JP7648979B2 - めっき鋼板 - Google Patents
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Description
J=N+M-K (1)
J=N+M-K (1)
めっき鋼板であって、
母材鋼板と、
前記母材鋼板上に形成されており、表面にヘアラインが形成されているめっき層とを備え、
前記めっき層の表面において、
前記ヘアラインの延在方向と垂直な方向の5000μm長さの測定範囲で表面粗さプロファイルをレーザー顕微鏡により測定し、前記測定範囲の前記表面粗さプロファイルを求め、
前記測定範囲を、前記測定範囲の端から50μm長さピッチで配列される100個の微小域n(nは1~100までの整数)で区画し、前記各微小域nごとに、不感帯幅を360nmとするピークカウントRPcを求め、
前記測定範囲において、
隣り合う微小域nのピークカウントRPcの絶対差が6以上となる第1コントラスト部の総数をNとし、
前記微小域m(mは1~98の整数)のピークカウントRPcと前記微小域m+1のピークカウントRPcとの絶対差が6未満であって、前記微小域mのピークカウントRPcと前記微小域m+2のピークカウントRPcの絶対差が6以上である第2コントラスト部の総数をMとし、
前記微小域k(kは1~98の整数)のピークカウントRPcと前記微小域k+1のピークカウントRPcとの絶対差が6以上であって、かつ、前記微小域k+1のピークカウントRPcと前記微小域k+2のピークカウントRPcとの絶対差が6以上である第3コントラスト部の総数をKとしたとき、式(1)で定義されるコントラスト部の総数Jが7よりも多い、
めっき鋼板。
J=N+M-K (1)
[1]に記載のめっき鋼板であって、
前記めっき層を平面視したときの母材鋼板の露出率が5.0%未満である、
めっき鋼板。
[1]又は[2]に記載のめっき鋼板であって、
前記めっき層は、亜鉛系めっき層である、
めっき鋼板。
図4は、本実施形態のめっき鋼板1の断面図である。図4において、めっき鋼板1の圧延方向をRDと定義する。めっき鋼板1の板厚方向をTDと定義する。めっき鋼板1の圧延方向RD及び板厚方向TDに垂直な板幅方向をWDと定義する。
母材鋼板100は、製造するめっき鋼板1に求められる各機械的性質(例えば、引張強度、加工性等)に応じて、周知のめっき鋼板(例えば、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板等)に適用される公知の鋼板を使用すればよい。例えば、母材鋼板100として、電気機器用途の鋼板を使用してもよいし、建材用途の鋼板を使用してもよい。母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
めっき層10は、母材鋼板100の表面上に形成されている。めっき層10の種類は特に限定されない。めっき層10は例えば、Ni系めっき層、Cu系めっき層、亜鉛系めっき層、Au系めっき層、Sn系めっき層、Al系めっき層、及び、Ni、Cu、Zn、Au、Sn及びAlのうちの2種以上を含有する合金めっき層等である。上述のX系めっき層(XはNi、Cu、Zn、Au、Sn及びAlの1種)とは、主としてXからなるめっき層を意味する。主としてXからなるとは、めっき層中の主成分元素であるXの含有量が少なくとも50.0%以上であることを意味する。例えば、亜鉛系めっき層は、Zn含有量が50.0%以上であるめっき層を意味する。
X系めっき層からなる上述のめっき層10の化学組成は、次の方法で測定できる。めっき鋼板1の板厚方向TDに平行な断面を含み、めっき層10を含むサンプルを採取する。板厚方向TDに平行な断面を観察面という。サンプルの観察面において、めっき鋼板1の表面から板厚方向TDに、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)法に基づく線分析を実施して、測定対象となる線上での各元素の含有量(質量%)を求める。線分析において、主成分元素であるXを50.0質量%以上含有する領域(範囲)を、X系めっき層と特定する。サンプル観察面において、任意の10箇所で線分析を実施し、線分析により特定されたX系めっき層10の範囲(線上)での各元素含有量(質量%)を求める。10カ所の線分析で得られた、X系めっき層10の範囲での各元素含有量の算術平均値を求める。求めた各元素含有量の算術平均値に基づいて、X系めっき層10の化学組成を特定する。
めっき層10の厚さは特に限定されず、周知の厚さであれば足りる。めっき層10が亜鉛系めっき層である場合、めっき層10の厚さは例えば、0.5~25.0μmである。
めっき層10の厚さは、次の方法により求めることができる。めっき鋼板1の板厚方向TDに平行な断面を含み、めっき層10を含むサンプルを採取する。板厚方向に平行な断面を観察面という。サンプルの観察面を鏡面研磨する。走査型電子顕微鏡を用いて、鏡面研磨後の観察面をめっき層10の板厚方向TDの長さ(厚さ)全体が観察できる倍率(500~3000倍)で観察して、反射電子像を生成する。反射電子像では、母材鋼板100と、めっき層10とはコントラストにより容易に区別可能である。そこで、コントラストに基づいて、めっき層10を特定する。特定されためっき層10の板厚方向TDの長さ(厚さ)を、任意の10箇所で測定する。測定された10箇所の厚さの算術平均値を、めっき層10の厚さ(μm)と定義する。
図5に示すとおり、めっき層10の表面には、ヘアラインHLが形成されている。図5では、ヘアラインHLの延在方向は、圧延方向RDである。しかしながら、ヘアラインHLは圧延方向RDに延在しておらず、他の方向に延在していてもよい。ヘアラインHLは、ヘアラインHLの延在方向と垂直な方向に配列されている。図5では、ヘアラインHLは、板幅方向WDに配列されている。図2で説明したとおり、ヘアラインHLが形成されためっき層10の表面の微小域では、一方向に延在する凹部と凸部とが形成されている。
上述のとおり、ヘアラインHLの視認性は、めっき層10の表面のヘアラインHLの延在方向に垂直な方向に形成されている複数の凹凸を複数の微小域に区画したとき、隣り合う微小域の視認凹凸の密度差が大きい境界であるコントラスト部の密度と相関する。さらに、近距離から見た場合のヘアラインHLの意匠性は、隣り合うコントラスト部の間隔も影響する。以下、コントラスト部の特定方法を説明する。
コントラスト部は次の方法で定義される。
図5に示すとおり、めっき層10の表面のヘアラインHLの延在方向に垂直な方向の5000μm長さの任意の範囲を、測定範囲MRとする。測定範囲MRの表面粗さプロファイルを、レーザー顕微鏡を用いて測定する。レーザー顕微鏡は次の条件を満たす。
・レーザー共焦点型のレーザー顕微鏡を用いる。
・光源波長は410nm以下とする。
・高さ表示分解能を1nm以下とする。
・幅正確さが測定値の±5%以内を満たす。
・5000μm長さを一視野で観察した場合に高さ方向の測定値の精度を担保できる。
上記条件を満たすレーザー顕微鏡は例えば、株式会社キーエンス製の商品名:形状解析レーザー顕微鏡VK-X250である。なお、5000μm長さを一視野で観察した場合に高さ方向(Z軸方向)の測定値の精度が担保できない場合、Z軸方向の測定値の精度を担保できる倍率で観察した連続する複数の画像を連結して1つのプロファイルとして測定してもよい。得られたプロファイルの一例を図6に示す。
(2)測定範囲MRにおいて、微小域m(mは1~98の整数)のピークカウントRPcと微小域m+1のピークカウントRPcとの絶対差が6未満であって、かつ、微小域mのピークカウントRPcと微小域m+2のピークカウントRPcの絶対差が6以上となる領域を「第2コントラスト部」と定義する。第2コントラスト部は、第1コントラスト部と同様に近距離から視認可能な領域である。測定範囲MRでの第2コントラスト部の総数をMとする。
(3)微小域k(kは1~98の整数)のピークカウントRPcと微小域k+1のピークカウントRPcとの絶対差が6以上であって、かつ、微小域k+1のピークカウントRPcと微小域k+2のピークカウントRPcとの絶対差が6以上となる領域を「第3コントラスト部」と定義する。第3コントラストは、2つのコントラスト部が連続して隣接しているために1つのコントラストとして視認される領域である。測定範囲MRでの第3コントラスト部の総数をKとする。
J=N+M-K (1)
めっき鋼板1のめっき層10を平面視したときの母材鋼板100の好ましい露出率は、5.0%未満である。母材鋼板100のさらに好ましい露出率は0%である。この場合、めっき鋼板1において、十分な耐食性(長期耐食性)が得られる。
めっき鋼板1における母材鋼板100の露出率は、次の方法により測定する。初めに、上述の[めっき層10の化学組成の測定方法]に基づいて、めっき層の化学組成を特定し、めっき層の主成分元素Xを特定する。得られた化学組成において、質量%で50.0%以上の元素を主成分元素Xとする。次に、[めっき層10の化学組成の測定方法]のサンプルを採取しためっき鋼板1を用いて、めっき鋼板1をめっき層10の上方から見て(めっき鋼板1を平面視して)、1mm×1mmの任意の矩形領域を5箇所選択する。選択された矩形領域に対してEPMA分析(面分析)を実施する。画像解析により、各矩形領域中において、めっきの主成分元素Xが検出されない領域(めっき未検出領域)を特定する。本実施形態では、めっき主成分元素Xの検出強度が標準試料(純金属試料)を測定した場合の検出強度の1/16以下となる領域を、めっき主成分元素未検出領域と認定する。5つの矩形領域の総面積に対する、めっき主成分元素未検出領域の総面積の割合(%)を、母材鋼板100の露出率(%)と定義する。
本実施形態のめっき鋼板1は、上述の実施形態に限定されない。上述のとおり、本実施形態のめっき鋼板1では、めっき層10の表面上に1又は複数の樹脂層が形成されていてもよい。本実施形態のめっき鋼板1ではまた、めっき層10の表面上に化成被膜が形成されていてもよい。本実施形態のめっき鋼板1はまた、めっき層10の表面上に化成被膜が形成され、さらに、化成被膜上に樹脂層が形成されていてもよい。
以下、本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の一例を説明する。めっき鋼板1は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。しかしながら、以降に説明する製造方法は、本実施形態のめっき鋼板1の製造方法の好ましい一例である。
(工程1)母材鋼板準備工程
(工程2)めっき層形成工程
(工程3)ヘアライン形成工程
以下、各工程について説明する。
母材鋼板準備工程では、上述の母材鋼板100を準備する。上述のとおり、母材鋼板100は熱延鋼板であってもよいし、冷延鋼板であってもよい。
めっき層形成工程では、電気めっき法又は溶融めっき法により母材鋼板100の表面にめっき層10を形成する。めっき層10の形成方法は、電気めっき法でもよいし、溶融めっき法でもよい。めっき層10が亜鉛系めっき層である場合、例えば、次の電気亜鉛めっき法又は溶融亜鉛めっき法を実施してもよい。
電気亜鉛めっき法により亜鉛系めっき層10を形成する場合、電気亜鉛めっき法は、周知の方法で実施すればよい。本明細書において、電気亜鉛めっき法には、電気亜鉛合金めっき法も含まれる。電気亜鉛めっき法で用いるめっき液は、周知のめっき液を用いれば足りる。電気亜鉛めっき液は例えば、硫酸浴、塩化物浴、ジンケート浴、シアン化物浴、ピロりん酸浴、ホウ酸浴、クエン酸浴、その他錯体浴及びこれらの組合せ等である。電気亜鉛合金めっき液は例えばZnイオンの他に、Fe、Ni、Co、Cr及びCからなる群から選択される1つ以上の単イオン又は錯イオンを含有する。また、レベリング効果や硬度上昇などの所望の効果を得るために適宜有機添加剤などをめっき液に添加してもよい。
溶融亜鉛めっき法により亜鉛系めっき層10を形成する場合、溶融亜鉛めっき法は、周知の方法で実施すればよい。溶融亜鉛めっき法で用いるめっき浴は、周知のめっき浴を用いれば足りる。溶融亜鉛めっき浴は例えば、Alを含有し、残部がZn及び不純物からなるめっき浴が使用できる。不純物は例えばFeである。溶融亜鉛めっき浴は、Zn、Al及びFeに加えて、Mg、Si、Ca、Y、La、Ce、Sn、Bi、In、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、Mn、Sr、Sb、Pb、及び、Bからなる群から選択される1種以上を含んでもよい。
ヘアライン形成工程では、めっき層10の表面に対してヘアライン加工を実施することにより、めっき層10の表面に対してヘアラインHLを形成する。
シランカップリング剤A:3-アミノプロピルトリメトキシシラン
シランカップリング剤B:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
各試験番号のめっき鋼板に対して、次の評価試験を実施した。
(試験1)コントラスト部の総数J測定試験
(試験2)研削痕深さ測定
(試験3)母材鋼板露出率測定試験
(試験4)近距離でのヘアライン意匠性評価試験
(試験5)耐食性評価試験
以下、試験1~試験5について説明する。
各試験番号のめっき鋼板に対して、上述の[コントラスト部の特定方法]に記載の方法に準拠して、第1コントラスト部の総数N、第2コントラスト部の総数M、及び、第3コントラスト部の総数Kを求め、コントラスト部の総数Jを求めた。なお、レーザー顕微鏡として、株式会社キーエンス製の商品名:形状解析レーザー顕微鏡VK-X250を用いた。また、樹脂層及び化成被膜を剥離剤により除去した。剥離剤として、三彩化工株式会社製の商品名:ネオリバーS-701を用いた。求めたN、M、K及びJを表1に示す。
各試験番号のめっき鋼板に対して上述の[コントラスト部の特定方法]で得られた表面粗さプロファイルC1の最大高さと最小高さの差を、研削痕深さ(μm)と定義した。各試験番号のめっき鋼板の研削痕深さ(μm)を表1に示す。
各試験番号のめっき鋼板に対して、上述の[露出率の測定方法]に記載の方法に準拠して、母材鋼板の露出率を測定した。なお、めっき主成分元素をZnとした。測定した露出率(%)を表1に示す。
各試験番号のめっき鋼板に対して、次の方法により、近距離でのヘアラインの意匠性を評価した。初めに、室内において、各試験番号のめっき鋼板を、水平方向に対し60°傾けて設置した。このとき、めっき層が室内の天井側に向くようにめっき鋼板を設置した。次に、めっき鋼板のうち、室内の床に設置した位置から50cm離れた場所から、めっき鋼板と対向するように観察者がめっき鋼板を目視観察した。このとき、観察者の目線はめっき鋼板と同じ高さとした。合計で10人の観察者が目視観察し、意匠性に優れているかどうか官能評価を実施した。具体的には、目視観察してヘアラインを明確に視認できれば、意匠性に優れると判断した。意匠性に優れていると判断した人数に基づき評点を付与し、評点B以上を合格とした。表1中の「評価結果」欄の「意匠性」欄に評価結果(A~C)を示す。
8人以上が意匠性に優れていると判断 :評点A
5人以上8人未満が意匠性に優れていると判断:評点B
5人未満が意匠性に優れていると判断 :評点C
各試験番号のめっき鋼板に対して、次の方法により、耐食性(長期耐食性)を評価した。各試験番号のめっき鋼板から、75mm×100mm×板厚の試験片を採取した。試験片のうち、75mm×100mmの表面を、測定面とした。試験片の端面及び裏面をテープシールで保護した。その後、35℃に保持された5%NaClの塩水噴霧試験を、JIS Z 2371(2015)に準拠して実施した。試験を240時間実施し、試験後の錆発生率を求めた。具体的には、試験後の測定面において、錆が発生した面積を目視により求めた。錆が発生した面積及び測定面の面積に基づいて、錆が発生した面積率である錆発生率(%)を求めた。錆発生率が5%未満であれば、合格と評価した(表1中の「評価結果」欄の「耐食性」欄で「E(Excellent)」で表示)。一方、錆発生率が5%以上の場合、不合格と評価した(表1中の「評価結果」欄の「耐食性」欄で評価「B(Bad)」で表示)。
評価結果を表1に示す。試験番号1~試験番号10のめっき鋼板では、コントラスト部の総数Jが7より大きかった。そのため、これらの試験番号のめっき鋼板は、意匠性に優れていた。試験番号1~試験番号7ではさらに、露出率が5.0%未満であった。そのため、これらの試験番号のめっき鋼板では、意匠性に優れるだけでなく、耐食性も優れた。
10 めっき層
HL ヘアライン
Claims (3)
- めっき鋼板であって、
母材鋼板と、
前記母材鋼板上に形成されており、表面にヘアラインが形成されているめっき層とを備え、
前記めっき層の表面において、
前記ヘアラインの延在方向と垂直な方向の5000μm長さの測定範囲で表面粗さプロファイルをレーザー顕微鏡により測定し、前記測定範囲の前記表面粗さプロファイルを求め、
前記測定範囲を、前記測定範囲の端から50μm長さピッチで配列される100個の微小域n(nは1~100までの整数)で区画し、前記各微小域nごとに、不感帯幅を360nmとするピークカウントRPcを求め、
前記測定範囲において、
隣り合う微小域nのピークカウントRPcの絶対差が6以上となる第1コントラスト部の総数をNとし、
前記微小域m(mは1~98の整数)のピークカウントRPcと前記微小域m+1のピークカウントRPcとの絶対差が6未満であって、前記微小域mのピークカウントRPcと前記微小域m+2のピークカウントRPcの絶対差が6以上である第2コントラスト部の総数をMとし、
前記微小域k(kは1~98の整数)のピークカウントRPcと前記微小域k+1のピークカウントRPcとの絶対差が6以上であって、かつ、前記微小域k+1のピークカウントRPcと前記微小域k+2のピークカウントRPcとの絶対差が6以上である第3コントラスト部の総数をKとしたとき、式(1)で定義されるコントラスト部の総数Jが7よりも多い、
めっき鋼板。
J=N+M-K (1) - 請求項1に記載のめっき鋼板であって、
前記めっき層を平面視したときの母材鋼板の露出率が5.0%未満である、
めっき鋼板。 - 請求項1又は請求項2に記載のめっき鋼板であって、
前記めっき層は亜鉛系めっき層である、
めっき鋼板。
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