以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態又は図面に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態の非水系二次電池の一例を、図1及び図2に示した。図1は該非水系二次電池の一例を模式的に表す平面図であり、図2は図1のA-A線断面図である。
非水系二次電池100は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体110の領域120内に、正極150と負極160とを、リチウムイオン伝導体層である電解質積層体170を介して積層して構成した積層電極体を収納して成る。アルミニウムラミネートフィルム外装体110は、その外周部において、上下のアルミニウムラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。領域120は、外装体110の一部であって、正極150、負極160、及び電解質積層体170から成る積層体を収納するために、膨らんだ空間である。
正極150及び負極160は、外部回路と接続するためにアルミニウム製タブ130及びニッケル製タブ140に、それぞれ電気的に接続されている。なお、図2においては、図面が煩雑になることを避けるために、アルミニウムラミネートフィルム外装体110を構成している各層、並びに正極150及び負極160の各層を区別して示していない。非水系二次電池100において、イオン伝導体を除く各部材としては、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものを用いることができ、例えば後述のものであってもよい。
非水系二次電池100において、領域120内に圧力を掛けてもよい。非水系二次電池の構成要素を以下に説明する。
特に指示がないときは、各種測定は室温25℃湿度60%RHで実施することとする。
<1.電解質積層体>
本実施形態の電解質積層体は、少なくとも第一の電解質層と、第二の電解質層と、第三の電解質層が順に接合して積層されている。第一の電解質層と、第二の電解質層と、第三の電解質層と、に含まれるイオンを伝導するイオン輸送性有機物はそれぞれ異なっていてもよく、任意の電解質層に含まれるイオン輸送性有機物が同一であってもよく、すべての電解質層に含まれるイオン輸送性有機物は同一であってよいが、少なくとも第一の電解質層と第二の電解質層は、異なるイオン輸送性有機物を含むことが好ましい。第一の電解質層と、第三の電解質層と、に含まれるイオン輸送性有機物はそれぞれの当接する電極に合わせた組成であることが好ましく、第二の電解質層は、第一の電解質層から第二の電解質層にイオンを伝導することに合わせた組成であることが好ましい。第二の電解質層には、電解質積層体の強度補強の観点に加えて、界面形成時の外圧を有効に界面形成に用い、界面接合の良化と電解質のデフォームの抑制をする観点から、基材を含むことが好ましい。
第一の電解質層と、第二の電解質層と、第三の電解質層が順に積層された電解質電池積層体は、電解質フィルムの形態であってもよく、上記電解質電池積層体、又は電解質フィルムは、一対の対向する正極、負極の間に自立して配置された非水系二次電池構成体であってもよい。
本発明の電解質積層体の膜厚が5~300μmとなるように形成することが好ましい。その下限は、電解質積層体が変形し、界面形成をする上で厚みがある方が好ましく、7μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。その上限は、界面形成時の変形量を少なくする観点から薄い方が好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。
第一の電解質層、第二の電解質層、第三の電解質層の各層の厚さは、各層を足し合わせて電解質積層体の膜厚を越えなければよく、特に限定されない。第一の電解質層の厚みは1μm以上100μm以下であることが好ましい。その下限は、電解質積層体が変形し、界面形成をする上で厚みがある方が好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。また、その上限は、界面形成時の変形量を少なくする観点から薄い方が好ましく、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましく、70μm以下であることが特に好ましい。第三の電解質層の厚みは第一の電解質層の厚みと同様の好ましい範囲を有する。
第二の電解質層の厚みは、3μm以上100μm以下であることがあることが好ましい。その下限は、第二の電解質層の強度を保つため、4μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。その上限は、界面接合時の圧力を第二の電解質層の変形ではなく、界面接合に有効に伝える観点から、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。
第二の電解質層の永久ひずみが、第一の電解質層と第三の電解質層の永久ひずみよりも小さいことが好ましい。電解質層が上記関係性を満たすことで、界面形成時の応力を、界面形成に有効に作用させることが可能になり、良好な界面形成が可能になり、電解質を用いた電池としての特性が向上する。
電解質の永久ひずみの測定方法としては、微小硬度計によって一般的に評価される。直径5mmに打ち抜いた各電解質層を0.5MPaの応力を掛けた状態で24時間静置し、初期の膜厚と24時間経過した後の膜厚から算出が可能である。式としては、初期の膜厚をDs、24時間経過後の膜厚をDfとした際、永久ひずみは、下記式:
(Ds-Df)/Ds
にて表される。
第一の電解質層の永久ひずみは、0.05以上0.90未満であることが好ましく、その上限は0.85以下であることがより好ましく、0.75以下であることが更に好ましく、0.70以下であることが最も好ましい。その下限は0.10以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.20以上であることが最も好ましい。第三の電解質層の永久ひずみは、第一の電解質層と同様の範囲であることが好ましく、第一の電解質層と第三の電解質層の永久ひずみの大小関係については、問わない。
第二の電解質層の永久ひずみは、0.50以上1.00以下であることが好ましく、その上限は0.95以下であることがより好ましく、0.90以下であることが更に好ましく、0.85以下であることが最も好ましい。その下限は0.55以上であることがより好ましく、0.60以上であることが更に好ましく、0.65以上であることが最も好ましい。第二の電解質層の永久ひずみは、第一及び第三の電解質層の永久ひずみよりも小さいことが好ましい。
<1-1.基材>
第二の電解質層に含まれる、非イオン伝導性の補強層としての基材は特に限定されない。但し、基材は、電解質積層体を内部に包含する必要があることから多孔を有している必要がある。
基材は、一種の基材を単層又は複数積層したものであってもよく、二種以上の微多孔基材を積層したものであってもよい。
本実施形態に係る基材の厚みは、電解質積層体の第二の電解質層内に収まれば問題なく、厚みが4~100μmとなるように基材を形成することが好ましい。その下限は、第二の電解質層の強度を保つため、4μm以上が好ましく、4μmを超えることがより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。その上限は、界面接合時の圧力を第二の電解質層の変形ではなく、界面接合に有効に伝える観点から、90μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。
基材の空孔率について特に制限されないが、20%以上80%以下であることが好ましい。その下限は、基材の面内の強度を高める観点から、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。その上限は、第二の電解質層内のイオン伝導を高める観点から、75%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
基材として、繊維状物を用いた微多孔膜を用いる場合、基材の目付けは、2.0g/m2以上20.0g/m2未満であることが好ましい。基材の目付けが20.0g/m2未満であれば、基材に対して一定厚みが要求される場合に、基材の目付けが大き過ぎず繊維空隙が十分に確保される傾向にあり、イオンの透過性を高くでき、高性能な電解質積層体を作製できる。また、基材の目付けが2.0g/m2以上であれば、スリットされた基材の機械強度が高くでき、製造後の巻き取り、使用時に掛かる張力などに対して耐性が強く、取り扱いがし易くなる傾向にある。電解質と電極界面の接合をするためには、繊維が一定の範囲で密に存在する必要がある。この意味で、基材の目付けは、より好ましくは、3.0g/m2以上20.0g/m2未満であり、さらに好ましくは3.0~10g/m2である。
基材は、自立を可能とするものであれば、いかなる基材を用いてもよい。自立とは、10cm角に切った基材の2頂点をもって、自重で破壊しないことを指す。基材は、2.0V以上4.5V(vs.Li)以下に分解電流閾値があることで、基材が電極と接触している場合、初充放電時に不可逆容量の増加として、その検出が容易であることから、好ましい。基材の分解電流閾値は、4.3V(vs.Li)以下であることがより好ましく、4.1V(vs.Li)以下であることがさらに好ましい。より低い分解電流閾値を持つことで、検出のタイミングを早めることが可能になる。以下に示すリニアスイープボルタンメトリー法により、分解電流閾値を測定した。
(リニアスイープボルタンメトリー法)
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを等容量で混合し、1Mの濃度になるようにLiPF6を溶解した非水電解液を、2cm2の円形チタン(Ti)電極と、Li電極とで挟み込みこまれた基材の積層体に含浸させ、開回路電圧から貴な電圧に向けて1mV/秒の掃引速度で8Vまで電圧を掃引した。その結果を横軸に電圧(V)、縦軸に分解電流(mA/cm2)としてプロットし、立ち上がった分解電流の接線のx切片として測定される値を分解電流閾値とした。電解質が充填された基材であれば、2cm2の円形Ti電極と、Li電極とで挟み込み、電圧を掃引すればよい。
基材としては、例えば、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様であってもよく、多孔性であり、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
上記基材としては、特に制限されないが、織布、不織布、(微)多孔質膜及びガラス成形体等が挙げられる。上記織布及び不織布としては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PET、PBT、PTT等)及びその誘導体、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)及びその誘導体、N6、N66、N612等のポリアミド系樹脂及びその誘導体;ポリオキシメチレンエーテル系樹脂(POM等)、PEN、PPS、PPO、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、TPI等の熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等のアラミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂(セルロース系繊維)等;アルミナ繊維、セラミックス繊維、ガラス繊維または、これらの樹脂または繊維を主体とする共重合体もしくはそれらの混合物などの樹脂)等が挙げられる。
これらの基材としては、更に親水性を向上させるために、界面活性剤を付与する方法、発煙硫酸、クロルスルホン酸等の化学薬品によるスルホン化、フッ素化、グラフト化処理等の方法、又は、コロナ放電若しくはプラズマ放電等による方法によって親水化処理したものを用いても良い。
上記基材としては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PET、PBT、PTT等)及びその誘導体、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)及びその誘導体、N6、N66、N612等のポリアミド系樹脂及びその誘導体;ポリオキシメチレンエーテル系樹脂(POM等)、PEN、PPS、PPO、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、TPI等の熱可塑性ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂不織布、ガラス不織布及びガラスクロスからなる群より選択される少なくとも1種からなるものが好ましい。基材としては、より好ましくは2.0V以上4.5V(vs.Li)以下に分解電流閾値があるものであり、具体的には、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PET、PBT、PTT等)及びその誘導体、N6、N66、N612等のポリアミド系樹脂及びその誘導体;ポリオキシメチレンエーテル系樹脂(POM等)、PEN、PPS、PPO、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、TPI等の熱可塑性ポリイミド樹脂、である。特に好ましくは、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PET、PBT、PTT等)及びその誘導体である。
少なくとも2層(I層,II層)を備える積層不織布については下記に様態を示す。不織布層(I層)は、繊維径0.1μm以上4.0μm未満を有する極細繊維で構成されることが好ましい。なお本明細書において、用語「極細繊維」とは、上記の0.1μm以上4μm未満の範囲の繊維径を有する繊維を意図している。I層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記極細繊維以外の繊維を含有してもよいが、典型的には上記極細繊維のみからなる。繊維径が4.0μm未満であれば、不織布層の繊維間隙が大きくなり過ぎないため、電解質が繊維間隙に入り易く、結果として電解質保持性に優れた電解質積層体となる。また一方、繊維径が0.1μm以上であると、繊維を比較的容易に形成でき、且つ形成された繊維が、表面摩擦等で毛羽立ったり、糸くずを作ったりしない傾向にある。この意味で、不織布層(I層)の繊維径は、好ましくは0.1~3.8μm、より好ましくは0.2~3.0μm、さらに好ましくは0.3~2.5μmである。なお本明細書で記載する繊維径は、マイクロスコープによる繊維直径の測定によって評価できる。
不織布層(II層)は、繊維径4.0μm以上30.0μm以下を有する熱可塑性樹脂繊維で構成される。繊維径が30.0μm以下であると、繊維の径が太過ぎず、イオンの透過性を阻害しない傾向にある。不織布層(II層)は、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維径4.0μm以上30.0μm以下の熱可塑性樹脂繊維以外の繊維を含有してもよいが、典型的には繊維径4.0μm以上30.0μm以下の熱可塑性樹脂繊維のみからなる。上記I層における繊維径が重要であるのと同様、II層における繊維径も重要である。II層を構成する繊維の繊維径が30.0μm以下であれば表面平滑性が高くなり、I層とII層とを互いに接するように積層した場合に、I層を構成する繊維が、II層を構成する繊維の間に目付け斑のない、より均一な層配置が可能となる。これにより、積層不織布において、より均一に繊維が分布する。この結果、界面接合が良好にすることが可能となる。一方、II層を構成する繊維の繊維径が4.0μm以上であると、積層不織布が十分な強度を有し、機械強度が安定する傾向にある。この意味で、II層を構成する繊維の繊維径は、好ましくは4.0~28μm、より好ましくは5.0~25μm、さらに好ましくは6.0~20μmである。
本発明の電解質積層体に関しては、構成されている不織布の内部又は表面に、極細繊維不織布層(I層)を設けることができる。I層においては、繊維径が小さいため、繊維間隙が小さく、繊維が均一に分布しており、さらに比表面積が大きい。このI層の繊維層を有することにより、緻密構造による高いバリアー性を発現しており、電極間の電気絶縁性に優れたセパレータを作製することができる。また、極細繊維の比表面積が大きいために、電解液の保持性に優れ、イオンの透過性に優れている。
本発明においてII層に隣接して極細繊維不織布層(I層)を配置することで、電解質と積層不織布との一体性を高め、界面接合を良化させることができる。
本発明においては、不織布層(I層)を補強する支持層として、熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)を設けることができる。また、不織布層(I層)は、通気性が比較的低いため、イオンの透過性が低下する懸念がある。しかしながら、不織布層(I層)を繊維径の比較的太い繊維層(II層)と組み合わせることにより、積層不織布の通気性を向上させることが出来、イオン透過性に優れた電解質積層体を与えることを可能とする。さらに電解質積層体及び電池、又はキャパシタの各生産工程において、不織布層(II層)が、機械的強度に劣る変形及び損傷から不織布層(I層)を守るため、不良率を低くして安定して生産できる。
積層不織布において、I層は、緻密構造を形成するために必須であり、II層は、積層不織布をより安定させ(即ち、不織布の引張強度、曲げ強度及び表面磨耗性を良好にし)、かつ、I層を各工程で安定的に保持するために必須である。このような理由で、上記のI層とII層とを有する積層不織布は、良好な性能を有する電池、あるいはキャパシタを製造するために有利である。
本発明において、より良好な高性能な電解質積層体を製造するためには、3層からなる積層不織布がより好ましい。
本発明で、不織布層(I層および/またはII層)における熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成長繊維であることが好ましい。本明細書において、熱可塑性合成長繊維とは、熱可塑性合成樹脂(ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PET、PBT、PTT等)及びその誘導体、ポリオレフィン系樹脂(PE、PP等)及びその誘導体、N6、N66、N612等のポリアミド系樹脂及びその誘導体;ポリオキシメチレンエーテル系樹脂(POM等)、PEN、PPS、PPO、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、TPI等の熱可塑性ポリイミド樹脂または、これらの樹脂を主体とする共重合体もしくはそれらの混合物などの樹脂)からなる連続長繊維をいう。ここで、連続長繊維とは、JIS-L0222で規定される意味の繊維をいう。熱可塑性合成長繊維で構成される不織布は、十分な機械強度を有することができる。また熱可塑性合成長繊維で構成される不織布は、スリット時、及び外部からの摩擦等を受けた際に、より糸くずが発生し難く、磨耗性にも強い。熱可塑性合成長繊維の例としては、例えば後述で列挙する結晶性樹脂で構成される長繊維が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂繊維として短繊維を用いる場合、例えば、その結晶性樹脂と、その結晶性樹脂より低い融点の熱可塑性樹脂とを混合して用いることが出来る。混合は単一の樹脂から構成される繊維を混ぜても良いし、1本の繊維中に融点の異なる2種以上の樹脂が含まれていても良い。例えば芯と鞘とから成り、鞘の熱可塑性樹脂の融点が芯の熱可塑性樹脂の融点より低い鞘芯糸を用いることが出来る。例えば芯がPET、鞘が共重合PETの鞘芯糸が使用できる。
<1-2.イオン輸送性有機物>
本実施形態におけるイオン輸送性有機物は、少なくとも一つの塩とイオン乖離促進剤を含むか、または少なくとも一つのシングルイオン伝導ポリマーを含む。
イオン輸送性有機物の25℃でのちょう度が、100以上400未満であることが好ましい。この範囲にちょう度があることで、本発明に用いる第一の固体電解質層、及び第二の固体電解質層は、双方の当接する電極との界面形成のための流動性と、界面形成のための外圧を界面接合へと伝えることが可能になり、電極-イオン輸送性有機物との界面が良好に接合される。このような観点から、イオン輸送性有機物の25℃でのちょう度は、110~380、120~360、又は130~350の範囲内にあることが好ましい。
ちょう度の測定には、JIS K 2220(グリース)の「ちょう度試験方法」に規定するちょう度計を用い、試料を規定のグリースカップに、表面が平らになるように詰め、22±0.5℃に保った後、円すいコーンを垂直に5秒間進入させる。試料のちょう度は、その進入深さを0.1mm単位で測定し、これを10倍した数値で表す。
イオン輸送性有機物は、界面形成能を高める観点から、ニトリル基を含むことが好ましく、後述されるイオン乖離促進剤に由来するニトリル基を含むことがより好ましい。
<1-3.塩>
本実施形態におけるイオン伝導体に含有される塩としては、非水系二次電池の電解液に用いられている塩であればよい。
本実施形態のイオン伝導体中における塩の含有量については、特に制限はないが、非水系溶媒1Lに対して0.2mol以上であることが好ましく、0.5mol以上であることがより好ましく、0.8mol以上であることが更に好ましい。また、塩の含有量は、非水系溶媒1Lに対して15mol以下であることが好ましく、4mol以下であることがより好ましく、2.8mol以下であることが更に好ましい。塩の含有量が上述の範囲内にある場合、イオン伝導度が増大して高出力特性を発現できる傾向にあり、イオン伝導体の優れた性能を維持しながら、貯蔵特性及びその他の電池特性を一層良好なものとすることができる傾向にある。
塩としては、通常の非水系電解質として用いられているものであれば特に限定されず、いずれのものであってもよい。そのようなリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li2SiF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、Li2B10H10-aXa〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつaは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩、LiB12H12-bYb〔式中、YはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつbは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB11H12-cZc〔式中、ZはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつcは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB9H10-dWd〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつdは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2等のLiN(SO2CmF2m+1)2〔式中、mは1~8の整数である〕で表されるリチウム塩;LiPF5(CF3)等のLiPFn(CpF2p+1)6-n〔式中、nは1~5の整数であり、かつpは1~8の整数である〕で表されるリチウム塩;LiBF3(CF3)等のLiBFq(CsF2s+1)4-q〔式中、qは1~3の整数であり、かつsは1~8の整数である〕で表されるリチウム塩;LiB(C2O4)2で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB);ハロゲン化された有機酸を配位子とするボレートのリチウム塩;LiBF2(C2O4)で表されるリチウムオキサラトジフルオロボレート(LiODFB);LiB(C3O4H2)2で表されるリチウムビス(マロネート)ボレート(LiBMB);LiPF4(C2O4)で表されるリチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート等のリチウム塩;下記一般式(1a)、(1b)及び(1c):
LiC(SO2R2)(SO2R3)(SO2R4) (1a)
LiN(SO2OR5)(SO2OR6) (1b)
LiN(SO2R7)(SO2OR8) (1c)
{式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表されるリチウム塩等が挙げられる。中でも、イオン伝導体に含有される塩は、イオン伝導度の観点からLi2B10H10-aXa〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつaは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩、LiB12H12-bYb〔式中、Yは、F、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつbは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB11H12-cZc〔式中、ZはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつcは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB9H10-dWd〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつdは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2を含むことが好ましく、より好ましくは、Li2B10H10-aXa〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつaは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩、LiB12H12-bYb〔式中、YはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつbは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB11H12-cZc〔式中、ZはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつcは0~12の整数である〕で表されるリチウム塩、LiCB9H10-dWd〔式中、XはF、Cl、Br、又はIから選ばれ、かつdは0~10の整数である〕で表されるリチウム塩を含むことが好ましい。リチウム塩は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<1-4.イオン乖離促進剤>
本実施形態においては、イオン乖離促進剤とは、塩から乖離したカチオンを安定化させるための分子及びポリマーのことであり、その由来は、例えば、リチウムイオン電池であれば、リチウムイオンのカチオンとしての安定性のためにカーボネート系材料を混合することが一般的であるが、このカーボネート系材料に相当するものがイオン乖離促進剤と捉えることが理解を助ける。
イオン乖離促進剤は常温で流動性が乏しいことが好ましい。流動性が乏しいということは、具体的には、粘度が10mPa・s以上であることを指す。これにより、一般的なリチウムイオン電池とは異なり、イオン乖離促進剤の流動性が低減されることから、安全性の向上が期待できる。
本実施形態におけるイオン乖離促進剤としては、例えば、ポリアルキレンオキシド:ポリエチレンオキシド;ポリエチレンカーボネート系材料;シアノ基含有水素化ニトリルゴム系材料、水素添加ニトリルブタジエンゴム(HNBR);カルボラン系材料:オルト-カルボラン、メタ-カルボラン、パラ-カルボラン;アダマンタン系材料:2-アダマンタノン、1-アダマンタノン、1-アダマンタンカルボニトリル、2-アダマンタンカルボニトリル;ジニトリル化合物:スクシノニトリル、メチルスクシノニトリル、テトラメチルスクシノニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、オクタンジニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル;特開2008-277218号公報に記載のシアノ基含有ポリオキセタン;特開2006-307012号公報に記載のシアノ基含有ポリビニルアルコール;または、これらポリマーを構成する複数のモノマーの共重合体、PIM:下記繰り返し単位(A)からなるポリマー{式中、nは、1を超える数であり、例えば10~10000の整数である}などが挙げられるが、その限りではない。イオン乖離促進剤は、界面形成能を高める観点から、ニトリル基を含むことが好ましく、HNBR、1-アダマンタンカルボニトリル、2-アダマンタンカルボニトリル、ジニトリル化合物、シアノ基含有ポリオキセタン、シアノ基含有ポリビニルアルコール、PIMが好ましい。
上記の溶媒性分子は、公知の合成法、必要に応じた合成法等によって製造することができる。
<1-5.シングルイオン伝導ポリマー>
本実施形態のシングルイオン伝導ポリマーは、イオン性解離基を有するアニオン型ポリマーリチウム塩を指す。イオン性解離基としては、カルボキシレート基、スルホネート基、スルホンイミド基、フェノレート基等が挙げられる。主鎖骨格は例えば、ポリエチレン骨格が挙げられるが、ポリマーの柔軟性等の付与に応じて、その構造については問わない。
<1-6.非水系溶媒>
本実施形態のイオン輸送性有機物は、上記の溶媒性分子及び溶媒性ポリマー、加えて塩のみからなっていてもよいし、これら以外に非水系溶媒を含有していてもよい。
本実施形態における非水系溶媒としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はない。非水系溶媒は、本実施形態のイオン輸送性有機物及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましい。非水系溶媒は、1成分を単独で又は2成分以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のイオン輸送性有機物に添加して用いられる他の非水系溶媒としては、特に制限はなく、例えば、非プロトン性溶媒が挙げられ、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
そのような非水系溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、トランス-2,3-ブチレンカーボネート、シス-2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、トランス-2,3-ペンチレンカーボネート、シス-2,3-ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、及び1,2-ジフルオロエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトンに代表されるラクトン;スルホラン及びジメチルスルホキシドに代表される硫黄化合物;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び1,3-ジオキサンに代表される環状エーテル;メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、及びアクリロニトリルに代表されるモノニトリル(ただし、アセトニトリルを除く。);メトキシアセトニトリル及び3-メトキシプロピオニトリルに代表されるアルコキシ基置換ニトリル;メチルプロピオネートに代表される鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンに代表される鎖状エーテル等、並びにこれらのフッ素化物に代表されるハロゲン化物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のイオン輸送性有機物における非水系溶媒の含有量については特に制限はないが、本実施形態のイオン輸送性有機物の全量に対して、0~40質量%である。その下限は0.1質量%以上であることが好ましく、0.5%質量以上であることが更に好ましい。その上限は30質量%であることがより好ましく、25質量%以下であることが更に好ましい。
<1-7.添加剤>
本実施形態のイオン輸送性有機物は、上記の溶媒性分子及び塩のみからなっていてもよいし、上記の溶媒性分子、上記の塩及び非水溶媒のみからなっていてもよいし、これら以外の添加剤を含有していてもよい。
本実施形態における添加剤としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はなく、リチウム塩を固溶・溶解する溶媒としての役割を担う物質(すなわち上記の非水系溶媒)と実質的に重複してもよい。添加剤は、本実施形態のイオン輸送性有機物及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましい。しかしながら該添加剤は、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含する。添加剤は、1成分を単独で又は2成分以上を組み合わせて用いることができる。
添加剤としては、例えば、電極を保護する添加剤を挙げることができる。
添加剤の具体例としては、例えば、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、シス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、トランス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5-トリフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5,5-テトラフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、及び4,4,5-トリフルオロ-5-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オンに代表されるフルオロエチレンカーボネート;ビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、及びビニルエチレンカーボネートに代表される不飽和結合含有環状カーボネート;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、及びε-カプロラクトンに代表されるラクトン;1,2-ジオキサンに代表される環状エーテル;
メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルホルメート、エチルアセテート、エチルプロピオネート、エチルブチレート、n-プロピルホルメート、n-プロピルアセテート、n-プロピルプロピオネート、n-プロピルブチレート、イソプロピルホルメート、イソプロピルアセテート、イソプロピルプロピオネート、イソプロピルブチレート、n-ブチルホルメート、n-ブチルアセテート、n-ブチルプロピオネート、n-ブチルブチレート、イソブチルホルメート、イソブチルアセテート、イソブチルプロピオネート、イソブチルブチレート、sec-ブチルホルメート、sec-ブチルアセテート、sec-ブチルプロピオネート、sec-ブチルブチレート、tert-ブチルホルメート、tert-ブチルアセテート、tert-ブチルプロピオネート、tert-ブチルブチレート、メチルピバレート、n-ブチルピバレート、n-ヘキシルピバレート、n-オクチルピバレート、ジメチルオキサレート、エチルメチルオキサレート、ジエチルオキサレート、ジフェニルオキサレート、マロン酸エステル、フマル酸エステル、及びマレイン酸エステルに代表されるカルボン酸エステル;
N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドに代表されるアミド;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3-メチルスルホラン、3-スルホレン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,3-プロパンジオール硫酸エステル、テトラメチレンスルホキシド、及びチオフェン1-オキシドに代表される環状硫黄化合物;モノフルオロベンゼン、ビフェニル、及びフッ素化ビフェニルに代表される芳香族化合物;ニトロメタンに代表されるニトロ化合物;シッフ塩基;シッフ塩基錯体;オキサラト錯体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態のイオン輸送性有機物における添加剤の含有量については特に制限はないが、本実施形態のイオン輸送性有機物の全量に対して、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。
本実施形態においては、添加剤の含有量が多いほどイオン輸送性有機物の劣化が抑えられるが、添加剤の含有量が少ないほど非水系二次電池の低温環境下における高出力特性が向上することになる。従って、添加剤の含有量を上記の範囲内に調整することによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなくイオン輸送性有機物の高イオン伝導度に基づく優れた性能を最大限に発揮することができる。このような組成で電解液を調製することにより、該イオン輸送性有機物を具備する非水系二次電池において、サイクル性能、低温環境下における高出力性能、及びその他の電池特性のすべてを一層良好なものとすることができる。
<1-8.その他の添加剤>
本実施形態においては、イオン輸送性有機物は、成形性又は強度など、電池特性以外に製造時のハンドリング又は保管性など、電池製造又は経年劣化に対して諸物性を達成するためのその他の添加剤を含んでいてもよい。上記<1-6>で説明された添加剤以外の添加剤として、例えば、非イオン伝導性ポリマー(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリカルボン酸、ポリスルホン酸、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴム等)、非イオン伝導性無機フィラー(例えば、TiO2、SiO2、BaTiO3、Al2O3、ベーマイト等)、有機繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース等)等が挙げられる。
本実施形態のイオン輸送性有機物におけるその他の添加剤の含有量については特に制限はないが、本実施形態のイオン輸送性有機物の全量に対して、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。
<2.第2のイオン輸送性物質>
本実施形態のイオン輸送性有機物は、上記の溶媒性分子及び塩のみからなっていてもよいし、上記の溶媒性分子、上記の塩及び非水溶媒のみからなっていてもよいし、上記の溶媒性分子、上記の塩、非水溶媒及び添加剤のみからなっていてもよいし、これら以外の第2のイオン輸送性物質を含んでいてもよい。第2のイオン輸送性物質としては公知のポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質を組み合わせてもよい。本実施形態のイオン輸送性有機物における第2のイオン輸送性物質の含有量については特に制限はない。本実施形態のイオン輸送性有機物の特性が良い場合には、第2のイオン輸送性物質の含有量については、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。組み合わせるイオン輸送性物質の特性が良い場合には、本実施形態のイオン輸送性物質の含有量は、0.1~30質量%であることが好ましく、0.1~10質量%であることがより好ましい。
<3.イオン輸送性有機物の製造方法>
本発明のイオン輸送性有機物の製造方法は、本発明で限定せず、公知の湿式又は乾式の方法での混合及び成形工程が用いられてもよい。例えば、湿式法にてイオン伝導体を作製する場合には、溶媒性分子とリチウム塩を溶媒に溶解させ、ドクターブレード、ダイコート、コンマコート、スクリーン印刷等の方法で成膜する。このとき、溶液の濃度、又はコーティング回数などを調節し、最終的にコーティングされるコーティング膜厚を調節することができる。乾燥工程は、支持体にコーティングされたイオン輸送性有機物塗工膜内の溶媒及び水分を除去する過程であり、用いられる溶媒に応じて変わる。一例として、50~200℃の真空オーブンで行う。乾燥方法には、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線又は電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥時間については、特に限定しないが、通常的に30秒~24時間の範囲で行われる。
乾式法にてイオン輸送性有機物を作製する場合には、好適成分を好適割合で含む組成物を押出成形することによって製造することができる。一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機を用いて、溶媒性分子を溶融し、塩を添加、混錬の後、押出成形することができる。より良好な分散を可能にする二軸スクリュー押出機を用いて製造するのが好ましい。
上記<1-6>の添加剤、上記<1-7>のその他の添加剤、非水溶媒、第2のイオン輸送性物質については、その生産性又は保管性等を考慮して適宜添加のタイミングを調整することができる。
<4.電解質積層体の製造方法>
本実施形態に係る電解質積層体の製造方法の一例は、例えば、(i)電解質を含む第一、第二及び第三の電解質層の同時形成工程;及び/又は(ii)電解質と支持体を備える第二の電解質層に対する第一と第三の電解質層の製膜工程を含む。電解質積層体の製造方法については、工程(i)及び工程(ii)に限定されず、基材と電解質とイオン性有機物を用いて第一、第二及び第三の電解質層をこの順に接合して積層することができる既知の電解質積層体の製造方法、又は既知の固体電解質積層体を使用することができる。
<5.正極及び正極集電体>
正極は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。本実施形態における好ましい正極は、正極活物質を含有し、場合により導電助剤、バインダー及びイオン伝導体を更に含有する。
正極が正極活物質としてイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有すると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。そのような材料としては、例えば、下記一般式(2a)及び(2b):
LixMO2 (2a)
LiyM2O4 (2b)
{式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0~1の数、yは0~2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
上記一般式(2a)及び(2b)のそれぞれで表されるリチウム含有化合物としては、例えば、LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、LiMn2O4、及びLi2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;LizMO2(式中、Mは、Ni、Mn、Co、Al及びMgから成る群より選ばれる1種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物等が挙げられる。
その他のリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよい。このようなその他のリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物、及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO4、Mは上記式(2a)と同義であり、tは0~1の数、uは0~2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、その他のリチウム含有化合物としては、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)から成る群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物、並びにリン酸化合物が好ましい。
その他のリチウム化合物としてより具体的には、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物又はリチウムと遷移金属元素とを含む金属カルコゲン化物、及びリチウムを有するリン酸金属化合物がより好ましく、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物及びリチウムを有するリン酸金属化合物が更に好ましい。例えば、それぞれ下記一般式(3a)及び(3b):
LivMIO2 (3a)
LiwMIIPO4 (3b)
{式中、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によって異なり、vは0.05~1.10、wは0.05~1.10の数を示す。}で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(3a)で表される化合物は層状構造を有し、上記一般式(3b)で表される化合物はオリビン構造を有する。これらの化合物は、構造を安定化させる等の目的から、Al、Mg、又はその他の遷移金属元素により遷移金属元素の一部を置換したもの、これらの金属元素を結晶粒界に含ませたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したもの、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものであってもよい。
本実施形態における正極活物質としては、上記のようなリチウム含有化合物のみを用いてもよいし、該リチウム含有化合物とともにその他の正極活物質を併用してもよい。
このようなその他の正極活物質としては、例えば、トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物;イオウ;導電性高分子等が挙げられる。トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物としては、例えば、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2、及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物、硫化物、セレン化物等が例示される。
導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子が例示される。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質として、リチウム含有化合物とその他の正極活物質とを併用する場合、両者の使用割合としては、正極活物質の全部に対するリチウム含有化合物の使用割合として、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05μm~100μm、より好ましくは1μm~10μmである。正極活物質の数平均粒子径は、湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計等)により測定することができる。或いは、透過型電子顕微鏡を用いて観察した画像から粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭コンディショニングエンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することによっても得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm~10μm、より好ましくは20nm~1μmである。導電助剤の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。導電助剤の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1~5質量部である。
バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、正極活物質100質量部に対して、6質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5~4質量部である。
イオン輸送性有機物の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、25質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5~20質量部である。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、先ず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤、バインダー、リチウムイオン伝導体等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有スラリーを調製する。溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いてよいが、例えば、N―メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。ここで、正極合剤含有スラリー中の固形分濃度は、好ましくは30~80質量%であり、より好ましくは40~70質量%である。次いで、この正極合剤含有スラリーを正極集電体上に塗布し、乾燥して正極活物質層を形成する。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。正極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよく、メッシュ状に加工されていてもよい。正極集電体の厚みは、5~40μmであることが好ましく、7~35μmであることがより好ましく、9~30μmであることが更に好ましい。
乾燥後に得られた正極活物質層をロールプレス等により圧縮することにより、正極合剤層(正極)が形成される。圧縮後の正極合剤の厚さは、10~300μmであることが好ましく、20~280μmであることがより好ましく、30~250μmであることが更に好ましい。
<6.負極及び負極集電体>
負極は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。本実施形態における好ましい負極は、負極活物質を含有し、場合により導電助剤、バインダー及びイオン輸送性有機物を更に含有する。
負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料、及び金属リチウムから成る群より選ばれる1種以上の材料を含有すると好ましい。そのような材料としては、例えば、金属リチウム、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料;リチウムとの合金を形成可能な元素を含む材料等が挙げられる。上記コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、及び石油コークスが挙げられる。有機高分子化合物の焼成体は、フェノール樹脂、フラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料には、炭素以外に、O、B、P、N、S、Si、SiC、SiO、SiO2、B4C等の、異種元素又は異種化合物を含んでもよい。異種元素又は異種化合物の含有量としては、0~10質量%が好ましい。
上記リチウムとの合金を形成可能な元素を含む材料としては、金属又は半金属の単体、合金、又は化合物であることができ、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するものであってもよい。
本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含まれる。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば、非金属元素を有していてもよい。合金の組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、若しくは金属間化合物、又はこれらのうちの2種以上が共存することができる。
リチウムとの合金を形成可能な金属元素及び半金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、及びイットリウム(Y)が挙げられる。これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましい。特に好ましいのは、リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができる、チタン、ケイ素、及びスズである。
スズの合金としては、スズ以外の第2の構成元素として、例えば、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、及びクロム(Cr)から成る群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、ケイ素以外の第2の構成元素として、例えば、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物、及びケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられる。この場合、チタン、スズ、又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
負極は、負極活物質として、0.4~3V vs.Li/Li+の範囲でリチウムイオンを吸蔵することが可能な金属化合物を含有してもよい。このような金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物、及び金属窒化物が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物(リチウムチタン含有複合酸化物)、タングステン酸化物(例えばWO3)、アモルファススズ酸化物(例えばSnB0.4P0.6O3.1)、スズ珪素酸化物(例えばSnSiO3)、及び酸化珪素(SiO)が挙げられる。これらの中でも、チタン酸化物及びリチウムチタン酸化物が好ましい。
リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造のチタン酸リチウム{例えばLi4+aTi5O12(式中、aは充放電反応により-1≦a≦3の範囲で変化し得る。)}、ラムスデライト構造のチタン酸リチウム{例えばLi2+bTi3O7(式中、bは充放電反応により-1≦b≦3の範囲で変化し得る。)}等が挙げられる。
チタン酸化物としては、充放電前からLiを含むもの又は含まないもののいずれをも用いることができる。充放電前(合成時)にLiを含まないチタン酸化物としては、例えば、酸化チタン(例えばTiO2、H2Ti12O25)、TiとP、V、Sn、Cu、Ni、及びFeより成る群から選ばれる少なくとも1種の元素とを含有するチタン複合酸化物等が挙げられる。TiO2としては、アナターゼ型で熱処理温度が300~500℃の低結晶性のものが好ましい。チタン複合酸化物としては、例えば、TiO2-P2O5、TiO2-V2O5、TiO2-P2O5-SnO2、TiO2-P2O5-MeO(式中、MeはCu、Ni及びFeより成る群から選ばれる少なくとも1種の元素である)が挙げられる。チタン複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相とが共存した、又はアモルファス相単独で存在した、ミクロ構造を有することが好ましい。このようなミクロ構造を有することにより、非水系二次電池のサイクル性能を大幅に向上することができる。
充放電前(合成時)からLiを含むチタン酸化物としては、例えば、LicTiO2(式中、0<c≦1.1である)等が挙げられる。
金属硫化物としては、例えば、硫化チタン(例えばTiS2)、硫化モリブデン(例えばMoS2)、及び硫化鉄(例えば、FeS、FeS2、LigFeS2(式中、gは0≦g≦1である))が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物(例えば、LidCoeN、0<d<4、0<e<0.5)が挙げられる。
本実施形態における非水系二次電池は、電池電圧を高められるという観点から、負極が、負極活物質として、リチウムイオンを0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵する材料を含有することが好ましい。そのような材料としては、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料の他、金属リチウム、金属酸化物、金属窒化物、リチウム合金、スズ合金、シリコン合金、金属間化合物、有機化合物、無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm~100μm、より好ましくは1μm~10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm~10μm、より好ましくは20nm~1μmである。導電助剤の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。導電助剤の含有割合は、負極活物質100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1~10質量部である。
バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、負極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5~6質量部である。
イオン輸送性有機物の含有割合は、負極活物質100質量部に対して、25質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5~20質量部である。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、先ず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤、バインダー、リチウムイオン伝導体等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて、負極合剤含有スラリーを調製する。溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いてよい。例えば、N―メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等を使用することができる。負極合剤含有スラリー中の固形分濃度は、好ましくは30~80質量%であり、より好ましくは40~70質量%である。次いで、この負極合剤含有スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥して負極活物質層を形成する。
負極集電体としては、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。負極集電体は、その表面にカーボンコートが施された態様、メッシュ状に加工された態様であってもよい。負極集電体の厚みは5~40μmであることが好ましく、6~35μmであることがより好ましく、7~30μmであることが更に好ましい。
乾燥後に得られた負極活物質層をロールプレス等により圧縮することにより、負極合剤層(負極)が形成される。圧縮後の負極合剤厚さは10~300μmであることが好ましく、20~280μmであることがより好ましく、30~250μmであることが更に好ましい。
<7.電池外装>
本実施形態における非水系二次電池の電池外装の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成から成るラミネートフィルムを熱溶融樹脂側を内側に向けた状態で2枚重ねて端部をヒートシールにて封止したものを用いることができる。
ラミネートフィルム外装体を用いる場合、正極集電体及び負極集電体にそれぞれ正極端子(又は正極端子と接続するリードタブ)及び負極端子(又は負極端子と接続するリードタブ)を接続し、両端子(又はリードタブ)の端部が外装体の外部に引き出された状態でラミネートフィルム外装体を封止してもよい。
<8.電池の作製方法>
本実施形態の非水系二次電池は、上述の固体電解質積層体を具備することを特徴とする。
本実施形態の非水系二次電池は、例えば、上述の固体電解質積層体、正極、負極を用いて、公知の方法により作製することができる。
先ず、正極、負極、及び固体電解質積層体から成る積層体を形成する。
例えば:
正極と負極とを、その間に固体電解質積層体を介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形する態様;
該積層体を折り曲げる、或いは該積層体の複数を積層する等の処置によって、複数組の正極と負極との間にそれぞれ固体電解質積層体及びセパレータが介在する多層積層体に成形する態様;
等が可能である。
次いで、電池ケース(電池外装)内に上記の積層体を収容して封印することによって、本実施形態における非水系二次電池を作製することができる。
本実施形態の非水系二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形等が好適に採用される。
本実施形態の非水系二次電池は、初回充電により電池として機能し得るが、初回充電の際にリチウムイオン伝導体の一部が分解することにより安定化する。本実施形態における初回充電の方法について特に制限はないが、初回充電が0.001~0.3Cで行われることが好ましく、0.002~0.25Cで行われることがより好ましく、0.003~0.2Cで行われることが特に好ましい。初回充電が、途中に定電圧充電を途中に経由して行われることも好ましい結果を与える。定格容量を1時間で放電する定電流が1Cである。リチウム塩が電気化学的な反応に関与する電圧範囲を長く設定することによって、SEI(Solid Electrolyte Interface:固体電解質界面)が電極表面に形成され、正極を含めた内部抵抗の増加を抑制する効果があることの他、反応生成物が負極のみに強固に固定化されることなく、何らかの形で、正極、固体電解質積層体等の、負極以外の部材にも良好な効果を与える。このため、電解液に溶解したリチウム塩の電気化学的な反応を考慮して初回充電を行うことは、非常に有効である。
本実施形態の非水系二次電池は、複数個を直列又は並列に接続した電池パックとして使用することもできる。電池パックの充放電状態を管理する観点から、1個当たりの使用電圧範囲は2~5Vであることが好ましく、2.5~5Vであることがより好ましく、2.75V~5Vであることが特に好ましい。
以下、実施例によって本発明を例示するが、これら実施例は本発明を限定するものではない。
[実施例1]
リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(LiN(SO
2CF
3)
2、以下、「LiTFSI」という)と、下記繰り返し単位(a)からなるシアノ基含有水素化ニトリルゴム(HNBR)と、ポリエチレンオキサイド(PEO)とをアセトニトリルに溶解させ、LiTFSI塩濃度が0.60mol/Lとなるように、またHNBRとアセトニトリルのシアノ基の比率が3:7になるようにイオン輸送性有機物を調製した。
{式中、x、y及びzは、それぞれ独立に、任意の数であり、シアノ基の上記比率に応じて決定されることができる}
また基材として、別途以下の方法により、積層不織布を作製した。
極細繊維不織布層(I層)用の極細繊維ウェブを得るために、ポリエチレンテレフタレート(PET)の溶液(o-クロロフェノール(OCP)を溶媒として用い、温度35℃で測定した溶液粘度:ηsp/c=0.50を有するもの)を用い、紡糸温度300℃、加熱空気1000Nm3/hr/mの条件下で、移動する捕集ネットに向けて押し出し、メルトブロウン法により紡糸した。この際、メルトブロウンノズルから極細繊維ウェブまでの距離を100mmとし、メルトブロウンノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/secに設定した。繊維径及び結晶化度の調整は、加熱空気量を調整することにより行う。得られたメルトブロウン層は繊維径平均1.6μm、目付2.0g/m2であった。
次に熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)を得るために、汎用的なPET(熱可塑性樹脂として)の溶液(OCPを溶媒として用い、温度35℃で測定した溶液粘度:ηsp/c=0.67を有する)(溶液粘度は、温度35℃の恒温水槽中の粘度管で測定した。以下同じ。)を用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメント群を、紡糸速度4500m/分で紡糸し、極細繊維ウェブ上に吹き付けた。次いで、コロナ帯電で繊維を3μC/g程度帯電させてフィラメント群を十分に開繊させ、極細繊維で構成される不織布層(I層)/熱可塑性樹脂長繊維で構成される不織布層(II層)からなる積層ウェブを得た。繊維径の調整は、牽引条件を変えることにより行った。スパンボンド層は繊維径平均10μm、目付2.0g/m2であった。
上記で得た積層ウェブ上に、上記の不織布層(I層)としての極細繊維ウェブの形成と同様の方法で、不織布層(I層)を繊維径平均1.6μm、目付2.0g/m2になるように積層した。これにより、I層/II層/I層からなる積層ウェブを得た。得られた積層ウェブを、120℃に加温したフラットロールにて熱接着した後、70℃に加温したカレンダーロールにて厚みを調整した。得られた積層不織布の厚みは20μmであった。
製造した積層不織布に対して、LiTFSI:HNBR:PEO:アセトニトリル混合物からなるイオン輸送性有機物をダイコートにて塗工した。バックロールは配さず、基材が垂直となるように配置し、ダイヘッドを側方より押し付けた。混合物が不織布を通過し、裏抜け、ダイ塗工面と反対の面に塗膜が形成することを確認し、60℃の乾燥炉を通過させることで、総厚が32μm、積層不織布の基材部の厚さが20μm、その両面に厚さ6μmの電解質層が形成されている電解質積層体を得た。この電解質積層体における、基材部を含まない電解質層の組成を解析したところ、HNBRとアセトニトリルのシアノ基比率は3:5、LiTFSI塩濃度は、0.75mol/Lとなっていた。一方、基材部における電解質の組成は、ほぼ塗工時の組成のままであり、異なるイオン輸送性有機物の積層体になっていることが分かった。
カソードは、カーボンベース層で被覆されたアルミニウムから作られた集電体上に配置された40μmの複合材料の膜であり、該複合材料は、電極の活性材料としてのニッケル-コバルト-マンガン酸化物正極(Ni:Mn:Co=5:2:3)、電子伝導性を生じさせる材料としてのカーボンブラック、及びイオン輸送性有機物として1.5mol/Lの比率で混合されたLiTFSIを、HNBRとPEOとともに含むものだった。目付は1.5mA/cm2であった。カソードとアノードの間に挟む電解質積層体は、上記で作製したものを用いた。アノードは、グラファイト:SiO=95:5(質量比)を含み、電子伝導性を生じさせる材料としてカーボンナノチューブ、イオン輸送性有機物として1.5mol/Lの比率で混合されたLiTFSIを、HNBRとPEOとともに含むものだった。目付は1.7mA/cm2であった。これらを積層し、アルミラミネートフィルム外装体により封止した。その後50℃、1MPaの圧力で100秒間プレスした。これにより、カソード/(LiTFSI:HNBR:PEO:アセトニトリル)/アノード素子を含む電池を得た。
[実施例2]
実施例1と同様にして、LiTFSI、HNBR及びPEOをアセトニトリルに溶解させ、LiTFSI塩濃度が0.60mol/Lとなるように、またHNBRとアセトニトリルのシアノ基比率が3:7になるようにイオン輸送性有機物を調製した。これに繊維径10μm,長さ3mmの短繊維PETを加えて混錬し、離型フィルム上にアプリケータにて塗工した後60℃で乾燥し、支持体である短繊維PETとイオン輸送性有機物とが融合した電解質フィルムを得た。
同じ組成からなるLiTFSI:HNBR:PEO:アセトニトリル混合物を、上記電解質フィルム上にアプリケータで塗工し、再度60℃で乾燥させた。離型処理フィルムを貼り合わせて、上記電解質フィルムの裏面にも同様に塗工・乾燥し、電解質積層体とした。電解質積層体の各層の膜厚は、短繊維PETを含む層が15μm、両面に配した層がともに9μmであり、そして総厚33μmであった。なお、短繊維PETを含まない電解質層のLiTFSI塩濃度は0.75mol/Lとなるように乾燥時間を調節した。電池は、実施例2で作製の電解質積層体を使用する以外は、実施例1と同様に作製し、評価した。
[実施例3]
実施例1と同様にして、LiTFSI、HNBR及びPEOをアセトニトリルに溶解させ、LiTFSI塩濃度が0.60mol/Lとなるように、またシアノ基含有水素化ニトリルゴムとアセトニトリルのシアノ基比率が3:7になるようにイオン輸送性有機物を調製した。
また、基材として、別途以下の方法により、不織布を作製した。
熱可塑性樹脂繊維で構成される不織布層(II層)を得るために、汎用的なPET(熱可塑性樹脂として)の溶液(OCPを溶媒として用い、温度35℃で測定した溶液粘度:ηsp/c=0.67を有する)を用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメント群を、紡糸速度4500m/分で紡糸し、極細繊維ウェブ上に吹き付けた。次いで、コロナ帯電で繊維を3μC/g程度帯電させてフィラメント群を十分に開繊させ、熱可塑性樹脂長繊維で構成される不織布を得た。繊維径の調整は、牽引条件を変えることにより行った。スパンボンド層は繊維径平均10μm、目付6.0g/m2であった。このようにして得られた不織布層(II層)と、実施例1と同様の2つの不織布層(I層)とを積層して、120℃に加温したフラットロールにて熱接着した後、70℃に加温したカレンダーロールにて厚みを調整した。得られた積層不織布の厚みは20μmであった。
製造した積層不織布に対して実施例1と同じイオン輸送性有機物を実施例1と同様にダイコートにて塗工し、総厚が32μm、積層不織布の基材部の厚さが20μm、その両面に厚さ6μmの電解質層が形成されている電解質積層体を得た。この電解質積層体における、基材部を含まない電解質層の組成を解析したところ、HNBRとアセトニトリルのシアノ基比率は3:5、LiTFSI塩濃度は0.75mol/Lとなっていた。一方、基材部における電解質の組成は、ほぼ塗工時の組成のままであり、異なるイオン輸送性有機物の積層体になっていることが分かった。電池は、実施例3で作製の電解質積層体を使用する以外は、実施例1と同様に作製し、評価した。
[レート試験、サイクル試験、インピーダンス測定]
得られた電池のコンディショニング条件は、以下のとおりである。電池を1MPaの圧力で拘束し、充電は0.1CのCCCV充電で実施した。CV時間は1時間とし、終止電圧は4.2Vに設定した。放電は0.1CのCC放電で実施した。終止電圧は3.0Vに設定した。その後、放電容量を算出するため、下記の条件で容量を確認した。充電は0.1CのCCCV充電で実施した。CV時間は1時間とし、終止電圧は4.2Vに設定した。放電は0.1CのCC放電で実施した。終止電圧は3.0Vに設定した。
レート試験に条件は以下のとおりである。コンディショニング及び放電容量を確認したセルに対して、2Cの電流値に変更し、放電容量確認時と同様の電圧制御と終止条件で行った。
サイクル試験の条件は以下のとおりである。放電容量を確認したセルは各拘束圧条件に設定しなおし、充電は1CのCCCV充電で実施した。CV時間は1時間とし、終止電圧は4.2Vに設定した。放電は1CのCC放電で実施した。終止電圧は3.0Vに設定した。サイクル試験における放電容量維持率は1回目の1Cの放電容量を基準に算出した。
インピーダンス測定は下記のとおりに実施した。
実施例1から実施例3を比較すると、実施例1は、いずれの拘束圧でもサイクル劣化はせず、200サイクルを超えてもなお、80%以上の放電容量維持率を示すのに対し、実施例2および実施例3では、5MPaの拘束圧において200サイクルに到達する前に、放電容量が80%を切っている。これは、負極の膨張収縮によって、電解質の流動が発生し、基材と電極が接触したことを意味していると推察される。実施例2の短繊維補強では、毛羽立ちが電極と接触したためと考えられる。また、実施例3の長繊維単層の場合には、細い繊維層がないことで電解質の基材の一体性に欠け、サイクルとともに、電解質が流動し、スパンボンド層と電極が接触し、抵抗の増大等を引き起こしていると推察される。実施例2および実施例3では、基材としてPETを用いているので、基材と電極の接触を、インピーダンス測定やDC-IR測定やレート測定など煩雑なプロセスを経ることなく、放電容量維持率の低下として容易に判定できた。1MPa、3MPaの範囲でコントロールすれば良好な界面を維持できることが、サイクル試験から容易に判定できた。
[組成解析とちょう度測定]
実施例1から実施例3のセルを解体し、基材部を含む第二の電解質層の組成を解析したところ、いずれのセルもLiTFSI塩濃度は0.9mol/L、HNBRとアセトニトリルの比率は1:1である混合物になっていることが分かった。また、カソードとアノードの組成も同様であった。アセトニトリルがカソードとアノードに分配された結果、上記の塩濃度になっていると推察される。この基材部を含む第二の電解質層と同じ組成のイオン輸送性有機物のちょう度を測定したところ、160という値を得た。
[比較例1]
実施例1と同じ積層不織布を用意し、実施例1と同じ組成のイオン輸送性有機物をダイコートにて塗工した。比較例1では、バックロールを配し、基材が垂直となるように配置し、ダイヘッドを側方より押し付けた。混合物が不織布を通過し、裏抜け、バックロールが混合物で濡れていることを確認し、60℃の乾燥炉を通過させることで、総厚が26μm、積層不織布の基材部の厚さが20μm、その片面に厚さ6μmの電解質層が形成されている電解質積層体を得た。この電解質積層体における、基材部を含まない電解質層の組成を解析したところ、HNBRとアセトニトリルのシアノ基比率は3:5、LiTFSI塩濃度は、0.75mol/Lとなっていた。
カソードおよびアノードは、実施例1と同様に作製し、上記[比較例1]で作製した電解質積層体の厚さ6μmの電解質層が形成されている面をアノード側へ当接させて、アルミラミネートフィルム外装体により封止した。その後、50℃の温度及び1MPaの圧力で封止体を100秒間プレスした。これにより、カソード/(LiTFSI:HNBR:PEO:アセトニトリル)/アノード素子を含む電池を得た。
[比較例2]
繊維径10μm、目付6g/m2、厚さ20μmのポリプロピレン(PP)製不織布を用意し、実施例1と同じ組成のイオン輸送性有機物を比較例1と同様にダイコートにて塗工し、総厚が26μm、積層不織布の基材部の厚さが20μm、その片面に厚さ6μmの電解質層が形成されている電解質積層体を得た。この電解質積層体における、基材部を含まない電解質層の組成を解析したところ、HNBRとアセトニトリルのシアノ基比率は3:5、LiTFSI塩濃度は0.75mol/Lとなっていた。
比較例1と同様に、上記[比較例2]で作製した電解質積層体の厚さ6μmの電解質層が形成されている面をアノード側へ当接させるようにして、カソード/(LiTFSI:HNBR:PEO:アセトニトリル)/アノード素子を含む電池を得た。
[比較例3]
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)とポリアクリロニトリルとアセトニトリルとを混合し、LiPF6:ポリアクリロニトリル:アセトニトリル混合物を、実施例1と同様に用意した積層不織布に対して、実施例1と同様の手順で、ダイコートにて塗工した。バックロールを配さず、基材が垂直となるように配置し、ダイヘッドを側方より押し付けた。混合物が不織布を通過し、裏抜けし、塗膜が形成されていることを確認し、60℃の乾燥炉を通過させた。乾燥炉通過後のフィルムの両面に離型処理フィルムを貼り合わせて巻き取った。塗工された不織布を抜き取って、組成を解析したところ、アクリロニトリルとアセトニトリルのシアノ基比率が、1:9となっていた。また、塩濃度は、0.7mol/Lとなっていた。このようにして総厚が32μmの電解質積層体を得た。その両面に厚さ6μmの電解質層が形成されていることを確認した。
カソードおよびアノードは、シアノ基含有水素化ニトリルゴムをポリアクリロニトリルに変更した以外は実施例1と同様に作製し、上記[比較例3]で作製した電解質積層体をアノードとカソードで挟み込み、アルミラミネートフィルム外装体により封止した。その後、50℃の温度及び1MPaの圧力で封止体を30秒間プレスした。これにより、カソード/(LiPF6:ポリアクリロニトリル:アセトニトリル)/アノード素子を含む電池を得た。
[レート試験、サイクル試験、インピーダンス測定]
比較例1~3で得られた電池に対して、実施例と同様の手順で、コンディショニング、放電容量の算出、レート試験、及びサイクル試験を実施した。
比較例1では、コンディショニングの段階で不可逆容量が大きく、測定できなかった。これは、PET基材が正極に当接していることにより、副反応が進行したためと推察される。基材と電極が接触したセルは、非液系電池においては特性が不良になるために、早期に除外すべきであり、基材が不可逆容量として初充放電の段階で判明し、インピーダンス測定やDC-IR測定やレート測定など煩雑なプロセスを経ることなく、容易に判定できているとして評価できる。
比較例2では、基材にPPを用いているが、この場合、レート試験を実施すると50%の容量しか出ていないこと、インピーダンス測定によって界面抵抗があることがあることが分かった。PPは分解しないため、初充放電の段階では、レート試験の結果やインピーダンス測定の結果を予想することはできなかった。
比較例3ではサイクル特性が悪く、充放電時のセルの拘束圧を上げるほど劣化が激しい。負極の大きな膨張収縮や、外部の拘束圧により、電解質が変形し、基材が電極に接触したためと考えられる。これは、電解質にポリアクリロニトリルを用いて、その比率をアセトニトリルの9分に1に抑えており、電解質のちょう度は450という低粘度であったためであると考えられる。非液系電解質においては、電解質粘度が重要で、適切な粘度範囲で、所望の特性が発現されることが分かった。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。