図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、バッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンや軽油などの燃料を用いて吸気、圧縮、膨張(爆発燃焼)、排気の4行程により動力を出力する内燃機関として構成されている。図2に示すように、エンジン22は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁125と、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁126とを有する。エンジン22は、ポート噴射弁125と筒内噴射弁126とを有することにより、ポート噴射モードと筒内噴射モードと共用噴射モードとのうちの何れかで運転可能となっている。
ポート噴射モードでは、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管123に吸入してスロットルバルブ124を通過させると共にポート噴射弁125から燃料を噴射し、空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させ、その爆発燃焼によるエネルギによりシリンダボア131内で押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。筒内噴射モードでは、ポート噴射モードと同様に空気を燃焼室129に吸入し、吸気行程や圧縮行程で筒内噴射弁126から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。共用噴射モードでは、空気を燃焼室129に吸入する際にポート噴射弁125から燃料を噴射すると共に吸気行程や圧縮行程で筒内噴射弁126から燃料を噴射し、点火プラグ130による電気火花により爆発燃焼させてクランクシャフト23の回転運動を得る。これらの噴射モードは、エンジン22の運転状態などに基づいて切り替えられる。燃焼室129から排気バルブ133を介して排気管134に排出される排気は、浄化装置135を介して外気に排出される。浄化装置135は、排気中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)135aを有する。なお、浄化触媒135aは、三元触媒の浄化機能と排気中の煤などの粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集する捕集機能とを組み合わせた四元触媒が用いられるものとしてもよい。
エンジン22は、可変バルブタイミング装置150を更に有する。可変バルブタイミング装置150は、吸気バルブ128や排気バルブ133の開閉タイミングをそれぞれ連続的に変更可能に構成されている。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。エンジンECU24は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。吸気バルブ128を開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ133を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoも挙げることができる。スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ124aからのスロットル開度THや、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ123aからの吸入空気量Qa、吸気管123のスロットルバルブ124よりも上流側に取り付けられた温度センサ123tからの吸気温Taも挙げることができる。排気管134の浄化装置135よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ137からのフロント空燃比AFfや、排気管134の浄化装置135よりも下流側に取り付けられたリヤ空燃比センサ138からのリヤ空燃比AFrも挙げることができる。
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124への制御信号や、ポート噴射弁125への制御信号、筒内噴射弁126への制御信号、点火プラグ130への制御信号、可変バルブタイミング装置150への制御信号を挙げることができる。
エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、エアフローメータ123aからの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて、負荷率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算している。さらに、エンジンECU24は、クランク角θcrに対するカムポジションセンサ144からのインテークカムシャフトやエキゾーストカムシャフトのカム角θci,θcoの角度(θci-θcr),(θco-θcr)に基づいて、吸気バルブ128や排気バルブ133の開閉タイミングVTi,VToを演算する。加えて、エンジンECU24は、水温センサ142からの冷却水温Twやエンジン22の回転数Ne、負荷率KL、点火時期に基づいて、浄化装置135の浄化触媒135aの温度Tcを推定している。
図1に示すように、プラネタリギヤ30は、シングルピニオンタイプの遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、エンジン22のクランクシャフト23が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置センサからの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる相電流を検出する図示しない電流センサからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2を挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置センサからのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン54を介してインバータ41,42に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた図示しない電圧センサからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた図示しない電流センサからのバッテリ50の電流Ib、バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50の蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力量の割合である。
HVECU70は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
こうして構成された実施例のハイブリッド車20では、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、基本的には、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)と、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行モード(EV走行モード)と、を切り替えてエンジン22を間欠運転しながら走行する。
HV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される(駆動軸36に要求される)走行用トルクTd*を設定し、設定した走行用トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(モータMG2の回転数Nm2)を乗じて走行に要求される走行用パワーPd*を演算する。続いて、走行用パワーPd*とバッテリ50の蓄電割合SOCとに基づいてエンジン22の目標パワーPe*の仮値である仮目標パワーPetmpを設定し、設定した仮目標パワーPetmpに基づいて目標パワーPe*を設定する。そして、エンジン22から目標パワーPe*が出力されると共に走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、設定した目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるように、エンジン22の運転制御、例えば、吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御、開閉タイミング制御などを行なう。吸入空気量制御は、スロットルバルブ124の開度を制御することにより行なわれる。燃料噴射制御は、ポート噴射モードや筒内噴射モード、共用噴射モードでポート噴射弁125や筒内噴射弁126からの燃料噴射量を制御することにより行なわれる。点火制御は、点火プラグ130の点火時期を制御することにより行なわれる。開閉タイミング制御は、可変バルブタイミング装置150により吸気バルブ128や排気バルブ133の開閉タイミングを制御することにより行なわれる。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
EV走行モードでは、HVECU70は、HV走行モードと同様に走行用トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に走行用トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、設定したトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40によるインバータ41,42の制御については上述した。
HV走行モードでは、仮目標パワーPetmpが閾値Peref未満に至ったときなどに、エンジン22の停止条件が成立したと判定して、エンジン22を運転停止してEV走行モードに移行する。EV走行モードでは、HV走行モードと同様に演算した仮目標パワーPetmpがパワー閾値Peref以上に至ったときなどに、エンジン22の始動条件が成立したと判定して、エンジン22を始動してHV走行モードに移行する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド車20の動作、特に、PN抑制要求フラグFpnの設定処理や、点火制御、上限パワーPelimの設定処理について説明する。ここで、PN抑制要求フラグFpnは、エンジン22からの煤などの粒子状物質の排出抑制(粒子状物質数(PN:Particulate Number)の抑制)の要求であるPN抑制要求が行なわれているか否かを示すフラグである。上限パワーPelimは、PN抑制要求フラグFpnが値1のとき(PN抑制要求が行なわれているとき)にエンジン22の出力制限に用いられるパワーである。
図3は、エンジンECU24により実行されるPN抑制要求フラグ設定ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、エンジンECU24により実行される点火制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図5は、HVECU70により実行される上限パワー設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。以下、順に説明する。
図3のPN抑制要求フラグ設定ルーチンについて説明する。このルーチンは、エンジン22の始動を完了したときに実行が開始される。なお、エンジン22の始動完了は、エンジン22の各気筒に所定サイクル(例えば2サイクル)分ずつの燃料噴射を行なったときや、エンジン22の完爆を検知したときなどに行なわれる。
図3のPN抑制要求フラグ設定ルーチンが実行されると、エンジンECU24は、最初に、エンジン22の始動時水温Twstを入力する(ステップS100)。ここで、始動時水温Twstは、エンジン22の始動開始時に水温センサ142により検出された冷却水温Twが入力される。
こうして始動時水温Twstを入力すると、入力した始動時水温Twstに基づいて空気量閾値Sqarefを設定し(ステップS110)、積算空気量Sqaを入力し(ステップS120)、入力した積算空気量Sqaを空気量閾値Sqarefと比較する(ステップS130)。
ここで、積算空気量Sqaは、エアフローメータ123aにより検出される吸入空気量Qaの、エンジン22の始動中にエンジン22の回転数Neが回転数閾値以上に至ってからの積算値として演算された値が入力される。空気量閾値Sqarefは、エンジン22の燃焼室129の暖機が不十分であり(未完了であり)PN抑制要求を行なう必要があるか否かを判定するのに用いられる閾値である。空気量閾値Sqarefは、例えば、始動時水温Twstと空気量閾値Sqarefとの関係を予め定めた空気量閾値設定用マップに始動時水温Twstを適用して設定することができる。図6は、空気量閾値設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、空気量閾値Sqarefは、始動時水温Twstが温度閾値Tw1未満の温度領域では、始動時水温Twstが低いほど値0から大きくなるように設定され、始動時水温Twstが温度閾値Tw1以上の温度領域では、値0が設定される。これは、始動時水温Twstが低いほど、ポート噴射弁125や筒内噴射弁126から噴射した燃料が気化しにくく、粒子状物質の排出量が多くなりやすいことを踏まえたものである。温度閾値Tw1は、燃焼室129の暖機が十分である(完了している)と判断できる温度として定められている。即ち、始動時水温Twstが温度閾値Tw1以上であり、空気量閾値Sqarefが値0のときには、エンジン22の始動完了時において、燃焼室129の暖機が十分であり(完了しており)、PN抑制要求を行なう必要がないことを意味する。
ステップS130で積算空気量Sqaが空気量閾値Sqaref未満であるときには、PN抑制要求を行なう必要があると判定し、PN抑制要求フラグFpnに値1を設定し(ステップS140)、ステップS120に戻る。ステップS130で積算空気量Sqaが空気量閾値Sqaref以上であるときには、PN抑制要求を行なう必要がないと判定し、PN抑制要求フラグFpnに値0を設定して(ステップS150)、本ルーチンを終了する。
こうして設定されるPN抑制要求フラグFpnが値0のとき、即ち、PN抑制要求が行なわれていないときには、HVECU70は、仮目標パワーPetmpを目標パワーPe*に設定する。また、このときには、エンジンECU24は、燃費や燃料の希釈、エミッション、ドライバビリティなどを考慮してエンジン22の運転制御(以下、「通常運転制御」という)を行なう。
また、PN抑制要求フラグFpnが値1のとき、即ち、PN抑制要求が行なわれているときには、HVECU70は、仮目標パワーPetmpを上限パワーPelimで制限(上限ガード)した値を目標パワーPe*に設定する。上限パワーPelimは、エンジン22からの粒子状物質の排出抑制(粒子状物質数を許容量以下にすること)が可能なパワー範囲の上限として、後述の上限パワー設定ルーチンにより設定される。このように、エンジン22の出力制限を行なうことにより、粒子状物質の排出量を抑制することができる。また、このときには、エンジンECU24は、筒内噴射モードや共用噴射モードで筒内噴射弁126から燃料を吸気行程で複数回(例えば、吸気行程の前半、後半で各1回)に分けて噴射したり、通常運転制御に比して点火時期を遅角したりして、エンジン22の運転制御(以下、「PN抑制運転制御」という)を行なう。筒内噴射弁126から燃料を吸気行程で複数回に分けて噴射することにより、筒内噴射弁126から噴射される燃料の噴射長を短くしてこの燃料がシリンダボア131やピストン132に当たるのを抑制したり、この燃料の霧化時間を確保したりして、粒子状物質の排出量を抑制することができる。また、PN抑制要求フラグFpnが値1のときには、PN抑制要求フラグFpnが値0のときに比して、燃焼室129の暖機が不十分であり、筒内噴射弁126から噴射された燃料がシリンダボア131などに付着して局所的にリッチになりやすいため、点火時期を遅角して燃焼温度の上昇を抑制することにより、粒子状物質の排出量を抑制することができる。発明者らは、これらのことを実験や解析により確認した。
次に、図4の点火制御ルーチンについて説明する。このルーチンは、エンジン22を運転しているときに繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、エンジンECU24は、最初に、エンジン22の回転数Neや負荷率KL、PN抑制要求フラグFpnなどのデータを入力する(ステップS200)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140からのエンジン22のクランク角θcrに基づいて演算された値が入力される。負荷率KLは、エアフローメータ123aからの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて演算された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、入力したエンジン22の回転数Neおよび負荷率KLに基づいて目標点火時期Tf*のベース値であるベース点火時期Tfbsを設定する(ステップS210)。ここで、ベース点火時期Tfbsは、例えば、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLとベース点火時期Tfbsとの関係を予め定めたベース点火時期設定用マップに、回転数Neおよび負荷率KLを適用して設定することができる。ベース点火時期設定用マップは、エンジン22の仕様に基づいて、エンジン22を効率よく運転できるように設定される。
続いて、PN抑制要求フラグFpnの値を調べる(ステップS220)。PN抑制要求フラグFpnが値0のときには、PN抑制要求が行なわれていないと判断し、ベース点火時期Tfbsを目標点火時期Tf*に設定し(ステップS230)、設定した目標点火時期Tf*で点火が行なわれるように点火プラグ130を制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
ステップS220でPN抑制要求フラグFpnが値1のときには、PN抑制要求が行なわれていると判断し、回転数Neおよび負荷率KLに基づいて点火時期の遅角量Tfdを設定し(ステップS240)、ベース点火時期Tfbsよりも遅角量Tfdだけ遅い時期を目標点火時期Tf*に設定し(ステップS250)、設定した目標点火時期Tf*で点火が行なわれるように点火プラグ130を制御して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。
ここで、点火時期の遅角量Tfdは、例えば、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLと点火時期の遅角量Tfdとの関係を予め定めた遅角量設定用マップに、回転数Neおよび負荷率KLを適用して設定することができる。図7は、遅角量設定用マップの一例を示す説明図である。このマップは、エンジン22の仕様に基づいて設定される。図7の例では、遅角量Tfdは、回転数Neが低回転数領域から中回転数領域に向かうにつれて徐々に大きくなると共に中回転数領域から高回転数領域に向かうにつれて徐々に小さくなるように設定され、且つ、負荷率KLが低負荷率領域から中負荷領域に向かうにつれて徐々に大きくなると共に中負荷領域から高負荷率領域に向かうにつれて徐々に小さくなるように設定される。低回転数低負荷領域で中回転数中負荷領域に比して遅角量Tfdを小さくするのは、エンジン22の燃焼を安定させるためである。また、高回転数高負荷領域で中回転数中負荷領域に比して遅角量Tfdを小さくするのは、点火遅角による後燃えの排気が過度に高温になるのを抑制し、排気系の部品を保護するためである。
次に、図5の上限パワー設定ルーチンについて説明する。このルーチンは、PN抑制要求フラグFpnが値1で(PN抑制要求が行なわれていて)且つエンジン22を運転しているときに繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、エンジン22の目標点火時期Tf*を入力する(ステップS300)。ここで、目標点火時期Tf*は、図4の点火制御ルーチンにより設定された値がエンジンECU24から通信により実行される。
こうしてデータを入力すると、入力した目標点火時期Tf*に基づいて上限パワーPelimを設定して(ステップS310)、本ルーチンを終了する。ここで、上限パワーPelimは、例えば、目標点火時期Tf*と上限パワーPelimとの関係を予め定めた上限パワー設定用マップに、目標点火時期Tf*を適用して設定することができる。図8は、上限パワー設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、上限パワーPelimは、目標点火時期Tf*が遅い(遅角量Tfdが大きい)ほど大きくなるように設定される。これは、目標点火時期Tf*が遅いほど燃焼温度が低くなり、粒子状物質の排出量が少なくなるため、粒子状物質の排出量が許容量となるときのエンジン22のパワーがより大きくなるためである。このように上限パワーPelimを設定することにより、目標点火時期Tf*が比較的遅いときに、上限パワーPelimを比較的大きくする、即ち、エンジン22の出力制限を緩くすることができ、エンジン22の出力を余分に制限するのを抑制することができる。これにより、目標点火時期Tf*が比較的遅いときに、吸入空気量Qaが大きくなりやすく、積算空気量Sqaが迅速に大きくなりやすいから、積算空気量Sqaが閾値Sqaref以上に至るまでの時間、即ち、PN抑制要求(エンジン22の出力制限)を解除するまでの時間を比較的短くすることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド車20では、PN抑制要求が行なわれているときに上限パワーPelim以下の範囲内でエンジン22の運転制御を行なうものにおいて、PN抑制要求が行なわれているときには、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLに基づいてエンジン22の点火時期を遅くすると共にエンジン22の点火時期に基づいて上限パワーPelimを設定する。これにより、PN抑制要求が行なわれているときに、上限パワーPelimに一律に比較的小さい値を用いるものに比して、エンジン22の出力を余分に制限するのを抑制することができる。この結果、積算空気量Sqaが閾値Sqaref以上に至るまでの時間、即ち、PN抑制要求(エンジン22の出力制限)を解除するまでの時間が余分に長くなるのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド車20では、PN抑制要求が行なわれているときには、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLに基づいて遅角量Tfdを設定するものとした。しかし、回転数Neおよび負荷率KLに加えて、冷却水温Twに基づいて遅角量Tfdを設定するものとしてもよい。また、エンジン22が、排気管134の排気を吸気管123に還流させる排気再循環(以下、「EGR(Exhaust Gas Recirculation)」という)を実行可能なEGR装置を有する場合、回転数Neおよび負荷率KLに加えて、EGRの実行の有無に基づいて遅角量Tfdを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、PN抑制要求が行なわれているときには、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLに基づいて遅角量Tfdを設定するものとした。しかし、エンジン22の回転数Neおよび負荷率KLに基づいて遅角量Tfdの仮値である仮遅角量Tfdtmpを設定し、設定した仮遅角量Tfdtmpを含む複数の仮遅角量のうちの最大値を遅角量Tfdに設定するものとしてもよい。複数の仮遅角量としては、仮遅角量Tfdtmp以外に、例えば、浄化触媒135aが四元触媒として構成されている場合における浄化触媒135aの再生(浄化触媒135aに堆積した粒子状物質の燃焼)が要求されているときの仮遅角量、EGR装置を有する場合におけるEGRの実行を開始するときの仮遅角量、駆動軸36とプラネタリギヤ30やモータMG2との間に変速機を有する場合における変速機の変速制御を行なうときの仮遅角量、のうちの少なくとも1つを挙げることができる。
実施例のハイブリッド車20では、積算空気量Sqaは、エンジン22の始動中にエンジン22の回転数Neが回転数閾値以上に至ってからの吸入空気量Qaの積算値として演算されるものとした。しかし、積算空気量Sqaは、エンジン22の始動開始時からの吸入空気量Qaの積算値や、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御の開始からの吸入空気量Qaの積算値、始動完了からの吸入空気量Qaの積算値などとして演算されるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、空気量閾値Sqarefは、始動時水温Twstに基づいて設定するものとした。しかし、空気量閾値Sqarefは、エンジン22の冷却水温Tw(逐次値)に基づいて設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジン22は、ポート噴射弁125および筒内噴射弁126を有するものとした。しかし、エンジン22は、ポート噴射弁125および筒内噴射弁126のうちの何れかだけを有するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド車20では、エンジン22の可変バルブタイミング装置150は、吸気バルブ128および排気バルブ133の開閉タイミングをそれぞれ連続的に変更可能に構成されるものとした。しかし、可変バルブタイミング装置150は、吸気バルブ128および排気バルブ133のうちの何れかだけを連続的に変更可能に構成されるものとしてもよい。
実施例では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続し、エンジン22を間欠運転しながら走行するハイブリッド車20について説明した。しかし、これに限定されるものではなく、エンジン22を備える車両であればよい。例えば、図9の変形例のハイブリッド車220に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機230を介してモータMGを接続すると共にモータMGにクラッチ226を介してエンジン22を接続した車両としてもよい。また、図10の変形例のエンジン車320に示すように、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36に変速機330を介してエンジン22を接続した車両としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、エンジンECU24が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。