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JP7645109B2 - セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム - Google Patents
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JP7645109B2 - セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム - Google Patents

セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム Download PDF

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Description

本発明は、セラミックグリーンシートを製造する工程で使用する剥離フィルムに関するものである。
従来より、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板といった積層セラミック製品を製造するには、セラミックグリーンシートを成形し、得られたセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成することが行われている。
セラミックグリーンシートは、チタン酸バリウムや酸化チタンなどのセラミック材料を含有するセラミックスラリーを剥離フィルム上に塗工することにより成形される。剥離フィルムには、当該剥離フィルム上に成形した薄いセラミックグリーンシートから当該剥離フィルムを、ヒビ、破断等が生じることなく、適度な剥離力により剥離できる剥離性が要求される。
上記剥離フィルムとしては、通常、フィルム状の基材に剥離剤で剥離処理し、剥離剤層を形成したものが使用されている(特許文献1~2)。
特開2020-49803号 特許第6610810号
近年、積層セラミック製品の精密化および小型化が求められており、成形されるセラミックグリーンシートの薄膜化も進んでいる。このような薄膜化が進むほど、剥離フィルムからのセラミックグリーンシートの剥離が難しいものとなる。そのため、セラミックグリーンシートをより剥離し易い剥離フィルムが求められている。
ところで、本発明者らは、成形されたセラミックグリーンシートを剥離フィルム上で裁断したときに、裁断刃によってセラミックグリーンシートが分断されて生じるセラミックグリーンシートの端部(以下、「裁断部」という場合がある。)が、剥離フィルムから浮いた状態となることに着目した。特に、発明者らは、このような「浮き」を、セラミックグリーンシートを剥離する際の起点として有効に利用できることを見出した。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、セラミックグリーンシートを剥離し易いセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムであって、前記セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムにおける前記剥離剤層側に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線において、弾性変形仕事率が45%以上であり、弾性変位量が1.90μm以下であり、塑性変位量が1.12μm以下であることを特徴とするセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)において、前記基材は、フィラーを含有することが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)において、前記フィラーは、ハイドロキシアパタイト系フィラーであることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明2,3)において、前記基材は、前記フィラーを含有する第1の樹脂層、および前記第1の樹脂層の片面側に積層され且つ前記フィラーを含有しない第2の樹脂層を少なくとも備えることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)において、前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)は、1nm以上、20nm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1~5)において、前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における最大突起高さ(Rp)は、10nm以上、200nm以下であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1~6)において、前記剥離剤層の厚さは、10nm以上、1000nm以下であることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1~7)において、前記基材の厚さは、10μm以上、100μm以下であることが好ましい(発明8)。
本発明に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムは、当該剥離フィルム上でセラミックグリーンシートを裁断する際に、裁断部に浮きが発生し易い。当該浮きは、セラミックグリーンシートを剥離する際のきっかけとして有効に利用できる。そのため、本発明に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムは、セラミックグリーンシートを剥離し易いものである。
本発明の一実施形態に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの断面図である。 本発明の一実施形態に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム上において、セラミックグリーンシートを裁断する際の様子を模式的に示した断面図である。 本発明の一実施形態に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム上において、セラミックグリーンシートを裁断する際の様子を拡大して模式的に示した断面図である。 従来のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム上において、セラミックグリーンシートを裁断する際の様子を拡大して模式的に示した断面図である。 荷重変位曲線を概略的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの一例の断面図である。図示されるように、本実施形態に係るセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム(以下、単に「剥離フィルム」という場合がある。)1は、基材11と、基材11の片側に設けられた剥離剤層12とを備える。また、本実施形態に係る剥離フィルム1は、基材11と剥離剤層12との間に、中間層をさらに備えても良い。
本実施形態に係る剥離フィルム1では、剥離フィルム1における剥離剤層12側に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線において、弾性変形仕事率が45%以上であり、弾性変位量が1.90μm以下であり、塑性変位量が1.12μm以下である。
これらの物性を満たす本実施形態に係る剥離フィルム1は、成形したセラミックグリーンシートを剥離フィルム1上で裁断する際に、セラミックグリーンシートの裁断部において、効果的に浮きを発生させることができる。図2には、このような裁断を行う際の様子が模式的に示されている。図示されるように、裁断は、成形されたセラミックグリーンシート2と剥離フィルム1との積層体を支持台3上に載置した状態で、裁断刃4を用いて行われる。このとき、裁断刃4は、セラミックグリーンシート2側の面から入れられ、剥離フィルム1の一部が裁断されるまで押し下げられる。これにより、セラミックグリーンシート2が完全に分断される。本実施形態に係る剥離フィルム1を使用した場合、裁断刃4が入った位置(裁断部)において、セラミックグリーンシート2の端部が剥離フィルム1から局所的に分離してなる「浮き5」が発生し易いものとなる。この浮き5は、裁断の後に、セラミックグリーンシート2と剥離フィルム1とを分離する際の起点として有効に利用できる。すなわち、この浮き5の位置において剥離フィルム1のみを容易に把持することができ、セラミックグリーンシート2に対して不用意な負荷をかけることなく、セラミックグリーンシート2と剥離フィルム1とを良好に分離することが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る剥離フィルム1において浮き5が生じ易い理由としては、以下のことが考えられる。但し、以下の理由に限定されるものではなく、その他の事象との複合的な理由や、全くことなる理由が存在する可能性も否定されない。
図3には、本実施形態に係る剥離フィルム1において、セラミックグリーンシート2を裁断する際の様子が模式的に示される。特に、図3は、裁断される部分を拡大して示した図である。本実施形態に係る剥離フィルム1では、上述した物性を満たすことにより、図3(a)に示すように裁断刃4を押し込んだ際、セラミックグリーンシート2が剥離フィルム1に追随し難いものとなる。それにより、セラミックグリーンシート2の切断によって生じる端部が剥離フィルム1から良好に分離し、浮き5が生じる。さらに、図3(b)に示すように、裁断刃4を引き戻す際においては、本実施形態に係る剥離フィルム1が勢いよく復元し、それによって、セラミックグリーンシート2の端部と剥離フィルム1との距離(図中、「h」で示される距離;以下では、浮き5の「高さ」という場合がある。)がより大きなものとなる。その結果、本実施形態に係る剥離フィルム1では、大きな浮き5が生じ、良好にセラミックグリーンシート2を剥離できるものとなる。
一方、図4には、従来の剥離フィルム1’において、セラミックグリーンシート2を裁断する際の様子が模式的に示される。特に、図4は、裁断される部分を拡大して示した図である。従来の剥離フィルム1’では、図4(a)に示すように裁断刃4を押し込んだ際、セラミックグリーンシート2が剥離フィルム1に追随してしまう。それにより、セラミックグリーンシート2の切断によって生じる端部は、剥離フィルム1にほぼ密着したままとなり、良好な浮き5が生じない。さらに、図4(b)に示すように、裁断刃4を引き戻す際においては、従来の剥離フィルム1’の復元が不十分となり、セラミックグリーンシート2の端部と剥離フィルム1’との距離(図中、「h’」で示される距離)が十分に大きくならない。その結果、従来の剥離フィルム1’では、セラミックグリーンシート2を剥離することが困難となる。
本実施形態に係る剥離フィルム1では、剥離フィルム1における剥離剤層12に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線における弾性変形仕事率(以下、単に「弾性変形仕事率」という場合がある。)が、45%以上であり、特に48%以上であることが好ましく、さらには50%以上であることが好ましい。弾性変形仕事率の下限値が、上記の範囲であることにより、剥離フィルム1はセラミックグリーンシートを裁断する際に印加される力により変形しても復元し易くなる。これにより、セラミックグリーンシート2の裁断時に、裁断部のセラミックグリーンシート2に浮き5が発生し易くなり、その結果、剥離性がより優れたものとなる。
また、本実施形態に係る剥離フィルム1は、弾性変形仕事率が、55%以下であることが好ましく、特に53%以下であることが好ましく、さらには52%以下であることが好ましい。弾性変形仕事率の上限値が、上記の範囲であることにより、裁断刃4の摩耗を抑制し易いものとなる。なお、当該弾性変形仕事率の算出方法は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る剥離フィルム1では、剥離フィルム1における剥離剤層12に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線における弾性変位量(以下、単に「弾性変位量」という場合がある。)が、1.90μm以下である。弾性変位量の上限値が、上記の範囲であることにより、剥離フィルム1の脆性が抑制され、裁断で切込まれた剥離フィルムの引張強度が維持されることによりセラミックグリーンシート2の加工性が良好となる。
また、本実施形態に係る剥離フィルム1は、弾性変位量が、1.50μm以上であることが好ましく、特に1.70μm以上であることが好ましく、さらには1.80μm以上であることが好ましい。弾性変位量の下限値が、上記の範囲であることにより、裁断された直後の剥離フィルム1の復元距離が十分となり、セラミックグリーンシートの浮き5の高さも大きくなりやすくなる。
本実施形態に係る剥離フィルム1では、剥離フィルム1における剥離剤層12に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線における塑性変位量(以下、単に「塑性変位量」という場合がある。)が、1.12μm以下であり、特に1.10μm以下であることが好ましく、さらには1.08μm以下であることが好ましい。塑性変位量の上限値が、上記範囲であることにより、セラミックグリーンシート2の端部が裁断刃4に追随して剥離フィルム1に押し込まれ難くなる。これにより、セラミックグリーンシート裁断時に、セラミックグリーンシート2の裁断部に浮き5が発生し易くなり、その結果、剥離性がより優れたものとなる。
また、本実施形態に係る剥離フィルム1は、塑性変位量が、1.00μm以上であることが好ましく、特に1.02μm以上であることが好ましく、さらには1.04μm以上であることが好ましい。塑性変位量の下限値が、上記の範囲であることにより、浮き5の高さをより大きくしやすくなる。
1.セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの物性等
本実施形態に係る剥離フィルム1において、剥離剤層12の基材11とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)は、20nm以下であることが好ましく、特に15nm以下であることが好ましく、さらには10nm以下であることが好ましい。セラミックグリーンシートの薄膜化に伴い、剥離フィルム1の剥離剤層12表面は、より高い平滑性が求められている。上記算術平均粗さの上限値が上記範囲であることにより、均一なセラミックグリーンシートを形成することができる。また、上記算術平均粗さ(Ra)の下限値は特に限定されないが、1nm以上であることが好ましく、特に1.5nm以上であることが好ましく、さらには2nm以上であることが好ましい。なお、当該算術平均粗さ(Ra)の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る剥離フィルム1において、剥離剤層12の基材11とは反対側の面における最大突起高さ(Rp)は、200nm以下であることが好ましく、特に150nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下であることが好ましい。高積層・高集積な積層セラミックコンデンサ(MLCC)では、1.0μm以下といった厚さのセラミックグリーンシートが要求される。上記最大突起高さの上限値が上記範囲であることにより、セラミックグリーンシートが薄膜であっても、製造時におけるピンホールの発生を抑制し易いものとなる。また、上記最大突起高さ(Rp)の下限値は特に限定されないが、10nm以上であることが好ましく、特に20nm以上であることが好ましく、さらには30nm以上であることが好ましい。なお、当該最大突起高さ(Rp)の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
本実施形態に係る剥離フィルム1の剥離面上に成形されたセラミックグリーンシートから、当該剥離フィルム1を剥離する際に要する剥離力は、適宜設定することができるが、100mN/40mm以下であることが好ましく、特に50mN/40mm以下であることが好ましく、さらには30mN/40mm以下であることが好ましい。上記剥離力の上限値が上記範囲にあることにより、より優れた剥離性を発揮することができる。また、上記剥離力の下限値については、成形されたセラミックグリーンシートからの意図しない剥離が生じない剥離力であることが好ましく、例えば、5mN/40mm以上であることが好ましく、特に10mN/40mm以上であることが好ましい。なお、当該剥離力の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
裁断部におけるセラミックグリーンシートの浮き5の高さ(図3(b)中、「h」で示される高さ)は、1.0μm以上であることが好ましく、特に1.5μm以上であることが好ましく、さらには2.0μm以上であることが好ましい。また、上記浮き5の高さは、10μm以下であることが好ましく、特に8μm以下であることが好ましく、さらには5μm以下であることが好ましい。
2.基材
本実施形態に係る剥離フィルム1の基材11は、剥離フィルム1を構成したときに前述した荷重変位曲線に関する条件を満たすとともに、剥離剤層12を積層することができれば、特に限定されるものではない。かかる基材11の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-ポリプロピレンランダム共重合体等のプロピレン系共重合体;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、その他のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合体;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル共重合体;ポリウレタン;ポリイミド;ポリスチレン;ポリカーボネート;フッ素樹脂等が挙げられる。また、これらを架橋したものや、これらのアイオノマー等を材料としてもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。上述した材料の中でも、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いという観点から、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。
基材11は、上述した材料の1種からなるフィルムであってもよく、上述した材料の複数種からなるフィルムであってもよい。さらに、基材11は、このようなフィルムが複数積層されてなる積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。
また、基材11は、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いという観点から、フィラーを含有することが好ましく、特に、上述した樹脂に対してフィラーを添加したものであることが好ましい。当該フィラーは、前述した荷重変位曲線に関する条件の達成を可能とするものであれば特に限定されず、無機フィラーであっても、有機フィラーであってもよい。特に、上記フィラーは、無機フィラーであることが好ましく、例えば、シリカ、ハイドロキシアパタイト、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム等のフィラーが挙げられる。これらの中でもハイドロキシアパタイト系のフィラーが好ましい。これらのフィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フィラーの平均粒径は、100nm以上であることが好ましく、特に200nm以上であることが好ましく、さらには300nm以上であることが好ましい。また、上記フィラーの平均粒径は、2000nm以下であることが好ましく、特に1800nm以下であることが好ましく、さらには1500nm以下であることが好ましい。上記フィラーの平均粒径が上記範囲であることにより、得られる剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いものとなる。
基材11がフィラーを含有する場合(基材11が、その全体にわたってフィラーを含有する場合;後述する第1の樹脂層を備える場合は除かれる)、当該基材11中におけるフィラーの含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、特に0.6質量%以上であることが好ましい。また、上記フィラーの含有量は、1.5質量%以下であることが好ましく、特に1.4質量%以下であることが好ましい。上記フィラーの含有量が、上記範囲であることにより、得られる剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いものとなる。
また、基材11は、フィラーを含有する層(第1の樹脂層)と、当該第1の樹脂層の片面側に積層され且つフィラーを含有しない層(第2の樹脂層)とを少なくとも備えるものであることも好ましい。このように第1の樹脂層と第2の樹脂層とを備えることにより、基材11から構成される剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を更に満たし易いものとなる。第1の樹脂層および第2の樹脂層は、それぞれ、基材11中に1層のみ備わっていてもよく、2層以上備わっていてもよい。典型的な例として、第1の樹脂層と第2の樹脂層と第1の樹脂層とがこの順に積層されてなる基材11が挙げられる。
基材11の製造方法は、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たすことが可能となる限り特に限定されず、例えば一般的な方法により製造することができる。例としては、上述した樹脂を溶融押出成形法、カレンダー法等によりフィルム状に成形することで基材11を得ることができる。
また、上述したフィラーを含有する基材11(第2の樹脂層を備えない基材11)を製造する場合には、上述した樹脂にフィラーを添加したものを用いて、上記と同様にフィルム状に成形することで基材11を得ることができる。
上記第1の樹脂層および上記第2の樹脂層を備える基材11についても、製造方法は特に限定されない。例えば、上述した樹脂を押出成形する際に、フィルム状に成形された直後の樹脂層の表面に上記フィラーを供給し、当該樹脂層の表層のみにフィラーが偏在させることで、基材11を得ることができる。この場合、フィラーが存在する表層として第1の樹脂層が形成され、フィラーが存在しない中心層として第2の樹脂層が形成される。別の製造方法としては、まず、フィラーを添加した樹脂(第1の樹脂層用の樹脂)、およびフィラーを添加していない樹脂(第2の樹脂層用樹脂)をそれぞれ準備した後、これらを共押出成形することで基材11を得ることもできる。また、これらの樹脂を個々にフィルム状に成形した後、得られた層を積層することで基材11を得てもよい。
基材11においては、その表面に設けられる剥離剤層12等との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材11の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
基材11の幅方向(基材11の製造時の流れ方向に対して直交する方向;以下「TD方向」という場合がある。)の破断応力は、200MPa以上であることが好ましく、特に220MPa以上であることが好ましく、さらには240MPa以上であることが好ましい。また、基材11の幅方向の破断応力は、340MPa以下であることが好ましく、特に320MPa以下であることが好ましく、さらには320MPa以下であることが好ましい。基材11の破断応力が上記範囲であることにより、各工程で必要とされる強度を十分に保つとともに、樹脂の結晶性が高まり、剥離フィルム1が大きな弾性変形仕事率を達成し易いものとなる。なお、上記破断応力の測定方法の詳細は後述する実施例に記載の通りである。
また、基材11の幅方向(TD方向)の破断伸度は、80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。また、基材11の幅方向の破断伸度は、120%以下であることが好ましく、特に110%以下であることが好ましく、さらには105%以下であることが好ましい。基材11の破断伸度が上記範囲であることにより、剥離フィルム1が塑性変形しにくくなり、また、剥離フィルム1が裁断刃4で切れにくくなることで、セラミックグリーンシート2の切断性がより良好となる。なお、上記破断伸度の測定方法の詳細は後述する実施例に記載の通りである。
基材11の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましく、さらには20μm以上であることが好ましい。また、基材11の厚さは、100μm以下であることが好ましく、特に50μm以下であることが好ましく、さらには38μm以下であることが好ましい。基材11の厚さが上記範囲にあることにより、得られる剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いものとなる。
3.剥離剤層
剥離剤層12を構成する剥離剤としては、剥離フィルム1を構成したときに、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たすものである限り特に限定されない。例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アクリル系剥離剤、アルキド系剥離剤、長鎖アルキル基系剥離剤、熱可塑性樹脂系剥離剤等を使用することができる。中でも剥離剤層12を構成する剥離剤としては、シリコーン系剥離剤を使用することが好ましい。これらの剥離剤は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン系剥離剤としては、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のいずれを使用してもよい。これらの中でも付加反応型シリコーン系剥離剤が、反応性が高く生産性に優れるとともに、剥離力の継時的変化が小さく、硬化収縮が無い等の効果に優れるため特に好ましい。
付加反応型シリコーン系剥離剤としては、例えば、アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン化合物よりなる主剤および付加反応を促進する触媒を含む剥離剤組成物が挙げられる。当該剥離剤組成物は、さらに、架橋剤を含んでもよい。
主剤や架橋剤を構成するポリオルガノシロキサン化合物の主骨格は、例えば、ポリジメチルシロキサンやジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体などが用いられる。主剤のポリオルガノシロキサンに用いられるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。ポリオルガノシロキサンにおける上記アルケニル基の位置は、分子末端であってもよいし側鎖であってもよい。主剤としてのポリオルガノシロキサンは、1分子に2個以上のアルケニル基を備えることが好ましい。
主剤としてのポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、50,000以上であることが好ましく、特に100,000以上であることが好ましく、さらには150,000以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、特に800,000以下であることが好ましく、さらには600,000以下であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量が上記範囲であることにより、優れた塗工性を達成し易いものとなる。また、ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量が50,000以上であることにより、剥離剤組成物の塗工粘度が低くなり過ぎることを防止でき、ハジキの発生を抑制し、均一な面状態の剥離剤層12を得易くなる。さらに、ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量が1,000,000以下であることにより、剥離剤組成物の塗工粘度の上昇を効果的に抑えることができ、希釈溶剤への溶解性を良好に確保することができる。
上記架橋剤に用いられるポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
また、上記触媒としては、剥離剤組成物を硬化させることができるものであれば特に限定されないが、具体的には、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム等の白金属系化合物等が挙げられる。上記触媒の含有量は、触媒以外の成分の合計量に対し、1ppm以上、1000ppm以下程度であることが好ましい。
更に、付加反応型シリコーン系剥離剤は、所望により、付加反応抑制剤、剥離調整剤、密着向上剤などを含有してもよい。また、剥離剤層12を構成する材料として、上記剥離剤に加えて、帯電防止剤、染料、顔料その他の添加剤を使用していてもよい。
剥離剤層12の厚さは、10nm以上であることが好ましく、特に15nm以上であることが好ましく、さらには20nm以上であることが好ましい。また、剥離剤層12の厚さは、1000nm以下であることが好ましく、特に800nm以下であることが好ましく、さらには500nm以下であることが好ましい。剥離剤層12の厚さが上記範囲にあることにより、得られる剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いものとなる。
4.中間層
本実施形態に係る剥離フィルム1においては、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易くする観点から、基材11と剥離剤層12との間に中間層を設けてもよい。当該中間層の材料としては、特に限定されないものの、例えば、紫外線硬化性樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
剥離フィルム1が中間層を備える場合、当該中間層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましく、さらには20μm以上であることが好ましい。また、中間層の厚さは、1000μm以下であることが好ましく、特に800μm以下であることが好ましく、さらには500μm以下であることが好ましい。中間層の厚さが上記範囲にあることにより、得られる剥離フィルム1が、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たし易いものとなる。
5.セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの製造方法
本実施形態に係る剥離フィルム1は、例えば、基材11の一方の面に、剥離剤組成物および所望により有機溶剤を含有する塗工液を塗工した後、乾燥し、硬化させて剥離剤層12を形成することにより得られる。上記塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
上記有機溶剤としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびこれらの混合物等が用いられる。
上記のように剥離剤組成物を塗工して得られた塗膜は、熱硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は90℃以上、140℃以下であることが好ましく、加熱時間は10秒以上、120秒以下程度であることが好ましい。また、必要に応じて紫外線を照射することにより、剥離剤組成物の硬化を促進させてもよい。
本実施形態に係る剥離フィルム1が中間層を備える場合、当該中間層の形成方法としては、中間層の材料に応じた一般的な方法を用いて、基材11の片面に中間層を形成することができる。その後、当該中間層における基材11とは反対の面に、上述した方法により剥離剤層12を形成することで、剥離フィルム1を得ることができる。
6.セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの使用方法
本実施形態に係る剥離フィルム1は、セラミックグリーンシートを製造するために使用することができる。具体的には、剥離剤層12の剥離面に対し、チタン酸バリウムや酸化チタンなどのセラミック材料を含有するセラミックスラリーを塗工した後、当該セラミックスラリーを乾燥させることでセラミックグリーンシートを得ることができる。塗工は、例えば、スロットダイ塗工方式やドクターブレード方式等を用いて行うことができる。
セラミックスラリーに含まれるバインダー成分の例としては、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。また、セラミックスラリーに含まれる溶媒の例としては、有機溶媒、水系溶媒等が挙げられる。
セラミックグリーンシートの成形後、剥離フィルム1上において、当該セラミックグリーンシートの裁断を行うことができる。この裁断は、一般的な方法により行うことができる。当該裁断に続いて、剥離フィルム1はセラミックグリーンシートから剥離される。
本実施形態に係る剥離フィルム1は、前述した荷重変位曲線に関する条件を満たすことにより、裁断の際に、セラミックグリーンシート2の裁断部に浮き5が発生し易いものとなる。そして、剥離フィルム1をセラミックグリーンシート2から剥離する際には、上記浮き5を起点とすることができる。そのため、本実施形態に係る剥離フィルム1によれば、容易にセラミックグリーンシート2を剥離することが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材11における剥離剤層12の反対側の面、または基材11と剥離剤層12との間等には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔基材の準備〕
以下の基材A~Gを準備した。これらのうち、基材A~Fは、ポリエチレンテレフタレートに対するフィラーの添加量および種類を変更して、フィルム状に製膜して得られたものである。
<基材A>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:ハイドロキシアパタイト,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):237MPa,破断応力(TD方向):287MPa,破断伸度(MD方向):152%,破断伸度(TD方向):100%
<基材B>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:ハイドロキシアパタイト,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):237MPa,破断応力(TD方向):287MPa,破断伸度(MD方向):152%,破断伸度(TD方向):100%
<基材C>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:ハイドロキシアパタイト,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):235MPa,破断応力(TD方向):281MPa,破断伸度(MD方向):145%,破断伸度(TD方向):97%
<基材D>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:シリカ,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):232MPa,破断応力(TD方向):285MPa,破断伸度(MD方向):129%,破断伸度(TD方向):84%
<基材E>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:シリカ,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):239MPa,破断応力(TD方向):282MPa,破断伸度(MD方向):145%,破断伸度(TD方向):102%
<基材F>
主材:ポリエチレンテレフタレート,フィラー:シリカ,厚さ:31μm,破断応力(MD方向):233MPa,破断応力(TD方向):280MPa,破断伸度(MD方向):140%,破断伸度(TD方向):99%
なお、上記破断応力および破断伸度は、引張試験機(オリエンテック社製,製品名「テンシロン」)を用いて、23℃、50%RHの環境下、引張速度200mm/分で伸長させる引張試験により測定したものである。
〔実施例1〕
ポリオルガノシロキサンとして、末端または側鎖に2個以上のビニル基を有し、ビニル基を有さない部分はメチル基であるポリオルガノシロキサン(重量平均分子量:390,000,ポリオルガノシロキサン1g中のビニル基量:0.25mmol,固形分:30質量%)100質量部をトルエンに溶解し、固形分1.5質量%の付加反応型ポリオルガノシロキサン溶液を得た。次に、上記付加反応型ポリオルガノシロキサン溶液100質量部に対し、白金系触媒(東レ・ダウコーニング社製,製品名:SRX-212)2質量部を添加して混合し、固形分1.5質量%の剥離剤組成物の塗布液を得た。
得られた剥離剤組成物の塗布液を、作製例1で得られた基材Aの片面にバーコーターにより均一に塗布した。次いで、125℃で60秒間加熱乾燥し、剥離剤組成物を硬化させ、基材上に厚さ50nmの剥離剤層が積層されたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを得た。
〔実施例2~3,比較例1~5〕
基材の種類および剥離剤層の厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムを得た。
〔試験例1〕(微小表面硬度計による弾性変位量、塑性変位量および弾性変形仕事率の測定)
微小表面硬度計(島津製作所社製,製品名:ダイナミック超微小硬度計W201S)を使用し、実施例および比較例で製造したセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの剥離剤層側の面に対して20mNの荷重にて圧子を押し込み、その押し込み深さ変位と荷重との関係を表す荷重変位曲線を得た。
図5には、得られた荷重変位曲線を概略的に示す。当該荷重変位曲線では、荷重(F)を縦軸とし、押し込み深さ変位(d)を横軸としている。図示されるように、荷重を印加していない開始時から最大荷重印加時まで荷重を上昇させると、点P0から点P1(このときの変位量を「d1」とする)まで、実線Aの通り推移する。その後、荷重を除去すると、点P1から点P2(このときの変位量を「d2」とする)まで、実線Bの通り推移する。なお、点P1の垂線(破線C)と横軸との交点を点P3とする。
当該荷重変位曲線において、最大荷重負荷時(点P1)の変位量d1を弾性変位量とし、荷重を除荷した時(点P2)の変位量d2を塑性変位量とした。また、弾性変形仕事率の測定は、荷重変位曲線から、実線A、実線Bおよび横軸で囲まれる範囲の面積としてのWplast(塑性変形仕事)と、実線B、破線Cおよび横軸で囲まれる範囲の面積としてのWelast(弾性変形仕事)とを導出し、下記(1)式及び(2)式を用いて、Wtotal(全変形仕事)に対する弾性変形仕事の割合から弾性変形仕事率(ηIT)を導出した。結果を表1に示す。
total=Wplast+Welast・・・(1)
ηIT=Welast/Wtotal・・・(2)
〔試験例2〕(剥離剤層の算術平均粗さおよび最大突起高さの測定)
ガラス板に両面テープを貼付し、実施例および比較例で得られた剥離フィルムを、測定する側の面の反対面がガラス板側となるように上記両面テープを介してガラス板に固定した。その剥離フィルムの剥離面および裏面について、算術平均粗さ(Ra;nm)および最大突起高さ(Rp;nm)を、光干渉式表面形状観察装置(Veeco社製,製品名:WYKO-1100)を使用し、PSIモードにて50倍率で観察し、得られた91.2×119.8μmの範囲における表面形状画像に基づいて測定した。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(スラリー塗工性の評価)
チタン酸バリウム粉末(BaTiO;堺化学工業社製,製品名:BT-03)100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール(積水化学工業社製,製品名:エスレックB・KBM-2)8質量部、および可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(関東化学社製,製品名:フタル酸ジオクチル鹿1級)4質量部に、トルエン/エタノール混合溶剤(質量比6/4)135質量部を加え、ボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。
実施例および比較例で得られたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムの剥離剤層表面に、上記セラミックスラリーをダイコーターにて塗布し、その後、80℃で1分間乾燥させた。このように、剥離フィルム上に厚さ3μmのセラミックグリーンシートを成形し、セラミックグリーンシート付剥離フィルムを得た。このセラミックグリーンシート付剥離フィルムについて、剥離フィルム側から蛍光灯を照らして、成形したすべてのセラミックグリーンシート面を目視で検査し、以下の判断基準によりスラリー塗工性を評価した。結果を表1に示す。
〇…セラミックグリーンシートにピンホールがなかった
×…セラミックグリーンシートにピンホールが発生した
〔試験例4〕(セラミックグリーンシートに対する剥離力の測定)
試験例3と同じ手順により製造したセラミックグリーンシート付剥離フィルムを、室温23度、湿度50%の雰囲気下に24時間静置した。次に、流れ方向に100mm、幅方向に40mmの大きさに裁断した。これを測定サンプルとした。当該測定サンプルのセラミックグリーンシート面側の短辺側の一方の端部に幅5mmのアクリル粘着テープ(日東電工社製,製品名:31Bテープ)を貼付した。この測定サンプルの剥離フィルム面側を両面テープで平板に固定し、測定サンプルが上面となるよう当該平板を剥離試験機(島津製作所社製,製品名:AGS-20NX)に水平に設置した。そして、アクリル粘着テープを貼付した側のセラミックグリーンシートの端部を剥離フィルムから剥がし、当該端部を剥離試験機の治具に取り付けた。この状態にて、剥離速度200mm/minでセラミックグリーンシートを垂直上方向(90°剥離)に引っ張り、剥離フィルムとセラミックグリーンシートを剥離し、剥離するのに必要な力(剥離力;mN/40mm)を測定した。結果を表1に示す。
〔試験例5〕(シート浮きの評価)
テクスチャーアナライザー(英弘精機社製,製品名:TA.XT.plus)を用いて、試験例3と同じ手順により製造したセラミックグリーンシート付剥離フィルムをセラミックグリーンシート側から以下の測定条件にてトムソン刃を押し込み、シート浮き試験を行った。高速度カメラ(キーエンス社製,製品名:VW-5000)を用いて、以下の評価基準によりセラミックグリーンシート浮きを評価した。
〔測定条件〕
・刃物材質:超硬合金(FM10K)
・刃物角度:42度
・刃物先端幅:2μm
・押し込み速度:0.5mm/s
〔シート浮き評価基準〕
〇…基材に刃が接触したときの裁断部におけるセラミックグリーンシートの浮きが1.0μm以上であった。
×…基材に刃が接触したときの裁断部におけるセラミックグリーンシートの浮きが1.0μm未満であった。
また、シート浮き試験後のサンプルを剥離フィルム越しにデジタル顕微鏡(キーエンス社製,製品名:VHX-1000)にて観察し、シート浮きの高さ(図3(b)中、「h」で示される高さ)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007645109000001
表1から明らかなように、実施例で得られたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムは、セラミックグリーンシート裁断時に良好に浮きが発生した。
本発明のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムは、セラミックグリーンシートの成形に好適である。
1…剥離フィルム
11…基材
12…剥離剤層
2…セラミックグリーンシート
3…支持台
4…裁断刃
5…浮き

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材の片側に設けられた剥離剤層とを備えたセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムであって、
    前記基材は、ポリエステル系樹脂を材料とするとともに、ハイドロキシアパタイト系フィラーを含有するものであり、
    前記セラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルムにおける前記剥離剤層側に対し、微小表面硬度計を用いて20mNの荷重を印加したときに測定される荷重変位曲線において、弾性変形仕事率が45%以上であり、弾性変位量が1.90μm以下であり、塑性変位量が1.12μm以下である
    ことを特徴とするセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
  2. 前記基材は、前記フィラーを含有する第1の樹脂層、および前記第1の樹脂層の片面側に積層され且つ前記フィラーを含有しない第2の樹脂層を少なくとも備えることを特徴とする請求項に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
  3. 前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)は、1nm以上、20nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
  4. 前記剥離剤層の前記基材とは反対側の面における最大突起高さ(Rp)は、10nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
  5. 前記剥離剤層の厚さは、10nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
  6. 前記基材の厚さは、10μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造工程用剥離フィルム。
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