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JP7651915B2 - 塗装方法 - Google Patents
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Description

本発明は、塗装方法に関する。
下記の特許文献1には、自動車のボデー等の被塗物を塗装するのに使用される回転霧化頭型の塗装装置が開示されている。この塗装装置を使用する場合、回転霧化頭を高電圧の印加状態で高速回転させながらこの回転霧化頭に塗料を供給する。これにより、塗料は回転霧化頭によって遠心霧化されて、ある粒子径範囲の帯電塗料粒子となり、被塗物に向けて噴出されるシェーピングエアによって被塗物に噴霧される。このとき、塗粒が流動して平らで滑らかな塗膜ができる性質、所謂「レベリング」の作用によって、被塗物に概ね一定の膜厚で積層される。その結果、被塗物の防錆、対候性及び高外観を確保することが可能になる。
特開平11-262696号公報
ところで、被塗物を加飾するために予め凹凸状に柄付け或いは加工された加飾用フィルムを貼り付ける加飾技術が知られている。この加飾技術は、高価な加飾用フィルムを使用するためコストが高くなるという点で不利である。そこで、この加飾技術に代わる新たな技術として、加飾用フィルムに比べて安価な塗料を使用して低コストで被塗物の加飾を行う塗装技術が求められている。
このような要請に対して特許文献1に開示の塗装装置を使用する場合、塗料がその平均粒子径のバラツキが大きい状態で被塗物の広範囲に不規則に噴霧されるため、塗料の積層高さを部分的にコントロールして凹凸状の加飾模様を形成するのが難しい。また、自動車のボデーの塗装で使用される塗料は、一般的に、被塗物であるボデーに対する平滑性が高いことが知られている。このため、ボデーの表面に積層高さが部分的に変わるように塗料を噴霧できたとしても、その後の塗料のレベリングによる作用で膜厚が概ね一定となるように変化するため、結果的に所望の凹凸模様を形成できないという問題が生じ得る。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、被塗物に凹凸状の加飾模様を形成するのに有効な塗装技術を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
自動車を構成する被塗物の表面にベース塗膜を形成するベース塗装ステップと、
上記ベース塗装ステップで形成した上記ベース塗膜を乾燥によって上記被塗物の表面に定着させる定着ステップと、
複数のノズルが規則的に配置されたインクジェットヘッドを上記被塗物に対して配置し、上記インクジェットヘッドの上記複数のノズルの中から選択した選択ノズルのみから塗料を噴射して上記定着ステップで定着した上記ベース塗膜の表面に凹凸状の加飾模様を形成する加飾塗装ステップと、
を有し、
上記インクジェットヘッドは、内部の貯留部と外部の貯留部との間で上記塗料を連続的に流動させるように構成されており、
上記被塗物の表面の表面張力の範囲が20~50N/mであり、且つ上記被塗物の表面の表面粗さの範囲が0.01~0.5μmであり、
上記塗料の粘度が25~110cpsの範囲にあり、上記塗料の表面張力が10~35N/mの範囲にある、塗装方法、
にある。
上記態様の塗装方法において、ベース塗装ステップで被塗物の表面にベース塗膜を形成させる。その後、ベース塗装ステップで形成したベース塗膜を定着ステップで乾燥させる。これにより、被塗物の表面にベース塗膜を定着させることができる。加飾塗装ステップでは、定着ステップの後で、インクジェットヘッドの複数のノズルの中から選択した選択ノズルのみからベース塗膜に向けて塗料を噴射する。この加飾塗装ステップによれば、ベース塗膜の表面に積層される加飾塗膜の膜厚を選択ノズルに対応した部位と選択ノズル以外に対応した部位とで異ならせることができる。これにより、ベース塗膜の表面に塗膜が積層される部位と積層されない若しくは積層高さが相対的に低い部位が形成されることになり、これらの部位の間の膜厚差を利用することで凹凸状の加飾模様を形成することができる。
ここで、被塗物の表面のベース塗膜は、塗料が膜状になることによって形成されたものであり、その表面に新たに噴射された塗粒が流動して平滑化されるのを抑制する機能を発揮する。このため、ベース塗膜のうち選択ノズルから塗料が噴射された部位のみの膜厚を増やした状態で、その後に塗粒のレベリングが進行するのを抑制できる。これにより、ベース塗膜の表面に所望の凹凸形状が形成された状態を維持することができる。その結果、加飾用フィルムに比べて安価な塗料を使用して被塗物に所望の凹凸状の加飾模様を形成させることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、被塗物に凹凸状の加飾模様を形成するのに有効な塗装技術を提供することができる。
実施形態1の塗装方法を使用して自動車のボデーを加飾塗装する様子を示す図。 実施形態1の塗装方法にかかるフローチャート。 図2中の加飾処理のフローチャート。 実施形態1の塗装方法において被塗物の表面にベース塗膜を形成するときのノズルの使用状態を模式的に示す平面図。 実施形態1の塗装方法において被塗物の表面にベース塗膜を形成する様子を模式的に示す断面図。 実施形態1の塗装方法においてベース塗膜の表面に加飾塗膜を形成する様子を模式的に示す断面図。 実施形態1の塗装方法においてベース塗膜の表面に加飾塗膜を形成するときのノズルの使用状態を模式的に示す平面図。 実施形態1の塗装方法においてベース塗膜の表面に加飾塗膜を形成する様子を模式的に示す平面図。 実施形態2の塗装方法について図3の加飾処理に対応したフローチャート。
上述の態様の好ましい実施形態について説明する。
上記態様の塗装方法において、上記加飾塗装ステップでは、上記選択ノズルから上記ベース塗膜の上記表面に塗料を噴射する噴射処理を上記加飾模様の予定された膜厚に基づいて複数回繰り返すのが好ましい。
この塗装方法によれば、選択ノズルから塗料を複数回繰り返し噴射してベース塗膜の表面に積層される塗膜の膜厚を段階的に増やすことで加飾模様を所望の凹凸形状にすることができる。
上記態様の塗装方法において、上記加飾塗装ステップでは、上記噴射処理を同一の上記選択ノズルを使用して複数回繰り返すのが好ましい。
この塗装方法によれば、同一の選択ノズルから塗料を複数回繰り返し噴射することで加飾模様を形成する処理を簡素化することができる。
上記態様の塗装方法において、上記ベース塗装ステップでは、上記インクジェットヘッドの上記複数のノズルから塗料を噴射して上記ベース塗膜を形成するのが好ましい。
この塗装方法によれば、ベース塗装ステップと加飾塗装ステップで同一のインクジェットヘッドを兼用することによって、被塗物に加飾模様を形成するのに要するコストを低く抑えることが可能になる。
上記態様の塗装方法において、上記複数のノズルから噴射する塗料の液滴径と1回噴射あたりの液滴数との少なくとも一方が個別に設定されているのが好ましい。
この塗装方法によれば、複数のノズルによる塗料の液滴径や1回噴射あたりの液滴数が個別に設定されているため、加飾塗装ステップでベース塗膜の表面に積層される加飾塗膜の膜厚を各選択ノズルに対応した部位ごとに木目細かく調整することが可能になる。これにより、加飾模様の種類のバリエーションを増やすことができる。
(実施形態1)
以下、実施形態1の塗装方法について、図面を参照しつつ説明する。
なお、本明細書の説明で参照する図面では、特に断わらない限り、被塗物の表面に沿った第1方向を矢印Xで示し、被塗物の表面に沿った方向であって且つ第1方向に直交する第2方向を矢印Yで示し、第1方向及び第2方向の両方に直交する第3方向を矢印Zで示すものとする。
図1に示されるように、実施形態1の塗装方法は、インクジェットヘッド10を使用してワークである被塗物Wの表面Waに加飾塗装を施すためのものである。実施形態1では、被塗物Wとして自動車のボデーを構成する鋼板を対象として加飾塗装を行う場合について例示している。
インクジェットヘッド10は、被塗物Wに向けていずれも開口する複数のノズル11を有し、内部の貯留部12に一時的に貯留された塗料Pを噴射機構(図示省略)によって各ノズル11から被塗物Wの表面Waに向けて噴出可能に構成されている。このインクジェットヘッド10は、内部の貯留部12と外部の貯留部(図示省略)との間で塗料Pを連続的に流動させるように構成されるのが好ましい。本構成によれば、塗料Pが木質材などの塗装に一般的に使用する塗料に比べて粘度が高い場合に、この塗料Pが貯留部12に滞留して各ノズル11から噴出する妨げになるのを抑制することができる。このインクジェットヘッド10は、塗装ロボット20のロボットアーム21に取付けられている。
インクジェットヘッド10の構造について、複数のノズル11のノズル径が同一となるように構成された第1のヘッド構造や、複数のノズル11のそれぞれのノズル径が個別に定められるように構成された第2のヘッド構造を適宜に採用することができる。
第1のヘッド構造を採用すれば、噴射機構における噴射回数や振幅などを制御することによって、複数のノズル11から塗料Pを概ね一定の液滴径で噴射させることができる。塗料Pの液滴径を、例えば30~80μm程度の範囲の中で誤差が数μ程度で概ね一定となるようにバラつきを抑えた状態にコントロールできる。一方で、第2のヘッド構造を採用すれば、複数のノズル11から噴射する塗料Pの液滴径を個別に設定して使用することができる。これに対して、回転霧化頭型の塗装装置を使用する場合、一般的に、液滴径が、例えば数μm~150μm程度の広範囲にバラついてランダムに分布するため、所望の加飾模様2を形成するのに不利である。
なお、インクジェットヘッド10の更なる具体的な構造として、例えば、特開2016-30332号公報、特開2016-30388号公報などに開示のインクジェットヘッドの構造を採用することができる。この場合、インクジェットヘッド10として、オンデマンド方式の構造(例えば、ピエゾ振動板の変形を利用して塗料Pの液滴を吐出させる電気-機械変換方式、熱による気泡の発生を利用して塗料Pの液滴を吐出させる電気-熱変換方式、静電的吸引により塗料Pの液滴を吐出させる静電吸引方式など)のものを適宜に使用することができる。
自動車を構成する被塗物Wにおいて、加飾塗装の対象となる表面Waには、電着塗面、中塗り塗面、クリア塗面が挙げられる。即ち、加飾塗装面として三種類の塗面が想定される。このとき、加飾塗装面としての電着塗面は、その表面張力が30~50N/mの範囲にあり、且つその表面粗さ(JIS B 0601で規定された表面粗さRa)が0.2~0.5μmの範囲にあるのが好ましい。加飾塗装面としての中塗り塗面は、その表面張力が25~35N/mの範囲にあり、且つその表面粗さが0.1~0.3μmの範囲にあるのが好ましい。加飾塗装面としてのクリア塗面は、その表面張力が20~30N/mの範囲にあり、且つその表面粗さが0.01~0.15μmの範囲にあるのが好ましい。纏めると、このような加飾塗装面は、その表面張力の範囲が20~50N/mであり、且つその表面粗さの範囲が0.01~0.5μmであるため、化粧建築板のような木質材に比べて塗料Pの液滴が流動化し易いため所望の形状の加飾模様を形成するのが難しい。そこで、本実施形態では、後述の塗装方法を採用することとしている。
また、水性及び溶剤タイプの塗料Pとして、粘度が25~110cpsの範囲にあり、表面張力が10~35N/mの範囲にあるものを使用するのが好ましい。必要に応じて、この塗料Pにメタリック顔料を添加してもよい。
このベースコート塗料の分類として具体的には、アミノ-アクリル系樹脂、アミノ-アルキド系樹脂、アミノ-ポリエステル系樹脂、ポリイソシアネート-アクリル系樹脂等をビヒクル成分とする塗料を使用するのが好ましい。これらの塗料の形態は特に限定されるものではなく、有機溶剤型、非水分散型、水溶液型、粉体型などの任意の形態のものを使用できる。ベースコート塗料は、アルミニウムフレークやマイカフレークなどからなるメタリック顔料を含有するものである場合、必要に応じて、有機系着色顔料や無機系着色顔料を添加してもよい。
制御盤30は、インクジェットヘッド10に電気的に接続された第1制御部31と、塗装ロボット20に電気的に接続された第2制御部32と、を内蔵している。
第1制御部31は、インクジェットヘッド10を制御する機能を有する。具体的には、この第1制御部31は、インクジェットヘッド10の複数のノズル11のそれぞれを個別に制御し、複数のノズル11の中から使用する選択ノズル11Aを選択し、選択ノズル11Aから噴射する塗料Pの噴射条件を読み出す。
噴射条件として、典型的には、各選択ノズル11Aの単位時間当たりの噴射回数、各選択ノズル11Aの単位噴射回数当たりの液滴数などを直接的或いは間接的に制御するための制御パラメータが挙げられる。
第2制御部32は、塗装ロボット20を制御する機能を有する。具体的には、ロボットアーム21の先端部の軌跡や姿勢などがこの第2制御部32によって制御される。
インクジェットヘッド10を使用する場合、被塗物Wの表面Waに曲面が含まれるときには、この表面Waとインクジェットヘッド10との間の距離dが3~30mm程度となるように、被塗物Wにインクジェットヘッド10を近づけた状態に設定されるのが好ましい。なお、被塗物Wの表面Waが平面のみで構成されるときには、距離dを5~15mm程度に設定することもできる。この距離dは、既知の回転霧化頭型の塗装装置を使用するときの回転霧化頭から被塗物Wの表面Waまでの距離(例えば、200~300mm)を大きく下回る。この場合、第2制御部32による塗装ロボット20の制御によって距離dを小さく抑えた状態で塗装を行うことができる。
このため、既知の回転霧化頭型の塗装装置を使用する場合に比べて、塗装時に生じる塗料Pの飛散量(即ち、ダスト)を少なく抑えることができる。その結果、イニシャル設備コスト及びエネルギーコストがともに低い簡易的な塗装ブースを使用することができ、また塗装のためのマスキング等の養生を省略することができる。
データ読込装置40は、所望の加飾模様に関する画像データを読み込んで記憶する機能を有する。このデータ読込装置40は、画像データに基づいてインクジェットヘッド10を制御するために、第1制御部31に電気的に接続されている。
次に、実施形態1の塗装方法について、図2~図8を参照しながら具体的に説明する。
図2に示されるように、実施形態1の塗装方法は、少なくとも第1ステップS101で示される処理から第3ステップS103で示される処理を順次実行することによって達成される。なお、必要に応じて、これらのステップに別のステップが追加されてもよいし、或いはこれらのステップのうちの少なくとも1つが複数のステップに分割されてもよい。
図2中の第1ステップS101は、被塗物Wの表面Waにベース塗膜1を形成するベース塗装ステップである。この第1ステップS101では、塗装ロボット20を制御してインクジェットヘッド10を複数のノズル11が被塗物Wの表面Waに対向するように配置してその位置で止める。その後、インクジェットヘッド10に設けられている複数のノズル11の全てから予め定めた条件に基づいて塗料Pを噴射する。
図4に示されるように、インクジェットヘッド10の1つの面には、二次元の矩形格子で規則的に配置された複数のノズル11が開口形成されている。複数のノズル11は、それぞれのノズル中心が、いずれも第1方向Xに延びる複数の仮想直線Laといずれも第2方向Yに延びる複数の仮想直線Lbとの交点上に配列されている。このとき、2つの仮想直線La,Lbは互いに直交する関係にある。そして、この第1ステップS101では、複数のノズル11の全てを使用状態であるオン状態に設定する。
なお、複数のノズル11の配列については、互いに隣接する2つの仮想直線Laの間隔Daと互いに隣接する2つの仮想直線Lbの間隔Dbが同一寸法であってもよいし、或いは間隔Daと間隔Dbが異なる寸法であってもよい。また、仮想直線Laに対して仮想直線Lbが斜めに交差する格子配置や千鳥配置を採用してもよい。
図5(a)に示されるように、第1ステップS101において各ノズル11から噴射された概ね一定の液滴径の塗粒Paが被塗物Wの表面Waに付着する。その後、図5(b)に示されるように、各塗粒Paはレベリングの作用によって被塗物Wの表面Waに沿って流動して被塗物Wの表面Waにベース塗膜1を形成する。
図2中の第2ステップS102は、第1ステップS101で形成したベース塗膜1を被塗物Wの表面Waに定着させる定着ステップである。このとき、自動車のボデーを乾燥ブースに搬入して、ベース塗膜1を予め定めた乾燥条件(乾燥温度及び乾燥時間)に基づいて乾燥させる。この第2ステップS102によれば、ベース塗膜1の塗料Pに含まれる水分が乾燥によって飛ばされ、このベース塗膜1が被塗物Wの表面Waに固体層として定着する。乾燥時間の短縮を図るために、乾燥温度として、常温領域を上回り且つ100℃以上の高温領域を下回る低温領域内の温度を選択するのが好ましい。外部環境の影響に応じて或いは乾燥時間を延ばすことによって常温領域で乾燥処理を行うことも可能である。
なお、この第2ステップS102は、ベース塗膜1が完全に平坦な状態までレベリングする前に実行するのが好ましい。このために、後述のステップS106でベース塗膜1の表面1aに塗料Pがレベリングの抑制状態(即ち、塗粒Paの表面張力をコントロールした状態)で定着できるように、第2ステップS102における乾燥条件を定めるのが好ましい。これにより、ベース塗膜1の表面1aに、ベース塗膜1の表面1aにレベリングを抑えた状態で塗料Pを定着させるのに有効な比較的大きな凹凸形状を残すことができる。
図2中の第3ステップS103は、第2ステップS102の後でインクジェットヘッド10の複数のノズル11の中から選択した選択ノズル11Aのみから塗料Pを噴射して、ベース塗膜1の表面1aに凹凸状の加飾模様2を形成する加飾塗装ステップである。この第3ステップS103は、図3に示されるように、ステップS104からステップS108までの処理を順次実行することによって達成される。
図3中のステップS104は、複数のノズル11の中から選択ノズル11Aを設定するステップである。このステップS104によれば、図6に示されるように、複数のノズル11のそれぞれが、選択ノズル11A(図6中の実線を参照)と非選択ノズル11B(図6中の二点鎖線を参照)とのいずれかに分類される。そして、選択ノズル11Aが塗料Pを噴射するオン状態に設定され、非選択ノズル11Bが塗料Pを噴射しないオフ状態に設定される。
図3中のステップS105は、各選択ノズル11Aにおける前述の噴射条件を読み込むステップである。このときの噴射条件は、データ読込装置40から伝送される画像データ(例えば、加飾模様の三次元データ)に基づいて第1制御部31で決定されるのが好ましい。そして、この噴射条件が第1制御部31に一時的に格納される。
図3中のステップS106は、ステップS105で読み込んだ噴射条件で選択ノズル11Aを制御して、この選択ノズル11Aからベース塗膜1の表面1aに塗料Pを噴射するステップである。このステップS106によれば、ベース塗膜1の表面1aに塗料Pによる部分的な凹凸形状を形成させることができる。
図3中のステップS107は、ステップS105で読み込んだ噴射条件に基づいて、ステップS106の後で加飾塗装を継続するか否かを判定するステップである。即ち、加飾塗膜の膜厚が加飾模様2の予定された膜厚に達しないと予測されるときに加飾塗装を継続すると判定する。一方で、加飾塗膜の膜厚が加飾模様2の予定された膜厚に達すると予測されるときに加飾塗装を継続しないと判定する。このステップS107によれば、加飾塗装を継続する場合(ステップS107の「Yes」の場合)にステップS108にすすみ、そうでない場合(ステップS107の「No」の場合)に加飾塗装処理を終了する。
図3中のステップS108は、ステップS107の後で選択ノズル11Aを変更するか否かを判定するステップである。このステップS108によれば、選択ノズル11Aを変更する場合(ステップS108の「Yes」の場合)にステップS104に戻り、複数のノズル11の中から選択ノズル11Aを再設定する。これに対して、選択ノズル11Aを変更しない場合(ステップS108の「No」の場合)にステップS106に戻り、同じ選択ノズル11Aからベース塗膜1の表面1aに塗料Pを噴射する。
図7及び図8には、選択ノズル11Aからベース塗膜1の表面1aに塗料Pを噴射する噴射処理について例示している。この噴射処理は、説明の便宜上、各選択ノズル11Aについて1回噴射あたりの液滴数が1つである場合を模している。
図7(a)及び図8(a)に示されるように、選択ノズル11Aからの1回目の噴射時にベース塗膜1の表面1aに付着した塗粒Paの上から2回目の噴射時の塗粒Paが第3方向Zである厚み方向について積層される。これにより、ベース塗膜1の表面1aの一部に塗料Pを2回に分けて塗り重ねることができる。選択ノズル11Aによる噴射処理を繰り返す回数を増やすことによって、塗粒Paによる第3方向Zの積層高さを増やすことができる。
選択ノズル11Aによる噴射処理の繰り返し回数は特に限定されるものではなく、ステップS105で読み込んだ噴射条件に基づいて適宜に選択され得る。或いは、選択ノズル11Aによる噴射処理を予め設定した固定回数で実行するようにしてもよい。
図7(b)及び図8(b)に示されるように、その後、ベース塗膜1の表面1aに付着した塗粒Paの一部が流動化して凹凸状の加飾模様2が形成される。この加飾模様2では、選択ノズル11Aに対応した部位が凸部2aとなり、選択ノズル11A以外に対応した部位が凹部2bとなる。このとき、図2中の第1ステップS101で被塗物Wの表面Waにベース塗膜1を予め形成しているため、ベース塗膜1に対する塗粒Paの濡れ性(「親和性」ともいう。)及び相溶性を抑えることができる。その結果、加飾模様2の所望の凹凸形状を保つことができる。
図2中の第3ステップS103を終了したのち、必要に応じて、加飾模様2を含む被塗物Wの表面Waにクリアトップコート塗料を塗装することができる。このときの塗装は、既知の回転霧化頭型の塗装装置(図示省略)を使用して実行され、塗装後に焼き付け処理が施工される。この焼き付け処理は、ステップS102の乾燥処理よりも高温であり且つ長時間の処理条件下で行われる。
クリアトップコート塗料を使用するとき、具体的には、アミノ-アクリル系樹脂、アミノ-アルキド系樹脂、アクリル樹脂、アミノオイルフリーアルキド樹脂、シリコンポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等の有機溶剤稀釈型塗料を使用することができる。
以下、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
実施形態1の塗装方法において、第1ステップS101で被塗物Wの表面Waにベース塗膜1を形成させる。その後、第1ステップS101で形成したベース塗膜1を第2ステップS102で乾燥させる。これにより、被塗物Wの表面Waにベース塗膜1を定着させることができる。第3ステップS103では、第2ステップS102の後で、インクジェットヘッド10の複数のノズル11の中から選択した選択ノズル11Aのみからベース塗膜1に向けて塗料Pを噴射する。この第3ステップS103によれば、ベース塗膜1の表面1aに積層される加飾塗膜の膜厚を選択ノズル11Aに対応した部位と選択ノズル11A以外に対応した部位とで異ならせることができる。これにより、ベース塗膜1の表面1aに加飾塗膜が積層される部位と積層されないしくは積層高さが相対的に低い部位が形成されることになり、これらの部位の間の膜厚差を利用することで凹凸状の加飾模様2を形成することができる。
ここで、被塗物Wの表面Waのベース塗膜1は、塗料Pが膜状になることによって形成されたものであり、その表面1aに新たに噴射された塗粒Paが流動して平滑化されるのを抑制する機能を発揮する。このため、ベース塗膜1のうち選択ノズル11Aから塗料Pが噴射された部位のみの膜厚を増やした状態で、その後に塗粒Paのレベリングが進行するのを抑制できる。これにより、ベース塗膜1の表面1aに所望の凹凸形状が形成された状態を維持することができる。その結果、加飾用フィルムに比べて安価な塗料Pを使用して被塗物Wに所望の凹凸状の加飾模様2を形成させることができる。
また、第1ステップS101と第3ステップS103で同一のインクジェットヘッド10を兼用することで、被塗物Wに加飾模様2を形成するのに要するコストを低く抑えることが可能になる。しかも、第1ステップS101と第3塗装ステップS103で同じ塗料Pを使用することで、ベース塗膜1と加飾模様2との境界が目立ちにくくなり、加飾塗装の外観上の見栄えが悪くなるのを防ぐことができる。
以上のように、上述の実施形態1によれば、被塗物Wに凹凸状の加飾模様2を形成することが可能な塗装技術を提供することができる。
また、実施形態1の塗装方法において、複数のノズル11よる塗料Pの液滴径や1回噴射あたりの液滴数が個別に設定されている場合には、第3ステップS103でベース塗膜1の表面1aに積層される加飾塗膜の膜厚を各選択ノズル11Aに対応した部位ごとに木目細かく調整することが可能になる。これにより、加飾模様2の種類のバリエーションを増やすことができる。
また、実施形態1の塗装方法において、加飾模様2の予定された膜厚に基づいて選択ノズル11Aから塗料Pを複数回繰り返し噴射する場合には、ベース塗膜1の表面1aに積層される加飾塗膜の膜厚を段階的に増やすことによって、所望の凹凸状の加飾模様2を簡単に形成することが可能になる。とりわけ、同一の選択ノズル11Aから塗料Pを複数回繰り返し噴射することで加飾模様2を形成する処理を簡素化することができる。
以下、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図9に示されるように、実施形態2では、実施形態1の加飾塗装処理(図2及び図3を参照)に代えて、ステップS104AからステップS107Aまでの処理を順次実行することによって達成される。
ステップS104Aは、実施形態1のステップS104と同一の処理を行うステップである。ステップS105Aは、実施形態1のステップS105と同一の処理を行うステップである。ステップS106Aは、実施形態1のステップS106と同一の処理を行うステップである。ステップS107Aは、ステップS106Aの後で加飾塗装を終了するか否かを判定するステップである。このステップS107Aによれば、加飾塗装を継続する場合(ステップS107Aの「Yes」の場合)に飾塗装処理を終了し、そうでない場合(ステップS107Aの「No」の場合)にステップS106Aに戻る。
その他は、実施形態1と同様である。
実施形態2によれば、実施形態1の場合に比べて処理ステップの数を減らすことができ、塗装方法にかかる処理を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
本発明は、上述の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の実施形態では、第1ステップS101と第3ステップS103で同一のインクジェットヘッド10を兼用する場合について例示したが、これに代えて、第1ステップS101と第3ステップS103で異なるインクジェットヘッド10を使用するようにしてもよい。また、第1ステップS101を、インクジェット方式以外の塗装方法によって実行するようにしてもよい。
上述の実施形態では、被塗物Wとして自動車のボデーを構成する鋼板を対象とて加飾塗装を行う場合について例示したが、必要に応じて、自動車のボデー以外の外装部品(例えば、バンパーなど)を対象として加飾塗装を行うここともできる。
1 ベース塗膜
1a 表面
2 加飾模様
10 インクジェットヘッド
11 ノズル
11A 選択ノズル
P 塗料
W 被塗物
Wa 表面
S101 第1ステップ(ベース塗装ステップ)
S102 第2ステップ(定着ステップ)
S103 第3ステップ(加飾塗装ステップ)

Claims (5)

  1. 自動車を構成する被塗物の表面にベース塗膜を形成するベース塗装ステップと、
    上記ベース塗装ステップで形成した上記ベース塗膜を乾燥によって上記被塗物の表面に定着させる定着ステップと、
    複数のノズルが規則的に配置されたインクジェットヘッドを上記被塗物に対して配置し、上記インクジェットヘッドの上記複数のノズルの中から選択した選択ノズルのみから塗料を噴射して上記定着ステップで定着した上記ベース塗膜の表面に凹凸状の加飾模様を形成する加飾塗装ステップと、
    を有し、
    上記インクジェットヘッドは、内部の貯留部と外部の貯留部との間で上記塗料を連続的に流動させるように構成されており、
    上記被塗物の表面の表面張力の範囲が20~50N/mであり、且つ上記被塗物の表面の表面粗さの範囲が0.01~0.5μmであり、
    上記塗料の粘度が25~110cpsの範囲にあり、上記塗料の表面張力が10~35N/mの範囲にある、塗装方法。
  2. 上記加飾塗装ステップでは、上記選択ノズルから上記ベース塗膜の上記表面に塗料を噴射する噴射処理を上記加飾模様の予定された膜厚に基づいて複数回繰り返す、請求項1に記載の塗装方法。
  3. 上記加飾塗装ステップでは、上記噴射処理を同一の上記選択ノズルを使用して複数回繰り返す、請求項2に記載の塗装方法。
  4. 上記ベース塗装ステップでは、上記インクジェットヘッドの上記複数のノズルから塗料を噴射して上記ベース塗膜を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗装方法。
  5. 上記複数のノズルから噴射する塗料の液滴径と1回噴射あたりの液滴数との少なくとも一方が個別に設定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の塗装方法。
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