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JP7634704B2 - シール装置及び回転機械並びにシール装置の取付方法 - Google Patents
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JP7634704B2 - シール装置及び回転機械並びにシール装置の取付方法 - Google Patents

シール装置及び回転機械並びにシール装置の取付方法 Download PDF

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Description

本開示は、シール装置及び回転機械並びにシール装置の取付方法に関する。
本願は、2022年2月18日に日本国特許庁に出願された特願2022-023470号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ガスタービンや蒸気タービン等の回転機械の回転部と静止部との間の隙間を介した流体漏れを低減するためのシール装置として、回転機械の運転状態等に応じてシール部材が径方向に沿って移動可能な構造を有するものが使用されることがある。
特許文献1には、ロータ(回転部)とステータ(静止部)との間に設けられ、径方向に沿って移動可能な可動シール部材を備えた軸シール装置が開示されている。可動シール部材は、ステータに固定されたハウジング(静止部)の溝に部分的に収容されるとともに、弾性部材によって径方向外側に向かって付勢されるようになっている。
特許文献1の軸シール装置では、回転機械の起動停止動作中又は停止中においては、可動シール部材は弾性部材によって径方向外側に向かって付勢されて、ロータと可動シール部材との間のクリアランスが大きく保たれる。一方、回転機械の負荷運転中には、高圧側の作動流体の圧力が可動シール部材の外周面に作用することで、可動シール部材に径方向内向きの力(即ち、弾性部材の付勢力に抗する力)が加わる。これにより、可動シール部材が起動停止動作中等に比べて径方向内側に変位し、ロータと可動シール部材との間のクリアランスが小さく保たれる。
特開2018-141527号公報
ところで、特許文献1記載のシール装置では、可動シール部材が回転機械の静止部の溝に部分的に収容されており、シール部材が径方向に沿って移動するときに、シール部材と静止部とが摺動する。この摺動が繰り返されると、シール部材及び静止部の摺動面に摩耗等が生じ、摺動面の状態(摩擦係数等)が所期の状態から変化する。このように摺動面が所期の状態から変化すると、可動シール部材が意図するタイミングで動かない等、可動シール部材の動作が期待から外れたものとなり、シール装置の動作が不安定なものとなり得る。その結果、回転機械の効率低下や、シール部材の回転部との接触リスクの増大につながるおそれがある。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、可動シール部材を含むシール装置の安定的な動作を維持しやすいシール装置及び回転機械並びに該シール装置の取付方法を提供することを目的とする。
本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置は、
回転機械の径方向にて前記回転機械の回転部と静止部との間に設けられるシール部材と、
周方向に沿って延びるように前記静止部に設けられた溝に少なくとも部分的に収容され、前記シール部材を前記径方向に沿って移動可能に支持するための保持部材と、
を備え、
前記保持部材は、
前記溝に収容される基部と、
前記基部から径方向内側に向かって突出する突出部と、を有し、
前記シール部材は、軸方向にて前記突出部に隣接して前記突出部と摺動可能な摺動面を有する。
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る回転機械は、
回転部及び静止部と、
前記回転部と前記静止部との間の流体の漏れを低減するための上述のシール装置と、
を備える。
また、本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置の取付方法は、
回転部及び静止部を備える回転機械に上述のシール装置を取り付けるための取付方法であって、
前記シール部材を前記保持部材に組付けた状態で、前記保持部材を前記静止部に設けられた前記溝に周方向に沿って挿入するステップ
を備える。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、可動シール部材を含むシール装置の安定的な動作を維持しやすいシール装置及び回転機械並びに該シール装置の取付方法が提供される。
一実施形態に係る回転機械の部分的な概略断面図である。 一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のA-Aに沿った断面図である。 一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のA-Aに沿った断面図である。 一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のB-Bに沿った断面図である。 一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のB-Bに沿った断面図である。 一実施形態に係るシール装置の摺動部の模式的な拡大図である。 一実施形態に係るシール装置の摺動部の模式的な拡大図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
(回転機械の構成)
図1は、一実施形態に係る回転機械の軸方向に直交する部分的な概略断面図である。図2A及び図2Bは、一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のA-Aに沿った断面図である。図3A及び図3Bは、一実施形態に係るシール装置の概略的な断面図であり、図1のB-Bに沿った断面図である。ここで、図2A及び図3Aは、回転機械の起動停止動作中におけるシール装置を示す図である。図2B及び図3Bは、回転機械の負荷運転中におけるシール装置を示す図である。
幾つかの実施形態に係る回転機械は、タービン(ガスタービン又は蒸気タービン等)、圧縮機又はポンプ等の流体機械である。図1~図3Bに示すように、一実施形態に係る回転機械1は、回転部2(ロータ)と、回転部2の外周側に設けられる静止部4(図1において不図示)と、を含む。回転部2は、軸受(不図示)によって中心軸Oの周りを回転可能に支持される。静止部4は、回転部2を収容するケーシング、及び、該ケーシングに支持される静止部材を含む。静止部4は、静翼を支持するための翼環、又は、シール部材等を支持するための静止部材(例えば、ダミーリングや保持環等)を含んでもよい。
回転機械1の径方向における回転部2と静止部4との間には、流体の通路(典型的には環状の通路)が形成される。図2A~図3Bに示すように、回転機械1は、上述の流体の通路のうち、比較的高圧の流体が流れる通路を含む高圧部6と、高圧部6における流体よりも低圧の流体が流れる通路を含む低圧部8と、を含む。高圧部6と低圧部8とは、軸方向(中心軸Oの方向)において互いにずれて位置している。
回転機械1は、回転部2と静止部4との間の隙間を介した流体漏れを低減するためシール装置10をさらに備えている。以下、幾つかの実施形態に係るシール装置10についてより詳細に説明する。
(シール装置の構成)
図1~図3Bに示すように、シール装置10は、回転機械1の径方向にて回転部2と静止部4との間に設けられる可動シール部材20(シール部材)と、可動シール部材20を径方向に沿って移動可能に支持するための保持部材30と、を含む。一実施形態では、図1に示すように、可動シール部材20及び保持部材30は、周方向に沿って延在する。即ち、可動シール部材20及び保持部材30は、円弧形状又はリング形状を有していてもよい。
なお、幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、シール装置10は、周方向にて可動シール部材20と隣り合うように設けられる固定シール部材40を含んでもよい。固定シール部材40は、基本的には径方向に沿って動かないように構成される。図1に示す例示的な実施形態では、シール装置10は、上下方向(鉛直方向)において回転部2の上方及び下方にそれぞれ設けられる可動シール部材20と、回転部2の側方において可動シール部材20の周方向における端部に隣り合うように設けられる複数の固定シール部材40と、を含む。
図2A~図3Bに示すように、可動シール部材20は、回転機械1の軸方向にて高圧部6と低圧部8との間に設けられる。図2A~図3Bに示す例示的な実施形態では、可動シール部材20のうち回転部2に対向する面20a(内周面)に、複数のシールフィン24が設けられる。幾つかの実施形態では、回転部2の外周面(即ち可動シール部材20に対向する面)に複数のシールフィンが設けられていてもよい。
可動シール部材20は、静止部4に対向する外周面20bを有し、径方向にて該外周面20bと静止部4との間に高圧部6と連通可能な隙間21が形成される。即ち、可動シール部材20の外周面20bには、高圧部6からの流体の圧力が作用するようになっている。
保持部材30は、周方向に沿って延びるように静止部4に設けられた溝5に少なくとも部分的に収容される。溝5は、静止部4の内周面4aから径方向外側に凹むように設けられる。溝5は、回転機械1の回転部2を収容するケーシング(静止部4)、又は、該ケーシングに支持される静止部材(静止部4)に設けられたものであってもよい。溝5は、例えば、蒸気タービンのダミーリング(静止部4)、又は、ガスタービンの保持環(静止部4)に設けられたものであってもよい。図2A~図3Bに示す例示的な実施形態では、保持部材30は、溝5に収容される基部32と、基部32から径方向内側に向かって突出する突出部34と、を含む。
保持部材30のうち、溝5に収容される部分の軸方向における長さ(図示する実施形態では基部32の軸方向における長さ)は、溝5の軸方向における長さよりも少しだけ短い。したがって、溝5と保持部材30との間に軸方向の遊びがある状態で、溝5によって保持部材30の軸方向における位置決めがされる。
保持部材30は、周方向における少なくとも一部の領域(例えば図2A及び図2Bに示す部分)において、静止部4の溝5において軸方向に突出する軸方向突出部7に当接する当接部36を有してもよい。また、溝5内において、保持部材30の径方向外側かつ静止部4の径方向内側には、保持部材30を径方向内側に向かって付勢するための付勢部材42が設けられてもよい。保持部材30が付勢部材42によって径方向内側に向かって付勢されるとともに、当接部36が軸方向突出部7に当接することで保持部材の径方向における位置が規制されることにより、保持部材30の径方向における位置決めがされるようになっていてもよい。
幾つかの実施形態では、例えば図2A及び図2Bに示すように、シール装置10は、保持部材30に収容される頭部52と、径方向に沿って延在し、頭部52と可動シール部材20とを接続する軸部54と、を含む。可動シール部材20は、該可動シール部材20に接続される軸部54及び頭部52を介して、径方向に沿って移動可能に保持部材30に支持される。頭部52は、保持部材30に設けられる収容空間31の内部に収容される。軸部54は、収容空間31に連通するように保持部材30に設けられる孔33を貫通するように設けられる。図2A及び図2Bに示す例示的な実施形態では、シール装置10はボルト部50を含み、上述の頭部52及び軸部52は、該ボルト部50の一部である。幾つかの実施形態では、頭部52と軸部54とが別々の部材から構成されていてもよい。頭部52及び/又は軸部54はピンを含んでもよい。
ここで、孔33の軸方向における長さは、頭部52の径よりも小さく、かつ、軸部54の径よりも大きい。また、収容空間31の径方向における長さは、頭部52の径方向における長さよりも長い。したがって、頭部52が収容空間31から抜け出さないまま、頭部52及び軸部54(ボルト部50)が収容空間31の内部を径方向に沿って移動可能であるとともに、軸部54(ボルト部50)に接続される可動シール部材20は、頭部52及び軸部54(ボルト部50)とともに径方向に沿って移動可能である。なお、図2A及び図2Bに示すように、軸部54は、ねじ56が形成された一端部を有し、可動シール部材20に設けられるねじ孔26に螺合されるようになっていてもよい。幾つかの実施形態では、軸部54(例えばピン)は、焼き嵌めや溶接等により可動シール部材20に接続されていてもよい。
幾つかの実施形態では、周方向における複数の位置の各々に上述の頭部52及び軸部54(ボルト部50)が設けられていてもよい。
幾つかの実施形態では、シール装置10は、可動シール部材20を保持部材30に対して径方向に沿って径方向外側に向かって付勢するように構成された付勢部材60を含んでもよい(図2A,図2B参照)。図2A及び図2Bに示すように、付勢部材60は、頭部52の径方向内側を向く面53と、保持部材30の収容空間31を形成するの内壁面のうち径方向外側を向く面37との間に設けられてもよい。図2A及び図2Bに示す例示的な実施形態では、付勢部材60は、複数の皿ばね62を含む。
幾つかの実施形態では、周方向における複数の位置の各々に上述の付勢部材60が設けられていてもよい。
なお、周方向において付勢部材60又は頭部52及び軸部54(ボルト部50)が設けられない位置では、例えば図3A及び図3Bに示すように、可動シール部材20は、静止部4の溝5に部分的に収容されていてもよい。可動シール部材20は、径方向にて保持部材30の基部32と静止部4の軸方向突出部7との間に位置し、該軸方向突出部7と係合可能な係合部28を含んでもよい。図3Bに示すように、係合部28は、可動シール部材20が径方向内側に位置するときに、軸方向突出部7と係合するようになっている。
ここで、上述のシール装置10の動作について簡単に説明する。回転機械1の起動停止動作中又は停止中においては、可動シール部材20は付勢部材60によって径方向外側に向かって付勢されて、回転部2と可動シール部材20(又はシールフィン24)との間のクリアランスが大きく保たれる(図2A及び図3A参照)。回転機械1の負荷上昇時には、高圧部6と低圧部8との圧力差が増大し、これにより可動シール部材20の外周面20bに作用する圧力(高圧部6における高圧流体の圧力)と内周面20aに作用する圧力(高圧側から低圧側に向かうに従い小さくなる圧力)との間に差が生じる。この圧力差により可動シール部材20に加わる径方向内側向きの力が付勢部材60による径方向外側向きの付勢力に打ち勝つと、可動シール部材20は径方向内側の位置に移動し、回転部2と可動シール部材20(又はシールフィン24)との間のクリアランスが小さくなる(図2B及び図3B参照)。回転機械1の負荷運転中(定格負荷運転中等)には、可動シール部材20の外周面20bに高圧部6の高圧流体の圧力が作用し続け、上述の圧力差が保たれるため、回転部2と可動シール部材20(又はシールフィン24)との間のクリアランスが小さいまま維持される(図2B及び図3B参照)。
幾つかの実施形態では、例えば図2A~図3Bに示すように、可動シール部材20は、軸方向にて保持部材30の突出部34に隣接するとともに、該突出部34と摺動可能な摺動面22を有する。突出部34は、軸方向にて可動シール部材20の摺動面22に対向する対向面35を有する。即ち、可動シール部材20の摺動面22と突出部34の対向面35とが互いに摺動可能である。
なお、図2A~図3Bに示す実施形態では、保持部材30の突出部34は、軸方向において、可動シール部材20の摺動面22よりも低圧部8寄りに位置する(即ち、可動シール部材20の摺動面22は、突出部34よりも高圧部6寄りに位置する)。したがって、回転機械1の運転時には、高圧部6と低圧部8との圧力差によって、軸方向にて高圧部6側から低圧部8側へ向かう力が可動シール部材20に加わるため、可動シール部材20が保持部材30の突出部34に向けて押し付けられた状態で、可動シール部材20と保持部材30とが摺動することになる。
従来のシール装置、即ち、可動シール部材が回転機械の静止部(例えばダミーリングや保持環等の静止部材)の溝に収容されるシール装置(即ち保持部材を含まないシール装置)では、可動シール部材が径方向に沿って移動するときに、シール部材と静止部(シール部材を収容する溝を有する静止部材)とが摺動する。この摺動が繰り返されると、シール部材及び静止部の摺動面に摩耗等が生じ、摺動面の状態(摩擦係数等)が所期の状態から変化する。このように摺動面が所期の状態から変化すると、可動シール部材が意図するタイミングで動かない等、可動シール部材の動作が期待から外れたものとなり、シール装置の動作が不安定なものとなり得る。その結果、回転機械の効率低下や、シール部材の回転部との接触リスクの増大につながるおそれがある。なお、摩耗が生じた部品を交換することで摺動面の状態を所期の状態に維持することも考えられるが、摩耗が生じる部品(例えばダミーリングや保持環)は回転機械の静止部を構成する大型部品であり、このような大型部品は、コスト面等から容易に交換することができない場合がある。
この点、上述の実施形態では、静止部4に設けられた溝5に収容される保持部材30の突出部34と、径方向に移動可能に保持部材30に支持される可動シール部材20の摺動面22とが軸方向において互いに隣接する。したがって、可動シール部材20が径方向に沿って移動するとき、可動シール部材20の摺動面22と、保持部材30の突出部34とが互いに摺動する。このため、摺動部(可動シール部材20の摺動面22及び保持部材30の突出部34)に摩耗が生じた場合には、保持部材30及び/又は可動シール部材20を交換することで、摺動部の表面を所期の状態(例えば所期の摩擦係数を有する状態)に維持することができる。このように摺動部の表面を所期の状態に維持しやすいため、回転機械1において可動シール部材20が安定的に動作する状態を維持しやすい。すなわち、回転機械1におけるシール装置10の安定的な動作を維持しやすい。
また、上述の実施形態では、可動シール部材20は、付勢部材60によって、静止部4の溝5に収容される保持部材30に対して径方向外側に向かって付勢される。このように、付勢部材60によって、可動シール部材20に径方向外向きの力が与えられるため、回転機械1の運転状態に応じて可動シール部材20が径方向に沿って円滑に移動することができる。
また、上述の実施形態では、頭部52及び軸部54(ボルト部)50を介して、可動シール部材20が径方向に移動可能に保持部材30に支持されるとともに、頭部52と保持部材30の内壁面(面37)との間に設けられる付勢部材60によって、頭部52及び軸部54(ボルト部50)を介して可動シール部材20に径方向外側向きの力が与えられる。このように、頭部52及び軸部54(ボルト部50)を用いた簡素な構成で、可動シール部材20を径方向に沿って移動可能に支持しながら、径方向外向きの付勢力を可動シール部材20に与えることができる。
また、従来のシール装置(即ち、保持部材を含まないシール装置)では、可動シール部材を径方向外側に向かって付勢するための付勢部材が径方向にて可動シール部材と静止部材との間に設けられる。このため、シール装置の回転機械への設置時において、可動シール部材を溝に周方向に沿って挿入することが、付勢部材に与えられるプリロード(径方向に沿った力)によって阻害される場合があった。
この点、上述の実施形態では、可動シール部材20が保持部材30によって支持されるとともに、可動シール部材20を径方向外側に向かって付勢するための付勢部材60が保持部材30に収容されている。したがって、可動シール部材20及び付勢部材60を保持部材30に組付けた状態で、保持部材30を静止部4の溝5に周方向に挿入することで、可動シール部材20を含むシール装置10を回転機械1に設置することができる。したがって、付勢部材60に比較的大きなプリロードを与えた状態であっても、該プリロードによってシール装置10の溝への挿入を阻害されることなく、シール装置10を回転機械1に円滑に設置することができる。
図4及び図5は、それぞれ、一実施形態に係るシール装置10の摺動部(保持部材30の突出部34及び可動シール部材20の一部)の模式的な拡大図である。図4及び図5に示すように、幾つかの実施形態では、シール装置10は、可動シール部材20の摺動面22、又は、保持部材30の突出部34の対向面35の少なくとも一方に設けられ、摺動面22と対向面35との摩擦を低減するための摩擦低減部63を備える。
上述の実施形態によれば、可動シール部材20の摺動面22又は保持部材30の対向面35の少なくとも一方に、摺動面22と対向面35との摩擦を低減するための摩擦低減部63(後述のコーティング部64,66又はテクスチャリング部68等)を設けたので、保持部材30又は可動シール部材20を交換しなくても、摺動部の表面を、より長期にわたり所期の状態に維持することができる。また、可動シール部材20及び保持部材30は、静止部4を構成する静止部材に比べて小型であるため、コーティング、テクスチャリング、又は表面硬化処理(ブラスト又はショットピーニング等)等の処理を施しやすく、摩擦低減部63を設けやすい。よって、摺動部の表面をより一層所期の状態に維持しやすいため、回転機械1において可動シール部材20が安定的に動作する状態をより一層維持しやすくなる。
図4に示す例示的な実施形態では、摩擦低減部63は、可動シール部材20の摺動面22の少なくとも一部に設けられたコーティング部64と、突出部34の対向面35の少なくとも一部に設けられたコーティング部66と、を含む。幾つかの実施形態では、摩擦低減部63は、可動シール部材20の摺動面22又は突出部34の対向面35の一方に設けられたコーティング部を含んでもよい。
可動シール部材20の摺動面22又は突出部34の対向面35に設けられるコーティング部は、水、炭化水素、クロロホルム又は四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリルなどのシアン化炭化水素、アセトン等のケトン類、ジオキサン等のエーテル類、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、又は、メタノール又はグリセリン等のアルコール類を含む材料から形成されていてもよい。あるいは、上述のコーティング部は、例えば窒化ホウ素等の固体潤滑剤を含んでもよい。
図4に示すように可動シール部材20の摺動面22及び突出部34(保持部材30)の対向面35の両方にコーティング部64,66が設けられる場合、コーティング部66,66は、硬質コーティング材を含む材料から形成されてもよい。硬質コーティング材は、T800等のCo-Cr-Mo系合金又はクロムカーバイドであってもよい。
図5に示す例示的な実施形態では、摩擦低減部63は、可動シール部材20の摺動面22の少なくとも一部に設けられたテクスチャリング部68を含む。テクスチャリング部68は、摺動面22に設けられた微細な凹凸を含んでもよい。幾つかの実施形態では、摩擦低減部63は、突出部34の対向面35に設けられたテクスチャリング部(微細な凹凸)を含んでもよい。
幾つかの実施形態では、摩擦低減部63は、可動シール部材20の摺動面22又は突出部34の対向面35の一方に設けられたコーティング部と、可動シール部材20の摺動面22又は突出部34の対向面35の他方に設けられたテクスチャリング部を含んでもよい。
幾つかの実施形態では、摩擦低減部63は、可動シール部材20の摺動面22の少なくとも一部に設けられた表面硬化処理部(不図示)を含んでもよい。表面硬化処理部は、可動シール部材20の摺動面22の少なくとも一部をブラスト処理又はショットピーニング処理することで得られるものであってもよい。ブラスト処理又はショットピーニング処理等の表面硬化処理が施された表面は、このような処理がされていない表面に比べて硬くなり、より小さい摩擦係数を有する。
(シール装置の取付方法)
幾つかの実施形態では、可動シール部材20を保持部材30に組付けた状態で、静止部4に設けられた溝5に保持部材30を周方向に沿って挿入することで、シール装置10を回転機械1に取り付けることができる。
このように、可動シール部材20を保持部材30に組付けた状態で、保持部材30を静止部4の溝5に周方向に沿って挿入することで、可動シール部材20を含むシール装置10を回転機械1に適切に設置することができる。
幾つかの実施形態では、回転機械1の静止部4の溝5(周方向に沿って延びる溝)に設けられていた既存のシール装置を取り外し、その後、既存のシール装置とは別の可動シール部材20を保持部材30に組付けた状態で、溝5(既存のシール装置が設けられていた溝)に保持部材30を周方向に沿って挿入してシール装置10を取り付けてもよい(即ち、シール装置を交換してもよい)。既存のシール装置は、上述の実施形態に係るシール装置10でなくてもよく、例えば、保持部材を含まず、可動シール部材が保持部材に保持されていないシール装置であってもよい。
幾つかの実施形態では、既存の回転機械1の静止部4に周方向に沿って延びる溝5を加工し、その後、可動シール部材20を保持部材30に組付けた状態で、静止部4に加工した溝5に保持部材30を周方向に沿って挿入してシール装置10を取り付けてもよい(即ち、回転機械を改造してもよい)。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置(10)は、
回転機械(1)の径方向にて前記回転機械の回転部(2)と静止部(4)との間に設けられるシール部材(例えば上述の可動シール部材20)と、
周方向に沿って延びるように前記静止部に設けられた溝(5)に少なくとも部分的に収容され、前記シール部材を前記径方向に沿って移動可能に支持するための保持部材(30)と、
を備え、
前記保持部材は、
前記溝に収容される基部(32)と、
前記基部から径方向内側に向かって突出する突出部(34)と、を有し、
前記シール部材は、軸方向にて前記突出部に隣接して前記突出部と摺動可能な摺動面(22)を有する。
上記(1)の構成では、静止部に設けられた溝に収容される保持部材の突出部と、径方向に移動可能に保持部材に支持されるシール部材の摺動面とが軸方向において互いに隣接する。したがって、シール部材が径方向に沿って移動するとき、シール部材の摺動面と、保持部材の突出部とが互いに摺動する。このため、摺動部(シール部材の摺動面及び保持部材の突出部)に摩耗が生じた場合には、保持部材及び/又はシール部材を交換することで、摺動部の表面を所期の状態に維持することができる。このように摺動部の表面を所期の状態に維持しやすいため、回転機械において可動シール部材が安定的に動作する状態を維持しやすい。すなわち、回転機械におけるシール装置の安定的な動作を維持しやすい。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記シール装置は、
前記保持部材に収容され、前記シール部材を前記保持部材に対して前記径方向に沿って径方向外側に向かって付勢するように構成された付勢部材(60)を備える。
上記(2)の構成によれば、シール部材は、付勢部材によって、静止部の溝に収容される保持部材に対して径方向外側に向かって付勢される。これにより、シール部材に径方向外向きの力が与えられ、回転機械の運転状態に応じてシール部材が径方向に沿って円滑に移動することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記保持部材に収容される頭部(52)と、
前記径方向に沿って延在し、前記頭部と前記シール部材とを接続する軸部(54)と、
をを備え、
前記付勢部材は、前記頭部の前記径方向内側を向く面(53)と、前記保持部材の内壁面のうち径方向外側を向く面(37)との間に設けられる。
上記(3)の構成によれば、頭部及び軸部を介して、シール部材が径方向に移動可能に保持部材に支持されるとともに、頭部と保持部材の内壁面との間に設けられる付勢部材によって、頭部及び軸部を介してシール部材に径方向外側向きの力が与えられる。このように、頭部及び軸部を用いた簡素な構成で、シール部材を径方向に沿って移動可能に支持しながら、径方向外向きの付勢力をシール部材に与えることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記シール部材は、前記軸方向において、前記回転機械のうち高圧流体が流れる高圧部(6)と、前記高圧流体よりも低圧の低圧流体が流れる低圧部(8)との間に設けられ、
前記保持部材の前記突出部は、前記軸方向において、前記シール部材の前記摺動面よりも前記低圧部寄りに位置する。
回転機械の運転時には、高圧部と低圧部との圧力差によって、軸方向にて高圧部側から低圧部側へ向かう力がシール部材に加わる。この点、上記(4)の構成によれば、保持部材の突出部がシール部材の摺動面よりも低圧部寄りに位置するので、回転機械の運転時には、シール部材が保持部材の突出部に向けて押し付けられた状態で、シール部材と保持部材とが摺動することになる。このように、保持部材に押し付けられた状態のシール部材と保持部材とが摺動する場合であっても、上記(1)で述べたように、摺動部の表面を所期の状態に維持しやすいため、回転機械において可動シール部材が安定的に動作する状態を維持しやすい。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記シール部材は、前記軸方向において、前記回転機械のうち高圧流体が流れる高圧部と、前記高圧流体よりも低圧の低圧流体が流れる低圧部との間に設けられ、
前記シール部材は、前記高圧部からの流体の圧力が作用する外周面(20b)を有する。
上記(5)の構成によれば、シール部材は、高圧部からの流体の圧力が作用する外周面を有するので、回転機械の運転時に、高圧部からの流体の圧力がシール部材の外周面に作用する。これにより、シール部材に径方向内向きの力が与えられ、回転機械の運転状態に応じてシール部材が径方向に沿って円滑に移動することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記シール装置は、
前記シール部材の前記摺動面、又は、前記突出部のうち前記摺動面に対向して該摺動面と摺動する対向面の少なくとも一方に設けられ、前記摺動面と前記対向面との摩擦を低減するための摩擦低減部(63)を備える。
上記(6)の構成によれば、シール部材の摺動面又は保持部材の対向面の少なくとも一方に、摺動面と対向面との摩擦を低減するための摩擦低減部を設けたので、保持部材又はシール部材を交換しなくても、摺動部の表面を、より長期にわたり所期の状態に維持することができる。よって、摺動部の表面をより一層所期の状態に維持しやすいため、回転機械において可動シール部材が安定的に動作する状態をより一層維持しやすくなる。
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る回転機械(1)は、
回転部(2)及び静止部(4)と、
前記回転部と前記静止部との間の流体の漏れを低減するための上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載のシール装置(10)と、
を備える。
上記(7)の構成では、静止部に設けられた溝に収容される保持部材の突出部と、径方向に移動可能に保持部材に支持されるシール部材の摺動面とが軸方向において互いに隣接する。したがって、シール部材が径方向に沿って移動するとき、シール部材の摺動面と、保持部材の突出部とが互いに摺動する。このため、摺動部(シール部材の摺動面及び保持部材の突出部)に摩耗が生じた場合には、保持部材及び/又はシール部材を交換することで、摺動部の表面を所期の状態に維持することができる。このように摺動部の表面を所期の状態に維持しやすいため、回転機械において可動シール部材が安定的に動作する状態を維持しやすい。すなわち、回転機械におけるシール装置の安定的な動作を維持しやすい。
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係るシール装置の取付方法は、
回転部及び静止部を備える回転機械に上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載のシール装置を取り付けるための取付方法であって、
前記シール部材を前記保持部材に組付けた状態で、前記保持部材を前記静止部に設けられた前記溝に周方向に沿って挿入するステップ
を備える。
上記(8)の構成によれば、シール部材を保持部材に組付けた状態で、保持部材を静止部の溝に周方向に沿って挿入することで、シール部材を含むシール装置を回転機械に適切に設置することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 回転機械
2 回転部
4 静止部
4a 内周面
5 溝
6 高圧部
7 軸方向突出部
8 低圧部
10 シール装置
20 可動シール部材
20a 内周面
20b 外周面
21 隙間
22 摺動面
24 シールフィン
26 ねじ孔
28 係合部
30 保持部材
31 収容空間
32 基部
33 孔
34 突出部
35 対向面
36 当接部
37 面
40 固定シール部材
42 付勢部材
50 ボルト部
52 頭部
53 面
54 軸部
56 ねじ
60 付勢部材
62 皿ばね
63 摩擦低減部
64 コーティング部
66 コーティング部
68 テクスチャリング部
O 中心軸

Claims (7)

  1. 回転機械の径方向にて前記回転機械の回転部と静止部との間に設けられるシール部材と、
    周方向に沿って延びるように前記静止部に設けられた溝に少なくとも部分的に収容され、前記シール部材を前記径方向に沿って移動可能に支持するための保持部材と、
    を備え、
    前記保持部材は、
    前記溝に収容される基部と、
    前記基部から径方向内側に向かって突出する突出部と、を有し、
    前記シール部材は、軸方向にて前記突出部に隣接して前記突出部と摺動可能な摺動面を有し、
    前記保持部材に収容され、前記シール部材を前記保持部材に対して前記径方向に沿って径方向外側に向かって付勢するように構成された付勢部材を備える
    シール装置。
  2. 前記保持部材に収容される頭部と、
    前記径方向に沿って延在し、前記頭部と前記シール部材とを接続する軸部と、
    を備え、
    前記付勢部材は、前記頭部の前記径方向内側を向く面と、前記保持部材の内壁面のうち径方向外側を向く面との間に設けられる
    請求項に記載のシール装置。
  3. 前記シール部材は、前記軸方向において、前記回転機械のうち高圧流体が流れる高圧部と、前記高圧流体よりも低圧の低圧流体が流れる低圧部との間に設けられ、
    前記保持部材の前記突出部は、前記軸方向において、前記シール部材の前記摺動面よりも前記低圧部寄りに位置する
    請求項1又は2に記載のシール装置。
  4. 前記シール部材は、前記軸方向において、前記回転機械のうち高圧流体が流れる高圧部と、前記高圧流体よりも低圧の低圧流体が流れる低圧部との間に設けられ、
    前記シール部材は、前記高圧部からの流体の圧力が作用する外周面を有する
    請求項1又は2に記載のシール装置。
  5. 前記シール部材の前記摺動面、又は、前記突出部のうち前記摺動面に対向して該摺動面と摺動する対向面の少なくとも一方に設けられ、前記摺動面と前記対向面との摩擦を低減するための摩擦低減部を備える
    請求項1又は2に記載のシール装置。
  6. 回転部及び静止部と、
    前記回転部と前記静止部との間の流体の漏れを低減するための請求項1又は2に記載のシール装置と、
    を備える回転機械。
  7. 回転部及び静止部を備える回転機械にシール装置を取り付けるための取付方法であって、
    前記シール装置は、
    前記回転機械の径方向にて前記回転部と前記静止部との間に設けられるシール部材と、
    周方向に沿って延びるように前記静止部に設けられた溝に少なくとも部分的に収容され、前記シール部材を前記径方向に沿って移動可能に支持するための保持部材と、
    を備え、
    前記保持部材は、
    前記溝に収容される基部と、
    前記基部から径方向内側に向かって突出する突出部と、を有し、
    前記シール部材は、軸方向にて前記突出部に隣接して前記突出部と摺動可能な摺動面を有し、
    前記シール部材を前記保持部材に組付けた状態で、前記保持部材を前記静止部に設けられた前記溝に周方向に沿って挿入するステップ
    を備えたシール装置の取付方法。
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