロータコアの製造方法。
- 上記熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項12または13に記載のロータコアの製造方法。
- 上記ロータコアの形状に加工した鋼板の外周を熱切断加工することを特徴とする請求項12または13に記載のロータコアの製造方法。
- 上記ロータコアの形状に加工した鋼板の外周を熱切断加工することを特徴とする請求項14に記載のロータコアの製造方法。
- 上記外周の熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項15に記載のロータコアの製造方法。
- 上記外周の熱切断加工がレーザ切断加工であることを特徴とする請求項16に記載のロータコアの製造方法。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のコアをロータコアに用いてなる、ロータコアとステータコアを有するモータであって、
上記ロータコアの外径とステータコアの内径との最短距離が0.30mm以下であることを特徴とするモータ。 - 請求項5に記載のコアをロータコアに用いてなる、ロータコアとステータコアを有するモータであって、
上記ロータコアの外径とステータコアの内径との最短距離が0.30mm以下であることを特徴とするモータ。
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