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JP7633380B2 - 加水分解性有機溶媒の精製方法および加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法 - Google Patents
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JP7633380B2 - 加水分解性有機溶媒の精製方法および加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法 - Google Patents

加水分解性有機溶媒の精製方法および加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加水分解性有機溶媒の精製方法および加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法に関する。
半導体は、数百もの複雑な工程を経て製造されている。半導体の線幅は、フォトレジスト工程によって決定付けられる。フォトレジスト工程は、シリコンウェハにレジストを塗布する工程、光源から短波長の光をマスク越しに照射する露光工程、フォトマスクを現像する工程、レジストの無い部分をエッチングする工程、およびレジストの剥離工程を含む。ウェハに塗布するレジストは、酸発生剤や樹脂溶液、添加剤を有機溶媒に溶解させた溶剤であり、該有機溶媒としては、主成分としてPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、乳酸エチル等のエステル系有機溶媒や、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、シクロヘキサノン等を含むものが使用される。
近年、半導体の線幅の加工寸法要求が年々微細になってきている。半導体の線幅を微細化することは、IT機器の小型化・高機能化技術を促進させる。半導体の線幅の微細化に伴い、露光工程で用いる光源としては、g線、i線レベルから、短波長のArF、EUV、X線の使用が増え、レジスト塗布周囲に用いられる有機溶媒中の不純物量も低く設定されている。有機溶媒に含まれる不純物の中でも、特に、金属元素が多く残存する場合には、該金属元素がウェハに付着して、半導体の性能低下につながる。そのため、金属元素は、低減項目として必ず挙げられる。
一方で、半導体製造において用いられるPGMEA等のエステル系有機溶媒は、水分や酸、アルカリと接触することにより加水分解を起こし、酸を生成することが知られている。そのため、エステル系有機溶媒の精製においては、酸を発生させずに金属不純物を除去する方法として、蒸留法やキレート樹脂を用いる方法が提案されている。
特許文献1には、脱イオン水と鉱酸溶液、そして任意に水酸化アンモニウム溶液を用いて洗浄したキレート樹脂を、有機溶媒で洗浄した後、フォトレジスト組成物を混合し、加温・フィルター濾過を行うことにより、フォトレジスト組成物中の金属イオンを低減させる方法が記載されている。しかしながら、この方法によれば、特にFeの除去性が不十分であった。
特許文献2には、フォトレジスト膜形成用の樹脂溶液を、ポリオレフィン系の不織布にイオン交換基および/またはキレート基を固定化した濾過基材に、通液流量(SV値)を10h-1以下に落として通液する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2には、不純物濃度としてNa濃度のみが記載されており、本発明者らの検討によれば、キレート樹脂を用いた場合と比べ、FeやCr等の重金属の除去性が劣ることが明らかとなった。
特許文献3には、鉱酸溶液によって含有金属不純物量を低減したキレート樹脂を用いて、PGMEA等の被処理液中の金属不純物を除去する方法が記載されている。しかしながら、本発明者らがさらに検討を行ったところ、精製対象の被処理液によっては、FeやCr等の重金属を十分に除去しきれない場合があることが明らかとなった。
特表2000-501201号公報 特開2013-061426号公報 特開2019-141800号公報
したがって、本発明は、酸の生成を抑制しつつ、加水分解性有機溶媒中の金属不純物濃度を低減させることが可能な加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法および該樹脂を用いた加水分解性有機溶媒の精製方法を提供することを目的とする。
上記問題に鑑みて、本発明者らが鋭意検討した結果、任意にキレート樹脂を混合した陽イオン交換樹脂を用いることにより、加水分解性有機溶媒の酸生成を抑制しつつ、キレート樹脂のみによっては除去しきれない金属を低減することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、加水分解性有機溶媒の精製方法であって、キレート樹脂を混合した陽イオン交換樹脂に、加水分解性有機溶媒を接触させて精製する精製工程を有し、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂の合計量に対する前記陽イオン交換樹脂の体積割合が10~50%であり、前記加水分解性有機溶媒が、エステル系有機溶媒またはエステル系有機溶媒を含む混合溶媒であることを特徴とする、加水分解性有機溶媒の精製方法である。
また、本発明は、加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法であって、陽イオン交換樹脂にキレート樹脂を混合する工程を有し、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂の合計量に対する前記陽イオン交換樹脂の体積割合が10~50%であり、加水分解性有機溶媒が、エステル系有機溶媒またはエステル系有機溶媒を含む混合溶媒であることを特徴とする、加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法である。
本発明によれば、酸の生成を抑制しつつ、加水分解性有機溶媒中の金属不純物濃度を低減させることが可能な加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法および該樹脂を用いた加水分解性有機溶媒の精製方法を提供することができる。
本発明に係る加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法は、陽イオン交換樹脂に任意にキレート樹脂を混合する工程を有する。なお、キレート樹脂を用いず、陽イオン交換樹脂のみを用いる場合、該工程は、陽イオン交換樹脂を用意する工程とも言える。また、本発明に係る加水分解性有機溶媒の精製方法は、任意にキレート樹脂を混合した陽イオン交換樹脂に、加水分解性有機溶媒を接触させて精製する精製工程を有する。前記陽イオン交換樹脂および任意の前記キレート樹脂の合計量に対する前記陽イオン交換樹脂の体積割合は10~100%である。
(加水分解性有機溶媒)
本発明における精製対象液である加水分解性有機溶媒は、加水分解によって酸を生じるエステル系有機溶媒である。なお、本発明における精製対象液は、少なくともエステル系有機溶媒を含む2種以上の有機溶媒を混合した混合溶媒でもよい。精製対象液としては、特に限定されるものではないが、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル-3-エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル等のエステル系有機溶媒や、これらエステル系有機溶媒とPGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、シクロヘキサノン等との混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、PGMEAまたはPGMEA/PGMEの混合溶媒が好ましい。PGMEA/PGMEの混合溶媒中におけるPGMEAの割合は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜、調整することができる。
本発明において用いる加水分解性有機溶媒(精製前)の水分濃度は、加水分解の抑制および金属精製性能の安定の点から、20~10000mg/Lであることが好ましい。前記水分濃度の上限値は低い方が好ましく、5000mg/Lがより好ましく、1000mg/Lがさらに好ましい。なお、水分濃度は、例えば、カールフィッシャー容量法水分計(商品名:Aquacounter AQ-2200、平沼産業(株)製)を用いて、カールフィッシャー法により測定することができる。
(陽イオン交換樹脂)
イオン交換樹脂は、例えば、スチレンとジビニルベンゼン(DVB)を、触媒と分散剤との共存下において共重合させて得られる三次元網目構造を有する共重合体に、官能基を導入して得られる。本発明において用いる陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基(-SOH)を有する強酸性陽イオン交換樹脂およびカルボン酸基(-COOH)を有する弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。また、陽イオン交換樹脂は、樹脂の有する細孔の径が小さく透明なゲル型および細孔の径が大きいマクロポアを有するマクロリテキュラー型(MR型)またはマクロポーラス型(ポーラス型、ハイポーラス型とも呼ばれる)のいずれであってもよい。本発明においては、金属除去の観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく用いられる。中でも、酸の生成の抑制と金属除去性能とのバランスの観点からは、MR型強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。また、酸の生成をより効果的に抑制する観点からは、高架橋のゲル型強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。なお、高架橋のゲル型強酸性陽イオン交換樹脂とは、具体的には、16%~24%の架橋度を有するゲル型強酸性陽イオン交換樹脂である。
陽イオン交換樹脂および後述する任意のキレート樹脂の合計量に対する陽イオン交換樹脂の体積割合は、10~100%、好ましくは、20~100%である。ここで、該割合が100%であるとは、陽イオン交換樹脂のみを用いることを意味する。本発明に係る精製方法によれば、陽イオン交換樹脂のみを用いた場合であっても、酸の生成を抑制しつつ、精製対象液中の金属不純物を低減させることが可能である。酸の生成をより効果的に抑制する観点からは、陽イオン交換樹脂とキレート樹脂とを混床または複床で用いることが好ましい。その場合において、陽イオン交換樹脂およびのキレート樹脂の合計量に対する陽イオン交換樹脂の体積割合は、10%~50%であることが好ましく、10%~33%であることがより好ましい。
本発明で用いる陽イオン交換樹脂としては、例えば、AMBERLITE(登録商標) IRN99H(ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、商品名、デュポン社製)、AMBERLITE(登録商標) CR99 K/350、TAPTEC(登録商標) HCRS Na(いずれもゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、商品名、デュポン社製)、AMBERJET(登録商標) 1060H(ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)、ORLITE(登録商標) DS-1(ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)、ORLITE(登録商標) DS-4(MR型の強酸性陽イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。陽イオン交換樹脂のイオン形としては、金属除去の観点から、水素イオン形(H形)が好ましい。なお、他のイオン形(例えば、ナトリウムイオン形、カリウムイオン形等)の樹脂を用いる場合は、予め、公知の方法によりH形に変換して用いることが好ましい。
(キレート樹脂)
本発明においては、前記陽イオン交換樹脂に、任意にキレート樹脂を混合することができる。キレート樹脂を混合する場合、陽イオン交換樹脂およびキレート樹脂は、混床としてもよく、複床としてもよい。いずれの場合であっても、本発明の効果を得ることができる。キレート樹脂は、金属イオンとキレート(錯体)を形成することができる官能基(キレート基)を有する樹脂である。該官能基は、金属イオンとキレート(錯体)を形成することができる官能基であればよく、特に限定されない。該官能基としては、例えば、アミノメチルリン酸基、イミノ二酢酸基、チオール基およびポリアミン基が挙げられる。複数の金属種に対する選択性等の観点から、キレート樹脂としては、アミノメチルリン酸基またはイミノ二酢酸基を官能基として有するものが好ましい。
キレート樹脂のイオン形はH形であることが好ましい。キレート樹脂としては、例えば、AMBERSEP(登録商標) IRC747UPS(商品名、デュポン社製、キレート基:アミノメチルリン酸基)、AMBERSEP(登録商標) IRC748(商品名、デュポン社製、キレート基:イミノ二酢酸基)、ORLITE(登録商標) DS-21(商品名、オルガノ(株)製、キレート基:アミノメチルリン酸基)、ORLITE(登録商標) DS-22(商品名、オルガノ(株)製、キレート基:イミノ二酢酸基)、ダイヤイオン(登録商標) CR11(商品名、三菱ケミカル(株)製、キレート基:イミノ二酢酸基)、S930(商品名、ピュロライト(株)製、キレート基:イミノ二酢酸基)、S950(商品名、ピュロライト(株)製、キレート基:アミノリン酸基)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、上記樹脂のイオン形がナトリウムイオン形(Na形)である場合は、公知の方法により、イオン形をNa形からH形に変換して用いることができる。
本発明において用いるキレート樹脂は、水素イオン形であり、かつ、該キレート樹脂に濃度3質量%の塩酸を体積比25倍量で通過させたときに溶出する全金属不純物量が、5μg/mL-R以下であることが好ましい。キレート樹脂として、そのような市販品を用いることもできる。ここで、「体積比25倍量」とは、キレート樹脂の体積に対して25倍の体積の塩酸を通過させることを意味する。単位「/mL-R」は、「飽和平衡状態におけるキレート樹脂の体積1mL当たり」を意味する。なお、飽和平衡状態とは、キレート樹脂を、25℃で相対湿度100%の大気に30分間以上接触させることにより、飽和状態にした状態をいう。「塩酸に通過させ」るとは、キレート樹脂に塩酸を通過させることのほか、キレート樹脂を塩酸中に浸漬すること等も含む。キレート樹脂の体積1mL当たりの全金属不純物量(μg/mL-R)は、溶出した各金属不純物量(μg/L)、溶出に用いた溶離液の体積(L)およびキレート樹脂の体積(mL)から、下式により算出することができる。
全金属不純物量(μg/mL-R)=(各金属不純物量(μg/L)×溶離液の体積(L))/キレート樹脂の体積(mL)
なお、上記全金属不純物量が、5μg/mL-R以下であるキレート樹脂は、例えば、特許文献3に記載されている方法により得ることができる。すなわち、キレート樹脂に、含有金属不純物量が1mg/L以下であり、かつ濃度が5質量%以上の鉱酸溶液を接触させることにより精製する方法である。これにより、キレート樹脂に、濃度3質量%の塩酸を体積比25倍量で通過させたときに溶出する全金属不純物量(特にNa、Ca、Mg、Fe等の溶出金属量)を、5μg/mL-R以下に低減することができる。このような含有金属不純物量を低減したキレート樹脂を用いて加水分解性有機溶媒の精製を行うことにより、含有金属不純物のより少ない高純度の加水分解性有機溶媒を得ることができる。前記鉱酸溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸等を用いることができる。なお、Na形のキレート樹脂を用いて上記の精製を行う場合、上記の精製を実施することにより、イオン形がH形に変換される。
(陰イオン交換樹脂)
上述したように、本発明においては、陽イオン交換樹脂と、任意にキレート樹脂とを混合して用いるが、さらに、陰イオン交換樹脂を組み合わせて用いることもできる。陰イオン交換樹脂を用いることにより、酸の生成を確実に抑制することができる。そのため、例えば、陽イオン交換樹脂のみを用いる場合や、その他酸の生成が懸念される場合等であっても、陰イオン交換樹脂を組み合わせて用いることにより、酸の生成をより抑制した精製が可能となる。陰イオン交換樹脂を用いる場合、該陰イオン交換樹脂の使用量は、陽イオン交換樹脂および任意のキレート樹脂の合計量に対して、例えば、0.1~100体積%とすることができる。
陰イオン交換樹脂としては、第4級アンモニウム塩基を有する強塩基性陰イオン交換樹脂および第1級~第3級アミノ基を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、例えば、ORLITE(登録商標) DS-2(ゲル型の強塩基性陰イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)、DS-5(MR型の強塩基性陰イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)、DS-6(MR型の弱塩基性陰イオン交換樹脂、商品名、オルガノ(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、MR型の陰イオン交換樹脂が好ましい。
陽イオン交換樹脂、任意のキレート樹脂および任意の陰イオン交換樹脂(以下、これらをまとめて「イオン交換樹脂」ともいう)に対して、加水分解性有機溶媒の精製に用いる前に、必要に応じて、樹脂からの水分溶出を抑制するための前処理を行ってもよい。すなわち、本発明に係る精製方法は、前記精製工程の前に、陽イオン交換樹脂および任意のキレート樹脂および任意の陰イオン交換樹脂に対し、該樹脂からの水分溶出を抑制するための前処理を行う前処理工程を有していてもよい。
前処理の方法としては、例えば、イオン交換樹脂に精製対象の加水分解性有機溶媒を接触させる、またはイオン交換樹脂に精製対象の加水分解性有機溶媒よりも25℃における比誘電率が大きい前処理用有機溶媒を接触させる方法が挙げられる。具体的には、精製に使用する前のイオン交換樹脂を充填したカラムに、精製対象の加水分解性有機溶媒を通液して、カラムの入口と出口の該溶媒中の水分濃度が同程度になるまで通液を続ける方法が挙げられる。また、精製に使用する前のイオン交換樹脂を充填したカラムに、精製対象の加水分解性有機溶媒よりも25℃における比誘電率が大きい前処理用有機溶媒を通液して、カラムの入口と出口の溶媒中の水分濃度が同程度になるまで通液を続ける方法が挙げられる。この場合、前処理用有機溶媒を通液した後、さらに精製対象の加水分解性有機溶媒を、カラムの入口と出口の溶媒中の水分濃度が同程度になるまで通液してもよい。前処理用有機溶媒としては、25℃における比誘電率が20以上であるメタノールやエタノール等のアルコールが好ましく用いられる。
また、樹脂からの水分溶出を抑制するための他の前処理の方法として、イオン交換樹脂を充填した耐熱容器を乾燥機内部に設置して数時間加温(乾燥)処理する方法が挙げられる。乾燥条件は、イオン交換樹脂の種類に応じて、50℃~120℃において1時間~24時間のうち、適切な温度および時間を設定することができる。この処理を行うことにより、イオン交換樹脂中の含水率を10質量%以下まで低減することができる。乾燥方法は、常圧、減圧および真空乾燥のいずれでもよいが、乾燥時間が短く効率が良い点から、減圧または真空乾燥が好ましい。なお、イオン交換樹脂の含水率は、下記計算式を用いて算出することができる。
含水率(質量%)=((乾燥機によって加温処理した樹脂の質量(g)-加熱乾燥式水分計で完全乾燥した樹脂の質量(g))/乾燥機によって加温処理した樹脂の質量(g))×100
ここで、上記式中、乾燥機によって加温処理した樹脂は、樹脂を上記のとおり加温処理することにより得られる(含水率は10質量%以下)。続いて、該乾燥機によって加温処理した樹脂を、加熱乾燥式水分計で測定するまで、空気中からの水分の混入を避けるように保管・移動する。そして、加熱乾燥式水分計上に、該樹脂を設置して、さらに105℃で数分~数十分間、樹脂を完全乾燥させることにより、加熱乾燥式水分計で完全乾燥した樹脂が得られる。加熱乾燥式水分計としては、例えば、A&D社製のMX-50(商品名)を用いることができる。なお、測定の正確性を高めるため、乾燥前の樹脂は5g以上採取して測定を行う。
加水分解性有機溶媒をイオン交換樹脂に接触させる方法は、特に制限されないが、バッチ処理方法およびカラムによる連続通液処理方法が挙げられる。このうち、操作性や効率の観点から、連続通液処理方法が好ましい。
連続通液処理方法において、イオン交換樹脂はカラム等の精製塔に充填される。精製塔の樹脂充填層高は特に限定されず、例えば100~1500mmとすることができる。次いで、加水分解性有機溶媒を、例えばSV(空間速度、h-1)2~20にて、2~100BV通液する。ここで、BV(Bed volume)は、樹脂量に対する通液する溶媒の流量倍数を表す。加水分解性有機溶媒の通液は、金属除去の観点から、SV2~20にて行うことが好ましく、SV5~10にて行うことがより好ましい。通液の方向は、下向流または上向流のいずれであってもよい。このようにして通液することにより、加水分解性有機溶媒中の金属不純物がイオン交換樹脂に吸着され、除去される。
次にバッチ処理方法について説明する。まず、イオン交換樹脂を、撹拌機を備えた反応槽内に充填する。次に、加水分解性有機溶媒を該反応槽内に充填する。容積比としては、特に限定はされないが、樹脂量1に対して有機溶媒2~200が好適である。その後、例えば0.5~24時間程度放置する。放置後、撹拌機を作動させて樹脂と有機溶媒を均一に混合する。撹拌速度および撹拌時間は、反応槽の大きさや処理量等により適宜決定すればよい。撹拌終了後、濾過等を行い、樹脂と加水分解性有機溶媒を分離することによって、金属不純物が除去され、精製された加水分解性有機溶媒を得ることができる。
なお、イオン交換樹脂について、加水分解性有機溶媒の精製に用いる前に、上述した樹脂からの水分溶出を抑制するための前処理を実施する場合は、前処理に用いたカラム等の容器をそのまま使用して、イオン交換樹脂に加水分解性有機溶媒を接触させて精製する工程を行うことができる。
本発明に係る精製方法は、加水分解性有機溶媒の精製を連続運転にて行う、すなわち、精製工程において、精製対象の加水分解性有機溶媒の精製(通液)を開始した後、精製終了まで通液を途中で停止することなく連続して行うことを主とするものである。ただし、加水分解性有機溶媒の精製を間欠運転にて行うことも可能である。加水分解性有機溶媒の精製を間欠運転にて行う場合は、試験系内部に、外部由来の水分または樹脂由来の官能基によって有機溶媒の加水分解が進行し、水分や酸が発生してしまうことがある。そのため、間欠運転にて行う場合は、本発明に係る精製方法は、精製工程の開始後、陽イオン交換樹脂、任意のキレート樹脂および任意の陰イオン交換樹脂を充填した精製塔の出口から溶出する前記加水分解性有機溶媒を、一定時間、精製後の前記加水分解性有機溶媒を貯留するための貯留槽外へ排出するブロー工程を有することが好ましい。例えば、精製工程開始後、加水分解性有機溶媒の通液を30分間以上停止する場合、ブロー工程として、精製塔の出口から溶出する前記加水分解性有機溶媒を、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂、任意のキレート樹脂および任意の陰イオン交換樹脂)量に対して0.5BV以上、貯留槽外へ排出した後、精製工程を再開する。ブロー工程を設けることにより、運転停止中に発生した水分や酸を低減することができる。ブロー工程におけるブロー量(系外へ排出する加水分解性有機溶媒の量)は、運転停止時間や精製塔出口における加水分解性有機溶媒中の水分量、酸濃度および比抵抗値などにより事前に設定することもできる。あるいは、あらかじめ設定した比抵抗値に達した場合にブロー工程を自動停止して精製工程に切り替えるオンライン監視による設定を行うこともできる。なお、加水分解性有機溶媒の精製を連続運転にて行う場合においても、必要に応じて、上記ブロー工程を実施することができる。
本発明に係る精製方法によれば、加水分解性有機溶媒からの酸の生成が抑制されるため、精製工程後の加水分解性有機溶媒のpHを中性付近に保つことができる。具体的には、精製工程後の加水分解性有機溶媒のpHを5~7とすることができる。ただし、加水分解性有機溶媒の種類によっては、pHが例えば4以下となる場合もある。
本発明に係る精製方法によれば、精製工程において、加水分解性有機溶媒中の各金属濃度を、70質量%以上、好ましくは80質量%以上低減することができる。なお、加水分解性有機溶媒中に含まれる金属不純物としては、例えば、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、As、Sr、Ag、Cd、Sn、Ba、Pb等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、「実施例5」は「参考例5」と読み替えるものとする。
金属濃度、酢酸濃度および水分濃度の測定方法は、以下のとおりである。
(金属濃度)
金属濃度(ng/L)は、Agilent 8900 トリプル四重極ICP-MS(商品名、アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて測定した。
(酢酸濃度)
酢酸濃度(質量ppm)は、キャピラリ電気泳動システム(商品名:Agilent 7100、大塚電子(株)製)を用いて測定した。
(水分濃度)
水分濃度は、カールフィッシャー容量法水分計(商品名:Aquacounter AQ-2200、平沼産業(株)製)を用いて、カールフィッシャー法により測定した。
(イオン交換樹脂)
以下の例において用いた各イオン交換樹脂の詳細は、次のとおりである。
・ORLITE(登録商標) DS-21(商品名、オルガノ(株)製):キレート樹脂、キレート基:アミノメチルリン酸基
・ORLITE(登録商標) DS-4(商品名、オルガノ(株)製):MR型の強酸性陽イオン交換樹脂、イオン交換基:スルホン酸基
・ORLITE(登録商標) DS-1(商品名、オルガノ(株)製):ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、イオン交換基:スルホン酸基、架橋度:標準的
・AMBERLITE(登録商標) CR99 K/350(商品名、デュポン社製):ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、架橋度:低い
・AMBERLITE(登録商標) IRN99H(商品名、デュポン社製):ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、架橋度:高い
・ORLITE(登録商標) DS-6(商品名、オルガノ(株)製):MR型の弱塩基性陰イオン交換樹脂
[比較例1、実施例1~5:混床割合の比較]
(PGMEAの精製)
PFA樹脂製カラム(内径:16mm、高さ:300mm)に、キレート樹脂であるORLITE(登録商標) DS-21およびMR型強酸性陽イオン交換樹脂であるORLITE(登録商標) DS-4を、それぞれ表1に示す陽イオン交換樹脂の混床割合(体積比)で、合計36mLとなるように充填した。なお、上記キレート樹脂に、濃度3質量%の塩酸を体積比25倍量で通過させたときに溶出する全金属不純物量が5μg/mL-R以下であることは確認している。そこへ、前処理として、PGMEA(商品名:PMシンナー、東京応化工業(株)製)をSV5にて、カラム入口とカラム出口のPGMEA中の水分濃度が同等レベルになるまで通液し、樹脂中の水分を除去した。なお、上記前処理において、PGMEAの代わりに、PGMEAよりも25℃における比誘電率が大きい、例えばメタノールを通液することによっても、樹脂中の水分を除去することができることも確認済みである。
続いて、前処理を行った後の樹脂に、PGMEAをSV5で20BV通液し、精製工程を行った。精製前のPGMEA(原液)および精製後のカラム出口のPGMEAを採取し、Cr濃度、酢酸濃度および水分濃度を測定した。結果を表1に示す。なお、発生した酢酸について、5mg/L(絶対値)までは測定誤差範囲内、すなわち、酢酸の発生はほぼないものと考えることができる。また、各例において、原液中のCrおよび酢酸濃度が異なるが、これは、原液のロットの違いによるものである。
Figure 0007633380000001
表1に示すように、陽イオン交換樹脂の混床割合が10%~100%である実施例1~5においては、精製後のPGMEA中のCr濃度が15ng/L未満となり、酢酸の生成を抑制しつつ、効率良く金属除去を行うことができた。特に、キレート樹脂と陽イオン交換樹脂を混床で用いた実施例1~4では、酢酸の発生をほぼ抑制することができた。一方で、陽イオン交換樹脂の混床割合が0%、すなわちキレート樹脂のみを用いた比較例1では、精製したPGMEA中のCr除去率が55%であり、十分に金属除去ができていないことが分かった。
[実施例6~7:強酸性陽イオン交換樹脂の種類によるCrの除去性能の比較]
キレート樹脂と混合する強酸性陽イオン交換樹脂(混床割合:25体積%)として、それぞれORLITE(登録商標) DS-1(ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、架橋度:標準的)およびAMBERLITE(登録商標) CR99 K/350(ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂、架橋度:低い、K形をH形に変換したもの)を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法でPGMEAの精製を行った。精製前のPGMEA(原液)および精製後のカラム出口のPGMEAを採取し、Cr濃度および水分濃度を測定した。結果を実施例3と併せて表2に示す。
Figure 0007633380000002
表2に示すように、MR型の強酸性陽イオン交換樹脂であるDS-4は、ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂であるDS-1や、ゲル型の小粒径の強酸性陽イオン交換樹脂であるCR99 K/350と比べて、金属除去性能が特に優れていることが分かった。
[実施例8~10:架橋度の違いによる酢酸発生の比較]
キレート樹脂と混合するゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂(混床割合:25体積%)として、それぞれAMBERLITE(登録商標)IRN99H(架橋度:高い)、ORLITE(登録商標)DS-1(架橋度:標準的)およびAMBERLITE(登録商標)CR99 K/350(架橋度:低い、K形をH形に変換したもの)を用いたこと以外は、実施例3と同様の方法でPGMEAの精製を行った。精製前のPGMEA(原液)および精製後のカラム出口のPGMEAを採取し、酢酸濃度および水分濃度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007633380000003
表3に示すように、ゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂の中でも、高架橋の樹脂を用いた場合には、酢酸の発生が確実に抑制されることが分かった。
[参考例1:陰イオン交換樹脂による酢酸の低減]
樹脂として、MR型の弱塩基性陰イオン交換樹脂であるORLITE(登録商標)DS-6のみを用いた以外は、実施例3と同様の方法でPGMEAの精製を行った。精製前のPGMEA(原液)および精製後のカラム出口のPGMEAを採取し、酢酸濃度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0007633380000004
表4に示すように、原液中に含まれる酢酸は、陰イオン交換樹脂を用いることにより除去できることが分かった。したがって、本発明に係る陽イオン交換樹脂および任意のキレート樹脂に対し、さらに、陰イオン交換樹脂を組み合わせて用いることにより、酢酸の発生を確実に抑制した加水分解性有機溶媒の精製が可能であることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. 加水分解性有機溶媒の精製方法であって、キレート樹脂を混合した陽イオン交換樹脂に、加水分解性有機溶媒を接触させて精製する精製工程を有し、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂の合計量に対する前記陽イオン交換樹脂の体積割合が10~50%であり、前記加水分解性有機溶媒が、エステル系有機溶媒またはエステル系有機溶媒を含む混合溶媒であることを特徴とする、加水分解性有機溶媒の精製方法。
  2. 精製前の前記加水分解性有機溶媒中の水分濃度が20~10000mg/Lである、請求項1に記載の精製方法。
  3. 前記精製工程の前に、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂に対し、該樹脂からの水分溶出を抑制するための前処理を行う前処理工程を有し、該前処理が、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂に、前記加水分解性有機溶媒よりも25℃における比誘電率が大きい前処理用有機溶媒を接触させる方法、または、乾燥機により前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂の含水率を10質量%以下に低減させる方法である、請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂に、さらに、陰イオン交換樹脂を組み合わせて用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の精製方法。
  5. 前記陽イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載の精製方法。
  6. 前記強酸性陽イオン交換樹脂がMR型強酸性陽イオン交換樹脂である、請求項5に記載の精製方法。
  7. 前記強酸性陽イオン交換樹脂が、16%~24%の架橋度を有するゲル型強酸性陽イオン交換樹脂である、請求項5に記載の精製方法。
  8. 前記精製工程において、前記加水分解性有機溶媒中の各金属濃度を80質量%以上低減する、請求項1~7のいずれか1項に記載の精製方法。
  9. 前記精製工程の開始後、前記陽イオン交換樹脂、前記キレート樹脂および任意の陰イオン交換樹脂を充填した精製塔の出口から溶出する前記加水分解性有機溶媒を、一定時間、精製後の前記加水分解性有機溶媒を貯留するための貯留槽外へ排出するブロー工程を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の精製方法。
  10. 加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法であって、陽イオン交換樹脂にキレート樹脂を混合する工程を有し、前記陽イオン交換樹脂および前記キレート樹脂の合計量に対する前記陽イオン交換樹脂の体積割合が10~50%であり、加水分解性有機溶媒が、エステル系有機溶媒またはエステル系有機溶媒を含む混合溶媒であることを特徴とする、加水分解性有機溶媒精製用の樹脂の製造方法。
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