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JP7614408B2 - 車載電子制御装置 - Google Patents
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JP7614408B2 - 車載電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車載電子制御装置に関する。
自動車の運転者をサポートし、他の自動車等との衝突を回避したり、衝突の影響を軽減したりすることを目的とした様々な運転支援システムが開発されている。運転支援システムの典型例としては、自動車の前方に存在する他の自動車等の物標との衝突が予測された場合に、自動的に制動を開始し、衝突を防止もしくは軽減する衝突被害軽減ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)などがある。さらには、AEBでは物標との衝突を防止できないと判断された場合に、制動だけでなく自動車の進行方向の変更を伴う自動操舵あるいは運転者の操舵支援を行うことで、自車両と物標との衝突の回避を図る運転支援システムも検討されている。このシステムでは、回避動作において、自動車の進行方向の変更を伴うことから、衝突が予測された物標以外の物標に自車両が接触しないように監視する必要がある。
このような運転支援システムは、自動車に搭載される複数の外界センサによって検知される情報に基づいて、運転者をサポートするための制御を行う。近年では、運転支援システムに、複数の外界センサの検知結果を統合して、自車両の周囲の広範囲内の物標を高精度に認識するセンサフュージョン技術が取り入れられている。センサフュージョン技術によって統合された情報は、外界センサ単体から出力される情報に比べて、信頼度が高い。
特許文献1には、高度自動化された走行において、衝突は発生しないかについて、車両が辿るべき目標軌跡を監視するための方法及び装置にセンサフュージョン技術が用いられた発明が開示されている。特許文献1には、フュージョンされたセンサデータに基づいて、車両周囲におけるフリースペースを特定し、特定されたフリースペースに基づいて、衝突は発生しないかについて、目標軌跡が検査されることが記載されている。
特表2018-512323号公報
物標との衝突の回避を図るために自車両の進行方向を変更する場合、車線変更など通常の走行において自車両の進行方向を変更する場合よりも、自車両の進行方向を変更するか否かを決定するまでの各種処理にかけられる時間は短い。
しかしながら、センサフュージョン技術によって統合された情報は、信頼度が高い反面、外界センサ単体の出力結果に基づいて物標を認識する場合に比べて処理の完了が遅くなるという問題がある。
例えば、特許文献1に記載の技術のように、複数の外界センサの情報を統合した結果に基づいて、目標軌跡の衝突検査が実施される場合、各外界センサ間のサンプリング時刻及び遅延時間の調整と、調整後の複数の外界センサの検知結果を統合する処理とによって、100ミリ秒オーダの時間を要するおそれがある。
このため、特許文献1に記載の技術では、外界センサによる物標の検知から衝突検査が完了するまでの間に、その物標(回避対象物標)とは異なる新たな物標が目標軌跡に接近し、目標軌跡に沿った回避動作を実行した場合に、新たな物標と自車両とが接触してしまうおそれがある。
本発明は、複数の外界センサの情報を統合する処理が可能であって、自車両の進行方向の変更を伴う回避動作によって回避対象物標とは異なる物標と自車両との接触を防止可能な車載電子制御装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様による車載電子制御装置は、自車両に搭載された複数の外界センサによって検知された物標の物標情報を取得し、取得した複数の前記物標情報を統合する統合処理を実行する処理装置を備える。前記処理装置は、前記統合処理の結果に基づいて、前記自車両の周辺の路面のうち前記自車両が進入可能な走行可能領域を認識し、前記物標情報に基づいて、前記自車両と前記物標とが衝突するか否かを予測し、前記自車両と前記物標とが衝突すると予測された場合、衝突すると予測された前記物標との衝突を回避するための回避目標を設定し、前記回避目標に至る回避経路を前記走行可能領域内に生成し、前記自車両の周囲に、前記物標の進入を検知する進入物検知領域を設定し、前記複数の外界センサによって検知された前記物標の前記統合処理前の前記物標情報に基づいて、前記進入物検知領域内に進入した前記物標を検知し、その検知結果に基づいて、前記回避経路に沿った回避動作を実行するか否かを判定する。
本発明によれば、複数の外界センサの情報を統合する処理が可能であって、自車両の進行方向の変更を伴う回避動作によって回避対象物標とは異なる物標と自車両との接触を防止可能な車載電子制御装置を提供することができる。
図1は、自車両の平面図であり、自車両に設置された複数の外界センサA,B,Cについて示す。 図2は、自車両の平面図であり、図1に示した外界センサA,B,Cの視野範囲の一例を示す。 図3は、本実施形態に係る車載電子制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 図4は、車載電子制御装置の機能ブロック図である。 図5は、図4に示すセンサフュージョン処理部の詳細な機能を示す機能ブロック図である。 図6は、自車両が走行する道路の平面模式図であり、自車両と自車両の前方に存在する他車両と、走行可能領域とを示す。 図7は、図4に示す進入物検知領域設定部の詳細な機能を示す機能ブロック図である。 図8は、自車両が走行する道路の平面模式図であり、進入物検知領域設定部により設定される複数の検知領域候補について示す。 図9は、回避目標車線及び回避先隣接車線の走行方向が自車走行車線の走行方向と同じである道路について示す図である。 図10は、回避目標車線及び回避先隣接車線の走行方向が自車走行車線の走行方向と逆である道路について示す図である。 図11は、車載電子制御装置により実行される衝突防止制御の各処理の流れの一例について示す図である。 図12は、図11の走行可能領域の有効性の判定処理の流れの一例について示す図である。 図13は、図12の進入物検知領域の設定処理の流れの一例について示す図である。 図14は、中央分離帯のある片側3車線の道路の平面模式図である。 図15は、片側3車線の道路の平面模式図であり、中央線を跨るように検知領域候補が設定される例について示す。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る車載電子制御装置について説明する。各図において同一の番号を割り当てた対象は、同一の構成要素を表すものとし、重複説明を省略する。なお、本実施形態に係る車載電子制御装置は、運転支援システムへ適用する例について説明するが、自動運転システムへ適用することも可能であり、同様の効果が得られる。以下では、本実施形態に係る車載電子制御装置が搭載される自動車(車両)のことを自車両とも記す。
本実施形態では、以下で説明する車載電子制御装置を適用することにより、自車両の進行方向の変更を伴う回避動作によって、物標情報の統合処理が完了するまでの統合処理時間内に、回避経路に接近する新たな物標(回避対象物標とは異なる物標)を統合処理前の物標情報に基づいて速やかに検知することが可能となり、自車両と新たな物標とが接触することを防ぐことができる。
<外界センサ>
本実施形態に係る車載電子制御装置は、自車両の走行方向に存在する物標と自車両との衝突が予測されたときに、自車両の進行方向を変更して、衝突が予測された物標を回避する制御を行う。このため、前後方向のみならず横方向(左右方向)への移動に備えて自車両の周囲のあらゆる方向に存在する物標を検知するための外界センサが自車両に設けられている。車載電子制御装置は、外界センサに接続されており、外界センサによって検知された物標の物標情報を取得する。なお、物標とは、例えば、自車両以外の車両である他車両、歩行者、自転車、道路標識、道路標示、中央分離帯、信号機、道路境界線、道路端、縁石、障害物などのことを指す。また、物標情報には、自車両に対する物標の相対位置及び相対速度、並びに物標の幅などの大きさを表す情報が含まれる。なお、自車両に対する物標の相対位置及び相対速度は、外界センサから取得した情報に基づいて、車載電子制御装置が演算してもよい。
図1を参照して、自車両100に設けられる複数の外界センサA,B,C(A1~A4,B1,B2,C1~C8)の構成例について説明する。図1は、自車両100の平面図であり、自車両100に設置された複数の外界センサA,B,Cについて示す。図1に示すように、自車両100には3種類の外界センサA,B,Cが設置されている。
外界センサAは、広角センサであり、例えば、カメラ(単眼カメラ、ステレオカメラ)、ミリ波レーダ、レーザレーダである。広角センサは、自車両100を取り巻く数十メートル程度までの距離範囲内の監視を行う。自車両100に取り付けられる広角センサには、自車両100に左前部に設置され自車両100の左前方を監視する外界センサA1と、自車両100の右前部に設置され自車両100の右前方を監視する外界センサA2と、自車両100の右後部に設置され自車両100の右後方を監視する外界センサA3と、自車両100の左後部に設置され自車両100の左後方を監視する外界センサA4とがある。
外界センサBは、長距離センサであり、例えば、カメラ(単眼カメラ、ステレオカメラ)、ミリ波レーダ、レーザレーダである。自車両100に取り付けられる長距離センサには、フロントウィンドウ上部に設置され自車両100の前方を監視する外界センサB1と、リアウィンドウ上部に設置され自車両100の後方を監視する外界センサB2とがある。
外界センサCは、短距離センサであり、例えば、超音波センサである。短距離センサは、広角センサでの検知が難しい自車両100に近接する範囲の監視を行う。自車両100に取り付けられる短距離センサには、自車両100の左側部の前側に設置され自車両100の前側の左方を監視する外界センサC1と、自車両100の前部に設置され自車両100の前方を監視する外界センサC2,C3と、自車両100の右側部の前側に設置され自車両100の前側の右方を監視する外界センサC4と、自車両100の右側部の後側に設置され自車両100の後側の右方を監視する外界センサC5と、自車両100の後部に設置され自車両100の後方を監視する外界センサC6,C7と、自車両100の左側部の後側に設置され自車両100の後側の左方を監視する外界センサC8とがある。
図2は、自車両の平面図であり、図1に示した外界センサA,B,Cの視野範囲(検知範囲)の一例を示す。図1及び図2に示すように、視野範囲VA1、視野範囲VA2、視野範囲VA3及び視野範囲VA4は、それぞれ広角センサである外界センサA1,A2,A3,A4を用いて物標を検知可能な範囲を表す。視野範囲VB1及び視野範囲VB2は、それぞれ長距離センサである外界センサB1,B2を用いて物標を検知可能な範囲を表す。視野範囲VCは、外界センサC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8を用いて物標を検知可能な範囲を表す。
外界センサA1~A4の水平方向の視野角度、すなわち図示する扇状の視野範囲VA1~VA4の中心角は90度よりも大きい。また、外界センサA1~A4は、隣接する視野範囲同士の一部が重なるように配置される。これにより、外界センサA1~A4によって、短距離センサに比べて遠い領域において、自車両100の周囲360°の範囲を監視可能である。
外界センサC1~C8は、自車両100の近傍の領域において、視野範囲VA1~VA4のいずれでもカバーされない領域をカバーできる視野範囲VCが形成されるように配置される。
自車両100の走行方向に沿った方向、すなわち自車両100の前方及び後方に関しては、物標の存在状況をより早い段階で検知することが求められる。このため、外界センサB1,B2の視野範囲VB1,VB2は、広角センサの視野範囲VA1~VA4よりも遠くまで延びている。
<車載電子制御装置のハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係る車載電子制御装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、車載電子制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等の処理装置31、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ32、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ33、入力インタフェース34、出力インタフェース35、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、処理装置31としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることもできる。不揮発性メモリ32及び揮発性メモリ33は、情報(データ)を記憶する記憶装置として機能する。
不揮発性メモリ32には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ32は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶装置(記憶媒体)である。処理装置31は、不揮発性メモリ32に記憶されたプログラムを揮発性メモリ33に展開して演算実行する演算装置であって、プログラムに従って入力インタフェース34、記憶装置である不揮発性メモリ32及び揮発性メモリ33から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
入力インタフェース34は、外界センサA,B,Cによって検知された物標情報(検知情報)Ia,Ib,Icを処理装置31で演算可能なように変換する。また、出力インタフェース35は、処理装置31での演算結果に応じた制御信号を生成し、制御対象40に出力する。
なお、車載電子制御装置30は、単一のコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。車載電子制御装置30が複数のコンピュータで構成される場合、車載電子制御装置30の機能は、複数の処理装置31によって実現される。
車載電子制御装置30の処理装置31は、自車両100に搭載された複数の外界センサA,B,Cによって検知された物標の物標情報を取得して記憶装置に記憶させ、記憶装置に記憶された複数の物標情報を統合する統合処理を実行する。
統合処理では、例えば、同じ物標が複数種類の外界センサA,B,Cによって検知された場合、処理装置31は、複数種類の外界センサA,B,Cによって検知された物標の物標情報を統合した統合情報を生成し、記憶装置に記憶する。
処理装置31は、一の物標に対して生成された複数の物標情報に基づいて、物標の位置を含む統合情報を生成する。図2に示すように、自車両100の右前方に存在する物標90が、外界センサA,B,Cにより検知された場合における物標情報の統合処理の一例について説明する。外界センサAによって検知された物標90の位置を位置PA、外界センサBによって検知された物標90の位置を位置PB、外界センサCによって検知された物標90の位置を位置PCとする。処理装置31は、位置PA、位置PB及び位置PCに同じ質量の物体が存在するものとして、それらの重心位置を統合情報として演算する。なお、各位置PA,PB,PCにおいて仮定する物体の質量は、外界センサA,B,Cの信頼度が高いほど、大きくしてもよい。
<車載電子制御装置の機能>
図4~図10を参照して、本実施形態に係る車載電子制御装置30の機能について詳しく説明する。図4は、車載電子制御装置30の機能ブロック図である。
図4に示すように、車載電子制御装置30には、複数の外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8及び制御対象40が接続されている。車載電子制御装置30は、複数の外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8によって検知された物標の物標情報(検知情報)Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8を取得し、外界の状況を把握し、その結果に応じて制御対象40を動作させる運転支援制御を実行する。制御対象40は、自車両100に搭載されたデバイスやシステムであり、車載電子制御装置30から出力される制御信号に基づいて、運転者を支援するために動作する制御対象物である。
例えば、実行される運転支援制御が、走行中の車線からの逸脱を防止する車線逸脱防止制御である場合、自車両100を操舵するステアリング装置が制御対象40となる。実行される運転支援制御が、物標との衝突の可能性を運転者に知らせるための警報を発するアラート制御である場合、液晶モニタなどの表示装置やスピーカなどの音出力装置が制御対象40となる。実行される運転支援制御が、物標との衝突を防止するための減速停止制御である場合、自車両100に制動力を付与するブレーキ装置が制御対象40となる。実行される運転支援制御が、物標との衝突を回避するために自車両100の進行方向を変更する回避制御である場合、ステアリング装置が制御対象40となる。
なお、車載電子制御装置30は、上記複数の運転支援制御を組み合わせて実行する場合もある。例えば、車載電子制御装置30は、回避制御と減速停止制御とを同時に実行することがある。この場合、車載電子制御装置30から出力される制御信号(動作指令)によって、制御対象40であるステアリング装置及びブレーキ装置の動作が制御される。また、回避制御及び減速停止制御は、自車両100と物標との衝突を防止する制御であるため、以下では、双方の制御を総称して衝突防止制御とも記す。
車載電子制御装置30は、不揮発性メモリ32に記憶されているプログラムを処理装置31が実行することにより、センサフュージョン処理部302、精度優先制御部303、衝突防止制御部304、走行可能領域認識部305、回避経路生成部306、進入物検知領域設定部307、進入物検知部308、及び回避可否判定部309として機能する。
センサフュージョン処理部302は、複数の外界センサA,B,Cから取得した物標情報Ia,Ib,Icに基づき、センサフュージョン処理を実行する。センサフュージョン処理には、複数の外界センサA,B,Cから取得した物標情報Ia,Ib,Icを統合して統合情報Iiを生成する統合処理が含まれる。センサフュージョン処理部302は、複数の外界センサA,B,Cの視界範囲全体内において、外界センサ単体で検知される情報に比べて精度の高い統合情報Iiを生成する。
精度優先制御部303は、ACC(Adaptive Cruise Control)や車線維持(レーンキープ)などの運転支援制御を行う。ACCや車線維持などの運転支援制御は、定常走行時の快適性及び利便性を向上させることを目的としており、安定した動作を確保するために、高い精度での制御が要求される。このため、精度優先制御部303は、外界センサ単体で検知される情報ではなく、センサフュージョン処理部302によって生成された統合情報Iiに基づき、ACCや車線維持などの運転支援制御を実行する。
一方、衝突防止制御部304は、自車両100の走行方向に衝突する可能性のある物標を検知したときに、衝突を防止するようにブレーキ装置やステアリング装置に制御信号を出力する。衝突防止制御部304は、検知した物標との衝突を防止するために、制御対象40への制御信号を迅速に出力することが望ましい。
ここで、統合情報Iiに基づく衝突防止制御と、統合処理を行うことなく外界センサ単体で検知された情報に基づいて衝突防止制御を行う場合とでは、後者の方が制御の応答性に優れている。センサフュージョン処理部302によるセンサフュージョン処理では、後述するように、その処理の過程で比較的大きな遅延が発生する。
図5を参照して、センサフュージョン処理部302によるセンサフュージョン処理、及び、センサフュージョン処理での遅延量について詳しく説明する。図5は、図4に示すセンサフュージョン処理部の詳細な機能を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、センサフュージョン処理部302は、複数の外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8からの物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8に対応する時刻同期処理部401A1~401A4,401B1,401B2,401C1~401C8と、複数の物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8を統合し、統合情報Iiを生成する統合処理部402と、を備える。
複数の外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8は、サンプリング時刻(サンプリングタイミング)及びデータの送信遅延時間が互いに異なる。このため、時刻同期処理部401A1~401C8は、統合処理部402による統合処理に先立って、各外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8からの物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8の時刻同期処理を実行する。
時刻同期処理部401A1~401C8は、物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8に基づいて、共通のタイミングでサンプリングした場合に得られる物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8の推定データ列を生成する。推定データ列の生成は、各物標情報のサンプル値のうち、想定するサンプリング時刻を挟む時刻のサンプル値から内挿することで実現できる。しかしながら、共通のタイミングでの推定値を内挿で求める処理では、物標情報Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8のうち、最も遅延量の多いものと同等以上の遅延量が推定データ列に加えられる。
統合処理部402は、時刻同期処理部401A1~401C8によって同期された各物標情報の推定データ列に基づいて、各物標情報の統合処理を行う。統合処理により生成された統合情報Iiは、外界センサ単体で検知された物標の物標情報に比べて信頼性が高い。しかしながら、統合情報Iiには、時刻同期処理部401A1~401C8で処理した結果の遅延量に加えて、統合処理部402の処理時間の分だけ遅延量が大きくなる。したがって、複数の外界センサA1~A4,B1,B2,C1~C8のいずれかによって一番初めに物標を検知したタイミングから統合情報Iiが生成されるまで、100ミリ秒オーダの時間を要する場合がある。
そこで、本実施形態では、センサフュージョン処理部302が統合情報Iiだけでなく、統合処理が実行される前の段階において、外界センサA,B,Cにより検知された物標の物標情報を速報情報Ifとして出力する。速報情報Ifは統合情報Iiに比べて低遅延な情報であり、衝突防止制御に利用される。
なお、速報情報Ifは、外界センサA,B,Cによって検知された物標情報Ia,Ib,Icに対してフィルタ処理や補正処理などが行われることがある。フィルタ処理とは、物標情報Ia,Ib,Icに対してノイズや異常値の影響を低減する処理である。補正処理とは、物標情報Ia,Ib,Icに対して系統誤差(外界センサの個体差)を補正する処理である。
センサフュージョン処理部302は、フィルタ処理や補正処理の処理時間が時刻同期処理及び統合処理の処理時間に比べて十分に短い場合には、フィルタ処理や補正処理を実行した後の物標情報を速報情報Ifとしてもよい。
このため、速報情報Ifは、外界センサA,B,Cによって検知された物標情報Ia,Ib,Icそのものであってもよいし、フィルタ処理が行われた物標情報であってもよいし、補正処理が行われた物標情報であってもよい。換言すれば、速報情報Ifは、少なくとも、時刻同期処理及び統合処理よりも前の段階の物標情報であればよい。
図4に示す走行可能領域認識部305は、統合情報Iiに基づいて、自車両100の周辺の路面のうち、物標(障害物)がなく自車両100が進入可能な走行可能領域800(図6参照)を認識する。図6は、自車両100が走行する道路の平面模式図であり、自車両100と自車両100の前方に存在する他車両101と、走行可能領域800とを示す。図6では、格子状のハッチングで走行可能領域800を模式的に示している。走行可能領域800の認識処理は、外界センサ単体ではカバーが難しい自車両100の周囲360°の広範囲を処理対象とする。
走行可能領域認識部305は、センサフュージョン処理部302の統合処理の結果により生成される統合情報Iiに基づいて、フリースペースの分布を演算する。フリースペースとは、車両、障害物などが存在しない空間のことを指す。走行可能領域認識部305は、フリースペースの分布に基づき、走行可能領域800を認識する。フリースペースが、自車両100の大きさよりも広い場合には、そのフリースペースは走行可能領域800として認識される。換言すれば、フリースペースが自車両100の大きさよりも狭い場合、そのフリースペースは走行可能領域800として認識されない。
図4に示す衝突防止制御部304は、複数の外界センサA,B,Cによって検知された物標の統合処理前の物標情報である速報情報Ifに基づいて、自車両100と物標とが衝突するか否かを予測する。衝突防止制御部304は、速報情報Ifに含まれる物標と自車両100との相対速度と相対距離に基づき、自車両100と物標とが衝突するか否かを予測する。この衝突予測では、衝突防止制御部304は、自車両100の速度が現在の速度を維持した場合を想定して、自車両100と物標とが衝突するか否かを予測する。以下、この衝突予測を第1の衝突予測とも記す。
衝突防止制御部304は、自車両100と物標(例えば、図6に示す自車両100の前方に存在し、急ブレーキで停止した他車両101)とが衝突すると予測された場合、ブレーキ装置を制御して、ブレーキ装置による制動を行う。衝突防止制御部304は、ブレーキ装置による制動により、第1の衝突予測において自車両100に衝突すると予測された物標(以下、対象物標とも記す)と自車両100とが衝突するか否かを予測する。以下、この衝突予測を第2の衝突予測とも記す。
衝突防止制御部304による第2の衝突予測において、自車両100と対象物標とが衝突すると予測された場合、回避経路生成部306は、対象物標を回避するための進行経路である回避経路811(図6参照)を生成する。
回避経路生成部306は、走行可能領域認識部305によって認識された走行可能領域800内に、対象物標との衝突を回避するための自車両100の回避目標810を設定する。さらに、回避経路生成部306は、回避目標810に至る回避経路811を走行可能領域800内に生成する。
本実施形態では、自車両100が走行する車線に隣接する車線が走行可能領域800の一部とされている。このため、回避経路生成部306は、自車両100が走行する車線に隣接する車線、すなわち自車両100が走行する車線の外側に回避目標810を設定する。
回避経路生成部306によって生成される回避経路の数は、単一でもよいし、複数でもよい。なお、回避経路生成部306は、十分な走行可能領域が存在しない場合には、回避経路を生成しない。以下では、単一の回避経路が生成される例について説明する。また、回避目標810は、減速停止制御を実行する場合は自車両100が対象物標を回避した後に停止する目標地点であり、減速停止制御を実行しない場合は自車両100が対象物標を回避した後に直進走行を安定して行える姿勢とする目標地点である。
なお、自車両100を回避経路811に沿って走行させることで対象物標との衝突の回避を図る場合、自車両100の進行方向が変化する前後で対象物標の前方が死角になりやすい。この死角内からの物標との衝突のリスクを軽減するためには、減速停止制御を実行し、回避目標810において自車両100を停止させることが好ましい。
走行可能領域認識部305によって認識された走行可能領域800は、センサフュージョン処理部302による処理と走行可能領域認識部305による処理にかかる時間の分だけ、古い時刻の情報である。このため、現時点では、走行可能領域800に物標が存在しており、実際には自車両100が走行可能領域800内に進入できない状態、すなわち走行可能領域800が無効な状態になっている場合がある。この場合に、走行可能領域800内に生成した回避経路811に沿って自車両100を走行させると、回避経路811の周辺に進入した新たな物標と自車両100とが接触してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態に係る車載電子制御装置30は、回避経路811を含む限定された領域を進入物検知領域Ad(図9、図10参照)として定め、統合処理よりも前段の処理により生成される遅延の小さい速報情報Ifに基づいて、進入物検知領域Ad内に新規の進入物が検知されたか否かを判定する。車載電子制御装置30は、この判定結果に基づき、走行可能領域800が現時点でも有効な状態、すなわち、現時点においても自車両100を進入させることができる状態であるのか否かを判定する。以下、詳しく説明する。
進入物検知領域設定部307は、自車両100の周囲に、物標の進入を検知する進入物検知領域Ad(図9、図10参照)を設定する。本実施形態では、進入物検知領域設定部307は、自車両100の走行方向に沿って複数の検知領域候補Ca(図8参照)を設定する。進入物検知領域設定部307は、回避目標810が設定された車線の走行方向と自車両100の走行方向との関係に基づいて、複数の検知領域候補Caの中から進入物検知領域Adとする検知領域候補Caを選択する。
図7~図10を参照して、進入物検知領域設定部307による進入物検知領域Adの設定処理について詳しく説明する。図7は、図4に示す進入物検知領域設定部307の詳細な機能を示す機能ブロック図である。図8は、自車両100が走行する道路900の平面模式図であり、進入物検知領域設定部307により設定される複数の検知領域候補Caについて示す。図8に示す例では、自車両100の前方の他車両101に自車両100が衝突することが予測された場合の検知領域候補Caについて示している。本実施形態において、各検知領域候補Caは、矩形状である。
図7に示すように、進入物検知領域設定部307は、回避経路検知領域設定部1001と、前方検知領域設定部1002と、後方検知領域設定部1003と、進入物検知領域選択部1004と、を備える。
図7及び図8に示すように、回避経路検知領域設定部1001は、検知領域候補Caの一つとして、回避経路検知領域801を設定する。回避経路検知領域801は、回避経路生成部306により生成された回避経路811を含むように設定される。回避経路検知領域801は、自車両100が走行している車線(以下、自車走行車線とも記す)901と、回避目標810が設定される車線(以下、回避目標車線とも記す)902と、回避目標車線902に隣接する車線のうち、自車走行車線901とは反対側の車線(以下、回避先隣接車線とも記す)903と、に設定される。
回避経路検知領域801の左端は自車走行車線901の左端に設定され、回避経路検知領域801の右端は回避先隣接車線903の右端に設定される。回避経路検知領域801の幅は、3車線分の幅に相当する。
回避経路検知領域801の後端は自車両100の前端(すなわち回避経路811の始点)に設定され、回避経路検知領域801の前端は回避目標810(すなわち回避経路811の終点)に設定される。したがって、回避経路検知領域801の長さは、自車両100の前端から回避目標810までの道路900の長さに相当する。
前方検知領域設定部1002は、検知領域候補Caの一つとして、前方検知領域803を設定する。前方検知領域803は、回避経路検知領域801よりも前方に設定される。前方検知領域803は、回避目標810から前方に延在する領域である。前方検知領域803は、自車走行車線901、回避目標車線902、及び回避先隣接車線903に設定される。
前方検知領域803の左端は他車両101の右側部に設定され、前方検知領域803の右端は回避先隣接車線903の右端に設定される。前方検知領域803の幅は、2車線分の幅に、自車走行車線901の右端と他車両101の右側部との間の水平距離を足し合わせた値に相当する。
前方検知領域803の後端は回避目標810に設定され、前方検知領域803の前端は回避目標810から前方に所定距離Dfだけ離れた位置に設定される。所定距離Dfについては後述する。
後方検知領域設定部1003は、検知領域候補Caの一つとして、後方検知領域802を設定する。後方検知領域802は、回避経路検知領域801よりも後方に設定される。後方検知領域802は、自車両100の前端から後方に延在する領域である。
後方検知領域802の左端は自車走行車線901の左端に設定され、後方検知領域802の右端は回避先隣接車線903の右端に設定される。後方検知領域802の幅は、3車線分の幅に相当する。
後方検知領域802の前端は自車両100の前端に設定され、後方検知領域802の後端は自車両100の前端から後方に所定距離Drだけ離れた位置に設定される。所定距離Drについては後述する。
なお、自車走行車線901における他車両101の後端よりも前方及び他車両101の右側部よりも左方には、回避経路検知領域801及び前方検知領域803は設定されない。自車走行車線901における自車両100の後端から前方及び自車両100の右側部よりも左方には、後方検知領域802は設定されない。
回避経路検知領域801の位置、大きさ、形状は、車体基準座標系の座標によって特定される。回避経路検知領域801の位置、大きさ、形状を特定する車体基準座標系の座標は、回避経路検知領域情報として記憶装置に記憶される。
前方検知領域803の位置、大きさ、形状は、車体基準座標系の座標によって特定される。前方検知領域803の位置、大きさ、形状を特定する車体基準座標系の座標は、前方検知領域情報として記憶装置に記憶される。
後方検知領域802の位置、大きさ、形状は、車体基準座標系の座標によって特定される。後方検知領域802の位置、大きさ、形状を特定する車体基準座標系の座標は、後方検知領域情報として記憶装置に記憶される。
進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向(自車走行車線901の走行方向)との関係に基づいて、複数の検知領域候補Caの中から進入物検知領域Adとする検知領域候補Caを選択する。
進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向を特定し、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向(すなわち、自車走行車線901の走行方向)と同じか否かを判定する。進入物検知領域選択部1004は、車輪速センサなどから取得可能な自車両100の走行速度情報に基づいて、自車両100の走行方向(前進または後進)を特定する。また、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向情報に基づいて、回避目標車線902の走行方向を特定する。回避目標車線902の走行方向情報とは、例えば、外界センサA,B,Cによって検知された道路標識や道路標示に関する情報である。
なお、進入物検知領域選択部1004は、図示しない自車両位置検知装置からの情報に基づいて、自車両100の走行方向と回避目標車線902の走行方向を特定し、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と同じか否かを判定してもよい。自車両位置検知装置は、地図送信機能とロケータ機能を有している。
地図送信機能は、地図情報として、道路形状、車線の本数、各車線の走行方向、道路の最高速度(制限速度)などの情報を送信する機能である。なお、地図情報は、ナビゲーション用の簡易的な地図情報でもよいし、レーンレベルで精度の高い情報を持つ高精度の地図情報であってもよい。
ロケータ機能は、車両100に取り付けられたGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナを含む測位装置によって、自車両位置情報を取得する機能である。自車両位置情報には、自車両100の位置情報であるグローバル座標系における自車両100の位置座標と、自車両100の姿勢情報である自車両100の方位とが含まれる。
図9は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車走行車線901の走行方向と同じである道路について示す図である。図10は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車走行車線901の走行方向と逆である道路について示す図である。
図9に示すように、自車両100の走行方向が+X方向であり、回避目標車線902の走行方向が+X方向である場合には、回避目標810よりも前方の領域から、自車両100に衝突する可能性のある物標の接近は見込まれない。このため、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と同じ場合には、複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択する。この場合、進入物検知領域選択部1004は、前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択しない。
図10に示すように、自車両100の走行方向が+X方向であり、回避目標車線902の走行方向が-X方向である場合には、自車両100よりも後方の領域から、自車両100に衝突する可能性のある物標の接近は見込まれない。このため、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と逆の場合には、複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択する。この場合、進入物検知領域選択部1004は、後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択しない。
なお、進入物検知領域選択部1004は、例えば、回避目標車線902の走行方向を特定することができないために、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と同じであるか逆であるかを判定することができない場合には、図8に示す全ての検知領域候補Ca(801,802,803)を進入物検知領域Adとして選択する。
次に、図9及び図10を参照して、後方検知領域802における自車両100の走行方向(+X方向)に沿った方向の長さに相当する距離Dr及び前方検知領域803における自車両100の走行方向(+X方向)に沿った方向の長さに相当する距離Dfについて説明する。
図9に示すように、後方検知領域802は、回避目標車線902の走行方向が自車走行車線901の走行方向と同じ場合に、進入物検知領域Adとして選択される。図10に示すように、前方検知領域803は、回避目標車線902の走行方向が自車走行車線901の走行方向と逆の場合に、進入物検知領域Adとして選択される。
図9に示す距離Drは、自車両100よりも後方において、自車両100の走行方向と同じ方向に走行する他車両(後続車両とも記す)102の制動距離と空走距離の和以上の値である。図10に示す距離Dfは、自車両100よりも前方において、自車両100の走行方向とは逆方向に走行する他車両(対向車両とも記す)103の制動距離と空走距離の和以上の値である。
空走距離とは、車両の運転者あるいは自動制動システムが障害物を認識してからブレーキ装置による制動が開始されるまでに車両が走行する距離である。制動距離とは、ブレーキ装置による制動が開始されてから車両が停止するまでに車両が走行する距離である。
後方検知領域設定部1003及び前方検知領域設定部1002は、回避目標車線902の走行速度情報と、予め不揮発性メモリ32に記憶されている空走時間とに基づいて、空走距離を演算する。空走時間とは、車両の運転者あるいは自動制動システムが障害物を認識してからブレーキ装置による制動が開始されるまでの時間のことを指す。後方検知領域設定部1003及び前方検知領域設定部1002は、回避目標車線902の走行速度情報と、予め不揮発性メモリ32に記憶されているタイヤと路面との間の摩擦係数と、重力加速度とに基づいて、制動距離を演算する。なお、摩擦係数は、一定値としてもよいし、天候、道路の状態、種類などに基づいて、複数の摩擦係数候補の中から選択されるようにしてもよい。
回避目標車線902の走行速度情報は、例えば、回避目標車線902の最高速度(制限速度)である。後方検知領域設定部1003及び前方検知領域設定部1002は、外界センサA,B,Cによって検知された道路標識、道路標示に基づいて、回避目標車線902の最高速度を設定する。なお、後方検知領域設定部1003及び前方検知領域設定部1002は、自車両位置検知装置から取得した地図情報、自車両の位置情報及び姿勢情報に基づいて、回避目標車線902の最高速度を設定してもよい。
また、回避目標車線902の走行速度情報には、外界センサA,B,Cによって検知された回避目標車線902を走行する他車両の走行速度情報を記憶装置に蓄積し、蓄積された走行速度情報のうち、現時点から所定時間前までのデータの平均値あるいは最高値を採用してもよい。
後方検知領域802内に後続車両102が存在する場合、後続車両102の運転者あるいは自動制動システムが、車両100の減速により当該車両100を障害物と認識してからブレーキ装置を作動させたとしても、後続車両102が車両100に接触するおそれがある。つまり、後方検知領域802は、その領域内に後続車両102が存在している場合には、後続車両102が自車両100に接触するおそれのある領域として設定されている。
前方検知領域803内に対向車両103が存在する場合、対向車両103の運転者あるいは自動制動システムが、車両100の減速により当該車両100を障害物と認識してからブレーキ装置を作動させたとしても、対向車両103が車両100に接触するおそれがある。つまり、前方検知領域803は、その領域内に対向車両103が存在している場合には、対向車両103が自車両100に接触するおそれのある領域として設定されている。
以上のとおり、進入物検知領域設定部307は、外界センサA,B,Cにより検知可能な全範囲のうちの一部である進入物検知領域Adを設定する。
図4に示す進入物検知部308は、センサフュージョン処理部302で生成された速報情報Ifに基づいて、進入物検知領域設定部307により設定された進入物検知領域Ad内に進入した物標を検知する。このように、進入物検知部308は、遅延量の少ない速報情報Ifを参照し、限定された進入物検知領域Ad内の進入物の検知を行う。これにより、進入物検知部308による処理の時間を短くすることができる。
回避可否判定部309は、進入物検知部308の検知結果に基づき、回避経路811に沿った回避動作を実行するか否かを判定する。進入物検知領域Adに新たに物標が進入している場合に回避動作を実行すると、自車両100がその物標に接触するおそれがある。つまり、走行可能領域認識部305で認識された走行可能領域800は、回避可能な領域として機能していないといえる。つまり、走行可能領域800は無効な状態であるといえる。
回避可否判定部309は、進入物検知領域Ad内に進入した物標が検知された場合、走行可能領域800は無効であり、回避動作を実行しないと判定する。回避可否判定部309は、進入物検知領域Ad内に進入した物標が検知されなかった場合、走行可能領域800は有効であり、回避動作を実行すると判定する。
衝突防止制御部304は、回避可否判定部309により回避動作を実行すると判定された場合には、制御対象40の一つであるステアリング装置に制御信号を出力し、ステアリング装置を動作させることにより回避経路811に沿って自車両100を走行させる。
衝突防止制御部304は、回避可否判定部309により回避動作を実行しないと判定された場合には、制御対象40の一つである警報装置に制御信号を出力し、警報装置から警報を出力させる。また、衝突防止制御部304は、回避可否判定部309により回避動作を実行しないと判定された場合には、衝突直前に制御対象40の一つである衝撃緩和装置に制御信号を出力し、衝撃緩和装置を作動させる。衝撃緩和装置は、例えば、折り畳まれた状態で収納されたエアバッグと、エアバッグにガスを供給するためのガス発生器とを備えている。衝突防止制御部304は、速報情報Ifに基づき、自車両100と対象物標との衝突直前に、衝撃緩和装置に制御信号を出力し、エアバッグにガスを供給し、エアバッグを展開させる。
<車載電子制御装置により実行される処理の流れ>
図11~図13を参照して、車載電子制御装置30の処理装置31により実行される処理の流れの一例について説明する。図11は、車載電子制御装置30により実行される衝突防止制御の各処理の流れの一例について示す図である。図12は、図11の走行可能領域の有効性の判定処理の流れの一例について示す図であり、図13は、図12の進入物検知領域の設定処理の流れの一例について示す図である。
図11に示すフローチャートの処理は、例えば、自車両100のイグニッションスイッチ(不図示)がオンされることにより開始され、所定の制御周期で繰り返し実行される。図11に示すように、ステップS501において、車載電子制御装置30は、外界センサA,B,Cによって検知された自車両100の周囲に存在する物標の物標情報を外界センサA,B,Cから取得する。車載電子制御装置30は、取得した物標情報を記憶し、取得した物標情報に基づき、速報情報If及び統合情報Iiを生成する。
次のステップS502において、車載電子制御装置30は、速報情報Ifに基づき、自車両100の周囲に存在する物標に対して、現在の速度を維持した自車両100が衝突する可能性があるか否かを判定する第1の衝突予測処理を実行する。車載電子制御装置30は、速報情報Ifに含まれる自車両100と物標との相対位置及び相対速度に基づき、自車両100が物標に対して衝突する可能性があるか否かを判定する。ステップS502において、自車両100が物標に対して衝突する可能性があると判定されると、処理がステップS503へ進む。ステップS502において、自車両100が物標に対して衝突する可能性がないと判定されると、処理がステップS501へ戻る。
ステップS503において、車載電子制御装置30は、制御対象40の一つであるブレーキ装置に制御信号を出力し、ブレーキ装置を作動させることにより、自車両100の制動を開始する。ステップS503の処理が実行されることにより、自車両100の速度が減速し始める。なお、ブレーキ装置は、作動状態が維持される。
次のステップS504において、車載電子制御装置30は、速報情報Ifに基づき、自車両100の周囲に存在する物標に対して、ブレーキ装置により制動中の自車両100が衝突する可能性があるか否かを判定する第2の衝突予測処理を実行する。車載電子制御装置30は、速報情報Ifに含まれる自車両100と物標との相対位置及び相対速度と、自車両100の制動による速度の時間変化率(加速度)とに基づき、自車両100が物標に対して衝突する可能性があるか否かを判定する。
ステップS504において、自車両100が物標に対して衝突する可能性があると判定されると、処理がステップS505へ進む。ステップS504において、自車両100が物標に対して衝突する可能性がないと判定されると、図11のフローチャートに示す処理を終了する。なお、ステップS504において、否定判定された場合、ブレーキ装置の作動は継続されるため、自車両100は、ステップS502において衝突する可能性があると予測された物標(対象物標)に衝突することなく、停止する。これにより、自車両100と対象物標との衝突が防止される。
ステップS505において、車載電子制御装置30は、回避経路811を生成可能な走行可能領域800が存在するか否かを判定する。なお、上述したように、車載電子制御装置30は、統合情報Iiに基づき、フリースペースの分布を演算し、その演算結果に基づいて、走行可能領域800を設定する。走行可能領域800は、所定の制御周期で繰り返し設定される。しかしながら、この走行可能領域800は、現時点から走行可能領域認識処理の遅延時間(認識までにかかる時間)分だけ古いデータである。
ステップS505において、回避経路811を生成可能な走行可能領域800があると判定された場合には、処理がステップS506へ進む。ステップS505において、回避経路811を生成可能な走行可能領域800がないと判定された場合には、処理がステップS509へ進む。
ステップS506において、車載電子制御装置30は、走行可能領域800の有効性の判定処理を実行し、ステップS507へ進む。ステップS506において、車載電子制御装置30は、現時点での物標情報に基づき走行可能領域が認識されるまでの間に、速報情報Ifに基づき進入物検知領域Ad内に進入する物標が検知された場合には、走行可能領域認識処理の遅延時間分だけ古いデータである走行可能領域800は無効であると判定する。ステップS506において、車載電子制御装置30は、速報情報Ifに基づき進入物検知領域Ad内に進入する物標が検知されなかった場合には、走行可能領域認識処理の遅延時間分だけ古いデータである走行可能領域800は有効であると判定する。なお、ステップS506の詳細な処理の流れについては後述する。
ステップS507において、車載電子制御装置30は、走行可能領域800の有効性の判定処理の結果に基づいて、回避動作を実行するか否かを判定する。ステップS507において、車載電子制御装置30は、走行可能領域800の有効性の判定処理(S506)により、走行可能領域800が有効であると判定された場合には、回避動作を実行すると判定し、ステップS508に処理を進める。ステップS507において、車載電子制御装置30は、走行可能領域800の有効性の判定処理(S506)により、走行可能領域800が無効であると判定された場合には、回避動作を実行しないと判定し、ステップS509に処理を進める。
ステップS508において、車載電子制御装置30は、制御対象40の一つであるステアリング装置に制御信号を出力し、後述するステップS603(図12参照)において生成される回避経路811に沿って、自車両100を回避動作させる。これにより、自車両100は、減速しながら回避経路811に沿って走行し、回避目標810で停止する。回避動作が完了すると、図11のフローチャートに示す処理が終了する。
ステップS509において、車載電子制御装置30は、自車両100の回避動作を行わず、衝突に備えるための衝突準備処理を実行する。ステップS509において、車載電子制御装置30は、制御対象40の一つである警報装置に制御信号を出力し、衝突前に、警報装置から警報を出力させ、自車両100の乗員に対して、衝突に耐える準備を促す。また、ステップS509において、車載電子制御装置30は、衝突に先立って、制御対象40の一つである衝撃緩和装置を作動させ、エアバッグを展開させる。これにより、車室内部での衝撃を緩和し、乗員を保護することができる。衝突準備が完了すると、図11のフローチャートに示す処理が終了する。
図12を参照して、走行可能領域800の有効性の判定処理(図11のS506)の流れについて説明する。図12に示すように、ステップS601において、車載電子制御装置30は、回避目標810を設定し、ステップS602に処理を進める。
車載電子制御装置30は、自車走行車線901の右側または左側に回避目標810を設定する。走行可能領域800が自車走行車線901の左右一方にのみ存在する場合、車載電子制御装置30は、走行可能領域800が存在する側に回避目標810を設定する。走行可能領域800が自車走行車線901の左右両方に存在する場合、車載電子制御装置30は、自車走行車線901の左右端と対象物標の左右側部との間のスペースが広い方の側に回避目標810を設定する。例えば、自車走行車線901の右端と対象物標(図8に示す他車両101)の右側部との間の距離が、自車走行車線901の左端と対象物標の左側部との間の距離よりも広い場合には、車載電子制御装置30は、自車走行車線901の右側に回避目標810を設定する。
ステップS602において、車載電子制御装置30は、ステアリング装置に制御信号(動作指令)を出力し、自車走行車線901内において、回避目標810側に自車両100を移動させる。このように、回避経路811に沿った回避動作を実行するか否かを判定する処理(図11のS507)の前に、自車走行車線901内において、自車両100を回避目標810側に寄せておくことにより、外界センサA1,A2のいずれかによる自車両100の前方における回避目標810側の視界(検知範囲)を改善できる。
次のステップS603において、車載電子制御装置30は、自車両100の前端を始点、回避目標810を終点とする回避経路811を生成し、処理をステップS604に進める。ステップS604において、車載電子制御装置30は、進入物検知領域Adを設定し、処理をステップS605に進める。
ステップS605において、車載電子制御装置30は、速報情報Ifに基づいて、ステップS604で設定された進入物検知領域Ad内に進入した物標が検知されたか否かを判定する。この処理は、現時点の物標情報に基づき走行可能領域が認識されるまでの処理時間内に完了する。ステップS605において、進入物検知領域Ad内に進入した物標が検知されていないと判定されると、処理がステップS606に進む。ステップS605において、進入物検知領域Ad内に進入した物標が検知されたと判定されると、処理がステップS607に進む。
ステップS606において、車載電子制御装置30は有効フラグをオンに設定する。ステップS607において、車載電子制御装置30は、有効フラグをオフに設定する。有効フラグは、走行可能領域800の有効性の判定処理の結果を表すフラグであり、走行可能領域800が有効と判定された場合にはオンに設定され(S606)、走行可能領域800が無効と判定された場合にはオフに設定される(S607)。ステップS606またはステップS607のフラグ設定処理が終了すると、図12のフローチャートに示す処理が終了し、図11のステップS507に処理が進む。
図13を参照して、進入物検知領域Adの設定処理(図12のS604)の流れについて説明する。図13に示すように、ステップS701において、車載電子制御装置30は、3つの検知領域候補Caとして、回避経路検知領域801、後方検知領域802、及び前方検知領域803を設定し、処理をステップS702に進める。
ステップS702において、車載電子制御装置30は、回避目標810が設定された車線である回避目標車線902の走行方向を特定する処理を実行し、処理をステップS703に進める。
ステップS703において、車載電子制御装置30は、ステップS702において、回避目標車線902の走行方向を特定できたか否かを判定する。ステップS702において、回避目標車線902の走行方向を特定できたと判定された場合には、処理がステップS704へ進む。ステップS702において、回避目標車線902の走行方向を特定できなかったと判定された場合には、処理がステップS707へ進む。
ステップS704において、車載電子制御装置30は、ステップS702で特定された回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向(自車走行車線901の走行方向)と同じであるか逆であるかを判定する。ステップS704において、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と同じであると判定されると、処理がステップS705へ進む。ステップS704において、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と逆であると判定されると、処理がステップS706へ進む。
ステップS705において、車載電子制御装置30は、ステップS701で設定された複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択する。
ステップS706において、車載電子制御装置30は、ステップS701で設定された複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択する。
ステップS707において、車載電子制御装置30は、ステップS701で設定された複数の検知領域候補Caの中から、全ての検知領域候補Ca、すなわち回避経路検知領域801、後方検知領域802及び前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択する。
ステップS705、ステップS706またはステップS707の進入物検知領域Adの選択処理が終了すると、図13のフローチャートに示す処理が終了し、図12のステップS605に処理が進む。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)車載電子制御装置30は、自車両100に搭載された複数の外界センサA,B,Cによって検知された物標の物標情報Ia,Ib,Icを取得し、取得した複数の物標情報Ia,Ib,Icを統合する統合処理を実行する処理装置31を備えている。処理装置31は、統合処理の結果(統合情報Ii)に基づいて、自車両100の周辺の路面のうち自車両100が進入可能な走行可能領域800を認識する。
処理装置31は、統合処理前の物標情報(速報情報If)に基づいて、自車両100と物標とが衝突するか否かを予測する。自車両100と物標とが衝突すると予測された場合、衝突すると予測された物標(対象物標)との衝突を回避するための回避目標810を設定する。処理装置31は、回避目標810に至る回避経路811を走行可能領域800内に生成する。なお、ここで用いられる走行可能領域800は、現時点から統合処理、走行可能領域認識処理に要する時間分だけ前の古いデータである。
処理装置31は、自車両100の周囲に、物標の進入を検知する進入物検知領域Adを設定する。処理装置31は、複数の外界センサA,B,Cによって検知された物標の統合処理前の物標情報(速報情報If)に基づいて、進入物検知領域Ad内に進入した物標を検知し、その検知結果に基づいて、回避経路811に沿った回避動作を実行するか否かを判定する。
この構成では、車載電子制御装置30の処理装置31は、複数の外界センサA,B,Cにより検知された物標の物標情報を統合する処理を実行する。処理装置31は、統合処理の結果である統合情報Iiに基づいて、精度の高い走行可能領域800が認識される。処理装置31は、走行可能領域800に基づいて、ACC、車線維持などの運転支援制御を実行することにより、定常走行時の快適性及び利便性を向上させることができる。しかしながら、外界センサA,B,Cによる検知から走行可能領域800の大きさ、形状が認識されるまでの処理に要する時間は、他の処理に比べて長い。このため、現時点において、走行可能領域800における回避経路811の周辺に物標が接近してしまっているおそれがある。
そこで、本実施形態に係る車載電子制御装置30の処理装置31は、物標との衝突が予測された場合には、統合処理前の物標情報(速報情報If)に基づいて自車両100の周囲に設定される進入物検知領域Ad内に進入した物標を検知する。これにより、処理装置31は、現時点で認識されている、すなわち記憶装置に記憶されている走行可能領域800の有効性を判定し、その判定結果に基づいて回避動作を実行するか否かを判定する。つまり、進入物検知領域Ad内に物標が進入した場合には、走行可能領域800は無効であるとして、回避動作を実行しない。これにより、自車両100の進行方向の変化を伴う回避動作によって回避対象物標(例えば、図8に示す他車両101)とは異なる物標と自車両100とが接触するといった事象の発生を未然に防ぐことができる。
(2)処理装置31は、自車両100の走行方向に沿って複数の検知領域候補Caを設定する。処理装置31は、回避目標810が設定された車線(回避目標車線902)の走行方向と自車両100の走行方向(自車走行車線901の走行方向)との関係に基づいて、複数の検知領域候補Caの中から進入物検知領域Adとする検知領域候補Caを選択する。
この構成では、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向との関係に応じた適切な監視範囲に、進入物検知領域Adを限定することができる。これにより、進入物検知領域Ad内の物標の検知処理において取り扱うデータ量を低減することができ、処理時間を短縮することができる。その結果、処理装置31は、速やかに、回避動作を実行するか否かを判定することができる。
(3)複数の検知領域候補Caには、回避経路811を含む回避経路検知領域801と、回避経路検知領域801よりも前方に設定される前方検知領域803と、回避経路検知領域801よりも後方に設定される後方検知領域802と、が含まれる。
回避経路検知領域801が進入物検知領域Adとして選択された場合には、回避経路811の周囲に接近した物標と自車両100との接触を回避することができる。前方検知領域803が進入物検知領域Adとして選択された場合には、回避経路811よりも前方から自車両100に接近する対向車両103などの物標と自車両100との接触を回避することができる。後方検知領域802が進入物検知領域Adとして選択された場合には、回避経路811よりも後方から自車両100に接近する後続車両102などの物標と自車両100との接触を回避することができる。
(4)処理装置31は、回避目標810が設定された車線(回避目標車線902)の走行方向が自車両100の走行方向と同じ場合には、複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択する。なお、この場合、処理装置31は、前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択しない。
処理装置31は、回避目標810が設定された車線(回避目標車線902)の走行速度情報(例えば、回避目標車線902の最高速度)に基づき、後方検知領域802における自車両100の走行方向に沿った方向の長さDrを決定する。
自車両100の走行方向と回避目標車線902の走行方向とが同じである場合、対向車両103よりも後続車両102との接触の可能性の方が高い。このため、処理装置31は、前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択せず、回避経路検知領域801と後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択する。これにより、処理装置31の演算負荷を低減し、自車両100と後続車両102との接触を適切に回避することができる。
また、後方検知領域802の長さDrは、固定値ではなく、回避目標車線902の走行速度情報に基づいて決定される。例えば、処理装置31は、回避目標車線902の最高速度(制限速度)が高いほど、後方検知領域802の長さDrを長くする。これにより、回避目標車線902を走行する後続車両102と、回避動作時の自車両100との接触を適切に防止することができる。また、処理装置31は、回避目標車線902の最高速度(制限速度)が低いほど、後方検知領域802の長さDrを短くする。これにより、処理装置31の演算負荷を低減することができる。
(5)処理装置31は、回避目標810が設定された車線(回避目標車線902)の走行方向が自車両100の走行方向と逆の場合には、複数の検知領域候補Caの中から、回避経路検知領域801及び前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択する。なお、この場合、処理装置31は、後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択しない。
処理装置31は、回避目標810が設定された車線(回避目標車線902)の走行速度情報(例えば、回避目標車線902の最高速度)に基づき、前方検知領域803における自車両100の走行方向に沿った方向の長さDfを決定する。
自車両100の走行方向と回避目標車線902の走行方向とが逆である場合、後続車両102よりも対向車両103との接触の可能性の方が高い。このため、処理装置31は、後方検知領域802を進入物検知領域Adとして選択せず、回避経路検知領域801と前方検知領域803を進入物検知領域Adとして選択する。これにより、処理装置31の演算負荷を低減し、自車両100と対向車両103との接触を適切に回避することができる。
また、前方検知領域803の長さDfは、固定値ではなく、回避目標車線902の走行速度情報に基づいて決定される。例えば、処理装置31は、回避目標車線902の最高速度(制限速度)が高いほど、前方検知領域803の長さDfを長くする。これにより、回避目標車線902を走行する対向車両103と、回避動作時の自車両100との接触を適切に防止することができる。また、処理装置31は、回避目標車線902の最高速度(制限速度)が低いほど、前方検知領域803の長さDfを短くする。これにより、処理装置31の演算負荷を低減することができる。
(6)処理装置31は、自車両100と自車両100の前方に存在する物標とが衝突すると予測された場合、自車両100が走行する車線である自車走行車線901の外側(本実施形態では、自車走行車線901に隣接する車線)に回避目標810を設定する。処理装置31は、回避経路811に沿った回避動作を実行するか否かを判定する処理の前に、自車走行車線901内において回避目標810側に自車両100を移動させるための制御信号(動作指令)をステアリング装置(制御対象40)に出力する。
この構成では、自車走行車線901内において、自車両100を回避目標810側に寄せておくことにより、外界センサ(例えば、外界センサA1,A2)による自車両100の前方における回避目標810側の視界(検知範囲)を改善できる。
(7)処理装置31は、自車走行車線901、回避目標車線902、及び、回避目標車線902に隣接する車線のうち、自車走行車線901とは反対側の車線(回避先隣接車線903)に、進入物検知領域Adを設定する。このように、自車走行車線901及び回避目標車線902だけでなく、自車両100からさらに一つ遠い車線を監視対象とすることにより、回避動作時の自車両100と物標との接触をより適切に防止することができる。
以上のとおり、本実施形態によれば、回避目標車線902の走行方向、道路の車線数、回避目標車線902の走行速度情報に応じて、進入物検知領域Adを適切に設定することができる。また、遅延の少ない速報情報Ifに基づいて、自車両100の向き(進行方向)の変更を伴う回避動作を実行するか否かを適切かつ早期に判定することができる。回避動作を実行すると判定された場合には、自車両100は、対象物標を回避し、回避目標810で停止させることができる。また、回避動作を実行しないと判定された場合には、回避経路811に接近する物標(衝突が予測された対象物標とは異なる新たな物標)との接触を未然に防止することができる。
次のような本実施形態の変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
進入物検知領域Adの候補として設定される検知領域候補(小領域)Caは、上記実施形態で説明した例(図8参照)に限定されない。検知領域候補Caは、自車両100の位置、及び、自車走行車線901と同じ走行方向の車線の本数、自車走行車線901と逆の走行方向の車線(対向車線)の本数などの道路の構成に応じて、適宜変更可能である。
<変形例1-1>
図14は、中央分離帯905のある片側3車線の道路900Aの平面模式図である。図14に示すように、自車両100は、図示左側の3つの車線のうち、中央の車線を走行している。この場合、走行可能領域認識部305は、自車走行車線901と、自車走行車線901の左右両側の車線に走行可能領域(不図示)を設定する。
回避経路生成部306は、自車走行車線901の右側に隣接する車線に回避目標810を設定する。進入物検知領域設定部307は、自車走行車線901、及び、回避目標810が設定される車線である回避目標車線902に、回避経路検知領域801A、後方検知領域802A及び前方検知領域803Aを設定する。
上記実施形態では、自車走行車線901、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の3車線を対象として検知領域候補Caが設定される例(図8参照)について説明した。これに対して、本変形例では、自車走行車線901と回避目標車線902の2車線を対象として検知領域候補Caが設定される。
<変形例1-2>
図15は、片側3車線の道路900Bの平面模式図であり、中央線906を跨るように検知領域候補Caが設定される例について示す。上記実施形態では、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向との関係に基づいて、進入物検知領域Adを選択する例について説明した。これに対し、本変形例1-2では、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向との関係だけでなく、回避先隣接車線903の走行方向と自車両100の走行方向との関係も加味して、進入物検知領域Adを選択する。
図15に示すように、本変形例では、5つの検知領域候補Caが設定される。回避経路検知領域設定部1001は、上記実施形態と同様、検知領域候補Caとして、回避経路811を含む回避経路検知領域801を設定する。
後方検知領域設定部1003は、検知領域候補Caとして、第1後方検知領域802Ba及び第2後方検知領域802Bbを設定する。第1後方検知領域802Baは、自車走行車線901と回避目標車線902に設定される。第2後方検知領域802Bbは、回避先隣接車線903に設定される。
前方検知領域設定部1002は、検知領域候補Caとして、第1前方検知領域803Ba及び第2前方検知領域803Bbを設定する。第1前方検知領域803Baは、自車走行車線901と回避目標車線902に設定される。第2前方検知領域803Bbは、回避先隣接車線903に設定される。
進入物検知領域選択部1004は、自車両100の走行方向と回避目標車線902の走行方向と回避先隣接車線903の走行方向の関係に基づいて、複数の検知領域候補Caの中から進入物検知領域Adとする検知領域候補Caを選択する。
進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車両100の走行方向と同じか否かを判定する。
進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902の走行方向が自車両100の走行方向と同じであり、かつ、回避先隣接車線903の走行方向が自車両100の走行方向と逆である場合には、回避経路検知領域801並びに第1後方検知領域802Ba及び第2前方検知領域803Bbを進入物検知領域Adとして設定する。なお、この場合、進入物検知領域選択部1004は、第2後方検知領域802Bb及び第1前方検知領域803Baを進入物検知領域Adとして選択しない。
図示しないが、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車両100の走行方向と同じである場合には、回避経路検知領域801並びに第1後方検知領域802Ba及び第2後方検知領域802Bbを進入物検知領域Adとして選択する。また、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車両100の走行方向と逆である場合には、回避経路検知領域801並びに第1前方検知領域803Ba及び第2前方検知領域803Bbを進入物検知領域Adとして選択する。
さらに、進入物検知領域選択部1004は、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向を特定することができず、回避目標車線902及び回避先隣接車線903の走行方向が自車両100の走行方向と同じであるか逆であるかを判定することができない場合には、全ての検知領域候補Ca(801,802Ba,802Bb,803Ba,803Bb)を進入物検知領域Adとして選択する。
本変形例によれば、図15に示す状況において、自車両100が回避動作を行う際、処理装置31の演算負荷を低減しつつ、後続車両102及び対向車両103と自車両100との接触をより適切に防止することができる。
<変形例2>
上記実施形態では、進入物検知領域設定部307が、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向との関係に基づいて、複数の検知領域候補Caの中から進入物検知領域Adとする検知領域候補Caを選択する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
進入物検知領域設定部307は、回避目標車線902の走行方向と自車両100の走行方向との関係にかかわらず、常に、回避経路検知領域801、後方検知領域802及び前方検知領域803を進入物検知領域Adとして設定してもよい
<変形例3>
上記実施形態では、進入物検知領域設定部307が、回避経路811を含むように回避経路検知領域801を設定し、回避目標車線902の走行速度情報に基づき、後方検知領域802の長さDr及び前方検知領域803の長さDfを決定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
進入物検知領域設定部307は、例えば、予め記憶装置に記憶された進入物検知領域Adを設定してもよい。つまり、進入物検知領域Adの大きさ、形状は、常に、一定であってもよい。この場合、進入物検知領域Adは、想定し得る最大の長さの回避経路、回避目標車線の最高車速に基づいて定められることが好ましい。これにより、進入物検知領域Adの設定の処理時間を低減することができる。
<変形例4>
上記実施形態では、回避経路生成部306が単一の回避経路811を生成する例について説明したが、本変形例では、回避経路生成部306が複数の回避経路811を生成する例について説明する。回避経路生成部306が複数の回避経路811を生成した場合、進入物検知領域設定部307は、回避経路811毎に進入物検知領域Adを設定する。
進入物検知部308は、複数の進入物検知領域Adのそれぞれに対して物標が進入したか否かを判定する。回避可否判定部309は、進入物検知部308により物標が検知されていない進入物検知領域Adが一つでもある場合、回避動作を実行すると判定する。回避可否判定部309は、進入物検知部308により全ての進入物検知領域Ad内において物標が検知されている場合、回避動作を実行しないと判定する。回避可否判定部309は、複数の進入物検知領域Adのうち、物標が検知されていない進入物検知領域Adに対応する回避経路811に沿った回避動作を実行すると判定する。
なお、物標が検知されていない進入物検知領域Adが複数存在する場合、衝突防止制御部304は、その中から一つの進入物検知領域Adに対応する回避経路811、すなわち有効な回避経路811を選択する。衝突防止制御部304は、回避可否判定部309によって回避動作を実行すると判定された場合、選択された有効な回避経路811に沿って自車両100を動作させる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
30…車載電子制御装置、31…処理装置、32…不揮発性メモリ(記憶装置)、33…揮発性メモリ(記憶装置)、34…入力インタフェース、35…出力インタフェース、40…制御対象(ステアリング装置、ブレーキ装置、警報装置、衝撃緩和装置)、90…物標、100…車両(自車両)、101…他車両(対象物標)、102…後続車両(他車両)、103…対向車両(他車両)、302…センサフュージョン処理部、303…精度優先制御部、304…衝突防止制御部、305…走行可能領域認識部、306…回避経路生成部、307…進入物検知領域設定部、308…進入物検知部、309…回避可否判定部、401A1~401A4,401B1,401B2,401C1~401C8…時刻同期処理部、402…統合処理部、800…走行可能領域、801,801A…回避経路検知領域(検知領域候補)、802,802A…後方検知領域(検知領域候補)、802Ba…第1後方検知領域(検知領域候補)、802Bb…第2後方検知領域(検知領域候補)、803,803A…前方検知領域(検知領域候補)、803Ba…第1前方検知領域(検知領域候補)、803Bb…第2前方検知領域(検知領域候補)、810…回避目標、811…回避経路、900,900A,900B…道路、901…自車走行車線(斜線)、902…回避目標車線(車線)、903…回避先隣接車線(車線)、905…中央分離帯、906…中央線、1001…回避経路検知領域設定部、1002…前方検知領域設定部、1003…後方検知領域設定部、1004…進入物検知領域選択部、A1~A4,B1,B2,C1~C8…外界センサ、Ad…進入物検知領域、Ca…検知領域候補、Df…距離(前方検知領域の長さ)、Dr…距離(後方検知領域の長さ)、Ia1~Ia4,Ib1,Ib2,Ic1~Ic8…物標情報(検知情報)、If…速報情報(統合処理前の物標情報)、Ii…統合情報(統合処理の結果)、VA1~VA4,VB1,VB2,VC…視野範囲(検知範囲)

Claims (6)

  1. 自車両に搭載された複数の外界センサによって検知された物標の物標情報を取得し、取得した複数の前記物標情報を統合する統合処理を実行する処理装置を備えた車載電子制御装置であって、
    前記処理装置は、
    前記統合処理の結果に基づいて、前記自車両の周辺の路面のうち前記自車両が進入可能な走行可能領域を認識し、
    前記物標情報に基づいて、前記自車両と前記物標とが衝突するか否かを予測し、
    前記自車両と前記物標とが衝突すると予測された場合、衝突すると予測された前記物標との衝突を回避するための回避目標を設定し、
    前記回避目標に至る回避経路を前記走行可能領域内に生成し、
    前記自車両の周囲に、前記物標の進入を検知する進入物検知領域を設定し、
    前記複数の外界センサによって検知された前記物標の前記統合処理前の前記物標情報に基づいて、前記進入物検知領域内に進入した前記物標を検知し、その検知結果に基づいて、前記回避経路に沿った回避動作を実行するか否かを判定する
    車載電子制御装置。
  2. 請求項1に記載の車載電子制御装置において、
    前記処理装置は、
    前記自車両の走行方向に沿って複数の検知領域候補を設定し、
    前記回避目標が設定された車線の走行方向と前記自車両の走行方向との関係に基づいて、前記複数の検知領域候補の中から前記進入物検知領域とする前記検知領域候補を選択する
    車載電子制御装置。
  3. 請求項2に記載の車載電子制御装置において、
    前記複数の検知領域候補には、前記回避経路を含む回避経路検知領域と、前記回避経路検知領域よりも前方に設定される前方検知領域と、前記回避経路検知領域よりも後方に設定される後方検知領域と、が含まれる
    車載電子制御装置。
  4. 請求項3に記載の車載電子制御装置において、
    前記処理装置は、
    前記回避目標が設定された車線の走行方向が前記自車両の走行方向と同じ場合には、前記複数の検知領域候補の中から、前記回避経路検知領域及び前記後方検知領域を前記進入物検知領域として選択し、前記前方検知領域を前記進入物検知領域として選択せず、
    前記回避目標が設定された車線の走行速度情報に基づき、前記後方検知領域における前記自車両の走行方向に沿った方向の長さを決定する
    車載電子制御装置。
  5. 請求項3に記載の車載電子制御装置において、
    前記処理装置は、
    前記回避目標が設定された車線の走行方向が前記自車両の走行方向と逆の場合には、前記複数の検知領域候補の中から、前記回避経路検知領域及び前記前方検知領域を前記進入物検知領域として選択し、前記後方検知領域を前記進入物検知領域として選択せず、
    前記回避目標が設定された車線の走行速度情報に基づき、前記前方検知領域における前記自車両の走行方向に沿った方向の長さを決定する
    車載電子制御装置。
  6. 請求項1に記載の車載電子制御装置において、
    前記処理装置は、
    前記自車両と前記自車両の前方に存在する前記物標とが衝突すると予測された場合、前記自車両が走行する車線である自車走行車線の外側に前記回避目標を設定し、
    前記回避経路に沿った回避動作を実行するか否かを判定する処理の前に、前記自車走行車線内において前記回避目標側に前記自車両を移動させるための制御信号をステアリング装置に出力する
    車載電子制御装置。
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