以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
〔農作業支援システム1の構成〕
図1は、農作業支援システム1の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、農作業支援システム1は、草刈機(作業機体)10と、依頼者端末20と、作業者端末30と、固定撮像装置40と、サーバ50と、を備えている。
農作業支援システム1によれば、依頼者端末20を操作する農作業の依頼者は、作業者端末30を有する作業支援者のうち、農作業の実施に適した作業支援者に農作業を依頼できる。作業支援者とは、農作業の依頼を受諾して、草刈機10等の作業機体の監視および遠隔操作により農作業を実施可能な者である。したがって、作業支援者は、実際に農作業が行われる土地の近傍に居住している必要はない。
本発明における「農作業」という用語の意味は、農作物等の生産に関わる作業だけでなく、農作物等の生産に寄与しないものの農業に関連するもの、例えば、畦畔または法面の草刈り等の圃場の外での作業の意味も含み得る。すなわち、農作業支援システム1により実施される農作業には、農作物を生産するための作業に加え、農作物の生産には直接関わらない農業に関連する作業についても含まれる。農作業としては、例えば、農作物の生産に関わる圃場内等における播種、定植、管理または収穫等の作業、圃場周囲における草刈りまたは水管理等の作業、および、圃場管理に必要な種子、農薬、肥料または作業履歴等の各種記録簿等の作成の作業が挙げられる。
依頼を受けた作業支援者は、草刈機10の監視および遠隔操作により農作業を実施する。このとき、農作業支援システム1は、草刈機10に何らかのトラブルがあり、作業支援者による復旧が困難な場合でも、現地要員等に通知することで適切に対処できる。また、農作業支援システム1は、作業支援者に対する適切な報酬を決定できる。
本明細書では、依頼者が依頼する農作業を「対象農作業」と、対象農作業が行われる土地を「作業範囲」と、依頼を受けて農作業を行う作業支援者を「遠隔作業者」と、それぞれ称する場合がある。また、本明細書で単に「依頼者」という場合は、農作業支援システム1を用いて農作業を依頼する依頼者を意図する。
(草刈機10)
草刈機10は、対象農作業の作業範囲を移動し、草刈り等の農作業をする作業機体である。草刈機10は、遠隔操作による動作の遠隔制御が可能であるとともに、自律動作が可能である。ここで、「遠隔操作による動作」とは、遠隔作業者が行う遠隔操作による動作に加え、草刈機10が、サーバ50等の他の制御装置からの信号による動作等、人を介さない態様での遠隔操作による動作も含む。すなわち、サーバ50は、草刈機10を遠隔操作する遠隔操作装置であってもよい。草刈機10は、作業範囲の各位置における地形情報を取得するエリア情報取得装置としても機能してもよい。
草刈機10は、機体制御装置11、機体撮像装置12、位置取得装置13、状態検知センサ14および機体通信装置19を備える。
機体撮像装置12は、草刈機10の周囲(例えば草刈機10が移動する予定の範囲)を撮像し、画像データを生成する。機体撮像装置12は、画像データを機体制御装置11に出力する。
位置取得装置13は、草刈機10の位置を取得する。例えば、位置取得装置13は、GNSS(全地球航法衛星システム)等の衛星測位システムを利用して草刈機10の位置を取得する。位置取得装置13は、草刈機10の位置を示す位置情報を機体制御装置11に出力する。なお、草刈機10は、位置取得装置13を備えなくてもよい。例えば、草刈り機10が、一端が作業範囲またはその周辺の所定の位置に固定されている紐を繰り出す構造を有しており、当該紐の長さから、作業範囲における草刈機10の位置を簡易的に取得できる構成であってもよい。
状態検知センサ14は、草刈機10の状態を検知するセンサである。草刈機10は、状態検知センサ14として例えば、加速度を測定する加速度センサ、草刈機10の傾斜角度を測定する、ジャイロスコープ等の傾斜センサ等を備えていてよい。状態検知センサ14は、検知結果を機体制御装置11に出力する。
機体制御装置11は、草刈機10の各部の動作を統括して制御する。機体制御装置11は、例えば、遠隔作業者が遠隔操作する作業者端末30の指示(移動指示および動作指示)に従って、草刈機10の移動および草刈り動作を制御する。また、機体制御装置11は、草刈機10の自律動作を制御してもよい。機体制御装置11は、遠隔作業者からの遠隔操作を受け付ける遠隔制御モードと、機体制御装置11自体またはサーバ50からの制御による自律動作を行う自律動作モードと、を切り替える機能を有していてもよい。
機体通信装置19は、サーバ50と通信する。機体通信装置19は、依頼者端末20および作業者端末30と通信してもよい。
草刈機10は、遠隔操作による動作の遠隔制御を受け付けず、完全な自律動作を行う作業機体であってもよい。また、農作業を行う作業機体は草刈機10に限られず、あらゆる種類の農作業を行うものであってよい。例えば、農作業を行う作業機体は、設置位置が固定された液肥混合装置または液肥散布装置等の、作業範囲を移動しないものであってもよい。
(依頼者端末20)
依頼者端末20は、依頼者が利用する通信端末である。依頼者端末20は、第1端末制御装置21、第1タッチパネル22および第1端末通信装置29を備える。
第1端末制御装置21は、依頼者端末20の各部の処理を統括的に制御する。第1タッチパネル22は、依頼者の指示を受け付ける入力装置と、画像を表示する表示装置とを兼ねる。第1端末通信装置29は、サーバ50と通信する。
依頼者端末20は、スマートフォンおよびノートパソコン等の携帯端末であってもよく、パーソナルコンピュータ等の固定端末であってもよい。
(作業者端末30)
作業者端末30は、作業支援者が利用する通信端末である。作業者端末30は、第2端末制御装置31、第2タッチパネル33および第2端末通信装置39を備える。
第2端末制御装置31は、作業者端末30の各部の処理を統括的に制御する。第2端末制御装置31は、機体制御部32を含む。機体制御部32は、遠隔作業者による第2タッチパネル33を用いた入力に基づいて、草刈機10の動作を制御する信号を出力する。
第2タッチパネル33は、作業支援者の指示を受け付ける入力装置と、画像を表示する表示装置とを兼ねる。第2端末通信装置39は、サーバ50と通信する。また、第2端末通信装置39は、草刈機10と直接的に通信してもよい。
作業者端末30は、スマートフォンおよびノートパソコン等の携帯端末であってもよく、パーソナルコンピュータ等の固定端末であってもよい。なお、作業者端末30は、機体制御部32による草刈機10の遠隔操作機能を有するが、これに限られない。例えば、農作業支援システム1は、草刈機10を遠隔操作可能なリモコン等の別に備えていてもよく、この場合、作業者端末30は機体制御部32を含まなくてもよい。また、草刈機10が、遠隔操作による動作の遠隔制御を受け付けず、完全な自律動作を行う作業機体である場合も、作業者端末30は機体制御部32を含まなくてよい。
(固定撮像装置40)
固定撮像装置40は、対象農作業の作業範囲の全体または一部を撮像し、画像データを生成する。固定撮像装置40は、サーバ50と通信可能であり、サーバ50に画像データを出力する。固定撮像装置40は、作業者端末30と通信して作業者端末30に直接的に画像データを出力してもよい。固定撮像装置40は、特定の範囲を撮像する撮像装置であってもよく、360°カメラ等の全方位を撮像する撮像装置であってもよい。
なお、農作業支援システム1は、固定撮像装置40ではなく、移動型の撮像装置を備えていてもよい。移動型の撮像装置とは、例えば、作業範囲およびその周辺を走行可能な移動機体に設けられた撮像装置であってもよく、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)等の飛行機体に設けられた撮像装置であってもよく、小型衛星に設けられた撮像装置であってもよい。このような移動型の撮像装置による移動は、自律的に制御されてもよく、操作者の遠隔操作により制御されてもよい。
また、草刈機10が機体撮像装置12を備える場合、農作業支援システム1は、固定撮像装置40を有していなくてもよい。同様に、農作業支援システム1が固定撮像装置40を有している場合、草刈機10は、機体撮像装置12を有していなくてもよい。本実施形態のように、農作業支援システム1が、草刈機10の機体撮像装置12と固定撮像装置40との両方を有する場合、農作業を実施する遠隔作業者は、複数の視点を用いて草刈機10の監視および遠隔操作を行うことができる。
(サーバ50)
サーバ50は、農作業支援システム1の情報を統括的に処理する情報処理装置である。サーバ50は、サーバ制御装置51、サーバ記憶装置52およびサーバ通信装置59を備える。
サーバ記憶装置52は、サーバ50に関する各種データを記憶する記憶装置である。サーバ記憶装置52には、データベース53が記憶されている。データベース53には、作業支援者の支援者情報および草刈機10等の作業機体の機体情報がそれぞれ複数登録されくともいずれかである情報が複数登録されていればよい。
支援者情報には、作業支援者の登録番号、年齢等の個人情報、過去の遠隔操作による農作業履歴、過去に依頼者から受けた評価、作業機体ごとの遠隔操作の熟練度、作業可能な日時および希望報酬内容等の情報が含まれていてよい。また、機体情報には、作業機体の種類、年式、実施可能な農作業、考えられるトラブルの種類、過去に発生したトラブル履歴、自律動作性能および遠隔制御の可否等の情報が含まれていてよい。
作業支援者の、作業機体ごとの遠隔操作の熟練度の情報は、例えば、作業機体ごとの作業支援者の運転回数、運転時間およびトラブルからの復旧回数等の、作業支援者による作業機体の使用履歴情報であってよい。また、熟練度の情報には、過去に作業支援者によって農作業が行われた作業範囲ごとにそれぞれ生成される、各作業範囲に対する熟練度の情報が含まれていてもよい。また、熟練度の情報には、作業支援者による、作業機体または対象農作業についての講習会等の受講履歴が含まれていてもよい。
作業機体の自律動作性能とは、作業機体がどの程度の自律動作が可能かを示す情報である。例えば、(a)全ての作業について自律動作により実施可能である、(b)一部の農作業のみ自律動作により実施可能である、(c)移動は自律動作により実施可能だが、実質的な農作業は遠隔操作が必要である、等の情報が、自律動作性能として登録されてよい。また、自律動作性能にはさらに、自律動作により実施可能な作業についての作業精度および作業速度を示す情報が含まれていてもよい。
また、データベース53には、対象農作業の農作業情報が登録されている。対象農作業の農作業情報には、依頼者が入力した対象農作業の内容、対象農作業の作業期間、対象農作業の作業範囲の土地情報、過去の農作業履歴、過去に発生したトラブルの履歴等の情報、等が含まれていてよい。作業範囲の土地情報には、当該作業範囲の画像データ、傾斜および曲率等の地形情報ならびに作業機体ごとの適性指標が含まれていてよい。適正指標とは、草刈機10等の作業機体の、作業範囲に対する適性(例えば、作業範囲に対し作業機体を適切に使用可能か)を示す指標である。
また、データベース53には、依頼者が入力した遠隔作業者の評価、トラブルが発生した場合の緊急連絡先の情報等が含まれていてもよい。また、データベース53は、サーバ通信装置59を介してサーバ50が取得した天候情報を含んでいてもよい。天候情報には、過去の天気の情報と、天気予報情報とが含まれていてよい。
なお、ここではデータベース53に各種情報が登録されている例を示している。しかし、例えば、サーバ記憶装置52は複数のデータベースを含み、支援者情報、機体情報および農作業情報等の情報が、情報の種類ごとにそれぞれ異なるデータベースに登録されていてもよい。
サーバ通信装置59は、草刈機10、依頼者端末20、作業者端末30および固定撮像装置40と通信する。すなわち、サーバ50は、農作業支援システム1が備える他の装置と送受信可能に構成されている。サーバ50と、農作業支援システム1が備える他の装置との送受信は、無線であってもよく、有線であってもよい。サーバ50は、当該通信により草刈機10の遠隔操作を行うものであってもよい。
サーバ制御装置51は、選択処理部60と、遠隔制御処理部70と、報酬決定処理部80と、を含む。サーバ制御装置51は、農作業支援システム1を制御する制御装置であり、農作業支援装置ともいえる。
(選択処理部60)
選択処理部60は、登録情報取得部61と、候補抽出部62と、作業時間推定部63と、依頼対象選択部64と、を含む。
登録情報取得部61は、データベース53から、支援者情報および機体情報を取得する。ここで取得される機体情報は、草刈機10に限られず、データベース53に登録された複数の作業機体の機体情報であってよい。登録情報取得部61は、支援者情報および機体情報のいずれかのみを取得してもよい。
登録情報取得部61は、依頼者が依頼する対象農作業の農作業情報も取得する。また、登録情報取得部61は、データベース53に記憶された天候情報を取得してもよい。
候補抽出部62は、対象農作業の農作業情報と支援者情報とを照らし合わせることにより、対象農作業の依頼対象となり得る作業支援者を候補として抽出する。また、候補抽出部62は、対象農作業の農作業情報と機体情報とを照らし合わせて、対象農作業の依頼対象となり得る作業機体を候補として抽出してもよい。この場合、候補として抽出される作業機体は、遠隔操作を必要としない、完全な自律動作が可能な作業機体であることが好ましい。
また、候補抽出部62は、登録情報取得部61が天候情報を取得した場合、天候情報を用いて、作業期間のうち対象農作業を実施可能な日時を推定し、当該推定の結果を候補の抽出に用いてもよい。例えば、候補抽出部62は、作業期間から、大雨等の対象農作業の実施に不適切な天候が予報されている日時を除いてもよい。また、候補抽出部62は、対象農作業の実施にぬかるんだ地面が適さない場合には、降雨が予報されている日およびその後の数日を作業期間から除いてもよい。また、候補抽出部62は、対象農作業が播種または液肥散布等の、作業完了後も晴天である必要がある農作業である場合、降雨が予報されている日およびその前日を作業期間から除いてもよい。
また、候補抽出部62は、対象農作業の実施に、晴天が複数日にわたって連続する必要がある場合には、晴天が連続する期間を作業期間として指定してもよい。このような農作業としては、例えば、「耕うん-施肥/薬剤散布-播種-覆土」、「耕うん-畝立て-マルチ」、「除草剤散布-収穫」、「収穫(バインダー)-はざかけ」、「牧草の刈倒し-乾燥-反転」等が挙げられる。また、まとまった収量を得る目的で、近隣の複数の圃場の収穫を一括して行う場合も、晴天が連続することが好ましい。
さらに、候補抽出部62は、対象農作業が、殺菌剤の散布等の降雨後に必要となる農作業である場合、作業期間のうち、降雨が予報される日の翌日のみを候補の抽出に用いてもよい。
なお、候補抽出部62は、依頼対象選択部64が複数の依頼対象を選択することを前提に候補を抽出してもよい。これは例えば、複数の作業機体を用いて、分業により農作業が行われる場合である。この場合、候補抽出部62は、複数の作業機体に対して、それぞれ異なる作業支援者が依頼対象として選択可能となるように、作業機体ごとにそれぞれ複数の候補を抽出してもよい。このとき、候補抽出部62は、作業機体ごとに好ましい天候が異なる場合は、作業機体ごとに、対象農作業の内容と天候および作業期間とを考慮して、それぞれ候補を抽出してもよい。また、複数の作業機体による農作業が、単一の作業支援者に依頼される予定の場合は、候補抽出部62は、作業期間のうち、複数の作業機体の全てがそれぞれ農作業を実施可能な天候となる日時のみを候補の抽出に用いてもよい。
このような構成によれば、候補抽出部62は、天候の影響も踏まえて対象農作業を実施可能な日時を推定できる。そのため、推定された日時に対象農作業を実施可能な作業支援者を候補として抽出できる。したがって、選択処理部60が選択した依頼対象が、天候の影響により対象農作業を実施できなくなることを防止できる。
作業時間推定部63は、抽出された候補ごとに、対象農作業に要する作業時間を推定する。作業時間推定部63は、候補が作業支援者である場合は、支援者情報に含まれる遠隔操作の熟練度を用いて作業時間を推定する。例えば、対象農作業と同種または類似の農作業を未経験である者の平均的な作業時間を基準として、熟練度が高いほど作業速度が速いと仮定し、作業時間を短く推定してよい。
平均的な作業時間の基準は、対象農作業の農作業情報に含まれる、過去の農作業履歴から算出されてよい。また、対象農作業と同種の農作業について過去の農作業履歴が存在しない場合には、類似の農作業についての過去の作業履歴から、平均的な作業時間の基準が算出されてもよい。また、依頼者が、作業時間の基準を依頼時にデータベース53に登録してもよい。
また、作業時間推定部63は、農作業情報に含まれる土地情報から作業範囲の面積を抽出して、作業時間の推定に用いてもよい。例えば、作業時間推定部63は、作業範囲の面積が広いほど、作業時間を長く推定してよい。このような構成によれば、作業時間推定部63は、作業範囲の面積を考慮しない場合と比較して、より正確に候補ごとの作業時間を推定できる。
また、作業時間推定部63は、作業範囲の土地情報に含まれる地形情報を、作業時間の推定に用いてもよい。例えば、作業時間推定部63は、作業範囲の曲率および傾斜角度の情報から、作業範囲の地形の起伏が大きいほど、作業時間を長く推定してよい。
作業時間推定部63は、候補が作業機体である場合は、機体情報に含まれる自律動作性能を用いて、対象農作業に要する作業時間を推定する。作業時間推定部63は、例えば、候補となる作業機体が自律動作により実施可能な作業が多いほど、または、自律動作により実施可能な作業の作業速度が速いほど、作業時間を短く推定してよい。
依頼対象選択部64は、少なくとも推定された作業時間に基づいて、候補の中から対象農作業の依頼対象を選択する。依頼対象選択部64は、例えば、推定された作業時間が最も短い候補を依頼対象として選択してよい。また、依頼対象選択部64は、作業時間以外にも、支援者情報に含まれる、候補の作業可能な日時、過去に依頼者から受けた評価、他に受注している農作業の有無等に基づいて、依頼対象を選択してもよい。依頼対象選択部64は、例えば、作業時間が所定の時間よりも長い候補を除いた上で、過去に依頼者から受けた評価が高い候補を優先的に依頼対象として選択してもよい。
このように、選択処理部60は、対象農作業の農作業情報から候補を抽出する。そして、選択処理部60は、依頼対象の選択には、候補ごとの、作業支援者の遠隔操作の熟練度または作業機体の自律動作性能から推定した作業時間を用いる。したがって、選択処理部60は、対象農作業の作業内容に最適な候補を依頼対象として選択できる。
(遠隔制御処理部70)
遠隔制御処理部70は、土地情報取得部71と、作業管理部72と、を含む。
土地情報取得部71は、データベース53に登録された、対象農作業の土地情報を含む農作業情報を取得する。なお、遠隔制御処理部70が、登録情報取得部61が取得した農作業情報を取得可能な場合、土地情報取得部71は省略可能である。
作業管理部72は、作業機体の監視およびトラブル処理を実行する。作業管理部72は、監視処理部73と、トラブル処理部74と、を含む。
監視処理部73は、対象農作業を実行する作業支援者である遠隔作業者による遠隔操作での、草刈機10の作業状況を取得する。監視処理部73は、草刈機10の機体撮像装置12および/または固定撮像装置40が取得する画像データを、草刈機10の作業状況を示す情報として取得してよい。また、監視処理部73は、草刈機10の状態検知センサ14の検知結果を、草刈機10の作業状況を示す情報として取得してもよい。
なお、対象農作業が、遠隔操作を必要とせず完全な自律動作が可能な草刈機10により実施される場合にも、監視処理部73は、遠隔作業者による遠隔操作が行われる場合と同様に、草刈機10の作業状況を取得する。
監視処理部73は、対象農作業において発生したトラブルの履歴情報を蓄積してもよい。例えば、監視処理部73は、トラブルの履歴情報を、作業範囲の土地情報または対象農作業に用いられる草刈機10の機体情報に含める形式でデータベース53に登録してもよい。トラブルについては後述する。
トラブル処理部74は、対象農作業においてトラブルが発生した場合に、遠隔作業者またはサーバ50による遠隔操作または草刈機10の自律動作によって当該トラブルからの復旧が可能であるか否かを判定する。
トラブルとは、草刈機10による対象農作業の実施を妨げる、あらゆる事象が含まれてよい。トラブルの例としては、草刈機10の故障等による動作不良、草刈機10の横転等によるスタック、草刈機10の走行不可箇所の検知等が挙げられる。また、草刈機10以外の作業機体でのトラブルの例として、液肥混合装置で、肥料と溶液との混合割合が規定外となった場合、ならびに、液肥散布装置で、目詰まり等で液肥が散布できない場合および液肥を規定量散布した後も散布を停止できない場合等が挙げられる。
また、トラブルの例において、液肥散布装置が散布できない場合には、液肥の残量が作業途中で不足する場合も想定される。この場合、トラブルからの復旧としては、散布を継続するために液肥を補充してもよい。また、規定量を超える液肥を散布していると判定される場合は、散布を停止して、未散布の範囲を特定してもよい。規定量を超える液肥を散布している場合とは、例えば、液肥のバルブ制御にトラブルがあり、想定よりも早く液肥が消費される場合である。バルブ制御による液肥の散布量は、バルブ開度に加え、気圧、水圧、草刈機10の移動速度等が関係する。そのため、バルブ制御のトラブルとしては、バルブのゆるみの他、散布と草刈機10の速度との連動設定値および液肥の噴出量設定値等が誤っている場合等が考えられる。なお、散布装置が散布するのは液肥に限られず、例えば農薬等であってもよい。
トラブルの種類は、予めデータベース53に登録されていることが好ましい。また、トラブル処理部74は、データベース53に登録されていない種類のトラブルであっても、トラブルの発生を検知できることが好ましい。例えば、トラブル処理部74は、対象農作業の農作業情報と草刈機10の作業状況とを比較して、草刈機10が対象農作業の予定にはない停止等の動作をした場合に、トラブルの発生として検知してもよい。
トラブル処理部74は、トラブルからの復旧の可否について、土地情報または機体情報に含まれる、過去に発生したトラブルの履歴情報に、同種のトラブルに関する情報が含まれていれば、そこから復旧の可否を判定してよい。例えば、トラブルの履歴情報に、草刈機10で同種のトラブルが発生したときに自律動作または遠隔操作によって復旧した事例が含まれていれば、トラブル処理部74は、復旧可能と判定してよい。また、トラブル処理部74は、草刈機10が走行不可箇所の前で停止した場合に、土地情報に、当該走行不可箇所を回避可能な別の進行ルートの情報が含まれていれば、復旧可能と判定してよい。
トラブル処理部74は、トラブルの履歴情報から、自律動作または遠隔操作では復旧不可と判定した場合、または、トラブルの履歴情報に含まれていない種類のトラブルが発生した場合に、トラブルからの復旧が不可能と判定してよい。トラブル処理部74は、トラブルからの復旧が不可能と判定した場合に、対象農作業に関連付けられた緊急連絡先に救援要請を通知する。
緊急連絡先は、対象農作業が行われる作業範囲を担当する、対象農作業のトラブル対応を行う現地要員であってもよく、当該作業範囲が含まれるエリアの緊急対応チーム等であってもよい。現地要員は、対象農作業の依頼者であってもよく、依頼者および遠隔作業者以外の第三者であってもよい。
緊急連絡先が現地要員である場合、トラブル処理部74は、トラブルが発生した場合に、現地要員にトラブルの発生および草刈機10の作業状況を通知してよい。また、トラブル処理部74は、トラブルから復旧した場合に、現地要員にトラブルの復旧を通知してもよい。このような構成によれば、現地要員は、トラブルが発生した場合に、トラブル対応のために待機すべきか否かを容易に判断できる。
また、緊急連絡先は、草刈機10をトラブルから復旧させることが可能な、草刈機10以外の復旧装置(不図示)またはその操作者であってもよい。復旧装置は、例えば、転倒した草刈機10を持ちあげて草刈機10の姿勢を正常に戻す、ロボットアームを備えた装置等であってよい。
また、作業機体が草刈機10以外の、例えば液肥混合装置であり、トラブルが液肥の混合割合の不具合であった場合、復旧装置は、液肥混合装置に供給される溶液の調整弁を開閉する装置であってもよい。このような調整弁は、液肥混合装置ではなく、溶液タンクまたは溶液を格納する施設側に備えられる場合がある。そのため、このようなトラブルは、液肥混合装置の遠隔操作または液肥混合装置の自律動作では復旧できないが、復旧装置によれば、調整弁の開閉により容易に復旧可能である。このとき、調整弁を開閉する復旧装置について、その操作者が遠隔操作で開閉するか、または復旧装置が自律動作可能であれば、現地要員による復旧作業は不要である。
トラブル処理部74による、トラブルの発生、草刈機10の作業状況、トラブルの復旧または救援要請の通知は、例えば、テキストメッセージの送信、電子メールの送信、電話での自動音声の発信等が挙げられる。また、トラブル処理部74は、救援要請の通知について、緊急連絡先への緊急信号の発信により行ってもよい。
トラブル処理部74は、トラブルの履歴情報を参照して、対象農作業においてトラブルが生じる可能性がある箇所を、草刈機10の遠隔操作を行う遠隔作業者またはサーバ50に通知してもよい。これにより、遠隔作業者またはサーバ50は、草刈機10が、トラブルが生じる可能性がある箇所を避けて走行するように、草刈機10の遠隔操作を行うことができる。
また、トラブル処理部74は、トラブルが生じる可能性がある箇所を草刈機10に通知してもよい。この場合、草刈機10は、自律動作により、トラブルが生じる可能性がある箇所を避けて走行できる。
このように、遠隔制御処理部70は、草刈機10の遠隔操作または自律動作による対象農作業で発生したトラブルに対し、遠隔作業者の遠隔操作または草刈機10の自律動作による復旧が不可能である場合に、緊急連絡先へ救援要請できる。したがって、遠隔制御処理部70は、トラブルにより対象農作業が中止となる可能性を低減できる。
(報酬決定処理部80)
報酬決定処理部80は、農作業情報取得部81と、報酬種別情報取得部82と、作業者情報取得部83と、評価取得部84と、報酬決定部85と、熟練度管理部86と、登録情報更新部87と、を含む。
農作業情報取得部81は、依頼者から、対象農作業の農作業情報を取得する。ここで、「依頼者から取得」とは、依頼者が依頼者端末20からデータベース53に登録した情報を、農作業情報取得部81等がデータベース53から取得する態様を含む。これについて、以降も同様である。
報酬種別情報取得部82は、依頼者から、対象農作業の実施に対する報酬の種別を示す報酬種別情報を取得してもよい。報酬種別情報は、対象農作業の実施に対する報酬が、農業関連品と交換可能な交換価値、および、農業関連品のいずれであるかを示すものである。農業関連品とは、農作物そのものに加え、例えば、農作物を含む商品または農作物の加工品である。また、農業関連品と交換可能な交換価値とは、例えば、EC(Electronic Commerce)サイトまたは実店舗で、商品の購入に使用可能なポイントまたは割引クーポン等が含まれてよい。また、農業関連品と交換可能な交換価値としては、地域限定通貨またはデジタル地域通貨等であってもよい。ポイントまたは割引クーポンは、登録アカウントに電子的に付与されるものであってもよく、ポイントコードまたはクーポンコードを通知する形式であってもよく、これらのコードが印刷されたチケット等を郵送する形式であってもよい。
作業者情報取得部83は、遠隔操作を行う遠隔作業者の遠隔操作の熟練度、遠隔操作を行うサーバ50の遠隔操作性能または作業機体の自律動作性能を取得してもよい。なお、農作業情報取得部81、報酬種別情報取得部82および作業者情報取得部83は、登録情報取得部61が取得済みの情報については改めて取得しなくてもよい。
評価取得部84は、依頼者から、遠隔作業者により実施された対象農作業の評価を取得する。対象農作業が草刈機10の完全な自律動作により実施される場合には、評価取得部84は、草刈機10の自律動作により実施された対象農作業の評価を取得してもよい。対象農作業の評価は、満点に対する割合を示す点数であってもよく、平均値を基準とする相対値であってもよく、「良い」「普通」「悪い」等の段階的な評価であってもよく、具体的な報酬量であってもよい。
対象農作業の評価は、対象農作業の実施による作業後の作業範囲の状態または収量等に加え、対象農作業の優先度、対象農作業の実施時の天候等を加味して、依頼者によって決定されてよい。また、作業時間推定部63が推定した作業時間と、実際の対象農作業に要した実作業時間との比較結果も、評価の要因となり得る。なお、対象農作業中にトラブルが発生した場合、トラブルからの復旧の対応内容によっては、実作業時間が長い場合でも評価が高くなり得る。したがって、前記の遠隔制御処理部70は、推定された作業時間と実作業時間との比較結果およびトラブルからの復旧の対応履歴等の情報について、対象農作業の完了通知と併せて、依頼者端末20に表示させてもよい。
依頼者は、主観により評価を決定してもよく、評価基準データ等に基づいて、客観的な指標を取り入れて評価を決定してもよい。そのため、遠隔制御処理部70は、データベース53に記憶された評価基準データを取得して、当該評価基準データについても、対象農作業の完了通知と併せて、依頼者端末20に表示させてもよい。
報酬決定部85は、取得した農作業情報および評価に基づいて、対象農作業の実施に対する報酬を決定する。報酬は、例えば、対象農作業の目安単価に、依頼者要因係数と、評価係数と、を掛け合わせることで決定されてよい。依頼者要因係数および評価係数は、例えば、1よりも大きければ報酬が目安単価よりも加算され、1よりも小さければ報酬が目安単価よりも減算されるものであってよい。
対象農作業の目安単価は、対象農作業の目安時間単価に、実作業時間を乗じることで決定できる。対象農作業の目安時間単価は、例えば、農作業情報に含まれる過去の農作業履歴から算出してよい。また、農作業の種類ごとの単価テーブルがデータベース53に予め登録されており、報酬決定部85は、当該単価テーブルを参照して目安時間単価を決定してもよい。
依頼者要因係数は、依頼者の希望予算、依頼者が作業支援者を指定したか否か、対象農作業の重要度、対象農作業の優先度等により決定される係数であってよい。例えば、依頼者の希望予算が目安時間単価よりも低い場合、対象農作業の重要度または優先度が低い場合等に、報酬決定部85は、依頼者要因は1よりも小さい係数としてよい。逆に、依頼者の希望予算が目安時間単価よりも高い場合、依頼者が作業支援者を指定した場合、対象農作業の重要度または優先度が高い場合等に、報酬決定部85は、依頼者要因を1よりも大きい係数としてよい。
評価係数は、依頼者の評価に基づいて決定される係数であってよい。例えば、依頼者の評価が、基準となる「通常」の評価よりも高い場合、過去の農作業履歴からの平均的な評価と比較して高い場合等に、報酬決定部85は、評価係数を1よりも大きい係数としてよい。
報酬決定部85は、さらに、遠隔作業者による遠隔操作の熟練度またはサーバ50の遠隔操作性能を参照して、報酬を決定してもよい。例えば、報酬決定部85は、支援者情報に含まれる遠隔作業者の熟練度またはサーバ50の遠隔操作性能が高いほど、対象農作業の目安時間単価を高くしてもよい。なお、対象農作業が草刈機10の完全な自律動作により実施される場合には、報酬決定部85は、自律動作性能を参照して報酬を決定してもよい。
報酬決定部85は、報酬種別情報取得部82が報酬種別情報を取得した場合には、当該報酬種別情報を参照して、報酬の種別によってそれぞれ適切な量の報酬を決定してもよい。例えば、報酬決定部85は、報酬が農業関連品である場合には、まず報酬を金銭価値として算出し、算出した金銭価値よりも少し多い市場価値分の農業関連品を、報酬として決定してもよい。
このような構成によれば、依頼者は、報酬を、農業関連品と交換可能な交換価値、および、農業関連品から選択することができる。これにより、高額な報酬を与えにくい遠隔操作による農作業に対して、適切な報酬を設定することができる。
熟練度管理部86は、対象農作業の農作業情報を参照して、遠隔作業者による遠隔操作の熟練度またはサーバ50の遠隔操作性能を変更してもよい。熟練度管理部86は、例えば、遠隔作業者の遠隔操作による対象農作業の実施回数が所定の値を超えていれば、遠隔操作の熟練度を加算してもよい。また、熟練度管理部86は、対象農作業が実施された後に、遠隔作業者による草刈機10の遠隔操作時間または遠隔操作回数が所定の値を超えていれば、当該遠隔作業者の草刈機10に対する遠隔操作の熟練度を加算してもよい。また、熟練度管理部86は、依頼者の遠隔作業者に対する評価が平均よりも高ければ遠隔操作の熟練度を加算し、当該評価が平均を大きく下回っていれば遠隔操作の熟練度を減算してもよい。
なお、報酬決定部85が決定する報酬の種別として、熟練度管理部86による熟練度の加算が含まれていてもよい。例えば、対象農作業が極めて単純な作業である場合、依頼者は、適した報酬を設定することが困難な場合がある。しかし、対象農作業が単純であっても、遠隔作業者は、草刈機10の遠隔操作を行うことで、遠隔操作に慣れることができる。そして、遠隔操作の熟練度が高くなるほど、遠隔作業者は、その後の対象農作業について、依頼対象として選択されやすくなる、報酬が高めに決定されやすくなる等が期待できる。したがって、報酬が熟練度の加算のみであっても、当該報酬は、作業支援者が対象農作業を受諾する動機づけとなり得る。
このような構成によれば、報酬決定処理部80は、実施された対象農作業に応じて遠隔作業者の熟練度を変更する。これにより、データベース53に登録される遠隔作業者の熟練度を適切な値に管理することができる。
登録情報更新部87は、評価取得部84が取得した依頼者による評価、報酬決定部85が決定した報酬、熟練度管理部86が変更した遠隔操作の熟練度等の情報について、データベース53への登録または更新を実行する。
このように、報酬決定処理部80によれば、遠隔操作の熟練度または自律動作性能に応じて報酬を決定することができる。したがって、遠隔操作の熟練度がより高い遠隔作業者または自律動作性能がより高い草刈機10による対象農作業の実施に対して、より大きい報酬が与えられる。そのため、報酬決定処理部80によれば、遠隔操作に熟練すること、自律動作性能が高い作業機体を選択することにインセンティブを与えることができる。
サーバ制御装置51は、選択処理部60と、遠隔制御処理部70と、報酬決定処理部80との、いずれか1つまたは2つのみを含むものであってもよい。すなわち、農作業支援システム1は、例えば、サーバ制御装置51が選択処理部60のみを含む選択システムであってもよく、遠隔制御処理部70のみを含む遠隔制御システムであってもよく、報酬決定処理部80のみを含む報酬決定システムであってもよい。
この場合、選択システムにおけるサーバ制御装置51は、対象農作業の依頼対象を選択する選択装置といえる。当該選択装置は、選択処理部60により、後述する選択処理S1を実行可能な、選択システムを制御する制御装置である。また、遠隔制御システムにおけるサーバ制御装置51は、対象農作業で発生したトラブル対応を支援する遠隔制御装置といえる。当該遠隔制御装置は、遠隔制御処理部70により、後述する遠隔制御処理S2を実行可能な、遠隔制御システムを制御する制御装置である。また、報酬決定システムにおけるサーバ制御装置51は、対象農作業の実施に対する報酬を決定する報酬決定装置といえる。当該報酬決定装置は、報酬決定処理部80により、後述する報酬決定処理S3を実行可能な、報酬決定システムを制御する制御装置である。
また、本実施形態では、選択処理部60、遠隔制御処理部70および報酬決定処理部80が全て、サーバ制御装置51に含まれる例を示している。しかし、これらの各機能ブロックは、農作業支援システム1が備えるいずれかの装置の制御装置に含まれていればよい。
〔農作業支援システム1の処理〕
本発明の一実施形態に係る制御方法について、農作業支援システム1の処理を例として、図2から図5を参照して説明する。図2に示すように、サーバ制御装置51は、選択処理S1、遠隔制御処理S2および報酬決定処理S3をこの順に実行する。以下、これらの各処理について詳細に説明する。
(選択処理S1)
図3に示すように、まず登録情報取得部61は、データベース53から、依頼者が登録した対象農作業の農作業情報を取得する(S11)とともに、対象農作業の作業範囲の土地情報を取得する(S12)。また、登録情報取得部61は、データベース53から、作業支援者の支援者情報および草刈機10等の作業機体の機体情報を取得する登録情報取得処理を実行する(S13、登録情報取得ステップ)。データベース53に、複数の支援者情報および複数の機体情報が登録されている場合、登録情報取得部61は、これら複数の支援者情報および機体情報を取得する。
また、登録情報取得部61は、データベース53に天候情報が記憶されている場合、対象農作業の作業期間およびその前後の、作業期間を含む期間の天候情報を取得する(S14)。
次に、候補抽出部62は、対象農作業の農作業情報に、依頼対象の指定が含まれているか否かを判定する(S15)。農作業情報に依頼対象の指定が含まれている場合(S15でYes)、候補抽出部62は、指定された作業支援者または作業機体である指定対象について、作業可能日時が、対象農作業の作業期間と一致するか否かを判定する(S16)。指定対象の作業可能日時が、対象農作業の作業期間と一致する場合(S16でYes)、候補抽出部62は、指定対象を依頼対象の候補として抽出する候補抽出処理を実行する(S17、候補抽出ステップ)。この場合、選択処理部60は、以下に記載するS18の処理はスキップする。
農作業情報に依頼対象の指定が含まれていない場合(S15でNo)、または、指定対象の作業可能日時が、対象農作業の作業期間と一致しない場合(S16でNo)、候補抽出部62は、候補抽出処理を実行する。具体的には、候補抽出部62は、対象農作業の作業期間に作業を実施可能な作業支援者および作業機体を、候補として抽出する(S18、候補抽出ステップ)。候補抽出部62は、S17またはS18で候補抽出処理の実行に、天候情報を参照してもよい。
次に、作業時間推定部63は、候補抽出部62が抽出した候補ごとに、対象農作業に要する作業時間を推定する作業時間推定処理を実行する(S19、作業時間推定ステップ)。作業時間推定部63は、作業時間推定処理の実行に、天候情報を参照してもよい。
次に、依頼対象選択部64は、候補ごとに、推定された作業時間を含む情報に基づいて、候補の優先順位を算出する(S20)。候補の優先順位は、推定された作業時間の短い順で算出されてもよい。また、候補の優先順位は、推定された作業時間が所定の時間を超える候補を除いた上で、残った候補について、過去の評価等の他の情報に基づいて算出されてもよい。
次に、依頼対象選択部64は、優先順位が最も高い候補を依頼対象として選択する依頼対象選択処理を実行する(S21、依頼対象選択ステップ)。このとき、依頼対象選択部64は、優先順位の上位2名以上を依頼対象として選択し、依頼者に提示して、最終的な依頼対象を依頼者に選択させてもよい。この場合、依頼者は、優先順位の高い候補のみの中から、最も好ましい依頼対象を容易に絞り込むことができる。
次に、依頼対象選択部64は、選択した依頼対象に、対象農作業の農作業情報を通知する(S22)。そして、依頼対象選択部64は、依頼対象が対象農作業の依頼を受諾したか否かを判定する(S23)。依頼対象が対象農作業の依頼を受諾しなかったと判定した場合(S23でNo)、依頼対象選択部64は、処理をS21に戻して、優先順位が次に高い候補を依頼対象として選択する(S21)。依頼対象選択部64は、S23でYesと判定するまで、S21からS23の処理を繰り返し実行する。
依頼対象選択部64が、依頼対象が対象農作業の依頼を受諾したと判定した場合(S23でYes)、選択処理部60は、選択処理S1を終了する。このように、選択処理S1は、選択処理部60により実行される、対象農作業の依頼対象を選択する選択方法ともいえる。
なお、以上は草刈機10単独による対象農作業の実施を例に説明しているが、対象農作業は、複数種類の作業機体により実施すべき、複数種類の農作業を包括する内容である場合も想定される。その場合、選択処理部60は、農作業の種類ごとに選択処理S1を繰り返し、または並行して実行し、農作業の種類ごとに最適な依頼対象を選択してよい。あるいは、選択処理部60は、複数種類の農作業について、並行して実行可能な依頼対象を選択してもよい。それぞれの農作業を行う作業機体の自律動作性能が高い場合には、遠隔作業者は、各作業機体の監視を中心に行えばよい。そのため、単一の遠隔作業者により、並行して複数種類の農作業を実施可能である。
(遠隔制御処理S2)
図4に示すように、まず遠隔制御処理部70は、対象農作業を行うための草刈機10(作業機体)と、固定撮像装置40(監視カメラ)とが、対象農作業の作業範囲に設置されているか否かを判定する(S31)。
当該判定について、遠隔制御処理部70は、対象農作業の作業範囲の現地要員から、草刈機10および固定撮像装置40が設置されたことの通知を受信したか否かにより、S31の判定を行ってもよい。また、遠隔制御処理部70は、草刈機10の位置取得装置13が取得した位置情報が、対象農作業の作業範囲内を示しているか否か、により判定してよい。固定撮像装置40についても同様に判定可能とするためには、固定撮像装置40も、草刈機10と同様に位置取得装置(不図示)を備えていることが好ましい。
草刈機10および固定撮像装置40が作業範囲に設置されていないと判定した場合(S31でNo)、遠隔制御処理部70は、S31の処理を再度実行する。一方、遠隔制御処理部70が、草刈機10および固定撮像装置40が作業範囲に設置されていると判定した場合(S31でYes)、土地情報取得部71は、データベース53から作業範囲の土地情報を取得する(S32)。
次に、作業管理部72は、草刈機10が、自律動作による対象農作業が可能か否かを判定する(S33)。草刈機10が、自律動作による対象農作業が可能ではないと判定した場合(S33でNo)、作業管理部72は、草刈機10の遠隔操作の設定値を、土地情報に合わせて調整する(S34)。また、草刈機10が、自律動作による対象農作業が可能と判定した場合(S33でYes)、作業管理部72は、草刈機10の自律動作の設定値を、土地情報に合わせて調整する(S35)。
ここで、遠隔操作の設定値とは、草刈機10の走行速度、草刈機10の草刈り作業速度、機体撮像装置12の撮像方向等であってよい。作業管理部72が、遠隔操作の設定値を土地情報に合わせて最適化することにより、遠隔作業者による対象農作業の遠隔操作での実施が容易となる。また、自律動作の設定値とは、草刈機10の自律動作による作業経路、草刈りを行う位置、位置ごとの自律走行速度等であってよい。作業管理部72が、自律動作の設定値を土地情報に合わせて最適化することにより、草刈機10は、効率よく自律動作による対象農作業を実施できる。
なお、対象農作業の内容または作業範囲の状態によっては、草刈機10は、一部の作業を自律動作により実施し、他の作業は遠隔操作により実施する場合もある。この場合、作業管理部72は、遠隔操作の設定値および自律動作の設定値の両方を調整してもよい。
次に、作業管理部72は、土地情報に含まれる危険箇所を遠隔作業者に通知する。作業管理部72は、当該危険箇所を草刈機10に通知してもよい。これにより、遠隔作業者または草刈機10は、危険箇所を回避しながら対象農作業を実施できる。そのため、草刈機10にトラブルが発生する可能性を低減できる。そして、作業管理部72は、遠隔作業者または草刈機10に作業開始可能であることを通知し、対象農作業を開始させる(S37)。
対象農作業が行われている間、監視処理部73は、対象農作業を実施する草刈機10の作業状況について、機体撮像装置12または固定撮像装置40の撮像する画像データとして取得する監視処理を実行する(監視処理ステップ)。そのため、遠隔作業者は、遠隔操作中以外の、草刈機10が自律動作による対象農作業を実施している間も、対象農作業の作業状況を、作業者端末30の第2タッチパネル33から監視できる。
次に、トラブル処理部74は、草刈機10にトラブルが発生したか否かを判定する(S38)。草刈機10にトラブルが発生したと判定した場合(S38でYes)、トラブル処理部74は、遠隔作業者の遠隔操作または草刈機10の自律動作によりトラブルから復旧したか否かを判定する(S39)。草刈機10がトラブルから復旧しなかったと判定した場合(S39でNo)、トラブル処理部74は、人手による復旧が必要と判定し、緊急連絡先に救援要請を通知するトラブル処理を実行する(S40、トラブル処理ステップ)。
そして、トラブル処理部74は、緊急要請により駆けつけた現地要員等により、草刈機10がトラブルから復旧したか否かを判定する(S41)。草刈機10がトラブルから復旧したと判定した場合(S39またはS41でYes)、トラブル処理部74は、トラブルからの復旧を遠隔作業者に通知する(S42)。これにより、遠隔作業者は、遠隔操作により復旧できないトラブルが発生した場合、現地要員等により草刈機10がトラブルから復旧するまで、草刈機10を監視し続ける必要がない。
S41で、草刈機10がトラブルから復旧しなかったと判定した場合(S41でNo)、トラブル処理部74は、対象農作業の続行は不可能と判定する。
トラブル処理部74は、S38で草刈機10にトラブルが発生したと判定しない間は(S38でNo)、S39からS42までの処理は実行しない。そして、遠隔作業者または草刈機10から、対象農作業の中止または完了を示す作業終了通知を受信したら、遠隔制御処理部70は、遠隔制御処理S2を終了する。
このように、遠隔制御処理S2は、遠隔制御処理部70により実行される、対象農作業において発生したトラブルに対応するための遠隔制御方法ともいえる。
(報酬決定処理S3)
図5に示すように、農作業情報取得部81は、依頼者が依頼者端末20からデータベース53に登録した対象農作業の農作業情報を取得する、農作業情報取得処理を実行する(S51、農作業情報取得ステップ)。報酬種別情報取得部82は、依頼者が依頼者端末20からデータベース53に登録した対象農作業の報酬種別情報を取得する(S52)。作業者情報取得部83は、データベース53から遠隔作業者の支援者情報を取得し、支援者情報に含まれる遠隔作業者の熟練度の情報を取得する(S53)。
評価取得部84は、遠隔作業者または草刈機10が対象農作業に要した実作業時間をデータベース53から取得する(S54)。実作業時間は、例えば、遠隔制御処理部70が、遠隔制御処理S2で、草刈機10による対象農作業を開始させてから、作業終了通知の受信までの経過時間(S37からS43までの経過時間)を測定した結果であってよい。また、評価取得部84は、依頼者が依頼者端末20からデータベース53に登録した、実施済みの対象農作業の評価を取得する評価取得処理を実行する(S55、評価取得ステップ)。
報酬決定部85は、S51からS55までの処理で取得した各種情報から、対象農作業の実施に対する報酬を決定する報酬決定処理を実行する(S56、報酬決定ステップ)。次に、熟練度管理部86は、対象農作業が遠隔作業者の遠隔操作により行われた場合、遠隔作業者の草刈機10に対する熟練度を変更する(S57)。そして、登録情報更新部87は、依頼者による遠隔作業者または草刈機10の評価、遠隔作業者の熟練度等の情報について、データベース53への登録または更新を実行する(S58)。その後、報酬決定処理部80は、報酬決定処理S3を終了する。
このように、報酬決定処理S3は、報酬決定処理部80により実行される、対象農作業の実施に対する報酬を決定する報酬決定方法ともいえる。
ここで、登録情報更新部87は、草刈機10の遠隔操作または自律動作の履歴についても、草刈機10の機体情報として更新してもよい。草刈機10の遠隔操作または自律動作の履歴情報の蓄積によって、草刈機10の自律動作性能の向上が期待できる。農作業支援システム1のように、遠隔作業者またはサーバ50等の遠隔操作により草刈機10を動作させる構成によれば、人が草刈機10を直接操作するよりも、自律型の草刈機10に必要となるビッグデータを収集しやすい。これにより、草刈機10等の作業機体の自律動作に関するAI(Artificial Intelligence:人工知能)の活用が進みやすくなる。このように、農作業支援システム1は、草刈機10等の作業機体における、自律動作性能の向上およびAIの活用等による農作業のスマート化促進に貢献できる。
草刈機10の自律動作性能が、対象農作業の完全な自律動作による実施に十分なレベルとなった場合には、農作業支援システム1は、対象農作業の依頼対象として、草刈機10のみを選択できる。この場合、農作業支援システム1は、草刈機10に復旧困難なトラブルが発生した場合を除いて、遠隔作業者等の人の手を必要とせず、依頼者からの対象農作業の依頼をほぼ自動的に完了させることが可能となる。
〔農作業支援システムの使用イメージ〕
図6は、遠隔作業者が草刈機10の監視または遠隔操作を行う場合の、作業者端末30の第2タッチパネル33の表示例を示す。図6に示すように、第2タッチパネル33には、固定撮像装置40が撮像した画像データに加えて、当該画像データと重畳的に、拡張現実(Augmented Reality)データARが表示されてもよい。拡張現実データARには、自律作業の状態、自律動作による走行予定ルート、作業範囲の地形情報、注意または警告情報、天候情報、経過時間情報、バッテリー残量の情報等が含まれていてよい。
このように、第2タッチパネル33に拡張現実データARを表示する構成によれば、遠隔作業者は、監視中に草刈機10の自律動作を把握しやすくなる。また、遠隔作業者は、遠隔操作中にも次の作業位置および危険箇所等を容易に把握できる。したがって、遠隔作業者は、草刈機10の監視または遠隔操作を容易かつ確実に実施可能となる。
また、図7は、依頼者が対象農作業の依頼を行ってから、対象農作業が完了するまでに表示される、依頼者端末20および作業者端末30に通知される内容の表示例を示す。ここでは、依頼者端末20および作業者端末30が有するメッセンジャーアプリに、全ての通知が表示される例を示している。このようなメッセンジャーアプリは、汎用的なメッセンジャーアプリであってもよく、農作業支援システム1専用のアプリに備わったメッセンジャー機能であってもよい。また、このような通知は、メッセンジャーアプリを用いたテキスト表示に限られず、例えば、通知ごとに電子メールが送信される等の態様であってもよい。
図7に示すように、農作業支援システム1は、対象農作業に関する進捗について、逐一依頼者および遠隔作業者に通知を行ってよい。これにより、依頼者および遠隔作業者は、現在の対象農作業のステータスを容易に把握できる。また、遠隔作業者および依頼者は、対象農作業に関する評価等の入力について、直感的に容易に行うことができる。
以上のように、農作業支援システム1は、依頼者となる農家等と、遠隔操作による農作業に興味のある作業支援者とのマッチングをはじめ、対象農作業の依頼から完了までの一連の流れをスムーズに支援できる。作業支援者は、家に居ながら遠隔地で行われる農作業に関わることができる。これにより、特に地方の農家は、農作業の担い手不足による負担の増加を低減できる。
また、農作業支援システム1によれば、自由度の高い報酬の設定が可能である。したがって、従来は単価が低く外部に依頼しにくかった種類の農作業であっても、依頼者は、気軽に依頼できる。また、作業支援者は、簡単な農作業についても、例えば、自らが関わった農作業により得られた農業関連品を報酬として得ることができる。したがって、作業支援者は、単価が低い農作業に対しても積極的に関与するモチベーションが得られやすい。
このように、農作業支援システム1によれば、特に地方または発展途上国で行われる農業について、細かな農作業まで作業支援者に依頼できるため、農家の作業負担を軽減でき、長時間労働の抑止が可能となる。そのため、地域を問わず農業の発展および食糧生産量の増大が期待できる。このように、農作業支援システム1は、農作業の支援を通じて、地球規模で持続可能な農業を支える仕組みの構築についても支援できる。例えば、農作業支援システム1は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標2「飢餓をゼロに」および目標8「働きがいも経済成長も」等の達成に貢献できる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
サーバ制御装置51(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に選択処理部60、遠隔制御処理部70および/または報酬決定処理部80にそれぞれ含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
この場合、前記装置は、前記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により前記プログラムを実行することにより、前記各実施形態で説明した各機能が実現される。
前記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、前記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、前記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して前記装置に供給されてもよい。
また、前記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、前記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより前記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
また、前記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは前記装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。